« 高齢者医療給付の制限がいよいよ始まる? | トップページ | 医療訴訟リスク ただ観念的な文言を連ねても… »

2012年12月 4日 (火)

政権交代を見据え勢力拡大を画策する日医

ほぼ確実に政権交代が起きるだろうと期待されている今度の総選挙ですが、そうなりますと予想される新政権でどのような医療政策が考えられているのかにも注目が集まるというものです。
先日自民党の政権公約が公表されましたが、そこにはこんな話が出ていたということなんですね。

診療所や病床の適正配置、かかりつけ医の導入も?自民党が政権公約、消費税は全額を社会保障に投入(2012年11月22日日経メディカル)

 自由民主党(総裁:安倍晋三氏)は11月21日、衆議院議員選挙に向け、「マニフェスト」ならぬ「政権公約」を発表した。消費税は全額社会保障に使うと明示にしたほか、TPPに関しては聖域なき関税撤廃を前提とした交渉参加に反対するとした上で、交渉参加の判断基準の1つに、国民皆保険制度の堅持を盛り込んだ。医療に対する消費税の課税については、医療機関や薬局の税負担を検証し、「引き続き検討を行う」という表現にとどめた。

 自民党の公約は「復興と防災」「経済成長」「外交・安全保障」「社会保障・財政」「憲法・国のかたち」など12テーマ、328項目から成る。「社会保障・財政」については、経済を成長させ雇用を確保する中で、納税し、社会保険料を負担する者があってはじめて成り立つものとした上で、「自助」「自立」を第一に、「共助」「公助」を組み合わせ、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を目指すとしている。

 社会保障制度についての公約は43項目。小児の医療に関わる公約としては、「感染症の拡大防止システム構築や小児医療の充実など乳幼児の命を守る仕組みの構築」や「子どもの医療費無料化を検討」を挙げた。

 また、地域医療の関連では、「医師の科目別、地域別偏在を是正するとともに必要な医学部定員の確保」「臨床研修医制度の見直し」「勤務医の処遇改善」「地域の医療の必要性の調査などに基づく、診療科目ごとの診療所数や病床数、及び高度医療機器等の適正配置、医療機関の連携体制の充実」「総合診療医の育成とかかりつけ医の導入」などを列挙。検診など予防医療に力を入れ、疾病の予防や早期発見を促進する一方で、後発医薬品の使用拡大、二重診療の抑制、保険給付の対象となる療養範囲の適正化を図り、保険料など国民負担の増大を抑制するとした。

 ただし、これら多くの医療に関する公約について、実現の具体策やスケジュールについては明示していない。

 このほか、「がん対策の充実」や「ワクチン施策の推進」、「医療安全の確保に資する死因究明制度の検討」「認知症対策の推進」「ヒトT細胞白血病ウイルス・難病・結核・腎疾患対策の推進」「漢方医学の推進」「運動器リハビリテーションの充実とロコモティブシンドロームの早期発見」なども盛り込まれた。

見たところあまり具体性のある話とも思えませんが、とりあえず読み取れる傾向としては社会保障全般は拡大路線には否定的な方向性、そして医療について言えばいわゆる医師計画配置なども含めた医療資源の効率的活用を目指すというところでしょうか。
何となくどこかで見たようなと言うのでしょうか、従来から続いている厚労省等関連省庁の持論などもその背景に見え隠れするような気もしているのですが、昨今の医療の世界はトップダウンで何を言おうが現場がついてこなければ何ら意味がないということがようやく知られるようになってきましたし、今後もう少し具体的な話が出てくるまでは当面判断を保留するしかなさそうですね。
さて、日本医師会の政治団体である日医連が総選挙で特定政党を支持しないということを打ち出して、結局のところ先の総選挙での支持政党鞍替えに関わる一連の大騒ぎはなんだったのかという気がしないでもないのですが、そもそも医療団体が自前の候補を立てるというならまだしも、特定政党支持を打ち出すということもどうなのかという考え方もありますね。
いずれにしても日医としてはすっかり低下しきった政治的影響力を再び回復したいという野望を捨てきれないし、今度こそ支持政党選びで失敗したくもないということなのでしょうが、その一環として先日はこんな話が出ていました。

勤務医の日医加入率を高めるには?- 都道府県連絡協でシンポ ( 2012年11月30日CBニュース)

 日本医師会(日医)は30日、都道府県医師会の勤務医担当理事を集めた連絡協議会を開いた。この中で、「勤務医の組織率(加入率)向上に向けた具体的方策」をテーマにシンポジウムが行われ、加入率が高い府県の医師会から、金銭的なメリットの付与や、委員会活動の充実などの取り組みが報告された。

 日医によると、全国の医師に占める日医会員の割合は56.2%で、特に勤務医では39.7%にとどまっており、勤務医対策が課題になっている。また、日医加入率は都道府県によってばらつきがあり、90%を超える県がある一方で、40%に満たない県もある

 日医加入率が95%に達する鹿児島県の中村一彦常任理事は、金銭的なメリットの付与が奏功しているとの見方を示した。県医師会員の勤務医のうち69%が勤務医生活協同組合に加入しており、これに入ると、デパートの「ドクターズカード」がもらえ、買い物が5%割引になったり、駐車場を3時間無料で使えたりすることを、医師会員になった理由に挙げる声が寄せられているという。
 ただ、他県の医師会理事からは、「お金があっても使う暇がない」との声が聞かれるとして、金銭的なメリットの効果を疑問視する意見もあった。

 また、日医加入率が71%の大阪府の上田真喜子理事は、部会や委員会の開催など医師会活動の充実に取り組んでいることを紹介した。府医師会の勤務医部会では、月2回の常任委員会や、年1回の研修会などの会合を開いたり、府医師会の会報で、同部会の活動を広報したりしているという。
 上田氏は、「医学・医療の諸問題を解決するには、開業医と勤務医の両方の連携を基盤にした、医師会の部会・委員会活動が極めて重要だ」と強調した。

■「日医は開業医の団体」とのイメージがネック―今村副会長

 日医の今村聡副会長は、加入率向上を考える理由を「加入数が増えれば、組織全体の発言力、国を動かす力が強くなる」と説明。これに関連して、会場から「郡市医師会に入っているということでは駄目なのか」との質問があった。
 今村副会長は、「地域医療を復興させるためには、まず郡市医師会の活性化が大事。郡市医師会に入っていただくことが第一」としながらも、「日医がいろいろな活動をしている中でネックになっているのは、『開業医の団体』というイメージ」と述べ、勤務医の日医会員を増やす必要性を強調した。【高崎慎也】

いやしかし相変わらずモノで釣ってだますような話で加入率だけを追い求めるのもどうなのかですが、それ以前にこれだけ現場の医師からダメ出しが続いているというのに全く日医自身の改革をしようという話が出てこないというのはすごいなと思いますね。
組織として話にならないから加入しないというだけであるのにその駄目な部分は改善せず政治権力発揮のための員数合わせとして勤務医の動員を画策する、そしてやっていることと言えば何ら勤務医の労働環境改善にもキャリアアップにも貢献しないことばかりと言えば、誰が好きこのんでこんな団体に協力したいという気になるものでしょうか?
先日も日医が保険診療への消費税非課税は困る、さっさと改善してくれと財務省に要望書を出したという報道がありましたが、もともとこの消費税非課税化という話は当時日医が強硬に課税に反対したことから決定されたものであって、今さら口を拭って我こそ医療業界の代弁者のような顔をする前にまず損税問題に悩んでいる全国医療機関を回って謝罪するべきではありませんか?
日医が長年現場に余計な負担ばかりを強いる中で全く改善の兆しすらなかった医療現場の労働環境が、近年ネットなどを通じた情報共有と逃散といった地道な活動によってようやく上向き始める気配が見えている時、負の実績にだけは事欠かない団体にわざわざ余計な権力を握らせることで誰にどんなメリットがあるのかを日医自身が明確に示す必要がありそうですね。

|

« 高齢者医療給付の制限がいよいよ始まる? | トップページ | 医療訴訟リスク ただ観念的な文言を連ねても… »

心と体」カテゴリの記事

コメント

全県で加入率90%とはびっくりですね
でもたかが5%引きのサービスほしさに医師会に入る医師が多い地区って何かいやだ(^-^;

投稿: 元僻地勤務医 | 2012年12月 4日 (火) 08時45分

元僻地勤務医さまへ
そのサービスをほしがっているのは本人ではなく、家族なのかもしれません・・・
私なら「私は医者だ!」ってアピールするようなカードは提示したくないです。名刺ですら出したくないのに。

投稿: クマ | 2012年12月 4日 (火) 09時42分

医師会はどこを向いてるのかがわからない
勤務医と国とは無制限な医療給付抑制を求める点で共通点がありそうだけど医師会はそれに反対してるし
自分達は暇をもてあまして医師会で遊んでるのに勤務医だけ過酷に働かせようってどんだけ~?

投稿: タケハナ | 2012年12月 4日 (火) 11時08分

>そのサービスをほしがっているのは本人ではなく、家族なのかもしれません・・・

しかし医師専カード見せびらかしたい医師妻?ばかりの土地柄ってのも嫌ですねえ(苦笑)。

投稿: 管理人nobu | 2012年12月 4日 (火) 11時56分

鹿児島県ってケチ医者ばかりなんですね。一般市民が生活苦に喘いでいるこのご時世にせこいとか恥ずかしいと思わないのでしょうか?こんな事で加入率を上げている事を自慢してる恥知らずな常任理事って何なんでしょう?
ああこんな団体とっとと辞めて正解でしたね。診療以外に煩わしい行事や会合にかり出されるだけですからね。
医師会加入のメリットって何かありますかね?元会員の感想としては時間と金の無駄としか思えませんが。

投稿: 逃散前科者 | 2012年12月 4日 (火) 15時45分

開業したものの患者が少ない先生にとっては医師会関係の仕事もばかにならないとは聞きますね。
でも勤務医で管理職でもない先生にとっちゃ何のメリットもないような。
ああでも、医師会の無茶な主張に表立って反論できるのが唯一のメリットかも。

投稿: ぽん太 | 2012年12月 4日 (火) 16時32分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/56243112

この記事へのトラックバック一覧です: 政権交代を見据え勢力拡大を画策する日医:

« 高齢者医療給付の制限がいよいよ始まる? | トップページ | 医療訴訟リスク ただ観念的な文言を連ねても… »