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2012年11月27日 (火)

上小阿仁村後任医師決定 当事者の声は

先日は新任の先生がわずか3週間で辞めてしまったという記事をお伝えしました「聖地」上小阿仁村ですが、幸いにしてと言うべきか残念ながらと言うべきかあっけなく後任が見つかったそうです。

前北秋田市長が診療再開、上小阿仁 医師辞職で休診/秋田(2012年11月23日さきがけweb)

 医師の突然の辞職で休診していた上小阿仁村国保診療所の医師に、前北秋田市長の岸部陞(すすむ)・旧北秋中央病院名誉院長(76)=同市住吉町=が22日に就任、診療を再開した。村は後任が決まるまで当分の間、診療を続けてもらう方針だ。

 診療所の内科は先月12日に所長として着任したばかりの男性医師(71)が体調不良を理由に辞職、15日から休診していた。

 診療初日は早速70人近くの村民が詰め掛けたという。岸部医師は「患者のほとんどが高齢者で、村外で受診する交通手段もなく大変困っていると聞いた。小学校時代を過ごした村で、自分でよければ役に立ちたい」と語った。

71歳が体調不良で辞めて今度は76歳が後任にというのは、それなりに不安を感じないでもない話ですが、一応は同村の出身者ということで部外者でもないという意味では非常によい人選になったのではとも思います。
しかし以前にもお伝えしたような経緯を考えるとかつて高齢者の交通手段の確保に反対したのも自分達自身だったはずではないかとも思ってしまうのですが、いずれにしても毎回のようにこうやってすぐに後任が見つかるというその交渉力は素晴らしいものがあると思いますね。
役場の方々のそうした努力には率直に頭が下がりますし、それだけ熱心な方々も事実いらっしゃるということなんだと思いますが、一方でかねてこの問題は町内での政争に端を発しているという観測が根強くあったわけです。
一般紙などもようやくこの異常事態に興味が向いてきているようですが、こちらNEWポスの村長へのインタビュー記事を見ましてもやはり何となく歯切れの悪いものを感じてしまうのは自分だけでしょうか?

ネットで「悪の村」と指弾された上小阿仁村長が「いじめ」に反論(2012年11月25日NEWSポストセブン)

悪の村」「村民全員が意地悪い」。診療所の医師が辞職するたびにネットでそんな風評を立てられて苦しんでいる村がある。秋田県中央部に位置する上小阿仁(かみこあに)村だ。なにが原因なのか、どのような被害が起きているのか。村長のインタビューを中心に、村の現状をリポートする。(取材・文=フリーライター・神田憲行)

 * * *
 上小阿仁村は人口約2700人、65歳以上の高齢者が人口に占める割合の高齢化率45%(秋田県の自治体で最高水準)。村民の年間平均所得は143万3000円、県下で下から2番目に低い。村の総面積の90%以上は山林原野だ。

 ことの発端は、この村で公募した村の診療所勤めの医師が、08年からの4年間で4人とも短期間で辞めていったことである。とくに2011年5月30日に2番目に辞めた女性医師に対して一部村民から言いがかりのようなクレームがあったことを、前村長が村の広報誌で紹介した。

《まったく「いじめ」と思われる電話もあるそうですが、このような不心得者は、見つけ出して、再教育の必要があるようです》
《このような不心得者は、わずか5~6人に過ぎないことを確認しております》

 その後も医師が辞職するたびに、「いじめがあった」とネットに書き込まれるようになった。

「ネットの書き込みを見て、村に『悪の村』とかメールや電話が掛かってきています。これはもういじめですよ。あんな思い込みの書き込みを本気にするなんて、ちょっとおかしいんじゃないか」

 上小阿仁村の中田吉穂村長(61歳)はそういって顔をゆがめる。

--しかし4年間で4人とも短期間で次々と辞めるというのは不自然ではないでしょうか。

中田:どうして? 体調不良であればしょうがないですよ。

--2番目の女性医師に関しては、前村長が広報誌で村民の「いじめ」のようなものがあったことを指摘しています。

中田:うん、その文章は重い。でも当時町議だった私はこの女の先生が辞めて帰られる前に1時間ほど話をしたのよ。「上小阿仁のことは忘れない」と言ってくださったし、「(広報誌で)本意ではないことを書き残されて、私としては悔やみきれない」と話されていたんですよ。

──この文章では「不心得者が5~6人」と具体的です。

中田:これは、これはよ……(首をかしげて)前の村長がどういう意味で書いているのか……

──では中田さんは、辞めていく理由についてどのように分析されていますか。

中田:それは個別に、いろんな事情が重なっていると思います。たとえばこの女の先生は本当に熱心で、午前中に診療所の診察が終わると、昼休みに兼務している村の特別養護老人ホームに自発的に様子を見に行くような人なんですよ。そうすっと午後の診察開始が遅れることもある。待っている人はイライラしてっから、不満をぶつけることもあったんじゃないか。そういう忙しさとストレスから体調を崩されたんだと思います。心臓にペースメーカーを入れているような人だったから。

──そのあと2011年6月1日に来た3人目の40代の男性医師も、今年12年10月12日に、「水が合わない」と言い残して辞められています。

中田:それはたぶん気候なんですよ。このへんは天然の秋田杉の名産地で、シーズンは空が真っ白になるくらい花粉が舞う。鼻水が出たり大きなマスクしてたから「先生、大丈夫ですか」と聞いたら、「気候が合わない」とおっしゃっていましたから。

──だとしたら「花粉症で」と言えば済むのではないでしょうか。なにも「水が合わない」という含みを残した言い方をしなくても……。

中田:まあ……それは体調が最悪の時期だったぺ。あとたぶん、若い先生にしたら、この村での地域医療はやり甲斐がないと思う。診療所には入院施設もないし、薬を出す以外はたいした治療もできずに秋田市内の大病院に紹介状を書くことが多い。ただの紹介屋さんみたいになってしまうんだな。若い村民は自分で車運転して最初から他の病院に行ってしまうケースもある。そうするとほとんどお年寄りしか病院に来ない。そういう先生の「想い」と現実の差がストレスになっているんかなあ……。この先生は「自分はまだ若いから、医師としての腕を磨きたい」と帰られる前におっしゃっていました。

──そのあと直近で今年10月に来られた71歳の医師はひと月で辞職されました。

中田:ご本人が「80歳まで頑張る」というので来ていただいたんだが、残念ながら自己管理ができてなかったす。たちまち体調を崩されて心臓が弱り、もう故郷に帰られました。

──医師たちが次々と辞めていくのは、ちょうど激しい選挙戦で当選した前村長が就任した翌年の2008年から始まっています。選挙を巡って村内の対立がこの問題に影響を与えているのではないでしょうか。

中田:それは憶測です。選挙に絡めた方が(メディアは)話題性はあるわね。選挙のたびに医者が代わるとか、(話を)作ろうと思えばいくらでも作れる。なんでそんな勝手な憶測ばかりするのかなあ……よぐわがんねぇ。もしそうなら、村長選挙に「新しい医者を連れてくる」とか公約に掲げればいいけど、そんなことしていない。

 前村長の小林宏晨氏は、女性医師への「クレーム」については、「これは実際にこの女性の先生と話をして、彼女から聞いたことです。ただ5、6人の名前は教えてもらえませんでした」と語る。クレームを付けていた「不心得者」は小林氏への反対派ではないかという質問には「そういうことは私の口からは言えない」として、女性医師が辞職した理由についてこう述べた。

「彼女は医師として熱心で、土日でも深夜の1時2時でも求められると診察していました。私はそれは止めた方がいいと言ったんだが……そうやって熱心に診察してても(クレームが来て)無力感を覚えたのではないかな。また村民の中には『男尊女卑』というのか、女性の医師について無理解な人もいたと思う。都会と地方の文化的な落差があった」

 村の広報誌で書かれたように、女性医師への「過度のクレーマー」と呼ぶべき村民が一部いたことは事実のようだ。しかし一方で、この女性医師の辞職願に対して「辞めないで」と村民の5分の1を超える600人の嘆願書が集まったことも事実である。また彼女以外の医師について村民とのトラブルは、今回の取材では1件も出てこなかった

 診療所で診察をまっていた80歳の男性は、ネットの「風評」について「聞いたことがある」と頷いて、うなだれた。

上小阿仁の者が、先生をいづめるってことはねぇべや……」

すでに知られているように何人も医師が赴任しては辞任していく中で、それでも初期には比較的あけすけに村側の問題点が広報誌などにおいても語られるようなところがあった、ところが最近では離村に際しても単に体調不良であるなどと口を濁している印象で、いったい現地で何が起こっているのかということがさっぱり見えてこなくなってきています。
そうなると村ぐるみで口封じも含めたいじめが行われていたのか…という疑惑も出てくるでしょうし、実際に同村に絡んだ各種BBS等では必ずと言っていいほど村外者から真実の開示を求める声が出てきていますけれども、これに対してあまり具体的にこんな問題があったといった情報が帰ってくることもなく、書き込みを信用する限りでは現地住民の大部分も何が起こっているのか理解していないという状況にあるようです。
かねてから「これだから閉鎖的な田舎者は…」という批判的論調も根強くありましたが、ちょうど近隣の秋田県内に住む方のブログ記事を拝見していて確かにと気づかされたのですが、同村では以前にも取り上げましたように住み込みで村内の雑用を手伝う「地域おこし協力隊員」として村外の若者2名を募集していたという経緯があり、ちょうど医師に対する嫌がらせが言われていた時期に同村に赴任してきています。
当然ながらこちらも余所者には違いないはずなのですが、このたび特にトラブルもなく契約を延長したということですから単純に部外者は排除するというような話ではなく、やはり特定のターゲットを狙っての行動であると考えるべきなのでしょうか。

広報誌で書かれていたようにどうやらクレームや問題行動といったトラブルを起こしているのは数人の人間らしい、そして当時から晒されているようにネット上で医師叩きの書き込みをしていた若者も数人だということで、行動の背景がどんなものであるにせよ大部分の村民にとっては本当にあずかり知らぬところで異常事態が発生している可能性は確かにあるわけですね。
そして事実かつては町内の政争に端を発したことなのかも知れませんが、その後は政権交代もあり町内の勢力図も変わっているにも関わらず同じような医師の離職が続いているということは、間接的にですが何かしら他の要因が主因となっている可能性を示唆しているのかも知れません。
その点でやはり注目されるのが辞めていく医師達がこのところ口を濁しているかに見えるということなのですが、本当にはっきり口に出来ないような事情が隠されているのだとしたら、現在の契約内容などにも何かしらこうした異常事態を誘発する理由があるのかも知れないですね。

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コメント

基本これくらいの人で十分やれる仕事なんだろうなあ
けどこの村長さんは天然なのかイイキャラしてるよね(゚ー゚)

投稿: 元僻地勤務医 | 2012年11月27日 (火) 09時11分

地元出身でこんなすばらしいセンセがいるんなら最初から頼めよw

投稿: aaa | 2012年11月27日 (火) 10時37分

>>地元出身でこんなすばらしいセンセがいるんなら最初から頼めよw

なにぶん御高齢なので御健康が心配ですね。ご自愛ください。

投稿: 浪速の勤務医 | 2012年11月27日 (火) 12時06分

そこは元々前任者も80歳までは働かせるつもりであったようですので問題ないかと。

投稿: 管理人nobu | 2012年11月27日 (火) 12時50分

この岸部って先生、結構有名人らしいね。お似合いかな?
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20090302
http://fukushijuku.com/kishibe.html

投稿: あらら | 2012年11月27日 (火) 15時04分

拡張主義者の先生を呼んだってことは診療所廃止は当面なしってことで?
年配の先生ばっかりだからいざというときの救急のためってわけでもないだろうに維持に固執する理由でもあるんでしょうか?

投稿: ぽん太 | 2012年11月27日 (火) 17時59分

おめでとう‼

投稿: | 2012年11月27日 (火) 21時50分

別ソースの村長インタビュー
ネットでの誹謗中傷が効いてるんだそうな

秋田の“あの村”の村長「ネットで嘘書かれたことが障害です」
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20121126/Postseven_156663.html

投稿: たまちゃん | 2012年11月29日 (木) 07時46分

来た医者が毎年のように辞めてること
医者が村民に問題あるって言ってたこと
村長ですら村民の問題に言及したこと
村民がネットで医者をたたいてたこと

これ全部「事実」ですよね?
事実を口にしたら誹謗中傷になるの??

投稿: でも | 2012年11月29日 (木) 08時57分

応募者やっと一人、募集継続 上小阿仁村・地域おこし協力隊
http://www.sakigake.jp/p/akita/topics.jsp?kc=20130322f

上小阿仁村で働く地域おこし協力隊2人の募集が20日締め切られ、
さいたま市の男性から締め切り前日に郵送で応募があった。
村は書類審査や面接の日程調整を行っている。

村は隊員を昨年からほぼ1カ月ごとに計4回募集したが応募がなかったため、
ことし2月26日からさらに約1カ月間、ホームページなどで募集を続けていた。

村総務課は「ずっと応募がなかったのでほっとした」と話した。

村は来年度当初予算に隊員2人分の報酬などを計上しており、募集を続ける方針。
隊員の対象は三大都市圏に住む20歳以上で性別不問。
報酬は月16万6千円(週5日勤務)。任期は1年更新で、最長3年まで延長できる。


過疎の村で人手が欲しいなら3年といわず何年でもいてもらったらいいのに不思議な制度だね

投稿: | 2013年4月 8日 (月) 13時28分

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