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2012年11月 2日 (金)

医療費自己負担 世代間格差問題

しかし全く今日の話題とは関係のない話ですが、いろいろとアレなトラックバックもいただいてその都度確認しながら適正に処理させていただいているつもりですが、何故か全く取り上げたこともない某大学の公式サイトからトラックバックが来てたというのはどういうわけなんでしょうね?(記事の内容とも関係がなさそうですが…)
それはともかく、先日は各方面からの格差是正の圧力に抵抗するかのように、日医と三井厚労相がそろって高齢者の窓口負担軽減の特例措置廃止をまた先送りすべきであると主張したことが伝えられていましたが、読売新聞がこれに対して社説で異を唱えています。

【社説】高齢者の医療費 「世代間格差」の改善が必要だ(2012年10月31日読売新聞)

 高齢化で膨らむ医療費の負担を世代間で公平にすることが急務だ。
 政府の財政制度等審議会が、70~74歳の医療費の窓口負担を1割に抑える特例措置を廃止し、法律の規定通り2割負担にすべきだとの見解で一致した。財務相に近く措置の見直しを提言する。
 医療費の大半を賄う現役世代の負担が過重になるのを防ぐため、高齢者に応分の負担を求めることはやむを得ない。

 後期高齢者医療制度が始まった2008年、医療機関で払う窓口負担は70~74歳がそれまでの1割から2割に、75歳以上は従来通り1割とすると法律で決まった
 だが、当時の自公政権は国民の反発を恐れ、70~74歳の負担を1割に抑える特例措置を決めた
 民主党政権も継続している。
 この結果、1人当たりの平均収入に占める患者負担割合は、65~69歳の3・8%、75歳以上の4・6%に対し、70~74歳は2・4%と、格段に低い。歪(ひず)みが広がっていると言えよう。

 三井厚生労働相は、この問題について、記者会見で、特例措置の見直しに慎重な姿勢を示した。次期衆院選を控えて、高齢者に新たに負担を求めることは避けたいからだろう。
 だが、特例措置を維持するため、毎年約2000億円の国費が投入されている。財政赤字を拡大させる要因になっており、そのツケは将来世代へ回ることになる。
 高齢世代は、若い世代に比べて、税や保険料の負担を上回る年金や医療サービスを受けることができる。窓口負担の特例措置は、世代間の格差も助長するものだ。
 やはり、特例措置を見直し、負担の引き上げを決断すべきだ。政府は、負担を引き上げる場合は、今後70歳になる人から順次行い、既に70歳を超えた人は対象にしないことを検討している。

 日本人の外来受診回数は、英米を大きく上回り、医療費の増加や医師不足につながっている。窓口負担の引き上げで、不要不急の受診を防ぐ効果も期待できよう。
 無論、症状が重く、通院を減らせない人もいる。その場合には、75歳未満であっても、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度に移行し、負担を抑える仕組みを活用してはどうか。
 一方、公的年金も、本来より高い給付水準に据え置く特例措置により、過払いになっているという問題もある。医療、年金財源の負担を将来世代に先送りし続けることは、もうやめるべきである。

日医などの長年の主張の甲斐あってか日本では医療給付は量的拡大の一途をたどってきたわけですが、右肩上がりの経済成長が終わりむしろ財政的には縮小傾向にまで転じるようになった時代にあっては、単に医療の量的拡大の抑制を図るため診療報酬一律○○減などというやり方ではなく、本当に必要なものには手厚くそうでないものは抑制するということが求められるはずです。
最近厚労省が検討を進めているという医療への費用対効果という評価軸の導入なる考え方もその延長線上にある話ですし(もっとも、これまた面倒くさい話でもあって当面導入は先送りされそうですが)、また元を正せば後期高齢者医療制度なども高齢者自身に医療費の無駄遣いを抑制させるべくコストを自覚してもらうということを言っていたはずです。
最近では維新が高齢者も含めて医療費自己負担は同率にすべきだと主張するなど、この医療の世代間格差是正という問題もにわかにトピックの一つに取り上げられそうな勢いですが、何しろ極めて多数に上る老人票の行方もさることながら、マスコミ諸社にしても今までさんざん高齢者優遇措置を推進せよと煽ってきただけに今更口を拭って是正、是正とも言いにくいところがあるのでしょうね。
そんな中で高齢者医療の適正化ということについて大変に地道な作業が行われているというニュースが地方から出ていますが、こちらの記事を紹介してみましょう。

後発薬だといくら安い? 高齢者に差額通知/佐賀(2012年10月27日佐賀新聞)

 佐賀県後期高齢者医療広域連合は被保険者に対し、先発薬から後発薬(ジェネリック医薬品)に切り替えた場合の自己負担軽減額を通知する。後発薬への変更を促し、医療費を抑制する狙いで、月当たり約800万円の削減効果を見込む。30日の定例議会に約130万円の関連補正予算案を提出する。

 県内の全市町が加入する同連合は、75歳以上の高齢者を被保険者とする後期高齢者医療制度を運営。全体の薬代の中で後発薬のシェアは10・4%にとどまる一方、後発薬に代替可能な新薬のシェアは38・2%に上る。

 差額通知する薬剤は、がんや精神疾患など告知の問題が生じる薬を除き、生活習慣病や眼科、耳鼻科の用剤など12薬効を予定。1回目の通知書は来年1月に送付、対象者約1万6千人の中から差額の大きい1万人を抽出して送る。

 通知者の20%が切り替えた場合、月当たり約800万円の削減効果が生まれる。通知書は、処方されている先発薬の名称と現在の自己負担額、後発薬に切り替えた場合の差額を記載。年2回の送付を予定している。

 後発薬は、薬の特許が切れた後に同じ成分で安く販売される薬。国は患者の負担軽減や医療費抑制のために普及を進めている。差額通知は協会けんぽが全国的に実施、国民健康保険でも武雄市と白石町が実施している。

ちなみに参考までにですが、日本全体での後発品のシェアは数量ベースで23%(2011年)と言いますから、長年の経過で煮詰まった症例が多いとは言え10.8%はやはり低いという印象は受ける数字ですよね。
先日これまた三井厚労相が抵抗勢力化していると話題になった生保受給者の医療費一部自己負担化や後発医薬品(ジェネリック)使用の義務付けなどに関しても、元々と言えば自分でお金を払わなくていい生保受給者で医療費が非常に多く使われている(一般の2.7倍)、ジェネリック使用率も低いという事実がその前提として存在していたわけですね。
昨今ようやくマスコミによっても報道されるようになった通り、生保受給者の病院受診回数が非常に多い、そして「どうせタダなんだから高い薬にして」と要求したり、場合によってはご近所さんの薬まで不正に取得したり向精神薬を転売したりといったケースも見られることから、そもそも自己負担がないことがモラルハザードの原因では?という意見が、財務省などからも強力に主張されるようになってきています。
医療費自己負担で優遇されてきた高齢者の場合も同様の構図があることは、すでに久しく以前から「病院待合室が高齢者のサロン化している」などと控えめに批判?されてきたことからも明らかなのですが、景気が良く年金生活者が弱者だと言われていた時代はそれを厳しく追求することが憚られていたとしても、現在の財務状況は元よりワープア化著しい現役世代の不公平感著しい点からも、その是正が喫緊の課題になっていると言う事です。

無論、こうした差額通知や様々な啓発活動によって自主的に高齢者医療の適正化が成されるのであればそれはそれで評価すべきことですが、特に後期高齢者の場合是正すべきは高齢者本人よりも家族の受診行動である場合も多く、最終的には高齢者医療とはかくあるべしという国民的コンセンサスの行方にもかかっていると言えそうですね。
一般的に諸外国では積極的治療を行うわけでもない患者を漫然と長期間病院に入院させておくなどということはモラルや社会的要請以前に医療費の面で到底行い得ないことですが、日本の場合は長く入院させるほど入院コストと年金支給額の差額でどんどん貯金が増えていくのですから、生保患者が月末になると金がない、入院させてくれと言ってやってくるのと全く同様のモラルハザードが発生し得る制度になっているわけです。
とすれば制度の方を何とか改めていかなければ抜本的な解消は難しいと考えるのが自然ですが、その結果経済的要因が国民の行動様式を次第に変容させていき、昨今たびたび話題になる「末期高齢者をどのように看取るべきか?」という問題にも一定の答えが出てくるようになるのかも知れませんね。
k

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コメント

マスコミがついに舵を切りましたか。
消費税の時のように財務省も圧力をかけたんでしょうか?

投稿: ぽん太 | 2012年11月 2日 (金) 09時54分

少なくともとっくに決まっていることをずるずると先延ばしにするほどの正当性はすでにないだろうということですね。>優遇措置

投稿: 管理人nobu | 2012年11月 2日 (金) 11時50分

 日本は公認泥棒社会。子供を2人以上作らなかった無責任野郎共が、子供を2人以上苦労して育てた人達の子供達に総てを負んぶに抱っこ=泥棒して居る。年金・医療制度が泥棒制度だ。

 子供を2人以上育てた人達の老後は、子供達が看て呉れる。

 子供を2人以上育てなかった無責任野郎共の老後は、総てを自分独りでやり・孤独な老後を過ごし・孤独死をして・ミイラに成る、これ程確実な未来は無い。

投稿: 根本問題 | 2012年12月20日 (木) 11時10分

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