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2012年11月23日 (金)

問題なのは特定看護師ではなく特定行為?

一体いつになったら話がまとまるのかと言う特定看護師/特定行為問題ですが、先日の会合ではこういうまとめが出たそうです。

特定行為が実施されるまでの流れを整理- 厚労省・看護業務WG(2012年11月20日CBニュース)

 厚生労働省は20日、「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」(WG、座長=有賀徹・昭和大病院院長)を開き、医師や歯科医師の指示の下、看護師が特定の医療行為(特定行為)を実施する際の流れについて、これまでの議論の内容を整理した。

 これまでに厚労省が示している制度の枠組みに関する試案では、厚労相の指定機関で研修を修了した看護師について、医師・歯科医師の「包括的指示」(プロトコルなど)で特定行為が可能となる一方、研修を受けていない一般の看護師に関しては、安全管理体制を整備した上で、医師・歯科医師の「具体的指示」を受けて特定行為を実施できる

 同日のWGで厚労省が示した整理案では、包括的指示の場合、看護師がプロトコルに沿って患者の病態を確認し、特定行為を実施する流れだが、具体的指示では、医師・歯科医師が患者の病態を確認した上で、特定行為が行われる。対象患者は、医師・歯科医師が特定する。
 一方、看護師が患者の病態の確認のみを行う場合、医師・歯科医師が特定した患者に対して、プロトコルで規定された病態かどうかを確認し、その内容を医師・歯科医師に報告。その報告を受けた医師・歯科医師が、他の医療専門職に診療の補助を実施するよう指示する。患者の病態がプロトコルの範囲内であれば、看護師が診療の補助の実施を伝達する場合もあるとした。

■医療関係の11団体からヒアリング
 この日のWGでは、医療関係の11団体からヒアリングを行った。
 日本臨床工学技士会の川崎忠行会長は、臨床工学技士の場合、その行為の危険度に応じて、医師の指示の具体性が政省令で定められているとした上で、「(特定行為に関する)この包括的指示の考え方とは違う」と指摘。臨床工学技士も日常的に患者の病態を確認し、医師に報告している実態があると説明して、「もう少し柔軟に考えていただきたい」と求めた。
 また、日本作業療法士協会の中村春基会長は、「リハ(リハビリテーション)に関しては 指示ではなく、カンファレンスで日常的にチーム医療が実施されている。それぞれの専門職が意見を言い合って目標を確認しているので、そういう意味では、特定看護師がリハでどう機能をするのか非常に疑問を感じている」と述べた。【敦賀陽平】

しかし最近の議論の流れをみていますと誰でも特定行為をやれるとなれば、結局のところ特定看護師という資格は必要ないという話になりそうなのが興味深いですよね。
医師の業務にしても専門医などの資格の有無に関わらずなんでもやっているということから考えると妥当なところかなとも思うのですが、こういう話になってくると各施設での判断の余地が非常に大きくなってきそうですし、当初から続いていた「ここまではやっていいという明確な基準がないと現場はやりにくい」という声にどう答えを出すのかも疑問です。
いずれにしても見ていただければ判る通り、こうしたことが認められるとなれば医師が直接患者に対面せずとも特定行為が行えるようになってくるのですから、例えば僻地など医師不足地域で数少ない医師をあちらこちらに往診させるといった非効率な業務が改善される可能性はあるわけで、実際議論の中心はこうした状況を想定して行われているようですね。

在宅の特定行為、医師の指示どう考える?- 厚労省・チーム医療推進会議(2012年11月21日CBニュース)

 厚生労働省は21日、チーム医療推進会議(座長=永井良三・自治医科大学長)を開き、特定の医行為(特定行為)を担う看護師の能力認証に関する同省の試案について、これまでの論点を整理した。厚労相の指定研修を受ける看護師に関しては、プロトコルに従って特定行為を実施しようとする看護師など、要件を具体化することが提案されたが、医師が常駐しない在宅医療の現場で、医師の指示と認証制度の関係をどう考えるかが課題の一つとして挙がった。

 試案では、厚労相の指定機関で研修を修了した看護師は、医師・歯科医師の「包括的指示」(プロトコルなど)で特定行為が可能となる一方、研修を受けていない一般の看護師に関しては、安全管理体制を整備した上で、医師・歯科医師の「具体的指示」で特定行為を実施するとしている。

 一方、厚労省は前日に開いた同会議の作業部会で、看護師が特定行為を実施する際の流れについて、これまでの議論の内容を整理した。同省の整理案では、包括的指示の場合、看護師はプロトコルに沿って、患者の病態を確認した上で特定行為を実施するが、具体的指示では、医師・歯科医師が患者の病態を確認し、看護師は特定行為のみを行う。対象患者はいずれも、医師・歯科医師が特定するとした。

 意見交換で太田秀樹委員(全国在宅療養支援診療所連絡会・事務局長)は、医師が常駐しない在宅医療の現場では、医師が包括的指示を出している一方、看護師からの電話連絡を受け、行為の実施を判断する場合もあるとして、「看護師が医師に指示をしている。そういう場合は在宅が多い」と主張した。

 論点整理では、特定行為の定義について、「医師または歯科医師の指示の下、診療の補助のうち、高度な専門知識と技能をもって行う必要のある行為」とする修正案も示された。
 これに対して藤川謙二委員(日本医師会・常任理事)は、「看護師が高度な知識を持って判断するということは、医行為の中でも絶対にしてはいけないことだ」と強調し、行為の実施の判断はあくまで医師が行うべきとの考えを強調。一方、藤本晴枝委員(NPO法人「地域医療を育てる会」理事長)は、「高度な理解力、判断力こそ、特定行為の要素として必要ではないか」と述べた。

 このほか、特定行為の研修への国の関与については、藤川委員が医療機関の裁量に任せるよう求めたのに対し、大久保清子委員(日本看護協会副会長)は「安全性を担保するためには、研修が必要。国の認定の関与が不可欠だ」などと述べ、この日も主張は真っ向から対立した。【敦賀陽平】

こうした話を聞きますと結局のところ、特定行為を巡る導入積極派、反対派の主眼とは「医療に誰がどこまでの責任を持つか」という点での意見の相違なのかなと思うのですがどうでしょうね?
前世紀末頃からすでに顕著になっていた医療の大きな傾向として専門分化ということがあって、もちろん医療が高度化し人間の限られた能力では特定領域を一つ二つ極めるのが精一杯になったという事もありますが、それ以上に医療事故などが起こるたびに「何故こんな経験も乏しい者にやらせたのか!?」と世間から盛んにバッシングされてきた、その結果誰もが手慣れた領域しか手を出さなくなったという背景もあるわけですね。
その結果一人の患者を診るのに何人もの専門家を必要とするようになり不必要に手間取る上に、医師数の乏しい地方などでは診療そのものが回らなくなった結果このところ国が音頭を取って総合医なるものを盛んに持ち上げようとしていることは周知の通りですが、要するに責任の取れる範囲の仕事しかしませんという近来の医者のやり方はうまくいかなかった、社会からは受け入れられなくなってきたとも言えそうですよね。
他人が下手打ったことの責任まで押しつけられるのは嫌だ、それなら最初から全部自分でやる方がいいという声は助産師騒動の際にもよく言われたことですが、それでは困ると社会的要請が変化してきたのであれば保険診療である以上はやらざるを得ないでしょうし、やる場合の責任のあり方について徒に個人追求にならないようきちんとルールを定めていく方が建設的なのかなという気はします。

プライマリ領域では専門外でなくても常識的な医学的知識があれば出来る仕事と言うのは数多くあって、また沖縄などでは長年医介補という代用医システムが地域の中で一定の役割を果たしてきたことを考えると、赤の他人相手ではなく濃厚な地域コミュニティーの中である意味馴れ合いでやれる地域診療からスタートしてみるというのは悪くない考えかなとも思います。
ただし他方では多忙な急性期基幹病院で何でも医師を呼んでやらせるのは非効率だ、出来ることは看護師がやってくれという要望もあったわけですが、例えば大学病院のように点滴も採血も「それはセンセイのお仕事でしょ?私たちは看護研究で忙しいんです」と医者任せにしているケースなどは、そもそも特定行為云々という遙か以前の問題ですよね。
その意味では特定行為を定めていくと言う行為とはすなわち、難しいことを言わずとも当たり前に看護師の日常業務として行われるべき範囲を定めていくことにもつながるはずですし、その結果現場での業務分担が改善されることの方がはるかに実際の影響は大きいんじゃないかという気がします。

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コメント

特定行為は「こんなこと私たちできません!」って言うバカ茄子追い出すのにいい踏絵になりそうな悪寒

投稿: あめんぼ | 2012年11月23日 (金) 14時20分

もう許してあげて!NP推進派のライフはとっくにゼロよ!

投稿: tenten | 2012年11月23日 (金) 20時10分

>バカ茄子追い出すのに

自分がおん出る方がよっぽど手っ取り早いかとw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年11月24日 (土) 10時02分

田舎病院じゃ出来るコメディカルがいるかいないかで雲泥の差ですよ
でもちゃんとできる分は評価してあげないとシゴト押しつけられるだけになって逃げちゃうんだなあ

投稿: 元僻地勤務医 | 2012年11月24日 (土) 12時31分

何であれ自分がやった方がずっと早いというのは確かですが、それじゃ人材は育てられませんからね…
ある意味ではこの特定看護師制度、医師にとっては楽になるどころか今まで以上に我慢を強いられることになるかも知れません。

投稿: 管理人nobu | 2012年11月26日 (月) 12時18分

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