« 自由診療に絡んだ話題二題 | トップページ | 医師数増加 見る側の視点で異なる評価 »

2012年11月16日 (金)

朝日による橋下氏出自叩きは朝日側の全面敗北

先日も紹介したように週刊朝日による橋下氏攻撃報道に絡んで橋下氏が朝日系列各社を取材拒否したという問題で、マスコミ側からは逆にこんな抗議が出ていたというニュースからお伝えしましょう。

取材拒否に抗議 マスコミ労組「言論統制」(2012年10月31日産経ニュース)

 日本維新の会代表の橋下徹大阪市長が自身の出自を題材にした週刊朝日記事をめぐり朝日新聞の取材を一時拒否した問題で、新聞労連や民放労連の近畿地連などが加盟する関西マスコミ文化情報労組会議(森川啓一議長)は31日、「取材に対する差別的な取り扱いは言論統制にあたる」との抗議文書を発表した。

 文書は10月27日の同会議の定期総会で採択した特別決議。

 橋下氏の一連の対応を「メディア取材の許認可権を持つかのような振る舞い」だと指摘。「首長であり国政政党代表の橋下氏が自己の裁量で取材の可否を決めることに強く抗議する」とした。

当然ながらこの「差別的な取り扱い」云々に対して世間からは「おまえが言うな」の大合唱ですが、朝日と言えば先日は朝日新聞の公式アカウントが中国の中国版ツイッターに「日本人は蔑称で呼ぶべきだ」とつぶやいて話題になっている真っ最中で、どうも世間一般との間には差別的という言葉の意味合いに関していささか認識の相違があるようですね。
さて、そもそもの問題の発端は以前からマスコミ各社が橋下氏の出自を批判的に取り上げる記事を繰り返し報道していたところにあるのですが、今回はとりわけ差別的な内容に踏み込んでいることが明白であったため、同業者の間からも「なぜこんな記事が通ったんだ?」と疑問の声が上がるほどでした。
それに対して当初は冒頭の記事にもあるような業界内での後押しも得て断固徹底抗戦の構えすら見せていた朝日側でしたが、唐突と言っても良いほど態度が豹変したことが報じられています。

発行元の社長、異例の引責辞任 週刊朝日問題(2012年11月12日産経ニュース)

 日本維新の会代表の橋下徹大阪市長の出自を題材とした「週刊朝日」の連載問題で、出版元の朝日新聞出版の篠崎充社長代行ら3人が12日、大阪市役所で、橋下氏への謝罪や連載経緯の説明を行い、同日午前の臨時取締役会で神徳(こうとく)英雄社長の辞任などを決めたことを明らかにした。掲載記事をめぐり発行元の社長が辞任するのは極めて異例

 面会は橋下氏の意向で公開で行われ、篠崎社長代行らは「市長とご家族、多くの関係者にご迷惑をかけ深く反省している」と謝罪、深々と頭を下げた

当時の編集長と副編集長を停職・降格

 続いて、親会社の朝日新聞社の第三者機関「報道と人権委員会」がまとめた連載経緯を検証した報告書を橋下氏に提出。同委の見解によると、記事は「橋下氏の出自を根拠にその人格を否定するという誤った考えを基調としている」とし、「報道機関として、あってはならない過ち」と指弾。

 記事の主要部分が信憑(しんぴょう)性の疑わしい噂話で構成され、編集部でのチェック態勢が的確に機能していない点も指摘し、さらに、執筆者のノンフィクション作家、佐野真一氏についても「人権や差別に対する配慮の足りない点があった」と批判した。

 朝日新聞出版は同日午前の臨時取締役会で「人権を傷つけたことを重大に受け止めたい」として神徳社長の辞任のほか、河畠大四前編集長と記事を担当した副編集長をそれぞれ停職3カ月と降格処分とすることを決めた。

 説明を受け、橋下氏は「すべて理解し、すべて納得できた」と答えた。ただ、連載が問題化した後も幹部が掲載号を宣伝していたことが報告書に触れられていないことに対しては、「不十分だと思う」と苦言を呈し、篠崎社長代行らも「ご指摘の通りだと思う」と応じた。

橋下氏VS朝日 佐野氏「配慮欠いた」 朝日新聞社「再発防止策、厳しく求める」(2012年11月12日産経新聞)

 週刊朝日の連載問題について、執筆者のノンフィクション作家、佐野真一氏と発行元の朝日新聞出版の親会社である朝日新聞社が12日、それぞれコメントを発表した。

 佐野氏は「私の至らなかった最大の点は、現実に差別に苦しんでおられる方々に寄り添う深い思いと配慮を欠いたこと」とし、「それらの方々をさらなる苦しみに巻き込んでしまったことは否めません」と陳謝した。

 朝日新聞社広報部は「差別を許さず、人権を守ることは朝日新聞社の基本姿勢であり、当社グループ全体が共有すべきものです。再発防止策が確実に実行されるよう、厳しく求めていきます」などとした。

【社説】週刊朝日問題―報道の自覚に欠けた(2012年11月14日朝日新聞)

 橋下徹大阪市長をめぐる週刊朝日の記事について、外部識者でつくる朝日新聞社の「報道と人権委員会」が見解を出した。
 記事は、出自を根拠に人格を否定するという誤った考えを基調としており、人間の主体的尊厳性を見うしなっている――ときびしい批判が並んだ。
 小紙社説の執筆を担当する論説委員室も、指摘はもっともだと考える。すぐちかくで働く仲間がおこした過ちであり、痛恨の極みというほかない。

 橋下氏は国民が関心をよせる公人のひとりだ。生い立ちや親族を取材・報道すること自体は否定されるものではない。
 だが、委員会の見解を引くまでもなく、生まれで人格が決まるような考えは明らかな間違いだ。また、一般にふれてほしくない事実を取りあげる場合は、必要性が伝わり、そこに踏み込むだけの説得力が求められる。ところが、記事からそれを読み取ることはできない
 具体的な地名をあげ、被差別部落があると書いたのも配慮を欠く。差別事件が題材のときなど、必然性があって明示する場合もある。しかし今回、言及した理由はどこにあったのか

 タブーを恐れず本音で切り込むことこそ、メディアの使命であり、雑誌の役割も大きい。だからといって記事の精度が低かったり、人権をないがしろにしたりする行いが許されるわけではない。当然の理だ。
 私たちはこれまで社説で、表現・言論の自由の大切さを繰りかえし唱えてきた。
 知識や意見、それに対する反論を伝えあい、共有することによって、ものごとを考え、議論を深める土台が形づくられる。民主主義を、強く、たしかなものにするために最も大切なものが、表現の自由である。
 マスメディアだけの権利でないのはもちろんで、社会全体で守り、育てていくものだ。

 一方で表現の自由は、名誉やプライバシーなど他の重要な価値としばしば衝突する。
 その調和をどこに求めるか。表現にたずさわる者が悩んできたテーマであり、これからも悩み続ける課題だ。そこにしっかりと向きあわず、今回のようなひとりよがりの表現行為に走れば、人びとの批判を呼び、やがては公権力による介入など、深刻な事態を招く
 読者から「新聞と週刊誌で会社が別だといって他人事の顔をするな」との声も数多く届く。
 この過ちをわが問題と受けとめ、社会の期待に応える報道とは何か、足元をかためて、その実現に取り組んでゆきたい。

第三者機関による検証を携えて社長が直接出向いて頭を下げたのみならず、記事を書いた作家から親会社に至るまで「わが問題と受けとめ」謝罪したと言うのですから朝日系列を挙げて橋下氏に完全屈服の形ですが、あそこまで激情して見せた橋下氏側もこれを受けて「全て理解し、納得できた」と一転して矛を下ろしたという形なのは、市長選挙戦の際と同様にマスコミを手玉にとっての戦術ということにもなるのでしょうか。
しかし今回の件に関して親会社である朝日新聞が見解を公表していますけれども、この中で公表されている記事掲載に至る一連の経緯を見てみますとどうもたまたま偶然そうなったという話でもなさそうに思われますね。

橋下氏VS朝日 「書いていいのか!」締め切り間際の攻防、時間切れで掲載(2012年11月12日産経新聞)

 「こんなことを書いていいと思っているのか」。掲載前、連載記事の原稿を見た朝日新聞出版の雑誌担当幹部は河畠大四・週刊朝日編集長(当時)に電話でまくし立てた-。週刊朝日の連載問題を検証した「報道と人権委員会」の報告書では締め切り前日に社内で疑問の声が上がる中、河畠氏が掲載を決断する経緯が記され、同委は「最後は『時間切れ』の状況で掲載」と指摘した。

 報告書などによると、連載は日本維新の会代表、橋下徹大阪市長の人物評伝として検討され、部数増対策の一環に位置づけられた。橋下氏の政治信条や人格に出自が投影していると考え、出自を記事にすることを決めたといい、担当デスクは「他誌がどんどん報じており、自分の中で(書くことの)ハードルが下がった」と振り返った。

 発売日1週間前の10月9日、ノンフィクション作家の佐野真一氏が執筆した原稿が担当デスクに届けられた。河畠氏が目を通したのは締め切り前日の12日。河畠氏は部落差別に関する複数の問題点をデスクに指摘するとともに、原稿を雑誌担当の幹部にメールで送った。

 「掲載できると思っているのか」。幹部は河畠氏に電話を入れたが、幹部と河畠氏は「激しくやり合った」(報告書)。この幹部は雑誌編集の経験が長い社員に原稿を見せ、「出自が悪い者はろくなやつがいないという考えが誤り。完全な差別表現で、ダメだ」との意見を得た上で、再び河畠氏に迫った。

 河畠氏はデスクに佐野氏と交渉して原稿の直しを検討するよう指示し、13日夕に数点の修正が入った。幹部はさらに文章の一部削除を求めたが、最後は河畠氏が「これは佐野さんの原稿です。これでいかせてください」と押し切った

 締め切り間際の修正をめぐり、佐野氏は同委に「(週刊朝日から)指摘があったところで飲めないところはなかった」と説明しているといい、同委は報告書で「言い分が食い違っており、社内の指摘が佐野氏に的確に伝えられたか疑問」と指摘している。

ネット媒体に慣れ親しんだ人間の目からすると、そもそも速報性という点で圧倒的に劣る週刊誌というメディア、そして別に何ら緊急性もない内容の記事で締め切りの時間切れがチェックが不十分となった理由という結論も釈然としないものがありますが、編集部では他紙が類似の報道を出していることに橋下氏から特に抗議がなかったことから問題ないと判断したと主張しています。
社会通念上も許容されざる差別であっても当事者の抗議さえなければやってもいいと判断するのも相当おかしな話ですが、おもしろいのは当初の各紙の記事ではまるで当事者意識も何もなく編集部側に丸投げのようなコメントばかりが報じられていた執筆者の佐野氏側では「指摘があったところで飲めないところはなかった」と言っているということです。
一方で編集部側の主張では佐野氏側に差別的表現の削除などかなり抜本的な記事内容の修正を要求したものの、当時同氏が多忙だったためか「締め切り日である13日夕刻,数点の修正を行った」のみで、さらに繰り返して地区特定部分などの「削除を強く求めたが訂正されなかった」ためやむなくそのまま掲載したと言っているのですから、どうも双方の言い分に食い違いがありますよね。

原稿自体はかなり早い段階で届いており修正の機会は十分あったものを、表紙の校了日まで担当デスクレベルで留め置かれたことが判明しており、当然ながらこれをそのまま掲載するのは無理だと突っ返した雑誌統括に対して最後は「これは佐野さんの原稿です。これで行かせてください」と編集側が押し切ったとされていますが、確信犯的に修正削除の余地がない「時間切れ」となるまで放置していたとも受け取れる話です。
前述のような食い違いもあって検証では「編集部はデスクを通じて佐野氏にすべて伝えたとしているが(中略)佐野氏に的確に伝えられていたかどうか疑問」とわざわざ書いているくらいで、掲載に至る一連の流れは問題のある記事を通すために意図的に行われたのだとすれば非常に納得がいくのですが、弁護士としてこの種の謎解きには慣れているはずの橋下氏も「全て納得した」とツッコミもせずに終わったことも興味深いですね。
いずれにしても各メディアは専属チームまで結成して橋下氏のゴシップ探しをしていると言いますから今後も同種の事件は発生しそうですが、相手が反撃の手段も能力も持っている橋下氏であるだけにいつもの調子でやるたびにまた大きなカウンターパンチを食らうことにもなりかねず、結局は橋下潰しを狙っているようでまたぞろ気がつけば同氏の戦略に乗せられていたということになるのかも知れません。

|

« 自由診療に絡んだ話題二題 | トップページ | 医師数増加 見る側の視点で異なる評価 »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

コメント

しかしたった3ヶ月前に
「今日からはプライバシーも基本的人権もないと考えてほしい」
「基本的人権の制約が嫌なら政治家を辞めればいい。公務員も同じだ。公務員を辞めて私人になればいい。」
「プライバシーが欲しいなら政治家を辞めろというもんだ。」
と仰った御方が自らのこととなると正反対の対応をとる、ってのはどうなんでしょうね。

今後はかつて高利貸しの顧問弁護士をしていたこともアンタッチャブルになるのでしょうか。
(むしろ朝日云々よりそういった「俺の過去を暴くな」的な空気を作ることが狙いなのかもしれません)

投稿: 名無子 | 2012年11月16日 (金) 08時54分

これで人権擁護法案追い風になればネトウヨ涙目だなとw

投稿: 珍菓子 | 2012年11月16日 (金) 09時09分

>と仰った御方が自らのこととなると正反対の対応をとる、ってのはどうなんでしょうね。

それはそれ!
これはこれ!!

>今後はかつて高利貸しの顧問弁護士をしていたこともアンタッチャブルになるのでしょうか。

.一見、関係がありそうで関係のない話を始める
「ところで、カモノハシは卵を産むのを知っているか?」

そもそも橋本氏は出自を根拠に人格を否定するという誤った考えを激しく非難されただけで出自自体は自ら公言されてますよ?

>これで人権擁護法案追い風になればネトウヨ涙目だなとw

7.陰謀であると力説する
「それは、犬を哺乳類と認めると都合の良いアメリカが画策した陰謀だ」

…まあ実は私もそれはちょっと危惧していたんですが阿倍ちゃんが首相になるしそれは大丈夫でしょうw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年11月16日 (金) 09時42分

総選挙前に橋下をたたきつぶしておきたかっただろうに朝日も困ったことになったな

投稿: aaa | 2012年11月16日 (金) 10時40分

なんで週刊新潮が抗議されず、週刊朝日が抗議されたかをちゃんと区別できれば、今回の問題がよくわかると思います。
まあ、わかってなかったから週刊朝日はあんな記事を出したんですが。

投稿: | 2012年11月16日 (金) 10時52分

>仰った御方が自らのこととなると正反対の対応をとる

弁護士出身である橋下氏としては目の前の論点に対する反撃は幾らでも手慣れたことだと思うのです。
しかしそれが長期的な戦略に基づいた行動なのか単なる目先のリアクションなのかが今後問われていくのでしょう。

投稿: 管理人nobu | 2012年11月16日 (金) 11時31分

直後に解散総選挙とは橋下氏にはいいタイミング。
これで維新が勝ったら報道もやりにくいだろうなあ…

投稿: ぽん太 | 2012年11月16日 (金) 13時49分

>>これで維新が勝ったら報道もやりにくいだろうなあ…

恥知らずなマスゴミなので、平気な顔でいつもどおり最初は、ヨイショしてそれからスクラム組んで叩きまくるんでしょうよ。

投稿: 浪速の勤務医 | 2012年11月16日 (金) 14時55分

 朝日新聞出版は10月23日発売号におわび記事も掲載し、企画や記事作成の経緯などに関する検証も約束。26日には河畠氏の編集長更迭も発表していた。いわば謝罪や処分を小出しにしてきた格好だ。今回は読者への誓いとして「社を挙げて失墜した信頼の回復に全力で努めていく所存です」としたが、一方で週刊朝日の休刊→廃刊の噂も浮上してきた。それに、ほくそ笑んでいるのが朝日新聞の幹部だというから驚きだ。どんなカラクリかというと――。

「今の朝日新聞の幹部の1人は週刊朝日が嫌いなんですよ。政治部出身の人で、そのときに今回の橋下さん(の問題)みたいに、週刊朝日のせいで政治家と一悶着あったみたい。だから『週刊誌はAERA(アエラ)だけでいい』って言ってるんです」(朝日新聞出版関係者)

 その朝日幹部が思惑を行動に移すことはなかったが、今回の騒動で廃刊に向け、自然な流れを作り出せるというのだ。
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/54621/

投稿: 朝日の本音 | 2012年11月16日 (金) 18時32分

これって南北コリアの内輪もめでしょう?はっきり言って迷惑です。橋下氏を露出させてかたや知名度アップ、かたや売り上げアップ。これからもマスゴミは橋下氏の言動をいちいち取り上げるでしょうね。

投稿: 通りすがり | 2012年11月16日 (金) 20時25分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/56117763

この記事へのトラックバック一覧です: 朝日による橋下氏出自叩きは朝日側の全面敗北:

« 自由診療に絡んだ話題二題 | トップページ | 医師数増加 見る側の視点で異なる評価 »