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2012年11月10日 (土)

医師転職事情 やはり情報開示が大事

医療機関は広告の規制がありますけれども、それでも近年は様々な情報を発信していることは皆さんもご存じの通りだと思います。
先日医療施設の広報活動を評価するコンクールがあったというのですが、最優秀に輝いたのは医師向けの広報だったそうです。

病院職員の“顔が見える広報”を- 病院広報コンクール、医師獲得にも意欲(2012年11月7日CBニュース)

 医療・福祉施設の広報活動を評価するコンクール「BHI賞2012」(The Prize For Best Healthcare Information)がこのほど長野市で開催され、医師獲得に向けた広報活動に力を入れてきた「地方独立行政法人岡山県精神科医療センター」(岡山市)が大賞を受賞した。発表では、病院職員の“顔が見える広報”を目指す事例も見られた。

 「BHI賞」はNPO法人「日本HIS研究センター」(石田章一代表理事)が毎年開催するフォーラムの中で実施している。今年は56件の応募があり、最終審査には13件が残った。
 審査では各施設が10分間で報告を行い、▽新規性とアイデア▽戦略性と経済効果▽広報の意義と社会性▽プレゼンスキル―の視点で評価された。

 大賞に選ばれた岡山県精神科医療センターは、医師獲得に向けた広報活動について報告した。
 同センターでは、新たな施設の開設や研究部門の設立に伴って人員を確保する必要があり、「一人でも多くの仲間をつくる」ことを目標に取り組んだという。
 発表者の西本佳乃さん(経営戦略課)は、これまで医師募集に向けて思うようなPRができていなかったほか、募集や見学の問い合わせがあっても迅速に対応できず、意識は低かったと言う。このため、魅力的な媒体をつくり、医師にも本気で採用に協力してもらおうとした。
 媒体については、チラシ、ウェブ、DVDの役割を明確にした。チラシには医師の本音を載せて興味を持ってもらい、研修内容などの詳細はウェブで見てもらうようにした。DVDではまず、病院の雰囲気を知ってもらおうとした。
 医師もチラシ作りに積極的に参加し、自院の強みは何かを考えながら、一緒に納得のいくものを作り上げようとした。また、合同就職説明会にも参加してもらい、医師自ら「病院の歩く広報誌」として動いてもらった。ブースでも積極的に呼び込みを行いながら、自分の言葉で病院の良さをアピールしていた。
 フォロー体制については、見学の申し込みがあれば、迅速対応を心掛けた。事前に「どの分野に興味を持ったか」などをメールで質問し、それに合わせて見学スケジュールも組んだ。見学後にも、病院のイメージや今後の方向性を尋ねている。
 西本さんは「一人でも多くの仲間をつくるには、媒体だけでなく、医師の本気度も不可欠」とし、医師が病院の魅力を自信を持って伝えてくれたと言う。取り組みによって、ウェブへのアクセスや見学も増え、来春には現時点で医師9人の採用が決まっているという。
(略)

入賞施設の実際の発表内容についてはこちらで参照できますが、患者向けの広報活動を抑えて医師向けの広報が最優秀に選ばれるというあたり、時代を感じさせる気がしませんでしょうか。
以前であれば医師と言えば大学医局から派遣されてくるものという考え方で実際の待遇などどうでもいい、大学にどれだけ話を通しておくかで決まるのだという考え方の施設も多かったものですが、今の時代そんな施設は大学からも切られ、もちろん自前で医師が来るはずもなく、もはや国に泣きついて医師強制配置でもしてもらわなければ…などと叫んでいるのが現状です。
新卒医師が自分で研修先を探す新臨床研修制度の導入と立ち去り型サポタージュなどと呼ばれた医師逃散減少とが車の両輪となって医師の流動化を促進していく中で、折からのネットの発達が労働環境に関する情報収集を極めて容易にしてしまった結果、俗悪な環境しか用意出来ない施設は淘汰されつつあるというのは当然のことだとは思います。
ただ必ずしも噂と実情が一致しないことは世の習いというもので、思わず「あるある」と言いたくなるようなこんな話があったそうです。

転職したい病院に悪い噂が…、諦めたほうがいいの?(2012年11月7日日経メディカル)

質 問

 転職活動中に、医師紹介会社から私の希望条件にぴったりの病院を紹介されました。しかし、友人の医師にその話をしたら、「あそこは何かと問題の多い病院だっていう噂だぞ。やめたほうがいい」と言われて悩んでいます。ほかの医師からも同じ噂を聞いたので、あながち嘘ではないようです。諦めて他の病院に行ったほうがいいのでしょうか。(卒後18年目、43歳男性、消化器外科医)

回 答
噂だけで判断するのは危険。まずは病院の診療方針を確かめよ

 もしも給料を払ってくれない、長時間労働が常態化している…といった事実があれば、それは明らかに問題のある病院です。ただし、そういった実態の根拠がなく、単に噂が立っているだけなら、問題のある病院と思うかどうかは人それぞれの主観にすぎません。いい噂にせよ悪い噂にせよ、それだけで判断するのは危ないと思います。

 私は医師の転職を支援するエージェントの仕事をしていますが、転職の相談に乗る場合、まずドクターに希望条件をお聞きし、それに見合う病院を転職先の候補として提示します。この時、条件面では合致しているものの、「あそこだけは勘弁してくれ。いい噂を聞かないから」と難色を示されるケースがあります。

 きちんと実情を把握しているのなら構わないのですが、そうおっしゃる先生のほとんどが実態を知らず、噂だけで判断しているようです。転職先の選択肢がたくさんあるならまだしも、そうでない場合はとてももったいないことになります。

 とはいえ、誰だって就労環境が悪い病院で働きたくはありません。ではどうしたら自分にとっていい病院かどうかを見極められるのでしょうか。

自分にとって譲れない線はどこかを見極めよ

 まず、病院の診療方針を確認することです。ホームページに診療理念などを掲載している病院もありますが、それだけでは判断できません。病院見学などをして自らの視点や感覚で病院を見ることが大事です。面接時には必ず自分の診療方針と、院長や理事長の診療方針が合うかどうかをチェックしてください。医療に従事している方々は、皆それぞれ自分にとって理想の医療のビジョンをお持ちだと思います。それを話してみて、彼らに理解を示してもらえるかどうか反応を見るのです。

 例えば、「患者に金銭的な負担をかけずに診療したい」というスタンスのドクターの場合はどうでしょうか。「消化のいいものを食べて、ゆっくり休めば治るから」と注射1本せずに、患者を帰すような先生のケースです。もし転職を希望している病院の院長や医師が利益重視の姿勢で、お金のことしか頭にない人物であれば、その病院で働くことになったとしても長続きしないでしょう。

 極端な例かもしれませんが、病院の中には診療行為をお金に換算して管理しているところもあります。「先生、血液検査を○件、レントゲン撮影は○人分行って、1日に最低でも○円くらいの診療報酬は稼いでください。そうしてくれれば、最低年収の1200万円に、売り上げに応じた歩合給を上乗せするので、年収2000万円も夢じゃないですよ」などと指示してくる病院です。

 いい悪いは別にして、そうした病院の診療方針をどう考えるかは、先生によって個人差があると思います。頑として「絶対にそんな医療はやりたくない」と拒絶する人もいれば、「ここまでだったら許容できる」という人もいるでしょう。自分に100%合う病院はありません。自分の中の「ここだけは絶対に譲れない」という線を見極め、それを守れる病院を選びましょう。

 職場の雰囲気を見たいなら、一度アルバイトで勤務してみるのもいいかもしれません。実際、転職を希望する先生方と条件面だけで話がまとまらない時に、私のほうからアルバイト勤務を勧めることもあります。これなら病院のスタッフの様子を見たり、働きやすさを確認したりすることが可能です。ただし、自分が病院をチェックできるのと同様、病院側からも自身の立ち居振る舞いを見られていることを忘れないでください。

良い、悪いという評価の基準は人それぞれですから、ある人にとっては仕事も楽で給料もいい老健施設常勤医などは楽園のように思えるかも知れませんし、別な人にとっては自分の専門分野の症例が幾らでもやってくる多忙な地域基幹病院こそやり甲斐があるということもあるでしょう。
また自分一人で何でもするから周囲のことなど気にしないよというタイプもいれば、看護師が点滴もとらないのは我慢がならないという人もいるでしょうから単なる良い病院、悪い病院という噂だけでは意味のないことで、最低限どこがどう良い(悪い)のか、院内ルールなどはどうなっているのかといった情報が欠かせません。
その意味ではとりあえず非常勤で経験してみて、水が合うようなら常勤にというやり方は確かに理想的でしょうが、今のご時世にひとたび脈ありと見ればどこの施設も必死に追い込みをかけてくるでしょうから、押し売りを断れないタイプの先生にはこういうのもストレスではあるのかも知れませんね。

しかし考えて見ればこのアルバイトで実際の状況を経験するというやり方、一昔前ならばほとんどの先生が大学時代に代診だ、当直アルバイトだとあちらこちらの病院に出かけていくのが当たり前で、それだけ多数の病院の内情が自分や身近な先生の実体験としてあったわけですから、いざと言うときにも幾らでも生情報が手に入っていたわけですよね。
それに比べると今の先生はネット等での情報収集は進んでいるかも知れませんが、こういう実体験の機会はむしろ減ってきていると言えそうですから、必ずしもどちらが良いとも言えないことなのかも知れません。
医局制度の崩壊に伴って昨今では民間医局や転職コンサルタント、あるいは医師派遣会社など様々な仲介業が盛んになっていますが、病院側にしても冒頭の記事のように自主的な努力も必要でしょうから、環境整備はもちろん例えば学生や研修医の病院見学のように気軽に実情を体験できるコースを用意しておけば案外軽い気持ちでの応募も来るようになるのかも知れませんね。

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コメント

多忙な病院にでもあえて行きたいって希望者はどんどん減ってるらしいですね
行くにしても内視鏡以外やりたくないとか専門外は徹底忌避の先生も多いらしくて人事回すのも大変だと
将来そういうとこは全部研修医とレジデントでやりくりするようになるのかもですな

投稿: 元僻地勤務医 | 2012年11月10日 (土) 10時17分

医師の求人広告でも今だに具体的な給料とか休暇とか書いてなくて 応相談とかよくありますね。
コンビニの求人広告以下ですね。

投稿: 浪速の勤務医 | 2012年11月10日 (土) 10時56分

浪速の勤務医さまへ
以前私が医局人事で働いていた公立病院も求人を出していたのですが、その状態でした。
院長と事務局長に「こんな求人、ハローワークなら即リジェクトされますよ」と言ったら、そのときの院長が話がわかる先生だったため、しばらくして経験年数ごとの標準的な年収を記載するようになりました。

あの肝心な情報を表記しない求人のやり方って、なんで改まらないのでしょうかね・・・

投稿: クマ | 2012年11月10日 (土) 11時15分

あえて重要な情報を隠すのはそういうの気にしない先生に来てもらいたいって気持ちの表れかと…

投稿: ぽん太 | 2012年11月10日 (土) 12時22分

事細かに年収公開されるってイヤじゃない?
患者からも何か言われそうだし

投稿: でも | 2012年11月10日 (土) 21時48分

でもさまへ
そういう患者さんもたまにはおられますけど、知ってもらうメリットもあると思います。
公務員医師なのに3000万円とか5000万とか稼いでいると勘違いしている方が結構おられて・・・

投稿: クマ | 2012年11月10日 (土) 23時02分

むしろ何か言ってくるDQNにチェックつけるのに利用すべきですやん
うちじゃそういう連中はさっさとあぶり出して最大限に転医の支援しまっせw

投稿: アクセル | 2012年11月11日 (日) 08時21分

年収公開については意見は割れるでしょうが、何も公表しないで委細面談みたいな施設はさすがにちょっと敷居が高く感じますね。
情報を出したがらない施設は当直も呼び出しも全部丸めの年俸制なのかな、なんて邪推してしまいます。

投稿: 管理人nobu | 2012年11月12日 (月) 10時51分

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