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2012年10月17日 (水)

内外から特例措置廃止への圧力が高まる

消費増税関連法が成立し消費税増税がなされると果たして税収が増えるのか減るのかと諸説飛び交っている状況ですが、膨大な借金、巨額な財政赤字など構造的な財政上の問題を考えればそれだけでは到底足りないという意見があるのも当然ですよね。
先日海外の格付け会社から日本の信用力は低下していくというレポートが出たということなんですが、当然ながら増税だけではなく本気で歳出削減にも取り組まなければ大変なことになるという意見が述べられています。

日本の信用力「徐々に低下」 追加措置必要とS&P(2012年10月15日47ニュース)

 米大手格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は15日、日本政府が財政健全化に向け「さらなる有効措置を講じない限り、日本の信用力は徐々に低下し続ける」とする報告書を発表した。日本の長期国債の格付けは上から4番目の「AAマイナス」、格付けの見通しは「ネガティブ(弱含み)」にそれぞれ据え置いた。

 報告書は「消費税増税だけでは財政赤字を削減し、持続可能な歳入、歳出構造をつくるのに十分な財源は生み出せない」と指摘。経済成長率を高める取り組みや、高齢化で膨らみ続ける社会保障費の抑制が必要との見解を示した。

もともと社会保障費の抑制に関しては既定路線で、財務省にしてもじっくりとマスコミ対策等の根回しをしてきたところに政治主導で一気にまずは増税という流れになってしまい、増税とセットで我が身も切りましたという姿勢を示すもくろみであった省庁の側ではかえって困惑している、などという話も聞こえてきていたところです。
当然ながら金がない、もうどうしようもないというぎりぎりの局面に比べて、増税でとりあえず歳入増加が見込まれる状況になれば歳出削減への意気込みも薄れようと言うものですから、このまま増税はしましたが歳出は据え置き、むしろ増税の「御礼」にあちらこちらでバラマキを増やしましたなんてことになれば最悪のシナリオというものですよね。
もちろん国政のブレインを担当する各学識者達にしてもそんな未来絵図は望んでいないはずですが、ここにきて各方面から歳出削減に慎重な意見が相次いでいることに危機感を感じてもいるのでしょう、とうとうしびれを切らしたかのようにこんな話が出てきたということです。

70-74歳の窓口負担、2割に戻すべき- 財政審・分科会(2012年10月15日CBニュース)

 財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)の財政制度分科会(会長=吉川洋・東大大学院教授)は15日、来年度の予算編成に向け、医療・介護などの社会保障分野について議論した。焦点の一つとなっている、70-74歳の医療費の窓口負担に関しては、特例措置で1割に据え置かれている現状を見直し、法律上の2割負担に戻す必要があるとの認識でおおむね一致した。同分科会では、12月初旬までに報告書をまとめる方針。

 この日の分科会では、2月に閣議決定された社会保障・税一体改革大綱を踏まえ、医療分野の財政の効率化を図るため、70-74歳の患者負担のほか、被用者保険の高齢者支援金に対する総報酬割の拡大や、国民健康保険組合への国庫補助の見直しなどが論点として挙がった。

 後期高齢者医療制度の支援金をめぐっては、原則、各保険者の加入者数(75歳未満)に応じて割り当てられている。一方、中小企業の会社員らが加入する協会けんぽを支援するため、被用者保険については、支援金の3分の1に限り、各保険者の加入者の報酬による「総報酬割」が導入されているが、その特例措置は今年度で終了する。

 財務省側はこの日、特に大企業と中小企業の間の保険料負担に格差が生じていることから、総報酬割の対象とする支援金の割合を拡大することを提案したが、健保組合の負担割合が増えることから、慎重論も出た。【敦賀陽平】

介護保険の1割負担「見直し必要」- 財政審・分科会(2012年10月15日CBニュース)

 15日の財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)の財政制度分科会(会長=吉川洋・東大大学院教授)では、介護保険における介護保険料や利用者負担の見直しも、論点として提示された。1割で維持されてきた利用者負担を見直すべきとする案については、その必要性を認める声が挙がった

 財務省側は、医療保険の自己負担割合が、直近の10年間で1割から3割にまで段階的に引き上げられたのに対し、介護保険の自己負担割合は1割で維持され続けている点を指摘。世代内の公平な支え合いの観点から、負担割合の見直しを図るべきとしている。この論点提示に対し、分科会でも負担割合の見直しは必要とする意見が相次いだ

 また、財務省側は、第2号被保険者(40-64歳)の保険料について、世代内の公平な支え合いを実現するためにも、総報酬割の導入を図るべきと提案。さらに認定を受けても介護サービスを利用しない人が、要支援1では26.8万人、要支援2では19.7万人いることを示した上で、高齢者の自立を支援する観点から、軽度者に対する給付は見直しを図るべきとした。【多●正芳、●は木へんに朶】

問題の大前提として右肩上がりで国民所得が増えていた時代であれば公務員や年金暮らしの老人などは社会的弱者でいられたかも知れませんが、年々国民所得が減っていくばかりの時代にあって彼らが今や社会の勝ち組になっているという現実を直視しないわけにはいきません。
先日紹介しましたように三井厚労相の「2割引き上げ?それはちょっとゴニョゴニョ…」という特例廃止先送り発言が出た直後であるだけに、一番お金を持っている高齢者にばかり既得権益が集中してワープア化著しい現役世代のなけなしの稼ぎが搾り取られるばかりという構図はやはり本来あるべき姿ではないのだと釘を刺した形でしょうか。
今回はすでに決まっていることをぐずぐずと先送りにしてきた窓口負担減免の特権廃止ばかりでなく、これまた現役世代の負担によって格安の利益を享受しているとして介護保険領域でも応分の負担を求める意見も相次いだと言うことですが、大きな反対意見もなく賛同する声が相次いだということですから、それでもなお続けるというのであればこの種の審議会の存在意義が問われることにもなりかねません。
自己負担ゼロの生保受給者による過剰診療・不正診療の問題もこのところ大きく取り上げられるようになっていますが、本来あるべき自己負担すら減免するということは単に財政の健全化を阻害し社会的不公平を助長するのみならず、貴重な医療資源の無駄遣いにもなっているという観点からも論じられるべきだと思いますね。

ひと頃のように「病院待合が老人達のサロン化している」などとマスコミなどにも盛んに取り上げられるというほどではなくなったとは言え、現実的に「なにかちょっとでも変わったことがあればいつでもいらっしゃい」などと親切めいたことを言って常時待合室を近所のご老人達で埋めている先生方もまだまだいらっしゃるわけです。
最も重症で医療必要度の高い患者を扱う中核病院勤務医が外来処方日数を2ヶ月、3ヶ月と長くして少しでも患者の受診頻度を減らそうと努力していることに対して、こうした老人御用達の町医者などでは2週間処方などが相変わらず行われていたりもしますが、医学的管理の必要性から考えると本来これは逆であるべきはずですよね。
当然にこの問題についてはこれまた特定の権益を代弁する日医あたりが強硬な反対論を唱えていますが、それならそれで算定した再診料に見合うだけの医療効果があったということを示す義務は彼らの側にあるはずではないでしょうか?

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コメント

こいつはけっきょく何が言いたいんだ?

高齢者医療、応能負担の視点など踏まえ検討-三井厚労相
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/38329.html

投稿: | 2012年10月17日 (水) 08時39分

ちゅうか、直接の利害関係者が担当大臣に任命されている時点で終わっているかと。<三井辨雄厚生労働大臣・医療法人交雄会理事長
http://koyukai-g.jp/puraimu/front/2012_1.pdf

投稿: JSJ | 2012年10月17日 (水) 09時05分

法人理事はさすがに辞めるらしいですね。>三井大臣
流れとしては三井大臣の利害関係者としての先延ばし発言が修正された格好ですから、一応公式な立場としては2割負担が既定路線なのかなと見てますが。
でも総選挙となると票に直結するだけにどうなるか判りませんね。

投稿: ぽん太 | 2012年10月17日 (水) 10時39分

> 三井辨雄厚生労働相は16日の閣議後の記者会見で、来年度予算編成での高齢者医療制度における70-74歳の医療費の窓口負担の取り扱いについて、「世代間の公平性や、高齢者でも、それなりの負担をしていただきたいという話もある」と述べ、高齢者であることで区別することなく、所得などの支払能力に応じた負担を求める応能負担の視点などを踏まえて慎重に検討していく考えを示した。

これだけ見てるとごく当たり前の話に聞こえるんですが、先日のうっかり本音発言?がありましたから信用できないんですよねこの人も。

投稿: 管理人nobu | 2012年10月17日 (水) 12時34分

この大臣医師会との関係はどうなの?

投稿: いろは | 2012年10月17日 (水) 15時58分

>この大臣医師会との関係はどうなの?
さて? 以下推測です。
まず、医師ではないので医師会の会員ではないでしょうね。
医療法人の経営者としては、想像するに、日本医師会の執行部とは利害の一致することも多いのではないでしょうか。

投稿: JSJ | 2012年10月17日 (水) 18時38分

薬剤師出身で地方で医療法人を経営って時点で地元医師会と険悪ではやっていられないと思われ
もっとも地方の医師会と日医の関係もこのごろじゃ微妙なんで日医とも仲良しなのかは正直わからんですが

投稿: 元僻地勤務医 | 2012年10月17日 (水) 20時35分

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