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2012年10月18日 (木)

生活保護問題 じわじわと対策の機運高まる

最近は生活保護受給者が年々過去最多を更新し続けるという状況ですが、そうした現実と歩調を合わせるようにして生保不正受給問題が非常に大きく報じられるようになってきています。
長引く不況と雇用情勢の悪化、特に若年層におけるワープア化等が相まって、実質年収400万相当とも言われる生保受給者への優遇に対して社会的反感が高まってくることはやむを得ないところですが、受給者自身がそうなりつつあるように働かずして優遇される環境の存在が勤労意欲を削ぐという主張も根強くあります。
いずれにしても社会全体で広く、薄くでもより多くの人々に負担を分かち合ってもらわなければ低成長時代の国家運営が成り立たないわけですが、一方で当の受給者およびその支援者の側からも反論が出てくるのは当然で、それがまた生保優遇論争に火をつけるということにもなっているようです。

「使えるお金1日1000円しかない」 生活保護受給者の発言に異論(2012年10月14日J-CASTニュース)

   生活保護支給額引き下げに反対する会見で、受給者が「1日使えるお金は1000円」と不満をこぼしたところ、ネット上で異論が相次いでいる
   生活保護は、5年に1度、支給基準額が見直される。政府は、保護費の増大を抑えようと、引き下げの方向で検討を始めたようだ。

家賃が実費で出るほか、最低で月に8万円余が支給

   これに対し、生活保護問題対策全国会議(代表幹事・尾藤廣喜弁護士)は2012年10月10日、東京都内で受給者らとともに会見を開いて、引き下げ反対を訴えた。支給額が引き下げられれば、生活に大きな影響を与えるというのがその理由だ。
   会見では、受給者らも窮状を訴え、NHKニュースによると、受給者の60歳男性は、次のように明かした。
    「1日使えるお金は1000円なんですよ。食べるだけですよね。電化製品が壊れたとか、服が破れた場合は、替えるお金がない。人として見てもらえているのかどうか、これは疑問に感じます」
   これに対し、ネット上では、服代などもかかることに理解を示す声もあったが、男性の主張に疑問の声も相次いでいる。「俺より贅沢じゃねえか・・・」「食べれるのに何が問題なんだ」「1000円あれば3食食べて、中古の文庫本ぐらい買えるだろ」といった書き込みがあった。
   厚労省の保護課によると、東京都区部で60歳なら、住宅扶助として家賃が限度額まで実費で出るほか、生活扶助として最低で月に8万円余が支給される

「単身なら光熱費などは何万円も使わないと思います」

   男性が1日で使えるとした1000円は、1か月なら3万円になるため、都区部に住んでいるとすれば、5万円余が家賃以外の必要経費という計算になる。だとすると生活状況はそれほどひどいとも思えない
   厚労省保護課も、「単身なら光熱費などは何万円も使わないと思います」としており、なぜ食費などに3万円しか使えないのか疑問が多い。仮に3万円で食費を賄うとした場合については、「きついかどうかはお答えできませんが、可能だとは思います」と言っている。男性は地方に住んでおり、物価水準を考慮に入れる必要もあるようだ。
   生活保護問題対策全国会議の事務局をしている小久保哲郎弁護士は、食費などが1000円になることについて、十分な額ではないと説明する。
    「最低生活費ですので、そんなに余裕があるわけではありません。耐久消費財を買い替えられませんし、下着なども破れるまで着る話はよく聞きます」
   ネット上のバッシングについては、疑問を示す。
    「確かに、1日1000円以下で苦しい生活をしている人からみれば十分だと言いたくなるのだと思います。でも、生活保護基準が下がれば、最低賃金法の定めによって最低賃金が上がらず、地域によっては下がることもあり得ます。地方税の非課税基準や国保料等の減免基準等も軒並み下がります。生活保護を叩いてその基準が下がれば、自らの首を絞めることになるのです。むしろ最低賃金や年金の低さを叩くべきで、叩くべき相手を間違えていると思います」

基本的に住居費は実費支給で保険や年金も免除なのですから、いったい一日1000円という自由に使えるお金以外の保護費はどこに消えたのだろうか…と誰でも考えてしまうところなんですが、いずれにせよかつてであればアンタッチャブルであったこの種の話が表立って出てくるようになっただけでも時代の変化を感じざるを得ませんよね。
また仮に一部で報道されているように「朝から喫茶店でモーニングを食べ、パチンコへ行く」などという優雅な暮らしをしていらっしゃるわけではないにしても、一日1000円という生活費が多いのか少ないのかと言えば、とある調査では生活費が一日1000円以下の人が実に4割を占めていて、前述の記事に対して「そんな贅沢は出来ない」という声も出ているようです。
生保支給切り下げが最低賃金を云々というのも完全な詭弁というもので、この理屈が成り立つのであれば国民が等しく余裕ある暮らしをするためにはまず生保受給者には王侯貴族のような生活をしていただかなければならないという事になってしまいますから、やはり生きていくために必要不可欠な支援に限って過不足なく与えるというのが基本なんだと思います。

そうした観点からすると興味深いのが先日も紹介しました和歌山県上富田町のケースで、あまりに生保受給申請が増えすぎていることに対して審査が追いつかないこともあって受給希望者には当座緊急に必要な食料を現物支給する制度を設けたところ、受給申請をせずに引き返していく人々が激増したという実例があります。
国にしても自治体にしても財政上の観点から社会保障費削減は大きな課題となっていて、言ってみればそのためのネタとして不正受給問題が取り上げられやすいのは事実なんですが、こうして実際に実情が知られるにつれて「現状は何かがおかしい」「過剰保護はかえって制度の趣旨を歪めている」と考える人が増えてきているのではないでしょうか?
そんな中で先日出てきた外国人の生保受給問題に絡んだニュースがまた興味深いことだなと思うのですが、まずはこちらの記事から紹介してみましょう。

生活保護の外国人は枠外 年金保険料一律免除で年金機構(2012年10月16日47ニュース)

 日本年金機構が、生活保護を受給している在日外国人について、国民年金保険料が一律全額免除となる「法定免除」の適用外とする見解をまとめたことが16日、分かった。これまで各地で日本人と同様に法定免除としてきた運用を事実上変更し、所得によっては保険料の一部の支払いを求める。人権団体は「国籍による差別だ」と反発している。

 機構本部は、年金事務所からの照会に対し、(1)困窮する永住外国人らには日本国民に準じて生活保護を給付しているが、外国人は生活保護法の対象ではない(2)国民年金法上、法定免除となるのは生活保護法の対象者なので、外国人は該当しない―と回答。

何がどうおもしろいのかということについてはまず前提となる状況を理解しなければなりませんが、日本という国では外国人は生活のための資産や収入のある人しか受け入れないというタテマエになっていて、これを満たさず生活が出来ないような外国人の方々はお国にお帰りいただくというルールになっています。
つまり外国人が生活保護を受給するということは本来の制度的にはあり得ないことなのですが、長年の慣習として現に日本にいる外国人に関しては何となく応急的に支給を認めてきたという経緯があるのですね。
無論、長年日本に住み就労してきた外国人がたまたま失業して一時的に支給を受けるといったケースであればまだしもですが、実際にはそんな生やさしいものではないという現実がこれまた最近になってようやく報道されるようになってきています。

外国人受給 帰国せず際限なき膨脹 「厳しい入国管理行政を」(2012年10月1日産経ニュース)

 生活保護は生活困窮者に最低限度の生活を保障する“最後のセーフティーネット”。しかし、膨大な保護費は国家財政を圧迫しており、政府は働ける受給者に就労や自立を求めたり、不正受給への罰則を強化したりするなど、保護費抑制方針を打ち出している。そうした中で、増加を続ける外国人受給者。専門家は「税金が外国人の生活保護費に回り、際限なく増えている現状は問題だ」と指摘する。

ニューカマー急増

 本来、生活保護の対象は生活保護法で日本国民に限定されている。
 しかし昭和29年、当時の厚生省が外国人の生活困窮者に同法を準用すると通知して以降、永住や日本人配偶者など在留資格を持つ外国人にも人道的見地で支給されてきた。
 近年増加傾向が目立つのが、1980年代以降に来日した「ニューカマー」と呼ばれる外国人だ。平成22年7月現在、中国人の受給世帯は4018世帯(前年同期比664世帯増)、ブラジル人は1455世帯(同516世帯増)に上る。
 「単純労働目的で入国し、失業後に生活保護を受給する外国人が増えている。本国に帰りたいという人は少ない」。政令市の担当者はこう打ち明けた。
 フィリピン人の受給世帯は4234世帯(同835世帯増)。日本人配偶者と結婚後に受給するケースも少なくないという。

医療券「通行手形」

 横浜市郊外の住宅街。2階建てアパート12世帯のうち6世帯がフィリピン人世帯だ。市内の病院で医療事務を担当する60代の女性は、ここの複数のフィリピン人女性が保護受給者に発行される「医療券」を手に病院を訪れると証言する。
 医療券を病院に提出すれば医療費は無料になる。「彼女たちは性病検査や『肌がかゆい』など緊急性の低い症状でも受診に来る。ブランド品の財布を持っていたのは驚いた」と女性。現在、医療扶助は保護費の半分を占める。生活保護に詳しい熊本県立大の石橋敏郎教授(社会福祉法)は「医療券がどこでも使える通行手形になっている。窓口負担もない医療扶助は見直しが必要」と話す。

年金との逆転現象

 外国人、特に全体の3分の2を占める韓国・朝鮮人の中には国民年金未加入者が少なくない。老後は生活保護に頼ることが多く、年金未加入の外国人は今後の受給予備軍だ。
 問題はさらにある。「働いて保険料を納めた人の年金額が、生活保護受給額より少ない逆転現象が起きている」。石橋教授はこう指摘する。東京23区の場合、68歳の人の生活保護は、住宅扶助を含め月13万4520円。だが、保険料を40年間納めた人が受け取る老齢基礎年金は月6万5541円。保護費が国民年金を2倍以上も上回る計算だ。
 2年前には中国・福建省出身の日本人の親族とされる中国人48人が入国直後、大阪市に保護申請した問題もあった。石橋教授は「来日後まもなく生活が苦しいからと保護を受けることに厳しい意見もある。入国管理行政をきっちりする必要がある」と話している。

医療の側の問題については日本人に限った話ではありませんが、無料であるのをよいことに医療資源を過度に浪費するのみならず、複数医療機関を受診して得た薬剤を売りさばくといった行為も問題化していることを付け加えておくべきでしょう。
そうでなくとも当然ながら本国の平均賃金よりもはるかに高い保護費が簡単に手に入るということになれば誰も働く気にはならないでしょうが、問題なのは近年日本ではこうしたことが行われているという情報がノウハウとともに口コミで広まり、まさに生保受給を目的として入国してくる外国人も増えているらしいということです。
中には最初から「身元引受人=市役所、収入の手段=生活保護」で入国してくる剛の者もいると言いますから驚きますが、この方面で有名な大阪の例にも見られるように入管と役所とが互いに譲り合って?いい加減な審査をしてきたという背景事情があるわけですね。
当然ながらいい加減にしろという市民の声が役所にも届いているところですが、今回思いがけないところからそうした外国人生保受給問題の是正策が飛び出してきたということが非常に注目されます。

無論是正は外国人に留まらず日本人にも求められているのは当然で、就労努力をした受給者には保護費を加算しようだとかアメリカのように現物給付にしようなど厚労省からも改革案が出てきていますけれども、例によって「現物支給?いちいち決められた時間に決められた場所まで受け取りに行くのか!」などと反発も出ているようです。
しかし考えて見れば世間の人達は毎日決められた場所に何時間も仕事をしに行き拘束されている訳ですから、生保受給者だけが毎日好きにゴロゴロしてパチンコ三昧というのもおかしな話で、まずは世間並みの生活リズムを取り戻すということもまた一つの就労トレーニングであると理解すべきではないでしょうか。
もちろん単に厳しくするばかりではなく、長年のしがらみで妙なことになっている部分はきちんと見直していくことによって、結果として本当に保護を必要としている人に手厚い保護が出来るようになれば社会にとっても生保受給者自身にとっても望ましいことではないかと思いますね。

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コメント

間接税中心の税体系にすれば日本人外国人と区別しなくていいはずだよね
まじめな人間だけ搾り取られる所得税偏重税制を改めるべき

投稿: 茂 | 2012年10月18日 (木) 08時40分

年金機構の話、どういうきっかけでこの照会と回答が出てきたんでしょう?
独立した法人になってから業務の見直しが進んできてるってことでしょうか?

投稿: ぽん太 | 2012年10月18日 (木) 10時32分

病気になったら日本に渡航し生保取ってタダで最高の医療を受けられる
しかも治療中は保護費手付かずで貯め放題だから資産形成もできる
伝説の黄金の国ジパングは確かに実在したようだw

投稿: たまねぎの皮 | 2012年10月18日 (木) 22時15分

直間比率については社会保障上の要請からも見直しが進むでしょうね。
ただ欧米では富裕層課税が浮上してきているのも確かです(自主的な申し出もあるようですが)。
日本でももっと寄付などの形ででも富裕層のお金を使える体制を整えるべきだと感じます。

投稿: 管理人nobu | 2012年10月19日 (金) 08時45分

>日本でももっと寄付などの形ででも富裕層のお金を使える体制を整えるべきだと感じます。

NPO団体とかはなんか胡散臭いんでw<偏見 納税先を指定出来るようにしてほしいなーよーしパパ全額防衛省に注込んじゃうぞw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年10月19日 (金) 09時52分

使途限定で納税できるようになったらうれしいな
あと余計に税金納めたら特典があったりね

投稿: 元僻地勤務医 | 2012年10月19日 (金) 10時06分

>よーしパパ全額防衛省に注込んじゃうぞw

愛国飛行機献納運動ですねわかります

投稿: ikeda | 2012年10月19日 (金) 10時34分

>あと余計に税金納めたら特典があったりね

総火演とか観艦式に優先招待とかw
*まあ総火演は2年連続で行ってるんですがw<自慢

>愛国飛行機献納運動ですねわかります

わかってくれて嬉しいでつw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年10月19日 (金) 16時42分

生活保護に対する偏見が無くなるとは思えませんが、生活保護の水準が高いのか低いのか?
公務員なり政治家なり何か月か体験してみたらどうでしょう。その人たちの給料も税金ですから。
その金額で生活出来るのか、就職活動できるのか、やる気が出るのか、病気が治るのか、精神的にどうなのか。
何も経験していない人が、数字だけ出しても誰も納得しませんよ。

投稿: | 2012年11月21日 (水) 01時07分

ナマポにだけはなりたくないって誰もが思うような水準にならないとね!

投稿: akio | 2012年11月21日 (水) 08時32分

>その金額で生活出来るのか、就職活動できるのか、やる気が出るのか、病気が治るのか、精神的にどうなのか。

煽り乙

>生活保護に対する偏見が無くなるとは思えませんが

アナタは受給者に対して偏見を持っているのですね、よく分かりました。

投稿: 福京 | 2012年11月21日 (水) 10時47分

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