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2012年10月30日 (火)

維新公約は「医師の業務独占規制の原則撤廃」?!

幾ら先延ばしが続いているとは言ってもいずれやってくるのが総選挙というものですが、そんな中で今度の総選挙の台風の目とも目されている維新の会の国会議員団から、こんな公約素案が発表され話題を呼んでいます。

法人税率20%に引き下げ 維新国会議員団の公約素案(2012年10月26日日本経済新聞)

 日本維新の会の国会議員団が次期衆院選に向けて作成した公約素案の内容が26日分かった。経済分野では法人実効税率を現在の約35%から20%に引き下げるほか、日銀が100兆円規模の経済復興基金を設けることなどが柱。石原慎太郎氏が設立する新党との連携も視野に、外国軍の駐留撤廃など保守色の強い政策も盛り込んだ。

 維新代表の橋下徹大阪市長は26日、公約素案について「国会議員団側のたたき台ですりあわせもしていない。表現に稚拙な部分もあり、これから激論する」と述べ、今後、内容を修正する可能性を示唆した。

 維新は党綱領「維新八策」の基本理念に「個人、地域、国家の自立」を掲げるが、素案は「日本の歴史と伝統を尊重する」を追加、保守色を鮮明にした。外国軍の駐留撤廃は終戦から100年目の「2045年を目標にする」とした。

 医療費自己負担では現在75歳以上が1割、70~74歳が法定の2割の負担割合を「20歳以上は一律3割にする」と明記。首相公選制での首相任期を4年とし、閣僚の過半数を国会議員と定めた憲法の規定の撤廃も盛った。各省庁の幹部は「年俸制の政治任用」とし、キャリア官僚には「40歳定年制」を設けるという。

 農協への独占禁止法適用除外の廃止や、弁護士や医師の業務独占規制の原則撤廃など各分野で新規参入を促進。パチンコの換金を違法化し公営企業に転換させるなど、議論を呼びそうな項目も盛った。

日本維新公約判明!「キャリア官僚は40歳定年」「外国軍の国内駐留全廃」…(2012年10月26日産経ニュース)

 日本維新の会が次期衆院選で掲げる公約の原案が26日、明らかになった。原案の要旨は以下の通り。 

 【基本理念】
 「自立」個人、地域、国家の自立。「自由」あらゆる既得権益を打破。「保守」皇室を尊び、日本の歴史と伝統を尊重する。

 【憲法改正による統治機構改革】
 任期4年の首相公選制。道州制によるガバナンス改革を行い、道州に課税権を移譲する。政権公約など重要項目以外は政党の党議拘束を外す。

 【行財政改革】
 衆院定数を240人に削減、歳費などの経費も3割削減。キャリア官僚の40歳定年制。各省庁の課長級以上の幹部も年俸制の政治任用。

 【外交・防衛】
 日本固有領土の竹島、尖閣諸島、北方4島については、妥協しない。国連安全保障理事会の常任理事国入り。集団的自衛権の憲法解釈を変更し、法整備を行う。2045年を目標に外国軍の国内駐留を全廃。日本全体で沖縄負担の軽減を図るロードマップを作成する。

 【経済・雇用・税制】
 日銀に100兆円規模の「経済復興基金」設置。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に参加、自由貿易協定(FTA)拡大。法人税率を半減。負の所得税・ベーシックインカム(国民への最低生活保障)的な考え方を導入。

 【社会保障制度改革】
 年金は積み立て方式に移行。高齢者向けの社会保障関係費の圧縮。歳入庁を設置。

 【農業】
 農業版整理回収機構の設置。戸別所得補償制度は専業農家に限定。

 【エネルギー】
 既設の原子炉を持つ原発は2030年代までに全廃。安全性の高い「世界最高水準の原発」は輸出。

 【教育改革】
 日本の歴史と伝統に誇りを持てる歴史教育を行う。教育委員会制度の廃止。

細かい部分についても様々に突っ込みどころがあるかとは思いますが、とりあえず医療方面で目につくところとして「高齢者向けの社会保障関係費の圧縮」などと並んでさりげなく書かれている「弁護士や医師の業務独占規制の原則撤廃など各分野で新規参入を促進」という一文が非常に気になりますよね。
日経の記事が今ひとつ詳細なものでないので、この一文がかねて言われているような医業への営利企業の参入など経営的な面での解放を目指しているのか(そうだとすればTPP参加方針とも合致するとも言えそうですが)、それともこれら資格職を資格職たらしめている国家試験の撤廃までも主張したいのか、これだけでは何とも判断しかねるところがあります。
このうち前者の医療の営利化に関しては例によって一部方面に熱心な抵抗勢力があって、特にTPP交渉に絡んで米国側からこの方面での自由化要求があったのと騒がれたことから(もっともその後の報道では米側も要求はしてこないという話もあったようですが)賑やかになっていましたが、基本的に医療は現状においても営利を追求していることは公立病院ですら経費節約、黒字化とうるさいことからも明らかです。
抵抗勢力の方々は何かにつけて医療の営利化のデメリットばかり強調したがりますが、昨今医療に寄せられる患者側の不満やクレームもその大部分は通常の営利企業であれば真っ先に改善されるようなものばかりであることを考えれば、一律全面の禁止が果たして患者の為になっているのかどうかという議論はどのみち必要でしょうね。

一方で業務独占規定の撤廃ということになれば資格専門職を資格専門職たらしめている国家資格をどうするのかという議論にならざるを得ませんが、ものすごく深読みすれば新司法試験によって弁護士は急増し今やワープア化したと言われる現状があり、一方で医療の世界においても某大先生などを筆頭にメディカルスクールを創設して医師をとにかく増やせと主張する方々がいらっしゃるわけです。
もちろん大病院の管理職などを務める偉いセンセイ方から見れば医師など一山幾らで安くて幾らでも雇える状況の方がいいに決まっている、そして昨今ではさらにナースプラクティショナー(NP)などに補助医師的業務をさせようと言う話も進んでいますから、いずれにしても数少ない医師達が医業を独占するという時代は終わりつつあるとも言えそうですよね。
橋下氏と言えば弁護士会とはかねて折り合いが悪いらしいという話もあって、その面からもこうした一部方面の既得権益には敏感なのかも知れませんが、まずはどの辺りまでのことを考えているのか続報を待ちたいと思います。

ところでおもしろいのが維新のトップかつ唯一の大看板で、マスコミの報道によれば「独裁者」とまで呼ばれている肝心の橋下代表がこの公約案を評して「全然違う、拙い」と言い、「アピールは良いが、国会議員団の一つの考え」「これから役員会で激論になる」などとまるで我が意に反しているかのように批判していることです。
かねてのマスコミによる独裁者報道が真実だったのであれば、トップの承認も得ないまま国会議員団が好き放題なことを公約に掲げるというのも非常に奇異な感じがしますが、このあたりの整合性についてはいずれ橋下氏およびマスコミ各社からなにがしかの説明なり釈明を期待出来るのでしょうかね?

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コメント

国民全員自己責任で治療していただくには全員が処方権を持つのが最良だなw

投稿: aaa | 2012年10月30日 (火) 09時36分

記事を読むと企業による病院経営の解禁といったことなんじゃないかと>業務独占規制の撤廃。
キャリア官僚の40歳定年なんてことを言い出す連中の底が見えた気がしますが。

投稿: ぽん太 | 2012年10月30日 (火) 10時42分

橋下代表の考え方がどれだけ取り入れられているのかが疑問ですね。
なんとなく世間で言われているような改革案を列記したものという印象も拭えず新味がありません。

投稿: 管理人nobu | 2012年10月30日 (火) 11時07分

毎度過激なことぶち上げて適当に折れてくのが橋下の手法なんだろうけど、毎回コロコロ変わったんじゃだしにされた国会議員や周りの人間はたまらんわな。

投稿: 吉田 | 2012年10月30日 (火) 12時15分

これ官僚は40歳で辞めさせるって、要するに40歳になったら民間に天下りさせろって言ってんだよね。

> 行財政改革では、国家公務員1種試験に合格したキャリア官僚の四十歳定年制を導入。課長級以上はすべて政治任用とし、定年になったキャリア官僚は政治任用か民間企業に再就職する。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012102702000126.html

こんなことしたら使えない官僚ほど定年までに稼ごうとして袖の下要求したり天下り先と癒着したりで大変なことになるけど?

投稿: 武田 | 2012年10月30日 (火) 14時56分

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