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2012年10月27日 (土)

てんかん規制強化がほぼ決定!?

このところまたしても様々な話題が相次いでいるのが沖縄の米軍基地問題ですが、先日地元地方紙にこんな記事が出ていました。

2米兵暴行:県議団、日米政府に抗議/沖縄(2012年10月25日沖縄タイムス)

 【東京】県議会の各会派代表でつくる要請団(新垣清涼団長)は24日、2米兵による暴行事件を受け全会一致で可決した抗議決議・意見書をルーク米政務担当公使、斎藤勁官房副長官ら日米両政府に提出した。被害者側への謝罪と完全補償、米軍の綱紀粛正などに加え、県議会として初めて盛り込んだ米軍基地の返還促進を求めた。一方で、日米ともに再発防止策や地位協定改定に具体的な回答は示さなかった

 新垣氏によると、在日米大使館で対応したルーク氏は事件に謝罪。一方で、県議側が恒久的な外出禁止令を求めたことに対し「地域経済に影響するので、最善策ではない」と否定的な考えを示し、県議は「(経済問題は)米側が考えるべきものではない」と反論した。地位協定改定についても運用改善で対応する従来方針を堅持した。

 首相官邸で面談した斎藤氏は米側が深夜の外出禁止令を発令した経緯などを説明し「(事件を)内閣としても非常に重く受け止めている」と述べるにとどめた。吉良州司外務副大臣も「沖縄の思いを米軍に強く申し入れ、再発防止策が確実に履行されるよう対応したい」とした。

 防衛省では長島昭久副大臣が森本敏防衛相が今回の事件を「事故」と発言したことについて「事件を深刻に受け止めていないわけではない。防衛省として猛省しないといけない」と釈明した。

 要請後、新垣氏は記者団に対し「基地を提供するため米兵が犯罪を起こす。日本政府も共犯者だ、訴えても(日本政府に)届いていない。残念だ」と述べ、最低でも地位協定改定を実現しなければ、県内で基地の全面撤去運動に発展する可能性を指摘した。

 県議団は同日、民主党本部にも意見書を提出した。

しかし基地問題も地元にとっては重大な事案であることは重々理解できるとして、沖縄ではかねて「ヤマトンチュー」などという言葉を使ってその他の日本人を差別的に扱う傾向があるなと失礼ながら感じていたのですが、どうもこういう記事を見ますと少なくとも地元メディアの感覚では沖縄は日本ではないということになっているのでしょうかね。
もちろん様々な噂のある沖縄地元メディアの意向=沖縄県民の意向ではないんだろうとは思いますが、連日のように尖閣諸島領海を外国船が侵犯し、さらには沖縄そのものの帰属まで云々されようという時期に、日米安保の根幹まで問いかねないような勢いで問題を炎上させようという姿勢もどうなのかです。
例えば警察官の不祥事などは昨今珍しくありませんが、不祥事が相次ぐからと言って警察など全廃してしまえ!などと主張する人間などまともに相手にはされないはずですけれども、どうもイデオロギーが絡む問題になってくるとそれが通じてしまうと考える人がいるということでしょうか。

無論のこと、米軍問題は駐留先の地元との折り合いが欠かせないのは言うまでもなく、先日の強姦事件のような不祥事は繰り返さぬよう綱紀粛正に努めるといったことは当然ですけれども、世評芳しからぬ米軍兵士よりも沖縄県人の方がはるかに数多くの事件を起こしているじゃないかという声もある中で米軍だけが諸悪の根源だ、さっさと出て行けというのは失礼ながら、何ともバランスを欠いた話だという気がします。
ただそうは言っても理屈だけで収まらないのが人間の感情というものであるのも確かなのですが、最近その感情の行方がやはり大きな流れになりつつあるのかなと感じるのがご存知のてんかん患者による事故問題で、先日お伝えしました新たな規制案についてこういう続報が出ています。

「医師から情報」導入言及 警察庁有識者会議 運転免許の持病虚偽申告(2012年10月25日日本経済新聞)

 てんかんなど運転に支障を及ぼす恐れのある発作を伴う病気患者の運転免許制度が変わる見通しとなった。警察庁の有識者会議は25日、持病に関する故意の虚偽申告で免許を取得・更新した場合の罰則新設を提言。さらに自己申告以外に、運転に支障のある患者を把握するため、医師が任意で警察側に情報提供する制度の導入にも言及した。

 今後は交通安全を重視しつつ、患者や医師の立場も踏まえた情報提供の基準作りが焦点になる。

 有識者会議は、外見や免許試験による判断は困難としたうえで、医師が必要に応じ警察側に通報する制度の導入を提言した。栃木県鹿沼市のクレーン車事故の遺族らが求めていた通報義務化は見送られた。

 同会議は「医師は人の疾病に関する事実を行政機関等が的確に認知するための情報提供者として最も信頼に足る」と指摘。一方で刑法上、守秘義務が課されていることから、通報制度を法律で定める必要性を強調した。

 さらに通報制度が導入された場合、医師と患者の信頼関係に与える影響にも考慮。信頼関係と通報制度の実効性を担保するため、医師団体なども交え、通報に関するガイドラインを設けることを求めた。

 同会議は、虚偽申告に対する罰則や医師からの通報制度の導入と同時に、適正に申告した人への負担軽減も求めた。適正に申告したことで免許を失った患者が、投薬治療などで症状の回復後に免許を再取得する際の試験免除などを提言した。

 物損事故を繰り返した後の人身事故で初めて、病気が発覚することもあるため、全国的に物損事故のデータベースを整備し、一定の病気の疑いがあるケースを把握しやすくする案も示された。

てんかんの無申告、医師の任意届け出提言- 運転免許制度で警察庁検討会(2012年10月25日CBニュース)

 てんかんや統合失調症など、道路交通法で運転免許の拒否や取り消しの事由となる「一定の症状」に関し、申告方法などを話し合っていた警察庁の有識者検討会(座長=藤原靜雄・中央大法科大学院教授)が25日、提言を小平忠正国家公安委員長に答申した。受診者に「一定の症状」があり、交通事故を起こす危険性が高いにもかかわらず自動車運転をしている場合に、医師が任意で受診者の情報を都道府県公安委員会に届け出られる仕組みの必要性を盛り込んだ。警察庁によると、次回の通常国会での道路交通法改正案提出を目指すという。

 「一定の症状」は、てんかん、統合失調症のほか、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の睡眠障害、認知症、アルコールや麻薬の中毒など。現状では、運転免許取得の際に症状を申告し、臨時適性検査を受けるなどする。検討会では、医師から運転の禁止・自粛の指示がありながら運転を続け、事故を起こす人がいる状況を把握しつつ、無申告者を減らす方策を議論していた。

 現在、医師は刑法で守秘義務が課されていることもあり、公安当局への情報提供はなされていない。提言では、「届け出を法律上に位置付けることで、守秘義務や個人情報保護法に反することとならないよう法律関係を整理」すると明記した。また、運用については、届け出の基準に関して医師団体などによるガイドラインの策定を明記した。

 検討会は、昨年4月に栃木県鹿沼市で起きた、てんかん患者による6児童死亡の交通事故を受けて設置された。この事故の遺族会は、てんかんの疑いのある受診者や患者のすべてに関し、医師による通報の義務化を求めていた。検討会では、医師と患者の信頼関係や、患者が治療から遠ざかることによる潜在化を懸念し、任意の届け出とした。

 このほか、運転免許の取得や更新で、虚偽の申告をした患者に対する罰則の整備や、免許の再取得の簡便化なども盛り込んだ。【大島迪子】

警察庁有識者会議 てんかん等有病者の無申告での運転免許取得に新たな罰則(2012年10月26日ミクスオンライン)

警察庁の「一定の病気等に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会」(座長:藤原靜雄・中央大学法科大学院教授)は10月25日、運転免許取得にあたって事前申告が必要なてんかんや統合失調症などの有病者が無申告で免許を取得した際に新たに罰則を適用することなどを求めた提言を小平忠正国家公安委員長に提出した。これを受けて現行の道路交通法改正が行われるが、警察庁は今回の提言に沿った形での法改正を行うとみられ、罰則導入に反対の考えを示していた患者団体や関連学会などの対応も注目されるところだ。(ジャーナリスト 村上和巳)

今回の検討会は、2011年4月、栃木県鹿沼市内の国道上でクレーン車の運転者がてんかん発作で意識を消失し、登校中の児童の列に突入して、小学生6名が死亡する事件の遺族会からの要望がベースとなっている。

鹿沼の事件では、運転者がてんかんの罹患を無申告のまま運転免許証の更新を行っていたことが明らかになっており、今年4月、事件の遺族で構成される「鹿沼児童6人クレーン車死亡事故遺族の会」から、確実に不正取得ができない運転免許交付制度の構築の要望書と、これに賛同する約20万人の署名が提出された。

検討会の議論の焦点になったのは、現行制度で運転適性に影響及ぼすと規定されている疾患の患者がそのことを無申告で運転免許取得・更新を行った場合の罰則規定とこうした患者を担当する医師による通報の義務付けの是非。

罰則の整備については、一部委員から無申告などが明らかになるのは多くが事故発生後であり、罰則が実効性の疑問との意見も出されたが、今回の検討会設置がそもそも現行制度の不十分さや鹿沼事件を受けた遺族の要望に基礎としているとの意見が大勢を占め、罰則規定によっても一定の抑止効果が期待できるとの理由から、その必要性は認められるとの結論に達した

一方、「遺族の会」が強く求めていた医師による通告制度」については、医師と患者関係が阻害され、運転適性のない者ほど治療から離れることや医師による過剰あるいは過小な通告が行われる可能性が指摘された。さらに現行の道路交通法には、運転適正に支障をきたす疾患に関わる情報の取扱いや公安委員会への情報提供に関する規定がなく、刑法第134条の医師の守秘義務との適用関係が明らかでないため、事実上の通告義務化を見送った。

しかし、交通事故を起こす危険性が高いにもかかわらず、運転を続けている場合などに医師自身の判断により該当患者情報を都道府県公安委員会に届け出ることができる仕組みの整備とその支援の必要性を強調。該当する疾患の診断には専門性が必要なことや明確な基準がないままでは過剰な通告が起こる懸念もあることから、こうした任意通告に関して関係学会によるガイドライン策定を提言では促している。

また、これまで運転免許取得・更新の是非に関わる該当疾患を適正に申告している患者が運転適性を失った場合は6か月の免許保留、または停止が行われ、この期間内に適性が回復すれば免許の効力は回復されることになっている。

ただ、今回の検討会の対象となっているてんかん患者などでは、発作再発後に免許継続の可否を判定する回復状況の見極め期間に1年以上を要することもあり、この場合、運転適性が回復したとしても免許取り消しになり、患者の適正な申告の妨げになっていたとも指摘されていた。

この点について検討会では、現行制度上でやむを得ない理由のため失効後6月以内に運転免許試験を受けることができなかった運転者が免許の再取得を行う場合、失効日から3年以内ならば学科・技能試験を免除していることを準用。一定の講習を受けることなどを条件に取り消し後3年以内の再取得ならば、学科・技能試験を免除するなどの負担軽減を図るべきとの意見を取りまとめた。

提言ではこの他にも、運転適性の是非に該当する疾患の疑いが客観的事実で認められる場合には、対象者の運転免許の効力を暫定的に停止するべきとしたほか、鹿沼事件の加害運転手が過去に複数回の物損事故を引き起こしていたことを鑑みて物損事故を含む事故情報のデータべース化の必要性も訴えている。

日経の記事を読んでいましたらてんかん患者が狙い撃ちになっているようにも見える話で、実際に地元紙などでは遺族から「納得出来る内容ではない」という声が挙がっているようですけれども、よくよく見て見ますとこれは「米兵が狼藉を働いていたら日米安保が揺らいだ」とまでは言わないまでも、相当な大ニュースに他ならないのかという気もします。
医師が情報提供を行う対象として「てんかん、統合失調症のほか、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の睡眠障害、認知症、アルコールや麻薬の中毒など」という形で関連各疾患を網羅的に取り上げたのは、もちろん特定疾患だけを差別すべきでないという点では当然と言えば当然なのですけれども、これだけ揃うと日常診療にも大いに影響を与えそうです。
しかも通報も全例の義務付けではなくこれまた任意によるということで、これら疾患の患者数の膨大さに伴う判断の難しさと影響の大きさもさることながら、何かあれば担当医の判断が厳しく問われることになりかねないということでしょうか。
実際に行われる適性検査というものがどの程度のものになるのかは判りませんが、このままの形で厳密に運用していくとなると各地の免許更新の窓口も修羅場になるということも考えられるでしょうか。

もともとこの一連の騒動においては、各種報道にも取り上げられたような一部てんかん患者の無自覚とも思われる行動が悲惨な事故の主要原因になっていた、さらにはその後も類似の事故が相次いで報道された結果「これは緊急に対策を講じなければ!」と世論に火がついてしまったために関係各所も動かざるを得なくなったという経緯があります。
いわば「不祥事で厳重自粛中に再び類似の事件を起こした」という不信感が規制を招いた形ですが、ひとたびこうなってしまうと何気ない原因で生じたアレルギー反応に思わぬ強力な対応が必要となるのと同じことで、本来適正と思われる水準を超えた厳しい対応をしないことには世間も納得しなくなってきますよね。
実際にはあまりに厳重対応をしてしまうと世の中が大変なことになりかねませんから、専門家である担当医などが空気を読んで妥当な水準でやっていくしかないのでしょうけれども、そうなると今度はまた全国各地で基準が違うのは困るという声も挙がってきそうですし、患者からクレームが山積するだろう医療現場からは「いっそ全例報告で警察が判断してくれよ」という声も出てきそうですよね。
何より問われるのはこの結果本当に社会がよくなるのかどうかですけれども、飲酒運転厳罰化にしても結局のところその辺りの統計的データ集積と評価がきちんと行われているようにも見えないだけに、今度こそきちんとしたフィードバックが行われなければまたぞろ対策はしましたというアリバイと偏見の助長だけで終わりかねず、規制のデメリットに対してバランスを欠いた結果になってしまうでしょう。

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コメント

当院患者にも低血糖でふらふらになって発見された患者がいます。
適性検査で判断してもらう前提で通報すべきなのかどうか迷います。

投稿: iwamoto | 2012年10月27日 (土) 08時33分

病気の申告に関しては、アメとムチのバランスは大事だと思います。
依存症でない限り自分の意思でやめられる飲酒・酒気帯びとは違うので、同じようにいくかどうかは分かりませんが、「それはダメなんだ」という世論の盛り上がりは一定の抑止力になるのではないかと考えています。
現行のままでよいとは、私は思いません。

医師の通報に関しては、信頼関係など とうに失われている不真面目な患者がいるのは確かですが、そういう患者はやはり「一部の不心得者」と言っていい数だと思っています。
任意となると実際の運用は、通報しなかった医師を曝すマスコミとか、通報しなかった医師に賠償請求する被害者とか、声の大きな人の意向の影響を受けるのは避けられないだろうと思います。
私自身は、今の職場にいる限り 対象となるような患者を診ることはないと思うので、対岸の火事なのですが。

投稿: JSJ | 2012年10月27日 (土) 10時10分

神経系疾患があまり来ないうちの場合、不真面目な患者と言えば生活習慣病のおっちゃん達が代表ですか
毎年健診で指摘されてるのに診断書もらったら放置してる連中ならまとめて通報してもバチ当たらないかも(^-^;

投稿: 元僻地勤務医 | 2012年10月27日 (土) 10時16分

単にレセプトチェックして、抗てんかん薬が処方されている患者の情報をデータベースに自動的に送るシステムにすればいいのでは?
医師が介在しなければ、守秘義務もクリア出来るのでは?

投稿: 浪速の勤務医 | 2012年10月27日 (土) 12時52分

免許センターの職員が悲鳴を上げると思います。>全例転送
しかしどっちみち誰か嘱託医がいるはずですよねこれは?
全国のセンターや警察支所にまでちゃんと確保出来るんでしょうかね?

投稿: ぽん太 | 2012年10月27日 (土) 14時09分

>抗てんかん薬が処方されている患者の情報
三叉神経痛、気分障害、しゃっくりや入眠時ミオクローヌスetc. 処方薬だけでは偽陽性多すぎかと。
保険病名があてにならないのは、これまた周知のことだし。

投稿: JSJ | 2012年10月27日 (土) 15時11分

態度の悪い患者はどんどんチクって寄りつかなくなってくれたらうれしいんじゃないの
たいていの患者は危険性がゼロとはいえないんだからさじ加減ひとつだよね

投稿: アミーゴ | 2012年10月27日 (土) 19時50分

結局実際の運用がどうなるかだと思います。
でも現場は大変だと思いますよ。

投稿: 管理人nobu | 2012年10月29日 (月) 11時04分

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