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2012年10月

2012年10月31日 (水)

「被害妄想」では済まない日医の凋落

医療業界における抵抗勢力の代表格として日本医師会(日医)が槍玉に挙げられるようになったのは昨日今日のことではありませんが、先日は未だ議論の続いているTPP交渉参加に強固な反対を続けている日医に対して、政界筋からとうとうこんな声が飛び出してきました。

民主・仙谷氏「日医は被害妄想」(2012年10月25日CBニュース)

 民主党の仙谷由人副代表は25日、医療経済フォーラム・ジャパン主催の公開シンポジウムで基調講演し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への交渉参加に強く反対している日本医師会を、「米国型の医療保険や医療が持ち込まれるのではないかという、被害妄想にとらわれている」と批判した。その上で、「米大統領選では、非常に矛盾した医療保険の仕組みをどう変えるかが最大の争点と言っていいぐらいだ」「米国の医療保険システムを、今の段階で取り入れるなどというばかなことが、あり得るはずがない」などと訴えた。

 仙谷氏はまた、2009年の政権交代以降、2回の診療報酬改定で医療費が連続して引き上げられた結果、黒字病院の割合が増えていると成果を強調した。一方で、「特に市町村国保を中心として、財政的基盤が極度に劣る部門ができている」と懸念を表明。現在の国民皆保険制度を維持するためには、今後の状況を見極めた上で、消費増税に伴う新たな財源を投入するかどうかを判断する必要があるとの認識を示した。

■自民・鴨下氏「社会保障にカフェテリアプランを」
 シンポジウムでは仙谷氏のほか、鴨下一郎・自民党幹事長代理(元厚生労働副大臣)らが基調講演した。

 鴨下氏は、国民皆保険制度を維持する必要性を強調する一方、患者側が医療機関を自由に選択できる「フリーアクセス制」については、「野放図に維持するのは難しい」と指摘。診療所による「かかりつけ医機能」を強化したり、病院と診療所の役割分担をより明確にしたりして対応すべきだとの考えを示した。
 また、高齢者が十分な介護を受けるため、年金のサービスを介護に振り分けるなど、利用者側が必要に応じて社会保障サービスの組み合わせを選択する「カフェテリアプラン」の導入も提言した。

■公明・坂口氏「大学医学部の偏在解消策を」
 続いて基調講演した公明党の坂口力副代表(元厚労相)は、大学医学部が西日本に偏在する現状の解消策を検討すべきだと訴えた。
 東海・北陸から東側にある医学部の数は人口173万人に対して1校で、142万人に対し1校ある関西以西に比べて少ない。

 人口10万人当たり医師数が少ない埼玉や千葉には医学部も少なく、坂口氏は「各都道府県の医学部の数と医師の数に相関関係がある」と指摘。その上で、「医学が進歩しても、東北地方では受けられなくなる人が存在する」と強調し、東京周辺でも、高齢化が進めば十分な医療を受けられなくなりかねないとした。【兼松昭夫】

まあ日医の場合は被害妄想というか、高齢者の方々によくある症状という気がしないでもないですが…
このTPPに関しては米国側からは医療分野には口を出さないと言質を取ったかのような報道がある一方で、いや実は医療保険制度が取り上げられるのは既定路線であり政府もそれを知っていたのだという話もあって、いったい何が正しいのやら正直理解しがたい部分もなしとしませんから、仙谷氏の言うことを完全に信用するわけにもいかないのは言うまでもありません。
ただいずれにしてもTPPに強烈に反対しているのが農業と医療という日本における規制産業の双璧とも言える2業界であることは象徴的で、つまりはこれらは国の規制でがんじがらめになってきた国内市場に完全に適合した結果として世界標準のやり方にはついていけないのだと言うことでもあるのでしょうね。
もちろん国民が公的に資金を負担してこうした産業を保護していくというのも一つの考え方ですが、現実的に医療の世界でも内外から諸問題が山積していると長年指摘されているのに、それを改善する努力を放棄したまま現状の固守だけを主張する姿勢は世間の許容するところなのかどうかです。

例えばこれまた日医が長年強固にその固守を主張しているフリーアクセス制なども取り上げられていますが、すでに医療現場のマンパワーからみても「いつでもどこでも好きなときに好きな病院へ」というやり方は現実的ではないと言う声が挙がっている、そして実際に選定療養の導入などによってこれに制限をかけていくという方向が現場からも支持され実施されてきているわけです。
日医が断固反対と息巻くTPP交渉参加には過半数の現場医師が賛成していて、特に勤務医において支持派が多いという調査結果がありますが、会員間でも意見が割れているだろう大きなテーマを議論を行って妥協点を探ることすら認めないというのは成熟した民主主義的な態度とは到底言えないものだと感じますね。
それはともかく、日医としてもこの仙谷発言にはそれなりに思うところがあったということなのでしょうか、直後に徹底抗戦の意志表示を行ってきているようです。

日医「TPP反対は被害妄想」発言に行動- 国民世論への訴えかけ続ける(2012年10月29日CBニュース)

 民主党の仙谷由人副代表が、政府の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加に対し反対している日本医師会(日医)を、「被害妄想にとらわれている」などと発言したことをめぐり日医は、改めて国民世論に向けてTPP反対の考えを訴えていく方針を示した。日医が28日、東京都内の日医会館で開いた臨時代議員会で明らかにした。年末に日医をはじめとした医療団体による国民集会を開催する。

 この日の代議員会では、都道府県医師会の代表者らが、25日に都内で開かれた講演会での仙谷氏の発言を問題視し、改めてTPP交渉参加への日医執行部の考えと、今後の運動方針を問う声が相次いだ。これに対して、日医の中川俊男副会長は、「日医は今年3月、情勢を分析するたびに日本の公的医療保険制度が危ういと分かり、改めてTPP交渉参加に反対を表明した。TPPは、日本の医療を営利市場として開放することを求めてくる。日医は、所得により受けられる医療に格差をもたらすTPPに明確に反対する」と強調した。

 中川氏が、「日医は国民皆保険の堅持が見えないTPPには断固反対する。医療・介護はこれからの日本を支える。そのために、医療・介護の効率化の視点を入れるのではなく、十分な財源を入れること。それが医療再生、ひいては日本再生を実現すると確信している。最も大切なのは、国民に発信していくこと」と述べると、会場から拍手がわき上がった。【君塚靖】

いやまあ、内輪褒めして盛り上がるのもご自由にという感じではあるのですが、しかし「医療・介護の効率化の視点を入れるのではなく、十分な財源を入れること」などという主張が当たり前のように出てくるというのも、到底国民の諸手を挙げての賛同を得られる主張だとも思えないのですけれどもねえ…
ちなみに仙谷氏自身は民主党の例の医療主導による経済成長戦略にも関わっていることでも判るように、診療・介護報酬をつけることで雇用が生まれるという立場に立っている人物ですから日医とスタンスが近いとも言えそうですが、その仙谷氏ですら日医の頑迷さには閉口しているということでしょうか。
先日日医は医師偏在解消のための提言を自ら行っていましたが、日医が長年主張してきた医療システムのあり方こそが現場での燃え尽きや逃散を大いに呼び寄せてきた現実を思うとき、「医師が勤務しやすい就業環境の整備」をなどと知ったような顔で主張する前にまずは率直な自己批判が必要なのではありませんか?
以前にとある新聞記者が書いていたように「日医が反対するからいい政策なんだろう」という考え方が医療現場にも広まってきているのでしょうか、このところ医師数がどんどん増えている中で日医は組織率のみならず会員数も減り始めていると言いますが、現状ではこの団体に加入することでどんなメリットがあるのかがさっぱり見えてきません。

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2012年10月30日 (火)

維新公約は「医師の業務独占規制の原則撤廃」?!

幾ら先延ばしが続いているとは言ってもいずれやってくるのが総選挙というものですが、そんな中で今度の総選挙の台風の目とも目されている維新の会の国会議員団から、こんな公約素案が発表され話題を呼んでいます。

法人税率20%に引き下げ 維新国会議員団の公約素案(2012年10月26日日本経済新聞)

 日本維新の会の国会議員団が次期衆院選に向けて作成した公約素案の内容が26日分かった。経済分野では法人実効税率を現在の約35%から20%に引き下げるほか、日銀が100兆円規模の経済復興基金を設けることなどが柱。石原慎太郎氏が設立する新党との連携も視野に、外国軍の駐留撤廃など保守色の強い政策も盛り込んだ。

 維新代表の橋下徹大阪市長は26日、公約素案について「国会議員団側のたたき台ですりあわせもしていない。表現に稚拙な部分もあり、これから激論する」と述べ、今後、内容を修正する可能性を示唆した。

 維新は党綱領「維新八策」の基本理念に「個人、地域、国家の自立」を掲げるが、素案は「日本の歴史と伝統を尊重する」を追加、保守色を鮮明にした。外国軍の駐留撤廃は終戦から100年目の「2045年を目標にする」とした。

 医療費自己負担では現在75歳以上が1割、70~74歳が法定の2割の負担割合を「20歳以上は一律3割にする」と明記。首相公選制での首相任期を4年とし、閣僚の過半数を国会議員と定めた憲法の規定の撤廃も盛った。各省庁の幹部は「年俸制の政治任用」とし、キャリア官僚には「40歳定年制」を設けるという。

 農協への独占禁止法適用除外の廃止や、弁護士や医師の業務独占規制の原則撤廃など各分野で新規参入を促進。パチンコの換金を違法化し公営企業に転換させるなど、議論を呼びそうな項目も盛った。

日本維新公約判明!「キャリア官僚は40歳定年」「外国軍の国内駐留全廃」…(2012年10月26日産経ニュース)

 日本維新の会が次期衆院選で掲げる公約の原案が26日、明らかになった。原案の要旨は以下の通り。 

 【基本理念】
 「自立」個人、地域、国家の自立。「自由」あらゆる既得権益を打破。「保守」皇室を尊び、日本の歴史と伝統を尊重する。

 【憲法改正による統治機構改革】
 任期4年の首相公選制。道州制によるガバナンス改革を行い、道州に課税権を移譲する。政権公約など重要項目以外は政党の党議拘束を外す。

 【行財政改革】
 衆院定数を240人に削減、歳費などの経費も3割削減。キャリア官僚の40歳定年制。各省庁の課長級以上の幹部も年俸制の政治任用。

 【外交・防衛】
 日本固有領土の竹島、尖閣諸島、北方4島については、妥協しない。国連安全保障理事会の常任理事国入り。集団的自衛権の憲法解釈を変更し、法整備を行う。2045年を目標に外国軍の国内駐留を全廃。日本全体で沖縄負担の軽減を図るロードマップを作成する。

 【経済・雇用・税制】
 日銀に100兆円規模の「経済復興基金」設置。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に参加、自由貿易協定(FTA)拡大。法人税率を半減。負の所得税・ベーシックインカム(国民への最低生活保障)的な考え方を導入。

 【社会保障制度改革】
 年金は積み立て方式に移行。高齢者向けの社会保障関係費の圧縮。歳入庁を設置。

 【農業】
 農業版整理回収機構の設置。戸別所得補償制度は専業農家に限定。

 【エネルギー】
 既設の原子炉を持つ原発は2030年代までに全廃。安全性の高い「世界最高水準の原発」は輸出。

 【教育改革】
 日本の歴史と伝統に誇りを持てる歴史教育を行う。教育委員会制度の廃止。

細かい部分についても様々に突っ込みどころがあるかとは思いますが、とりあえず医療方面で目につくところとして「高齢者向けの社会保障関係費の圧縮」などと並んでさりげなく書かれている「弁護士や医師の業務独占規制の原則撤廃など各分野で新規参入を促進」という一文が非常に気になりますよね。
日経の記事が今ひとつ詳細なものでないので、この一文がかねて言われているような医業への営利企業の参入など経営的な面での解放を目指しているのか(そうだとすればTPP参加方針とも合致するとも言えそうですが)、それともこれら資格職を資格職たらしめている国家試験の撤廃までも主張したいのか、これだけでは何とも判断しかねるところがあります。
このうち前者の医療の営利化に関しては例によって一部方面に熱心な抵抗勢力があって、特にTPP交渉に絡んで米国側からこの方面での自由化要求があったのと騒がれたことから(もっともその後の報道では米側も要求はしてこないという話もあったようですが)賑やかになっていましたが、基本的に医療は現状においても営利を追求していることは公立病院ですら経費節約、黒字化とうるさいことからも明らかです。
抵抗勢力の方々は何かにつけて医療の営利化のデメリットばかり強調したがりますが、昨今医療に寄せられる患者側の不満やクレームもその大部分は通常の営利企業であれば真っ先に改善されるようなものばかりであることを考えれば、一律全面の禁止が果たして患者の為になっているのかどうかという議論はどのみち必要でしょうね。

一方で業務独占規定の撤廃ということになれば資格専門職を資格専門職たらしめている国家資格をどうするのかという議論にならざるを得ませんが、ものすごく深読みすれば新司法試験によって弁護士は急増し今やワープア化したと言われる現状があり、一方で医療の世界においても某大先生などを筆頭にメディカルスクールを創設して医師をとにかく増やせと主張する方々がいらっしゃるわけです。
もちろん大病院の管理職などを務める偉いセンセイ方から見れば医師など一山幾らで安くて幾らでも雇える状況の方がいいに決まっている、そして昨今ではさらにナースプラクティショナー(NP)などに補助医師的業務をさせようと言う話も進んでいますから、いずれにしても数少ない医師達が医業を独占するという時代は終わりつつあるとも言えそうですよね。
橋下氏と言えば弁護士会とはかねて折り合いが悪いらしいという話もあって、その面からもこうした一部方面の既得権益には敏感なのかも知れませんが、まずはどの辺りまでのことを考えているのか続報を待ちたいと思います。

ところでおもしろいのが維新のトップかつ唯一の大看板で、マスコミの報道によれば「独裁者」とまで呼ばれている肝心の橋下代表がこの公約案を評して「全然違う、拙い」と言い、「アピールは良いが、国会議員団の一つの考え」「これから役員会で激論になる」などとまるで我が意に反しているかのように批判していることです。
かねてのマスコミによる独裁者報道が真実だったのであれば、トップの承認も得ないまま国会議員団が好き放題なことを公約に掲げるというのも非常に奇異な感じがしますが、このあたりの整合性についてはいずれ橋下氏およびマスコミ各社からなにがしかの説明なり釈明を期待出来るのでしょうかね?

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2012年10月29日 (月)

高齢者虐待問題 先進国方式が最良なのか?

先日こういう記事が出ていましたが、ご覧になりましたでしょうか。

日米の高齢者施設での人権擁護の現状は?- 両国の市民団体がシンポジウム開催(2012年10月26日CBニュース)

 サービスの質向上を目指し、介護施設の評価などに取り組むNPO法人Uビジョン研究所が26日、日米両国の高齢者施設における人権擁護の現状をテーマにシンポジウムを開いた。米国の市民団体「CANHR(California Advocates for Nursing Home Reform)」の関係者は、弁護士と強く連携した活動について報告。参加した関係者からは、日本国内でも弁護士と市民団体が連携し、虐待防止に取り組む必要性を訴える声が上がった。

 シンポジウムに先立って行われた基調講演では、CANHRのパトリシア・L・マッギニス事務局長が登壇。約30年前の米国のナーシングホームでは、入居者の83%余りが身体拘束されたり、向精神薬を投与されたりしていたほか、入居者の手が切断され、その結婚指輪が奪われる事件も発生したことなどを紹介。こうした実情を改善するため、CANHR設立に踏み切ったと述べた。
 また、CANHRの主な活動として、▽入居者やその家族の保護を目指し、法案を作成・提案する▽入居者やその家族に対する情報提供▽入居者やその家族に対する弁護士紹介サービス-などを紹介。特に弁護士紹介サービスについては、「目的は訴訟という圧力によって、施設の介護の質を向上させること」と強調した。

 シンポジウムには、パトリシア事務局長に加え、CANHRの弁護士であるプレスコット・コール氏、日弁連の「高齢者・障害者の権利に関する委員会」の前委員長を務めた川島志保氏、Uビジョン研究所の本間郁子理事長が参加した。本間理事長は、20歳代や30歳代の職員が虐待を起こす例が目立つなど、独自調査の結果を紹介。また、同研究所が特別養護老人ホームのサービスの質を審査・認定する「認証システム」の概要について説明した。川島氏は、日本では高齢者への虐待が訴訟となるケースはまれとした上で、「権利擁護のためには、今後は訴訟も視野に入れて対応すべきではないか」と指摘。また、虐待防止の新たな仕組みを作るため、「日本でも弁護士や成年後見人、市民団体などが連携する必要がある」と訴えた。【多●正芳、●は木へんに朶】

日本でも時折この種の虐待ニュースが出てくることがありますが、アメリカほど多くはないというのは単純に件数がまだ少ないのか明るみに出る率が少ないのか、幼児虐待などの認識の差異などを考え合わせるとそもそも何をもって虐待とするかという定義の問題に踏み込まなければ比較は出来ないのかも知れません。
以前にも爪を切ったのが虐待だとスタッフが訴えられたことがありましたが、例えば褥創ケアなども生身のカラダを切り刻んだりするわけですから見方によっては虐待そのものですし、とかく家族との面倒を避けようと何もせずに放置すれば一番悲惨な目に遭うのは患者さんだと言うのも悲しいものがありますよね。
もちろん患者側の権利擁護のためにも虐待はケシカラン、場合によってはどんどん訴えていこうという考え方も一つの方法論だとは思いますが、そもそも高齢者の虐待とはいったいどのような行為を意味するのかについて、こちらに興味深い記事が一つあります。

◆NMO×CareNet「ザ☆ディベート」【第2回】胃ろうの造設、是か非か(2012年10月22日日経メディカル)

 医療・医学の旬な話題について討論する「ザ☆ディベート」。第2回は、「高齢者への胃ろうの造設」について、二人の論者が主張をぶつけ合います。今回のコーディネーターは、国際医療福祉大学教授の鈴木裕氏です。

 前回と同様、2本のディベート動画は、日経メディカル オンラインとケアネット・ドットコムに1本ずつあります。動画を2本ともご覧いただいた上で、医師会員の方は、ご自身のお考えがどちらの主張に近いか、Web上での投票をお願いします。投票期間は11月4日(日曜日)まで。奮ってご参加ください。

コーディネーターより

 胃ろうの是非について、最近、新聞やテレビなどで頻繁に論じられるようになってきました。患者の苦痛が少なくて済む点などを長所に挙げる識者がいる半面、患者本人の尊厳や家族の精神的負担の問題から反対する声も出ています。そこで今回のディベートでは、示唆に富む2つの症例を題材に、胃ろうを造設するか否か、継続するか否か、について議論を深めていくつもりです。

 症例の1つは、PEGを行えば数年の生命予後が期待されますが、いずれ認知症が進行し、末期を高い確率で迎えるであろう患者のケース。この患者にPEGは有効でしょうか? もう1つは、一時的にPEGが有効で、実際に患者の全身状態が改善しましたが、次第に症状が進行し、末期状態になった患者のケース。この患者への水分栄養補充の見直し、中止の適応はどう考えればいいでしょうか?

症例
Case1 82歳男性、認知症
 5年ほど前より物忘れなどの認知症の症状が出現していたが、家でそれなりの生活をしていた。しかし、ここ数カ月、食事摂取量が急に落ち込み、概算で1日400kcal程度しか摂れなくなった。特に、水を飲み込む時にむせが生じるようになり薬も飲めなくなった。
 専門医の診断では認知症で、症状は進行し生命を維持するには何らかの水分栄養の補充が必要であるが、水分栄養の補助があれば数年は生きられるとのコメントを得た。

Case2 84歳女性、認知症
 75歳ごろより認知症の症状が出現。80歳ごろより経口摂取のむらが著明となり、82歳時に水分栄養の補助と内服薬の継続を目的にPEGが施行された。
 在宅での生活が約3年続いた(年に3回ほど家族の休養目的に近医に入院)が、病状は急激に進行し、経口摂取も全くできなくなり家族の識別も困難となった。在宅での療養を断念し施設に入所したが、病状はさらに進行し、現在では全く反応がなくなった
(略)

いずれもなかなか判断に迷う症例で、記事では二人の論者がそれぞれ賛成、反対の立場からディベートを行っているのですが(あくまでディベートですから、必ずしも医療者としての立場を反映しているものでないことは留意ください)、こうした症例で胃瘻を作ってでもとにかく長生きをさせるということがよいのか、あるいは胃瘻を作らないことこそが虐待に当たるのかという判断は難しいところですよね。
以前に高名な政治評論家氏がご子息の不幸な死に絡んで病院を訴えたという事例を紹介しましたが、経管栄養を拒否して長年嚥下障害を持つご子息に経口で無理矢理栄養を押し込み続けた同氏こそ一番息子を虐待していた張本人ではないかというコメントが殺到したことからも判るように、延命的行為とは得てして人生における一番苦しい時期をいたずらに長引かせる虐待行為だという考え方も出来るわけです。
国民はもとより医療従事者の間でもこのあたりの見解は真っ二つに分かれていて、日本では末期認知症患者に胃瘻など人工栄養を行うべきかという質問に実に9割の医師が賛成でも反対でもなく判断出来ないと答えたという調査結果がありますが、一方で福祉先進国として知られる北欧諸国のように自力で食事を取れなくなれば一切の介入を行わずそのまま死なせるという社会的合意が成立している社会もあります。
ただ前述のように日本とアメリカとの間であっても何をもって虐待とするかというコンセンサスが成立していないことからも判るように、やはりこうしたことは国民の認識や長年の文化的背景に従って本来は判断していかなければならないはずの問題ですよね。

ところが一方ではそれこそ訴訟沙汰になるということを回避するためにも、防衛医療などと言われるようにとりあえず訴えられないことを最優先で対応するという慣習が医療・介護の現場に根付いてきた結果、患者本人に取って必ずしも最良とも言い切れない選択がなされるケースが少なからずあるわけですが、これを虐待と呼ぶべきかどうかです。
例えばご存知のように胃瘻など経管栄養で長期間寝たきりでそこそこ安定している寝たきり高齢者が療養型病床や介護施設のベッドを常時満床にしている、一方で介護施設などでは前述の記事のような家族とのトラブル回避も念頭にあってか、ほとんどの施設で胃瘻造設をした人の受け入れ数の制限を行っています
胃瘻も様々な使い方があって、完全寝たきりで意思疎通も出来ない人にただ時間通り栄養を流し込むというケースもあれば、基本的に経口で食事が取れるけれども不足する栄養や水分だけを補うために胃瘻を作っておくというケースもあって、普通に考えれば後者のようなケースは前者よりも元気がいいわけですから最優先で病院を出て施設に行った方がいいだろうと言えますよね。
ところが施設側にすれば手間暇のかからない前者に比べて後者は食事介助も必要で誤嚥のリスクも高いと面倒を抱え込むことになりがちですから、施設の方針として前者のような患者を優先してベッドを埋めてしまう、あるいは後者のようなケースでも少しでもむせたりすると経口摂取は禁止して胃瘻栄養だけにするといったことが行われがちです。

もちろん患者あるいはその家族と十分に話し合いコンセンサスを形成した上ですり合わせを行っていけるなら理想的でしょうが、基本的に介護領域は手間をかけずに済む方が儲けも多くなる、ましてや何かあったときの訴訟リスクなども考えるとどうしても安全第一の対応が優先されてしまうわけですが、これも考えようによっては望ましいことを行わないという消極的虐待とも言えるものでしょう。
そう考えると基本的な国民のモラルが高い日本においても、冒頭の記事にあるような「とにかく訴訟に訴えてでも意志を押し通す」式のやり方が本当に合目的的なのかどうか、むしろクレーマーと認識されて「それでしたらどうぞお好きな施設へ」と追い出しに繋がりかねないだけに微妙なところだと思いますね。
医療にしても介護にしても最大公約数的に虐待を減らす方策はお互いの顔が見える関係の中で信頼関係を構築していくことだと思うのですが、特に日本の場合は型どおりの対応よりもずっと高い水準で献身的に業務を行っているスタッフも多いだけに、何も考えずに「それは私の仕事じゃありません」が通用するアメリカ方式を目指していくのも良いのか悪いのかでしょう。

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2012年10月28日 (日)

今日のぐり:「えびめしや 倉敷笹沖店」

先日こんなおもしろい記事が出ていましたが、ご覧になりましたでしょうか。

「豆腐825円」「初鰹8万5800円」――江戸時代の物価早見表が面白い(2012年10月25日ITmedia)

 時代が変わればお金の価値も変わるもの。Teioコレクションのサイトで公開されている「江戸時代物価早見表」が面白いと話題になっています。

 この表では江戸時代の前・中・後期それぞれの小判に含まれる金の量と価値を目安に、貨幣価値を算出。それらの平均をとって、1文を16.5円として換算しています。

 これに従って換算すると、「風呂屋(大人1人)」が132円で、「瓦版(1枚物)」が66円。「床屋」での髪結・散髪代は462円と現代よりいくらか割安になっています。
画像 食べ物の価値は現在とは随分違うものも

 食べ物を見てみると、「納豆」は1束66円、「蕎麦・うどん」は1杯264円、「米」は1升で1650円。このあたりは現代とほとんど変わらないですが、「豆腐」は1丁825円、「ようかん」「ところてん」は1155円と意外な高値。江戸っ子の代名詞である「初鰹」はなんと1尾8万5800円もします。「大工の日当」が6600円、「月々の長屋の家賃」が9900円であることを見ると、江戸時代の人たちが初鰹にかけた思いの大きさがうかがえます。

 娯楽面では、「新刊本」が1冊4950円と高額なのに対し、「浮世絵」は1枚528円と庶民にも手が届く範囲。また、「歌舞伎・芝居」は最高ランクの桟敷席が18万400円もする一方、立ち見ならたったの264円で見ることができます。

他にも「妻の吉原への身売代」が528万円、「宝くじ」が1枚3万3000円で1等当選額が6600万円など、興味深い数字がずらり。当時の人たちの暮らしぶりをあれこれ想像してみるのも面白そうです。

相対的な物価の高低には時代時代の需要と供給の関係が表れていると思いますけれども、意外に豆腐が高価なところがおもしろいですね。
今日は高い豆腐に苦労していた?江戸時代の人々に敬意を表して、世界各地から時代の流れを感じさせる今となってはちょっと不可思議にも見えるニュースを取り上げてみましょう。

「中古のファミコンカセットを買ったら40万円も入ってた!」(2012年9月12日らばQ)

海外で中古のNES(北米版のファミコン)のゲームカセットを買った人が、やけに重いと感じて開けてみたそうです。
すると中から出てきたのは……なんと多額の現金でした。
ほとんどの紙幣は1985年かそれより以前のものだそうです。
それにしても、いろんなところに現金というのは隠されているものなのですね……。
海外掲示板のコメントをご紹介します。

●任天堂、それはやりすぎだろ。
●そもそもゲームカセットを開けようなんて、どうして思うんだい?
●きっと他のより重かったんじゃないかな。
●きっとゲームが出来なくなって殴ったら、がさっという音だったんだな。
●やっぱり麻薬密売人のへそくりなのかな。
●そりゃそうだろう、誰もそんなゲームいらないだろうからな。
●これでオレは全部のファミコンソフトの中を開けなくちゃいけなくなった。
●1度、うちの芸術大学に、ニューヨークのラジオ・ステーションからラジオのミクシングボードを寄附されたことがある。価値はわからなかったが、中にはたくさんのコカインの袋が入っていた。隣が警察署だったので全部トイレに流した。
●何千ドルとトイレに流したようだな。
●その100ドルはもしかして「スーパーノート」と呼ばれるやつじゃないかい?(スーパーノートとは「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が製造している」とされる100ドル札の超精密な偽札 )
●多分ちがうね。古びた使われている紙幣だからな。
●これによって相当な数のファミコンカセットが、中を開けられることになったに違いない。
●いったいどのゲームだったんだ。
●Golfだ。
●子供の頃、ニンテンドー64のコントローラーの中に、家族に内緒でお金を隠していた。飛行機に乗る旅行で、ニンテンドー64とそのアクセサリーをチェックインバッグに入れていて何も考えなかった。到着したときに自分のバッグの中を見たらゲーム機器は全て盗まれていて、夏が台無しになった。あの紙幣はいまだにそのコントローラーの中にあると思う。
●すぐに質屋へ行って全てのビデオゲーム、コンソール、附属品を全部買うんだ。そして開けるんだ。

詳しい事情までは公開されていませんでしたが、意外と中古の物品には現金が隠されているのかもしれませんね。

いやいや、今どき昔懐かしいNESのカセットをわざわざ収集しようというマニアのために神が下さったご褒美と思いますけれども、冷静に考えるとどう見ても真っ当な金には思えませんね…
こちら手に入れた当時はよかったとして、今はどうなのかというニュースをお伝えしてみましょう。

「赤ちゃんクマを育てたら、とてつもなく巨大になった」/米(2012年10月14日らばQ)

アメリカの自然活動家であるケーシー・アンダーソンさんは、死んだ母グマのそばに2頭の子グマを見つけました。

そのうちの1匹は生き残りましたが、モンタナ州の自然公園ではグリズリー(ハイイログマ)が増えすぎてしまい、ここままだと安楽死処分の可能性もあったそうです。

そこでケーシーは子グマを引き取って育てることにしました。360kgの巨大グリズリーの成長記と、海外掲示板の反応をご紹介します。
(略)

倍率何倍よ?!というその想像を超えた成長ぶりはリンク先の記録を見ていただくしか仕方がないという話なのですが、このケーシー氏はこの後美人女優の奥さんも貰って幸せの絶頂だと言うのですから何ともまあ…もげろ、ですか。
アメリカという国はああ見えて案外保守的なところが濃厚に残っていることでも知られていますが、いくら何でもそれは保守的過ぎるだろうというのがこちらの記事です。

アメリカで容認されているヘンな法律/米(2012年10月25日マイナビニュース)

アメリカは日本人からすると不思議な国です。アメリカの国全体としての法律がありながら、地方の州がそれぞれに法律を制定する。中央集権的な統治と地方の統治という力がせめぎ合っています。まあ難しい話はともかく、各州で定めた法律が「州法」として機能しているのですが、その州法に「ウソ!」、「なんで?」というものがあるのです。アメリカのヘンな州法を紹介します。

●テキサス州では、家の中でワニを飼うことを禁止。
テキサスというとブッシュ元大統領のおひざ元で非常に保守的な土地柄ですが、この法律があるのは、まあ危ないからでしょうね(笑)。ちなみにテキサス州では、公職に就く者は「神を信じていること」という規定があります。
さすがバイブル・ベルト(福音派プロテスタントの多い信仰心のあつい地域)の中にある州ですね。

●テキサス州では、立ったままでビールを3杯以上飲むのは禁止。
結構やってる人が多そうな気がするんですが……。信仰心のあつい地域なので、アルコールに対する目が厳しいのでしょう。

●テキサス州では、はだしで歩くのに$5で発行される許可証が必要である。
面倒くさいですねー(笑)。なぜこんなことに!

●テキサス州では、ホテルの2Fの窓からバッファローを撃ってはならない。
実にテキサスらしい気がしますが、開拓時代の法律が改正されずにそのまま残ってるのではないでしょうか。

●テキサス州では、ペンチの所有は禁止。
何でしょうかこれ(笑)。

●カリフォルニア州では、プールの中で自転車を漕(こ)ぐことは禁止。
ただし浴槽の中ではその限りではないそうです(笑)。ギャグで決めてるとしか思えない法律です。

●カリフォルニア州では、上司とその秘書が2人きりで密室にこもるのは違法。
まあ浮気防止には役立つと思いますが……。シュワルツェネッガー知事は大丈夫だったのでしょうか。

●カリフォルニア州では、州内で核爆弾を爆発させた者は$500の罰金を科す。
アメリカ人は核爆弾をナメてるとしか思えません。

●コネチカット州では、日没後に後ろ歩きをしてはいけない。
どういう経緯でこんな法律が可決されたのでしょうか?

●コネチカット州では、犬に入れ墨をする時には警察へまず届けること。
しないと思うんだけどなー。

●コネチカット州では、犬に教育をすることは違法。
「お手」とか「ちんちん」も駄目なのでしょうか。コネチカット州は犬に何か含むところがあるのでしょうか。

●モンタナ州では、トラックの前座席に羊を置き去りにしてクルマを離れることは違法。
乗せないし離れないし(笑)。

●ミズーリ州では赤ちゃんを怖がらせることは違法。
言いたいことは分かりますがどうなんですかこれ。

●モンタナ州、モンタナでは「正上位」以外は違法である。
どうするんだこれ(笑)! 密告するヤツはのぞき屋ですけども。

●ネブラスカ州では、ドーナツの穴を販売することは禁止されている。
これなんか完全にウケ狙いの法律なのではないでしょうか(笑)。

いかがだったでしょうか? ここで紹介したのはほんの一部です。調べればまだまだあります。これらの州法はアメリカ人独特のユーモアなのでしょうか?

それぞれ制定された当時にはそれなりに理由もあってのものだったんでしょうけれども…現在は弾力的に運用されていることを願いますね。
オーストラリアからはどちらかと言えば夏向きなニュースが出ていますが、向こうではこれから暑くなっていくわけですからちょうどいいのでしょうかね?

死体安置所をモーテルに改装、豪実業家が計画/豪(2012年10月23日AFP)

【10月23日 AFP】不運な最期を遂げた精神障害者の遺体を収容していた死体安置所をモーテルへ改装する計画を、オーストラリアの実業家が進めている。オープンすれば、宿泊客は疲れきった体を検視解剖台の上で休めることができるという。

 豪タスマニア(Tasmania)州にあるこの死体安置所は、植民地時代に建てられたウィロー・コート(Willow Court)精神科病院が閉鎖されて以降、10年以上使用されていない。
 所有者のヘイディン・ピアース(Hadyn Pearce)氏は現在、この安置所を宿泊施設に変身させようとしている。
 同氏は22日にAFPの取材に応じ、「テラゾ(人造大理石)製の解剖台や、引き出し式の冷蔵室も残っている。美しい建物ですよ」と語った。

 古美術品商のピアース氏は数年前、この歴史的跡地のうち7エーカー(約2万8300平方メートル、約8600坪)分を購入した。購入地には、1950年代に患者や地域住民の遺体を収容した死体安置所などの建物6棟が含まれ、改装作業が少しずつ進められている。
 以前の所有者はここにアイスクリームショップと保育センターを作るつもりだったとされているが、ピアースさんは死体洗浄用のステンレス製バスタブなどの設備には宿泊客を引き付けるのに十分な魅力があると考えている。
「安置室の1つにダブルベッドを置くつもりだ。使えそうな解剖台が3つ、引き出し式冷蔵庫も2つある」と話すピアースさん。4室を備える予定のこの「死体安置所モーテル」に寝泊りしたいと思う旅行者はいるだろうかと問われると、「やってみなければわかりませんね」と答えた。
 ウィロー・コート精神科病院の歴史的建物の保存に取り組む委員会のデービッド・ルウェリン(David Llewellyn)委員長は、死体安置所は個人所有なので委員会の管轄外だとしつつも、モーテルへの改装計画には賛成だと話している。「病院跡地の破壊行為や劣化を防ぐという意味では、この地区での開発は進めば進むほど良いと思っています」

 ピアース氏は2013年初頭をめどにモーテルをオープンさせたい考えだ。予約はオンラインで受け付けるという。
 同氏は既に、心霊スポットとして知られる精神科病棟1棟のモーテルへの改装を終えたほか、ビクトリア朝時代の知的障害者病棟を古美術店に、看護師宿舎を専門店へと変えており、「死体安置所モーテル」の成功にも自信を見せている。
 精神科病棟のモーテルでは「たまに扉から入るなり、おじけづいて飛び出していく変わり者もいるが、大半はうまく行っている」という。「実に美しく、歴史ある場所ですよ」

世界中どこにでもこういう趣味の人間は一定数いるのでしょうが、リンク先の写真を見る限りではあまり安楽に夜を過ごせるという風にも見えませんけどね。
こちら当時の物価ではまだしもですが、現代の視点で見ると完全になしだと思われる世界記録級のニュースです。

【海外:インド】世界一低い給料で働く女性 40年間でたったの8200円/インド(2012年10月23日日刊テラフォー)

「仕事」というからには、その労働に見合った対価が支払われなければならないが、世界には信じられないほどの低賃金で働いている人いる。

40年間、政府の女性教師養成所のトイレの清掃を一週間、一日三回・休みなしで働き続けた59歳の女性二人の一人あたりの賃金はなんと64ポンド(約8200円)!これで40年間の総額なのだ。
この二人の女性、アックさんとリーラさんは18歳の時にこのトイレ清掃の仕事を始めた。
年収は2ポンド(約260円程度)。
「いつかは給料を上げる」と言われ続けてきたにもかかわらず、一向に上がる気配はなかった。
「それでも私たちは雇用主を信じていたんです。でもだんだん、このままずっと上がらないんじゃないかって思うようになっていきました」と悔しさを語る。
昇給がある、と信じてきたからこそ今まで一日も休まず続けてきたのだ。

更に11年前の2001年、二人は雇用主に昇給を願い出るが、話し合いがこじれ、なんと無給に!従ってこの11年間は無給で働いていたのだ。なんという仕打ちだろうか。
しかも裁判所には相手にされず、ただ「払う必要なし」という非情な判断が下されたのだという。
それでも辞めなかったのには理由がある。「この仕事に誇りがある。だから諦めたくなかった」からだ。ど根性で働いてきたのだ。

そろそろ年齢も高くなり、昇給の見込みがないと判断した二人はなんと自ら「世界一低い給料の労働者」としてギネスに申請!
これで一気に世間の注目が集まり、インドのマスコミや地元の支持が集まり、晴れて二人にはいままでの賃金+上乗せ分が支払われた。来年が定年。定年前の執念の勝利だったのだ。
「世界一低い給料の労働者」、逆襲で勝利。痛快とはこのことだ。

しかしトンデモな雇用主が悪いことは言うまでもありませんが、労働環境改善ということについて何とも示唆的なニュースでもありますよね。
この種のトンデモネタには事欠かないのがご存知ブリですが、世間の常識としてはともかくブリ的にはそれはどうなの?というのがこちらのニュースです。

警官に身分わきまえろ!平民!…英与党幹部辞任/英(2012年10月20日読売新聞)

 【ロンドン=佐藤昌宏】英保守党のアンドリュー・ミッチェル下院院内幹事長(56)は19日、首相官邸を警備する警察官を侮辱したことが元で辞任した。

 ミッチェル氏は、9月の内閣改造で国際開発相から横滑りしたばかり。

 ミッチェル氏は9月19日夜、自転車に乗って首相官邸を出る際、警察官に車両専用の正門を開けるよう要求。警察官が歩行者用の門に誘導しようとしたところ、ミッチェル氏は激高し、「身分をわきまえろ」「平民」などと侮辱する発言をしたとされる。

 問題視した警察側が、発言の中身を公表したことから、ミッチェル氏は連日、釈明に追われた。保守党が支持率で野党労働党に10ポイント以上引き離される中、キャメロン首相もかばいきれなかったものとみられる。階級社会の概念が今も強く残る英国では、今回のような発言も訴追の対象になり得る。

あまりにストレートすぎたのがブリ的には間違っていたということでしょうか、彼らの文化においてはもう少し斜め上方向にひねれよと突っ込まれても仕方がないと解釈しておくべきなのでしょうね。
そのブリからもう一つこちらのニュースをお伝えしてみたいと思いますが、一見すると妙にいい話にも誤解されかねないような話題ですかね。

失踪34年後に届いた生存確認、事故で記憶失い別の人生歩んでいた女性。/英(2012年8月12日ナリナリドットコム)

1978年、結婚して南アフリカに渡ったある英国人女性が、突然行方不明になる出来事があった。本国にいる実家の家族は、連絡が取れなくなったことを不安に思い、赤十字社などを通じて消息を確かめようとしたものの、全く手掛かりは得られず。結局、「彼女は死んだ」と諦めざるを得なかったという。ところが先日、音信不通だった女性からFacebookを通じてメッセージが届き、家族は34年ぶりに生存を確認。長く死んだものと思っていた家族は、驚きながらも大喜びしているそうだ。

英紙デイリー・ミラーやデイリー・メールによると、この女性は現在南アフリカのヨハネスブルグで暮らしているスーザン・アードロンさん(61歳)。彼女は1975年に結婚した夫と4人の子どもを連れ、南アへ移住して生活を始めた。

ところが1978年末頃、突然彼女が消息不明に。不安に思った英国の家族は、赤十字社などを通じて安否確認を働きかけたが、その行方は一向に掴めず、妻を失った夫も子どもたちを連れて1980年代はじめに帰国。こうして謎の失踪を遂げたスーザンさんを、妹や弟たちは「死んだ」と思い込み、気持ちに区切りを付けるしかなかったようだ。

それにしてもなぜ、彼女は夫や子どもを置いて失踪したのだろうか。後に判明したところによると、実は彼女、意図的に姿を消したのではなかった。ある日、交通事故に遭い、自分の身元が全く分からなくなるほどの記憶喪失状態に。しかも、そのときたまたま家族と繋がる手掛かりも所持していなかったため、回復後に“ケイティ”という名前の人生が始まり、家政婦として南アの家を転々とする生活を送るようになった。一時は乳がんと闘いながら、“ケイティ”としての人生を30年以上にわたって送っていたそうだ。

そんな彼女に転機が訪れたのは、昨年12月から働き始めた家に住む家族の協力。定住する家を持たず、家政婦としての仕事を探すスーザンさんの身の上を知ると、記憶を取り戻せるようさまざまな力になってくれたという。おかげで、もとの名前や過去の経歴などを少しずつ思い出し始め、やがて実家の記憶も蘇り、Facebookをたどって英中部の街ロザーハムで暮らす妹や弟のページを発見。そして先日、“スーザン・アードロン”として、34年ぶりに家族のもとへメッセージを送るという奇跡へと繋がった。

当初はとてもスーザンさんからのメッセージとは信じられず、「ネット詐欺に遭ったのかと思った」と話すのは58歳の妹ドーンさん。しかし一緒に送られてきた写真を見て、すぐに姉からと分かったドーンさんら家族は、34年ぶりに生存が確認できて喜んだという。今回スーザンさんが実家を探しあてられたのは、最後まで生存を信じて2009年に他界した両親のおかげ。「生きているかもしれない」と諦めなかった両親は、スーザンさんがいつでも戻って来られるようにと、決して引っ越しをせず、ロザーハムの家で頑なに娘の帰りを待っていたそうで、結果的に両親の執念が実った格好だ。

残念ながら夫は今年はじめに他界し、生存の一報は届かなかったものの、英国で暮らす4人の子どもたちには情報が届けられた。現状を伝える写真のやり取りもするなど、子どもたちとも繋がったスーザンさんは、空白の34年間を経て、再びもとの人生の道を歩き出している。

「両親が生きている間に分かっていたら」とこぼす妹ドーンさんだが、現在、英内務省に姉のパスポートを発行してもらえないかと働きかけを行っており、取得でき次第、彼女を英国に呼び戻して一緒に暮らす予定だという。

しかし近頃ではこうやってネット経由で簡単に連絡がついてしまうというケースが増えていますけれども、考えて見ると遠い国で突然消息が判明してしまうというのもとんでもない話ですよね。
長年苦労されただろう”ケイティ”スーザンさんにはこれから家族と楽しい生活を送っていただきたいと思います。

今日のぐり:「えびめしや 倉敷笹沖店」

岡山県というと実は意外にB級グルメの数ある土地なのだそうで、昨今全国的にも知られるようになってきたホルモンうどんや蒜山焼きそばの他にも近年ブームになってきているカキオコや豚カバ、そして何と言ってもデミカツ丼などこの方面の資源には事欠きません。
そんな中で同じく長年地元で供されてきたBグルメニューの一つが「えびめし」ですけれども、元々は東京都内のカレー店で出されていたメニューが岡山に持ち込まれたのがその発端だと言い、今では洋食屋に限らずラーメン屋、喫茶店など各種店舗でわりあい普通に出されるメジャーなメニューとなっているようですね。
こちら「えびめしや」さんは名前の通りえびめしをメインメニューとした洋食屋ですが、割合手広く営業されているようで不肖管理人も広島は福山の店舗にお邪魔したことがあります。

今回オムえびめしをメインにノーマルのえびめしやドライカレー、ポトフにワンタンスープなど一通りつまんでみたのですが、えびめしも各種ある中でこちらのえびめしは比較的マイルドな味で、時々見かけるウスターソースベースのスパイシーなものよりは万人向けかなと思いますね。
オムえびめしの方は真っ黒なえびめしの上に黄色い玉子、そしてソースはデミ系という味覚と視覚の三層構造はなかなか楽しいもので、ともすれば途中で味飽きしやすいノーマルのえびめしよりこちらの方が好きでしょうか。
ドライカレーはこちらの場合白飯の上にひき肉ベースのカレーと刻んだゆで卵がトッピングされているもので、余談ながらこのスタイルだと岡山市内の老舗洋食店「オリアン」が断然うまかった記憶があるんですが、あそこも移転以来鉄皿ではなく普通の白皿で出されるようになり、卵もなくなるなど様変わりしていささかがっかりした記憶があります。
ワンタンスープは何故か洋食屋であるにも関わらずこちらの伝統の一品らしいんですが、冷凍品を使っているのかサーブされた時点で皮がすでにヤバいことになっていて、腰もなければ旨味もないというのは伝統を主張するには寂しいですよね。
それに比べるとポトフの方はたっぷりの肉と野菜は十分なボリュームもあり味も及第、これがなんとたったの99円と言うのは断然お得だなと思いますね。

全般的に見ると特にどうこういう味でもなく普通の洋食屋かなと感じる割には心持ち割高感はあるんですが、客の半分は観光客っぽい様子で写真なども撮りまくりでしたからBグルブームに乗ってそれなりに商売にはなるのでしょうね。
その意味では以前お邪魔した福山店はガラすきでしたが、本場?岡山県内ならこういう観光客需要があるということなのでしょうが、地元客はどれくらいきてるものだろうかとも思ってしまいます。
ところでこちらのお店はこの日がたまたまそうだったのかフロアの仕事がずいぶんまわりが悪いようで、来店時も一見行列待ちになっているんですが店内に活気はないのが不思議だなと思っていましたら、単にフロアの対応が間に合わず片付いていないだけで大半が空席のままになっているのですね。
それだけ待たせるなら待たせるでレジにメニューも用意してあるのを活用すれば時間短縮になるだろうにと思うのですが、渡す気もないまま単に待たせているのですから回転率は上がらないのも当然で、例えば厨房が外回り仕事をするには対面になっているカウンター席を真っ先に片付けなければならないんですが、こちら全席食器置き場状態で最後まで放置されていました。
途中から店員さんが増えてようやく多少は回り出しましたがフロアの状況は全く見ていないのは相変わらずで、これでは追加オーダーをしたいと思っても通るはずもありませんよね。
しかし昨今のチェーン店ではなかなかこういう店も見なくなったなと思うのですが、こういうところも含めてB級らしい味わいということになるのでしょうかね。

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2012年10月27日 (土)

てんかん規制強化がほぼ決定!?

このところまたしても様々な話題が相次いでいるのが沖縄の米軍基地問題ですが、先日地元地方紙にこんな記事が出ていました。

2米兵暴行:県議団、日米政府に抗議/沖縄(2012年10月25日沖縄タイムス)

 【東京】県議会の各会派代表でつくる要請団(新垣清涼団長)は24日、2米兵による暴行事件を受け全会一致で可決した抗議決議・意見書をルーク米政務担当公使、斎藤勁官房副長官ら日米両政府に提出した。被害者側への謝罪と完全補償、米軍の綱紀粛正などに加え、県議会として初めて盛り込んだ米軍基地の返還促進を求めた。一方で、日米ともに再発防止策や地位協定改定に具体的な回答は示さなかった

 新垣氏によると、在日米大使館で対応したルーク氏は事件に謝罪。一方で、県議側が恒久的な外出禁止令を求めたことに対し「地域経済に影響するので、最善策ではない」と否定的な考えを示し、県議は「(経済問題は)米側が考えるべきものではない」と反論した。地位協定改定についても運用改善で対応する従来方針を堅持した。

 首相官邸で面談した斎藤氏は米側が深夜の外出禁止令を発令した経緯などを説明し「(事件を)内閣としても非常に重く受け止めている」と述べるにとどめた。吉良州司外務副大臣も「沖縄の思いを米軍に強く申し入れ、再発防止策が確実に履行されるよう対応したい」とした。

 防衛省では長島昭久副大臣が森本敏防衛相が今回の事件を「事故」と発言したことについて「事件を深刻に受け止めていないわけではない。防衛省として猛省しないといけない」と釈明した。

 要請後、新垣氏は記者団に対し「基地を提供するため米兵が犯罪を起こす。日本政府も共犯者だ、訴えても(日本政府に)届いていない。残念だ」と述べ、最低でも地位協定改定を実現しなければ、県内で基地の全面撤去運動に発展する可能性を指摘した。

 県議団は同日、民主党本部にも意見書を提出した。

しかし基地問題も地元にとっては重大な事案であることは重々理解できるとして、沖縄ではかねて「ヤマトンチュー」などという言葉を使ってその他の日本人を差別的に扱う傾向があるなと失礼ながら感じていたのですが、どうもこういう記事を見ますと少なくとも地元メディアの感覚では沖縄は日本ではないということになっているのでしょうかね。
もちろん様々な噂のある沖縄地元メディアの意向=沖縄県民の意向ではないんだろうとは思いますが、連日のように尖閣諸島領海を外国船が侵犯し、さらには沖縄そのものの帰属まで云々されようという時期に、日米安保の根幹まで問いかねないような勢いで問題を炎上させようという姿勢もどうなのかです。
例えば警察官の不祥事などは昨今珍しくありませんが、不祥事が相次ぐからと言って警察など全廃してしまえ!などと主張する人間などまともに相手にはされないはずですけれども、どうもイデオロギーが絡む問題になってくるとそれが通じてしまうと考える人がいるということでしょうか。

無論のこと、米軍問題は駐留先の地元との折り合いが欠かせないのは言うまでもなく、先日の強姦事件のような不祥事は繰り返さぬよう綱紀粛正に努めるといったことは当然ですけれども、世評芳しからぬ米軍兵士よりも沖縄県人の方がはるかに数多くの事件を起こしているじゃないかという声もある中で米軍だけが諸悪の根源だ、さっさと出て行けというのは失礼ながら、何ともバランスを欠いた話だという気がします。
ただそうは言っても理屈だけで収まらないのが人間の感情というものであるのも確かなのですが、最近その感情の行方がやはり大きな流れになりつつあるのかなと感じるのがご存知のてんかん患者による事故問題で、先日お伝えしました新たな規制案についてこういう続報が出ています。

「医師から情報」導入言及 警察庁有識者会議 運転免許の持病虚偽申告(2012年10月25日日本経済新聞)

 てんかんなど運転に支障を及ぼす恐れのある発作を伴う病気患者の運転免許制度が変わる見通しとなった。警察庁の有識者会議は25日、持病に関する故意の虚偽申告で免許を取得・更新した場合の罰則新設を提言。さらに自己申告以外に、運転に支障のある患者を把握するため、医師が任意で警察側に情報提供する制度の導入にも言及した。

 今後は交通安全を重視しつつ、患者や医師の立場も踏まえた情報提供の基準作りが焦点になる。

 有識者会議は、外見や免許試験による判断は困難としたうえで、医師が必要に応じ警察側に通報する制度の導入を提言した。栃木県鹿沼市のクレーン車事故の遺族らが求めていた通報義務化は見送られた。

 同会議は「医師は人の疾病に関する事実を行政機関等が的確に認知するための情報提供者として最も信頼に足る」と指摘。一方で刑法上、守秘義務が課されていることから、通報制度を法律で定める必要性を強調した。

 さらに通報制度が導入された場合、医師と患者の信頼関係に与える影響にも考慮。信頼関係と通報制度の実効性を担保するため、医師団体なども交え、通報に関するガイドラインを設けることを求めた。

 同会議は、虚偽申告に対する罰則や医師からの通報制度の導入と同時に、適正に申告した人への負担軽減も求めた。適正に申告したことで免許を失った患者が、投薬治療などで症状の回復後に免許を再取得する際の試験免除などを提言した。

 物損事故を繰り返した後の人身事故で初めて、病気が発覚することもあるため、全国的に物損事故のデータベースを整備し、一定の病気の疑いがあるケースを把握しやすくする案も示された。

てんかんの無申告、医師の任意届け出提言- 運転免許制度で警察庁検討会(2012年10月25日CBニュース)

 てんかんや統合失調症など、道路交通法で運転免許の拒否や取り消しの事由となる「一定の症状」に関し、申告方法などを話し合っていた警察庁の有識者検討会(座長=藤原靜雄・中央大法科大学院教授)が25日、提言を小平忠正国家公安委員長に答申した。受診者に「一定の症状」があり、交通事故を起こす危険性が高いにもかかわらず自動車運転をしている場合に、医師が任意で受診者の情報を都道府県公安委員会に届け出られる仕組みの必要性を盛り込んだ。警察庁によると、次回の通常国会での道路交通法改正案提出を目指すという。

 「一定の症状」は、てんかん、統合失調症のほか、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の睡眠障害、認知症、アルコールや麻薬の中毒など。現状では、運転免許取得の際に症状を申告し、臨時適性検査を受けるなどする。検討会では、医師から運転の禁止・自粛の指示がありながら運転を続け、事故を起こす人がいる状況を把握しつつ、無申告者を減らす方策を議論していた。

 現在、医師は刑法で守秘義務が課されていることもあり、公安当局への情報提供はなされていない。提言では、「届け出を法律上に位置付けることで、守秘義務や個人情報保護法に反することとならないよう法律関係を整理」すると明記した。また、運用については、届け出の基準に関して医師団体などによるガイドラインの策定を明記した。

 検討会は、昨年4月に栃木県鹿沼市で起きた、てんかん患者による6児童死亡の交通事故を受けて設置された。この事故の遺族会は、てんかんの疑いのある受診者や患者のすべてに関し、医師による通報の義務化を求めていた。検討会では、医師と患者の信頼関係や、患者が治療から遠ざかることによる潜在化を懸念し、任意の届け出とした。

 このほか、運転免許の取得や更新で、虚偽の申告をした患者に対する罰則の整備や、免許の再取得の簡便化なども盛り込んだ。【大島迪子】

警察庁有識者会議 てんかん等有病者の無申告での運転免許取得に新たな罰則(2012年10月26日ミクスオンライン)

警察庁の「一定の病気等に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会」(座長:藤原靜雄・中央大学法科大学院教授)は10月25日、運転免許取得にあたって事前申告が必要なてんかんや統合失調症などの有病者が無申告で免許を取得した際に新たに罰則を適用することなどを求めた提言を小平忠正国家公安委員長に提出した。これを受けて現行の道路交通法改正が行われるが、警察庁は今回の提言に沿った形での法改正を行うとみられ、罰則導入に反対の考えを示していた患者団体や関連学会などの対応も注目されるところだ。(ジャーナリスト 村上和巳)

今回の検討会は、2011年4月、栃木県鹿沼市内の国道上でクレーン車の運転者がてんかん発作で意識を消失し、登校中の児童の列に突入して、小学生6名が死亡する事件の遺族会からの要望がベースとなっている。

鹿沼の事件では、運転者がてんかんの罹患を無申告のまま運転免許証の更新を行っていたことが明らかになっており、今年4月、事件の遺族で構成される「鹿沼児童6人クレーン車死亡事故遺族の会」から、確実に不正取得ができない運転免許交付制度の構築の要望書と、これに賛同する約20万人の署名が提出された。

検討会の議論の焦点になったのは、現行制度で運転適性に影響及ぼすと規定されている疾患の患者がそのことを無申告で運転免許取得・更新を行った場合の罰則規定とこうした患者を担当する医師による通報の義務付けの是非。

罰則の整備については、一部委員から無申告などが明らかになるのは多くが事故発生後であり、罰則が実効性の疑問との意見も出されたが、今回の検討会設置がそもそも現行制度の不十分さや鹿沼事件を受けた遺族の要望に基礎としているとの意見が大勢を占め、罰則規定によっても一定の抑止効果が期待できるとの理由から、その必要性は認められるとの結論に達した

一方、「遺族の会」が強く求めていた医師による通告制度」については、医師と患者関係が阻害され、運転適性のない者ほど治療から離れることや医師による過剰あるいは過小な通告が行われる可能性が指摘された。さらに現行の道路交通法には、運転適正に支障をきたす疾患に関わる情報の取扱いや公安委員会への情報提供に関する規定がなく、刑法第134条の医師の守秘義務との適用関係が明らかでないため、事実上の通告義務化を見送った。

しかし、交通事故を起こす危険性が高いにもかかわらず、運転を続けている場合などに医師自身の判断により該当患者情報を都道府県公安委員会に届け出ることができる仕組みの整備とその支援の必要性を強調。該当する疾患の診断には専門性が必要なことや明確な基準がないままでは過剰な通告が起こる懸念もあることから、こうした任意通告に関して関係学会によるガイドライン策定を提言では促している。

また、これまで運転免許取得・更新の是非に関わる該当疾患を適正に申告している患者が運転適性を失った場合は6か月の免許保留、または停止が行われ、この期間内に適性が回復すれば免許の効力は回復されることになっている。

ただ、今回の検討会の対象となっているてんかん患者などでは、発作再発後に免許継続の可否を判定する回復状況の見極め期間に1年以上を要することもあり、この場合、運転適性が回復したとしても免許取り消しになり、患者の適正な申告の妨げになっていたとも指摘されていた。

この点について検討会では、現行制度上でやむを得ない理由のため失効後6月以内に運転免許試験を受けることができなかった運転者が免許の再取得を行う場合、失効日から3年以内ならば学科・技能試験を免除していることを準用。一定の講習を受けることなどを条件に取り消し後3年以内の再取得ならば、学科・技能試験を免除するなどの負担軽減を図るべきとの意見を取りまとめた。

提言ではこの他にも、運転適性の是非に該当する疾患の疑いが客観的事実で認められる場合には、対象者の運転免許の効力を暫定的に停止するべきとしたほか、鹿沼事件の加害運転手が過去に複数回の物損事故を引き起こしていたことを鑑みて物損事故を含む事故情報のデータべース化の必要性も訴えている。

日経の記事を読んでいましたらてんかん患者が狙い撃ちになっているようにも見える話で、実際に地元紙などでは遺族から「納得出来る内容ではない」という声が挙がっているようですけれども、よくよく見て見ますとこれは「米兵が狼藉を働いていたら日米安保が揺らいだ」とまでは言わないまでも、相当な大ニュースに他ならないのかという気もします。
医師が情報提供を行う対象として「てんかん、統合失調症のほか、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、そううつ病、重度の睡眠障害、認知症、アルコールや麻薬の中毒など」という形で関連各疾患を網羅的に取り上げたのは、もちろん特定疾患だけを差別すべきでないという点では当然と言えば当然なのですけれども、これだけ揃うと日常診療にも大いに影響を与えそうです。
しかも通報も全例の義務付けではなくこれまた任意によるということで、これら疾患の患者数の膨大さに伴う判断の難しさと影響の大きさもさることながら、何かあれば担当医の判断が厳しく問われることになりかねないということでしょうか。
実際に行われる適性検査というものがどの程度のものになるのかは判りませんが、このままの形で厳密に運用していくとなると各地の免許更新の窓口も修羅場になるということも考えられるでしょうか。

もともとこの一連の騒動においては、各種報道にも取り上げられたような一部てんかん患者の無自覚とも思われる行動が悲惨な事故の主要原因になっていた、さらにはその後も類似の事故が相次いで報道された結果「これは緊急に対策を講じなければ!」と世論に火がついてしまったために関係各所も動かざるを得なくなったという経緯があります。
いわば「不祥事で厳重自粛中に再び類似の事件を起こした」という不信感が規制を招いた形ですが、ひとたびこうなってしまうと何気ない原因で生じたアレルギー反応に思わぬ強力な対応が必要となるのと同じことで、本来適正と思われる水準を超えた厳しい対応をしないことには世間も納得しなくなってきますよね。
実際にはあまりに厳重対応をしてしまうと世の中が大変なことになりかねませんから、専門家である担当医などが空気を読んで妥当な水準でやっていくしかないのでしょうけれども、そうなると今度はまた全国各地で基準が違うのは困るという声も挙がってきそうですし、患者からクレームが山積するだろう医療現場からは「いっそ全例報告で警察が判断してくれよ」という声も出てきそうですよね。
何より問われるのはこの結果本当に社会がよくなるのかどうかですけれども、飲酒運転厳罰化にしても結局のところその辺りの統計的データ集積と評価がきちんと行われているようにも見えないだけに、今度こそきちんとしたフィードバックが行われなければまたぞろ対策はしましたというアリバイと偏見の助長だけで終わりかねず、規制のデメリットに対してバランスを欠いた結果になってしまうでしょう。

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2012年10月26日 (金)

江戸川病院死亡事故 事故調議論と絡めて

腎移植後の死亡事故ということで移植関連死かと思いきや、どうやら中心静脈カテーテル抜去後の空気塞栓症だったと言う不幸な死亡事故が報道されていました。

江戸川病院で腎移植の患者死亡 業務上過失致死容疑で捜査(2012年10月24日産経ニュース)

 東京都江戸川区の江戸川病院で昨年11月、生体腎移植を受けた男性が手術の9日後に死亡していたことが24日、関係者への取材で分かった。体内からカテーテルを抜いた直後に容体が急変しており、警視庁小岩署は業務上過失致死容疑で、医師らから事情を聴いている

 遺族側代理人によると、死亡したのは関東地方に住む60代の男性。重度の腎不全のため、昨年10月29日に妹をドナーとする腎移植手術を受けたが、11月3日に医師が静脈カテーテルを抜いた直後に心肺停止状態となり、7日に死亡した。

 主治医は遺族に「カテーテルを抜いたことが原因になったかもしれないが、他に主因がある」などと説明。男性を火葬する直前に、遺族に「医療ミスがあったので、遺体を確認したほうがいい」と匿名の情報提供があり、遺族が同署に相談していた。

 同署が司法解剖した結果、死因は肺動脈に空気が詰まる「肺動脈空気塞栓(そくせん)症」だった。

 代理人によると、通常、カテーテルを抜く際は空気が入ることを防ぐため、患者をあおむけにする必要があるが、当時、男性はあぐらをかいた状態で処置を受けたという。同署は処置と死亡との因果関係を慎重に調べている。

 日本移植学会は同病院に対し、調査委員会の設立と調査終了までの移植手術の中止を勧告した。同病院は産経新聞の取材に「調査委員会の結論が出るまで何も話せない」としている。

手術後に死亡、腎移植中止を勧告 学会、東京の病院に(2012年10月24日朝日新聞)

 東京都江戸川区の江戸川病院で昨秋、生体腎移植を受けた60代男性が手術から約10日後に死亡していたことが分かった。家族から調査を求められた日本移植学会は今年8月、病院に対して原因が判明するまで腎移植を中止するよう勧告した。勧告に拘束力はないが、極めて異例の措置だという。病院側は調査委員会を立ち上げた。

 遺族から連絡を受けた警視庁が遺体を司法解剖した結果、死因は「肺空気塞栓(そくせん)」と判明。同庁が業務上過失致死容疑で調べている。

 患者側の弁護士らによると、男性は慢性腎不全で、親族から腎臓を提供された後に死亡した。患者の体内に入れていたカテーテル(管)の手術後の処置が原因の可能性があり、患者側弁護士は「血管に空気が入るミスがあり空気塞栓で死亡した」と説明している。

不幸な事故で亡くなられた患者さんのご冥福をお祈りいたしますが、こうした重大事故に関しては極めてまれであるとは言え思いがけず発生してしまうのも事実だと思います。
試みに某大学付属病院のCVカテ運用マニュアルを拝見しましたところ、一般病院では毎回ここまで事細かに出来るかどうかと思うほど詳細にルールが定められていて感心するのですが、カテ挿入時の詳細な指示に対してカテ抜去時に関してはわずかにこれだけの記述しかないのですね。

15 カテーテルの抜去

カテーテルの抜去は研修医が単独で行ってはならない。
固定糸を切るときにはカテーテルから距離をとってはさみを扱い、カテーテルを切断しないように細心の注意を払う。はさみは眼科用はさみなど先端が細いものを使用する。
抜去時は複数の医師又は医師と看護師のダブルチェックによりカテーテルの全長が抜去されたことを確認し、カルテに「カテ先OK」の記載をする。
疑問の残る場合は胸部X 線写真で確認する。

同マニュアルでは患者同意書に関してもカテによる空気塞栓のリスクに関しては「その他 空気塞栓(静脈の穿刺時やカテーテルの挿入時に血管内に空気が入る)や、穿刺する静脈の近くにある器官の損傷(神経損傷、胸管損傷)、使用する薬剤のアレルギーなどがあります。」と簡単に記載されているのみで、件数に大差があるとは言え例えば気胸の詳細な記述と比べ結果の重大さに相応したものではないようです。
末梢ルートからの点滴で少々空気が混入したくらいでは無問題ですが、中心静脈の場合はカテ自体の太さもさることながら留置期間が長期に及ぶためか、今回の症例のようにカテ抜去後に穿刺部からの空気流入が発生するケースがあるようで、当然ながらその場合多量の空気が知らない間に血管内に入り込む恐れがあり、特に基礎疾患によってはこうしたリスクに留意する必要がありそうです。
実際に医療安全全国フォーラムでこの空気塞栓についてまとめていただいているので是非参照いただきたいと思うのですが、今回同様腎不全でCHDF導入後シャントを造設し内頚静脈のカテを抜去した60歳女性の場合、用手圧迫10分に鎮子圧迫30分を追加、さらにドレッシング材貼付で刺入部を保護していたものの安静解除直後ポータブルトイレを使用した直後に倒れ、頭部・肝臓・腎臓に多発性空気塞栓が確認されたと言います。

今回の事故で手技的な影響がどの程度あったのかははっきりしませんが、よほどに慎重に対応していてもどうしても一定確率で発生してしまう事故に関しては手技そのものの是非よりも、今回のように担当医が気づかないまま後になって別方面から明らかになると言った純医療面以外でのトラブルが事を大きくしがちなのは留意すべきかと思いますね。
医療安全向上のためにも本来患者側、医療側双方が協力して事実の究明と教訓の拾い上げを行っていくべきところですが、最初に公になった時点でこのように紛争化してしまうと裁判などの関係もあって、むしろ事実関係が完全に究明されないままになってしまう可能性もあるということは医療全体にとっても残念なことだと言うしかありません。
その意味でかねて言われている医療事故調も原因究明と再発防止を目的として早急に創設すべきであるという総論部分については大多数の関係者に異論がないところですが、やはり意見が分かれているのはそれ以外の部分まで手を広げてしまうと結局事実の究明から遠ざかってしまうということにあるようです。

医療事故調、創設の糸口議論- 患者側・医療者側の弁護士らで(2012年10月22日CBニュース)

 医療事故の原因調査と再発防止を担う第三者機関をつくるには、どうすればいいのか-。医療問題弁護団(代表=鈴木利廣弁護士)が20日に東京都内で開催したシンポジウムで、患者側・医療者側双方の弁護士や、医療事故の遺族らが調査機関のあり方について議論し、創設の糸口を探った。

 医療事故の調査機関をめぐっては、患者側・医療者側の双方から必要性を訴える声が上がっており、厚生労働省の検討部会が、事故調査と再発防止の仕組みのあり方の議論を進めている。また、同省の補助事業として全国10都道府県で医療事故の原因を調べている日本医療安全調査機構でも、調査機関について構想するために立ち上げた企画部会が報告書をまとめたところだ。

 シンポジウムで日本医療安全調査機構の矢作直樹・企画部会長(東大大学院医学系研究科教授)は、同機構には警察のような権限がないため、現在は医療機関の提出資料から事故原因を調べており、「この姿勢はちょっと弱い」と指摘。企画部会の報告書では、調査に非協力的な医療機関を公表するなどの対応を考慮することにしたと説明とした。
 厚労省の検討部会の委員を務める宮澤潤弁護士(全日本病院協会顧問)は、調査には事故関係者から話を聞く権限が必要との認識を示した上で、「臨床の現場には、刑事責任を問われたらどうしようという恐怖感がある。『刑事罰は課さないから、本当のことを話してください』と言うのが、一番真実が出てくるはず」と述べた。

 また、患者側の弁護を多く手がける細川大輔弁護士(医療問題弁護団副幹事長)は、「病院自身がきちんと調査して反省し、患者が納得するまで説明するのが、本来あるべき姿」と述べた。ただ、「今は十分に機能していない」として、しばらくの間は公的な第三者機関が必要だと主張。これに対し、宮澤弁護士は、遺族が調査を依頼できる第三者機関の必要性を認めた一方で、「病院内の事情を一番知っているのは院内の人間だし、自分たちで調査しないと反省するきっかけにならない」と述べ、外部の有識者を交えて医療機関内で調査した方が、再発防止につながると指摘した。

 親族を医療事故で亡くして調査を受けた経験を持つ川田綾子・NPO法人架け橋副理事長は、「第三者的な要素は絶対必要だが、事故後に関係ない人がいきなり踏み込んでくるのは、遺族にとって、(親族が)亡くなったことと併せて二重でショックだ」と述べ、遺族の感情に配慮した制度設計を求めた。【佐藤貴彦】

先日は診療関連死の届け出先については、現在法律で定められている警察から死因究明を目的とする第三者機関に変更すべきだという提言が 医療安全調査機構からなされていましたが、これなどもまさに「何かあったときに司法の手が介入してくるのでは真相究明の妨げになる」という意見が根強くあるからに他なりません。
その意味で医療側からはかねて航空機事故調など世界的に主流の考え方にならって「完全な真相究明を行って全ての教訓を拾い上げ、再発防止につなげるためには免責の担保が必要である」と主張しているところですが、患者側の立場になってみれば「真相を究明した結果誰かが悪かったと言うことになった、それでも責任を問うてはならないのか」と納得出来ないだろうことは容易に想像出来ます。
以前にも書いたことですが、個々の事例で正義を追求しすぎると社会全体にとって大きな不利益になってしまうということはままあることで、特に原発事故などレアなケースでは一件一件の事故から手には入るだけの教訓を得ないことには後に大きな禍根を残しかねず、その目的に反する個人への責任追及は免責してでも事実を究明すべきだという考え方がようやく日本でも出てきているようです。
一方で交通事故など日常的に発生しているようなものでは今や真相究明よりも厳罰優先主義(これも一応は再発防止のためというタテマエですが)に傾いていますが、医療がこれら両極端の中でどのあたりに位置づけていくべきなのかというコンセンサスがないが故の事故調議論の迷走であるとも言えそうですね。

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2012年10月25日 (木)

「バランス面でおかしい(by三井厚労相)」という点には完全に同意します

本日の本題に入る前に、昨日書きました震災予測に対する刑事罰の問題にも絡んで、先日出ていましたこんなニュースを紹介してみましょう。

北関東道で逆走、正面衝突 2人けが 前橋(2012年10月19日産経ニュース)

 19日午前9時10分ごろ、前橋市徳丸町の北関東自動車道(東行き)で、逆走していた乗用車が別の乗用車に正面衝突した。

 群馬県警高速隊によると、逆走した乗用車の群馬県伊勢崎市北千木町、新井健一さん(78)が意識不明の重体、別の乗用車の前橋市石倉町、会社員、平石勝彦さん(30)も重傷。

 現場は片側2車線の直線。反対車線との間には中央分離帯があり、逆走した原因を調べる。

 北関東自動車道は前橋南-駒形インターチェンジが通行止めになった。

こうした高速道路の逆走事件はたびたび発生していて、今回のように運転手が高齢者であるケースもあることから認知症検査などでチェックすべきだといった意見もありますが、実際のところは若年者も逆走して事故を起こしているケースもあるわけですから高齢者ばかりが悪いとも言い切れません。
最近はてんかん患者の事故など重大事故が発生するたびに「すぐに規制の強化を!」という声が挙がりますが、先日の話からするとこれまたリスクの適切な評価を行った上で、それにふさわしい妥当な対策を講じないことにはかえって社会的不利益が増すというもので、例えば逆走を防ぐために進入路にゲートを作って一台一台チェックしていたのでは何の為の高速道路か判らないというものですよね。
自己責任という考え方が徹底しているアメリカなどではそのあたりの感覚もかなり割り切ったものがあるようで、一方通行の道では逆走するとタイヤがパンクするようなスパイクを植え込むといったことをしているのですが、日本ではこんな安上がりで確実な対策をしてしまうとまたぞろ危ないの何のと文句をつけてくる人がいるでしょうか。

それはさておきようやく本日の本題ですが、生活保護受給者が過去最高を更新し続ける中でその対策も緊急に必要だという声が高まってきている中で、特に医療の面では「過剰診療」と言われるように一般患者と比べて生保受給者が割高な医療費を使っているという事実が明らかになってきているところですよね。
この理由は様々にありますけれども、何しろ医療費は完全無料で自己負担がない、しかも入院でもしようものならその間の保護費もどんどん貯まっていくというおいしい構造になっていることに加え、一部の医療機関側からしても生保患者と言えばレセプトにケチをつけられるリスクも少なく好き放題出来る上顧客として捉えている面が否定出来ません。
そんな中でかねて各方面から言われている「生保受給者への後発医薬品使用義務づけ」案ですけれども、先日の高齢者医療費自己負担是正問題でも特権温存を主張した三井厚労相がここでも抵抗勢力として君臨しているようです。

後発医薬品の義務化困難=生活保護見直し案に反論-三井厚労相(2012年10月23日時事ドットコム)

 三井辨雄厚生労働相は23日の閣議後記者会見で、財務省が後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用を生活保護受給者に義務付ける方針を打ち出したことについて、「一般医療で義務化されていないものを生活保護者だけに義務付けるのは困難。バランス面でおかしい」と反論した。
(略)

すでに皆さんご存知の通りこの三井大臣、地元では病院や介護施設を経営している医療法人のトップですからまさしく直接的な当事者で、これまた日医と同様当事者がわざわざ顧客の反感を買い営業成績にも響きかねないような政策に対して必至に抵抗しているという構図です。
まあそれでも一般医療と比べて不公平になると言って反論しているのですから、これはこれで是非は別として一つ筋を通した意見であると読めなくはないんですが、そうなると問題になってくるのが同じ三井厚労相が同じ日に主張しているこちら生保患者への医療扶助の問題ですよね。

医療扶助の一部自己負担に慎重姿勢- 三井厚労相 (2012年10月23日CBニュース)

 三井辨雄厚生労働相は23日の閣議後の記者会見で、生活保護受給者に医療扶助の一部自己負担を求めることについて、受診抑制の可能性があるとして、慎重な姿勢を示した

 来年度の予算編成に向け議論している財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)の財政制度分科会は22日、生活保護を取り上げた。財務省はこの中で、生活保護受給者1人当たりの医療費が、市町村国保の被保険者などと比べて高いことなどを理由に、適正化のための取り組みを強化すべきだと提案。一例として、医療扶助の一部を自己負担にしたり、いったん負担を求めた後で償還したりする制度の導入を挙げ、委員からおおむね賛同を得ていた

 三井厚労相は会見で、生活保護制度の見直しについては、財政審だけでなく、社会保障審議会の「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の議論も踏まえて検討する考えを強調。さらに、「(生活保護受給者には)金銭的な事情もある。受診を抑制する恐れがあるので、より慎重な検討が必要だ」と述べた。【佐藤貴彦】

いやいやいや、ジェネリック使用義務付けを「一般患者と差別するのは反対」と主張するのであれば、この自己負担免除問題にしても老人医療費1割負担の問題にしても「一般患者と差別するのは反対」で3割負担にすべきであると主張するのが筋というものではありませんか?
自らお金を出さないで100%公費での医療を受けるのなら同じ成分同じ効果(苦笑)の安いジェネリックを使うのが当然であって、例えば今検討されているように保護費を現物支給するに当たって「服は全てブランド品に限る」だの「肉はA-5クラスの国産和牛で」なんて馬鹿げた注文がまかり通るはずがないのと同じことですよね。
どうもこの三井厚労相の言うことを聞いていますと当事者意識が目立つなという印象ばかりを抱いてしまうのですが、単に何でも反対という某日医的な抵抗勢力というのでなければ、世間にしろ学識経験者にしろ揃って早急に是正すべしと主張している諸問題にことごとく反対、反対で通していることに納得出来る説明をする必要があるのではないでしょうか?
もちろん自らの医療法人が損をするからとも言えないでしょうし、まさか近々予想される解散・総選挙に向けて少しでも票が減る政策など全部潰す気だとも言えないでしょうが、大臣個人の利害関係に絡んだ横槍でここまで政策が停滞するのであれば、そもそも諮問機関などが存在する意味がありません。

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2012年10月24日 (水)

イタリア地震予知裁判に求刑を上回る実刑判決

死者多数を出した先年のイタリア中部地震に関連して、一つの裁判に判決が下り大いに話題になっています。

地震学者らに禁錮6年 イタリア「安全宣言」直後に発生(2012年10月23日朝日新聞)

 【ラクイラ=石田博士】300人超が死亡した2009年のイタリア中部ラクイラの地震で、「安全宣言」が被害を広げたとして過失致死罪に問われた学者や政府の担当者7人に対し、ラクイラ地裁は22日、いずれも禁錮6年の有罪判決を言い渡した。

 求刑の禁錮4年を上回る重い判決となった。執行猶予はついていない。被告側は控訴する方針を示した。AFP通信によると判決は、市民に地震のリスクを伝えられなかったことを重くみた

 被告は、マグニチュード(M)6.3の地震が発生する直前の「高リスク検討会」に出席した7人。イタリアを代表する国立地球物理学火山学研究所のボスキ所長や、記者会見で事実上の安全宣言をした政府防災局のデベルナルディニス副長官(いずれも当時)が含まれる。

イタリア中部地震、地震学者ら7人に禁錮6年 求刑上回る判決(2012年10月23日AFP)

【AFP=時事】2009年4月6日にイタリア中部で発生し309人が犠牲になった地震の危険性を過小評価したとして科学者6人と元政府職員1人が過失致死罪に問われていた裁判で、イタリア中部ラクイラ(L'Aquila)の裁判所は22日、7被告に禁錮6年の判決を言い渡した。
裁判は2011年9月から行われていた
 裁判所は7被告に地震被災者に対する900万ユーロ(約9億4000万円)以上の損害賠償の支払いも命じた。

 当時ラクイラでは数週間にわたって小規模な地震が続いていたため、国の委員会が2009年3月31日にラクイラで会合を開き、イタリアトップレベルの地震学者らが状況を分析した。会合が開かれたことで住民の間に不安が広がった上、住民の1人が地震を予言したために住民の不安は一層高まったが、会合後に民間防衛庁の副長官が記者会見で「地震活動はラクイラに危険を与えない」と発表していた
 しかし、会合の6日後に地震が発生し、ラクイラとその周辺の村落は中世の教会が倒壊するなどの被害を受け、約12万人が被災した。

■求刑を上回る厳しい判決に科学界から批判

 検察側は専門家が「不完全で、的外れの、不適切で犯罪的に誤っていた」分析を提供したため、住民の多くは最初の揺れが起きたときに屋内にとどまったと主張し、住民に地震が起きる危険性を警告することを怠ったとして、各被告に禁錮4年を求刑していた。
 弁護側は控訴する意向を示している。イタリアの司法制度では、上訴する2度の機会が尽きるまでは7被告が収監されることはない。
 この裁判をめぐっては、専門家が裁判を恐れて自らが得た知見を公表しなくなる恐れがあると指摘されている。5000人を超える科学者がジョルジョ・ナポリターノ(Giorgio Napolitano)大統領にこの裁判は不当だとする公開書簡を送っていた。

伊 地震の“安全宣言”で専門家ら有罪(2012年10月23日NHK)

3年前にイタリア中部で起きた地震を巡って、地震の発生前に国の委員会が安全宣言とも受け止められる情報を流し被害を拡大させたとして、専門家ら7人が過失致死などの罪に問われている裁判で、イタリアの裁判所は被告側の過失を認め、全員に禁錮6年の有罪判決を言い渡しました。

この裁判は、2009年にイタリア中部のラクイラを中心に300人余りが犠牲になった地震を巡って、地震の6日前に国の委員会が「近く大きな地震が起きる可能性は低い」という安全宣言とも受け止められる情報を流したことから、少なくとも住民37人が避難せずに死亡したとして、専門家ら7人が過失致死などの罪に問われているものです。
裁判では、検察側が、「地震の予知ができなかった責任を問うのではなく、状況の分析と情報の伝達が慎重に行われなかったことが過失に当たる」として被告全員に禁錮4年を求刑したのに対し、被告側は、「あくまでも可能性を示しただけだ」として、無罪を主張していました。
ラクイラの裁判所は22日、被告側の過失を認め、7人全員に検察側の求刑を上回る禁錮6年の有罪判決を言い渡し、判決理由については、90日以内に裁判所から被告側に伝えられることになっています。
判決を受けて被告の防災庁の幹部は、「すべての責任を委員会に押しつけ、防災に携わる仕事を危うくする」と批判したほか、被告側の弁護士も、「あらゆる点で極めて不当な判決だ」と述べ、全員が控訴する意向を明らかにしました。
一方、裁判所には地震で肉親を失った遺族のグループも訪れ、有罪の判決を聞いて抱き合って喜ぶ姿も見られました。
このうち、地震の前に国の委員会の見解を聞いて避難を見合わせ、結果として妻と娘を亡くしたという49歳の男性は、「妻と娘が助かることができたかも知れないと思うととてもつらい。この判決を受けて今後、同じような悲劇が繰り返されないことを期待する」と話していました。

ラクイラを中心に大きな被害

イタリア中部のアブルッツォ州に大きな被害をもたらした地震は、2009年の4月6日未明に起きました。
地震の規模を示すマグニチュードは6.3で、住宅など多くの建物が倒壊し、中部の都市ラクイラを中心に、合わせて308人が死亡したほか、およそ1600人がけがをしました。
大きな被害が出た背景には、地震が住民が就寝している未明に発生したことに加え、耐震性に問題がある建物が多かったことなどが指摘されました。
また、この地震を受けてその年のG8サミット=主要国首脳会議の議長国だったイタリア政府は、被災地の復興を後押ししようと開催地を急きょ被災地ラクイラに変更し、首脳会議を開催しました。

問題視された6日前の会合

検察側が問題視したのが、地震が起きる6日前の2009年3月31日に開かれた国の委員会の会合でした。
会合は、当時この地域で数か月にわたって小規模な群発地震が続いていたことから、規模の大きな地震が起きる可能性があるかどうかを評価するために開かれました。
委員会では、地震の予知はできず、継続して注意を払っていく必要があるとしながらも、「短期的には、大地震は起きそうにない」という見解が示されました。
また、委員会のメンバーだった防災庁の幹部がテレビ局のインタビューに応じ、「専門家は小規模な地震でエネルギーの放出が続いており好ましい状況だと確認した」などと述べ、住民に対して家にとどまってよいという事実上の「安全宣言」と受け止められる発言をしました。
裁判の中で検察側は、「地震が予知できなかったことを問題にしているのではない」としたうえで、「委員会は住民に対して慎重に地震の可能性を伝えるべきなのに、科学的な根拠のない表現によって住民に避難の必要はないと感じさせたことが被害の拡大につながった」として、過失があったと主張していました。

事前に地震予知を巡る“混乱”も

2009年にイタリア中部を襲った地震を巡っては、発生の1週間余り前に、個人の立場で地震を研究している国立研究所の技師が、「地中から異常な量のラドンガスが排出されており、この地域で大地震が起きる危険性が高い」として、住民に周知する活動を始めました。
これを受けて住民の間に急速に不安が広がったことから、国の防災当局は、この予知について科学的な根拠がないと否定し、地元の自治体もこの技師に対してこうした情報を広げるのをやめるよう命じました
国の委員会としては、「地中からのラドンガスの排出量によって地震を予知できることは科学的に証明されていない」として、住民の不安を打ち消すためにより強い表現で「近いうちに大きな地震が発生する可能性は低い」という情報を流し、誤解を招く結果につながったとも指摘されています。

被害者の方々にはお悔やみを申し上げますが、科学というものの社会との関わり方、あるいは何らかの専門家にとっての業務上のリスクマネージメントなど、様々な観点から非常に教訓的な判決であったように思います。
注目しておきたい点としては検察側はあくまでも予知が当たらなかったことが問題なのではない、しかし近々大地震が起きる可能性が少ないという結果として誤っていた予知の結果を不用意に伝えたことが問題であったのだと主張していたことで、多数の科学者等による抗議を予想してか慎重な態度で裁判に臨んでいたことが推測されますね。
有罪と判断された判決の理由については近々公表されるということで未だはっきりしませんけれども、求刑よりも重い実刑を下したという点からすると検察の主張した部分よりもさらに一歩踏み込んで責任を認定したとも受け取れるもので、その内容如何によっては大きな議論を呼ぶことになるかも知れませんし、当然ながら控訴審での判断が注目されるところです。

問題はこの判決によって「今後、同じような悲劇が繰り返されない」ようになるかどうかという点ですが、最も単純な悲劇の回避法としては予測の結果がどのようなものであったとしても「大地震が発生する可能性は完全には否定出来ない」式の発表を繰り返すにとどめるということでしょう(実際、日本の大地震予測などもそれに近い状況にあるようですが)。
こうした型どおりの発表をするだけならそもそも地震予知を行う意味などないではないか、という意見もあるかも知れませんが、少なくとも現代の科学技術水準において地震予知を100%の確度で行うことは不可能であると専門家の見解が一致している以上、起こった時の巨大な被害を考えれば常に万全の備えを成しておくべきであるという意見には一定の説得力を持ち全く意味がない行為でもないわけです。
無論、医療などでもそうですが悪い結果が出る可能性がゼロではない以上、まず問題は起こりませんよと言っておいて万一トラブルが発生した場合に大騒ぎになるくらいなら、トラブルが考えられますので一応覚悟はしておいて下さいと伝えておいて何もなければ幸いにも無事に済みましたと言っておいた方が、顧客との関係を悪化させるリスクは少ないというのは常識ですよね。
ただ医療の世界では防衛医療と呼ばれるこうしたリスクをしっかりと伝えるやり方は近年ますます広まっていて、確かにそれはそれでトラブル回避に役立っているのですが、同時にまず起こりえないと思われるトラブルに恐れを抱くが故に必要な医学的処置すら拒否する患者が続出するという別な面での問題も増加するようになってきている点は留意すべきでしょう。

地震予知の観点から同種の問題を取り上げるならばまさに今の日本で行われつつある津波対策というものがそれだと思うのですが、ひと頃あまりの巨額の経費にどうせ実現性は乏しいのだろう?と思われていた全国各地の海岸線を巨大なスーパー堤防で覆い尽くすという無謀な計画が、これではまだ生ぬるいとばかりにさらに規模を拡大再生産して実行に移されかねない気配すらありますよね。
もちろん津波の被害は例えば1000年、2000年という大きなスパンに関して言えば決して小さなリスクではありませんから、その間に一度でも何かあれば十分「元は取れる」という考え方もないわけではありませんが、実際問題として予想されるコストとそれによって得られる利益とを相互に比較した場合、それこそ人の命は地球よりも重い式の価値観を併用しなければ到底ペイするものとは思われません。
杞の国の人が天が崩れ落ちてきはしないかと心配して夜もおちおち眠れなかった…という「杞憂」の故事は馬鹿げた考えの典型として誰でも知っていると思いますが、億年単位のスパンで見ればそれこそ天が崩れ落ちるような巨大災害の可能性はそれなりにあるのは事実であっても、それに対して万全の備えをするため今から世界中の生産力の全てをつぎ込んで地球外移民を目指すことが正しいのかどうかは全くの別問題だと言うことです。
人間あまりに極端過ぎるリスクマネージメントのやり方にはさすがにそれはおかしいと常識が働くもののようですが、普段ならこの種の専門家の失態には手厳しいネット世論が「何かおかしくね?」と言う流れに傾きつつあるように見える今回の判決、どうやらその境界線付近に位置するケースではあったようですね。

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2012年10月23日 (火)

保険と言うものに関わるニュース二題

昨今では妊産婦の高齢化が進んできていることもあって生殖医療、不妊治療というものにも非常に関心が高まっています。
一方で少子高齢化対策上も出生率向上は社会的に求められているところですが、そんな中でとかく高額のコストが制限要因になりがちな不妊治療を支援しようという話が出てきたようです。

金融庁、民間保険で「不妊治療」の補助ができるよう検討(2012年10月18日FNNニュース)

高額な治療費がかかるといわれている「不妊治療」。その費用を民間の保険で補助できるよう、金融庁が検討していることがわかった。
産婦人科に通う女性は「たくさん悩んでいる方がいるので、とてもありがたいことだと思います」、「1歩、踏み出せるんじゃないか」などと語った。

厚生労働省は2012年6月、第1子を出産する母親の平均年齢が、初めて30歳を超えたと発表した。
出産年齢が高齢化する中、不妊治療の関心が高まっている
金融庁は、高額な費用がかかる不妊治療の負担軽減のため、民間保険の対象にすることを検討している。
不妊治療をしていた女性(32)は「自己負担がすごく大変だった。年間で70万円~80万円くらい」と語った。
現在、第2子を妊娠中で、その健診のため病院を訪れたこの女性は、3年間の不妊治療の末、最初の子どもを授かったという。
人工授精の3回を含め、費用はおよそ240万円で、費用の捻出に苦労したという。
不妊治療をしていた女性(32)は「自分が妊娠中に保険に入ろうと思った時に、(不妊治療で)入れませんと言われたこともあったので。(保険があると)やっぱりありがたいです」と語った。

体外受精や顕微授精などの費用は、1回に30万円から40万円ともいわれ、高額。
しかし、健康保険は適用されず、患者が重い自己負担を強いられているのが現状となっている。
ある調査によると、子どもがいない夫婦が、不妊を心配したことがある割合は、およそ6割
そのうち、不妊治療を受けたことがある夫婦は、およそ5割にのぼった。
さらに、厚労省が行っている不妊治療の助成金の支給件数も、6年間で5倍に急増した。
少子化を考えるうえで、不妊治療は避けては通れない大きな課題となっている。
この現状に、清水産婦人科クリニックの清水良美理事長は「必ず成功するということでもありませんし、2回、3回ということもございますので、やはり(費用は)相当な負担になると思います。費用的なことを聞いて、断念する方も中にもいます。保険で出してくれるとなると、もうひと月、来月もやってみようかという気持ちになる。それで妊娠が成立すると、いいことだ」と語った。

子どもが欲しい女性にとって、民間保険の参入は朗報となるのか。
保険アナリストの山野井 良民氏は「不妊治療は、どうしても高額な負担になる。お金に余裕のある人しか、治療を受けられないというのが現状。不妊治療の費用を保証する保険が開発されると、社会的な不公平を改善することになる」と語った。
2年前から不妊治療を受けているという、38歳のAさんは「去年1年間の治療では、100万円は確実に使っていると思います。お金がネックでやめてしまえば、このままだと、確率的には子どもを設けるのは低いですし、ある程度、できる範囲のことはやろうと。お金を理由に(不妊治療の断念は)今は考えていない」と語った。
お金が理由で、子どもをあきらめたくないというAさん。
仕事を続けながら、高額な治療費を払っているという。
Aさんは「今、治療を行っているわたしの立場では、治療を行っている最中でも、その保険に加入できるかどうかとか。年齢制限があると、わたしも高齢な方に入るので、ちょっとつらいなってなります」と語った。

金融審議会では、早くて2013年秋の臨時国会に、保険業法の改正案を提出する方向。
一方で、山野井氏は「専用の保険となると、不妊治療を希望する人だけが加入すると、保険の運営としては、難しい問題が出てくる。医療保険に特約として、自由に選択できて、加入できることが考えられる」と指摘している。

ちなみにそんなに金銭的負担が問題ならいっそお産関連は全部保険扱いにすれば…という人もいるかも知れませんが、産科関連については保険外の完全自由診療だからこそゴージャスなセレブ産院など多種多様な業態が発達してきたという経緯もあって、日本では保険外診療のモデルケースとしてもそれなりに意義があったんじゃないかという気がします。
さて、どうも不妊治療でどこまで保険扱いで行われるかは施設によってまちまちのようなのですが、排卵誘発剤や人工授精(AIH)までは保険診療で扱っている施設があるようで、一方体外受精、顕微授精以上は自費扱いになるようですから、すぐ100万、200万というお金が飛んでいくと言います。
不妊治療を繰り返している方々は当然ながら高齢など条件が悪い方が多く、特に40歳以上ともなれば正直無理だろうと思いながらも希望がある以上続けざるを得ないという専門医の先生方にとっては、この経済的要因によって治療を断念させられるということもある意味ほっとするところではあったようですね。
逆に各種補助の充実によって到底妊娠が無理でも今まで以上にがんばってしまう方も増えてくるということになりますが、記事中にもあるように現在では公的な補助制度の利用者も急激に増えてきているようで、財政面からも医療リソースの面からも一体どこまでを支援の対象にすべきなのか、たとえば50歳、60歳になっても望むまま幾らでも支援を続けるのかといった議論も必要になってくるのかも知れません。

今回の検討では民間保険でということなんですが、結局経済的にペイするかどうかということを考えると加入者は当然確実に高い治療を受けることが前提でしょうから、やはり不妊治療専用と言うより他の保険とセットでということにならざるを得ないでしょう。
もともと高齢出産では各種リスクが飛躍的に高まることが知られていますが、以前にも取り上げたように卵子提供で妊娠した場合は妊娠高血圧症候群になる割合が体外受精に比べても約6倍になるなど、不妊治療を受ける段階で言葉は悪いですが母子ともに何らかの合併症はまず必発するものと覚悟しておかなければならないはずです。
記事にもあるように今までは妊娠が成立してからこうしたリスクを知り、慌てて保険に加入しようとしたところ合併症のため断られたといったケースもあったようですから、こうした保険の登場によって妊娠希望者の危機意識が高まるのであればそれはそれで意味があることかなとも思いますね。
さてもう一件、こちらもまた以前から言われていたことですが、ついに対策をしなければと言う議論がようやく歴史上初めて始まったという先の長いニュースです。

柔整療養費抑制へ、社保審専門委が始動- 療養費改定で公開の議論は初(2012年10月19日CBニュース)

 増え続ける柔道整復療養費の抑制策を検討するため、社会保障審議会医療保険部会に専門委員会が設置され、19日に初会合を開いた。厚生労働省によると、療養費改定について公開で議論するのは初めて。まず2012年度療養費改定の案を取りまとめた上で、中長期的な療養費の在り方を検討する予定。厚労省側は、多部位施術や長期・頻回施術への保険給付の見直しなどを課題に挙げている。

 「柔道整復療養費検討専門委員会」は、医療保険部会が11年12月に、柔道整復などの療養費について「12年度改定において適正化するとともに、関係者による検討会を設け、中・長期的な視点に立って在り方の見直しを行う」とする「議論の整理」を行ったことなどを受けて設置された。座長には、医療保険部会の部会長も務める遠藤久夫・学習院大教授が選ばれた。

 柔道整復療養費は、国民医療費を上回る勢いで伸びていたため、09年に政府の行政刷新会議が行った事業仕分けで対象になり、都道府県間で請求部位数に大きな差があることから、3部位以上の請求に対する給付について「見直しを行う」と評価された。これを踏まえ、翌10年6月の療養費改定では、3部位目の給付率が80%から70%に引き下げられ、4部位目以上は給付しない仕組みになった。

 その結果、柔道整復療養費の10年度の伸び率は1.3%で、09年度から1.0ポイント下がった。また、全体に占める3部位以上請求の割合の全国平均を見ても、09年10月分は50.8%だったが、10年は46.8%、11年は40.9%と減少傾向にある。しかし都道府県別では、11年でも、最高の大阪(63%)と最低の山形(12%)では、約5倍の開きがある。

 初会合で厚労省側は、12年度療養費改定に関する「基本的考え方」の案を提示。多部位請求への給付について「さらなる見直しを行う」ことを提案した。さらに、長期・頻回施術に対する給付の見直しや、頻度が高い施術について理由書を支給申請書に添付させるなどの運用の見直しを行う案も示した。
 また、支払側の高橋直人委員(全国健康保険協会理事)は、「12年度療養費改定に当たっての意見」と題した資料を提出。この中で、「不適切な請求も後を絶たず、適正化が急務」とした上で、「改定率を引き下げる方向で検討していただきたい」と求めた。さらに、行政刷新会議の提言を踏まえて、3部位目の請求への給付率を33%に引き下げることや、施術期間や施術回数に上限を設けることなどを要望した。

 一方、施術者側の委員からは、慎重な議論を求める声が相次いだ
 田中威勢夫委員(全国柔道整復師連合会長)は、1936年の制度開始からこれまで、制度変更がほとんどないことに触れ、「いろいろな制度疲労を起こしており、制度に不備がある」と指摘。「制度の不備と不正請求を整理して議論しなければならない」と訴えた。近藤昌之委員(全国柔道整復師連合会常任理事)は、「全体の医療費を下げるためにも、柔道整復医療を活用してほしい。(柔道整復師が)治療することで、予防効果も期待できる」と語った。

 次の専門委では、12年度療養費改定についてのたたき台が厚労省から示される予定。療養費改定は通常、2年に1回、4月に行われる診療報酬改定を踏まえて6月に実施されているが、12年度改定はこの専門委が取りまとめる改定案を受けて実施される。

■はり・きゅうの療養費も専門委で検討
 同日には、「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」も初会合を開いた。この専門委も、11年12月の医療保険部会の議論の整理などを受けて設置され、まず12年度療養費改定の案をまとめた上で、療養費の中長期的な在り方を検討する。柔道整復とはり・きゅうなどでは、療養費の支給対象になる負傷や支給方法が異なるため、別に専門委が設けられた。【高崎慎也】

しかし柔道整復師の施術には予防効果があると正当化いますけれども、医家による保険診療では原則予防治療は保険扱いが認められていないわけですから、このあたりにも不公平な取り扱いが慣習化してきたことが伺われますね。
思えばこの柔整問題も長年とんでもないことだと言われ続けながら、2009年になってようやく民主党政権下でこの問題には対策が必要だと仕分けで取り上げられた、そして2010年あたりから各地の健保組合で厳しい審査や不支給と言った具体的な行動が出てくるようになった経緯は過去にもお伝えしてきた通りです。
当事者もまさに制度が時代に合っていないのだと言っているわけですから、さっさと制度を改める議論を進めるべきなのは当然ですが、スケジュールを見ても実現はまだまだ先の話でもあり、しかも例によって近い将来の政権交代でまたしても有耶無耶にもなりかねない危惧もあります。

医療がこれだけ締め付けが厳しくなり本来必要な医療すら行えないようなケースがある中、柔整だけがレセプトのチェックも受けないまま好き放題に医療費を使って儲けているというのもおかしな話で、本来であれば基準も何も違う以上は全くの別物として医療と切り離していただいてもおかしくないと思います。
同時に「保険が使える安いマッサージ屋」として柔整を不正利用してきた国民の側がそのつけを医療費国民負担という形で支払わされることもある意味因果応報なのですが、同じ医療費を支払うならより実質的な効果のあるものにこそ十分なお金を使っていただきたいと考える国民も多いのではないでしょうか?
ともかくこの柔整問題については今までにもあまりにいい加減に行われていることは公然の事実だったにも関わらず全く野放しであったという経緯があるわけですから、いつまでも既得権益に配慮して慎重な議論で時間を浪費するばかりでなく実のある改善を早急に図っていただきたいものだと思いますね。

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2012年10月22日 (月)

臨床研修制度 誰のための改革なのか?という基本

近い将来また臨床研修制度が改められるということで、各方面からいかにも見え見えの誘導も出てきてもいますけれども、先日医道審でこんなやりとりがあったそうです。

臨床研修プログラムの「弾力化」に賛否- 医道審WG (2012年10月18日CBニュース)

 2015年度からの新たな臨床研修制度の導入に向け、現行制度を検証している医道審議会臨床研修部会のワーキンググループが18日に開かれ、研修プログラムが10年度から弾力化されたことの是非をめぐり、日本医師会と病院団体で意見が分かれた。日医常任理事の小森貴委員が、「弾力化以前に戻すことには反対だ」と述べた一方で、病院団体の代表からは、弾力化の弊害を指摘し、必修科目を増やすよう求める声が上がった。

 従来の臨床研修制度では、必修は内科、外科、救急(麻酔科を含む)、小児科、産婦人科、精神科、地域医療の7科目だった。10年度の制度見直し以降は、必修は内科、救急、地域医療の3科目だけとなり、残る4科目は、麻酔科を含めた5科目のうち2科目を選ぶ「選択必修」と位置付けられている。
 「医師臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ」では、必修・選択必修とする診療科が論点の一つになってており、同日の会合でも意見が交わされた。

 小森委員は、日医で臨床研修医に意見を聞いたところ、「弾力化プログラムを評価する声が高かった」と説明。「弾力化プログラムを以前に戻すことには反対だ」と訴えた。

 一方、全日本病院協会副会長の神野正博委員(董仙会恵寿総合病院理事長)は、昨年度に研修を修了した人を対象にした調査で、産婦人科未履修が約3割、小児科未履修が約2割、外科未履修が1割弱とのデータが、前回の会合で示されたことから、「弾力化の弊害が出ている」と指摘。以前は必修だった7科目について、「期間には検討の余地があるが、何らかの必須化が必要だ」との考えを示した。
 日本病院会常任理事の岡留健一郎委員(済生会福岡総合病院長)も、「若いうちからいろんな科を経験することが基本。前のシステムの方がはるかに良い」と述べ、日病では弾力化プログラムに反対だと表明した。

■基幹型研修病院の年間入院数基準見直しを―病院団体が要望

 また、病院団体代表の2人は、「年間入院患者数3000人以上」が基幹型臨床研修病院の指定基準になっていることを見直すよう求めた。

 神野委員は、「研修医をきめ細かに教えることができるならば、3000人未満の地方の病院でも認めてほしい」と述べた。岡留委員は、「大きい病院にたくさんの研修医がいると、1人の分担する数が少ない」と指摘。病院ごとに施設基準を設けるのではなく、研修医1人当たりの症例数を基準にすべきだと訴えた。【高崎慎也】

しかし必修診療科が内科系3つにあと二つは選択、しかも期間等も任意ということになると、これはもうスーパーローテートとは言えない内容ですかね?
大学側のカリキュラム変更やマッチング導入のせいでしょうか、今の若い先生方は(ドロップアウトの時期も含めて)きちんと人生設計等考えて学生時代から各地へ研修に出かける等アクティブな方々が増えている印象があって、昔のように何となく先輩のつてを頼って入局するというケースはむしろ少数派になっているように思います。
それだけに基本的には必修化を推進してガチガチに縛り上げるよりは、各自のやりたいようにやれる程度の自由度がある方が望ましいんだろうなと思うのですが、教育というものは医療分野に限らず誰にでも持論があるでしょうから完全な意見の一致は難しいのでしょうし、どんな制度になっても必ず前の方がよかったという意見は出てくるでしょうね。
医師としての質を確保するという観点からはとにかくメジャー診療科で一定期間厳しく鍛えるというのが一番手っ取り早いかも知れませんが、同時に現代の学生気質を考えるとドロップアウトが一気に増えていく懸念もあって、結局のところ初期研修の2年間だけで何匹も兎を追いすぎるのも考え物なのでしょう。

ただし大前提として「研修医は安価な労働力ではない」というのがこの研修制度導入のお題目ではあったはずで、いかにも見え見えの「うちの病院にも研修医よこせ」式の議論が未だに出てくるというのはどうも見ていて気持ちのいいものではありませんね。
いずれにせよ研修医が安心して学べる環境作りは医師全体の労働環境改善にも極めて重要で、こうした制度改革を通じてそちらの改善も進んでいけば理想的なのですが、先日日経メディカルにあの舞鶴市民病院で有名だった松村理司先生のこんな記事が出ていましたので紹介してみましょう。

「医師法第21条は、原則として無視します」(2012年10月19日日経メディカル)

 今年の5月、「日経メディカルCadetto」夏号の特集「私にチカラをくれる とっておきの言葉」の取材で、洛和会音羽病院(京都市山科区)院長の松村理司氏にお目にかかった。
 松村氏と言えば、市立舞鶴市民病院勤務時代に「大リーガー医招聘プログラム」を立ち上げたことでも知られる、研修医教育の第一人者だ。過去に「日経メディカル」や「日経メディカルCadetto」にもたびたびご登場いただいている(その時々の取材テーマは、「グラム染色」から「医者カップル」まで実に幅広い)。
 当該記事でご紹介した松村氏の「とっておきの言葉」と、それにまつわるエピソードは、若手医師・医学生向け会員制サイトの「Cadetto.jp」に転載している(こちら)ほか、電子書籍(こちら)でもお読みいただけるので、ここではあえて触れないでおこう。
 その「とっておきの言葉」ももちろん印象的だったのだが、実は、取材の後半にこんなエピソードがあった。事前に取材の趣旨をお伝えしておいたところ、松村氏は、候補となる「言葉」を複数用意してきてくださった。その1つが、こんな言葉だったのだ。

 「医師法第21条は無視する。原則として警察には届けない」――。

 私は思わず目を丸くした。医師法第21条といえば、医師による異状死体の届出義務を定めた有名な条文だ。そこには、以下のように書かれている。

 第21条 医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない

 昭和23年に定められた医師法のこの条文は、犯罪捜査に端緒を与えることを目的に定められたものとされている。だが、近年は、発見時の状況から犯罪の可能性が否定できない死亡だけでなく、診療行為に関連した予期せぬ死亡(医療過誤が疑われる死亡など)についても「異状死として警察に届け出るべき」との提言が、日本法医学会(1994年、参考資料)や日本学術会議(2005年、参考資料)からなされており、厚生労働省もこうした解釈を肯定している。
 だが松村氏は、「院内で医療事故死が発生した場合、原則として警察に届けることはしない」と、院内のみならず、学会などの公の席でも明言しているのだという。

 松村氏の真意はこうだ。
 「医療事故が起きたら、まずすべきことは何か。それは、原因を究明し、患者さんやご家族に包み隠さずお話しし、病院側が犯した過失については心から謝罪すること。そして、金銭面での補償や再発予防策を誠意を持って話し合うことだ。そんな大事なプロセスに、医学の素人である警察が入ってくると、現場は混乱し、状況の説明だけで膨大な時間を取られてしまう。そのことによって、家族との関係が良くなるわけでもない」。
 そもそも、故意による侵襲があったと疑われる場合を除いて、医療事故死は異状死には含まれず、医療事故を起こした医療従事者は、業務上過失致死傷罪の対象(=犯罪者)にはならない、というのが松村氏の持論だ。
 過失があったとしても、犯罪ではないから、全力で国家権力から職員を守る
 その姿勢を貫き、常々、同院の医師や看護師など、すべての職員に対して、「医療事故が起きたときに、君たちを警察に売るということは絶対にしない。その代わり、そうした事態を招かないように、真摯に業務に取り組んでくれ」と公言しているのだそうだ。

患者・家族への真摯な謝罪と説明が大前提

 もともと、異状死の定義をめぐっては、臨床医、法医学者、法律家などの間でも意見が分かれ、議論が続いているところだ。とりわけ現場の医師からは、医療事故による死亡を一律に警察に届け出ることについて、「医療の萎縮につながる」との批判が強い。とはいえ、松村氏のような大病院の院長が、公の場で第21条を真っ向から否定し、「条文無視」を実践しているケースは、極めてまれだろう(ちなみに、同条に違反した場合の罰則は50万円以下の罰金と定められている)。
 もちろん、医療現場への公権力の介入を拒む上で大前提となるのが、患者・家族(遺族)への誠実な対応だ。「近年、警察や検察が医療現場に介入するようになった背景には、日本の医療の閉鎖性があり、医療者側にも反省すべき点が多々ある」と松村氏は言う。医療事故が起きた際に、「何が起きたのかを知りたい」という患者・家族(遺族)のシンプルな要求に、誠意を持って応えようとしない病院――そんなケースが少なくなかったために、不信感を募らせた患者・家族(遺族)が、警察に頼らざるを得ない状況が生まれてしまったことは事実だ。
 だからこそ、松村氏は、患者サイドに事実を包み隠さず伝える姿勢をスタッフに徹底させている。それでも、遺族による警察への相談をきっかけに、院内に捜査員が踏み込んできたこともあったというが…。

 医療者、患者、それぞれの立場で、「第21条違反」に対する見方は様々だろう。だが、少なくとも、リスクを冒しながら目の前の命を救うべく日夜奮闘する医師たちにとって、自らが盾となり、「私は君たちの味方だ」と明言してくれる院長の下で働けるということは、本当に幸せなことだと思う。
 なお、この松村氏の主張は、同氏の編著による『地域医療は再生する』(2010年、医学書院)のp43~47、p59~66にも詳しく書かれている。

残念ながら舞鶴は行政の無理解もあってああしたことになってしまいましたが、あれだけの研修システムを組み上げた人物の言葉だけになかなかに含蓄があるように思いますね。
そもそも医療に関連する法律というものはとかく時代に合わなくなっているものが多くて、この21条を始め応召義務を定めた19条など社会状況の変化に合わせて軒並み改訂していけばそれだけで医療を取り巻く環境もずいぶんと改善されそうな気もするのですが、とにかく今のところは悪法だろうが何だろうがルールとして存在しているのも事実ですし、何かあれば法律違反だと言われてしまう可能性はあるわけですね。
研修医としてみれば自分のやっている診療が医学的に正しいのかどうかも暗中模索の状態で、その上間違えば警察が飛んでくるなどと脅しをかけられればよほど神経の太い人間でなければ「それじゃ何もしないで見てるだけにしとこう」という気持ちになってくるのも当たり前の事です。

かつてのストレート研修を懐かしむ世代からは昔の制度ならよい上司に巡り会えれば非常に研修の実が上がったという声も根強くあって(同時にそれは外れ上司に当たれば何ら意味のない研修に終わるかも知れないというリスクを示してもいるわけですが…)、ともかくかつての縦関係厳しかった時代には上は偉そうにもするが、下のやった行為の責任は全て上が取るというのは言うまでもない当たり前のことだったのは確かですよね。
ローテートで毎月あちらへこちらへと診療科を渡り歩き、何ら危ないことには手も出さず学生時代の臨床実習の延長のような研修でお茶を濁して終わっている研修医達を諸先輩方が歯がゆく思っているのであれば、まずは何があっても責任は上が取るという姿勢を示すということは最低条件でしょう。
とにかく研修制度見直しと言いながら当事者である研修医達を排除した密室内で、学識経験者と言えば聞こえはいいですが病院協会の偉いセンセイ方など使う側の論理ばかりで議論が進んでいるのを見ていると、いずれ初期研修の2年間は適当に流して進路が決まってから本気だそうぜ…なんて風潮が蔓延しかねないんじゃないかなとも思ってしまいます。

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2012年10月21日 (日)

今日のぐり:「水野」

先日こんな悲しいニュースが出ていたのですが、ご覧になりましたでしょうか。

iPadを買った。箱を開けたら中身はノートだった。15歳少女涙目/米(2012年10月17日GIZMODO)

ノートパッドですか。

考えても見て下さいよ、15歳の女の子が、誕生日プレゼントに母親からiPadをもらうシーンを。幸せ絶頂ですよ。しかし、いざ箱を開けてみると中から出てきたのはノート。ノートパッド、日本で言うルーズリーフの束。これは、米国はテキサス州でコートニー・エイカーズちゃんに起きた出来事です。

母親がiPadを購入したのは、米国大手小売店のウォルマート。店に戻って苦情を言いましたが、ストアマネージャーは何もしてくれませんでした。返金も交換もなし。結局ウォルマート本社が、新しいiPadを送ってくれることになったそうです。めでたしめでた...いや、でもそもそも何があったのでしょうか。ウォルマートでは監視カメラの映像等から原因究明中だそうです

iPadやiPhoneの箱を開けたら...の騒動って定期的に起きていますよね。もちろんすり替える奴が悪いのですが、これを防止するにはアップルがシースルーのパッケージにするしかないのでしょうか。

しかし店側の不誠実な対応もさることながら(アメリカはむしろ返品交換に寛容な国だと思っていましたが…)、プレゼントの箱から出てきたのがこれではその胸中いかばかりかというものですよね…
思いがけず何とも悲しい目に遭ったコートニー・エイカーズ嬢を慰める意味でも、今日は世界中からいくらなんでもそれには失望するだろjkというがっかりなニュースを紹介してみましょう。

iPS細胞に目を輝かす“腐女子”(2012年10月15日東スポ)

 ノーベル賞に決まった山中伸弥京都大教授(50)が開発したiPS細胞が奇妙なところで話題になっている。“腐女子”と呼ばれる、ボーイズラブに異常にコーフンする超マニアックな女子たちが「我々の未来を変える技術になる」と目をランランと輝かせているというのだ。

 難病を抱えた患者に、新薬や拒絶反応のない新しい臓器を提供することも可能になる――。世界中から期待される奇跡の技術だが、一歩間違えると倫理問題に発展することも。
 たとえば、男性の皮膚細胞から卵子をつくり出したり、女性から精子をつくり出すことも理論上可能になるわけで、同性婚カップルが、自分たちの遺伝子だけの子供をつくることも可能になり、大きな期待をもって注目しているのも事実。

 だが、腐女子が興味津々となると、理解の範疇(はんちゅう)を超えている。

 20代腐女子のAさんは「今回のノーベル賞のニュースでiPS細胞が私たちに注目されることは間違いありません。特に成人向けの同人誌を作ってる人たちはiPS細胞を取り入れた作品ジャンルを生み出すはず」と興奮気味。

 たとえばエロ同人誌の中で、攻めの男が受けの男との性行為で「俺の子種で妊娠しろ!」というセリフを吐いたとする。今までなら、これは性的な盛り上げに一役買う「効果」でしかなかったが、今後こう変わる。エロ同人誌の“iPSもの”では「お前の体からつくった卵子を俺の精子で受精させてやる!」などと成立してしまうわけだ。

 Aさんは「愛する男同士が本当に子供をつくれちゃうなんて最高に興奮します。この業界の創作可能性は無限大です。絶対に買います」と目を輝かせる。腐女子の飽くなき欲求はまさに神をも恐れぬものになるのだ。
 さすがの山中教授もあぜんとするしかない?

いやまあ、確かに趣味の世界は自由ですよ、自由ですが…人間の想像力には限りというものがないのだと改めて思い知らされるというか、夢もロマンもないと言うか…とにかくがっかりですね…
日本の著名な観光地等にも常勤の?プロの方がいるのが知られていますけれども、やはり本物偽物を問わずシゴトという顔をあまり露骨に見せられるのも興ざめというのがこちらのニュースです。

偽僧侶が路地裏でタバコ・金勘定にTwitterで批判集中!(2012年10月14日秒刊サンデー)

僧侶が路上でお経をあげながらお布施を恵んでもらう托鉢というシステムが日本ではメジャーとなっているが、そんなシステムを悪用し、金を巻き上げているという噂がネットで囁かれている。アップロードされた画像では、路地裏で金勘定をし、咥え煙草まで。しかもその場所は禁煙エリアだということで、マナーの悪さも浮き彫りに。果たしてこのような行為は認められるものだろうか。

画像Twitterより
http://twitpic.com/b2k6gx

托鉢で売り上げたと思われる金額を、笑みを浮かべながら勘定しているという衝撃的な瞬間だ。
画像を拡大してみると、タバコをくわえながら金勘定をしていることが判明。そもそも僧侶がタバコを吸うなんて、戒律違反ではないのか?と思うのかもしれないが実は日本のお坊さんは、酒・たばこがOKであるという珍しい宗教なのである。
とはいえ、節度を持って吸わなければいけないのは坊さんだからという訳ではなく、人間としてのマナーである。そんな中、彼らが吸っているその場所は実は禁煙区域。上記に飲食・禁煙の張り紙が貼ってあるにもかかわらず、堂々と吸う彼らの姿にネットでは怒りの声も。

―Twitterの反応

・海外でも子供が良くやってくる手口。
・お金集めこれが秋葉原などで目撃されている、金色の御札を手渡してきてお布施をせびる偽僧侶
・宗教は金になるからね。
・咥え煙草
・金貨を出してお布施をせびる。上野浅草にもいるよ
・通報して托鉢許可証を持ってるか確かめさせれば良いと思います
・あーコレが噂の
・ワロスw
・ツラやべぇ

彼らが本当に僧侶であろうとなかろうと、お布施をされた方にとってはあまり見たくは無い光景だが本当に儲かるのであろうか?托鉢をやっている方に話を聞いたが、年間でおおよそ100万円の売り上げがあるそうだ。1日にすると3,000円ちょっとだが、税金もかからないため毎日やれば十分暮らせる金額なのかもしれない。

ま、喜捨という概念からすると誰にお金を渡すかよりも、自ら進んでお金を差し出す行為そのものが重要であるらしいですからギブアンドテイクが成立しているのかも知れませんが…
昨今残念なネタには事欠かない中国から、同じく信仰が絡んだがっかりニュースとしてこちらを取り上げてみましょう。

「神の湧き水だ!」中国で群衆が押し寄せ行列→飲んだら下痢になりトイレも行列/中国(2012年10月15日らばQ)

噂が噂を呼び人が群がることがありますが、中国には「神の水」とあがめられている湧き水があるそうです。
皮膚のトラブルや病気に効くと評判が広がり、大勢が押し寄せたのですが、その水を飲んだ人々がお腹を下してしまいました。

中国東部の浙江省にある湧き水は、吹き出物を始め皮膚のトラブルを治癒してくれると噂を呼んでいました。
中秋の名月である9月末には、この湧水の恩恵にあやかろうと何千人もの人々が押し掛け、徹夜で行列を作り水を汲んでいったそうです。
ところがこのありがたい水を飲んだ人が腹痛・下痢にさいなまれ、今度は公共トイレの行列に並ぶことになってしまったのです。

地元では湧き水を飲まないようにとの警告をしていたそうですが、訪問客たちは地域で独占したいだけだろうと疑ったようで、効果はありませんでした。ちなみに地元の人は煮沸してから飲んでいるとのことです。
実際の肌の治癒力についてはよくわかりませんが、少なくとも下痢のリスクを負ってまで飲む魅力は感じられませんね。

当局の調査によって単に汚い水であることが判明していると言いますが、ちなみに中国では公衆トイレも有料の場所が多いと言いますから、これまた全てが計算ずくでの騒ぎであったとすればプロデューサー役の人々にとっては大変な効能であったと言えそうですよね。
同じく中国から、子供達の夢を壊すような本当にがっかりなニュースが出ています。

野生動物園の目玉、いつでも広げられる孔雀の羽、実は電動だった!―北京市/中国(2012年10月9日レコードチャイナ)

2012年10月9日、中国の北京野生動物園で、「訓練でいつでも羽を広げられるようになった」と宣伝されていた孔雀が、実は電動で無理やり広げさせられていただけだと分かった。北京晩報が伝えた。

動物園に行っても孔雀が羽を広げる場面はなかなかお目にかかれないものだが、同園では、この孔雀を「いつでも羽を広げられるように訓練した」と大々的に宣伝し、観光客に有料の記念撮影サービスを行っていた。

だが、注意してみると孔雀は首から上しか自由に動かせないようで、羽によく似た物体が体に刺さっているようにも見える。まるで何かで固定されているかのような不自然さに、観光客の1人が同紙に通報した。

記者が疑惑をぶつけると、同園の広報責任者は「電動で開くようになっている偽物の羽を本物の羽に骨として装着している」とあっさり認めた。ただ、「体に突き刺しているわけではない」と否定したほか、「決まった時間に散歩や食事をさせている。虐待にはあたらない」と反論した。

孔雀の記念撮影サービスは同園が外部の業者に委託しているもので、4年ほど続いているという。今後は「訓練の成果ではないことを係員にきちんと説明させる」としている。(翻訳・編集/NN)

いや、「今後は「訓練の成果ではないことを係員にきちんと説明させる」としている」って、そういう問題なんですかねこれは?
同じく中国からの話題が続きますが、これはどこからどう見ても残念きわまる本当のがっかりなニュースではないでしょうか。

3000本のろうそく使ったプロポーズ作戦、大失敗 警備員が後始末/中国(2012年10月17日レコードチャイナ)

【新華網】14日夜、中国・河南省鄭州市に住む若い男性は、遼寧大学大学院生1年の女性にプロポーズしようと遼寧省瀋陽市に駆け付け、同日夜、女子寮の外でハート型に並べた3000本のろうそくを灯した。だが、残念なことに、女性は男性からの電話を受けずに、携帯電話の電源を切ってしまった。大学の警備員が男性のプロボーズを制止し、約30分かけてろうそくの火を消した。

携帯の電源まで切ると言いますからもしや普段からの事情もあったのかも知れませんけれども、あまりに悲しい結末に一片の同情を覚えずにはいられないがっかりニュースではないでしょうか。
中古と言えば単に価格のみならず探すことに楽しみがあるとも言いますが、こちら思わぬ掘り出し物かと思いきやがっかりだったというニュースです。

トラックが破格の値段で売られる…その信じられない理由とは?/米(2012年9月18日らばQ)

アメリカでは車が必需品だと言われますが、だからと言って特別に車の値段が安いわけではありません。
ところがかなり質の良いトラックなのに、1200ドル(10万円弱)の特価で売り出されていました。
その理由をご覧ください。

「このトラックは自分にとっては良いトラックでしたが、ハチに囲まれてしまい近づけないので売ることにしました。
ハチたちはトラックから出たり入ったりをもう2ヶ月繰り返していて、車から2m以内に近づけたことがありません。そうでなければ刺されてしまうからです。
こんな状態に嫌気が差したのでトラックを売ることにしました。自分も車に近づくことが出来ないため、試運転はご自身のリスクで行ってください。
あいにく隣に乗ることも出来ません。」

こんなことってあるんですね……。
写真を見る限り、恐ろしいほどのハチに囲まれ、ペイントスプレーでもしたかのように真っ黒になっています。
ちなみにこのトラックを買うとハチもついてくる……つまりハチミツも付いてくる、というオプションは期待できるかもしれません。
果たしてこのトラック、売れるのでしょうか。

と言いますか、アメリカではハチ駆除の技術などはないということなんでしょうかね?
最後に取り上げますのはこちら、子供達の楽しみを大人の無理解が奪い取っていくというがっかりニュースです。

おいしい給食NG指示に猛反発、調理師支援の動き広がり当局が方針修正。/スウェーデン(2012年10月14日ナリナリドットコム)

スウェーデンのある学校に、おいしい給食作りに心血を注ぐ女性調理師がいる。毎日用意される焼きたてのパンと、野菜を中心とした15種類の料理は、生徒たちも喜ぶ評判の給食――だったのだが、先日、市の当局が思わぬ理由を掲げてメニューの半減を指示。これに保護者らが反発する事態を招き、ちょっとした一悶着があったそうだ。

スウェーデン紙ザ・ローカルによると、この調理師はスウェーデン中部の街ファールンの学校で調理責任者を務めるアニカ・エリクソンさん。以前から彼女は、生徒たちの栄養面を考えたメニュー作りに注力し、決められた予算内で毎日生徒たちに「いくつかの選択肢を与えられる」豊富な数の料理を作ってきたという。しかし、そんな彼女の努力は「子どもを甘やかしている」として、9月24日、ファルン市当局がメニュー半減の通達を行ったそうだ。

ファルン市では、2011年から学校給食の改善に取り組むプロジェクトを開始。「全学校における給食の品質を上げるために努力する」目標を立て、プロジェクトを推進してきたが、今回はなぜか「めちゃくちゃおいしい」と評判のエリクソンさんの給食を問題視した。エリクソンさんによると、市当局はメニュー数が豊富な彼女の給食は、ほかの学校に通う生徒たちからすれば「不公平」とのこと。また、彼女が作る給食が「ダイエットを目指すプロジェクトのガイドラインから外れる」として、よそに合わせて「メニュー数を減らすよう」言って来たという。

この通達を聞き、学校に通う生徒や保護者は猛反発。不満に思った一部の保護者が地元メディアに情報を流した結果、国内外で大きく報じられることになり、さらに通達撤回を求める嘆願書や、エリクソンさんの努力を支持するFacebookページなども作成し、市当局に抗議の意志を示したという。この動きに驚いた市当局は、「お互いに誤解がなかったか確かめる」として、急遽10月8日にエリクソンさんとの話し合いの場を設けた。

すると、「生徒たちを幸せに、そして満足させることが大切」と訴えるエリクソンさんに対し、市当局は「彼女は誤解している」と説明。今回の件を「伝達不足」から生まれた誤解だと釈明し、「自家製パンや野菜を出したいというやり方に、異論はない」と彼女に伝えたそうだ。しかしながら市側の担当者は、メディアで大きく報じられたことに「影響を受けた」とも認めており、判断の修正を余儀なくされたというのが正直なところなのかもしれない。

かくして、おいしい給食を巡って揺れた学校の問題は一件落着。生徒たちは普段の給食はもちろん、伝統で続いているという彼女の「イースターやクリスマスのバイキング料理」を存分に堪能できそうだ。

しかしこの「ほかの学校に通う生徒たちからすれば不公平」だという市当局の理由付けが妙に日本のお役所っぽくて笑ったのですが、お役所というのはどこの国でもこんな感じなんでしょうねえ。
他の学校も同レベルの給食を提供出来るように努力すればいいだろうにという気もするのですが、あくまでも相手の誤解だと言い張るところもまたお役所っぽくてがっかりな所以でしょうか。

今日のぐり:「水野」

神戸市南部にあるポートピアホテル内の一角に位置するこちらは蕎麦屋の暖簾を掲げているお店ですが、つれづれに備え付けのパンフレットなどを見てみますと同じホテル内でうどん屋もやっていっらしく、この時点で大丈夫か?と悪い予感はしたものでした。
店内はさすがに高コストの店であるせいか雰囲気はそれなりにあるのですが、カウンター内に天ぷら鍋等あるんですがランチタイムのせいか使っている気配はなくて、奥の調理場だけで仕事をしているというのはおもしろくないですよね。

とりあえずランチメニューとして一番無難そうなミニ天丼ランチをかけからざる蕎麦に変更して頼んでみましたが、個人的な関西文化圏のイメージに反して?蒸籠盛りの蕎麦は量的には割子一段分程でしかありません。
問題はこの蕎麦の仕上がり具合なのですが、まだ少し早い時期なので味や香りには目をつぶるとしても、このどうしようもない腰と食感はそこらで売ってる干し蕎麦でも茹でてきたのかと思ってしまいました。
これで蕎麦つゆは割合にたっぷりと器に盛りきりなのですから、これは濃厚タイプの蕎麦湯でもつゆの味に負けるというもので、どうもこれだけの価格を出してまで食べたい蕎麦だとは到底言えそうにないですよね。
付け合わせというより相対的存在感ではメインの風格もあるミニ天丼の方は、天ぷら自体はネタ、揚げ上がりともまあまあ悪くない仕上がりで天丼として普通に食べられるのはいいんですが、しかしせっかくさっくりあがった天ぷらをツユにくぐらせて飯の上に載せて蓋までしてベチョベチョに蒸らすと言うのは、天丼というのは何とも罪な行為ですよねえ。
全体的には蕎麦ツユや天丼のタレ、小鉢の酢の物の塩梅などをみても味の組み立て自体はそれなりにしっかりしている印象ですので、蕎麦屋を名乗るより和食屋にでもしていた方がまだよかったかも知れない…と言う印象でしょうか。

後でネット上で見ますと「この界隈では一番の蕎麦屋」なんて評価があってびっくりしたのですが、たまたまこの日が例外的に極端にアレな日だったというのでなければ神戸市南部の蕎麦屋の水準に深刻な疑問を感じざるを得ませんけれども、この店の問題点は味もさることながら接遇面でしょう。
ドタバタとしているので何かやらかすかなと思いながら見ていましたら案の定と言うのでしょうか、いきなりオーダーミスで放置状態にされてしまったのはむしろ笑ってしまいましたが、そこらの安い早いが売りの飯屋でもないでしょうに店先で「はーい何人様ぁ?!」なんて怒鳴っているのは全くいただけません。
価格的にはもちろん立地から来る場所代ということも考慮に入れなければ公平ではないですが、しかしこの蕎麦の味からするとそこらのファミレスのランチセットと比べてもボリュームは控えめでお値段三倍という設定を受け入れられるかどうかですよね。
とは言いながら、最近こういう突っ込みどころ満載なお店に入ると何故かワクワクする自分がいるのも確かなんですが(苦笑)。

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2012年10月20日 (土)

医師不足が最も激しいという時代

本日の本題に入る前に、医師不足ということに絡んで先日愛知からこういうニュースが出てきましたが、まずは記事から紹介してみましょう。

医師不足の状況変わらず 県調査 /愛知(2012年10月16日中日新聞)

 医師不足に関する県健康福祉部の調査で、人手が足りずに産婦人科を休止するなどの診療制限を実施している医療機関(六月末現在)は、県内三百二十五病院のうち21・5%に当たる七十病院に上った。診療を制限している病院は、前年同期からやや減少したとはいえ増加傾向に歯止めがかかっておらず、同部の担当者は「医師不足の深刻な状況は変わっていない。今後も医師確保に努めたい」と話している。

 診療制限には、診療科の全面休止や、分娩(ぶんべん)対応の取りやめ、時間外救急の受け入れ停止などがある。調査を始めた二〇〇七年は六十二の病院だったが、年々増加。一一年には七十二に増え、今回は初めて減って七十になったが、多数に上っていることに変わりはない

 医療圏別では、知多半島(半田市、常滑市など)と尾張西部(一宮市、稲沢市)が、いずれも十九病院のうち六病院(31・6%)で、尾張北部(春日井市、犬山市など)も二十三病院のうち七病院(30・4%)でそれぞれ診療を制限。この三地域が三割を超えていた

 名古屋でも、百三十三病院のうち22・6%に当たる三十病院が診療を制限し、周辺部だけでなく、都市部でも医師不足に苦しむ現状が浮かぶ。

 診療制限がなかったのは尾張中部(清須市、北名古屋市、豊山町)だけだった。

 診療科別では、産婦人科は六十六病院のうち、22・7%の十五病院で分娩の取り扱いを休止するなどしていた。このほかに、診療制限が多いのは小児科14・2%、精神科13・5%、内科10・3%の順だった。

 県などは、名古屋大と名古屋市立大の医学部とは〇九年度から、愛知医科大医学部とは本年度から、県内の病院に勤務することを条件に学費を援助する「地域枠」をそれぞれ創設。出産などで辞めた女性医師の職場復帰を支援するといった対策を進めている。

 県健康福祉部の担当者は「地域枠の学生が医師になるまであと数年かかるので、医師不足の抜本的な解消にはまだ時間がかかる」との認識も示した。 (後藤孝好)

記事では状況は変わっていないということになっていますが、グラフで見ますと診療制限を行っている病院数、割合ともピークは過ぎたかなと言う印象もあって、来年以降改善傾向が見られるということになれば近年行われてきた諸政策がようやく効果を発揮しつつあるという風にも受け取れるニュースですよね。
とは言え未だにはっきり状況が改善されたとも言えないのも確かですから、記事の趣旨からして「状況変わらず」と銘打っているのも間違いではないと思うのですが、個人的にこの記事を見て感じたこととしてはいわば医師不足の一番深刻な時期がそろそろ底を打ちつつあるのだとすれば、はっきり言ってこの程度だったの?という気がしないでもありません。
地域によって深刻さに差があるとは思いますけれども、例えば同じ皆保険制度を取っている往年の医療崩壊先進国(現在は中進国くらいに持ち直しているようですが)イギリスのように急患が丸二日もストレッチャーの上で放置されていたとか、専門医にかかりたいと思ったら予約は何ヶ月も先になるといったレベルとは全くかけ離れていますよね。

「それでも具合が悪くて病院に行ったのに長く待たされるのは困るじゃないか」と言う人はいるでしょうが、日本では日医などの熱心な主張によるものか未だに医療は完全フリーアクセス制をイジしていますから、一部の医療機関に患者が集中すれば待ち時間も長くなるということは星付きレストランで行列待ちが出来ることと全く同じ理屈ですよね。
そうだとすれば現状の日本程度のアクセスの悪化でそこまで医療崩壊だと騒がれるのだとすれば、日本人特有の評価の厳しさを抜きにして考えるならばやはり待ち時間に相応する質の高い(あるいは、付加価値のある)医療を提供出来ていないということが不満に思われているのではないかとも思います。
これまた日医などが長年熱心に主張してきたように日本では全国どこでも同じ質の医療を提供しているというタテマエになっている、そのことが完全公定価格の均一料金での医療提供を正当化してきたとも言えますが、どうも実態の上からも顧客満足度改善という視点からも制度発足当時のような医療貧乏な時代ならともかく、高度医療すら身近なものになった今ではそろそろこの考え方にも無理があるんじゃないかなと言う気がしないでしょうか。
今現在がおそらく医療崩壊、医師不足という現象が一番厳しい状況に置かれている時期だということはある程度見えてきた、そしてそこで露わになってきた諸問題を改善しないままこれから漠然と医師が増えていき問題がごまかされていくとなると、また今後半世紀もこの不完全な制度が温存されていくことになりかねないのがどうなのかとは感じています。

いささか脱線しましたが、いずれにしても今は全国的に医療需給バランスが崩壊してどこも厳しい状況であると言うことになっていますけれども、そんな中で医療が供給過剰で困っているという地域があるらしいというニュースが出ていましたので紹介してみたいと思います。

警戒区域の病院、「仮の町」での再開は困難- 県側「病床足りている」 /福島(2012年10月17日CBニュース)

 福島県病院協会の被災21病院で構成する東電原発事故被災病院協議会(座長=前原和平・県病院協会長)の会合が16日、福島市内であり、警戒区域内にある病院が現状報告した。同病院の関係者は、「今後5、6年間帰れないのなら、被災者が多い地域に移転して、やり直したい」と訴えた。この病院がある町は、住民が集団移転する「仮の町」を設置する方向で、県内の別の地域と調整を進めている。ところが、移転先の地域では病床の供給が過剰で、病院の移転は困難な状況という。この関係者は、「人口の流れを踏まえて(取り扱いを)見直していただきたい」と、県側に柔軟な運用を求めた。

 病床の供給が過剰かどうかは、各都道府県が医療に対する需供バランスを踏まえて二次医療圏ごとに設定する「基準病床数」が判断基準になる。福島県内では、全部で7つある二次医療圏のうち、「南会津医療圏」以外は、「既存病床数」が基準病床数を上回る過剰病床地域に該当する。

 集団移転の受け入れを検討している地域では、病床の供給が既に足りており、県によると、被災者の受け入れに伴う人口増を踏まえても、病院の開設は難しいという。県担当者はキャリアブレインの取材に、「病院の気持ちは分かるが、病床は足りている。そこについては別の整理になる」と話している。

 16日の会合には16病院が参加。警戒区域内にある別の病院の関係者は、「将来的に元の病院での再開を目指すが、(休職中のスタッフに対する)失業給付が切れ、(東電による)就労不能への個人賠償も14年2月末に終わるので、その後は収入が全くなくなる」と、危機感をにじませた。

 東電による損害賠償の支払い状況についても報告し合った。同協議会は8月末には、逸失利益を30年以上にわたって補償することなどを東電側に要望している。
 前原座長はその後の話し合いで、「病院の再開・存続を実現するために検討するという方針を決定した」と説明した。具体的な対応をめぐり、東電側と交渉を進めているという。

 出席者からは、「資金が止まったら組織は終わってしまう。いつまでも待ち続けられない」「病院を生かすような賠償をお願いしているが、(審査の)締め付けがきつくなっている」などの声も上がった。【兼松昭夫】

一応解説しておきますと、日本には基準病床数という摩訶不思議な制度があって、要するに各地域ごとに病院のベッド数の上限は幾らまでと定められている、そしてそこに達してしまうと幾ら需要があろうが地域内ではそれ以上ベッドを増やせないということになっているわけですね。
当然ながら外来治療より入院治療の方が高くつく上に、日本では病床数が多すぎるという指摘が以前からあることから国としてはベッド数はむしろ減らしたいのでしょうが、診療報酬上ベッドは埋めなければ黒字にならないという制約もあり、何より多くの地域で現有病床数がすでに基準を上回っていることから一度減らせば二度と増やせない可能性が高く、どこの施設でも需要の有無に関わらずベッド数を減らすことには極めて消極的です。
その結果需要の多い施設ではベッドが足りなくて患者が受け入れられないという場合もあれば、需要が少ない施設では必要もないのに入院させてベッドを埋めるといった本末転倒なことになるわけで、人口の増減や住民層の変化などによって、地域内でもどういった施設により多くの需要があるのかは時代によって変化していくはずなのですが、現状では地域内・施設間での需要と供給のバランスが規制のために破綻しているということですね。

以前には医療費無料の避難民が病院に押し寄せたため地域の医療が崩壊の危機に反しているといった記事も出ていましたが、それでは自前の医療機関を新たに整備しようとしてもすでに基準病床一杯であれば不可能であって、仮に政策的な配慮を行うとすれば今後この避難地域に放置されたままの「空き病床」が何らかの利権になってくる可能性すらありますよね。
本来であれば医療とはハードウェアより何より医師や看護師など専門職スタッフという人材こそが大事なのですから、顧客の移動に伴ってスタッフも移動出来ていれば当面そう困ることはなかったと思うのですが、同じ県立病院間ならともかく民間病院など雇用形態が異なっていてはなかなか人材の移動も難しいということでしょうか。
そう考えると永続的な措置になる病床数の融通というよりも、例えば期間を限って被災地からのスタッフを雇用した周辺施設には地域の需要に応じて補助金を出すといった形で、人材の融通を活性化させた方がより即効性のある措置になるんじゃないかという気もします。
もちろんそうした人材移動が成立するためには避難地域から脱出した医療機関が人材を手放す、場合によっては廃業するということも必要になってくるわけで、これまた被災地は元通りに復元するのがよいのか、それとも新たな状況変化に応じて柔軟に体制を変化させながら復興を目指すのがいいかという、震災後ずっと問われてきた議論にもつながってくる話ではありますね。

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2012年10月19日 (金)

「つ鏡」と言いたくなるアサヒのアサヒたる所以

最近では侮蔑的な意味を込めて使われる場合も増えてきた「ネット自警団」という言葉ですが、かねてネットを目の敵にしてきたマスコミ諸社にとってはきわめて鬱陶しい存在であるようで、各方面から集中的なバッシングが続いています。
もちろん行き過ぎたプライバシーの侵害や犯罪的行為などはネットに限らず批判されてしかるべきものですが、こうしたネット上の活動が彼ら既存マスコミに対してはきわめて不都合な報道の裏側をえぐり出してきたという事実にも注目せざるを得ません。
要するにネットと敵対している彼らマスコミとしてはこの際と「ネット=悪の巣窟」という構図を根付かせたいのでしょう、そういう意識が日々の記事にも露骨に現れてきているのが興味深いですよね。

天声人語(2012年10月10日朝日新聞)

 アラン・ドロンの出世作「太陽がいっぱい」は、裕福な友になりすまして財産を狙う話だった。別人を装う点は振り込め詐欺も同じだ。こうした「世俗の悪事」に比べ、ネット空間の闇は底が知れない
 「歩行者天国にトラックで突っ込む」「伊勢神宮を爆破」。この手の書き込みは、業務を妨害した罪に問われる。警察は発信元のパソコンを割り出し、大阪と三重の男性をそれぞれ逮捕した。
 ところが、2人のパソコンは同じウイルスに感染していて、何者かに遠隔操作で乗っ取られた疑いが濃くなる。真犯人は持ち主になりすまし、犯罪予告に及んだらしい。否認で通した2人は慌ただしく釈放された。
 個人情報の流出ばかりか、愛機を不正アクセスやサイバー攻撃の踏み台にされ、濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)を着るなど御免だ。大阪の件は起訴され、裁判になるところだった。捜査側がよほど心しないと、不運な被害者は冤罪(えんざい)の責め苦まで負うことになる。
 ネット上には日々20万種ものウイルスが放たれ、対策が追いつかないそうだ。生活感の乏しい部屋で、陰々と悪意を「培養」している輩(やから)に言いたい。人生は短い。他を陥れる暇と知恵があるなら、「自分の今」を楽しまないか
 ツイッターでは、時の人、山中伸弥教授の名をかたる者が「ノーベル賞キター」などとやっている。これはご愛敬としても、ネットに巣くう悪はドライなようで、じめっと嫌らしい。ホラー映画で人に取りつく悪霊やエイリアンのごとく、迷いなき狡知(こうち)にあふれている

天声人語(2012年10月18日朝日新聞)

 捕まらない自信があるのだろう。他人のパソコンを遠隔操作し、殺人予告などを送信させた「真犯人」から、手口や目的を詳述した犯行声明である。東京の弁護士と放送局に届いたメールには、犯人だけが知り得る事実が含まれていた。
 この人物は、事件で逮捕された4人に「巻き込んですみません」と謝る。一方、警察と検察には「あそんでくれてありがとう」とふてぶてしい。望み通り、捜査当局に「ネット冤罪(えんざい)」という恥をかかせた形である。
 逮捕の決め手はいずれも、インターネット接続時に残るIPアドレス、いわばパソコンの指紋だった。ネット犯罪では、これの特定が犯人に迫る早道とされるが、犯行現場に他人の指紋を残せるとなれば、サイバー捜査のイロハが揺らぐ。
 逮捕時は否認したのに、訴え空しく動機まで「自白」した人もいるらしい。「動かぬ証拠」をもとに、またぞろ密室で強引な調べがあったのではないか。体は拘束を解かれても、心の傷はなお残る。
 ネットの闇には、面白半分に腕試しをしたがる狂気が潜んでいる。乗っ取りウイルスの主も、そこそこの手練(てだ)れなのだろう。そして、己の愚行が誰かの人生を狂わすことに想像が及ばぬ、高慢な未熟者に違いない
 誤認逮捕で人権を侵し、時間と血税を無駄に使った警察は、まなじりを決して逆襲するしかない。この手のモンスターが野放しでは、おちおちクリックもできない。愉快犯の続発を防ぐためにも、うぬぼれの仮面をはがし、素顔を拝みたい

まさに変質的と言うしかない粘着ぶりですが、過去にアサヒとネットとの間で交わされた数々の歴史を振り返ってみれば、これくらいの暗い感情を抱え込んでいても仕方がないのかも知れませんね。
ちなみに朝日といえばかつて同社社員がネット掲示板で「失語症躁鬱ニート部落民は首つって氏ねよ」などと荒らし行為に励んでいたことが暴露された過去がありますが、こうした自らの書き込みを元に「ネットに巣くう悪はドライなようで、じめっと嫌らしい」「うぬぼれの仮面をはがし、素顔を拝みたい」などと言っているのですから、世間で言うところのマッチポンプとはこのことでしょうか。
さて、朝日新聞出版が発行している「週刊朝日」という雑誌がありますけれども、先日その週刊朝日がこんなことを書き連ねて橋下大阪市長が激怒していると話題になっています。

橋下氏 朝日新聞の取材拒否表明、週刊朝日の出自報道で(2012年10月17日スポニチ)

 日本維新の会代表の橋下徹大阪市長は17日、「週刊朝日」が自身の出自に関する記事を掲載したことを「血脈主義、身分制に通じる極めて恐ろしい考え方だ」と批判し、今後は朝日新聞と朝日放送の記者の質問に答えない意向を示した。

 同時に「社としての考え方をきちんと示してほしい」と述べ、18日の市長定例会見後の取材機会などで掲載理由を説明するよう求めた。

 週刊朝日を発行する朝日新聞出版は、朝日新聞出版本部が分社化され2008年に発足した完全子会社

 橋下氏は「僕の人生の過程は丸裸にされてもやむを得ないが、先祖を徹底的に調査して暴き出すのは一線を越えている。僕の子供、孫にも影響する」と指摘。「僕はヒトラーだとか言われているが、それこそナチスの民族浄化主義につながるような非常に恐ろしい考え方だ」とも述べた。

 一方で「言論の自由は最大限保障されるべきで、民主主義国家で報道機関ほど重要な機関はない」とも語った。市役所で記者団に述べた。

 日本維新幹事長の松井一郎大阪府知事は報道を批判しながらも、朝日新聞と朝日放送の取材に関し「市長の代わりに受ける」と応じる意向を示した。

 週刊朝日はノンフィクション作家佐野眞一氏と取材班による緊急連載で「ハシシタ 救世主か衆愚の王か 橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶり出す」と題し、橋下氏の出自に関する記事を掲載した。

しかしこの民主主義社会において今時血統が人間を決定するなどという思想を抱いているとは、さすがに地上最後の血統による独裁国家を地上の楽園よと褒め称え多くの朝鮮人民を満面の笑顔で送り出した朝日らしい考え方だと思いますね。
当然ながらこうした考え方は現代日本において到底受け入れられるものではありませんが、おもしろいことにこの橋下氏の反発に対して彼ら朝日側のコメントが振るっています。

本社など取材、橋下氏が拒否 週刊朝日の連載めぐり(2012年10月17日朝日新聞)

 橋下徹大阪市長は17日、朝日新聞出版が発行した「週刊朝日」10月26日号に掲載された橋下氏に関する連載記事「ハシシタ 奴の本性」の第1回について、「言論の自由は保障されるべきだが、一線を越えている」などと批判。そのうえで朝日新聞グループの見解が示されなければ、朝日新聞社や朝日放送など関連メディアから記者会見などで質問されても、回答を拒否すると述べた。

 橋下氏は報道陣に対し、ノンフィクション作家の佐野眞一氏らが執筆した週刊朝日の記事について、橋下氏の家族関係の記述が中心テーマになっていると主張。「政策論争はせずに、僕のルーツを暴き出すことが目的とはっきり言明している。血脈主義ないしは身分制に通じる本当に極めて恐ろしい考え方だ」と非難した。

 朝日新聞出版は2008年4月に朝日新聞社から独立した別会社。

 朝日新聞出版の井手隆司管理部長は、橋下氏の発言を受けて「週刊朝日は、当社が発行する週刊誌であり、朝日新聞とは別媒体です。同誌を含め、当社の刊行物は当社が責任を持って独自に編集しています。今回の記事は、公人である橋下徹氏の人物像を描くのが目的です」とのコメントを出した。

いやいや、彼らの言う出自第一主義に基づけばどう見てもアサヒに出自を持つ朝日新聞出版はアサヒそのものです本当にありがとうございました。
ちなみに朝日新聞出版のある「東京都中央区築地5-3-2」とは朝日新聞東京本社そのものですが、社長は朝日新聞社内で出世競争に敗れ流れ流れて子会社の社長に落ち着いたと言いますから内心それなりに鬱屈したものがあったのかも知れませんが、いずれにしても自ら責任を持って編集しているというくらいですからきちんと責任を取らないことには仕方ないでしょう。
それにしてもアサヒのような「己の愚行が誰かの人生を狂わすことに想像が及ばぬ、高慢な未熟者」に対して我々としてはどう遇するべきなのか、やはり「人生は短い。他を陥れる暇と知恵があるなら、「自分の今」を楽しまないか」などと上から目線で諭しながら生暖かく見守るのが正しい道なのでしょうかね。

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2012年10月18日 (木)

生活保護問題 じわじわと対策の機運高まる

最近は生活保護受給者が年々過去最多を更新し続けるという状況ですが、そうした現実と歩調を合わせるようにして生保不正受給問題が非常に大きく報じられるようになってきています。
長引く不況と雇用情勢の悪化、特に若年層におけるワープア化等が相まって、実質年収400万相当とも言われる生保受給者への優遇に対して社会的反感が高まってくることはやむを得ないところですが、受給者自身がそうなりつつあるように働かずして優遇される環境の存在が勤労意欲を削ぐという主張も根強くあります。
いずれにしても社会全体で広く、薄くでもより多くの人々に負担を分かち合ってもらわなければ低成長時代の国家運営が成り立たないわけですが、一方で当の受給者およびその支援者の側からも反論が出てくるのは当然で、それがまた生保優遇論争に火をつけるということにもなっているようです。

「使えるお金1日1000円しかない」 生活保護受給者の発言に異論(2012年10月14日J-CASTニュース)

   生活保護支給額引き下げに反対する会見で、受給者が「1日使えるお金は1000円」と不満をこぼしたところ、ネット上で異論が相次いでいる
   生活保護は、5年に1度、支給基準額が見直される。政府は、保護費の増大を抑えようと、引き下げの方向で検討を始めたようだ。

家賃が実費で出るほか、最低で月に8万円余が支給

   これに対し、生活保護問題対策全国会議(代表幹事・尾藤廣喜弁護士)は2012年10月10日、東京都内で受給者らとともに会見を開いて、引き下げ反対を訴えた。支給額が引き下げられれば、生活に大きな影響を与えるというのがその理由だ。
   会見では、受給者らも窮状を訴え、NHKニュースによると、受給者の60歳男性は、次のように明かした。
    「1日使えるお金は1000円なんですよ。食べるだけですよね。電化製品が壊れたとか、服が破れた場合は、替えるお金がない。人として見てもらえているのかどうか、これは疑問に感じます」
   これに対し、ネット上では、服代などもかかることに理解を示す声もあったが、男性の主張に疑問の声も相次いでいる。「俺より贅沢じゃねえか・・・」「食べれるのに何が問題なんだ」「1000円あれば3食食べて、中古の文庫本ぐらい買えるだろ」といった書き込みがあった。
   厚労省の保護課によると、東京都区部で60歳なら、住宅扶助として家賃が限度額まで実費で出るほか、生活扶助として最低で月に8万円余が支給される

「単身なら光熱費などは何万円も使わないと思います」

   男性が1日で使えるとした1000円は、1か月なら3万円になるため、都区部に住んでいるとすれば、5万円余が家賃以外の必要経費という計算になる。だとすると生活状況はそれほどひどいとも思えない
   厚労省保護課も、「単身なら光熱費などは何万円も使わないと思います」としており、なぜ食費などに3万円しか使えないのか疑問が多い。仮に3万円で食費を賄うとした場合については、「きついかどうかはお答えできませんが、可能だとは思います」と言っている。男性は地方に住んでおり、物価水準を考慮に入れる必要もあるようだ。
   生活保護問題対策全国会議の事務局をしている小久保哲郎弁護士は、食費などが1000円になることについて、十分な額ではないと説明する。
    「最低生活費ですので、そんなに余裕があるわけではありません。耐久消費財を買い替えられませんし、下着なども破れるまで着る話はよく聞きます」
   ネット上のバッシングについては、疑問を示す。
    「確かに、1日1000円以下で苦しい生活をしている人からみれば十分だと言いたくなるのだと思います。でも、生活保護基準が下がれば、最低賃金法の定めによって最低賃金が上がらず、地域によっては下がることもあり得ます。地方税の非課税基準や国保料等の減免基準等も軒並み下がります。生活保護を叩いてその基準が下がれば、自らの首を絞めることになるのです。むしろ最低賃金や年金の低さを叩くべきで、叩くべき相手を間違えていると思います」

基本的に住居費は実費支給で保険や年金も免除なのですから、いったい一日1000円という自由に使えるお金以外の保護費はどこに消えたのだろうか…と誰でも考えてしまうところなんですが、いずれにせよかつてであればアンタッチャブルであったこの種の話が表立って出てくるようになっただけでも時代の変化を感じざるを得ませんよね。
また仮に一部で報道されているように「朝から喫茶店でモーニングを食べ、パチンコへ行く」などという優雅な暮らしをしていらっしゃるわけではないにしても、一日1000円という生活費が多いのか少ないのかと言えば、とある調査では生活費が一日1000円以下の人が実に4割を占めていて、前述の記事に対して「そんな贅沢は出来ない」という声も出ているようです。
生保支給切り下げが最低賃金を云々というのも完全な詭弁というもので、この理屈が成り立つのであれば国民が等しく余裕ある暮らしをするためにはまず生保受給者には王侯貴族のような生活をしていただかなければならないという事になってしまいますから、やはり生きていくために必要不可欠な支援に限って過不足なく与えるというのが基本なんだと思います。

そうした観点からすると興味深いのが先日も紹介しました和歌山県上富田町のケースで、あまりに生保受給申請が増えすぎていることに対して審査が追いつかないこともあって受給希望者には当座緊急に必要な食料を現物支給する制度を設けたところ、受給申請をせずに引き返していく人々が激増したという実例があります。
国にしても自治体にしても財政上の観点から社会保障費削減は大きな課題となっていて、言ってみればそのためのネタとして不正受給問題が取り上げられやすいのは事実なんですが、こうして実際に実情が知られるにつれて「現状は何かがおかしい」「過剰保護はかえって制度の趣旨を歪めている」と考える人が増えてきているのではないでしょうか?
そんな中で先日出てきた外国人の生保受給問題に絡んだニュースがまた興味深いことだなと思うのですが、まずはこちらの記事から紹介してみましょう。

生活保護の外国人は枠外 年金保険料一律免除で年金機構(2012年10月16日47ニュース)

 日本年金機構が、生活保護を受給している在日外国人について、国民年金保険料が一律全額免除となる「法定免除」の適用外とする見解をまとめたことが16日、分かった。これまで各地で日本人と同様に法定免除としてきた運用を事実上変更し、所得によっては保険料の一部の支払いを求める。人権団体は「国籍による差別だ」と反発している。

 機構本部は、年金事務所からの照会に対し、(1)困窮する永住外国人らには日本国民に準じて生活保護を給付しているが、外国人は生活保護法の対象ではない(2)国民年金法上、法定免除となるのは生活保護法の対象者なので、外国人は該当しない―と回答。

何がどうおもしろいのかということについてはまず前提となる状況を理解しなければなりませんが、日本という国では外国人は生活のための資産や収入のある人しか受け入れないというタテマエになっていて、これを満たさず生活が出来ないような外国人の方々はお国にお帰りいただくというルールになっています。
つまり外国人が生活保護を受給するということは本来の制度的にはあり得ないことなのですが、長年の慣習として現に日本にいる外国人に関しては何となく応急的に支給を認めてきたという経緯があるのですね。
無論、長年日本に住み就労してきた外国人がたまたま失業して一時的に支給を受けるといったケースであればまだしもですが、実際にはそんな生やさしいものではないという現実がこれまた最近になってようやく報道されるようになってきています。

外国人受給 帰国せず際限なき膨脹 「厳しい入国管理行政を」(2012年10月1日産経ニュース)

 生活保護は生活困窮者に最低限度の生活を保障する“最後のセーフティーネット”。しかし、膨大な保護費は国家財政を圧迫しており、政府は働ける受給者に就労や自立を求めたり、不正受給への罰則を強化したりするなど、保護費抑制方針を打ち出している。そうした中で、増加を続ける外国人受給者。専門家は「税金が外国人の生活保護費に回り、際限なく増えている現状は問題だ」と指摘する。

ニューカマー急増

 本来、生活保護の対象は生活保護法で日本国民に限定されている。
 しかし昭和29年、当時の厚生省が外国人の生活困窮者に同法を準用すると通知して以降、永住や日本人配偶者など在留資格を持つ外国人にも人道的見地で支給されてきた。
 近年増加傾向が目立つのが、1980年代以降に来日した「ニューカマー」と呼ばれる外国人だ。平成22年7月現在、中国人の受給世帯は4018世帯(前年同期比664世帯増)、ブラジル人は1455世帯(同516世帯増)に上る。
 「単純労働目的で入国し、失業後に生活保護を受給する外国人が増えている。本国に帰りたいという人は少ない」。政令市の担当者はこう打ち明けた。
 フィリピン人の受給世帯は4234世帯(同835世帯増)。日本人配偶者と結婚後に受給するケースも少なくないという。

医療券「通行手形」

 横浜市郊外の住宅街。2階建てアパート12世帯のうち6世帯がフィリピン人世帯だ。市内の病院で医療事務を担当する60代の女性は、ここの複数のフィリピン人女性が保護受給者に発行される「医療券」を手に病院を訪れると証言する。
 医療券を病院に提出すれば医療費は無料になる。「彼女たちは性病検査や『肌がかゆい』など緊急性の低い症状でも受診に来る。ブランド品の財布を持っていたのは驚いた」と女性。現在、医療扶助は保護費の半分を占める。生活保護に詳しい熊本県立大の石橋敏郎教授(社会福祉法)は「医療券がどこでも使える通行手形になっている。窓口負担もない医療扶助は見直しが必要」と話す。

年金との逆転現象

 外国人、特に全体の3分の2を占める韓国・朝鮮人の中には国民年金未加入者が少なくない。老後は生活保護に頼ることが多く、年金未加入の外国人は今後の受給予備軍だ。
 問題はさらにある。「働いて保険料を納めた人の年金額が、生活保護受給額より少ない逆転現象が起きている」。石橋教授はこう指摘する。東京23区の場合、68歳の人の生活保護は、住宅扶助を含め月13万4520円。だが、保険料を40年間納めた人が受け取る老齢基礎年金は月6万5541円。保護費が国民年金を2倍以上も上回る計算だ。
 2年前には中国・福建省出身の日本人の親族とされる中国人48人が入国直後、大阪市に保護申請した問題もあった。石橋教授は「来日後まもなく生活が苦しいからと保護を受けることに厳しい意見もある。入国管理行政をきっちりする必要がある」と話している。

医療の側の問題については日本人に限った話ではありませんが、無料であるのをよいことに医療資源を過度に浪費するのみならず、複数医療機関を受診して得た薬剤を売りさばくといった行為も問題化していることを付け加えておくべきでしょう。
そうでなくとも当然ながら本国の平均賃金よりもはるかに高い保護費が簡単に手に入るということになれば誰も働く気にはならないでしょうが、問題なのは近年日本ではこうしたことが行われているという情報がノウハウとともに口コミで広まり、まさに生保受給を目的として入国してくる外国人も増えているらしいということです。
中には最初から「身元引受人=市役所、収入の手段=生活保護」で入国してくる剛の者もいると言いますから驚きますが、この方面で有名な大阪の例にも見られるように入管と役所とが互いに譲り合って?いい加減な審査をしてきたという背景事情があるわけですね。
当然ながらいい加減にしろという市民の声が役所にも届いているところですが、今回思いがけないところからそうした外国人生保受給問題の是正策が飛び出してきたということが非常に注目されます。

無論是正は外国人に留まらず日本人にも求められているのは当然で、就労努力をした受給者には保護費を加算しようだとかアメリカのように現物給付にしようなど厚労省からも改革案が出てきていますけれども、例によって「現物支給?いちいち決められた時間に決められた場所まで受け取りに行くのか!」などと反発も出ているようです。
しかし考えて見れば世間の人達は毎日決められた場所に何時間も仕事をしに行き拘束されている訳ですから、生保受給者だけが毎日好きにゴロゴロしてパチンコ三昧というのもおかしな話で、まずは世間並みの生活リズムを取り戻すということもまた一つの就労トレーニングであると理解すべきではないでしょうか。
もちろん単に厳しくするばかりではなく、長年のしがらみで妙なことになっている部分はきちんと見直していくことによって、結果として本当に保護を必要としている人に手厚い保護が出来るようになれば社会にとっても生保受給者自身にとっても望ましいことではないかと思いますね。

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2012年10月17日 (水)

内外から特例措置廃止への圧力が高まる

消費増税関連法が成立し消費税増税がなされると果たして税収が増えるのか減るのかと諸説飛び交っている状況ですが、膨大な借金、巨額な財政赤字など構造的な財政上の問題を考えればそれだけでは到底足りないという意見があるのも当然ですよね。
先日海外の格付け会社から日本の信用力は低下していくというレポートが出たということなんですが、当然ながら増税だけではなく本気で歳出削減にも取り組まなければ大変なことになるという意見が述べられています。

日本の信用力「徐々に低下」 追加措置必要とS&P(2012年10月15日47ニュース)

 米大手格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は15日、日本政府が財政健全化に向け「さらなる有効措置を講じない限り、日本の信用力は徐々に低下し続ける」とする報告書を発表した。日本の長期国債の格付けは上から4番目の「AAマイナス」、格付けの見通しは「ネガティブ(弱含み)」にそれぞれ据え置いた。

 報告書は「消費税増税だけでは財政赤字を削減し、持続可能な歳入、歳出構造をつくるのに十分な財源は生み出せない」と指摘。経済成長率を高める取り組みや、高齢化で膨らみ続ける社会保障費の抑制が必要との見解を示した。

もともと社会保障費の抑制に関しては既定路線で、財務省にしてもじっくりとマスコミ対策等の根回しをしてきたところに政治主導で一気にまずは増税という流れになってしまい、増税とセットで我が身も切りましたという姿勢を示すもくろみであった省庁の側ではかえって困惑している、などという話も聞こえてきていたところです。
当然ながら金がない、もうどうしようもないというぎりぎりの局面に比べて、増税でとりあえず歳入増加が見込まれる状況になれば歳出削減への意気込みも薄れようと言うものですから、このまま増税はしましたが歳出は据え置き、むしろ増税の「御礼」にあちらこちらでバラマキを増やしましたなんてことになれば最悪のシナリオというものですよね。
もちろん国政のブレインを担当する各学識者達にしてもそんな未来絵図は望んでいないはずですが、ここにきて各方面から歳出削減に慎重な意見が相次いでいることに危機感を感じてもいるのでしょう、とうとうしびれを切らしたかのようにこんな話が出てきたということです。

70-74歳の窓口負担、2割に戻すべき- 財政審・分科会(2012年10月15日CBニュース)

 財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)の財政制度分科会(会長=吉川洋・東大大学院教授)は15日、来年度の予算編成に向け、医療・介護などの社会保障分野について議論した。焦点の一つとなっている、70-74歳の医療費の窓口負担に関しては、特例措置で1割に据え置かれている現状を見直し、法律上の2割負担に戻す必要があるとの認識でおおむね一致した。同分科会では、12月初旬までに報告書をまとめる方針。

 この日の分科会では、2月に閣議決定された社会保障・税一体改革大綱を踏まえ、医療分野の財政の効率化を図るため、70-74歳の患者負担のほか、被用者保険の高齢者支援金に対する総報酬割の拡大や、国民健康保険組合への国庫補助の見直しなどが論点として挙がった。

 後期高齢者医療制度の支援金をめぐっては、原則、各保険者の加入者数(75歳未満)に応じて割り当てられている。一方、中小企業の会社員らが加入する協会けんぽを支援するため、被用者保険については、支援金の3分の1に限り、各保険者の加入者の報酬による「総報酬割」が導入されているが、その特例措置は今年度で終了する。

 財務省側はこの日、特に大企業と中小企業の間の保険料負担に格差が生じていることから、総報酬割の対象とする支援金の割合を拡大することを提案したが、健保組合の負担割合が増えることから、慎重論も出た。【敦賀陽平】

介護保険の1割負担「見直し必要」- 財政審・分科会(2012年10月15日CBニュース)

 15日の財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)の財政制度分科会(会長=吉川洋・東大大学院教授)では、介護保険における介護保険料や利用者負担の見直しも、論点として提示された。1割で維持されてきた利用者負担を見直すべきとする案については、その必要性を認める声が挙がった

 財務省側は、医療保険の自己負担割合が、直近の10年間で1割から3割にまで段階的に引き上げられたのに対し、介護保険の自己負担割合は1割で維持され続けている点を指摘。世代内の公平な支え合いの観点から、負担割合の見直しを図るべきとしている。この論点提示に対し、分科会でも負担割合の見直しは必要とする意見が相次いだ

 また、財務省側は、第2号被保険者(40-64歳)の保険料について、世代内の公平な支え合いを実現するためにも、総報酬割の導入を図るべきと提案。さらに認定を受けても介護サービスを利用しない人が、要支援1では26.8万人、要支援2では19.7万人いることを示した上で、高齢者の自立を支援する観点から、軽度者に対する給付は見直しを図るべきとした。【多●正芳、●は木へんに朶】

問題の大前提として右肩上がりで国民所得が増えていた時代であれば公務員や年金暮らしの老人などは社会的弱者でいられたかも知れませんが、年々国民所得が減っていくばかりの時代にあって彼らが今や社会の勝ち組になっているという現実を直視しないわけにはいきません。
先日紹介しましたように三井厚労相の「2割引き上げ?それはちょっとゴニョゴニョ…」という特例廃止先送り発言が出た直後であるだけに、一番お金を持っている高齢者にばかり既得権益が集中してワープア化著しい現役世代のなけなしの稼ぎが搾り取られるばかりという構図はやはり本来あるべき姿ではないのだと釘を刺した形でしょうか。
今回はすでに決まっていることをぐずぐずと先送りにしてきた窓口負担減免の特権廃止ばかりでなく、これまた現役世代の負担によって格安の利益を享受しているとして介護保険領域でも応分の負担を求める意見も相次いだと言うことですが、大きな反対意見もなく賛同する声が相次いだということですから、それでもなお続けるというのであればこの種の審議会の存在意義が問われることにもなりかねません。
自己負担ゼロの生保受給者による過剰診療・不正診療の問題もこのところ大きく取り上げられるようになっていますが、本来あるべき自己負担すら減免するということは単に財政の健全化を阻害し社会的不公平を助長するのみならず、貴重な医療資源の無駄遣いにもなっているという観点からも論じられるべきだと思いますね。

ひと頃のように「病院待合が老人達のサロン化している」などとマスコミなどにも盛んに取り上げられるというほどではなくなったとは言え、現実的に「なにかちょっとでも変わったことがあればいつでもいらっしゃい」などと親切めいたことを言って常時待合室を近所のご老人達で埋めている先生方もまだまだいらっしゃるわけです。
最も重症で医療必要度の高い患者を扱う中核病院勤務医が外来処方日数を2ヶ月、3ヶ月と長くして少しでも患者の受診頻度を減らそうと努力していることに対して、こうした老人御用達の町医者などでは2週間処方などが相変わらず行われていたりもしますが、医学的管理の必要性から考えると本来これは逆であるべきはずですよね。
当然にこの問題についてはこれまた特定の権益を代弁する日医あたりが強硬な反対論を唱えていますが、それならそれで算定した再診料に見合うだけの医療効果があったということを示す義務は彼らの側にあるはずではないでしょうか?

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2012年10月16日 (火)

「K・Yってだれだ」プロ活動家のおかしな迷走ぶり

先日ちょっとした話題になっていたニュースですが、こういう話をご存知でしょうか。

「ポケモン」は人間に虐待されている? 動物愛護団体が「ピカチュウ」解放運動(2012年10月10日J-CASTニュース)

   世界中で愛されている任天堂の「ポケットモンスター(ポケモン)」について、動物愛護団体が「ポケモンは人間に虐待されている」「ポケモンを解放しよう」などというキャンペーンを展開している。
   この動物愛護団体はイギリスやアメリカなど各国に拠点を持つPETA(People for the Ethical Treatment of Animals)で、2011年11月には世界で最もヒットしたゲームシリーズ「スーパーマリオ」のキャラクターが、タヌキの衣装(毛皮)を着ているとして抗議活動を行っている

ピカチュウとその仲間は何世代にも渡ってプレイヤーに苦しめられてきた

   PETAのホームページのトップには現在、「ポケモン」のキャラクターが描かれたアイコンがあり、それをクリックすると独自に制作したゲームのページにつながる。そこには首輪が嵌められ、傷付き、血しぶきのようなものが付いたキャラクター、ピカチュウがいる。
   書かれている説明文を要約すると、「ポケモン」は実は恐ろしい物語で、ピカチュウとその仲間は何世代にも渡ってトレーナー(プレイヤー)に苦しめられてきた、とある。
   トレーナーはキャラを丸いボールのようなものに閉じ込め、相手との戦闘のときに無理やり出して戦わせる。それはまるでサーカスや奴隷のようなもので、
    「子どもたちはポケモンを人間に虐げられるためだけに存在すると信じて育ってきた。思いやりの代わりに支配を学んだ。ポケモンが最悪の虐待を受ける一方、子どもたちもお互いに攻撃し始めた
といい、独自の見方を披露している。

   さらに、キャラクター達は「もううんざりだ」と思っていて、PETAはそんな彼らを自由にしたいので、皆さんも我々を支援してほしい、などと書いている。
   アップされているゲームは、ピカチュウと人間のバトルで、人間は巨大なハサミや注射器のようなものをピカチュウに投げつけている

「ポケモンと人間は助けあって生きているんだよ」

   このPETAというのはどんな組織なのか。ホームページの説明によれば、農場や工業、衣類、実験室、エンターテインメントの分野で苦しむ動物を救う世界最大の動物愛護団体で、300万人以上の会員やサポーターがいる。「ポケモン」はこのエンターテインメント分野に属するようだ。11年11月には、タヌキの衣装を着ている任天堂の「スーパーマリオ」のキャラは、毛皮を生きたまま剥ぎ取られる残酷なもので、「スーパーマリオ」はそれを奨励している、などというキャンペーンを打った「実績」がある。
   今回の「ポケモン」のキャンペーンに関してネットでは、
    「ポケモンの設定わかってないね。ポケモンと人間は助けあって生きているんだよ」
    「架空の物体を抗議の対象にするとは・・・」
などという感想が出ている。
   また、動物愛護団体のキャンペーンだとしても、キャラをそのままいただいてゲームを作っているのは明らかな著作権違反だと発言している人も多い。

   今回のキャンペーンにどう対応するのか。任天堂の関連会社ポケモンの広報は、
    「ポケモンのテーマは人との共生、絆です。それが多くのファンの皆様に支持されてきた本質的なことですし、みなさんもそう理解していただいていると思っています」
と話している。

ネタなのかと思っていましたらどうも本気で言っているらしいという点でも話題になったものですが、動物愛護を主張していたはずがいつの間にか動物と全く関係のない二次元のフィクション否定になっているというのは、この種のプロ活動家の方々によく見られる現象の新しい一類型と言えるのではないでしょうか?
例えば日本でも児童ポルノ許すまじ!と熱心に活動していらっしゃる外国人タレントなどがいらっしゃいますが、二次元での異常性癖がいずれ実生活にも反映されるんだ!などという彼らの主張はどうやら根拠がないということが明らかになってきています。
近年子供などを対象にした凶悪事件が起こるたびに「青少年向け娯楽が過激化する一方だからだ!」なんてことを言う自称識者の方々には事欠きませんが、実際にはこうした事件は減る一方で昭和30年代には現在の10数倍だったと言いますし、娯楽の悪影響と言うならラスト10分前になると決まって大量惨殺劇が発生するテレビ番組のせいで高齢者が凶暴化している!なんて言い方も出来るわけです。
多くのプロ活動家の場合は表向きの目的とは違う真の目的があって、そのための手段としてより注目を集めやすい道を選ぶという傾向がありますから論理というよりも経済論で語るべきことなのでしょうが、日本国内でも先日こんなびっくりするよう手段と目的が逆転したかのようなニュースが流れていました。

オスプレイに「たこ揚げ」で対抗 航空法の「盲点」、事故の恐れは?(2012年10月4日J-CASTニュース)

 沖縄県の米軍普天間飛行場に新型輸送機「MV-22オスプレイ」の配備が着々と進むなか、納得できない住民は抗議活動を続けている。
 基地前での集会や座り込みに加えて、「たこ揚げ」という一風変わった戦法も試みた。

■空港の「管制圏」でも風船とたこは禁止ではない

 オスプレイは2012年10月2日、山口県の米軍岩国基地から3機が普天間飛行場に移動した。前日分と合わせて9機が普天間に配備されたことになる。
 この日、普天間のすぐ近くにある公園などでは、反対の意志をたこ揚げという形で示す地元の人の姿が見られた。空に悠々と浮かぶたこのそばを、着陸態勢に入ったオスプレイがごう音を立てて滑走路に向かっていく。抗議活動とはいえ、飛行場近くでのたこ揚げは安全面で問題はないだろうか。

 国内の空港の場合、周辺地域における「飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」は航空法第99条の2で制限されている。国土交通省東京航空局に取材すると、空港の敷地の中心から半径9キロの「管制圏」では、ロケットや花火の打ち上げ、気球の浮揚、模型航空機の飛行といった行為は管轄当局の許認可が必要となるとの説明だ。これに対して、市販されている小さな風船やたこを個人が揚げるようなケースは「禁止ではありません」と言う。
 ただし、例えば航空機が離着陸する直下で大量の風船を一度に飛ばしたりするような場合は、事前に当局に申請してもらいたいとする。強制ではないが、航空上の安全を考慮すれば把握しておきたいというわけだ。

 実は普天間の抗議行動ではこれまで、風船を飛ばすという手法もとられたことが何度かある。米軍の飛行場と国内空港では単純に比較できないが、航空法の観点からすれば風船もたこも規制対象ではない。また米軍基地内は国内法の適用外のはずだ。それでも森本敏防衛相は「基地の上も日本の領空」との見解を述べ、「飛行の障害になることは望ましくない」と不快感を示したという。
 J-CASTニュースは、たこ揚げに加わったNPO法人「石川・宮森630会」の久高政治さんに電話取材した。前日の10月1日に基地前でたこを揚げている人を見かけた久高さんは、オスプレイ配備への抗議行動として「効果的で少し変わった手段」として取り入れたと明かす。

■米軍に「イヤだなあ」と感じさせる必要がある

 10月2日、久高さんを含めて6人が合計9つのたこを揚げた。米軍提供施設外での行為だが、滑走路の近くだったためか「防衛局の担当者や沖縄県警から『危険だからやめてほしい』と要望されました」。しかし「危険なのはオスプレイの方」と決行したという。中には50メートルほどの高さに達したものもあり、「たこの下を、着陸するオスプレイが飛んで行きました」と話す。
 インターネット上では、「万一オスプレイが墜落したらどうするんだ」と懸念を示す書き込みが少なくない。もちろん、たこ揚げでパイロットを危険な目に合わせるつもりは全くなく、「重大な事故につながるようなら、考えないといけません」と久高さん。だが実際は、飛ばしたたこは市販の小型サイズで強度に優れているわけではなく、ほとんどのたこは最終的に糸が絡んだり切れたりして落ちてしまったという。基地内にもいくつか落下して、「たこを見つけた米兵が我々に向かって笑いながら『ありがとうございます』なんて言っていました」。よほど危険な行為だとみなせば米軍側が黙っていないだろうが、たこ揚げに関する抗議はなかった。
 とは言え、あくまでも目的は米軍へのけん制だ。「たこを揚げて大きな効果が得られるとは考えにくいですが、米軍側に『イヤだなあ』と感じさせる必要はあると思います」(久高さん)。地元の人たちにとっては、あの手この手で「ノー・オスプレイ」の意志を表し続けることが大切なようだ。

まさに「効果的な手段として取り入れた」と自ら語っているくらいですから、その効果がどのような性質のものであるかは言うまでもないことですし、実際に効果を感じられるまでエスカレートさせていくと宣言しているのですから確信犯というものですよね。
先日も空港周囲の鳥の位置情報を常時把握して衝突事故を防ぐという新種のシステムが開発されたというニュースが出ていたくらいで、古来航空機は障害物等との接触には非常に脆弱なのは常識ですから、プロペラやエンジンに対する悪影響などがなくともそれこそタコがコクピットの窓ガラスに張り付くだけでも離着陸時の視界を遮って大変な大事故に結びつく危険性があるだろうなと誰でも推測出来ることです。
そんな危険な行為を一生懸命基地周囲に広めようと言う人々がオスプレイ配備は「墜落事故の恐れがあるから危険だ」と主張している人間だというのがおもしろい話なんですが、周辺住民にすれば笑えるどころではない「ふざけるな馬鹿野郎!」と言うべき事態でしょう。

先日も取り上げましたようにこのオスプレイ問題、もはや当事者のプロ活動家の方々にとっては安全性確保の要求など目的でも何でもなく単なる手段であるということがよく判る話なんですが、世間一般ではこうした行為は自ら珊瑚礁に傷をつけておいて「サンゴ汚したK・Yってだれだ」 などと論じて見せた某新聞社と同様、火のないところには自ら放火して回るマッチポンプと呼ばれる行動であったと思います。
しかしこうした方々が地元での反対運動の代表格のように全国ネットで取り上げられてしまう、そして沖縄とはこうした土地柄であると全国に周知されてしまうということこそ、実は地元の真面目な方々にとっては最大の痛恨事であるのかも知れませんね。

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2012年10月15日 (月)

てんかん運転規制問題続報 学会側の視点

先日取り上げましたてんかん患者の運転免許取得に関わるてんかん学会の提言の件ですが、いくつか追加情報がありますので紹介したいと思います。
まずは先日の提言を行った背景について、こちらの記事から引用してみましょう。

てんかん免許条件、無発作期間を見直し- 申告促す狙い、てんかん学会が提言(2012年10月11日CBニュース)

 日本てんかん学会は11日、記者会見を開き、てんかん患者への運転免許の可否に関する運用基準について、発作のない期間を従来の2年から1年に見直すことなどを盛り込んだ提言を発表した。同学会の法的問題検討委員会の松浦雅人委員長は「無発作期間(の長さ)と事故率に差がないというデータがある一方で、この期間が短いほど、患者さんがてんかんであることを正しく申告するというデータもある」と指摘し、無発作期間の要件を短くすることで、患者の申告を促し、交通事故の防止につなげる狙いがあるとした。

 現行の運用基準では、発作が過去2年間なく、再発の恐れが極めて少ない場合や、発作が意識障害、運動障害を伴わないものに限られている場合、発作の再発が睡眠中に限定されている場合に免許が取得できる。
 これに対し提言では、再発の恐れが極めて少ないと判断する基準について、発作のない期間を1年間に短縮し、その後も同じ治療を継続する場合に見直した。
 また、医師の指示で抗てんかん薬を減量・中止したり、やむを得ない理由で服薬できなかったりして発作が再発した場合は、治療内容を戻して3か月間発作の再発がなく、その後も同じ治療を続ける場合も、再発の恐れが少ないとした。ただ、抗てんかん薬の減量中や減量、中止後、半年間は運転せずに経過観察する。
 このほか、運転の支障になる発作は「意識障害や運動障害を伴わないもの」に限らないとし、「意識や行為に影響を及ぼさないもの」に拡大した。

 会見で松浦委員長は、「昨年以降、てんかん患者が関係した交通死傷事故が相次いで報道されたが、このような悲惨な事故を減らす努力は、医師、患者、警察が協力して実行すべき緊急の課題」と強調。今回の提言については、「てんかんの多様性とともに、治療の進歩に伴って海外のガイドラインが変化しており、グローバルスタンダードにも対応した実効性のあるルール」とした。
 また、同委員会の西田拓司委員は発作のない期間を1年間に短縮した理由について、「限られたエビデンスで出てくる数値が1年で、海外ではこれが潮流になっている」と説明。また、「患者が将来の見通しが持てる基準だと思っている」とも述べた。【津川一馬】

「そういうエヴィデンスはある」ということでしたらこの際ですから、文献名を挙げていただければ大いに議論の参考になったかも知れませんよね。
このところ相次いでいるてんかん患者の事故で社会の関心が高まっている背景として、過去にもてんかん発作によるとされる人身事故を繰り返していながら法で定められた持病の申告もせず、さらには医師から処方された薬すら飲まずに車を運転していたといった、「それはどう考えてもおかしいだろう」という運転手の態度に世間の批判が集まったからであった訳です。
おかげで真面目に治療を行いきちんとコントロール出来ているてんかん患者が就職上の不利益を受けるなど迷惑を被っている訳ですが、今回てんかん学会が出した提言にはこうした不心得患者についての対策は全くなされていず、世の中には真面目な患者しかいないように見えるという点が反発を受けている原因ではないでしょうか?
もちろん医学の世界で患者をいい患者、悪い患者と表だって規定する訳にもいかないとは思いますが、例えば「きちんと医師の指示に従って適切に治療を継続していた場合には」などといった一文を入れておくだけでもずいぶんと印象が違っていたのではないかと思います。

そのてんかんですけれども、発作が起こっているにも関わらずきちんと診断をなされていないケースが少なからずあることは以前から指摘されていて、それが正しい治療による十分な疾患コントロールの妨げになっているのだとすれば発作に伴う事故までもいわば医原性とも言える話になりかねませんよね。
てんかん学会を始め専門諸団体でもそのあたりの実情は懸念しているようですが、それと運転免許など社会的規制の問題とをどうリンクさせていくべきなのかということが現在の大きな課題になっているようです。

てんかん、非専門医の診断の質が課題- 運転免許制度、医師も試行錯誤(2012年10月12日CBニュース)

 日本てんかん学会が11日に発表した「てんかんと運転に関する提言」には、発作のない期間の短縮や、多様な症状に対する取得・更新条件の設定などが盛り込まれた。一方で、この日の医師らの講演からは、「てんかんと診断できない医師」の問題など、解決策の見いだせていない課題も多く挙げられた。てんかんなど一定の疾患の患者が、条件を満たした上で運転免許を取得できるようになった道路交通法の改正から10年。免許の取得や更新の基準と、患者の自己申告に関し、試行錯誤が続いている。

■非専門医が診断の主体

 「問題は、ここにいる学会の会員は、てんかん患者の2~3割しかカバーしていないんじゃないかということ。運転してはいけない発作があるのに、医師の能力が足りずに(運転してしまっていて、非専門医など)医師の側に責任のある場合もある
 運転免許制度の課題に関する発表に対し、会場から上がった声。「適切に診断されていない」「てんかんと診断されずに運転している」患者の存在は、どの演目でも共通認識だった。その背景には、100万人とも言われる患者数に対し、専門医が400人に満たない現状がある。
 運転免許取得時の申告では、主治医による診断書か、指定医療機関による臨時適性検査の結果が必要だが、実際は98%が主治医診断書によるもの。講演では、不安障害と診断され、服薬治療を続けた後に検査を受けに来た患者や、2年以内に発作があったにもかかわらず、てんかんと診断されていないケースなどが紹介された。高齢者では、認知症と診断される例も多いという。

■医師による無申告患者通報制度

 昨年、栃木県鹿沼市で起きたてんかん患者による交通死亡事故を受け、政府では、てんかんを含む「一定の病気等に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会」を開いている。この中で、医師による無申告運転免許取得患者の警察への通報義務が検討されており、この議論も紹介された。

 検討会の事務局を務める警察庁運転免許課の廣田耕一課長は、患者による自己申告を増やす方法として、「医師による通報は、鹿沼の事故の遺族会が求めているところ」と説明。一方、検討会では「医師と患者の信頼関係が損なわれる」「患者が本当のことを言わなくなり、治療から遠ざかることで余計に危険な運転者が増える」といった意見があると紹介した。通報制度は、義務ではなく、任意として法に位置付ける案もあるという。

 これについて、てんかん学会法的問題検討委員会の西田拓司委員は、学会員を対象にしたアンケートで、「免許を取得しないよう再三の忠告に対し、患者が従わない場合」の任意の通報制度に対し、賛成意見が50~60%(診療科により異なる)だったことを報告。今後の議論課題だとまとめた。

 他の演題では、患者の運転免許取得について「院外に第三者の相談機関を設けるべき」「車には必ずドライブレコーダーをつけるよう勧めている」とアイデアを出す会員もおり、患者の生活面での対応で、苦慮している医師の姿が見られた。【大島迪子】

こうして見ますとリスク回避の大原則からすれば、てんかんを否定出来ないケースではとりあえず専門医紹介がこれからのデフォになっていくのでしょうかね?
それはさておき先日の記事でもお伝えしましたように、警察庁などはわざわざ有識者会議を開いて罰則規定を検討するくらいですから現状に問題があること、世論が高まってきていることを認識していて、出来ればもう一段の規制強化を図りたいのだと推測されます。
その背景には現行法では明らかに問題があると思われるような患者でもきちんと規制が行えないという現場のジレンマがあると言い、今回医師による通報義務が検討されているというのもそのあたりの実務上の問題解消を図ってのことであるのでしょう。
ただ通報義務を任意化するといった場合、よく言われるように「正直者だけが不利益を被る」という可能性もあるわけですから、義務化しないなら自己申告するメリット、しないデメリットをきちんと用意していかないと何ら状況は改善しないはずで、どのような「アメ」が用意出来るのかという議論があまり進んでいないようなら結局隠す人間は後を絶たないと言うことにもなりかねません。
また事故の確率はごく低いのだから、下手に大規模な対策を講じるくらいならその巨額のコストを被害者補償に回す方がいいというやや極端な意見もありますが、どのような対策を講じるにしても最終的に被害者あるいは広く国民が納得出来るかどうかであるという点については留意しておく必要があると思いますね。

ただ繰り返しますように、てんかんだけに限らず糖尿病など事故リスクを引き上げると思われる疾患は幾らでもあるわけですから、患者数等の面からも各疾患のリスクをきちんと評価した上で規制を行っていかなければ特定疾患に対する差別だという声に反論できなくなってしまいますから、規制を強化するとすればきちんとした検査を行い客観的データに基づいて行われるべきでしょう。
現行で確認の簡単な視力障害だけが直接チェックの対象となっているのが問題であって、例えば免許取得の要件として必要と思われる一通りの検査を行った上で診断書の提出を義務づけるようにしてはどうか?など幾らでもアイデアはあるのでしょうが、医療の側から見れば新規取得者だけでも毎年百万単位で出ているような資格に限られたリソースでどこまできちんとした検査が出来るのか疑問に感じざるを得ません。
もちろん面倒な問題だからといって何もしないままでいていいわけもないのですから、クレーン車事故のようなリピーターを少しでも減らすためにも当面重大事故や疑わしい事故を起こした者に限って、ある程度掘り下げてのチェックを行うといったあたりから始めていくべきなのかなと思います。

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2012年10月14日 (日)

今日のぐり:「スシロー大供(だいく)店 & スシロー倉敷店」

先日様々な意味で恐るべきニュースが世間を賑わせましたが、ご覧になりましたでしょうか。

米 ゲテモノ食いコンクールの優勝者 勝利と共に死ぬ(2012年10月10日The Voice of Russia)

   米フロリダ州ブロウアード管区保安官のインターネットサイトによれば、結果の発表後間もなく、ゲテモノ食いコンクールの勝利者が死亡した。

   事件が起きたのは、コンクールが行われたジルフィルドビーチのペットショップ。 コンクールの結果発表後、最も多くのゴキブリを食べる事の出来た地元住民エドワード・アーチボルドさんは、始め吐き気を催し体調不良を訴えた。

   アーチボルドさんは、新鮮な空気を吸おうと通りに出たが、ペットショップの近くで意識を失ってしまった。彼はすぐに救急車で病院に運ばれたものの、医師達は彼の命を救う事は出来なかった。

   保安官のインターネットサイトの情報では、コンクールで数十匹のゴキブリやミミズを食したという。なおコンクールの他の参加者の体調には、異常はなかった。アーチボルドさんの死因についての詳細は、現在調査中。

当初からネット上で推測されていた通り、続報によれば同時に摂取したヤスデ100匹の含有するシアン化合物が原因だったようで、ゴキブリも結構フェノールなどを含んでいると言いますからあまりカラダによいものではないようですね。
今日は世界中からムシにまつわる様々な話題を取り上げてみたいと思いますが、まずは前向きにこんな話題からどうでしょうか。

米国で「サイボーグ・ゴキブリ」開発、災害救助活動に期待(2012年9月27日ロイター)

[ローリー(米ノースカロライナ州) 26日 ロイター] 米ノースカロライナ州立大学のアルパー・ボズカート准教授は、現在「サイボーグ・ゴキブリ」の開発に打ち込んでいる。

ゴキブリの触覚に電極をつなげ、リモコンのボタンを押せば電気パルスを送ることができる仕組み。これによってゴキブリは前方に障害物があると錯覚し、回避するように動くという。

将来的には小型のカメラやマイクを搭載して、災害現場での救助活動などに役立てたいとボズカート氏は話す。

ただ、反対意見もある。生き物を道具として使うのは倫理的にどうかという意見が多くの人から寄せられているが、ボズカート氏はゴキブリをリモコンで操作することは手綱で馬を操ることとほとんど同じだと反論する。「われわれは昆虫に苦痛を与えているとは思っておらず、昆虫は痛みを感じないとする研究結果も数多くある」と主張した。

リンク先の写真を見ていただくとその無理矢理なサイボーグ化ぶりが判るかと思いますが、しかし実用化にあたってはもう少しデザイン的に洗練できないものかという気もしますね。
日本は気候のせいか比較的ゴキブリとの遭遇はありふれたイベントで、来日外国人などによっては非常に衝撃的な遭遇体験になることもあるようですが、日本どころではない大変なことになっている街が世界にはあるようです。

財政破綻で巨大ゴキブリがナポリを占拠(2012年8月23日ニューズウィーク)

 巨大なゴキブリの姿を思い浮かべただけでむしずが走るタイプの人は、この記事を読まないほうがいい。イタリアのナポリを訪ねるのも、当分はやめたほうがいいだろう。今のナポリは巨大ゴキブリの大群に、文字どおり占領されているからだ。

 市内の下水道で卵からかえった大量のゴキブリが地上に進出してきたのは今月上旬のこと。債務危機のあおりで清掃局の予算が削減されたため、この1年間は一度も下水の清掃や消毒をしなかったせいだ。
 もともとナポリのゴミ収集システムは非効率で評判が悪く、ゴミの都と揶揄されてきた。しかも制度変更でゴミ収集車が早朝に来ることになったため、飲食店などは夜中のうちにゴミを出さねばならない。結果、腐りかけの食べ物が何時間も、下水溝の上に放置されることになった。しかも高温多湿。ゴキブリにとってはパラダイスだ。
 市の職員は現在、1日に何度も下水道や飲食店に殺虫剤をまいてゴキブリの増殖を防ごうとしている。歩道はゴキブリの乾いた死骸で埋め尽くされ、当局はこれを除去するために特別な清掃部隊を繰り出している。

 一方、保健・衛生当局はゴキブリのせいでA型肝炎や腸チフスが蔓延する恐れを指摘している。ゴキブリはぜんそくにも悪いので、当局は患者に対し、ゴキブリの発生が多い地区には近づかないよう警告している。
 しかし夏の暑い時期にゴキブリを全滅させるのは不可能に近い。何しろ高温多湿はゴキブリの産卵に最高の条件だ。ある専門家によれば、「大事なのは1年を通じて下水道を清潔に保つこと、そして9月に産まれた卵を全滅させること」だ。
 今のような泥縄式の駆除方法は環境にダメージを与える恐れもある。市の職員は道端の植栽にも食品を扱う店の周囲にも、強力な殺虫剤を大量に散布している。このままだと、いずれ殺虫剤への耐性を持つゴキブリが出現する可能性もある。

8センチまで巨大化するものも

 地面をはうだけでなく、時には空も飛ぶこの害虫は、大きくなれば8センチほどにもなる。主に夜間に活動するが、ナポリでは日中も歩道を走り回っていて、外のテラス席で食事する客を震え上がらせている。今やゴキブリは人間を恐れなくなり、観光客のサンダルの上に乗っかっていることもある。
 この巨大ゴキブリは4、5年前に南のエオリエ諸島からフェリーでナポリに侵入し、割と退治しやすかった従来の小型種を駆逐してしまったと考えられている。
 以来、巨大ゴキブリは下水管の中で静かに繁殖を続けてきたのだろう。メスは1度に8個以上の卵鞘(らんしょう)を産む。1つの卵鞘には約40の卵が入っていて、孵化するまでの期間は約3週間。だから、次々と生まれてくるゴキブリを皆殺しにするには毎日の駆除が欠かせない。

 観光地ナポリのイメージ悪化を恐れるデマジストリス市長は、この問題に触れたがらない。先週行われたゴキブリ対策の緊急会議でも「マスコミは騒ぎ過ぎだ」と一蹴し、「これではナポリの町がゴキブリだらけと思われてしまう」と述べている。
 きっと市長様は市内の道を歩いたことがないのだろう。よく歩いている緑の党のディアナ・ペッツァ・ボレッリによれば、今は「ゴキブリが多過ぎて、ナポリの道を歩くとクッキーを踏み付けているような気持ち悪い音がする」そうだ。

いやまあ、8cmのゴキブリというのもあまり想像したくはないですけれども、連中の生命力の強さにだけは用心しなければならないというニュースですかねえ…
人口爆発を背景に昆虫食が世界的に注目されつつあるのは確かですが、お隣中国ではすでにこんな風に料理されているそうです。

料理にゴキブリ混入 苦情にコック「それはネギ」言い張る=中国(2012年10月11日サーチナ)

  米国で行われたゴキブリ大食いコンテストの優勝者がコンテスト終了後に急死したというニュースが世間を驚かせたが、中国では食堂の料理に頼んでもいないゴキブリが入っていて、トラブルになることがよくあるようだ。

  寧波回族自治区銀川市のメディア・銀川新聞網は8日、同市の食品管理当局では近ごろ「食品にゴキブリが混ざっている」というクレームが激増していると報じた。寄せられたクレームには、料理の中にはじめから混入していたケースのほか、天井から落ちてきたものや、チョコレート飲料のカップの底から出てきたものもあったとのことで、当局ではゴキブリを含む異物混入に対する監督を強化するという。

  料理にゴキブリが混入したことに対して開き直るケースも見られる。内モンゴル自治区フフホト市で7日夕方、街で人気のレストランで食事をしていた男性が、注文したもやしのあえ物にゴキブリの死体が入っていたのを発見。クレームをつけられたコックは「これはネギだ」の一点張り、しまいには主張の正当性を示すため口の中に入れて食べだした。

  体を張ったコックだったが、結局数回かんだ後でゴキブリを吐き出した。その後マネジャーが出てきて男性への賠償に応じることとなった。(編集担当:柳川俊之)

どうも不潔な環境というのももちろんですが、混入に対しての危機感が乏しいように思えるのも何でも食べてしまうという中国人ならでは、なのでしょうか?
同じく中国からはこんなニュースも出ていますが、これまた彼の地では「よくあること」なんだそうです。

激痛訴える女性の耳からゴキブリ 医師「よくあること」=中国(2012年10月11日サーチナ)

  中国・浙江省で、耳に激痛が走ると訴えた女性の耳からゴキブリが見つかるという出来事があった。診察に当たった医師は「毎年少なからずあるケース」と語った。中国網が伝えた。

  現地時間8日午後10時、同省寧波市の病院にある女性が「ここ数日耳が痛い」と訴えてやってきた。医師が内視鏡を使って耳の中を検査したところ、鼓膜付近に黒い物体を発見。ピンセットで注意深くつまみ出してみると、一匹のゴキブリだった。

  医師の話では、耳には油分を含んだ分泌物があり、これが虫を誘い込むのだという。医師は、このようなケースは毎年少なからずあり、耳に入る虫もゴキブリのほか、ガやハエなど「多種多様」だと医師は語るとともに、「虫が入っても慌てて引っ張り出そうとせず、食用油を耳にたらす、耳の近くに光をかざすといった応急処置をしてほしい」と呼びかけた。(編集担当:柳川俊之)

記事にもあるように昆虫が耳に入り込んだ場合はむやみに棒などを突っ込まないよう注意が必要ですが、しかし日本ですとちょっとした地方会の症例報告くらいには使えそうなネタに思えますけれどもねえ…
最後に取り上げますのはかねて噂されているあの都市伝説の真贋がついに明らかに?!というニュースですけれども、まずは記事から紹介してみましょう。

都市伝説は本当か?自販機の中に蠢くゴキブリ(2012年6月30日探偵ファイル)より抜粋

あぶない探偵あてに一通のメールがきた。

はじめまして、実はどうしても調べて欲しいことがあります。
遊園地などに紙コップにジュースを注ぐ方式の自動販売機がありますが、この前、ある恐ろしいうわさを聞きました。
紙コップの自動販売機の中はゴキブリの巣窟だと。
本当だったらもう生きていけません。
あぶない探偵のみなさん、なんとか調べてくれませんか? HN:糖尿

おーけい。まかせてくれ糖尿さん、あなたの紙カップジュースライフは引き受けた!
確かにこの噂は我々も耳にしたことがある。非常に興味がある問題だ。よっしゃー。紙コップ自販機の中には大量のゴキブリがいるという都市伝説に決着をつけてやるぜ!

紙コップ自販機はジュース原液やシロップなどが中にあり、それをホースで注ぐ。ホースが外部とつながっている以上、完全な密封はむずかしいのは納得できる。
少量でも漏れる、それら糖分と栄養がたっぷりつまった液体はゴキブリの大好物。また自販機は電源を入れると熱を持つ。温かいのだ。ゴキブリにとっては天国のような環境なのかもしれない。

とはいっても、あくまでそれは憶測に過ぎない。憶測だけでものを言うことは危険なことだ。
そこで実際にゴキブリがいるのか、ある方法で検証してみた!
といってもそんな大見得きって言うほどの方法ではない。これを使うのだ。

ゴキブリホイホイ。

極限まで原始的な方法でスマンね毎度。
しかしこれも建設的な理由に裏打ちされた作戦なのだ!

理由その1
ゴキブリは隠れる。自販機を開いて点検したとしても、人の気配があればゴキブリが姿を現すことはないだろう。ならばゴキブリから寄ってこさせるしかない。ゴキブリホイホイなら打ってつけだ。

理由その2
無害である。これは非常に重要な問題。曲がりなりにも飲料を販売する自動販売機だ。殺虫剤などであぶりだす方法のほうが結果は明白だが、それではテロである。

さて、実験に使用する自動販売機の前までやってきた。この中に気が遠くなるような数のゴキブリが蠢いているのだろうか……?
(略)

その驚くべき結果はCMの後に…ではなく、是非とも皆さんでリンク先の検証結果をご確認いただきたいと思います!
それにしても昆虫と言うと子供達が取って遊ぶものという健全なイメージがありますが、ニュースになると途端にこういう連中しか取り上げられなくなるというのもどうなんでしょうね…

今日のぐり:「スシロー大供(だいく)店 & スシロー倉敷店

「スシロー」と言えば100円均一の回転寿司の中でもわりあいに味の評価も高いそうですが、その秘密はなんと50%を超えているという高い原価率にもあるようです。
もちろんコストは仕入れの工夫などでも変わってくるものですが、スシなどは比較的手をかけないネタも多いだけにやはり素材の差が味に出やすい傾向はあるのでしょうね。
最近相次いで二軒ばかり回る機会がありましたので、本日はまとめて取り上げることにしてみました。

まずは大供店で適当に目についたものをシェアしながらつまんでみたのですが、ナス田楽は出来たての香ばしさがなかなかよい感じですが、安旨ネタの王様であるはずのサンマが何か妙に小さいのが味以前の段階で何かちょっと残念でしたかね。
海老やホタテといった定番のネタは小ぶりながらごく普通、何故か裏巻きにしてある海老フライロールは具材がいろいろ入っていて見た目楽しいんですが、肝心の海老フライが埋没してしまった気がするのはちょっともったいなかったでしょうか。
茶碗蒸しは熱々なのがごちそうというところ、シメサバは昆布締めにしてあるのが少し締めすぎなようで個人的には残念でしたが、玉子の握りもノリを巻かずに敷いてあるのが意味のある工夫なのか何なのかで、どうも少し余計な手をかけすぎる傾向があるようにも感じられました。
こちら近所に「すし丸」さんもあるようで、新しい幹線道路沿いの新しい店舗と言うこともあって競争は激しいんでしょうに結構繁盛してる様子なのはご同慶ですが、見ていますと客層が違うらしくうまいこと棲み分けしているようですね。

さて倉敷店の方は以前にもお邪魔したことがありますが、相変わらず大変な繁盛ぶりのようです。
まずは同じようなネタをということでサンマはこちらはまずまずなんですが、一転して今度はなす田楽の方がもう少し香ばしさがあればなおよいかなという仕上がりで、このあたりチェーンとは言え店ごとの個性なんでしょうか。
定番の煮穴子は妙に味が甘ったるいしタレに隠れてアナゴの味がしないのはどうもなあと思うのですが、焼きトロサーモンサーモンはサーモン自体はたいしたことないんですがおろしがいい具合に効いていました。
海老フライロールはこちらは出来たてのサクサクで結構いけるんですが、若干エビフライに焦げてる風味が加わっているのが減点要因で、ゴマアジの軍艦なるものは刻んだ味を和えるアイデアはいいのかも知れませんが胡麻油が強すぎてもはや何の魚か不明と、やはり料理の面ではちょこちょことアラが目立ちます。
サーモンロールなどはサーモン料理という感じではなくなっていますがまあこれはありかなと思う一方、創作鰹握りはまずいわけではないんですがトッピングのおかか、マヨネーズそしてネギの味が強すぎるようで、例によってやはりノリを敷いているのが邪魔に思われる玉子同様、どうも全体にネタの味を隠す方向でアレンジするような傾向があるようですね。
倉敷店の場合は大供店と比べるとお湯のボタンが硬いだとか、タッチパネルも反応が悪いだとか酷使によるものかと思われる劣化が随所に見られますが、それでもこれだけ繁盛していれば元は取っているのでしょうか。

両店とも店の性質上接遇面では特記すべき店はありませんが、顧客の殺到を予想してかトイレや待合スペースなどはきちんと整えられている点は好印象ですし、実際客層を見ても子供連れの家族などには非常に入りやすいお店なんだろうなと思います。
しかし飲食店で特にこうした大衆向けのお店の場合、限られた収入をどのように使っていくかということは永遠の課題なんだと思いますが、定食屋などはありふれた安い素材を熟練の技で食べられる料理にする一方、料理の質で制約のあるこういうローコスト系回転寿司ではネタの仕入れとアイデアで勝負という感じでしょうか。
これだけギリギリまでコストを削るともう少しコストをかければかけるだけ味が上がっていくのが実感出来るゾーンだと思いますが、素材を少しよいものにした場合と料理としての技術面で改善をしていった場合と、同じだけのコストをかけてみた時にはどっちが評判が高くなるんでしょうね?

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2012年10月13日 (土)

iPS初の臨床応用は誤報?! そのとき火付け役の読売は

山中教授がノーベル賞を受賞したばかりというまさに絶妙のタイミングで世に出てきたiPS細胞絡みの臨床応用のニュースが、どうやら信憑性が怪しいらしいと大騒ぎになっています。
情報が錯綜していて何とも言い難い部分もあるのですが、まずは報道から時系列に沿って幾つかを取り上げてみましょう。

iPS細胞使って「心臓病治療」ハーバード大で実用化!患者すでに8か月普通の生活(2012年10月11日J-CASTニュース)

   笠井信輔キャスターの「速ダネ」コーナーで、読売新聞のスクープを取りあげた。「iPS心筋を移植」「初の臨床応用」という1面トップ記事だ。ハーバード大学の日本人研究者らのチームが実施したという。笠井は「ノーベル賞を受賞した山中伸弥・京大教授は実用化は早くても来年くらい、安全かどうかがわからないといっていたのが、読売を見るともう始まってる。しかも8か月前にアメリカで」という。

他にも6人が現在治療中

   読売新聞によると、移植手術を行なったの森口尚史・客員講師らのグル-プで、重症の心臓病患者の肝臓の細胞からiPS細胞を作り、これを心筋細胞につくりあげて患者の心臓の壊死していた部分に注入した。この患者は心臓機能が回復して退院、すでに8か月普通の生活をしているという。この第1号に続いて、6人が同じ治療を受けているという。
   笠井「驚きましたね
   司会の小倉智昭「心臓の30か所に注入したら10日でいい症状になってきたというんでしょ、すごい話ですよね。しかし、日本ではそれを人に応用するなんてできないじゃないですか」
   この話は研究者のあいだには伝わっていたらしい。慶応大学の八代嘉美特任准教授は「iPS細胞から作られた心筋細胞を移植することは、安全性が不完全なので、日本では認められていない」という。ハーバード大では大学内だけで暫定的に許可を出している。八代准教授は「実施した全員に拒絶反応や腫瘍化がないのはいいこと」ともいう。
(略)

iPS初の臨床応用 心筋細胞作り患者6人に移植 米ハーバード大日本人講師ら(2012年10月11日産経新聞) 

 あらゆる細胞に分化する能力があるiPS細胞(人工多能性幹細胞)から心筋の細胞を作り、重い心不全患者に移植する治療を、米ハーバード大の森口尚史客員講師らが6人の患者に実施していたことが関係者への取材で分かった。今年のノーベル医学・生理学賞に輝いた京都大の山中伸弥教授がiPS細胞を作って以来、臨床応用は世界初とみられる。
 関係者によると、6人のうち、初の移植を受けたのは米国人男性(34)。肝臓がんを患い、肝臓移植を受けたが、今年2月に心臓から血液を送り出す力が低下する「虚血性心筋症」となり、回復の見込みがなくなっていたという。

 森口講師らは、移植の際に摘出された男性の肝臓から、肝細胞に変化する前の「前駆細胞」を取り出し、細胞増殖に関わるタンパク質や薬剤を加えてiPS細胞を作製した。
 作製方法は、4種類の遺伝子を注入する山中教授の手法とは異なるものだという。
 森口講師らは、作製したiPS細胞を心筋細胞に変化、増殖させ、男性の心臓の約30カ所に注入。拒絶反応はなく、心機能は徐々に回復した。
 現在、男性は日常の生活を送っているという。また、その後も5人の患者に移植を行ったが、いずれも健康状態に異常は見られないという。
 森口講師らは、米国で開かれる国際会議で、この臨床結果を発表する予定

 iPS細胞をめぐり、日本では、光を感知する網膜の一部が加齢に伴って障害を受け、視力が極端に低下する「加齢黄斑変性」の患者への臨床応用を、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)が来年度から計画している。

iPS初の臨床応用 山中教授「ビックリ」(2012年10月11日日テレニュース24)

 アメリカのハーバード大学・森口尚史客員講師らが現地時間10日、iPS細胞(=人工多能性幹細胞)を利用した治療を世界で初めて行ったと発表したことについて、iPS細胞を開発した京都大学・山中伸弥教授は11日、日本テレビの取材に対し、「論文を読まないとわからないが、とにかくビックリしている。もし報道されている通りであれば、早いという印象です」とコメントした。

iPS細胞、初の応用に疑問の声 米での心臓治療(2012年10月11日北海道新聞)

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った初めての臨床応用を行ったとする米ハーバード大客員講師、森口尚史氏の説明に対し、国内の研究者からは11日、信ぴょう性に疑問の声が相次いだ

 森口氏は米ロックフェラー大で開かれているトランスレーショナル幹細胞学会で治療の成果を発表することにしている。

 文部科学省などによるプロジェクトでiPS細胞を使った重症心不全の治療を研究している大阪大の澤芳樹教授は「今回の研究はiPS細胞を名乗るが、(基になったとされる)肝臓の前駆細胞は心筋にも分化しうる間葉系幹細胞。移植をしても(心筋への分化は)起こり得る」と疑問を投げかける。

ハーバード大などがiPSの臨床応用を否定(2012年10月12日スポーツ報知)

 体を構成するさまざまな細胞になる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った初の臨床応用をしたとの森口尚史氏の説明に対し、米マサチューセッツ総合病院とハーバード大は11日「森口氏に関連した治験が承認されたことはない。現在、両機関とも森口氏と関係はない」との声明を発表、正規の手続きを経た臨床応用が行われたことを否定した。
 森口氏はハーバード大客員講師を名乗り、総合病院で臨床応用を実施したとしていた
 森口氏はロックフェラー大で開かれているトランスレーショナル幹細胞学会で治療の内容をポスターで発表したが、学会は「内容に疑義がある」として、ポスターを撤去した。
 ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった山中伸弥京都大教授のiPS細胞をめぐり混乱する異例の事態となった。

 心臓の治療には細胞を大量に用意する必要がある上、移植手術をした後の細胞の異常に対処するのが難しく、治療研究の中でも最難関とされ、臨床応用はまだ数年先とみられている。国内の複数の専門家も、森口氏の治療の効果を疑問視する姿勢を見せていた。
 森口氏は取材に「大学の倫理委員会を通すなど、きちんと手続きを経て研究を進めている。iPS細胞を作る手法が山中教授と違うと言われるが、私は私のやり方でやっていて、移植後も問題は生じていない」と説明していた。
 ハーバード大は、森口氏が1999年11月末~2000年初めにかけ1カ月ほど在籍したが、その後の関わりはないとしている。森口氏は東京医科歯科大で看護学を学び卒業、医師の免許は持っていないという。

「iPS治験」病院が否定 「審査委承認の事実ない」(2012年10月12日東京新聞)より抜粋

(略)
 東京新聞の取材によっても、森口尚史氏が説明する米国の治験の方式や、論文の内容に疑問が多いことが分かった。

 国立成育医療研究センターの阿久津英憲・幹細胞・生殖学研究室長は「米国はiPS細胞を使う治療に慎重だ。ES細胞(胚(はい)性幹細胞)で臨床試験をしているジェロン社なども、時間をかけて前臨床試験をやっていた。細胞の安全性のチェックには、相当の時間とデータが必要で、突然こんな話が出たことに驚いた」と話す。

 慶応大医学部の福田恵一教授(循環器内科)は「森口氏の論文の主な内容は、iPS細胞の凍結保存であり、治療については、末尾に『症例』として一例が記述されているが、(森口氏が治療したと主張する)六例とは書かれていない」と指摘している。

ネットでの報道ではアナウンスもなく随時記事が削除、改訂されているケースが結構あるのですが、今回読売は全ての記事をばっさり削除していますし、東大などもHPから森口氏関連の記述を削除したということです。
そもそもの発端となったのがその読売が一面トップすっぱ抜き記事を掲載したことだったと言い、それに続いてテレビ各社が一斉に報道を始めたことから話が大きくなったということなんですが、前述の記事からも伺われるように当初から山中教授らを始め関連領域の研究者らは疑問符付きの対応をしていたらしく、また海外でもほとんど取り上げられてはいなかったようです。
そうこうしているうちに研究先とされていた病院や大学などが次々と知らない、関係ないという発表をしてあれれ?何か雲行きがおかしいぞ?という話が一気に広まってきたわけですが、それにしても火付け役とも言える読売が関連記事を丸ごと削除して知らぬ顔というのは、誤報であったならあったで謝罪と訂正の発表をきちんとするのが筋ではないかと思うのですけれどもね。
読売が何故こうまで深入りしてしまったのかということなんですが、発掘されてきている情報によればすでに3年前から森口氏と読売の記者が接触していたらしい形跡があり、以前から追っていたネタであるらしいということが伺えます。

iPS(下)研究体制の差、戦略無く周回遅れに(2009年11月8日読売新聞)
より抜粋

(略)
 日本が再生医療分野に投入するのは年200億円ほど。米国では、国立衛生研究所だけで年940億円の予算を組み、複数の大学や研究機関に配分している。

 けた違いの投資をする米国に対抗し、内閣府は今年9月、最先端研究開発支援プログラムを発表した。山中教授のグループには研究費として手厚い予算が割り当てられる見通しだが、事はそう単純ではない。

 山中教授への一極集中投資を疑問視するのは、米ハーバード大研究員も務める東京大の森口尚史特任教授だ。「iPS研究には、化学や数学など幅広い分野の研究者の参画が欠かせない。限られた研究者に資金が集中すれば、研究の遅れを招く
(略)

この種の研究では先に開発を行い特許を握った者が圧倒的に有利であるということはすでに常識となっていて、iPS細胞においても日米などを中心にして熾烈な開発競争が行われているのはすでに周知のところですよね。
一般論として一極集中にもよい点と悪い点があるのは当然ですが、アメリカの巨大な資本投下によるローラー作戦が猛烈な巻き返しを達成しつつあると言われる現在の状況下において、日本が対抗するためにはある程度成果が見込める研究者に集中的に資本投下を行わなければ対応出来ないというのも一つの現実かなとも思います。
この時点でもある程度森口氏のスタンス(あるいは、動機?)のようなものが垣間見えますが、読売ではすでに10日の段階で発表前の森口氏とニューヨーク市内で直接面談し、事前のコメントを取っているようです(削除済み)。

「死の間際、これしかなかった」iPS心筋移植(2012年10月11日読売新聞)

    あらゆる種類の細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)から作製した心筋細胞を使い、世界で初めて臨床応用した米ハーバード大学の森口尚史(ひさし)客員講師(48)は10日、この画期的な治療法を学会発表するため訪れたニューヨーク市内で本紙のインタビューに応じた

    「患者さんは死の間際にある人たち。これしかなかった。この移植は確立したばかりの技術だが、患者さんの利益を考え、医者として前に進まなければならないこともある」と細胞移植を決断した心境を語った。

    森口氏によると、この男性患者(34)は、かつて肝臓移植を受けたうえ、重症心不全や糖尿病を発症し、他の治療法がなくなった。
    そこで、患者の肝臓から採取した細胞からiPS細胞をつくり、培養で大量の心筋細胞にして心臓に注入した。この心筋細胞は患者の心筋と同等の機能をもつことを事前に確かめた。培養は約45日でできた。

    この治療に関係する研究費用は約1億5000万円。起業投資家から集めた。森口氏は、「日本では税金が使われるから、成果を上げなければならないが、こちらでは投資家がリスクをとってくれる」「日本では、いろいろな規制があって実施できなかっただろう」と、新しい医療技術に対する日米の制度の違いを指摘。研究者側についても、「日本にも優秀でやる気のある人はいるが、結集しにくい。懸命に働き、本気で声を上げなければいけない」と述べた。

    森口氏は成功の背景として、「少人数の機動的な研究チーム」の結成を挙げた。同大やマサチューセッツ工科大で機械工学を学ぶ大学院生ら5人ほどが積極的に研究に参加し、心筋細胞の増殖に必要な「過冷却」技術を提供したうえ、この治療に関係する研究費用の調達を一手に担った

森口氏の経歴自体も詐称ではないかという疑惑もあるわけですから、疑惑が事実だとすれば下手をすると先日話題になった東邦大の論文捏造事件以上の大騒ぎになってもおかしくありませんが、まずはきちんとした学術的な検証を行いどこまでが本当でどこからが嘘なのかということをきちんと解明することが大前提となるでしょう。
それに加えて報道の面では誤報が出てきた経緯についても究明しなければなりませんが、この件でいわば火をつけた形の読売が謝罪も訂正はおろか続報の記事も出さず、一切のスルーを決め込んでいるように見える姿勢がどうなのかです。
報道も早い者勝ちである以上は一定の確率で誤報が混じってくることは避けられないはずで、当然これだけの大新聞社である以上はそうした際の対応マニュアルもきちんと整っていなければおかしいのですが、社会的責任という観点から見ても一方の当事者としてきちんと事情を説明する義務があるんじゃないですかね?

追記:12日夕方になって読売からようやくこんな続報が出たようです。

「iPS心筋移植」報道、事実関係を調査します(2012年10月12日読売新聞)

 読売新聞は11日朝刊1面「iPS心筋を移植」の見出しで、森口尚史氏らが、あらゆる種類の細胞に変化できるiPS細胞から心筋の細胞を作り、重症の心不全患者に細胞移植する治療を6人の患者に実施したことが分かったと報じました。また、同日朝刊3面「スキャナー」でも「iPS実用化へ加速」の見出しで、iPS細胞の実用化に向けた手続きや倫理上の問題点を指摘しました。同日夕刊1面では、ニューヨーク市内で行った森口氏のインタビュー記事も掲載しました。

 ところが、この成果を口頭で発表するはずの日本時間11日、ニューヨーク幹細胞財団主催の国際会議の会場に森口氏が現れず、ハーバード大は同日深夜、「森口博士の研究に関連するいかなる臨床研究もハーバード大及びマサチューセッツ総合病院の倫理委員会によって承認されていない」との声明を発表しました。森口氏の成果に疑義が浮上したのです。

 本紙記者は、事前に森口氏から論文草稿や細胞移植手術の動画とされる資料などの提供を受け、数時間に及ぶ直接取材を行った上で記事にしました

 森口氏は本紙記者のその後の取材に対し、「(取材に)話したことは真実だ」としていますが、報道した内容に間違いがあれば、正さなければなりません

 現在、森口氏との取材経過を詳しく見直すとともに、関連する調査も実施しています。読者の皆様には、事実を正確に把握した上で、その結果をお知らせいたします。

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2012年10月12日 (金)

てんかん学会が更なる規制緩和を主張

ひと頃話題になったてんかん患者の交通事故問題ですが、世間の注目度が高まったせいもあるのでしょうか、現在に至るも持続的に報道が続いているようです。
注目されればより多くの事故が掘り起こされ、その結果ますます世間の注目が集まるというサイクルが形成されているようで、患者の権利拡張を叫ぶ一部団体の方々にとっては頭の痛いところでしょうね。

てんかん発作で車暴走 浜松の女性略式起訴/静岡(2012年10月2日中日新聞)

 浜松市東区植松町の国道152号で一月、自転車の女子高校生が歩道を暴走した車にはねられ重傷を負った事故で、静岡地検浜松支部は一日、九月二十八日付で、てんかん発作の予兆を感じながら運転したとして中区の元会社員の女性(44)を自動車運転過失傷害罪で略式起訴したと発表した。

 起訴状によると、元会社員は一月十四日午後二時半ごろ、乗用車を運転中、めまいや体の火照りを感じながら運転を継続。約二分後に発作を起こして意識を失って暴走、歩道にいた生徒をはねた。生徒は頭部外傷で一時意識不明の重体だった。

 浜松東署の調べでは乗用車は縁石を乗り越えて幅三メートルの歩道に進入。現場にブレーキ痕はなく、約二百三十メートル暴走して生徒をはねたあと、さらに三十メートル走って止まっていた

 捜査関係者によると、元会社員は医師の指示通り服薬していたとみられるが、事故前日は通常より遅い深夜まで働き、睡眠時間は普段より短かったという。当時勤務していたレンタカー会社のレンタカーを運転し、富士市内から浜松市内の営業所に移送する途中だった。

医師てんかん申告せず免許更新の疑い/千葉(2012年10月2日産経ニュース)

 持病のてんかんの症状を申告せずに運転免許証を更新し事故を起こしたとして、県警は2日までに道交法違反(免許証不正取得など)の疑いで、柏市船戸の綱川慎一郎医師(38)を書類送検した。

 送検容疑は昨年11月、以前てんかんで意識を失ったことを申告せずに免許証を更新し、3月に柏市若柴の市道で乗用車を運転して物損事故を起こした疑い。

 県警によると、綱川医師は数年前に発症し、平成21年ごろから通院。病院から運転をしないよう指示されたのに、車で通勤を続けるなどしたため7月に同容疑で逮捕し、いったん釈放して捜査を続けていた。

しかし医師と言えば患者に対して指導すべき立場でしょうに、自ら法規も医師の勧告も無視して事故まで起こすとは大変な不祥事ですが、こうしたケースはむしろ氷山の一角なのだろうとは以前から言われているところです。
先日カナダからNEJMに出た報告ですが、医師がてんかんなどの患者に対して運転制限等の指導や警告を行った場合、こうした患者による事故の発生率が半減したというデータが出たそうです。
ちなみに彼の地ではてんかんなど運転に支障のある患者については医師に報告義務があって、もし報告をせずに患者が事故を起こした場合は医師が責任を負わなければならないと言いますから、このことがきっかけとなって医師と患者の関係が悪化するというケースもままあるようですね。

日本でもこうした報告義務を設けるべきではないかという声は根強くありますが、現実問題として各疾患にどの程度の運転リスクがあるかという統計学的なデータがしっかりしていない以上、特定疾患だけを狙い撃ちにするような規制には根拠が乏しいと言わざるを得ません。
実際に前述のカナダなどではてんかんの他に睡眠時無呼吸症、高血圧、パーキンソン病など多様な疾患に関して報告を義務づけられているようですが、もともと国民の半数が高血圧ともいう日本でここまで範囲を広くすると実質的に免許を持っている全国民を網羅することにもなりかねず、果たして情報としての意味があるのかということにもなりかねませんよね。
そうした事情もあってのことでしょうか、現在のところではてんかん患者は免許の取得・更新時に患者自らが申告すべしというルールになっていて、何となく皆それでは不足なのでは?と不満には感じながらも許容しているような状況にあるのですが、そんな中で日本てんかん学会がこんなことを言い出したというのですから注目されないはずがありません。

てんかんの運転免許条件「緩和を」 学会が提言(2012年10月10日朝日新聞)

 【土肥修一】てんかんの持病がある人が車の重大事故を起こした問題を受け、日本てんかん学会(兼子直理事長)は運転免許の要件の見直しを求める提言をまとめた。現状は、免許取得にはてんかん発作が「2年間」出ていないことが必要だが、「1年間」に短縮。条件を和らげることで、正しい発作の申告につなげたい考えだ。

 10日、東京都内で開かれた理事会で正式決定した。

 提言では、免許取得に必要な発作がない期間について、現行の2年から1年に短縮するよう求めた。このほか、発作で更新が認められなかった人については、その後1年間発作がなければ、新たに免許を取り直さなくても更新で手続きが済むようにすることも盛り込んだ。

さすがにネット上では「寝言は寝て言え」だの「ちょっとは空気読め」だのとさんざんな言われようですけれども、規制を厳しくしていけば当然ながらそれをくぐり抜けようと嘘をつく人間が増えてくるということで、どの程度の規制の強度が最も把握率を高めるかについては確かに明確なデータはないわけです。
その意味ではまずなるべく多くの患者を把握した上で対策を講じようとするのも必ずしも間違っているとも言い切れないですし、実際に各学会らによる先日の検討会でもこのあたりに関しては大いに意見が割れていたようですね。

罰則規定、各学会に賛否 鹿沼6児童死亡で警察庁検討会2012年(9月20日下野新聞)

 鹿沼市の6児童死亡事故を受け、てんかんなど運転に支障を及ぼす恐れがある患者の運転免許取得のあり方を議論する警察庁の「有識者検討会」(座長・藤原静雄中央大法科大学院教授)の第5回会合が19日、東京都内で開かれた。

 日本てんかん学会など一定の病気に関する各学会等へのヒアリング結果が報告され、争点になっている持病を申告せずに運転免許を取得更新した人への罰則規定に賛否があることなどが明らかになった。提言書は10月中旬にもまとめられ、警察庁に提出される予定。

 ヒアリングの対象となったのは、日本てんかん学会のほか日本糖尿病学会など意識喪失などを伴う一定の持病に関係する各種団体。医師による通告制度の新設などをめぐり、それぞれ立場や考え方が紹介された。

 持病を申告せずに運転免許を取得更新した際の罰則規定に、日本てんかん学会は「事故を減らす実効性を有するか不明」などと反対。一方、日本睡眠学会は「申告を促す目的で限定的に適用するのであれば基本的に賛成」との立場だった。

 非公開の会合後に取材に応じた藤原教授は「各学会から多様な意見を頂いた。提言書に反映できるようにしたい」などと話した。

 委員らは一定の持病の疑いがあると判明した患者に対し、暫定的に免許の効力を停止する案についてもあらためて議論した。

もちろん理想的には何らかのリスクのある基礎疾患持ちはまずその事実をきちんと全数把握しておく、その上で事故率等のデータを集積し個別の対策を考えていくという手順が必要なのでしょうが、「それじゃあれだけの大事故がまた起こる危険性を放置するのか」という声が根強いのも確かですし、実際に飲酒運転などではまずは規制強化という流れで動いてきたわけですよね。
ただどうも気になるのは医療側専門家集団、警察や行政、そして患者団体な一般市民など、それぞれが自分たちの立場に立っていろいろと主張しているのはいいのですが、結局それらを統合してきちんと整合性ある対策としてまとめていく司令塔役がちゃんとしているのかという点が、どうもはっきり見えてこないことです。
いかにも日本的になんとなく皆の意見を聞き総花的な対策を講じましたで手打ちにしたのでは、飲酒運転厳罰化が飲酒事故軽減に役立っていないのでは?などと言われる愚を繰り返すことにもなりかねませんが、このあたりは単に国民世論や圧力団体の声に押されて受動的に流してしまっていい話ではないはずですよね。

根本的には患者が病気を隠すというのもそれが不利になると考えているからで、例えば身分証明書として当たり前のように免許証所有を要求するだとか、就職するなら車くらい運転できて当たり前だとか言った世の中の風潮を改めていかなければ本質的な解決にはならない気がします。
興味深いことに日本でも最近若者の車離れが話題になるほどですが、ヨーロッパ先進国などでも環境保護や経済性の観点から自家用車をやめて公共交通機関や自転車を利用しようという動きが広まってきていることがあり、いずれは車に乗らないということがむしろクールであるという価値観が広まる可能性もあるわけですね。
船や飛行機に乗れないことが特に大きな生活上のハンディキャップにはなっていないのと同様、車に乗らないことが別に不利益でもなんでもない社会になれば誰も持病を隠したりもしなくなるかも知れませんね。

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2012年10月11日 (木)

本当の価値が厳しく問われる時代?

近年になって貿易不均衡是正の意味もあって日本各地で外国人看護師の導入が試みられていますけれども、様々なカルチャーギャップなども障害となってあまりうまく運んでいるとは言えないようですよね。
そんな中にあって先日のことですが、とある来日看護師のちょっとしたつぶやきが大きな共感を呼んでいると話題になっています。

「日本人は時間守らない」その真相(2012年10月6日ニコニコニュース)

日本人は海外の人々から、「時間に厳しい」と評されることが多い。しかし、9月28日にあるツイッターユーザーが投稿したインドネシア人看護師の言葉が、その概念に一石を投じるものとして注目を集めている。

そのツイートを投稿したのは、京都のNPO法人で事務局長を務める男性。男性は9月28日、NPO法人POSSEより刊行されている雇用問題総合誌『POSSE』でのインタビューより抜粋し、

「インドネシア人看護士『日本人は時間を守りません。遅刻に対しては大変厳しいのに、仕事の終了の時間は守ったことがありません』(『POSSE』vol.16、安里和晃インタビュー『EPAは介護・看護現場を変えたか』より)」(原文ママ)

とツイート。確かに、会議が長引いたり、残業したりすることが日常的になっていることが多い日本人ではなかなか気づきにくい内容だ。

このツイートは投稿後すぐに広く拡散され、10月3日現在そのリツイート数は7000回を超えている。また、2ちゃんねるのニュース速報板に立てられたスレッド「外国人看護師 『日本人は時間を守らない。遅刻には厳しいのに仕事終了の時間は守ったことない』」では、

「なるほどねえ。そういわれると時間にルーズな国ってことになるか」
「これぞまさに正論だな」
「ですよね もっとこの件については海外の人たちに叩いていただきたい
「久々に目から鱗 社畜生活で感覚麻痺してんだな」

など、同意の意見が多数ある一方、

「その通りだが、そういう発想持ってる内は日本で働かない方がいい」
「正論だけど終了時間を守らないからこれだけ経済成長できた」

と、意見を認めつつも日本社会の現実に照らし合わせて考えを述べる声を書き込んでいるユーザーも複数見られる状況だ。

日本における東南アジア諸国からの外国人看護師・介護福祉士の受け入れは、2008年に発効した「日・インドネシア経済連携協定」と「日・フィリピン経済連携協定」に基づき、2009年度から実施されたもの。2012年5月までに、上記の協定をもとに両国から合わせて1562人が日本に入国しており、今後も増えていくといわれている。今回のツイートは、ネットユーザーが“労働時間”というものについて考えるきっかけとなったが、今後も日本で働く外国人による“分析”が注目される機会は増えそうだ。

以前から日本人は外国人の意見を(それも特に厳しい意見を)非常にありがたがるちょっと変わった民族だという声がありますけれども、なるほどこの件については確かに言われてみればその通りですよね。
最近では現役世代のワープア化と並んで特にこのただ働き問題も非常に注目を集めるようになってきていますが、一昔前のように終身雇用の年功序列、生涯を原則ただ一社に捧げるという時代であれば、多少ただ働きをしたとことで後になって元は取れるというのも事実だったのでしょう。
しかし今や非正規雇用全盛期の世の中でもあり、正規雇用とは言えいつ首を切られたり転職を強いられたりするかも知れないとなれば、働いた分は確実に支払いをしてもらわないことにはやっていられないと感じるのも当然でしょう。
このあたりはまさしく終身雇用感覚にずっぽり浸かりきってきた管理職世代と、その下で働く若年雇用者との間で大きく意識が異なるところなのでしょうが、この記事を見て思わず思い出してしまったのが先日出ていましたこちらの記事です。

医師国試の負担感、受験生と教員で温度差- 医学部長病院長会議が調査(2012年9月22日CBニュース)

 今年2月に行われた医師国家試験の受験生のうち、国試の負担が過重だと思っている人は4割に満たないことが20日、全国医学部長病院長会議の調査で分かった。これまでの調査などで教員側から「負担が大きい」との声が多く寄せられていたため、受験生に負担感について初めて聞いたが、受験生と教員では温度差があることが浮き彫りになった。

同会議では医師国家試験について、受験生と教員に対するアンケート調査を毎年行っている。今回の受験生への調査では、10大学(国立5、公立1、私立4)の856人に調査票を配布して、合格発表前に回収。568人から回答を得た。

調査結果によると、受験生に対し、「国試が医学生にとって過重であり、不安をあおっているとの指摘があるが、どう思うか」と聞いたところ、「そうは思わない」が60.4%で、「そう思う」の36.4%を上回った。「国試があるために、臨床実習が形骸化しているとの指摘があるが、どう思うか」との設問でも、「そうは思わない」が57.6%で、「そう思う」の39.1%より多かった

別所正美会長は同日の記者会見で、負担が過重と思う受験生が想定より少なかった理由について、「学生は今のような国家試験に慣れてしまっているのではないか」との見方を示した。
また、嘉山孝正相談役は、「今の学生は、クラス代表を通じて『午後5時以降は手術で残さないでくれ』と平気で言ってくる。国試のために臨床実習が形骸化しているということは、教員に聞けば分かることだ」と指摘した。【高崎慎也】

しかし嘉山先生は5時以降手術で残さないでくれと学生が言ってくるという話を「国試勉強の負担が増し臨床実習が形骸化している」例として挙げている訳ですけれども、さすがにそれは全然別の問題では?と思いませんでしょうか?
そもそも当の学生自身の口からも「国試の勉強がきつい」という声はさほど挙がっていないわけですし(むろん、他の理由で居残りにつきあえないことは幾らでもあるでしょうが)、国試勉強のために学生が居残り残業拒否が出ているのであれば近頃の研修医が残業を拒否し始めたのも国試の負担のせいか?ということですよね。
一昔前の医学生も授業や実習はろくに出ないで昼間は寝ていて、夜になると集まって国試勉強などという強者が結構いましたけれども、そういうケースも別に忙しいから学校をサボっているというものでもないでしょうに、嘉山先生にしても考えればすぐに判るようなこんな話を出してこなければならないほどにタメにする議論をやっている場であるということなんですかね。

いささか脱線しましたけれども、まさにここで見られるのが若年世代と管理する側の年長者側の感覚の差と言うもので、学生からすれば「実習に遅刻でもしようものなら激怒するくせに、自分たちは実習終了時間に遅れ放題でもペナルティーなしか?」と言いたくもなるのではないでしょうか?
もちろん午後5時以降であっても居残ることによって失うもの以上に得るものがあるとなれば、それは学生だろうが研修医だろうが自ら進んで居残らせてくださいと言ってくるでしょうけれども、今現在広く行われているような単に側で突っ立っているだけの手術見学に居残ってまで付き合う価値があるのかどうかということです。
そう考えるとこの問題、単に国試勉強が忙し過ぎるからだとか学生に熱意がなくなったなどと人ごとのように言っていられる問題ではなくて、まさに彼ら教育を担当する側に対して学生が「あなた達の教育には居残ってまで付き合う価値はないんです」とはっきりノーを突きつけているのだということを自覚してもらわないといけませんよね。

最近は学部学生のうちから海外武者修行など厳しい教育を課す大学も多くなっていて、もちろんそれが学生のモチベーション向上に役立っているという側面も確かにありますけれども、一方で課されるハードルが高くなればなるほどそれがもたらす効能についてもシビアに評価されるようになるということを教育者は忘れてはならないでしょう。
一昔前なら医者と言えばカネには不自由しない特権階級じみたところがあり、実際に嘉山先生らの年代であれば幾らでも好き放題稼いでもいられたのでしょうが、今の医学生は隣で一緒に部活に励んでいた歯学部生がワープア化したり、先輩が奴隷病院から逃散し開業したものの借金まみれで青息吐息という現実を目の当たりにしているからでしょうか、とかく考え方が現実的です。
ただでさえ時間が限られている中で意義の乏しいことに長時間拘束を強要し、当然ながら学生や研修医から反逆され始めたことに驚いて「俺たちの若かった時代にはこれくらい黙っていてもやっていたぞ」なんてことを言い出すといかにも老○らしく聞こえますが、それならせめて相応の見返りくらい用意しないことには今時誰もついてこないということですよね。

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2012年10月10日 (水)

怖いウィルス流行中

新型インフルエンザやエボラ出血熱など近頃話題になった怖いウイルスには事欠きませんけれども、最近日本国内で非常に怖いウイルスが蔓延しつつあると大きく報道されています。

「無差別殺人」書き込みはなりすまし 起訴の男性を釈放 外部からPCを完全乗っ取り(2012年10月8日産経ニュース)

 大阪市のホームページに7月、無差別殺人を予告する書き込みをしたとして偽計業務妨害罪でアニメ演出家の北村真咲(まさき)被告(42)が起訴された事件で、書き込みに使われたパソコン(PC)が新種のウイルスに感染し、別人がなりすまして遠隔操作できる状態だったことが7日、大阪府警への取材で分かった。北村さんは事件と無関係の可能性があり、大阪地検は勾留取り消しを請求、9月21日に釈放した。

 府警によると、外部からPCを完全に乗っ取ることができる不正プログラムが仕込まれていた。北村さんになりすました第三者が書き込んだ疑いがあり、府警は実際になりすましが可能か再現するとともにウイルスの感染経路を調べる。

 また、ネットの掲示板に伊勢神宮の破壊予告を書き込んだとして三重県警が9月、威力業務妨害の疑いで逮捕した無職男性(28)のPCからも同じウイルスを検出、逮捕から1週間後に処分保留で釈放されていたことも判明した。

 県警が男性のPCを解析する過程で不正プログラムを発見。北村さんの起訴後に情報提供を受けた府警が再捜査した結果、同じファイル名のプログラムがあることを確認した。

 両府県警によると、北村さんと男性は当初から一貫して「身に覚えがない」と容疑を否認していた。

 北村さんは7月29日に、自宅PCから大阪市のHPに「(大阪・日本橋の)ヲタロードで大量殺人する」と書き込みし、市職員らの業務を妨害したとして8月26日に逮捕、9月14日に起訴された。警視庁が捜査している日本航空の航空機爆破予告メールでも北村さんが発信源とされた。

 新種ウイルスの発覚を受け、警察庁は都道府県警にサイバー捜査でなりすましに注意するよう指示した。

 北村さんはアニメ「機動戦士ガンダム00」の助監督や「ケロロ軍曹」の演出を担当した。

別ソフト通じ取り込みか 不正プログラム(2012年10月9日日刊スポーツ)

 インターネット上で犯行予告をした疑いで逮捕された男性2人が事件と無関係の可能性があるとして釈放された問題で、2人がネット上のサイトなど別の経路で異なる無料ソフトをダウンロードしていたことが9日、大阪、三重両府県警への取材で分かった。

 両府県警によると、この際に遠隔操作が可能なコンピューターウイルスの疑いがあるプログラムがパソコンに取り込まれたとみられる。プログラムは容量などが同一ではないものの酷似しているという。

 両府県警は、ソフトの作成者や配布元を特定し、さらに別の何者かが不正プログラムをソフトに組み込んだ可能性について調べている。

 これまでの調べで、津市の男性(28=威力業務妨害容疑で逮捕、釈放)のパソコンは、無料の画像編集ソフトをダウンロードして不正プログラムを取り込んだとみられることが判明している。

 アニメ演出家北村真咲被告(43=業務妨害罪で起訴、釈放)は、タイマー機能を備えたものなど複数のソフトをダウンロードしていたが、男性と同じソフトはなかった。男性はダウンロード時にパソコンの異常動作に気付いていたが、北村さんはプログラムを取り込んだきっかけに心当たりがないという。

 府警はプログラムを警察庁に送り、既に解析。実際に第三者がパソコンを遠隔操作できるかどうか再現実験を行う。(共同)

ウイルスはウイルスでもコンピューターウイルスということなんですが、今回は特に有名アニメ制作スタッフが掲示板に殺人予告を書き込んだとして逮捕されたこともあって大いに話題になったわけですね(現在は釈放済み)。
前述の記事を見てもお判りいただけるように特定系路に留まらず複数ルートでの感染が疑われるくらいで、誰にとっても人ごとではない大問題なのですが、実際のところこのウイルスに感染することで何が起こるかと言えば自分のPCを他人によって遠隔操作されてしまうということです。
基本的にユーザーが目の前のPCを操作して行えることは何であれ全て出来るということですから、むしろ今回のようなちょっとしたいたずら書き込み程度のことで済んでよかったというものですけれども、実際にはこういうウイルスの危険性は以前から指摘されていて、しかもおそらく水面下ではずっと多くの被害が出ているにも関わらず乗っ取られたユーザーにも知られていないだけではないかとも言われています。

「冤罪ではないか」ネット上では逮捕直後から指摘(2012年10月7日産経ニュース)

 大阪の事件で北村真咲さんが逮捕された直後から、インターネット上では冤罪(えんざい)の可能性を指摘するかき込みが相次いでいた

 「ウイルスに感染して勝手に書き込みをされたのではないか」「冤罪の可能性が高い」

 北村さんが「身に覚えがない」と関与を否定していることなどから、ネットでは当初から冤罪説が浮上。別人が北村さんになりすまして犯行に及んだ可能性が指摘され、逮捕を疑問視する書き込みが並び、「完全にハメられた」と同情する声もあった。

 こうした背景にはウイルス感染したパソコンが遠隔操作されて“踏み台”になり、不正アクセスなどに使われるケースが後を絶たないことがある。

 昨年3月に韓国の大統領府などに対して行われたサイバーテロでは、日本国内の一般家庭のパソコンも踏み台になっていたとされる。また近年では踏み台に悪用したパソコンから遠隔操作した“痕跡”を消去するなど手口が周到になっており、警察の追跡が困難になっているという。

 北村さんの釈放が明らかになった今月7日、ネット上では「誰にでも起きる可能性がある。怖い」と不安の声が寄せられていた。

2人のPC乗っ取り犯罪予告か…類似ウイルス(2012年10月8日読売新聞)

 犯罪予告メールを送信したなどとして、大阪府警と三重県警にそれぞれ威力業務妨害容疑で逮捕された男性2人のパソコンが、「遠隔操作型ウイルス」とみられるウイルスに感染していたことがわかった。

 第三者が2人になりすまして犯行に及んだ疑いもあり、大阪、津両地検は先月21日、2人を釈放した。誤認逮捕の可能性が高く、警察庁は全国の警察に対し、サイバー事件の捜査はパソコンが第三者に遠隔操作されている可能性も想定し、慎重に行うよう異例の注意を行った

 男性2人は面識はなかったが、捜査の結果、両事件で使われたパソコンが類似のウイルスに感染していたことが判明。第三者が遠隔操作してメールを送ったり、掲示板に書き込んだりできることがわかった。警察庁によると、サイバー攻撃などでは発信元を特定されないよう、セキュリティーの甘いパソコンをウイルス感染させて中継点にする手口はあるが、パソコンを完全に乗っ取って他人になりすます事例は珍しいという。

ご存知のように日本でも近年ネットワーク上での書き込みというものに非常に厳しくなってきていて、某巨大掲示板などでも殺人予告など馬鹿げたことを書き込んで逮捕されたという事例が相次いでいますが、そのうちの何割かはこうした乗っ取りによるものであった可能性があるということです。
当然ながら自分のPCから書き込みをするよりも他人のPCを介して書き込んだ方が追跡されがたいはずですが、ウソの書き込みなどで世間を賑わす愉快犯めいた段階に留まっているならまだしも、例えばこれまた以前から話題になっていたキーロガーなど他のアプリと組み合わされることでさらに大規模な犯罪が幾らでも仕掛けられる理屈ですよね。
何しろ友人知人同士でも今時実際に会って話すよりメール等でやりとりする方がよほど多い時代で、ましてや遠く離れた相手との取引などでは当然PCを介して行うわけですから、早急に対策を講じないことには大変な騒ぎがいつ起こっても不思議ではありませんね。

企業や官公庁などはきちんとコストを割いて対策を講じるのはもちろんですが(日本はこの面でも遅れていると言います)、往々にしてこれらのセキュリティに穴を開ける最初の一穴は従業員など個人レベルでの情報流出であると言いますから、少なくとも無防備な状態でネット利用をしない、怪しいサイトに近づいたり妙なメールを開いたりしないといった当然の防疫対策は各個人が十分に承知しておくべきでしょう。
自動車などでも当然行うべき防犯対策を講じないまま盗まれた車が犯罪等に関わってしまった場合、所有者に損害賠償請求が行われる可能性がありますけれども、PCのように不特定多数に一斉に関与出来る道具で同様の解釈が行われた場合、当たり前のウィルス対策すら講じていなければ持ち主に巨額の賠償が行く可能性もあるかも知れません。
もちろん各人のPCの中を覗いてみれば人に見られたくないような秘密の一つや二つくらいは含まれているでしょうから、より直接的な犯罪に巻き込まれないためにもまずは最低限の知識を身につけ、面倒くさがらずに実行するという基本を徹底することでしょうか。

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2012年10月 9日 (火)

国立病院 人件費削減方針見直し?

本日の本題に入る前に、先日大学病院が保険指定取り消しを受けたと言う驚きのニュースが流れた東京医大茨城医療センターの続報をお伝えしておきましょう。

東京医大茨城医療センター 療養費払いを活用、適用者以外は病院負担(2012年10月6日茨城新聞)

診療報酬の不正請求により東京医科大茨城医療センター(阿見町中央)が12月から保険医療機関の指定を取り消される問題で、県と同センターは5日、国民健康保険(国保)の「療養費払い」制度を活用し、透析や化学療法を受ける患者負担を事実上、現行通りに抑える方針を固めた。近く、保険者の市町村に理解を求める。

同制度は、救急などやむを得ない理由で患者がいったん医療費を全額支払った後、保険者の市町村が保険負担分を払い戻す制度。

県と同医療センターはこの日、県庁で会合して方針を固め、9日開催する関係市町村等対策会議で阿見町や美浦村など地元10市町村に伝え、理解を求める予定だ。

10市町村以外や国保加入者以外の患者にも制度活用できるか検討する方針で、県保健福祉部の森戸久雄次長は「患者によって不均衡ができるだけ起こらないよう、対応していきたい」と話した。

ただ、制度適用は同医療センターでしか受けられない透析や化学療法、放射線治療の患者に限られるため、軽症者は近隣病院を紹介したり、一部の入院患者には転院を求める。その上で対応する制度適用外の患者については、同医療センターが保険医療費分を全額負担する方針

松崎靖司病院長によると、同医療センターには5日までに、「継続して治療が受けられるのか」など1900件を超える問い合わせが寄せられた。松崎病院長は「病院として可能な限り対応していきたい」と話している。

しかしこれはまた、何ともトラブルを招きそうな話ではありますかね…
当初からこうしたウルトラCは半ば予想されていたとは言え、実質的に保険指定というペナルティを取り消すにも等しい行為ですから、日医なども何かと言えば国民皆保険制度の原則を固守せよと主張しますけれども、こういうところにはクレームをつけないでいいのでしょうか?(苦笑)
とりあえずは最低限同院においてしか受けられない患者に限るということで、医業収入面では激減することは必至(というよりも、下手すると赤字医療ばかりが残ることになるかも知れませんね)で十分に行政罰の意味はあるという考え方もありますが、わずかばかりの不正請求でずいぶんと高いものについた形です。
前回コメント欄でご紹介いただいたように独裁的な権限をふるっていた前センター長一人が悪かったということで片をつけた形ですが、全てその通りであったにしても仮にも大学病院でこういうレベルの人物に権力を振るわせた経営陣の責任も今後問われることになるのでしょうか?

さて、東京医大の件は再び続報を待つとして、本日は同じく病院経営が絡んだこちらのニュースを紹介してみましょう。

国立・労災病院、総人件費抑制見直しを- 新法人制度在り方検討会で論点整理 ( 2012年10月04日CBニュース)

 厚生労働省は4日、国立病院と労災病院のそれぞれの運営法人が2014年度から移行する新法人制度の在り方を検討している検討会の会合に、現行の総人件費の抑制の見直しなどを提起する論点整理を示し、おおむね了承された。

 同省は11月、検討会に論点をまとめた報告書案を示し、年内にも報告書を取りまとめる。

 国は両法人を含むすべての独立行政法人に対し、06年度から11年度まで、前年度比1%の総人件費の削減目標を課した。しかし、病院を運営する法人をめぐっては、患者の診療環境を整えるため、医師や看護師らを雇う必要があり、一律の削減目標の設定を疑問視する声が上がっていた。
 4日の会合に厚労省が示した論点整理では、医療事業を行う法人の総人件費の管理は適切でないとする意見もあると指摘し、新しい法人制度では患者のために必要な人員配置を認める必要があると訴えた。

 また、国立病院と労災病院に新制度移行後も政策医療を担わせるほか、政策医療の定義を社会環境の変化に合わせて適宜見直すことを提案。新法人の役員については、医療事業を担う法人の特性を踏まえて、専門的な知識や経験を持つ人を着任させる方法を検討すべきとした。

 これに対し、堺秀人委員(慶大病院長補佐)は、「人員や人件費の縛りがあると、医療制度の変化に適応するのが難しくなり、結果として医療の提供が不十分になる可能性がある」と述べ、人件費に制限を設けないことが患者のためにもなると指摘した。また、夏目誠委員(成田国際空港会社社長)は、総人件費の抑制を外すことに賛同した上で、「必要な医療従事者を効率的に配置するには、仕組みづくりに知恵を絞らないと、医療現場にふさわしい形になっていかないのではないか」と述べ、新たな基準の設定を提案した。【佐藤貴彦】

一見すると国が法人の経営内容にまで口を出すというのは無茶な話で、それでは法人化の意味がないのではないかということなんですが、いささかこれがややこしい背景事情があるところなのですね。
ご存じのように国立病院の独法化が近年進んでいて、本来的な意味においては経営の柔軟性が増し万年赤字体質が改善される云々と言われてきましたが、実際徐々に経営改善が進んでいて独法化時には5割程度だった黒字病院の比率も、近頃では8割程度に伸びてきているとも言います。
昨年度の国立病院機構による業務実績自己評価ではこうした改善を反映してか経営改善をS評価するなど軒並み高い自己評価が並んだと言いますが、実際にはこの黒字化も例によって交付金込みでの収支ですから、まだまだ自前の収入だけで一本立ち出来ているとは到底言えないわけですね。
その理由となっていたのがかねて高すぎると言われていた人件費率で、健全経営のためには40%台が目安とされている中で国立病院では平気で60%超えなどがありふれていたわけですから、それは幾らマンパワー集約型産業だとは言ってもまともな経営が成り立つはずもありません。

こうした背景を元に前述の記事にもあるように独法化後人件費率削減が進められていて、事務外注化などの推進もあり国立病院機構全体で23年度にはなんと55.8%まで切り下げたと言いますから相当なものですが、問題は多くの国立病院が地域の基幹病院として高度医療を提供しているにも関わらず、医師ら専門職スタッフの給与まで切り詰められていることです。
以前にも法人化が進む国立大学病院で優秀なスタッフ確保のために外科医にインセンティブ手当を支払うことにしたという話を紹介しましたが、そもそも国公立病院では以前から正職員扱いとなればそこそこ給料は出るものの、実際にはスタッフ定員数の縛りから実質的に常勤として勤務しているにも関わらず名目非常勤で二束三文で働かされている奴隷医の存在が問題視されてきたものです。
本来であれば独法化によってこのあたりを実態に即して柔軟に対応し優秀な人材を確保することが医業収益増加に結びつくはずですが、お上の定める数字によって一律に人件費を削減するばかりではとても人材確保などままならぬという声があるのはそれなりに故なしとしないということですね。

ただそうした名目で人件費削減は柔軟にという主張にも一定の理はあるとして、それが自由化された結果正しく状況が改善するかと言えば必ずしもそうではないことが問題で、例えば昔から国公立病院では民間と比べて医師の給与は安く看護師は高め、そして事務職は非常に高いということが言われていて、仕事量ではその逆であるなどと揶揄されていたものでした。
それと言うのも人件費算出基準が対国家公務員比で算出されているかららしく、昨年度の数字でも事務職は一般国家公務員相当で年収600万円超と言いますからちょっと民間病院の水準とはかけ離れている一方で、医師などは仮に常勤であっても民間よりも割安なのですからよほどに情熱でもなければ長続きはしませんよね。
すなわち単純に総額で高い、低いと言うばかりではなく、この時代どこでも奪い合いになっている医療専門職にきちんとした待遇が用意出来るように、その中身の配分についてもこの際徹底的に見直さなければならないんじゃないでしょうか。

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2012年10月 8日 (月)

高齢者医療費自己負担 特例は廃止か存続か?

特権とか既得権益というものが目の敵にされるようになって久しい時代ですが、この時代にあってもあえて特権の擁護者として活動しておられる方々もいるようです。

日医会長、高齢者の医療費1割負担継続を(2012年10月3日日本経済新聞)

 日本医師会(日医)の横倉義武会長は3日の記者会見で、70~74歳の医療費の自己負担割合について「非常に重篤な病気を起こしやすくなる年齢で、1割の負担で受けられる状況を続けてほしい」と述べた。本則は2割だが、特例で1割にする措置の継続を求めた

 1日に就任した三井辨雄厚生労働相も負担割合の引き上げに慎重な考えを示している。一方、70~74歳の自己負担を本則の2割に戻すべきだとの声も政府内にはある。

 全額公費で賄っている生活保護受給者の医療費には「(受給者から)負担金を取るのは、今の状況では行きすぎだ」と指摘した。全額公費のため過剰な診療や投薬が起きやすい問題が一部で起きているが、横倉氏は「十分チェックされ、適切な医療をしている」と主張した。3.7兆円の生活保護費(2012年度)のうち医療費は半分程度を占める。厚労省は圧縮策を検討している。

日医にすれば患者本人だろうが保険者だろうがどこからお金が出ても収入は収入ですし、下手に自己負担を増やされて開業医の顧客が目減りでもすれば大変なことになりますから理解できる主張なのですが、まさかこういう主張をすることが「国民のための日医」であるための必要条件だと考えているのなら勘違いも甚だしいと思いますね。
今まさに若年世代が収入も先細りする一方で四苦八苦していて、世間では保険料も支払えない無保険者の増加が問題になっていますけれども、結局のところは本当に困っている人に回るべきお金が不要なところに回されているからだとも言える話です。
無保険だろうが未払い常習だろうが市民サマの受診をお断りするなんてとんでもないという公的病院の奴隷勤務医と違って、熱心な日医会員たるような皆様方はお金も暇も十分に持ち合わせた高齢者の方々だけを得意先にしていれば経営安泰なのかも知れませんが、こうした特例によって逼迫した医療財政が誰の負担で支えられているかということにも時には思いを致すべきではないでしょうかね?

とはいえ、日医の場合はあくまでも業界団体である以上その利権を代弁することは全くもって正当な行為で、彼らの目線に立って考えるならばこうした主張をしなければ存在価値がないとも言えるわけですが、当然ながら為政者などにはもう少し社会全体を見回しての見識が必要なはずです。
高齢者の自己負担1割というのはあくまでも暫定的な処置であって、本来こうした特定階層だけを対象とした特権がいつまでも残っていること自体がおかしな話ですし、実際に政界の各方面からもとっくに止めると決まっていることをいつまでも続けているのはおかしいという声も久しく前から出ている訳ですよね。
野田内閣においても小宮山厚労相が今度こそ廃止しますと言っていたはずなんですが、先の内閣改造で登場した新厚労相の口からまたしてもそれを翻すような先延ばし論が出てきたというのですから驚くしかありません。

“高齢者医療費の負担引き上げ難しい”(2012年10月5日NHK)

三井厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で、暫定的に1割に据え置かれている、70歳から74歳までの高齢者の医療費の窓口負担について、本来の2割負担に戻すのは難しいという認識を示しました。

厚生労働省は、暫定的に1割に据え置かれている70歳から74歳までの高齢者の医療費の窓口負担について、来年度予算案を編成する過程で、本来の2割負担に戻すかどうか検討することにしています。
これについて、三井厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で、「当然、今の状況でお年寄りの窓口負担を引き上げるのは難しいのではないかと思う。現状の1割を継続していただきたいと考えている」と述べ、本来の2割負担に戻すのは難しいという認識を示しました。
その一方で、三井大臣は「世代間の公平性や財源の問題がある。党内のさまざまな意見を聞きながら検討を進めていきたい」とも述べ、世代間の公平性などを考慮しながら、負担の在り方を慎重に判断する考えを示しました。
このほか、みずからが医療法人の理事長を務めていることについて、「利害関係もあるので、厚生労働大臣が医療法人の理事長を務めているのはおかしい」と述べ、辞任する考えを示しました。

三井厚労相、高齢者の医療費負担増急がず 2割には慎重 (2012年10月5日日本経済新聞)

 三井辨雄厚生労働相は2日に記者会見し、1割に据え置いている70~74歳の医療費自己負担割合を2割に引き上げることについて「性急にやるべきものではない」と述べた。民主党が看板政策として掲げる最低保障年金の創設と後期高齢者医療制度の廃止は、自民・公明と設置する社会保障制度改革国民会議の議論に委ねる方針を示した。

 70~74歳の医療費自己負担割合は、法律では2割となっているのに、毎年2000億円の予算を投じて1割に据え置いている。岡田克也副総理や小宮山洋子前厚労相は2013年度からの引き上げに意欲を示していた。

 13年度の予算編成で本来の2割に戻すのかが焦点だ。ただ三井厚労相は「消費増税の負担、負担で、国民は納得がいかないだろう。世代間の公平も必要だが、簡単に上げる問題ではない」と語り、引き上げに慎重な姿勢を示した。
(略)

いや、医療財政が緊迫の度を年々高めている中でそこは是非にも急げよと思うのですが、すでにはるか昔からやると決まっているはずの特権的待遇是正策をこうしてずるずると先延ばしにしてきていることには当然遠くない将来に見込まれる総選挙対策等々、各方面で様々な思惑があるはずです。
来月の誕生日には70歳になるという三井厚労相としても、まさか自分が直接の当事者になるからと特例撤廃を拒否しているわけでもないでしょうが、何しろご自身が療養型の病院や老健等高齢者対象の商売で儲けている医療法人のトップともなれば、この方面の議論にはひどく敏感であっても仕方がないところなのかも知れませんね。
この件では民主党内でも岡田氏などのように1割はあくまで一時的な特例であって本来の2割に戻すのが当然だとする一方、根強い反対論もあるなど足並みの乱れがあるのは理解できるのですが、それにしてもこの1割継続会見の直後にこんな一幕があったと言うのですからこの大臣で大丈夫かと心配になってきます。

医療費:三井厚労相がまた発言撤回(2012年10月5日毎日新聞)

 三井辨雄(わきお)厚生労働相は5日の記者会見で、特例で1割に軽減している70〜74歳の医療費窓口負担(法律上は2割)について「1割を継続していただきたい」と述べた。しかし、直後に「世代間の公平性(の問題)がある」と補い、「1割継続」発言を事実上撤回した。三井氏は2日にもいったん生活保護の医療費に自己負担を求める考えを示し、訂正したばかり。厚労省の重要政策でトップの発言が混乱を続けている。

 「1割継続」の特例に関し、岡田克也副総理や小宮山洋子前厚労相は13年度から2割に戻すべきだと主張していた。これに対し、三井氏は5日、路線転換を示唆した。ところが事務方から資料を手渡されると発言を後退させ、その後も「1割という思いではなく、皆さんの声を聞きながら進めていきたい」とあいまいな態度に終始した。【鈴木直】

大臣の問題はさておくとしても、こういう話を聞くと医療費だけに限らないことですが、まさに近年各方面で問題化している高齢者特権の見直し問題はこの「世代間の公平性」ということがキーワードになりつつあるようです。
現代日本の個人金融資産が高齢者に偏りすぎているというデータがありますが、ワープアだと言われながらひたすら額に汗して働いている若年世代のお金がこうした社会的特権によってお金持ちの高齢者の懐にばかり入っていく、そしてそういう特権世代が毎年増え続けさらに発言力を強化していくばかりだという不満が社会に蔓延しつつあるわけです。
百万歩譲って貧乏人がお金持ちにお金を吸い上げられる構図までは既得権益で仕方がないと諦めるにしても、高齢者がお金をどんどん社会に還元して金回りがよくなっているというのであればまだしも、将来不安に備えて等々の名目でひたすら地中深く埋められる一方では経済活動が停滞してしまうのも当然と言えば当然ですよね。
現在は高齢者の貯め込んだお金を社会に還元していくシステムとしてほぼ相続税のみになっているのも問題で、これを何とか世の中に灌流させ若者に回すという意味では近年言われる直接税から間接税へ税収の中心を移行すべきだという議論も意味があるはずですが、結局お金を集めてもまた高齢者にばかり還元したのでは何の意味もないことでしょう。

高齢者の方々にも当然ながら言い分はあって、先々何歳まで生きるか判らない以上守銭奴にならざるを得ないから年金だけで食えるようにしろ、医療費もかかるんだから自己負担を安くしろと言う意見にも一理あるのですが、一定の資産がある多くの高齢者にまで手厚い保護を打ち出しても新たな貯蓄に回るだけで死に金になってしまいまうのは当然です。
現に貧困している低年金所得者や無年金者を含む無資産高齢者を考えれば現在の公的年金だけでは確かに不足ですが、年金というものは毎年幾らという固定経費ですから一律で幾ら増やしますと言えば財政上の負担も大変なもので、まずはきちんと対象を絞って本当の困窮者に対して手当をしなければ単なる強者過剰保護のバラマキになってしまいますよね。
扶養者のない困窮高齢者には国や自治体が生活費を十分に担保する、そのかわり亡くなった後は資産は国庫に収納するなり競売にかけるなりして新たな社会保障の財源にまわせというかなり極端な意見も出ていますが、誰も面倒を見ない人には公的にしっかり面倒を見るというのはやむなきところにしても、高齢者だからハナから出せるものも出さなくていいという理屈はもはや通用しない時代だということでしょう。

いずれにしても社会保障と医療政策とは相互に密接に関連していて、単に年齢が高くなったからというだけで誰にでも特権的地位を享受させられるようなゆとりは国にも自治体にも保険者にもないわけですから、医療費においても例えば資産や年金収入等々で自己負担軽減の認定を行うなど、特例はあくまで特例が必要な人に限って行うべきだとは思いますね。
また医療費自己負担にしても全ての診療項目で一律何割という考え方が正しいのかどうかですが、医師の裁量権等々様々な問題も絡むところではありますが年齢や状態に応じて求められる医療は変わっていくのも確かな事実ですから、医療費削減を毎年こうまで言うのであれば例えば後期高齢者であれば誤嚥性肺炎には手厚く癌診療は自己負担高めといった格差をつけることもありではないかなという気がします。
およそ人間ある程度のお年寄りになってくれば病院で調べればどこかに悪いところがあるのは事実なんですが、それではどうも調子が悪いとやって来た老人に片っ端から検査をし診断をつけてガイドライン通りに治療をしていくことが正しいのかどうか、このあたりは医療の側でも議論をしていかなければならないところでしょうか。

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2012年10月 7日 (日)

今日のぐり:「丸源ラーメン 倉敷インター店」

日本でも尾頭付きと言えばちょっとしたご馳走という感じですが、こちら動物の世界でも同じような感覚があるのでしょうか。

ホッキョクグマの群れがクジラの屍を貪っているのが発見される/米(2012年10月4日LUCIFER NEWS)

 アラスカのカクトビクにある村で、人間によって捕獲されたクジラの頭部に80ものホッキョクグマが群がっている光景が写真に収められました。地元紙によると、アラスカのカクトビク村のクジラ漁は毎年の恒例行事で、50年も続く伝統的なものだということです。いつも村の漁師はホッキョクグマたちのためにクジラの肉の一部を残していきます。ホッキョクグマたちもそれを知っているので、漁の季節になると漁師たちからの贈り物を求めてわらわらと集まってくるのです。

リンク先の画像を見ていただきますとホッキョクグマが鯨に噛り付くという意外性もさることながら、ホッキョクグマが草原を走っている姿がこれほど違和感あるとは思いもしませんでしたね。
今日は犬やカモメも追いかけるというホッキョクグマ達に敬意を表して、世界中からちょっと意外性のある光景というものを紹介してみましょう。

鍋たたいて“演奏”10年 ちんどんオーケストラ27日、記念公演/福岡(2012年9月22日西日本新聞)

 楽器だけでなく、鍋やフライパンもたたいて音を奏でるアマチュア楽団「ちんどんオーケストラ」が、結成10年目を迎えた。公民館や福祉施設を訪ね、ボランティアで行った演奏会は120回を超える。27日、同市中央区の市立中央市民センターで記念演奏会を開く。
 チン、トン、カン…。ギターやピアノなどの音色に交じって、練習会場に鍋をたたく金属音が響く。楽団には楽器の代わりに調理器具を手にする「ちんどん担当」が4人いる。楽団名の由来でもある。
 2002年11月、パソコンの使い方を学び、シニア世代の生きがいづくりに取り組むNPO「シニアネット福岡」のメンバー数人が「会のテーマ曲を作ろう」と思い立ったことが、楽団結成のきっかけとなった。「楽器ができなくても、楽譜が読めなくても楽しければいい」と考え、音が出る鍋などを持ち寄って演奏会を始めるようになった。
 現在、福岡市とその近郊に住む50~90歳代の約40人が所属。尺八やバイオリンなど楽器も10種類以上に増えた。オーケストラとはいえ、演奏するのはクラシック音楽ではなく、童謡や唱歌、懐かしい歌謡曲が中心。レパートリーは約130曲に上る。楽器と金属音のほのぼのとした“調べ”が、聞く人たちの心を和ませる。
 結成当初からのメンバー、清田央(ひろし)さん(72)は「朝、みそ汁を作った鍋が昼には楽器になっている。面白おかしくやってきた10年だった。できる限り続けていきたい」と笑顔を見せる。
 記念演奏会は午後2時開演。定員500人。申し込み不要。

リンク先の画像のインパクトもさることながら、幾らなんでもこのアマチュア楽団で500人規模の会場の集客力があるというのが何とも驚きますよね。
群馬といえば夜な夜な豆腐屋の車が走り回っている県という程度のイメージしか持っていないかも知れませんが、なにやら物凄いことになっているんじゃないかと思えるのがこちらの記事です。

amazonにある『防弾シールド』のレビューがぶっ飛んでいて面白いと話題に(2012年9月22日秒刊SUNDAY)

amazonにある防弾シールドのレビューが面白過ぎると話題になっております。そもそも、防弾シールドって拳銃を持ち歩かない我々日本人に利用頻度は高いのか?と疑問に思うのかもしれないが、そんなことはどうでもよくなってくるほど実に秀逸なレビューが並んでいる。ちなみに、1台65万もするという非常に高価な商品だ、慎重にレビューを参考にしていただきたい。
こちらが問題のFPC社による対ライフル用防弾シールド。非常に本格的で、高さは80センチあるものの、厚さは意外に薄く、2.4センチだという。重さは強化ガラスを含めて14キロとかなりずっしりとした重量で、普段の持ち歩きには適さない。つまりいざと言う時に利用する物だが、いざと言う時が果たしてくるのか来ないのかは判らない。
ありえる事象として、店舗など強盗などに入られた場合だが日本であれば、拳銃と言うよりも刃物のほうが多いため、やはり使い道はなさそうだ。業務用、言うならばそれ専門の職業の方向けだろうか、実際に世界22カ国の軍隊や警察で製品が使用されているという実績があるそうだ。
万が一の際、65万円で命が救えるのであれば安いだろう。
そんな中、購入者のレビューがぶっ飛んでいるとのことで早速見ていただきたい。

―レビュー内容

・私はこれでスキー場の上級者コースを滑りおりました。
・この商品を買ったおかげで妻との喧嘩の頻度が増えましたが、使用機会が増えた事に個人的には大満足です。
・先日モヒカンに襲われた際には見事に斧とボーガンを防いでくれました。
・私の知人は大男の乗った黒い馬に盾ごと踏みつぶされてました。
・疲労の末行き着いた喫茶では魔法を使ってきたので使用したが防ぐことができず。
・父との最終親子ゲンカの折に、 何らかの役に立つと思い購入に踏み切りました。
・外に出ると日本の方々はこちらを見てはクスクスと笑ってきます。
・私の住んでいる自宅の周りは騒音関係などが理由で近所付き合いが悪く、多々四方八方からM67破片手榴弾やコンカッション、フラッシュバンなどが飛び交う地帯です。先日引っ越してこれれたばかりの若い夫婦が帰らぬ人となり、購入を決心しました。
・今ではシールド無しに職務に赴く事は無い。 第二のケネディを生み出さないためにも。
・このシールドのおかげで全てのパンチなどの攻撃を遮断でき、隙を見て魔王いかりみさきに木刀を打ち込み、 倒すことに成功したのでした!
・祖母に薦められ 半信半疑で買ってみたのですが  本当に感謝感謝!  これにおかげで13kgのダイエットに成功
・僕は銃が飛び交う群馬県で、これを護身用として愛用しています。

レビューによると意外にも日本特に群馬県での使用頻度が高いという事で
お金と度胸に余裕がある方で、群馬に行く際は是非1台持っておいたほうが良いのではないか。

どこから突っ込んでいいものやら何とも微妙なレビューが並んでいるのですが、いったい群馬県とはどんな人外魔境になっているというのでしょうか。
こちらはもう少し常識的な価格の商品だということなんですが、その使い方に頭を悩ませそうだという点では前述のシールドと似た境遇ではないでしょうか。

人形にナイフがぐっさり 見ているだけで痛そうなナイフホルダー(2012年9月22日ねとらぼ)

 日本で言えば五寸釘が刺さった藁人形といったところでしょうか。人形の全身にナイフが刺さったようなナイフセット「THE EX VOODOO KNIFE SET」がちょっと怖いです。

 人形型のプラスチックのホルダーにスリーブがついていて、ナイフを差して固定するようになっています。シェフナイフ、パン切りナイフ、肉切りナイフ、万能ナイフ、ペティナイフの5本がセット。すべてのナイフをしまったところは、体中をナイフで刺されたようで呪いの人形のよう。名前に「VOODOO(ヴードゥー)」が入っているだけあります。何も知らない人が見たらぎょっとするかも?

 ブラック(83.99ドル)とクローム(104.99ドル)の2種が販売されています。

強いて使い道を探るならばギフトにすると色々とブラックな楽しみが広がりそうかなという気もするのですが、しかしこういうものを考え付く人間がまさか東洋的呪術の習慣に精通しているとも思えませんしね…?
こちらは一転して機能的には非常に使い勝手のよさそうな新商品なのですが、ともかくその見た目のインパクトがすさまじいというものです。

アメリカの通販番組で売っている「まるで生きてるみたいに伸び縮みするホース」が革命的にスゴイ!(2012年9月22日ロケットニュース24)

水撒きや掃除のときに大活躍なのが「ホース」である。たとえ遠くに蛇口があっても、長い長いホースがあれば問題なしだ! ……だが!! 長い長いホースは、ズシリと重い。さらによく “からまる” のだ。
そんなホースの弱点を見事に克服した革命的なホースが海外通販で売られているとして大きな話題になっている。商品名は『DAP X HOSE』。価格は19.95USドル。日本円にしたら、なんと驚きの約1560円ぽっきりだ!
『DAP X HOSE』のスゴさは、YouTubeにアップされた通販動画「Xhose Expandable Garden Hose Commercial ? As Seen On TV」にて確認できる。特徴を箇条書きで書くならば……

・蛇口をひねると、まるで生きているかのようにウニウニと伸びる!
・蛇口を止めてホース内の水を出しきると、勝手にウニウニと縮む!
・よって、使わない時は縮こまっていてコンパクト!
・さらに軽量!
・しかも “からみにくい”!
・こんなにスゴイのに、20USドルを切る価格ッ!

……らしい。とにかく動きが凄まじい。まるで生きているかのようにウニウニと伸縮するのだ。なぜこのような動きをするのかというと、密かに蛇腹状になっているからである。
ホースの色はブルーだが、もしも赤やピンク色だったら……ややグロテスクに感じるかもしれない。しかしながら、これはホース界激震の革命児であることは間違いないだろう。いち早く日本で売られることを願うばかりだ。

確かに画期的な発明なんだけれども!ともかくその異様さは静止画ではなく是非とも動画によって確認していただきたいと思います。
どこにでもありそうな話と言えばそれまでなんですが、こちら事実だとすればどういうオカルトだと思ってしまうニュースです。

【衝撃映像】ドイツの幽霊観覧車 / 11年前に閉園した遊園地で観覧車が未だに回り続けている/独(2012年9月18日ロケットニュース24)

あなたは「怪奇現象」を信じるだろうか。あまりにも常識では考えにくいことが起こるためどうしても信じきれないという人がほとんどではないだろうか。
驚くべき映像がYoutubeにアップされている。2002年、ドイツのある遊園地が閉園となった。遊具は取り壊されることなく11年間置き去りにされたままだ。だが、その中にある観覧車が11年間回り続けているというのだ。

この信じがたい様子は動画「The Abandoned Ferris Wheel Spins Anyway」で確認することができる。
「幽霊観覧車」があるのは、ドイツのSpreeparkという遊園地。1969年にベルリンの旧東ドイツ側で開園。東ドイツ唯一の遊園地だった。東西ドイツ統合後も多くの市民が訪れていたそうだ。
しかし、2002年に経営破たんし閉園。経営者らは国外に逃亡。それ以来、2011年まで一般人が立ち入ることのない廃墟遊園地だった……はずなのだが、なぜか中の観覧車は誰のためともなく回り続けているというのだ。

確かに動画では観覧車は静寂の中、キシキシ……と、ゆっくりだが確実に同じリズムを刻んで回り続けている。風で動いているだけだと思いたいが、撮影者によると持ちこんだビデオカメラとパソコンが壊れてしまったという。
これは薄気味悪い。だが見ていると同時になぜか物悲しい気分にもなるのだ。打ち捨てられた、というこの遊園地の歴史がそうさせているのだろうか。なお、2011年からはガイドつきで内部見学ツアーが行われている。観覧車もいつかまた活気あふれる遊園地の姿に戻る日を待って回り続けているのかもしれない。

さすが世界に冠たる工業大国だけに10年余を経てもノーメンテナンスで回り続けるとは素晴らしい!と言うものですが、しかしここまでちゃんと回るのであれば何かしら有意義な方向に利用できないものでしょうかね?
最後に取り上げますのがご存じブリからの話題ですが、こちらこんなとんでもない大事件が発生していたというニュースです。

これが自然現象だなんて…大量の泡でスコットランドの街が真っ白に/英(2012年9月27日らばQ)

天災は人の手で止められるものではありません。
天候が不安定になると被害もいろいろと出てきますが、スコットランドで激しい暴風雨が続き、ホイップされた海の泡によって建物や道路が真っ白になってしまったそうです。
スコットランドでは悪天候により各地で洪水や道路封鎖が相次ぎ、学校閉鎖するところも出てきています。

北東部にある都市アバディーンのフォートディ地域は、北海からやってくる泡で覆われてしまいました。家、車、道路などが真っ白になり、雪の嵐に見舞われたような姿になっています。
強風が海に打ち付けることにより巻き起こった波が、植物プランクトンの粘液を作り出し、それがホイップされることで大量の泡が発生してしまうとのことです。
海洋生態学者のクリストファー・トッド教授は「まるで海が洗濯機になったかのようだ」と語っています。

Aberdeen coastal village engulfed in sea foam - YouTube

まれに起きる現象ではありようですが、ここまで街が泡だらけになってしまうと生活に支障が出るどころの騒ぎではありませんね。

いやしかし不思議な現象の実態はリンク先の画像を確認していただくとして、幾ら強風で云々と言ってもこうまで町中が泡だらけになると言うのもどうなんでしょうね?
一見すると町ごとクリーニングされそうな勢いですが、何しろ塩水ですから後の被害も大変なことになったことでしょう。

今日のぐり:「丸源ラーメン 倉敷インター店」

先日アウトレットモールなども完成して倉敷駅北側一帯はますます商業地域としての集積が進んでいますけれども、この界隈はまた非常なラーメン激戦区としても知られています。
見ていますと次々と新規出店が進む段階から今や店舗の入れ替わりが起こり始める段階に進んでいるようなんですが、そんな一大激戦区の一角に新たな出店をしてきたのがこちらのお店です。
熟成醤油を使用した「究極の醤油ラーメン」と称して特に肉そばをメインに全国展開されているということなんですが、今回は野菜肉そばを普通の堅さでいただいてみました。

この肉そばなるもの、個人的予想ではチャーシュー麺のようなものを想像していたのですが、肉は意外にも普通の焼豚でなく豚バラ薄切り肉のようで、HPによれば「やわらかな豚肉をスープで炊き込んだ」ものなんだそうです。
味もしっかり染み込んでいますし焼き豚よりもスープとの馴染みがずっといいのでいいんですが、何となく見た目のイメージ的にも食感的にもちょっとインパクト弱いかなという気もしないでもありませんかね?
スープは相応にこってりなんですがぎとぎとではなく、特にトッピングの香味野菜がいい具合に効いてすっきりこくうまという感じなんですが、これは醤油ダレがいいんでしょうか?
そのトッピングの野菜はこの肉の見た目とも相まって見た目からして野菜炒めっぽくいただけるんですが、これが普通の肉そばだとシンプルに肉が載っているだけのようですから、味の変化を楽しむのにもこちらの方がいいかも知れませんね。
スープやトッピングに比べて相対的に弱いのが麺ですが、デフォルトではやや柔らかめの茹で上がりなのはいいとして、別に特徴もなければ特にうまいわけでもないごくありきたりの中細麺なのがちょっと残念な感じでしょうか。

全体的には今の時代のチェーン店らしくしっかり研究して良くできたラーメンという印象ですが、この肉そばがメインとすると少し引きが弱いような気もするのですが、担々麺やつけ麺など他にもメニューが多いので大勢でも使いやすくはあるんでしょうかね。
店舗は大きなチェーンの出した店らしく広大と言うくらいに広々としていて、特に待ち合いもしっかり広いスペースを取っているのは好印象なんですが、現段階ではそこまでは入ってないようにも見えます。
トイレなども広くきれいな上に口内エチケット品も完備と至れり尽くせりで「やるなお主」という感じですが、ソフトウェア面ではそれなりに顧客への配慮はあるもののまだ錬成途上という感じで、このあたりが熟成された頃に地域内での評価がどうなっているかですかね。

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2012年10月 6日 (土)

今日のぐり:「いきいきうどん 善通寺店」

ただいまPC復元中ですので、本日はのんびりと休日進行で行かせていただきたいと思います(それでも幸いにも最低限の環境は整えられました。やはりクラウドってこんな時には便利ですよね)。
さて、いつも愉快な話題で我々を楽しませてくれるのがご存知ブリというお国柄ですが、先日はこんな記事が出ていました。

キットカットを買って「当たり」が出たら24時間以内に特殊部隊がヘリコプターで100万円以上の賞金を届けてくれる! 英ネスレのキャンペーンがスゴイと話題に/英(2012年10月2日Pouch)

「当たりが出たらもう一本!」的なクジ付のお菓子って、なんとなくついつい買ってしまいますよね。子供のころの駄菓子にはじまって、キャラものの景品が付いている商品など、気がつけば大人になってもそんな「当たりつき」商品が、しがない日常をほんの少し楽しくしてくれています。

今回ご紹介するのは、そんな「当たりつき」お菓子の最高峰ともいえる、イギリスで行われているキャンペーン。当たりが出たらなんと現金1万UKポンド(約126万円)! しかも商品の購入から賞金の受け渡しまでが最高に過激で面白いんです。

「ハブ・ア・ブレイク、ハブ・ア・キットカット!」でおなじみのネスレが開催しているこのキャンペーンは、その名も「We Will Find You(アナタを探し出します)」というもの。

気になるその内容ですが、まず対象商品は、キットカットをはじめとする4種類のチョコバー。そのうち、当たりはたったの6本しかありません。でもその当たりを手にした人には、賞金もさることながら、もの凄い経験が待っているのです。

どういうことかというと、当たりチョコバーの中にはGPS搭載のチップが入っており、袋を開封すると信号が発信される仕組み。会社の管制センターがその信号を受信すると、特殊部隊がヘリコプターで出動、24時間以内にアナタを見つけ出して現金を進呈します! というまるでアクション映画みたいな流れ。

詳しくは、YouTubeにアップされた動画「Nestle ‘We Will Find You’」をご覧頂ければ一目瞭然。町中には3000枚のポスターも貼りだされ、絶賛開催中の模様です。今頃、大人も子供もみんなでキットカットを手に空を見上げてるんじゃないでしょうか。そんな姿を想像するだけで、なんだか可笑しい。なんともイギリスらしい、素敵なバカバカしさが最高です。

ネスレさん、日本でも是非やって欲しいですっ!(文=黒澤くの)

参照元:YouTube、dailymail.co.uk(http://goo.gl/Z2YIg)

リンク先の画像が意味不明なのはいつものこととして、さすがにこのサービスは英領だけなのでしょうが、昨今も紛争が続いているマルビナス諸島界隈だと物理的に不可能なのではないでしょうか?
今日は全世界から「少しそれは無駄にやり過ぎなのではないか?」とも思ってしまう努力の数々を紹介してみたいと思いますが、まずは日本人らしいこんな仕事はどうでしょうか?

どこからどう見ても「テニスボール」にしか見えない! 東京・本郷『NIKKI Cafe』のケーキがスゴイッ!!(2012年9月27日ロケットニュース24)

クリスマスまであと3カ月。まだまだ時間があるとお思いの男性諸氏は、そろそろ心してかかった方が良いですよ。余裕があると思っているうちに、時は音もなくすぎて、あわててももう遅い! ということにもなりかねません。

そこで今日は、とっておきのカフェをご紹介しましょう。ここに行けば、会話が弾むこと間違いなしです。というのも、ご紹介するカフェのケーキが超スゴイんですッ! どこからどう見てもテニスボールにしか見えないケーキに、きっと意中の人もビックリ! 大興奮すること間違いなしです。

ご紹介のお店は、最高頭脳の集合地として知られる東京大学のすぐ近く、本郷三丁目駅から徒歩三分の『NIKKI CAFE(ニッキカフェ)』です。こちらの名物が、その名も『テニスボールケーキ』です。見た目はまさにテニスボール! ボールの黄色いのフェルト感や、白いラインもバッチリ。実際に本物のボールと並べてみると、パッと見はほぼ同じ。「どっちがケーキ?」と見間違えちゃうほどです。

本当に食べられるのか心配になってしまいますが、いざスプーンを入れると、いとも簡単に刺さってしまいました。なかはふわふわのマーブル模様、「スポンジかな?」と思って食べてみると、ほのかなレモンとチョコレート味。レモンの親戚にあたる「シトロン」とチョコレートムースが、スポンジに混じっているのだとか。周りのフェルト感はシトロン味のスポンジの粉をまぶしているそうです。

レモン系のさっぱりとした酸味と、チョコレートのほろ苦い甘さが絶妙なバランスで、アッという間に全部頂いてしまいました。ちょっと変わった見た目ですが、奇抜さだけではなく、味も考え尽くされた素晴らしいケーキです。

ちなみにこのテニスボールケーキは、単品でオーダーすると450円。ドリンクセットを注文すると、なんと600円とお買い得です! このほかにも「本郷ロールケーキ」や、熱々の「クリームチーズプレッツェル」など豊富な品揃え。私(記者)は個人的に、プレッツェルがおすすめです。どの商品も大変優しい味で、ホッと和んでしまいます。お店の雰囲気も落ち着いていて、一人のお客様も多くいらっしゃいました。イートインはもちろんのこと、テイクアウトもOKですよ。

私はこのケーキを発見した時に、女友達とキャーキャーと大盛り上がりしてしまいました♪ 気になる女性を落としたいとお考えのそこのあなた! デートのときに、このユーモア溢れるスイーツをご馳走すれば、会話も盛り上がって素敵なティータイムを過ごせるはずです。次回のデートに活用くださいね。

その凄さはリンク先の画像を是非ともご参照いただきたいと思いますが、確かにこれを見れば盛り上がることは確実でしょうが何故テニスボール?と思ってしまうのは自分だけでしょうか。
こちらもいかにも日本人の得意そうなジャンルではあるのですが、何故そこに?というニュースを紹介してみましょう。

あれ? ここ寿司屋だっけ? 空港の荷物用ターンテーブルから出てきた驚くべきモノ(2012年9月27日ねとらぼ)

「国内線の大分空港で手荷物を受け取ろうと指定されたターンテーブルで待っていたら、大きなエビの握り寿司が流れてきたでござる!」というウソのようなホントの話が話題になっている。ベルトコンベアと回転ずし、確かに似ているので「その手があったか!」と素直に関心させられるアイデアだ。おそらく手荷物が流れているということを知らせるための目印兼地元の名産を宣伝したいという目的からだろうが、かなりインパクトがある。

こうした試みは、意外と多くの空港でされているようで現在確認されているのは大分空港での「エビのお寿司」、「ウニの軍艦巻き」、宮崎空港での「日向夏(ヒュウガナツ)」、「宮崎牛」、「マンゴー」、米子鬼太郎空港での「目玉おやじ」、高松空港での「うどん(かま玉、各種)」といったところだ(他にもあるらしい)。

地方の名産物の紹介にもなるし、到着して荷物を待っているとき、ちょっとお腹すいたな~なんて思ったときに目の前にこうしたものが流れてきたら、ついつい食べに行ってしまうのを狙っているのかもしれない。羽田や成田といった国際空港でもこうした試みを試してみるのはどうだろう。

これまたリンク先の画像を見ていただきますとその状況がよく判るかと思いますが、ベルトコンベアーの上にこんなものが流れてこようとは誰しも思わないところでしょうね。
こちら大変な労力を要する仕事であることは明らかなのですが、何故それが素材なのかという疑問も無しとしないニュースです。

パスタで車や家を作るロシアのアーティストがスゴイ/露(2012年9月22日ねとらぼ)

 まさに職人芸と言いましょうか、パスタを使って乗り物や建物を作るロシアのアーティストがすごいです。

 アーティストのSergey Pakhomovさんは飛行機や車、家や風車のミニチュアを作っており、pravda.ruによると作品はおよそ30点に上るとか。家の壁は細長いパスタを貼りあわせて、さらに輪っか型のパスタをタイヤに使うなどパスタの形を生かしているのがうまいです。
ah_pasta1.JPG

 マカロニ工場の広告キャンペーンのため、パスタで車を作ったのをきっかけに、パスタ工作が趣味になっていったのだとか。パスタの街を作るのには3年かかったそうです。

そのロシア人らしからぬ?繊細な仕事ぶりは是非ともリンク先の画像を参照いただければと思いますが、いくらなんでもロシア人がパスタというのもちょっとイメージ違いますかね。
こちら昨今ではネタソースとして確固たる地位を築き上げつつある中国からの話題ですが、どこから突っ込んだらいいものなんでしょうか?

中国雑技団も失神!? 超超超・過積載すぎるトラック/中国(2012年9月26日ロケットニュース24)

以前ロケットニュース24では「過積載すぎるトラック」をご紹介した。なんとトラックの荷台の上にトラック、そのまた上にトラック。荷台に2台のトラックを載せ絶妙なバランスで走るのだ。これには中国雑技団もビックリである。

しかし、4000年の歴史を誇るかの国では2台などまだまだ序の口だった。なんと18台ものトラックを積んで走行するトラックが激写されたのである。実に9倍! ということは危険度も9倍!? その様子は「In China, One Truck Carries 18 Others」で確認することができる。

動画は後続車から撮影されたものだ。前方に大型トラックが軽トラサイズの車両を積んで走っている。その数なんと18。軽トラは荷台からはみ出しユラユラユラ……どうやって固定されているのか不明だが絶妙なバランスを保ちつつ走行中だ。このゆらぎ具合がなんとも怖い。たとえ1台でも落ちてきたらシャレにならないぞ!

この手の過積載は、中国では人件費と高速料金を浮かせるためにしばしば行われるそうだ。確かにこの方法なら1人の人件費と1台ぶんの高速料金だけでトラックを目的地まで運ぶことができる。それにしてはリスクが大きすぎると思うのは記者(私)だけだろうか。

改めて絶っっっっっ対に後ろを走りたくない。いや、横だって走りたくないと思わせる過積載ぶりである。(文=澤井恵)

参照元: Youtube KrazzyNews

このもの凄い状況を見ますと、どうせまたお得意の画像修正なんだろ?などとも思ってしまうのですが、実は本当のことであったらしいというわけで一粒で二度おいしいというびっくりニュースでしょうか。
こちらも無駄な努力というべきか、壮大な偉業というべきか何とも微妙なところなんですが、とりあえず記事を紹介してみましょう。

「世界一細長い家」、建設始まる/ポーランド(2012年9月24日ZDNet Japan)

 キリンも喜ぶグッドニュース!世界一細長いとされる家の建設が始まった。

 この家はポーランドのワルシャワの一角に建つ2棟のビルの間の路地に建設されている。幅は最も広い部分で47インチ(約119cm)、最も狭い部分では27インチ(約69cm)だ。

 建築家団体Centralaに所属するポーランドの建築家Jakub Szczesny氏が、イスラエルの作家Etgar Keret氏のために、この超スリムな住居を考案した。Keret氏は1年のうちしばらくの間、ここに住んで執筆する予定だ。

 Keret氏がいない間は、世界中の芸術家や知識人が1回につき数日から数週間にわたって滞在できるようにする。

 外観はスチール製で、2棟のビルに挟まれたカプセルのように見える。内部にはあらゆる設備が揃っているというから驚きだ。ただし、当然ながら60インチのフラットパネルテレビはない。

 Architizerによると、電力は近隣のビルから供給され、給排水は独自のボート型設備で行うという。リモコン式の階段はフラットにもなり、住人がヨガのレッスンに出掛けたい時には作動させることができる。

 Szczesny氏は、このEtgar Keret邸に住むには「宇宙船で暮らせるほどの適応能力」が必要だと語る。しかし、それだからこそ芸術家や思想家向けに建設されているのであり、この家は「周囲に阻まれているという非凡な感覚によって住人を刺激するよう意図されている」とITN Newsは解説している。

 Etgar Keret邸は10月中旬に竣工の予定だ。ただし、パーティに使うのは得策ではないだろう。ゲストが極めておおらかな性格で息をひそめることができるなら話は別だが。

もの凄いとしか言いようのないその設計はリンク先の画像を参照いただければと思いますが、何をするにも階段で上り下りする利便性は置くとしても下手に閉所恐怖症の人間が足を踏み入れてしまうと大変そうですよね。
最後に取り上げますのは未だ壮大な無駄というしかない未完成の一品なのですが、何か妙にわくわくするものを感じるのは自分だけでしょうか。

オズの魔法使いにインスパイアされたGPS搭載シューズが登場!(2012年9月27日秒刊SUNDAY)

スマートフォンやタブレットPCなど、GPSと連動した家電機器はますます需要が高まる中、ついにあの商品にGPSがついたと話題になっている。なんと、GPS搭載シューズが登場したのだ。行きたい方向を靴についているLEDのランプに従い道を進むと目的地にたどり着けると言う仕様だ。これがもし普及し始めればいよいよ世の中から、方向音痴と言う概念は無くなるはずだ。

こちらのシューズは童話「おズの魔法使い」にインスパイアされた作品で、商品ではない。物語では、靴のかかとをコンコンと鳴らすと、たちまち家に戻れるという、ドラクエで言う「ルーラ」のような魔法を使う事が出来るシューズだ。当然現代の科学を駆使しても、一瞬で戻れるということは不可能だが、それに似た行動を取ることは可能だという。

こちらの靴はデザイナー、ドミニク・ウィルコックスの作品でGPSが搭載されている。
内蔵されたGPSが、行き先を内部のメモリに記憶させ、道案内を行うと言うシステムだ。

ちなみに、誘導させるには物語と同じように靴のかかとをコンコンとやれば案内を行うという判りやすい設計。道案内は、内部のLEDが行き先を示してくれるようだ。

ただし欠点があり、まずこのシューズに行き先を記憶させるためUSBでPC接続を行わなければならない。しかも行き先は1パターンのみ。

もう一つは、当然バッテリーを積んでいるのでそれが切れたらただの靴に戻ってしまう。しかも少々重い何の役に立たない靴にだ。

商品化は不明だが、PCではなくSDカードか何かに接続させるか、もしくは無線LANを積むなどの方法があれば尚良いのかもしれない。

詳細はこれまたリンク先の映像を見ていただくとして、下手にリモコンなどつけないその潔い?操作性がなかなかに判っているという感じですね。
しかしこのやり方ですと下手をすれば誤動作の可能性も高そうなんですが、最終的に元ネタと同様の機能を備えてしまった日にはちょっとしたうっかりミスでとんでもないことになってしまいそうですよね。

今日のぐり:「いきいきうどん 善通寺店」

香川といえば何をさておいてもうどんですが、どこに行っても安価にそれなりのものが食べられるというのは観光客向けにも大変にありがたい話ですよね。
こちら金比羅や善通寺といった観光名所にも程近い立地のせいでしょうか、見た目の妙にノスタルジックな雰囲気に相反して?内部はかなり大勢が入れるようになっているようです。
食事時でもありそこそこお客も入っていますが、たとえ行列待ちになっていてもこういう店は回転も速いですしさほど待つ必要もなさそうですね。

例によってセルフ形式のお店ですので冷たいぶっかけうどんの中を頼んでみたのですが、トッピングはすでにカツオにノリ、ネギに天かすさらには大根おろしにレモンと満艦飾であしらわれていて、こういうスタイルだと天かすたっぷりが好きなので少し残念かなとも思ったんですが、幸いにもネギと天かすは追加出来るように用意されているようです。
うどん自体はもっちりしたうどんで、色つや舌触り、のど越しはそれなりに良好ですし、わずかに芯を残した茹で上がりで少し胃の辺りに重さが残るんですが、こういう回転の速い店にも関わらず意外に丁寧な扱いをしているらしいのでこれも悪くはないと思いました。
少し辛口のツユは恐らくザルと共用なんでしょうが、これはお店の特徴なのかとにかく味のバランスが崩れるほどに魚臭いのが非常に印象的で、ザルなどつけで使うならまだいいんでしょうが、ぶっかけだと好みが別れるかも知れませんね。
稲荷なども少しつまんでみたのですが、さほど特記する味ではないんですがとにかくでかい!という印象で、ちょっとこのサイズになると飯と揚げのバランス的にもどうなんでしょう、サイドメニューとしても小ぶりなものを数で調節した方が利便性は高いのかなと思います。

このうどんと出汁の組み合わせですと釜揚げなど熱いうどんを熱いつけつゆで食べるのが一番合いそうかなと思ったのですが、全体的に見るとやや好みが別れそうなちょっと特徴あるお店という感じで、個人的にはこの界隈ですと麺やの味の方が好みかなとも感じます。
ただチェーンという不特定多数を相手の商売でこういう味が出てくるのがさぬきうどん文化の成熟を示すものなのでしょうし、またこのレベルがいつでも食べられるならチェーン店のうどんとしては決して悪いものでもないですよね。
何とも昭和を感じさせるレトロな店構えは有名な笠岡ラーメン店の「とんぺい」などをちょっと思い出したのですが、接遇面では無論この種の店らしくそこそこ元気はいいものの、建物の物理的な遮音性などの関係もあってか少し騒音に負け気味なのが気になったくらいですかね。

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2012年10月 5日 (金)

新専門医制度 若手下っ端の問題だったはずが

ちょっとメインで使っているPCが壊れまして、しばらくコメント等満足につけられなくなるかも知れませんことをお断りしておきます。
さて、医師不足対策と言いますと厚労省の管轄というイメージがありますが、これが医学部定員をどうするか、医学部新設やメディカルスクールの是非はという話になると文科省の領域になります。
すでに以前から厚労省と文科省がタッグを組んでこの問題に取り組んでいて、先日も更なる定員増は認めるが新設はないという話をお伝えしたところですが、ちょうど先日就任したばかりの田中新文科相がこの問題について極めて率直なコメントを出しています。

少子・高齢化など対応の医師育成を-田中眞紀子新文科相が会見(2012年10月1日CBニュース)

 野田第3次改造内閣で新たに就任した田中眞紀子文部科学相は1日夜、文科省で記者会見し、医師育成の考え方として「少子・高齢化の中で、高齢者の慢性疾患に対応できる医師、またはiPS細胞の研究者など、『医師の質』が問われる」と述べた。

 田中文科相は、これまでの政治活動の中で、地方大学の医学部における定員増を多く要望されてきたことを紹介する一方、「お金も掛かるし、簡単に結論は出ない」と述べた。基本的な考え方として、「社会の構成から見て、大学も病院も、どういうところにフォーカスを当てていくか、しっかり勉強していきたい」と語った。【大島迪子】

医学部の定員増 「もう少し勉強しないとわからない」(2012年10月2日今日の歯科ニュース)

医学部定員問題で明言避ける 田中真紀子文科相が就任会見

10月1日に組閣した野田新改造内閣で入閣した田中真紀子文部科学相は同日夜、就任会見を開き、医学部の定員増の問題について問われ、「もう少し勉強しないとわからない」「簡単に結論は出ない」と話した

会見の中で、田中文科相は「『優秀な医者を地元に出してほしい』という要望はあるが、定員増にはお金もかかる」と指摘。少子高齢化時代における高齢者の慢性疾患への対応やIPS細胞の研究を引き合いに出して「大学も病院も、どういうところにフォーカスをあてるか考える」として、重要度の高い問題に絞り込んでいく考えを示した。(m3.com編集部 池田宏之)

ちなみに例によってメディアによるバイアスがかかってはいけませんから、こちらに文科省による公式映像をリンクしておきます。
今までは医学部定員増を要望してきた一方で大臣としての第一声が「定員増?何も知らないから答えられない」というのは確かに率直すぎるコメントだと思いますけれども(苦笑)、就任直後から歴史教育などで積極的な発言を繰り返している田中大臣にしてみればこちらは全くの専門外ということになるのでしょうか?
とりあえず今のところは総論的なコメントを出す程度の知識しかないと認めた形ですから、今後もこの方面の話は今まで通り?官僚主導で進んでいくことになるのだろうと思うのですが、こうした場合その前段階として各方面から学識経験者その他を集め意見を聞いたという形にするのがいつものやり方になっています。
その意味でこうした会合の類に呼ばれる先生方というのは最終的に各省庁の意向に沿った結論が出るような人選がなされていると見るべきなのでしょうが、その目線で見ていますと時々ちょっと妙な事と言うのでしょうか、あれれ?それでいいの?と思うような話が時折出てくることもあるようです。

学会専門医、更新厳格化で新制度に移行を- 専門医機構・池田氏が提案(2012年10月3日CBニュース)

 厚生労働省の「専門医の在り方に関する検討会」(座長=高久史麿・日本医学会長)は3日、第三者機関が認定する新たな専門医制度での資格認定・更新の在り方などをめぐって議論した。この中で、学会が認定した既存の専門医と新制度で認定される専門医の関係が論点になり、池田康夫委員(日本専門医制評価・認定機構理事長)が、更新の要件を厳しくすることで既存の専門医を新制度に移行させるよう提案した。ほかの委員から強い反対はなかった

 池田委員は、▽学会が認定した既存の専門医▽これから新制度がスタートするまでに認定される専門医▽新制度で認定される専門医―の3者の関係を整理することが必要だと指摘した。その上で、既存の専門医について、資格更新の要件を厳しくすることで新制度に移行させる案を提示。「更新のハードルをかなり厳しくしていかないと、専門医制度が国民に理解されない」と訴えた。また、新制度が本格的にスタートするまでの移行期間についても、第三者機関が専門医を認定する仕組みにするよう提案した。

■基本領域の専門医認定は原則1人1つ

 検討会ではまた、1人の医師が基本診療領域について複数の専門医資格を取得することの是非をめぐっても議論した。その結果、原則として複数の資格取得を認めるべきではないとの意見が多数を占めた。

 池田委員は、基本領域の専門医資格は原則として1人1つにすべきだとの考えを表明。「(専門医資格を)1つ取って、それを更新しながら新しい資格を取るという努力をする人は当然いると思うので、それを妨げるものではない」としながらも、更新の要件が厳しく設定されれば、複数の資格を維持するのは難しいとの見方を示した。桃井真里子委員(自治医科大教授)も、「基本領域の専門医は、複数取れるようなクオリティーではいけない」と強調した。

 一方、今明秀委員(八戸市立市民病院副院長)は、「救急専門医の中に高い外科技術を持っている人がいるから、東京周辺の三次救急がうまくいっている」と指摘。複数の専門医資格の取得が認められなければ、多発外傷や熱傷に対する医療提供体制が崩れるとの懸念を示し、救急専門医に対する配慮を求めた。
 これに対し山口徹委員(虎の門病院長)は、同検討会の中間まとめで、基本領域の専門医資格を取得した上で、より専門性が高い「サブスペシャルティ領域」の資格を取る2段階制の制度にする方向性が打ち出されていることから、「外科救急」をサブスペシャルティ領域の1つに位置付けることで対応するよう提案した。【高崎慎也】

専門医制度というものは様々な意味を持っていますけれども、基本的に各学会の認定する施設で一定期間の修行を積まなければならないというシステムですから、卒後研修のキャリアパスというものに非常に大きな影響を与えるものであることは言うまでもありません。
先日の厚労省の調査でも研修医の声として条件が合えば医師不足地域での地域診療もやりますという答えが多数派に上った、そしてその条件として実に40%の研修医が「専門医取得後である」という条件をつけており、また臨床研修終了後の進路選択についても「専門医取得につながる」ことを考慮して決めるという声が多かったわけですよね。
要するに若手医師にとって専門医取得というのは相当大きなイベントであって、だからこそ厚労省などもこの専門医制度をダシにして実質的な医師強制配置の権限を手中に収めようとしているわけですが、それがいつのまにか「旧資格の専門医を持っている先生は更新を厳しくしよう」「基本領域は一つしか取得を認めないようにしよう」と言い出せば、対岸の火事がこちらに延焼してきた気がする先生方も多いのではないですか。

この専門医資格の議論は看板に掲げる標榜科の議論ともリンクしていますが、特に日医などを熱心に支えていらした地域の開業医の先生方に多いのが「○○内科小児科」式の看板を掲げているケースで、もちろん双方の領域で専門医なりを取得しジェネラルに診る分には十分なスキルを持っているのでしょうけれども、下手をすれば今後こういう掲示は出来なくなるということですよね。
「なんだ、そんなもの改めて新資格で取り直せばいいじゃないか」と思うかも知れませんが、旧専門医の更新ハードルを思い切って厳しくするという話が出ているところがミソで、下手をすると開業の先生などは全く更新など考えられない状況に追い込まれる危険性すらありそうです。
もともとこの専門医というもの、実際にその領域の専門家として高度な診療に日々従事している医師に対して与えるべきだという声も根強くあって、今はごく一般的な患者しか診ていない開業の先生などに「更新のためには認定施設で年間○症例を診療すること」なんて条件をつけられた日には間違いなく更新は不可能ですよね。

こういう議論に参加している先生方はまずもって大学病院など症例にも全く不自由しない先生方ばかりでしょうから、特に反対の意見もなく粛々と議論が進んでいるのも当然なんだろうなと思うのですが、あえて深読みするとおもしろいことにもなりますよね。
たとえば極端な話更新が非常に厳しくなり、大学病院のような大きな施設に所属していなければまずもって難しいともなれば、地域の中小医療機関にとっては大学の先生方というものは標榜科を維持するためにも是非ともバイトにでも来ていただきたい存在ということにもなるのでしょうか?
もちろん薄給で臨床に研究に多忙な日々を送っている大学の先生方には地域病院のバイトはよい収入源であり、地域病院にとってもよいハク付けになるという持ちつ持たれつの関係があったことは否定出来ませんが、いわば自らの利権を強化するような話を当事者として議論しているというのもおかしな構図ではありますよね(むろん、そうした意図は毛頭ないんだろうとは思いますが)。
いずれにしてもこの専門医制度改革の話、このまま行けばお国のためにと若手を人身御供に差し出してやれやれ、これで片付いたと思っていたベテランの先生方も気づかぬところで我が身に火の粉が降りかかってくることになるかも知れませんね。

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2012年10月 4日 (木)

オスプレイ問題 他人の思想信条を縛ることの怖さ

沖縄県に米軍新型輸送機オスプレイの配備が始まったということで、各方面から大きな反響が出ていますが、幾つか記事から紹介してみましょう。

天声人語(2012年10月2日朝日新聞)

 各地の水辺で旅鳥(たびどり)が観(み)られる季節である。北国で繁殖し、日本を経て越冬地に南下する渡り鳥で、チドリやシギの仲間が多い。国内でひと夏、ひと冬越す鳥たちに比べ、どこかお客さんのよそよそしさがある▼陸揚げされた岩国基地から、沖縄の普天間飛行場へ。しばし休んで飛び去る旅鳥のように、米海兵隊の輸送機オスプレイが渡り始めた。台風をやり過ごし、いよいよの「実戦配備」である▼住宅地にあり、世界で最も危険とされる基地に、墜落が続く新型機がたむろする。日本を守る約束には「沖縄を捨て石に」のただし書きが付いているかのよう。「頭に落ちてくる可能性があるものを、誰が分かりましたと言えますか」。県知事の怒りは当然だ▼軍用機に求められるのは、様々な「強さ」だろう。下界の平穏は、乗り心地や騒音と同じく二の次、三の次だ。日米両政府の安全宣言ひとつで、「安心」になるわけではない▼オスプレイの沖縄投入の背景には、中国の軍拡という要素もあるやに聞く。尖閣諸島をめぐる緊張と、かの国のあけすけな圧力は、安全性に対する心のハードルを引き下げた感がある。少し危なっかしくてもという「甘え」が、本土の国民になかろうか▼すぐ西には尖閣の島々、台湾海峡、中国本土。きな臭い東シナ海に、同じ臭いの渡り鳥が飛来し、有事の空気はさらに濃い。これを吸わされるのも沖縄の民だ。安保の負担に加え、外交のツケまで回され、日本という国に愛想が尽きても不思議はない。

[ゲート前抗議]マグマが噴出し始めた(2012年9月30日沖縄タイムス)

 台風17号は沖縄を直撃し、深刻な被害をもたらした。壮絶な風雨に身をすくませ、通り過ぎるまでひたすら忍従を強いられる。このときほど、人間の無力さを痛感させられることはない。
 自然の猛威の後には、日米両政府による脅威の押し付けが目前に迫っている。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの米軍普天間飛行場への配備が週明けにも強行される見込みだ。これをはね返すのは県民の憤怒の情だ。荒ぶる自然と違って、人為的な政治は人の力で動かすことができる。痛めつけられ、虐げられてきた思いが強ければ強いほどその力は増す
 そうした県民のエネルギーを見せつけているのが、26日から本格始動した普天間飛行場のゲート前抗議だ。オスプレイ配備に反対する県民大会実行委員会メンバーや一般県民が、早朝から同飛行場の大山ゲートや野嵩ゲート前に集結。米軍は勢いを増す抗議集会や座り込み行動を前に、ゲート封鎖に追い込まれた。
(略)
 ゲート前抗議の論点は、もはや「オスプレイの安全性」という枠を超えている。明らかに「普天間閉鎖」要求にシフト、集約されつつある。
 この事態を日米はどう見ているのか。マグルビー在沖米総領事は、それでも米本国のオスプレイ配備方針に異を唱えないのだろうか。与世田兼稔副知事から県庁で直接抗議を受けた武田博史沖縄防衛局長と外務省の竹内春久沖縄担当大使はどうだろう。現地官僚トップとして「職責を果たす」とはどういうことか真剣に考えてもらいたい。
(略)
 政府が本気で県民に寄り添うならば、今の「嵐」が一過性で収まらないことに気付くはずだ。オスプレイ配備を強行すれば抵抗運動の先鋭化や規模の拡大も予想される。運動に直接参加していない県民多数の共感を背に、運動参加者は「普天間」を譲れない一線として刻印し、後戻りしない決意を固めている。
 県民のマグマに火を付けたのは、対米従属の呪縛にはまり、沖縄の民意を踏みにじる日本政府だ。それを黙認してきた多くの国民ももう「人ごと」では済まされない。そう気付く日が刻々迫っている。

NYタイムズ社説で「沖縄のオスプレイ」(2012年9月16日沖縄タイムス)

 【平安名純代・米国特約記者】米紙ニューヨーク・タイムズは15日、「沖縄のオスプレイ」と題する社説を掲載した。何万人もの県民が抗議集会に集い、海兵隊垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの米軍普天間飛行場への配備反対を訴えたにもかかわらず、県民の声に耳を傾けない米政府を厳しく批判。米軍基地の過重負担に苦しむ県民にとって、配備は「傷口に塩を塗り込むものだ」として、負担軽減は同機の県外配備から始まると主張した。

 米世論に影響力のある同紙の主張は、県民大会の効果といえそうだ。

 オスプレイの沖縄配備について同紙は、海兵隊が同機の安全性を強調しているものの、モロッコや米フロリダで墜落事故が相次いで発生していると記述。海兵隊は事故原因を「操縦士のミス」と主張するが「人口が密集し、1950年代から何百もの軍用機の事故などを経験してきた沖縄の不安を解消するには程遠い」と指摘。さらに、過重な基地負担に苦しむ県民にとって同機の配備は「傷口に塩を塗り込むものだ」と厳しく批判した。

 また、過去最大規模となった県民大会で示された怒りは、単にオスプレイ24機の配備に対するものではなく、危険性の伴う普天間の県内移設を約束した日米合意の停滞に起因していると指摘。「米政府には沖縄の負担を軽減し、県民の懸念に耳を傾ける義務がある」と呼び掛け「オスプレイを別の場所に配備することから始まる」と主張した。

「尖閣」と絡め警戒=オスプレイ沖縄配備―中国(2012年10月1日時事ドットコム)

 【北京時事】中国国営新華社通信は1日、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備について「地元の民衆が大規模な集会を開いて断固反対した」ことと併せて伝えた。沖縄本島から尖閣諸島(中国名・釣魚島)まで約400キロしかない点を指摘し、オスプレイの配備に強い警戒感を示す中国メディアもあった。
 中国メディアは「米国務省のメア前日本部長が『オスプレイ日本配備の重要な目的の一つは日本の釣魚島防衛を助けることだ』と語った」と報道。「東シナ海や台湾は全てオスプレイの飛行範囲内にあり、米海兵隊の実力を向上させ、海洋活動を活発化させている中国に対抗するのに役立つ」との見方も伝えている。 

しかしまあ、これらメディアの顔ぶれを見ていただければお判りの通り、まさに東シナ海の騒がしいこの時期であるからこそこれだけの騒動になっているとも言えそうですね。
沖縄タイムスなどは徹底したもので、防衛省が開催しているオスプレイ体験搭乗も「記者が搭乗することによって、県民に同機が安全だという根拠のない情報を発信する恐れがある」と拒否したと言いますが、日米安保の是非あるいはオスプレイ配備の意義、はたまた沖縄基地問題などはさておくとして、そもそもオスプレイ反対論の主張の論拠としてオスプレイが安全ではないということを言っているわけです。
この点については以前に当「ぐり研」でも取り上げたようにネット上にも各種情報もあり、またちょうど先日発売の雑誌「丸」11月号がオスプレイの特集で安全性の検証などを行っていますから参照いただければと思いますが、統計的に見てみればオスプレイが他の機体に比べて危険であるというわけではないというのは明らかな事実です。
元々がティルトローターという新機軸を採用した結果、固定翼機とも回転翼機とも異なる独特な操縦特性を持っていることが開発初期に特有の機械的信頼性と相まって問題視されたのは事実としても、現段階ではきちんとしたトレーニングを受けた操縦士が乗る限りにおいて現在配備されている他の機体と特別に区別する必要があるような安全上の問題があるとは言えないということです。

ただし、まさしく一方の当事者とも言える沖縄タイムス紙が「もはや「オスプレイの安全性」という枠を超えている」と主張しているように、このオスプレイの安全性なるテーマは今や当事者にとって事実がどうであるかは全く問題ではなくなってきているようですから、オスプレイが特別危険でない、あるいは他の機体と同じく100%安全でもないということを主張するだけでは彼らは納得しないだろうことは明白です。
特に一部のいわゆるプロ市民団体やその支持者達の主張を見ていますと、そもそも最初から事実を無視した上で安全性を担保しろ、証拠を示せという主張に無理があるというのも問題なのですが、それ以上に気になるのがどうも彼らだけに留まらず周囲の人間を巻き込んで運動を展開しているように見えることです。
もちろん日本は民主主義国家ですから、何の問題に限らず様々な意見を持つ自由は保障されていて、公共の利益に反しない限り憲法にも認められた権利として自由を行使することも出来るのは当然のことなのですが、それを承知した上であってもちょっとそれはどうなのよ?と思わず目を疑うのがこちらの記事ではないでしょうか?

「帰れ」「許さない」=米軍ゲート前で抗議活動-沖縄・普天間飛行場(2012年10月1日時事ドットコム)

 「オスプレイは帰れ」「強行配備を許さないぞ」。1日午前、海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが到着した米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のゲート前では、配備に反対して抗議活動を行っていた市民団体などが怒りの声を上げた。
(略)
 一方、同飛行場に隣接する宜野湾市立普天間第二小に通う孫2人の登校を見守った無職新城道子さん(69)は「8歳の孫娘が『オスプレイが怖い』と脅えて学校に行った。子どもが危険にさらされるのは許せない」と語気を強め、「基地さえなければこんな問題は起きないのに」と話した。
(略)

「日米はジコチュー」周辺の中学生ら憤る(2012年10月2日沖縄タイムス)

 滑走路北側の延長線上にある緑ヶ丘保育園=宜野湾市野嵩。大人たちの会話を聞いているからか、多くの子どもたちがオスプレイについて知っていた。竹馬で遊んでいた女の子(5)は「沖縄に来てほしくないのは台風とオスプレイ。悪い飛行機だから」ときっぱり

 午前11時すぎ、上空からプロペラ音が聞こえ始めた。機影は見えなかったが、保育士の名護タケさん(72)が「あれかねえ」と目を凝らす。しばらくして着陸の情報が伝わると、子どもたちから「運動会のときに落ちたらどうするの」という声も上がった

 朝の座り込みにも参加した園長の神谷武宏さんは「頭上すれすれを米軍機が通る。ここまで人権が踏みにじられた状況を許してはいけない」と力説した。

 新城の普天間中学校では、すぐそばを降りてくるオスプレイに、女子生徒6人がフェンス越しに「オスプレイはんたーい」と声を合わせた。生徒たちは「汚い、危ない、ダメ」「日本もアメリカの政府もジコチュー(自己中心的)すぎる」「人の意見を聞くべきだって学校で習ったのに、沖縄の反対は聞いてくれない」と怒った。
(略)

そもそも思想信条の自由が担保されているというのは、民主主義社会で必須な正しい議論を経た民意形成のためにそれが必要であるからであって、だからこそ教科書の記載一つを巡って毎年ああでもない、こうでもないと議論になる日本の現状は、国定教科書一つで満足している隣国の状況よりもよほど民主的に成熟していると言えるはずです。
不肖管理人としては沖縄県での教育現場がどのようになっているのか実地体験したわけではありませんし、ましてやいわゆる活動家の皆様の家庭教育がどのようなものであるのかは全く知りたいとも思いませんが、年端もいかない子供達が自ら正しく情報を取捨選択し自らの価値観や思想信条に基づいて判断した上で「オスプレイが怖い」「悪い飛行機」などと言っているとは到底思えません。
教育ということの持っている本質的な怖さ、不気味さを示すこんな話がありますけれども、日本の中でもリアルに同じことが行われているとなればこれは何とも不気味な話と言うしかありませんね。

ある日、北朝鮮の小学校での授業風景がニュースで流れていた。
机の上には火のついた蝋燭とガラスのコップが置かれていた。科学の授業である。
蝋燭とコップを前に先生が質問する。
「蝋燭の火は何を使って燃え続けますか?」
即座に全員が手を上げる。先生は男の子を指した。
「周りの酸素を使います。」
続けて先生が質問する。
「では、蝋燭にコップをかぶせるとどうなりますか?」
即座に全員が手を上げる。今度は女の子を指した。
「蝋燭の火が消えます。」
先生がコップを蝋燭にかぶせた。しばらくして、火は消えた。
「なぜ、火が消えたのでしょう?」
即座に全員が手を上げる。先生はさっきと別の男の子を指した。
男の子はさも当然と答えた。
「将軍様のおかげです。」

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2012年10月 3日 (水)

福島リスクに祟られ続ける双葉病院

すでに一部報道等にてご存知のところだと思いますが、かつて「患者を置き去りにして逃げだしたトンデモ病院!」との捏造報道でマスコミ諸社から散々バッシングされた福島県は双葉病院から、こんなニュースが出てきています。

双葉病院が責任否定、原発避難で50人死亡 調査結果公表/福島(2012年9月30日産経ニュース)

 東京電力福島第1原発事故の避難中に患者ら50人が死亡した双葉病院(福島県大熊町、鈴木市郎院長)が30日、独自に避難経過を調べた調査結果を遺族らに公表した。同病院は政府の事故調査委員会と同様に病院側の責任を否定し、県、国、自衛隊や町の連絡不足を指摘。原子力損害賠償法に基づいて遺族が東電に請求する支援をしていく考えを示した。

 会見した担当弁護士は「国や県、自衛隊などの大きなシステムの問題で、個別の病院には限界がある」とし、県が当初、「院長らが患者を置いて逃げた」と発表した点には、「県から虚報だとする謝罪があった」とした。避難指示が出た昨年3月12日、双葉病院と系列の介護施設「ドーヴィル双葉」には患者ら約440人がいたが、満足な設備のないまま避難が続き、50人が死亡した。

院長「謝罪の必要ない」 怒りの遺族、退席相次ぐ 双葉病院50人死亡/福島(2012年9月30日産経ニュース)

 政府事故調の報告に続き、双葉病院は病院側の責任を否定したが、鈴木市郎院長(78)が「謝罪の必要はない」と話すなどしたことに遺族側は激高。途中で退席する遺族が相次いだ。

 「亡くなったことに対しては謝罪はなかった」。ドーヴィル双葉にいた姉=当時(79)=を亡くした会津美里町の男性会社員(67)はそう憤る。男性会社員によると、説明会で鈴木院長は「謝罪の必要はない」「家族が病院側に安否を問い合わせるべきだ」と神経を逆なでするような発言をしたという。男性会社員は公開質問状の提出を検討する考えを示した。

 浪江町の主婦(53)は双葉病院にいた兄=当時(62)=を亡くした。事故後1カ月以上たってから来た電話は兄が転院先で死亡したという連絡だった。「もう少し早く連絡がほしかった。誠意がない」と吐き捨てた

 同病院で弟=当時(65)=を亡くした埼玉県越谷市の主婦(68)は1時間余りで説明会を途中退席した。「今までの経過説明だけ。新しい話はなかった」と不満を漏らした。

 また、ドーヴィル双葉で祖父=当時(92)と祖母=同(88)=を亡くした大熊町の男性会社員(33)は「どういう経緯で亡くなったか聞きたかったが、何もない。墓前に報告したかったが…」と不満そうに話した。

 さらに「同じような震災があったときにまた患者をたらい回しにしないためにも、今回の教訓を生かすべきだ」と指摘した。

 説明会後、記者会見した鈴木院長は「名誉回復を果たせたと思ったが、『説明よりも謝ってほしい』といわれてショックだった」と話し、以後は口をつぐんだままだった。

不幸にして亡くなられた方々に哀悼の意を表しますけれども、震災からかなり時間のたったこの時期の発表になったことも難しい状況を現しているのでしょうか。
この双葉病院問題、元々は福島県当局が火をつけ、政治家マスコミが煽りに煽って大騒ぎになった経緯については当「ぐり研」でも何度か取り上げて来たところですが、行政やマスコミ総掛かりでの誤報合戦と印象操作もさることながら、それが何故捏造であったと日の目を見るようになったかという経緯は非常に教訓的ですので、こちらの記事から状況を引用させていただきましょう。

“双葉病院の患者置き去り”誤報はなぜ起きたのか 「災害時の混乱」では済まされない(2011年11月2日健康ニュース)

 福島第一原子力発電所の事故による周辺住民の避難劇の中、5日もの間入院患者の救出が行われず、揚げ句に院長らが“患者見殺し”と筋違いのバッシングを浴びる事件が起きた。いわゆる「双葉病院事件」である。全住民が避難する中、なぜ双葉病院の患者だけが置き去りにされ、再三の救援要請は無視されたのか。なぜ大誤報がつくられたのか。10月29日に東京都で開かれたシンポジウム「東日本大震災被災医師の行動」(医療制度研究会主催)では、同院医師の杉山健志氏や誤報を暴いたノンフィクション作家の森功氏らが登壇し、「災害がもたらしたシステムエラーでは済まされない」と真相究明を訴えた。

院長含め200人以上が取り残される

 事件については、今年7~8月に森氏が週刊紙「週刊ポスト」(小学館)に執筆した4回の集中連載に詳報されているので、ここでは杉山氏が説明した複雑な事実経過をなぞるにとどめる。
 3月11日の震災当時、双葉病院には認知症患者を多く含む340人の入院患者が、また近所の系列の介護老人保健施設「ドーヴィル双葉」には98人の入所者がいた。震災当日の夜、原発の状況を知ったスタッフらは町役場へ何度も出向いて病院の状態を伝え、避難対応を要請している。
 翌12日早朝には、大熊町の全町民避難が決まった。双葉病院には観光バス5台が回され、搬送に耐えられそうな患者209人と、杉山氏を含む付き添いのスタッフがすし詰め状態で乗り込んだ。これが第1陣の避難である。
 町は役場の職員を含めた全員が避難したが、双葉病院とドーヴィル双葉には依然として227人の患者・入所者が残されていた。双葉病院に残ったスタッフは鈴木市郎院長のみで、ドーヴィル双葉では施設長と事務課長の2人だけ。第1陣が出た直後に福島第一原発で水素爆発が起きたため、職員の命の保証ができないと判断したドーヴィル双葉では、ほかのスタッフを帰したのだ。後続の救出がすぐに来ると思っての判断だったが、救援は翌13日も来ない

14時間の移動、自衛隊員の乗り逃げ…

 第2陣の救出が行われたのは、14日午前6時半。ドーヴィル双葉の入所者全員(98人)と双葉病院の患者の一部(34人)が自衛隊の救出車両に分乗し、いわき市の高校体育館へ向かった。この第2陣は放射能の検査をするという理由で14時間、距離にして230キロの長距離移動をすることになる。結果、体育館到着までにバス内で3人が死亡、その後も搬送先の病院などで計24人が亡くなった。
 双葉病院にはまだ95人の患者が残っており、鈴木院長のほか、ドーヴィル双葉の施設長と事務課長、途中加わった医師や看護助手らが患者の看護に当たっていた。地元の双葉署から警察官も数人、自衛隊の輸送支援隊長1人も来て待機していた。そこへ2度目の水素爆発が起きた。直後、待機していた自衛隊の隊長は「指示を仰ぎに行く」という理由で事務課長の自家用車を借り、そのまま雲隠れした。
 その夜10時過ぎ、院長らスタッフは警察から緊急避難を指示され、事情も分からないまま警察車両に押し込まれた。原発の状況を受けての20キロ圏への移動であり、そのまま自衛隊と合流するまで山中で1泊するよう指示される。しかし、自衛隊とはすれ違いになった。翌15日午後になって残る患者が救出されたと聞いた院長らは、いわき市の系列病院へと移動した。
 最後に救出された95人が避難所にたどり着いたときには、7人が死亡していたという。最終的に、双葉病院の患者とドーヴィル双葉の入所者から50人が亡くなってしまった

でたらめの報道発表、マスコミも訂正せず

 この経過に筋違いの批判を浴びせたのが福島県の災害対策本部と、県の発表をうのみにしたマスコミだ。
 自衛隊が双葉病院に到着したときに医師がいなかったこと、患者の死亡が相次いだことを受けて、災害対策本部は鈴木院長らが患者を置いて先に逃げ、そのために患者が多数死亡したかのような報道発表を作成してメディアに配った
 事実経過だけでも間違った内容であり、取材を受けた鈴木院長が県に抗議したが、県は「病院の管理体制を調査する」と火に油を注ぐ方向の訂正を出す。3月18日の各紙朝刊には、院長らを批判する記事が掲載された。その後、記事訂正を出したのは時事通信社1社だけだったという。
 杉山氏は「第一原発から3~5キロ圏内には双葉病院とドーヴィル双葉以外にもいくつかの医療機関があるが、いずれも12日までに全員が救出されている。それだけに双葉病院が取り残されたいきさつは際立っていた」と指摘。
 (1)なぜ町は患者・入所者が残っていることを知りながら置き去りにしたのか、(2)県と町の連携エラーがあったのではないか、(3)車を乗り逃げした自衛隊員はどこにいったのか、(4)なぜ県災害対策本部は誤報を流したのか、(5)県は遺族に事実経過を説明すべきではないのか―など、検証されるべき点を挙げた。

「名誉回復より真相究明を」

 すべて病院の責任として収められそうだったこの事件が動き出したのは、森氏の取材がきっかけだ。知己からたまたま鈴木院長の紹介を受けた森氏は6月、東京で同院長を取材し、関係各機関への取材を始めた。
 「取材すればするほどおかしな点が出てきた。なぜ、患者は5日間もほったらかしにされたのか。なぜ、残された患者数まで知りながら、町は先に逃げたのか。自衛隊員の乗り逃げも筋の通らない説明しか得られない。災害時のシステムエラーでは済まされない経過だ。誤報についても、自衛隊から県へ報告された元情報、でたらめの報道発表を作成した県、裏付け取材をしないマスコミの問題がある」と森氏。
 森氏の記事と、医師らの名誉回復に協力する井上清成弁護士の働きかけを受けて、事件検証に向けた動きが今秋各所で始まっている。当時のテレビニュースの中で病院を批判する発言をした渡辺周・衆議院議員が、現・防衛副大臣という立場をもって自衛隊内での調査を約束したのだ。地元紙や地元テレビ局、NHKなども、検証記事や番組を続々と出し始めている。
 「報道被害によって傷つけられた名誉を回復するのはなかなか難しいものがあるが、真実が明らかになっていけば少しずつでも解消できるのではないか」と森氏。
 一方、シンポジウムを傍聴していた鈴木院長は弊社の取材に対し、「私自身は(77歳の高齢だから)名誉回復はいい。それよりも、なぜわれわれの病院だけ取り残されたのか、真実を知りたい。そこに何らかでもわれわれの誤りがあったのならば、それを受け止めたい」ともらした。

事情を知れば少なくとも地元行政当局がしたり顔で病院を批判出来るような話では全く無いのですが、状況もはっきりしない初期段階からわざわざ必要もない病院批判のコメントをマスコミ諸社に垂れ流してきた県当局の意図は何なのか、やはりここでも大野病院事件と同様に「自分達さえ責任をとらずにすめば事実などどうでもいい」とも言うべき福島の暗部を感じずにはいられません。
現在に至るも行政、マスコミからろくに謝罪もなされていないこの一大風評被害について、患者側関係者が当初のイメージそのままに病院側に不信感を抱いてしまうのは仕方のないところだと思いますけれども、こうした背後事情をすでに知っているはずであるにも関わらず何ら責任をとるでもなく、相変わらず対立関係を煽るだけに終始しているマスコミ側の姿勢は大いに糾弾されるべきでしょうね。
幸いにも今回病院側はきちんと弁護士を立てて対応しているということですし、何より今後は患者と同じ側に立って賠償請求を支援をしていくというのは正しい姿勢だと思いますから、いずれ行政マスコミの深く掘り下げた両者の溝も埋まっていくことを願ってやみません。

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2012年10月 2日 (火)

偽医者騒動から見た医師負担軽減策

先日も東京で偽医師騒動があったことをお伝えしましたが、その続報が入っているようです。

評判がよかった「なりすまし医師」 免許もないのになぜ…(2012年9月30日産経ニュース)

 優しくて丁寧な先生は偽医者だった-。東京都板橋区の高島平中央総合病院で、偽医者の男が健康診断の問診などを行なっていた事件。警視庁生活環境課に医師法違反と詐欺などの容疑で逮捕された世田谷区に住む無職、黒木雅容疑者(43)は、長野県や神奈川県などの病院や医療系予備校でも“医師”の肩書を使って勤務していた。高度な医学の知識を必要とするはずの医師に、どうしてなりすますことができたのか。捜査関係者への取材などから事件を追った。(西尾美穂子)

丁寧で優しく お年寄りに親切な「医者」

 昨年、高島平中央総合病院の診察室では、近くに住む無職女性(72)が黒木容疑者から丁寧な問診を受けていた。
 「大きい病院で再検査した方がいいですよ」
 白内障の疑いがある女性の検査結果を見ながら、丁寧に説明する黒木容疑者。大きい声に、ゆっくりした口調で、病状を説明するため、お年寄りにもわかりやすかった
 「優しそうな雰囲気」
 無職女性は、好感を抱いた。まさか、無資格の偽医者だとは思いもしなかった。黒木容疑者の指示に従って大型病院で治療を受けた。
 今年9月に入り、黒木容疑者が偽医者だったことが発覚し、女性は驚いた。
 「偽医者だったとは信じられない。とんでもない。目の状態は悪くなっていないけど…」
(略)
 「医学部看護学科を卒業」「医師免許所持
 さいたま市の医療系予備校の講師になる際、黒木容疑者は予備校側に、こう説明していた。
 予備校講師は医師である必要はないことから、予備校側は医師免許証の提示など、厳密な身分確認をしなかった。黒木容疑者は予備校生からは「わかりやすい先生」と評判がよく、校内には黒木容疑者に疑いの目を向ける人はいなかった
  「独学で看護師としての知識を勉強した」。捜査関係者によると、黒木容疑者は警視庁の調べにこう供述している。さらに黒木容疑者は人材紹介会社にも医師として登録。病院でも働き、医師として健康診断の問診、採血、レントゲン、心電図の検査なども行うようになった

インターネットでばれたずさんなウソ

 しかし、ウソはあっけなくばれる。
 「○○大学医学部看護学科を卒業」「医師免許所持」
 さいたま市の医療系予備校のインターネット上のホームページに掲載されていた黒木容疑者の略歴を見た人から「○○大学には看護学科はない」という声が寄せられたのだ。
 予備校側が調べたところ、この大学は黒木容疑者が「卒業」したという当時、大学ではなく、短大だったことも判明。予備校側が今年2月末の契約更新の際に、履歴書の再提出を求めると、黒木容疑者は退職し、姿を消した。その後、予備校に「経歴は嘘だった」との告白メールを送ってきた。
 黒木容疑者は、それでも病院には偽医者であることを明かさなかったが、予備校側から「経歴詐称の可能性がある」と情報が寄せられ、事実関係が発覚。警視庁も捜査に乗り出し、黒木容疑者は逮捕された。

高額な報酬 世田谷の住宅で余裕の生活?

 「生活費や子供の教育費を稼ぐためだった」
 捜査関係者によると、黒木容疑者は医師になりすました理由をこう供述したという。逮捕容疑では、高島平中央総合病院に対して医師と偽ってだまし、平成22、23年の44日間の勤務で計約260万円の報酬を受け取っていたとされているが、別の病院では、少なくとも1100万円以上の報酬を受け取っていたことも確認されている。
 黒木容疑者の医師資格を確認もせず採用する病院は少なくなかった。多くの人が受ける健康診断シーズンでは、都市部でも医者が不足する。健康診断だけの医師の「バイト料」は高く「3時間勤務で4万円」と掲げる病院もあった。
 「医師」という肩書きを利用して、高額な報酬を得ていた黒木容疑者。世田谷区の住宅地で暮らすなど、余裕ある生活を送っていたようだ。ある業界関係者は「簡単に医師になりすませるのはおかしい。医師の身分確認をしっかりできるような制度にしないと、より大きな問題が起きる」と話した。

ま、「看護学科を卒業」し「医師免許所持」などというトンデモ経歴の時点で誰もツッコミを入れなかったのがそもそもの間違いなのでしょうが、医療系予備校とは言ってもこの程度の基本的な嘘が通用してしまうものなんですかねえ…
いずれにしても資格詐称に関してはきちんと確認しなかった関係者各位がきちんと再発防止策を講じていくしかないところですが、記事を見ていて興味深いなと思ったのは実際に診察を受けた人々から「優しそうな雰囲気」の先生で「まさか偽医者だったとは」「信じられない」といった声があることです。
井上ひさしの「吉里吉里人」で偽医者(無免許医師)が何故優れているのかを延々と説くくだりがありましたが、実際にはブラックジャックのように免許はなくとも超絶的な技量で需要が絶えないというタイプでなくとも、単に接遇技術さえしっかりしていれば知識や技能は素人並みでも顧客からは「医者らしい」と見えてしまうものであるということでしょうか(もちろん、健診業務など特定の状況に限定してのものでしょうが)。

近年にも何人か偽医者騒動がありましたが、報道から見る限り大抵は患者さんから「なんだあの態度は!」などとクレームがつくようなタイプではなく、むしろ非常に懇切丁寧な接遇を行っていたというケースが多かったようですが、逆に言えば多くの場合技術や知識よりも単に話をしっかり聞くだけ等々の接遇技術向上によっても顧客満足度は十分高められるということでしょうね。
最近ようやく医学教育の場においてもこうした接遇面の重要性が認められ始めたというのは必ずしも顧客満足度云々からというわけではなく、どちらかと言えば医療訴訟にもつながっていくようなトラブルは多くの場合初期対応段階での接遇面での問題が感情的行き違いに発展していくものであるからというようですが、いずれにしてもさして元手がかからず行えるお得な医療の質向上対策であることは言うまでもありません。
ただ実際には多くの医師達が過労と言う段階にまで追い込まれて仕事をしている中で、そのうえ余計な愛想まで振りまいていられるか!と言うのももっともなところだと思いますが、興味深いことに過労に追い込まれた医師ほど訴訟リスクをより身近に感じているというのですから、実利的な意味からも対策を講じる必要性と意義は十分にあると言えそうです。

勤務医の苛酷な労働環境が明らかに JILPT「勤務医の就労実態と意識に関する調査 」公表(2012年9月25日QLifePro)

「職場の医師不足」は、過疎地ほど感じている

独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)は、「勤務医」を対象としたアンケート調査を実施し、その結果について公表しました。
この調査は、民間の医療領域専門調査会社(アンテリオ社)が保有する医師モニターのうち、全国の 20 床以上の病院に勤めている 24 歳以上の医師を対象(医院・クリニックの院長は除外)に実施。
配信数は、11,145 票、回収数は 3,528 票(回収率 32.0%)となり、無効票を除いた有効回収数 3,467 票(有効回収率 31.0%)を分析対象としています。

昨今深刻な問題となっている「医師不足」については、現場の医師も当然感じており、全体で見ると68.6%が「感じる」(「非常に感じる」「まあ感じる」の合計)と回答。また地域別で見ると、「政令指定都市・東京23区」では59.1%、「過疎地域」で働く者の方の割合はより高く、78.5%となりました。

週当たり全労働時間は、4割が「60時間以上」!

主な勤務先での1週間当たりの実際の労働時間(時間外労働(残業)時間を含む。休憩時間は除く)は、平均で 46.6 時間。診療科別に見ると、「外科」 43.1%、「救急科」41.7%、「脳神経外科」40.2%、「小児科」39.5%となっています。
また、主な勤務先での 1カ月間の平均的な「日直回数」は「1~2回」が 51.0%ともっとも割合が高く、次いで「なし」38.2%、「3~4 回」6.3%、「宿直回数」は、「1~2 回」が 34.8%となっており、次いで「なし」32.6%、「3~4 回」21.8%となりました。

日直「5 回以上」の割合
・「救急科」(33.4%)
・「麻酔科」(8.5%)
・「産科・婦人科」(8.2%)

宿直「5 回以上」の割合
・「救急科」(63.9%)、
・「産科・婦人科」(27.8%)
・「小児科」(21.0%)

「疲労感」は、「ヒヤリ・ハット」を引き起こす

宿直1回当たりの平均睡眠(仮眠)時間は、「4 時間以上」が 52.7%ともっとも割合が高く、次いで「3~4 時間未満」27.7%、「2~3時間未満」10.4%、「2時間未満」5.8%となり、「ほとんど睡眠できない」 3.5%と答える者もいました。
睡眠時間がほとんどないにも関わらず、「宿直翌日」の勤務体制は、「通常どおり勤務する」が 86.2%。このような勤務状況が続くため、当然のことながら、 「疲労感」「睡眠不足感」「健康不安」について、それぞれ「感じる」(「非常に感じる」「まあ感じる」の合計)と回答した者の割合は、「疲労感」が 60.3%、「睡眠不足感」が45.5%、「健康不安」が 49.2%となっています。
気になるのが、「ヒヤリ・ハット体験」の状況。「ヒヤリ・ハット体験」について、「何らかのヒヤリ・ハット体験がある」(「ほとんどそうである」「ときどきそうである」の合計)とする割合は 76.9%に。また、患者からの「訴訟リスク」に対する認識の有無別に疲労感をみると、「訴訟リスク」を「感じる」と答えた者のほうが「疲労感」を感じ、その割合は 78.9%となっています。

田舎病院ほど当直回数が増えるだろうというのは医師数を考えれば当たり前なのですが、当直回数もさることながら当直空けに相変わらずほとんど全員の医師が通常勤務に従事しているということで、医療安全面からも深刻な危機感を抱かなければならないはずですよね。
最近では年々伸び続ける医療費を何とか削減すべく日本でも医療技術評価に費用対効果という考え方を取り入れようという動きが出てきていて、無論アメリカ式になんでも費用対効果で評価し意味がないと判断されれば医師の指示も拒否される、なんてことになればさすがに窮屈ではあるにしても、全くコストを考えないで医療を行う医師はまず病院の経営側からも一言なしでは済まされない時代ですよね。
患者に対する丁寧な対応を心がけるには当然ながら余計な時間が必要で、仕事量がそのままで接遇改善に余計な時間だけ使えと言われれば誰だって勘弁してくれよ!ですけれども、後々のトラブルなどのリスクも含めて評価した場合に今よりももう少し丁寧で顧客から好印象を持たれ、なおかつ経営的にも損にならない程度のバランスというものがどこかにあるはずです。

この場合注意しておきたいのは病院へのアンケート評価などを見ていると傾向が判りますが、懇切丁寧に時間をかけて対応するのは必ずしも医師である必要性はないということで、もちろん最低限どのスタッフも悪印象を持たれない程度の接遇努力は必要としても、健康相談などの形で専任スタッフがしっかり話を聞くということでも十分顧客満足度を引き上げられる可能性があるということです。
もちろんただ聞くだけでは世間話に終わってしまいますが、例えば昨今話題になっている特定看護師などによりこの段階で患者の振り分けなども行えるようになれば、「こんな専門外の患者に診察室に居座られても…」と辟易している医師達の負担軽減にも直接結びつけることも出来るでしょう。
最近では医療費削減のためか国も地域限定で色々と実験的な試みをしては効果を見るということをやっていますが、接遇面での改善にきちんとした評価基準が策定できるという前提で、それに対して適切な報酬体系を用意した上でこれまたどこかで実験してみてもおもしろいかも知れませんね。

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2012年10月 1日 (月)

研修医の多くが地域医療従事を受け入れている?!

本日の本題に入る前に、先日こういうニュースが出ていましたが、ご覧になりましたでしょうか。

医療費免除、福島打ち切りへ=26市町村、国負担終了で-被災3県、岩手・宮城継続(2012年9月29日時事ドットコム)

 東日本大震災で、国民健康保険に加入する一部被災者を対象としていた国の医療費全額負担措置が、東京電力福島第1原発の警戒区域などを除き、9月30日で終了する。10月以降、自治体側が金銭的な負担をして同措置を実質的に継続する市町村には、国が来年3月末までの期限付きで免除額の8割を補助するが、福島県では26市町村が財源不足のため、免除打ち切りを決めた。岩手、宮城両県では全市町村が免除を継続する方針で、福島の被災者からは「同じ被災地なのに不公平」との声が上がっている。
 宮城県は、免除額の残り2割を負担し、市町村の負担をゼロにする。来年3月までの半年間で約12億円の支出が見込まれるが、「内陸に避難している被災者もおり、県内で医療費負担にばらつきがあってはまずい」(国保医療課)と判断した。

国民皆保険制度の趣旨から言っても未来永劫医療費無料化が続けられるはずもなく、最終的にはどこかで打ち切りになることは当然と言えば当然なのですが、被災地他県が続けているものを福島では打ち切りというのは釈然としないという心情は理解出来ます。
福島と言えば国の施策としては断念する旨伝えられて以来、県独自の財源によって18歳未満の医療費無料化を決定したことが知られていますが、何かと入り用なこの時期に被災地自治体による財政負担には限界があるということがこうした結果につながったと言えそうですね。
となると当然ながら次の段階としては国に再び支援を要請するということが予想されるのですが、先の18歳未満に対する支援も財源や公平性の観点から国に断られたわけですから今さら全年齢対象の支援が期待出来るとも考えにくい、そして近い将来国政を担当すると目されている自民党の安倍氏なども社会保障は縮小する意向のようですから、先行きの見通しが明るいとは到底言えない状況でしょうか。
いずれにしても医療費無料化に関しては周辺住民との軋轢を生んだり地域の医療受給を破綻させたりと必ずしもよい側面ばかりでもなく、その是非については地域医療保護の観点からも一度再検討すべきだとは思いますが、そんな中で先日厚労省直々に地域医療に関してこういう調査をしたというのですが、まさに何とでも解釈出来そうな結果ではありますよね。

医師不足地域で従事、「条件合えば」7割弱- 厚労省の研修医調査(2012年9月28日CBニュース)

 医師不足地域での従事について、研修医の7割弱が「条件が合えば従事したい」と考えていることが、厚生労働省の調査で分かった。必要な条件は、「一定の期間に限定されている」が最も多かった

 調査では、11年3月に臨床研修を修了した7517人に調査票を配布し、5870人から有効回答を得た。

 調査結果によると、医師不足地域で従事することについての考えは、「条件が合えば従事したい」が最多で、66.8%を占めた。以下は、「条件にかかわらず従事したくない」が25.0%、「既に医師不足地域で従事している」が7.5%だった。
 医師不足地域で従事するのに必要な条件(複数回答)は、「一定の期間に限定されている」(54.4%)が最も多かった。以下は「自分と交代できる医師がいる」(50.1%)、「給与がよい」(42.8%)、「専門医取得後である」(40.4%)、「実家に近い」(40.3%)などの順だった。

 また、臨床研修修了後に従事する病院の種類を聞いたところ、大学病院が54.0%で、大学病院以外の病院の43.0%を上回った。このほか、「臨床以外の進路」が1.3%、「未定、無回答」が1.7%だった。
 勤務先に大学病院を選んだ理由(複数回答)は、「出身大学である」の51.5%が最多。次いで「優れた指導者がいる」(46.2%)、「専門医取得につながる」(43.0%)、「臨床研修を受けた病院である」(37.0%)、「病院の施設や設備が充実している」(33.9%)などの順だった。一方、大学病院以外の病院を選んだ理由(複数回答)は、「優れた指導者がいる」(49.8%)が最多で、以下は 「臨床研修を受けた病院である」(40.9%)、「研修プログラムが優れている」(34.5%)、「病院の施設や設備が充実している」(33.5%)、「専門医取得につながる」(33.2%)などと続いた。【高崎慎也】

まさにその「条件が合えば」という部分が一番解消困難であるからこそ医師不足地域というものが出来上がってしまったのも事実だと思うのですが、何しろ複数回答ですから一人当たり幾つかの条件をつけていて、それらがクリア出来ればまあ考えても良いよという非常に高いハードルであることは明らかです。
特に前述の福島などは元々聖地として崇められているところに被災によって医療受給のミスマッチが深刻化し、よほどに健診的な熱意を持っている上に敢えて福島に思い入れのある人でなければわざわざ行って働きたいとは思わないという環境ですが、当然ながら地域からは「国が強制的にでも医師を配置してくれなければ困る!」という声が挙がってくるわけです。
これに対して国がどう考えているのかと言えば、先日開かれた全日本病院学会でも我々も地域医療の確保が最重要課題だと認識していると厚労省の原德壽医政局長が直々に語ったそうですが、当然ながら同省が今後進めてくるだろう地域医療の確保策に対してこうした当事者の意識調査がまたとない言質を与えたという形になったわけですね。

厚労省の医道審議会では平成15年からの臨床研修制度見直しを目指して議論を進めている真っ最中で、年内にもとりあえずの論点を取りまとめて提出することになっているそうですが、例えば現在必修とされている妊娠分娩などを始めとして、卒前教育で経験しておくだけで十分ではないかといった意見もあるようです。
では何が必ず経験しておくべきことなのかと言う議論に今後なってくるはずなのですが、例えば現在地域医療は1ヶ月以上の必修になっているとは言え必ずしも地域で実戦力として役に立っているケースばかりでもありませんから、例えばこれをより長期にわたって義務化し研修の実を挙げようという声が出てきても全くおかしくはないですよね。
その点で国としては「研修医の7割は医師不足地域での診療に従事したいと考えている!」「一定期間に限定さえされていれば地域医療は忌避されているわけではない!」という結果だけが必要なのであって、こういう調査結果が公的に出てきたということはまさに狙い通りで渡りに船ということなのでしょう。
しかし徴兵制を敷いている国々では良心的兵役の拒否ということがあると日本でもしばしば取り上げられてきましたが、仮に今後研修医なりが聖地と呼ばれる地域での勤務を強いられた場合に、それが自らの思想信条に合わないからと拒否する権利はあるのでしょうかね?

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