« 司法試験予備試験はホントは予備ではない? | トップページ | 特定看護師問題 安全の担保が錦の御旗化? »

2012年9月26日 (水)

繰り返される偽医師騒動 いくらなんでも無防備すぎる?

先日東京でまたもや偽医師が逮捕されたという報道がありましたが、相変わらず杜撰な資格確認が原因であったようです。

医師法違反容疑:板橋区民の健康診断、43歳ニセ医師逮捕(2012年09月24日毎日新聞)

 東京都板橋区の民間病院「高島平中央総合病院」で医師免許がない男が非常勤医師として区民向けの健康診断をしていた問題で、警視庁は24日、世田谷区中町1、無職、黒木雅(みやび)容疑者(43)を詐欺と医師法違反(名称使用制限)、公文書偽造などの疑いで逮捕した。

 逮捕容疑は10年5月〜11年11月、都内の医師専門の人材紹介会社を通じて偽造した医師免許証のコピーを同病院に渡し、医師であると信じ込ませ、健康診断を担当する非常勤医師として雇用契約。計44日勤務し、報酬として計262万円をだまし取ったなどとしている。「生活費が欲しかった。健康診断ならやれると思った」と容疑を認めている。

 生活環境課によると、黒木容疑者は同じ名字の実在する医師の名前をインターネットで知り、免許証を偽造した。大学の教育学部を中退後、過去に3カ月、医療事務の勤務経験があるが、医療の知識は「看護師の勉強を独学でした程度」と説明している。ほかに長野県などの病院でも医師の名をかたり、健康診断に従事した可能性があるとみて調べる。

たかが健診と言うなかれ、健診業務を担当するということは異常があるか無いかを引っかける役でもあったと言うことですから、これによって患者側が大きな不利益を被った可能性が否定出来ません。
しかし事情を聞いてみますと金が必要だからやったと随分とあっさりしたものですけれども、こういうお気楽な犯行が実際に通用してしまうということはそれだけ医療業界が今まで性善説で杜撰な管理を行ってきたということでもありますね。
厚労省では今回の事件に対する対策として原本による資格確認の徹底に加え、同省の運用している資格確認システムを活用すべきだと通知を出しているようですが、どうも実際の状況を知るほど二週遅れの対策という気がしてきます。

<ニセ医師逮捕>黒木容疑者 医師資格確認システムを悪用(2012年9月25日毎日新聞)

 東京都板橋区の高島平中央総合病院で、医師免許がないのに健康診断を行ったなどとして警視庁に詐欺などの疑いで逮捕された黒木雅容疑者(43)が医師免許証を偽造する際、厚生労働省が導入した「医師等資格確認検索システム」を参照していたことが捜査関係者への取材で分かった。医師の資格確認のシステムが悪用された形だ。

 捜査関係者によると、黒木容疑者はインターネットで医師免許証のコピーを入手。ネットで同姓の医師を探した上で、検索システムに名前を打ち込んで医師登録年を確認し、コピーした偽造免許証の名前と登録年を書き換えていたという。

 検索システムは07年に医師の資格確認ができるように導入され、名前を入力すると性別、医師登録年、行政処分歴が閲覧できる。だまされた病院は黒木容疑者を採用する際、システムを確認したが、偽造免許証にある名前と登録年に食い違いがなく、偽造に気付かなかった

 厚労省は事件を受けて24日、医師免許証の原本確認の徹底など都道府県に通知した。検索システムが悪用されたことについて、同省は「システムは補助的な手段として活用してほしい」と話している。【黒田阿紗子】

まさしく厚労省の言う対策が逆用されたような有様なんですが、そもそもあのシステムにしてもかねて問題点ばかりが指摘されてきたようなもので、何かしら役に立ったという話はあまり聞いた記憶がないのですがね…
今回の場合人材派遣会社経由であったということで、何らかの損害が発生したとすれば医師でない者を医師として派遣してきた同社が負うべきものだと考えられますけれども、例えば民事で患者側から慰謝料請求などを行われる可能性も十分にあるでしょう。
それだけに医療現場のみならず派遣業界にも危機感を持って対策を講じていただきたいのですし、社会常識としても資格が必要な専門職なのに資格の有無をまともに確認もしないとはどうなんだと感じるところですが、どうも未だに杜撰なことが行われている背景には相応に事情というものがあるようなのですね。

ニセ医師逮捕:背景に、ずさんな本人確認(2012年09月24日毎日新聞)

 今回の事件では、紹介会社を通じて医師を採用する際、厳格な本人確認が行われていない実態が浮かんだ。

 国内の病院の医師は従来、大学病院を中心に組織される「医局」からの派遣が主流だった。だが、04年に始まった現場での臨床研修制度をきっかけに医局の統制力が弱まり、民間の紹介会社の需要が急速に高まった。社団法人・日本病院会の11年3月の調査では、全国557病院のうち紹介会社を利用すると答えたのは56%に上る。

 厚生労働省は、医師の採用では医師免許証と大学の卒業証書の原本を必ず確認するよう求めてきた。だが、ある病院の関係者は「原本を求めると『面倒くさいので別の病院に行く』と医師に言われたこともある。医師の供給が潤沢でない中、原本提出を言いにくい雰囲気はある」と明かす。容疑者を紹介した会社も「この業界で原本確認する社は聞いたことがない」と証言した。

 こうしたことから厚労省は07年、「医師等資格確認検索システム」を導入。医師登録年と行政処分歴がインターネットで確認できるようになった。しかし、このシステムも実在する医師の名前をかたられた場合はうそを見抜けない。生年月日や勤務先などは未開示で、顔写真は同省自体が所持していない。

 別の紹介会社の経営者は「いずれまた同じことが起こる。免許を顔写真入りにするなど新たな対策が必要だ」と訴えた。【黒田阿紗子】

根本的には医療の世界が総じて売り手市場であることからこれで通用しているということなんですが、失礼ながら医師資格確認を「面倒くさいから別の病院に行く」などと言い出すような相手はいずれにしてもろくな人材ではない可能性が高いと思えますけれどもね。
そもそもネット上で様々な情報が入手できる時代だからこそこうした詐欺が働けるようになったという一面もあって、一昔前なら一般人が医師免許証の実物などどんなものかも知らなかったものが、今では検索をかけるだけでフルカラーの画像が手に入るのですからそれは偽造も容易ですよね。
完全にオープンにしているあの検索システムにこれ以上の個人情報を垂れ流されるのもこれまた困りものですから、当面は免許証の現物確認というローテクに頼るしかないということになるのですが、何しろ単なる紙切れ一枚ですからその道のプロが本気になって偽造にかかってくればむしろ余計に面倒なことにもなりかねません。
そのため運転免許など写真入りの公的身分証明と併用しながらの対応も必要になりそうですが、医師の側にしても嵩張るばかりで扱いも面倒な証書類を毎回用意するのは面倒なことこの上ないわけですから、これだけ偽医師事件が起こる以上は国としても早急に抜本的対策を講じていただきたいものです。

|

« 司法試験予備試験はホントは予備ではない? | トップページ | 特定看護師問題 安全の担保が錦の御旗化? »

心と体」カテゴリの記事

コメント

こんなもの引っかかる方も○○○○病院の類なんだろ?w

投稿: aaa | 2012年9月26日 (水) 07時41分

国に勝手に個人情報さらされるのムカつくんだけど俺だけか?

投稿: ゼルダ | 2012年9月26日 (水) 09時04分

検診バイトであればまともな医者ほど来ないでしょうからね…
最低限の水準さえクリアしていれば誰でもいいという仕事はまだ多いですが、まだそこまで埋まり切ってないんでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2012年9月26日 (水) 12時56分

国家資格を証明するものが単なる紙切れ一枚ってのが問題なんでしょ
これは対策を怠った国の責任問うてもいいくらい

投稿: あんあん | 2012年9月26日 (水) 15時46分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/55741996

この記事へのトラックバック一覧です: 繰り返される偽医師騒動 いくらなんでも無防備すぎる?:

« 司法試験予備試験はホントは予備ではない? | トップページ | 特定看護師問題 安全の担保が錦の御旗化? »