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2012年8月13日 (月)

生保不正受給問題 意外に簡単な解決法?

最近にわかに不正受給問題などが注目を集めている生活保護に関連して、先日「生活保護は恥じゃない!」と訴えるデモが東京で繰り広げられたことがネット上でも大きな話題を呼びました。
これに対しては「平日昼間にデモする暇があるなら働け」と身も蓋もないツッコミもかなり多かったようですが、もちろん実際に生活保護受給が必要である人々も少なからずいるということは事実として認めなければなりませんよね。

生活保護 最後のとりで 失明、車いす…役所は「働けないのか」(2012年8月9日東京新聞)

 私たちの暮らしを左右する社会保障と税の一体改革関連法案が、国会で与野党の攻防の「取引材料」にされた八日。その周辺を、あるデモ隊が練り歩いた。「生活保護は恥じゃないぞ」。声を張り上げた多くは、いま生活保護を利用している人たちだ。 (小川慎一)

 「ぜひ知っておいてほしいことがあります。生活保護は最後のとりでなんです」。東京・霞が関周辺の車道。車いすで生活する日笠方彦(まさひこ)さん(51)=東京都練馬区=は、歩道にいるサラリーマンたちに訴えかけた。この日デモに参加したのは百三人。支援団体の呼び掛けなどでつながった。

 生活保護を利用して十年。一九九五年三月、自宅でバイクの修理中、タンクに移し替えたガソリンにたばこの火が引火し、大やけどを負った。会社を解雇され、再就職が決まったばかりだったというのに、両目の視力、左足は膝から下、両手も親指以外を失った

 退院後、千葉県内の施設に入所したが、「ここで死ぬのではなく、街に出たい」と一人暮らしを決めた。銀行口座の残高が二千円となり、生活保護を申請することに。だが役所の窓口で男性職員から言われた一言は思いがけないものだった。

 「あなた、働けないんですか

 日笠さんは「まさか自分に言っているとは思わなかった」と話す。ハローワークに電話しても、できる仕事はないと言われ続けてきた。口座残高を見せた途端に、職員が女性に交代し、申請の手続きが順調に進んだことを、今でも忘れられないでいる。

 「いま振り返ると、水際作戦だったのかな」と日笠さん。保護費抑制のため、申請用紙を渡さないなどして、間口を狭くしている自治体もあるとされる。窓口で門前払いされ「おにぎりを食べたい」と書き残して餓死した男性もいた。

 最近では、タレントの母親の受給が問題視されるなど、一般の人たちからの生活保護バッシングともいえるような状況も生まれている。財政難の中、生活保護を抑制しようという動きは国でも地方自治体でも強まる。消費税が増税されて生活が厳しくなっても、制度そのものが手厚くなる可能性は低い。

 「国会では、財源か解散かの話ばかりで、ちゃんと僕たちを見ていない」。視力を失ったまなざしが、民意を託されたはずの人々の茶番を見つめている。

まあしかし日笠さんの不幸な事故は不幸として同情申し上げますが、一般論としてガソリンを扱っているそばでタバコを吸うというのも常識的にどうなのか、なんですがね…
それはともかく、そうした不幸な方々が現実にいるからと言って無制限に申請者全てに支給していくべきだというのも無茶な話で、これまた社会の数多くの制度と同様に悪用する人も一定数いるのだという前提で個別にきちんとチェックしながら運用していくしかないのかなとも思いますね。
ただ今現在この認定作業というものがきちんと回っていないということも問題であって、福祉事務所など直接的な担当者の方々は「お役所仕事どころではない」多忙な日々を送っていると言いますが、一方ではこれが新規受給申請者と既存の受給者との間に審査の厳しさという点で格差を生む原因にもなっているようです。
ひと頃生活保護申請が窓口で切られる「水際作戦」ということが問題視された結果、どんどん受け付けるように国から直々に指示が出たことが現在の生保受給者激増を産んだと言われますが、ひとたび受給資格を得れば役所のチェックも手が回らないことをいいことに好き放題やっている人々も多いようです。

その究極が「冷暖房完備で三食昼寝つきの生活を無料で受けられる」病院入院生活というもので、しかも入院していればその間も保護費がどんどん貯まっていくわけですから笑いが止まらないのは当然ですが、こうしたケースは「医療扶助は現物給付によって行うものとする(生活保護法5章34条)」が悪用されたと言えるでしょう。
逆に最近では生保受給者に現金を渡すからよくないのだ、パチンコや酒に散財できないように食料品などを現物給付にすればよいのだという意見も根強いのですが、先日この現物給付ということを非常にうまく活用し成果を挙げている事例が紹介されていました。

生活保護率が横ばいで推移 上富田町/和歌山(2012年8月10日紀伊民報)

 国や和歌山県で生活保護費が増加傾向にある中、上富田町では、ほぼ横ばいで推移を続けている。全国的にも珍しいとみられる「食糧支給」制度と、扶養義務の調査を徹底していることが大きな理由。町は「生活保護はあくまでも自立のための手段という考えだが、本当に困っていればしっかり手を差し伸べる」と話している。

 町の生活保護適用件数は、ここ10年は60~80世帯、90~105人で推移している。人口千人に占める受給者の割合を示す保護率は、ことし3月の時点で0・64%。保護率が高い周辺の自治体と比べると、半数以下になる。

【田辺地方の自治体と県全体の生活保護率の推移】

 町は2006年4月に「食糧物資支給制度」を設けた。「生活保護の認定は受けられないが極度に困っている」という家庭が対象で、米などの食料品を支給する。月2万円分が上限。町長が支給を決めると、担当職員がすぐに買い物へ行くことになっている。

 町によると、適用件数は06年度7件▽07年度9件▽08年度10件▽09年度8件▽10年度6件▽11年度2件。本年度の適用はまだない。年間予算は約30万円で、担当者は「少ない金額でも十分運用していける」と話す。

 この制度は、生活保護の不正受給を防ぐ意味でも効果がある。相談に来た人が「明日食べる物がない」「子どもが死んだらどう責任を取るのか」と言ってきても、食糧を支給できると伝えた途端に引き返していくケースも少なくないという。逆に、本当に困っている人へ食料を支給すると感謝の気持ちが生まれ、自立してその「恩」に応えようとしてくれるという。

 もう一つの特徴的な取り組みは、扶養義務調査の徹底。遠くに住んでいる人でも、面会を基本にしている。できるだけ生活保護の申請者に同席してもらい、相談するようにしているという。

 町村であれば、県(振興局)が調査の実務を担当することが多い。だが、上富田町は振興局と情報を共有し、積極的に関与し続ける。扶養義務について定められた法律の趣旨を丁寧に説明するようにしている。「10回以上断った後、最後は扶養を了解してくれた親族もいた。誠意を持って対応すれば、理解してくれるケースは少なくない」と担当者は話している。

 振興局では、遠方の親族には文書で扶養を依頼する。県福祉保健総務課によると、住宅ローンや教育費を理由に断られるケースが多いという。資産調査の法的根拠はないため、「回答が本当かどうかは分からない」のが実情だ。

 小宮山洋子厚生労働相は5月、扶養できないことを証明する義務を課す法改正を検討する考えを示している。

 生活保護は、憲法25条(生存権)に基づく制度。国の基準で計算する最低生活費に世帯の収入が満たない場合に適用される。75%を国が負担する。残りの25%は、市は独自で、町村(一部除く)の分は都道府県が支出する。

この制度、色々と応用が考えられるというもので、例えば地域内で過剰生産となった食料品や日用物資などを廃棄する代わりに公的に買い上げ給付に回すといったやりくりをすれば、少ない出費でかなり色々と支援も出来そうですし、場合によっては過剰な賃貸住宅もこうした方法で市が仲立ちして住居のない方々に貸与するといったことも出来るでしょう。
それはともかくとして、ここで注目していただきたいのが「相談に来た人が「明日食べる物がない」「子どもが死んだらどう責任を取るのか」と言ってきても、食糧を支給できると伝えた途端に引き返していくケースも少なくない」という話で、まさかこんなに簡単かつ安価で人手もかからないような方法で不正受給防止が可能になるとはまさに目から鱗と言うしかありません。
生活保護申請をしてくる方々も多くの場合はとりあえず住む場所はあるわけですから、当座の食料が確保出来れば緊急性が薄れるのは当然であるし、そうして時間を稼ぎマンパワーを節約できている間にきちんとした受給資格の調査も出来ると考えれば一石二鳥も三鳥もあるよいやり方だと思います。
となると、次に考えるのは当然のことながら既存の受給者に対しても現金支給から現物支給へと切り替えていくことが出来ないのかということなんですが、現在の状況下で不正受給防止に確実に効果があるだろうこうした取り組みに積極的に反対する根拠も乏しいと思われるだけに、お金を実際に負担している国や自治体は早めに検討をしておかないと職務怠慢、公費の無駄遣いだと言われかねないですかね。

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コメント

わかりやすすぎるヤツらだなww

投稿: aaa | 2012年8月13日 (月) 08時33分

生保の支給はできなくても食べものが出せるなら「おにぎり食べたい」の悲劇は二度と起こらないですね。
外国でも教会やボランティア団体が食料配布してますし、日本でもこういった支援が根付いてほしいものです。

投稿: ぽん太 | 2012年8月13日 (月) 09時44分

他の自治体もやればいいのに

投稿: | 2012年8月13日 (月) 11時13分

生活保護は、生活保護以外の支援を可能な限り利用してそれでも足りない場合に受けられることになっているので、このような食糧支援の制度があればまずこちらを利用することになりますからね。
食糧支援については、期限の迫った災害時用の備蓄非常食を提供するというのもいいのではないでしょうか?

投稿: クマ | 2012年8月13日 (月) 11時30分

諸氏おっしゃるように、こういう制度で対応できるのならぜひにと思うくらいお手軽で効果的、かつ安価でもあるというのですから上富田町GJというものです。
特に食料については賞味期限の関係からどうしても無駄や廃棄分が出るものですから、メーカーや大規模小売り店と連携して安く仕入れるなど幾らでも工夫のし甲斐がありそうですよね。
こういうことで役所の業務に余裕が出来るようになれば本来の作業に回す時間も増えるんじゃないかと思います。

投稿: 管理人nobu | 2012年8月13日 (月) 12時14分

いっそ休耕田耕しに住み込みで田舎に来てくれれば

投稿: エンドルフィン真木 | 2012年8月13日 (月) 12時42分

医療費も自己負担分を徴収するべきですよ。1割でもいいから。
そうしたら、ジェネリックの普及率も上がるでしょうよ。
まともに働いてる人がジェネリックを希望し、ナマポが先発品を使ってるのはおかしいですもんね。
それに、(酒で、パチンコで)金が無くなったから入院させろって馬・鹿も減るでしょうよ。

投稿: | 2012年8月13日 (月) 20時09分

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