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2012年7月20日 (金)

生保問題よりワープア問題の解消を

最近はマスコミ界隈でも生活保護に対してネガティブな記事を取り上げるようになってきたのは興味深い変化だと思いますが、先日もこういう記事が出ていました。

「薬タダやしもらったるで」「ジェネリック?高い方にして」あきれた医療費無料の実態(2012年7月15日産経ニュース)

 生活保護費の約5割を占める医療扶助費をめぐり、看護師や薬剤師らに憤りが広がっている。医療関係者から本紙に寄せられた意見の中でも、不要な治療を求めたり、安価な後発(ジェネリック)医薬品を拒否したりする受給者への怒りや疑問が大半だ。一方で、過剰な医療や投薬をする医療機関側の問題点を指摘する声も少なくなく、「全額公費負担」の見直しを求める声が多数を占めている。

「もらってあげる」

 「風邪薬や湿布薬を近所に配ると喜ばれる。だから『生活保護を受けると薬がタダになるから、もらってきてあげる』と近所の人に言っている」
 大阪市内の精神科の診療所に勤める50代の看護師の女性は、通院する高齢の受給者の話に耳を疑った。待合室のごみ箱には頻繁に薬が捨てられ、「もらった睡眠導入剤を売った」と打ち明ける受給者もいるという。
 病院側にとっても、受給者は確実に診療報酬を稼ぐことができる“上客”だ。受給者の要求を不可解に思っても、求められるまま処方することが少なくない。
 「本当は薬が要らない人が多い。受給者も病院も、医療費が国民の税金で賄われているという意識があまりにも低い」。女性は実感を込めて訴えた。

「高い方にして」

 《ジェネリックを希望する受給者は2~3%しかいない
 本紙への投書でこう指摘するのは薬剤師の男性だ。
 後発医薬品は、新薬の特許期間(20~25年間)が切れた後、別の会社が作る医薬品。有効成分は同じだが開発費がかからず、価格は先発品の7割以下と安い。
 男性が受給者に後発医薬品を勧めても、「費用がかからないなら、いい方を使って」「高い方にして」と返答がある。もともと、後発医薬品を使っていた女性が生活保護を受けるようになった途端、先発医薬品に切り替えたこともあった。
 厚生労働省によると、処方される後発医薬品の割合(金額)は7・9%(22年5月)だが、生活保護分だけでみると7・0%(同年6月)にとどまる。
 大手製薬会社の関係者もこう打ち明ける。「受給者が多い地区の売り上げは常によく、新薬が出れば売り上げは跳ね上がる」。

「自己負担導入を」

 増え続ける医療費を抑制するため、厚労省は、後発医薬品の利用促進や電子レセプトによる受診状況のチェックなど対策を強化している。だが、「不十分」と感じる医療関係者は多い。
 大阪市内の診療所に勤める女性看護師(37)は、病院をいくつも“はしご”する受給者を連日のように見かける。中には、ほかの病院から処方された薬を入れた袋をぶら下げ「新しい薬がほしい」と来院する受給者もいるという。
 女性は「レセプトが電子化されても、他の病院での受診状況をチェックできなければ、病院として受診を制限するような対策は取りようがない。結局のところ、一定額を負担する『痛み』を感じさせなければ、医療費の抑制にはつながらない」と訴えている。

生活保護食い物にする病院、ブランド着飾る受給者…医療扶助に制限を 読者の声(2012年7月3日産経ニュース)

 医療や介護費用の負担がなくなる生活保護の「医療扶助」をめぐっては、医療・介護関係者から一定の制限を設けるべきだとの声が相次いでいる。

 ■静岡県の男性医師(62) 「生活保護で医療保護費(医療扶助)まで支払うのではなく、純粋に生活費のみを支給すべきだ。医療扶助もある程度制限し、例えば受診先を限定して公立病院のみにするのも一つの方法。そうすれば現在のように生活保護を食い物にしている病院に生活保護費が流れなくなる」

 ■長野県の男性医師(57) 「3割負担となる健康保険の一般患者は、自分の医療費の支払いに『なぜこういう治療か』『なぜこの薬か』と非常に厳しい。だが、医療扶助はやりたい放題で、悪質な病院にとって生活保護の患者は非常においしい。受給者の診療は指定医療機関とする制限を設けるべきだ」

 ■北海道で薬局勤務の30代の女性薬剤師 「薬をもらいに来る患者さんのうち、3割ほどが生活保護受給者。その半分ほどの人が車で来て、ブランド物で着飾り、多種多量の薬をもらっていく。他の病院でも投薬を受けていると思われるが、患者が『別の病院には行っていない』と言えば、薬局でも投薬せざるを得ない。せめて2割でも1割でも支払ってもらい、領収書を役所に提出して現金を戻してもらうなどの措置があってもいいと思う」

 ■川崎市のホームヘルパーの女性 「訪問介護の利用者の中には生活保護を受けている方も多かったが、配食はまずいといってほとんど捨ててしまう人もいた。通信販売で高い肉などの食品を購入し、すしやピザなどのデリバリーを毎日頼んでいる人もいる。生活保護の方に支払われているお金はみんなの税金。大切に使ってほしい」

不正診療は全くもってケシカラン話ですし、記事の内容自体はまったくもっていちいちごもっともという内容ではあるのですが、こんなはるか大昔から当たり前の常識だった話題を今さら「今初めて明らかになった驚愕の真実!」みたいに取り上げられても、それじゃ今まで見て見ぬフリをしてきたのは何か理由でもあったの?と勘ぐりたくもなりますよね。
生保受給者が過去最多を更新し続ける中で、先日は東京都足立区で区民税収374億円に対して生活保護費が420億円と「税収よりも生活保護費支出が多い」と話題になっていましたが、数の多さもさることながら最近ではその保護内容の手厚さが問題になっています。
ただ本質的な問題としては生保受給水準が手厚すぎるというよりも、きちんと働いているのに生保以下の生活しか出来ない人々が増えているということの方が問題で、生保受給を切り下げただけでワープア問題を放置しているのでは何の意味も無かろうというものでしょう。

例えば都内30代単身男性の場合で生活扶助8万3700円と住宅扶助5万3700円で月々の収入が13万7400円、さらに医療費無料、水道料金減免、税金や公的保険料免除といった各種優遇措置も考慮すれば、最低賃金レベルでフルタイムに働いたくらいでは到底追いつかないのは明らかです。
実際に11都道府県で最低賃金が生活保護水準を下回るという逆転現象が起こっているといい、産業界からは相変わらず最低賃金上昇に強い忌避があることもあって近ごろではもっぱら生保受給者への給付の抑制が叫ばれてはいますけれども、やはり本筋として真面目に働けばきちんと生活できるような仕組みが労働に対するモチベーションにもなるというものですよね。
生保から低所得労働者になると社会保障関連の負担によって一気に手取り収入が減ってしまうわけですから、例えば医療関係においても条件によって健康保険料一部減免などとみみっちいことを言わず生保に準じた各種減免措置を講じていくことが必要なんじゃないかと思うのですが、国の方でも一応は気にしているのかようやくこんなことを検討し始めているようです。

高額医療負担:年収300万円以下に年間上限…厚労省検討(2012年7月14日毎日新聞)

 医療費の自己負担が毎月の上限額を超えると超過分の払い戻しを受けられる高額療養費制度について、厚生労働省は13日、年収約300万円以下の世帯には年間を通じた負担額にも上限を設ける方向で検討に入った。上限は収入に応じ、26万〜38万円とする方向。将来は基金の設置などで財源を確保し、中所得層にも広げることを目指す。秋から厚労相の諮問機関、社会保障審議会医療保険部会で議論し、来年度から実施したい考えだ。

 70歳未満の医療費の窓口負担は原則、3割だが、月の合計額には世帯収入に応じて上限を設定しており、上限は▽低所得者(年収約200万円以下)3万5400円▽一般所得者(同200万〜800万円)約8万円▽上位所得者(同800万円以上)約15万円−−となっている。それぞれ4カ月目以降はさらに減額される。

もちろん基本的には良いことだとは思うのですが、年収300万以下の世帯と言えば「実年収400万クラスに相当」とも言われる生保受給者をも下回っている水準なのですから、その生活の中から年額26万円まではは出しなさいというのは実際のところなかなかに厳しいんじゃないかという気がします。
日本では過去半世紀ほど幸いにも貧困問題がさほど重視されずに済んだ経緯もあり、また国民皆保険制度が何とかうまく回っていたこともあって命の沙汰も金次第という世界標準の考え方には否定的な世論が根強かったわけですが、先日発表されたアメリカでの研究では富裕層と貧困層では平均寿命が5歳違うなど、経済状態と健康状態は厳然として相関するという当たり前のデータがあちこちで散見されます。
医療はお金のあるなしによって格差をつけられるべきではないとは必ずしも思いませんし、冒頭の記事にも見られるようにむしろ医療費個人負担を積極的に活用していくことが社会的にも求められている時代ですが、それでも真面目に働くよりも働かずに生保をもらった方が良い暮らしをしながら健康で長生き出来るという認識が広まれば、ますます働いたら負けという好ましからぬ風潮が広がることにならないでしょうか。
日本より貧困問題が深刻なアメリカでも同様にこの種の問題がしばしば取り上げられていると言いますが、日本でももはや単に生保の給付を抑制して済むという話でもなく、貧困労働者層が一定数存在するという前提での社会制度に改革していくことが求められる時代で、消費税を増税してまで単なるバラマキを繰り返すくらいなら「働けば得する」という価値観が育つ施策をとっていただきたいですね。

「暮らせる最低賃金」訴え(2012年7月1日朝日新聞)

 最低賃金(最賃)(※本文下参照)が生活保護の水準を下回るのは違法だとして、県内で働く100人を超える人たちが国を訴えている。非正社員で家計を担う人が増える中、懸命に働いても生活できないのはおかしいと、「暮らしていける最賃」への転換を求めている。
(略)
 時給900円の病院事務の女性(50)=横浜市=は、大学生の2人の子を持つシングルマザーだ。10年前の離婚時は病院の正職員だったが、腰を痛めて退職。その後の就職探しは困難を極め、ようやく派遣社員になった。だが、5年目に突然クビ切りにあった。
 今の仕事は責任もあり、実態は正社員と変わらないと思うが、1年更新の契約社員。実家に戻り、家賃はかからないが、年金や保険料を引くと手取りは月額13万円に届かない。区役所の生活保護の窓口に相談に行くと、条件を整えれば「親子3人で住居費を含め26万円の支給がある」と言われた。
 子どもが独立するまではがんばろうと思いとどまったが、今も心が揺れる。「いったん正社員の道を外れると、苦しい生活から抜け出せない。働きたい人がちゃんと働け、生活できるのが社会の大前提じゃないでしょうか」

 なぜ、いま、最賃制度のあり方が問われているのか。背景には「日本型雇用」の大幅な変質がある。
 賃金問題に詳しい小越(おごし)洋之助・国学院大名誉教授によると、正社員が中心だったかつての日本では、最賃に直結するのは、学生のバイトや主婦のパートなど、親や夫らがいる人と考えられ、金額の妥当性がきちんと議論されてこなかった
 それが90年代以降の不況で一変。正社員を短期契約や派遣に置き換える企業の動きが進み、働く人の3人に1人が非正社員に代わった。一家の大黒柱や新卒者も最賃水準で働くことになり、経済格差や消費低迷が社会問題化。最賃の底上げが求められるようになった。
 小越さんは「かつては社会に波及した春闘も企業内に終始し、経営側も安値競争を強いられ、賃金を上げる要素は最賃くらいしかなくなった」と指摘する。

 こうして2007年、抜本改正された最賃法は「健康で文化的な最低限度の生計費の保障」の観点を盛り込み、生活保護との整合性に配慮すると明記。10年には民主党政権下で「できるだけ早期に全国最低額を800円とし、20年までに平均で千円を目指す」と労使代表らが合意した。
 だが、昨年度の改定でも神奈川、北海道、宮城の3道県で最賃が生活保護の水準を下回り、厚労省の試算だと神奈川ではあと5円不足していた。
 これを正面から問うているのが今回の裁判だ。原告側は、法改正後も低い水準の最賃が放置されたままなのは国の裁量権を逸脱していると主張。国際水準からみても低く、20年までに千円の目標達成もおぼつかないと訴えている。これに対し、国側は違法性はないと反論している。

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コメント

給料はすぐには増やせないがナマポへの金は減らせるな

投稿: | 2012年7月20日 (金) 09時27分

ここで決してニュースにならないのが、「人材派遣業があげている莫大な利益」でしょうね。

人材の派遣をしてもらっている企業にしてみれば、派遣会社に支払われる目先の費用は正社員とあまり変わらず(むしろ高くなることもある)、あえて言うなら「いつでも人数調整が無責任にできるから」というのが最大のメリットだと思います。
そこで派遣社員に実際に支払われている賃金は最低レベル、ということであれば、その中間に入る派遣会社に相当額の利益が上がっているはずなんですよね。
もちろん、派遣人員をしっかり抱え込むリスクもありますから、利益を上げるのは仕方ないと思いますが、それが「空前の」と言っていいくらいの利益となってくると、「あれ、なんかおかしくないか?」って話になるはずなのに、そこがほとんど表に出てきてません。

マスコミなら、そこを叩いたらいいのに、不思議ですねぇ。

投稿: | 2012年7月20日 (金) 10時26分

広告主を悪く言うマスコミはないw
だから広告出さない政治や医療は叩き放題ww

投稿: aaa | 2012年7月20日 (金) 11時06分

意図的に働かない人間には生活保護を拒否できる?違法になる?

古河市は18日、市内の20歳代前半の男性が同市を相手取り、
生活保護停止処分の取り消しを求める訴訟を水戸地裁に起こしたことを明らかにした。

市によると、提訴は6月4日。同月20日に同地裁から市に訴状が届いた。
市はこれまで男性に対し、働ける状態にあるとして就労支援などを行い、
自立するように再三指導したが事態の改善がみられなかったとして、
10年9月末に生活保護の支給を停止したという。

 同訴訟の第1回口頭弁論は19日。市は争う方針だという。
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20120719ddlk08040117000c.html

投稿: ところで | 2012年7月20日 (金) 11時14分

>だから広告出さない政治や医療は叩き放題ww

そういやレーシックや美容は叩かれてるの見たことないですねw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年7月20日 (金) 15時57分

つかナマポは町の清掃やどぶさらいさせるべき
働かざる者食うべからず

投稿: | 2012年7月20日 (金) 20時28分

実際スポンサーかどうかで態度は顕著に違うらしいですね。
最近日医がときどきCM出してるのはそういう対策なのかとも思ったり。
確かにひところほど日医叩きもなくなったような…

投稿: 管理人nobu | 2012年7月21日 (土) 09時57分

管理人様 
話がどんどん外れて申し訳ないですが(不適なら消してください) 
>最近日医がときどきCM出してるのはそういう対策
医師会以外がスポンスする番組についても
バッシング的な番組を減らす効き目があったとしたら それこそ
ミカジメリョウがまかり通る業界という証拠でしょう。

Yosyan先生のところで唖然とする情報を見かけました。 2012/07/20 19:45
>もっとも香山氏は放送業界に相当深く食い込んでいるらしく、BPOの放送倫理検証委員会
>http://www.bpo.gr.jp/kensyo/
>ここの委員を勤められています。
こういう業界を相手にするのは、大変です。 

投稿: 感情的な医者 | 2012年7月21日 (土) 11時33分

何を電波にのせて語ってよいのかは自分で決められる立場
つまり電波芸者としては非常にやり手とも言えるw>リカちゃん人形

投稿: aaa | 2012年7月21日 (土) 15時26分

むしろCM打つ程度でバッシングがとまるなら扱いやすい業界だなと言う印象を抱いていますけど。>マスコミ
香山氏については最近さすがに目に余る発言が多いなと感じてはいるのですが、精神科の場合客観的な指標に乏しい印象があって(偏見?)○○だから精神科医として悪いと断定するのも難しいんじゃないかと想像しています。
逆に突っ込みどころの多い人を活動根拠として担いでくれてた方が外部にとっては対処はしやすいかなとも思うのですがどうでしょう?

投稿: 管理人nobu | 2012年7月23日 (月) 10時32分

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