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2012年7月 5日 (木)

やはり行われそうな計画停電 今後はさらに増える?

先日7月1日より大飯原発が再稼働しましたが、最も厳しいとされる関西地区で多少なりとも電力供給が改善されるとは言えこの夏もやはり全国的に節電が相当に求められることになりそうです。
計画停電ともなれば各方面に多大な影響が予測される中で、先日日医から全国に計画停電への対策が要請されたというのですが、

都道府県医師会電力確保対策担当理事連絡協議会 医療施設における計画停電への対策を要請(2012年7月5日日医ニュース)

 都道府県医師会電力確保対策担当理事連絡協議会が六月十五日,日医会館小講堂で開催された.
 本協議会は,東日本大震災での原子力発電所事故を受けてわが国の電力供給体制が見直されている中,今夏は特に全国的な電力不足が見込まれることから急きょ開催されたもので,政府や電力会社との折衝の状況を報告し,医療施設における計画停電時の対応策などについて協議した.
 冒頭,あいさつに立った横倉義武会長は,震災直後に東北電力・東京電力管内で計画停電の実施が発表された際,政府に実施時間についての配慮を求めるとともに,都道府県医師会長への連絡やNHKに対するテロップ表示要請を行い,医療機関や在宅医療における準備を呼び掛けたことを報告した.
 更に,昨年十月には,厚生労働大臣等に対して計画停電時に通電される医療機関の拡大について要望を行い,五月二十五日には,四病院団体協議会と共に電力会社九社に対して,全ての医療・介護施設や在宅患者等に電力が供給されるよう要望したことを説明.「電力問題で患者さんに大きな被害がないよう切に願っている」と述べ,本協議会を踏まえて対策を講じるよう要請した.

 議事では,まず今村聡副会長が,日医における今夏の電力確保対策並びに節電推進等について説明した.
 同副会長は,昨夏の対応として,ピーク時の電力使用を前年同期比一五%減とする「電気事業法第二十七条による電力使用制限令」の対象に医療機関も含まれていたことから,対象から除外するよう政府等へ働き掛けた結果,医療機関の削減率が〇%と緩和されたことを報告.計画停電時に通電される医療機関については,公的病院を中心とする三次救急医療施設のリストが日医との協議もないままに公開され,混乱を招いたと指摘した.
 今夏においては,日医が都道府県医師会から二次救急医療施設の情報収集を行い,厚労省に提出したことを説明.同副会長は,「今年,厚労省は経済産業省に全ての医療機関に通電して欲しいと要望を出している.ただし,一カ所の医療機関に通電すると,配電所単位で一千戸の住宅に電気が流れることになる.どこかで線引きをせざるを得ないのは事実だが,出来るだけ拡大して欲しいと要望している」と述べ,都道府県医師会と自治体,電力会社で連携した形での,地域の実情を踏まえた検討をすることを求めた.

 続いて,鮫島信仁日医総研研究員が,計画停電時における病院・診療所への影響について説明.病院・診療所への緊急アンケート調査によって,東京電力管内の計画停電時に多くの問題(別記事参照)が発生したことが明らかになったとし,これらの事例をまとめた「日医総研ワーキングペーパーNo.二五三」(東日本大震災に伴う計画停電・電力需給対策における病院・診療所への影響と対応に関する研究)を参考に,実施時期が夏であることも踏まえた入念な準備を呼び掛けた.
 また,自家発電機を持っている場合でも,切り替わるのに一分近くかかったケースもあることから,事前に動作確認しておく必要があるとした.
(略)

計画停電時の通電対象医療機関を再検討

 引き続き,岩井誠奈良県医師会理事が関西電力との協議状況について報告.計画停電時の通電対象医療機関については,二次,三次救急医療機関の線引きだけで重要性を判断出来ないとして,近畿医師会連合を窓口に,府県医師会と連携して再検討することとなり,各県で二,三の医療施設の追加が可能だとの回答を得たとした.
 計画停電の時間帯やスケジュールは六月中旬に公表し,実施については,前日の午後六時頃に「電力予報」として広報するとの関西電力の説明に対し,停電の予定を出来るだけ早く伝えることを要請.ポータブル発電機の貸し出し数については,人工呼吸器など在宅患者の実態把握を行って検討する必要があるとした.
 この他,計画停電と医師賠償責任保険について,高島昇日医医賠責対策課長が説明.日医医賠責保険での保険金支払いに関し,計画停電時の事故においては一律の判断が極めて難しいとして,個別に判断されるとした.
(略)

東電管内では計画停電の予定はないということでやはり関西圏が一番の問題となりそうですけれども、先日もお伝えしましたように医療機関の停電対応も非常に心許ないものがあり、何も今回だけで二度と無いことでもないわけですから、「医療機関だけは例外にして」と要求するばかりで自前の努力を放棄しているようでは問題ですよね。
何かあった時の賠償責任の絡みもあり、少なくとも入院患者を抱えるような施設は最低限の電源などを用意しておくことが社会的義務ではないかと思うのですが、今の時代長引く医療費抑制政策によって特に中小医療機関の経営はどこも火の車ですから、今から新規に導入をするというのも確かに厳しいものがあるんじゃないかとは思います。
関西地区の各都道府県では引き続き停電範囲からの除外を求めていくと共に、より実際的に停電に対する対応も何とか検討しているところだと言うのですが、見ていきますとどうもあまりうまいアイデアも出てきてはいないようですね。

計画停電:府説明会 「対象施設多い」医師や患者反発 /京都(2012年6月28日毎日新聞)

 府は27日、京都市上京区で医療機関や患者団体を集めて、今夏の電力不足への対策を協議した。関西電力の担当者から計画停電について説明を受けた参加者からは、「対象外にならない病院や診療所が多すぎる」などと反発が相次いだ。府内で計画停電の対象外になるのは災害拠点病院や大学病院など主要医療機関111カ所。残り62カ所には自家発電装置を備えていない病院もあり、府は小型発電機の購入を働きかけている。また、診療所は計画停電の対象に含まれるが、自家発電装置がある施設は限られるという。【古屋敷尚子】

透析の計画停電除外要望…関電に京都府の医師団体/京都(2012年6月28日読売新聞)

 京都府は27日、府医師会や難病患者団体などと、今夏の電力逼迫(ひっぱく)時に実施される計画停電への対応を話し合う会議を開いた。席上、関電京都支店は、計画停電への理解と協力を求めたが、透析患者の治療にあたる医師の団体からは、停電への不安を訴える声が上がった

 会議は上京区のホテルであり、計30団体が出席した。7月2日から9月7日の節電要請期間中の計画停電のスケジュールや方法について、関電京都支店が説明。府は、府内173病院のうち、京都第一赤十字病院(東山区)や府立洛南病院(宇治市)、舞鶴市民病院(舞鶴市)など計111病院で、計画停電時でも通電する緩和措置が取られることを報告した。

 しかし、京都透析医会の担当者は、京都市内で最も通院患者が多いという、自らが運営する4施設について、計画停電が実施されれば、2施設で通電が止まる現状を説明。「(透析患者の通う)ほかの病院からも『もう一度話を聞いてもらおう』という声が上がっており、ぜひ緩和措置をお願いしたい」と要望したが、同支店は「緩和対象は国が決めており、電力会社が個別に入れる、外すということはできない」と理解を求めるにとどまった。

 また、関電からの計画停電の予告が、実施前日の夕方になることについて、府医師会の担当者は「患者に周知することは不可能だ。患者を他の医療機関に移すこともできない」と訴え、「透析が続く中、現場の人がスイッチを切ることはないですよね」と詰め寄った。しかし、関電京都支店は、「言いづらいが、計画停電の運用は、決められた線を決められた時間に切る作業を行うものだ」と答えただけだった。

 京都透析医会の担当者は終了後、「すでに公表されているスケジュールから、計画停電の時間帯を外れるよう、患者を誘導するしかない」と話していた。

病院も休診やむなし 滋賀でも節電期間始まる /滋賀(2012年7月3日京都新聞)

 政府や関西広域連合が決めた夏の節電期間が2日始まった。家庭や事業所などはさっそく節電の取り組みに乗り出したが、計画停電の対応に妙案はないようだ。店舗や公共施設だけでなく、医療機関も休業せざるを得ないとみている。
(略)
 もっとも影響が懸念されるのは医療・福祉施設。県内59病院(20床以上)のうち計画停電の対象外は36病院のみ。対象外にならなかった瀬田川病院(大津市)は計画停電時に外来を休診する方針。自家発電機だけでは冷房がまかなえないため、入院患者については「職員を配置して熱中症対策などに目を配る」という。
(略)

しかし京都で最も通院患者が多い透析病院と言えば一昔前なら笑いが止まらないほど儲かっていたと思うのですが、非常用電源の備えも出来ないほど昨今では透析も儲からないんですかねえ…?
今回は配電用変電所レベル(おおむね一般家庭数千戸)を対象にして2時間ずつといった短期間で停電をさせていく予定だと言うことですが、ほぼ一つの町内くらいの規模と考えると停電範囲内に多くて病院が一つ、二つに診療所が幾つかくらいでしょうか、逆に範囲内で全く医療機関が含まれないというのもあまり無さそうな微妙な数字ですよね。
しかし「透析が続く中、現場の人がスイッチを切ることはないですよね」と言われても電力会社の人も困っただろうと思いますけれども、そうまで電力が途絶えて困る機械を扱っているのに自前の非常電源すら用意していないというのもどうかというものですし、「計画停電の時間帯を外れるよう、患者を誘導するしかない」などと言い出されても、患者も余所に行くべきか2時間待つべきか悩ましいところでしょう。
瀬田川病院のように一応自前の発電機があるものの容量不足であることから、外来だけを休診するというのも一つの手だと思いますが、実際に急患などが担ぎ込まれてきた時にどうするのか、自前のかかりつけであっても停電中だからと拒否するのかと言われるとなかなか判断も難しそうです。
もちろん本質的には短時間でも停電は絶対困るというなら自前で非常電源を用意するのが筋ということになりますが、今回の件を教訓に今後そうした備えも増えてくるだろうとは言え、やはり今後も同様の事が起こるたびに必ずどこかの施設から「電気が止まると困る!」という声が上がってくるはずですから、それならば平素から社会としても何かしらの対策を考えておくべきではないかと思いますね。

今後電力の自由化による競合会社の参入など発電業界の再編もあり得るのかも知れませんが、いずれにしても今までのように日本の電源の安定度は世界有数だといつまでも自慢していられる状況にもなさそうだとなれば、例えばレンタル自家発電装置というものも視野に入れられるようになるかも知れませんね。
計画停電ということになれば順番に各地域が停電していくわけですから、例えば一定数の移動式発電機を地域内で用意して使い回すという手もあるかと思いますが、その主体としてさすがに商業的に成立するほど頻繁に停電があるとも思えませんから、例えば電力会社なりがオプション契約のような形で停電時の電源貸し出しを行うといったやり方も考えられると思います。
無論停電は電力会社の責任なのだから無償で貸し出せとか、自治体が金を出して発電機を常備しておくべきだといった意見もあるかと思いますが、こうした事の常としてお金を費やして自助努力をしてきた施設が損をして、何も備えをしていなかったくせに声ばかりは大きい施設がタダで便宜を図ってもらえるというのは「アリとキリギリス」の真逆と言うもので、どうも教育上もよろしくない気がするのですね。
家庭レベルでは近ごろ電気自動車を非常用電源としても活用しようとか、太陽光発電を普及させようとか(夏の日中が電力需要が大きいのですからこれもそれなりに合理的です)様々な試みも検討されていますけれども、昨今流行りの脱原発的な視点に立っても計画停電や需要急増時に対する緊急的な備えは意味あるものだと思います。
ごく個人的な願望としては被災地などでの活用や海外派遣なども見越して、既存の送電網に接続出来る発電船(これまた近ごろでは斬新なアイデアもあるようです)を病院船とセットで国が用意しておくべきだとも思っているのですが、しかしこれも結構手続きが面倒らしいと言うのが何とも日本的ですかね…

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コメント

個別に発電機を用意するのと、揚水発電などインフラを整備するのとどっちがコストパフォーマンスがいいのか
高層ビルも屋上防火槽兼用でまるごと水力発電所化できそうなんだが

投稿: kan | 2012年7月 5日 (木) 09時01分

うちオール電化なんだけど節電的にどうなの?
夜間にお湯湧かして一日使うから日中の消費はそんなでもないかなって思うんだけど

投稿: ぽち | 2012年7月 5日 (木) 09時56分

水槽がいくつかあるので念のため、エアポンプのバックアップ用に車で家電を使えるインバーター(電動リール用に馴染みの整備工場からもらった廃バッテリーが6個程あるのでw)を購入した直後にJRの基幹駅そばなんで停電除外区域です、ってハガキが来ましたw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年7月 5日 (木) 10時19分

>うちオール電化なんだけど節電的にどうなの?

消費電力を見ると電磁調理器はエアコンなどよりずっと大きいので、日中はなるべく煮炊きはしないですむようにしてみてはどうでしょう?

投稿: ただの人ですが | 2012年7月 5日 (木) 11時22分

電気自動車にちょっと魅力を感じる今日この頃
家の電力ソースにも使えるし直接コンセントも取れるし便利っぽい

投稿: 柊 | 2012年7月 5日 (木) 12時22分

新聞を見ていますと自家用電源を導入する企業が確実に増えているようです。
余ったら売れるようになったというのが何より大きいですね。

投稿: 管理人nobu | 2012年7月 6日 (金) 12時43分

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