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2012年7月28日 (土)

マスコミウォッチ いくらなんでもコテコテすぎる

オバマ政権を揺るがしかねない近来のスキャンダルに「ファースト&フュリアス(THE FAST AND THE FURIOUS)事件」というものがあります。
同盟の映画シリーズ第一作(邦題は「ワイルド・スピード」)のタイトルから名付けられたということなんですが、簡単に言うとオバマ政権下で司法省が銃2000丁を闇市場に流して流通経路を追跡するという秘密作戦を行った、目的は麻薬流通経路を解明しあわよくば元締めの逮捕に結びつけようと言う狙いだったのですが、結局100万ドル以上を投じて下っ端の売人を数人捕まえただけに終わったのですね。
それだけなら壮大な無駄遣いで済んでいた話なんですが、問題はこれだけ大量の銃が闇市場に流れメキシコを中心に犯罪に使われたせいで最終的に200人以上の人命が犠牲になってしまったということで、特にアリゾナの国境警察官が銃撃戦に巻き込まれ死亡した結果本作戦の存在が明るみに出ると、米下院監視・政府改革委員会により調査が開始されるという騒ぎになったわけです。
聴聞会に呼ばれたホルダー司法長官が重要書類の提出を拒否したことから法廷侮辱罪で議会に告訴されたにも関わらず、オバマ大統領が就任後初(!)の大統領特権を発動し書類提出をせずとも良いよう取りはからったと言うことからどうしても政権を巻き込んだスキャンダルにならずにはいられませんが、今秋の大統領選挙における争点の一つになるかも知れないとは言えそうですよね。

さて、見てきたようなことを書いていますけれどもこういう話をググってもほとんど日本では情報が流通しておらず、そもそもそんな話があったなんてまるで知らなかったという人がほとんどではないでしょうか?
一般に日本の海外ニュースと言えばそのうち大きな部分をアメリカ発のものが占めているのは事実なんですが、そのアメリカで大問題になったことを日本人が全く知らされていないというのは何とも不思議な気がしますけれども、実はこういうケースは今回に限らず過去にもよくあったことのようで、アメリカ在住の企業コンサルタントである上田尊江氏がこの事件の紹介と併せてそのあたりの報道事情について書いています。

「米政府の大スキャンダルを知らないの?日本で報道されていないのね・・・」/上田尊江(2012年7月27日日経ビジネス)より抜粋

(略)
 少し前の箇所に『「ああ、またか」と思った』と書いた通り、米国の事件が日本で報じられないことはしばしばある。米国人と結婚し渡米した直後は「なんで」と不思議に感じていたが、今では理由が分かる。

 日本に届く米国のニュースは基本的に、こちらで「主流メディア」と呼ばれているソースに基づいているからだ。主流メディアの代表はCNNやニューヨーク・タイムズなど、いわゆるリベラルのメディアである。リベラルの対語はコンサバティブであるが、主流メディアと呼ばれているように米国の大手メディアはすべてリベラルといってよく、コンサバティブはほんの一握りだ。

 本原稿を書き上げて編集者に送ったところ、「米国の政治でリベラルとコンサバティブは拮抗していると思っていましたが、メディアはリベラルが制圧している訳ですね。ウォール・ストリート・ジャーナルなどはどうなのでしょう」と質問が来たので加筆しておく。

 米国の大手メディアでコンサバティブなのは、ABC、CBS、NBCの3大ネットワークに続く大手テレビ局のFOXだけと言ってよい。ウォール・ストリート・ジャーナルはFOX同様にルパート・マードック氏が率いるニューズ・コーポレーションの傘下にある。ただし、テレビを含めたメディア全体を見ると、コンサバティブは本当にわずかである。

 リベラルとコンサバティブによって、メディア各社の報道は、ニュースを選ぶところから異なり、同じニュースでも報道の仕方が全く違う。ファースト&フュリアスのスキャンダルは格好の例だ。

 ファースト&フュリアスの一件をリベラルな主流メディアが報道し始めたのは最近のことだ。NBCに至っては、6月半ばになってやっと報道した。今回のスキャンダルは現民主党政権にとって非常にまずいものであり、現政権を支持する主流メディアは報道を控えていた

 日本に届く米国ニュースは主流メディアをソースとしている。主流メディアに登場しないなら、そのニュースは日本までたどり着かない。日本で見聞きする米国のニュースは2重のフィルターがかかっていることになる。

 ニュースソースとなる米国メディアの政治的見解でニュース選別のフィルターがかかり、内容の伝え方もメディアの見解ありきでなされる。その上で、個別のニュースも、誰かの主義主観を通した事実を伝えている。

 突き詰めていくと、そもそも事実とは何か、報道自体がフィルターではないか、という話になっていくが、そこは読者の皆さんが考え、答えを出していただきたい。私が米国に暮らし始めて気付いたのは、ニュースを見聞きするときは要注意だということである。もしかしたら今聞いたニュースはだれかの一方的な考えの下に伝えられているのかもしれない。
(略)

日本にいると海外メディアの方向性までは把握出来ないよと言われるかも知れませんが、そう考えてよく見ていますと日本のマスコミがソースとして取り上げる海外メディアには一定の法則があるということはよく言われているところで、その理由の一端がこうした偏向ぶりにあったということでしょう。
例えば何かと言えば「同居人」のニューヨーク・タイムズ(苦笑)を引用したがる某朝日新聞あたりを筆頭に「もしそれが本当なら」式のソースロンダリングは得意中の得意としていますが、まさにテキサス親父の言う通りアメリカも日本もマスコミの病根は全く同じ構図であるということですかね。
幸いにもネットと言う既存マスコミと対立的な媒体が成長してきたおかげでしょうか、マスコミお得意の捏造なども最近ではずいぶんと明るみに出てバッシングを受ける機会が多くなりましたが、おもしろいなと思うのはそうした捏造を好き放題行っている彼らの当事者意識で、どうも彼らの方ではこれが悪いことだとも何とも思っていないからこそ堂々と「はい、やりましたが何か?」と公に出来てしまうらしいのですね。

鳥越俊太郎氏 若者ら除外する世論調査結果の信憑性に疑問(2012年7月20日NEWSポストセブン)

「小沢新党、期待せず79%」「消費増税法案可決を評価する45%」――と大々的に報じられる世論調査の結果に違和感を覚える人が多い。周りの人々と話しても、とてもそんな結果になるとは思えない。世論調査の数字は、本当に“民意”といえるのだろうか

 ともにメディアに籍を置き、表も裏も知り尽くすジャーナリストの鳥越俊太郎氏と長谷川幸洋氏は「世論調査ジャーナリズム」に正面から疑義を呈した。

鳥越:昔、世論調査は選挙の時ぐらいしかやらなかった。でも今は政局が動くたびにやっていて、明らかに過剰な数です。今回、『週刊ポスト』が調べたところ、この半年間で読売が12回、次いで朝日が11回。これに産経、毎日、日経も7回程度やっていて、大手紙だけに限っても実に4日に1度、どこかが調査を行なっている計算になる。しかも、新聞の一面トップを飾ることが多くなった。

長谷川:世論調査が増えたという印象は私も同じです。10年以上前は調査員が戸別訪問して行なう「面接調査」が中心でした。今はコンピュータがランダムに選んだ電話番号をもとにオペレーターが電話をかけて調査する「RDD」(Random Digit Dialing)という方式が主流です。この方式だと、調査が簡単に素早くできるようになった反面、調査結果が歪んでしまう可能性があるんです。

鳥越:固定電話の番号だから、あまり家にいないサラリーマンや若年層は有効回答から除外されやすいよね。

長谷川:そもそも、ひとり暮らしの若年層は固定電話自体を持っていませんよ。他にも様々な問題がある。電話口で読み上げるので回答の選択肢の前の方にあるものが選ばれやすい、態度がはっきりしない回答者に「あえていえば」などと重ね聞きするかしないかで結果の数字が大きく変わってくる、といったことです。

鳥越:毎日新聞の記者時代の経験ですが、例えば、選挙に関する世論調査の結果を発表する前に選挙の担当者が数字を“調整”するのをしばしば見てきた。担当者が取材で掴んだ選挙区情勢と違うという理由です。そういった裏事情を知っているので、私自身は世論調査の数字を疑っています。

いやいやいや、さらっと「数字を調整するのをしばしば見てきた」なんて言ってしまってますけれども、これが例えば警察官が「このまえ気にいらねえ奴がいたからでっち上げでパクってやったぜ」と言っていたり、医師が「あのじじいムカついたからKClちゅ~っといっちゃたよ」なんて吹聴していたならとんでもない大問題になるでしょうに、彼らはこれだけのことを全国メディアで公言しても免許取り消しどころか何らのペナルティーも無しっておかしくないですか?
彼らの世論調査の嘘くささは以前にも書いたところですが、もちろんその目的の一つにはこうした捏造によって「世間の人はこう考えている!だからあなたもこう考えるべきだ!」という世論誘導にあるところは言を俟ちませんが、こういう記事を読んでいますとどうも彼ら中の人自体が自らの創作した調査結果に騙されているフシがあるんじゃないかとも思えてきますね。
先日も朝日新聞の中の人が橋下大阪市長の主導する「君が代条例」問題とも絡んで、今まで一生懸命世論をリードしてきたつもりだったけど調査してみたら実は市民の9割から背を向けられてて涙目…という笑い話がありましたけれども、舌先三寸で世論を踊らせることの是非は置くとしても、まずは最低限真っ当な方向に踊らせてもらわないことには気がつけば谷底に転落している真っ最中だった…ということにもなりかねません。
それだけのことをやるならやるでちゃんと責任を取れよということなんですが、彼らマスコミの中の人に言わせればいやそれは愚かな大衆が間違っているのだ、そもそも仮に騙していたとしても騙された方が悪いじゃないかという認識だと言うのですからあきれかえるしかありませんよね。

熱血!与良政談:有権者を信じる=与良正男(2012年07月18日毎日新聞)

 以前からポピュリズムという言葉は極力使わないようにしている。日本では「大衆迎合(主義)」と同じ意味で語られることが多く、その根底には「大衆とは愚かなものだ」といった考えがあるように感じるからだ。

 新聞やテレビもしばしば使う「選挙目当て」という言葉はどうだろう。これもどこか「有権者はこの程度の話で喜ぶに違いない」と見下すような意識があるように私には思える。

 議会制民主主義の基本は有権者による選挙だ。政治家が国民の支持や理解を得る努力をするのは当然で、「選挙目当て」自体が悪いわけではない。むしろ政治家が「選挙目当て」と思ってアピールする話が有権者の心を打たない、つまり逆に「選挙目当て」にならないことが実は問題なのだ。

 結党したての「国民の生活が第一」にあまり期待が集まらない大きな理由はここにあると思う。小沢一郎代表は「反消費増税」と「脱原発」で次の衆院選は勝てると言っているそうだ。しかし、有権者はそんなに単純か。

 私たちは「政権交代したら、なんぼでも財源が出てくる」と胸を張って失敗した民主党政権の姿を既に見ている。増税なしで、どうやって社会保障制度を維持していくのか、もはや具体論なしでは有権者は納得しない。「脱原発」にしても小沢氏らがこれまでどれだけ、それに熱心だったのか。多くの人は疑問に思っているはずだ。有権者の方が、これは単なる「選挙目当て」だと見なしているといっていい。

 かねて小沢氏は(1)有権者はバラマキに弱い(2)有権者は有名人が好きだ(3)選挙の時に増税を口にするのは愚の骨頂だ−−と固く信じているところがある。一面の真理ではある。だが、私はここに小沢氏の深い人間不信のようなものを感じてきたし、そんな政治から変わっていきたいともずっと考えてきた。そして実際徐々に変わりつつあると思っている。

 前回の衆院選で「有権者は民主党のバラマキ・マニフェストにだまされた」という言説もよく聞くが、これも単純過ぎる見方である。マニフェストのいいかげんさは承知のうえで「一度政権交代をしないと、この国は変わらない」と切に願って民主党に1票を投じた人も多かっただろうと思うからだ。

 大衆が(もちろん私たちメディアも)いつも正しいとは限らない。歴史を見れば間違うことの方が多いかもしれない。でも、私は有権者を信じたいと考えている。(論説委員)

いやこれは、そのマニフェストなるものを大絶賛し一生懸命騙す側に回ってきた人間が言うことですか?
ま、マニフェストのいい加減さに騙されたことに気づいた人も少なからずいたでしょうが、それ以上に新聞を元とする旧来のメディアのいい加減さに気付き始めている人々が日々増えているというのが、彼らの凋落一方の購読部数にも現れているという現実にはそろそろ中の人も気づいて欲しいとは思います。
ちなみにかつて消費税などというものにあれだけ大反対していた主要各紙が突然手のひらをかえしたように消費税増税!と連呼し始めたことには、その背景にいろいろな大人の事情があるんだろうとかねて噂されているところですけれども、そうまで増税一直線、国民は増税の痛みに耐えるべきだと主張する主要各紙が「新聞には消費税をかけるべきじゃないよね?」なんてことを言っているのは笑い話のつもりででもいるのでしょうか?
本当に今の時代いちばん笑えるのはマスコミウォッチだと言いますけれども、さすがにここまで空気も読めない面の皮の厚さを誇られるばかりの三流芸ではいい加減食傷気味というものなんですが。

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コメント

これだけ証言があるのに何のお咎めもなしなん?

投稿: | 2012年7月28日 (土) 11時28分

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