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2012年7月 7日 (土)

隠れ捕鯨大国・韓国も公式に捕鯨再開か IWC総会

先日唐突にこういう記事が出たことに違和感を抱いた方は多かったのではないでしょうか。

「人魚は存在しません」、米政府機関が公式サイトで/米(2012年7月4日AFP)

【7月4日 AFP】「水生人間が存在するという証拠が確認されたことはない」――米国立海洋局 (National Ocean Service)が、「人魚は伝説上の生き物だ」という公式見解をウェブサイト上で発表した。

 5月に米ディスカバリー・チャンネル(Discovery Channel)の動物専門チャンネル「アニマルプラネット(Animal Planet)」で、人魚は実在するという説に基づいた番組を放映した結果、海洋局のもとに多数の問い合わせが届いたため、今回改めて見解を発表した。ただし同局は「人魚が絶対に存在しない」という証拠も挙げてはいない。

 米政府機関では最近、疾病対策センター(US Centers for Disease Control and Prevention、CDC)が『ゾンビによる世界の終末を生き延びる』というタイトルでユーモアを交えた防災アドバイスを発行したが、同センターは同時に「ゾンビは実在しない」とする公式見解を発表している。

ま、どこの国でもテレビのデタラメに振り回されてしまうという人は多いものだと改めて思いますけれども、そのデタラメを放送しているのがかねてシーシェパード(SS)のプロパガンダを担当してきた他ならぬアニマルプラネットであったという点が気になりますよね。
いずれにしてもわざわざ政府の公的機関がこうしたコメントを発表しなければならないほど彼らの影響力小さからぬものがあるということでもありますが、件のSSを始め近年売り出し中の自称環境保護団体にとって、こうした売れさえすれば何でもいいというメディアとの二人三脚の関係が非常においしいものであることは言を俟たないでしょう。
ご存知テキサス親父も最近相次いでこの環境保護団体なるものの全く環境保護になっていないという珍妙な主張を取り上げていますけれども、こうした主張が一般紙にも登場し営林署も対応を迫られる程度には影響力を持っているということは注意しておかなければならないことです。

【参考】字幕【テキサス親父】狂気の自由主義が絶滅危惧の動物を焼き払う

【参考】字幕【テキサス親父】米国の狂気の連中の森林火災を廻る化かし合い

さて話は変わって、近ごろではワトソン代表が逮捕されるなどすっかり守勢に立たされていた印象もあるSSですが、そのSSがまた炎上しそうなこんなニュースが話題になっています。

韓国、調査捕鯨実施へ IWC総会で表明(2012年7月5日AFP)

【7月5日 AFP】中米パナマの首都パナマ市(Panama City)で開かれている国際捕鯨委員会(International Whaling Commission、IWC)の年次総会で4日、韓国が調査捕鯨を開始する方針を明らかにした。IWC科学委員会に捕鯨計画を提出するという。

 オーストラリアやニュージーランドなどの反捕鯨国は強く反発したが、韓国代表団は「IWCは道徳を議論する場ではなく、法的な問題を議論する場だ。道徳的な説教はIWCに無関係な上、適切でもない」と反論した。

 韓国代表団は捕獲頭数や捕鯨を行う海域、日程などを示していないが、他国の代表団の間では、韓国は韓国人が東海(East Sea)と呼んでいる日本海(Sea of Japan)でミンククジラを捕獲するものとみられている。

 IWCが商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)を課した1986年以降に韓国が調査捕鯨を行ったのは1シーズンだけだが、韓国南東部沿岸の蔚山(Ulsan)では鯨肉が人気で、「偶然に」網にかかった鯨肉が食用に供されている

 IWCは偶然に網にかかったクジラを食肉処理することを認めているが、活動家らは以前から韓国は網を使った意図的な捕鯨を黙認していると批判している。

韓国の調査捕鯨に懸念 「協議する」と米(2012年7月6日西日本新聞)

 【ワシントン共同】ベントレル米国務省報道部長は5日の記者会見で、韓国が国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会で調査捕鯨を始める方針を示したことに懸念を表明し「韓国政府と協議するつもりだ」と述べた。

 韓国政府代表団はパナマ市で開催中のIWC年次総会で、ミンククジラの生息状況を調べる目的で調査捕鯨を始めると発表した。調査捕鯨を実施するのは日本と韓国の2カ国となる。

 ベントレル氏は「われわれは商業捕鯨の一時停止を誓約している」と強調した上で、鯨を殺す調査捕鯨についても「韓国の発表を憂慮している」と述べ、今後の協議で韓国に翻意を促す考えを示唆した。

韓国「調査目的の捕鯨推進」シーシェパード「捕鯨船攻撃する」(2012年7月6日中央日報)

韓国政府が国際社会が認める範囲で科学調査目的の捕鯨を推進することにした。だが、環境保護団体や捕鯨反対国家はこれを事実上の商業的捕鯨と見なし、強く批判してきた。

  韓国代表団は4日(現地時間)、パナマシティで開かれた国際捕鯨委員会(IWC)例年会議で、来年IWC傘下の科学調査委員会にこのような計画書を提出すると明らかにした。科学調査委員会は韓国政府が提出した科学調査目的の捕鯨計画書を審査して適正かどうか判断することになる。

  国際社会は1986年から協約により絶滅危機に置かれたクジラ12種に対する商業的捕鯨を猶予(モラトリアム)している。商業捕鯨を再開するためにはIWC会員国4分の3が賛成しなければならないので以前に戻るのはほとんど不可能だ。現在、米国・オーストラリア・ニュージーランドなど捕鯨反対国家とノルウェー・アイスランドなど捕鯨支持国は同じくらいの数だ。

  商業捕鯨の他には日本のように科学調査を目的とする捕鯨がある。しかしこれは捕鯨禁止体制の穴を悪用した見せ掛けの形という批判を受けている。

  韓国政府の発表もやはり国際社会の公憤を買った。直ちにオーストラリアのジュリア・ギラード首相は外交的抗議(diplomatic protest)を提起すると明らかにした。ギラード首相はメルボルンで「韓国政府が日本の前例について捕鯨しようとする計画について遺憾を表わす」として「直ちに駐韓オーストラリア大使に韓国政府の最高位級カウンターパートに会って強い反対の意を伝えるよう指示した」と伝えた。野党指導者も直ちに声明を出してギラード首相の措置に超党派的に協力すると明らかにした。米国のIWC代表団ライアン・ウォルフも「米国は原則的に研究目的で鯨を殺すことには反対」と述べた。

環境団体の反発も続いた。グリーンピースのジェームズ・ロレンズは「これはまた違う形の商業的捕鯨であるだけ」と声を高めた。特に過激環境保護団体「シーシェパード」は「捕鯨に出る韓国船を攻撃(harass)する」と宣言したとオーストラリア日刊ザ・オーストラリアンが伝えた。この団体活動家らは操業阻止のために船に乗り込んできたり、悪臭弾を投げたりするなど暴力的行動をはばからない。シーシェパード設立者は殺人未遂容疑でドイツ警察に逮捕された状態だ。

  このニュースを伝える外信の視線も良くはなかった。AFP通信は韓国政府に対して「defiant(反抗的な)」と表現した。英国BBC放送は韓国政府が86年IWCに報告なしでミンククジラ69頭を捕獲した事実を取り上げて論じ、「このことで韓国政府はかなりの外交的圧迫を受けて捕鯨を中断した」と報道した。

  現在、韓国内で公式に流通する鯨肉はほとんどの網にかかって死んだ「付随」物量だ。ミンククジラ基準として年間平均80頭程度。だが、蔚山(ウルサン)・浦項(ポハン)を中心に盛業中である鯨肉飲食店は50~60カ所に達する。これに対し韓国政府は「鯨捕獲禁止に関する告示」を25年ぶりに全面改正して昨年から周辺水域の鯨管理を大幅強化するなど、国際社会基準に従うために努力中だ。

リンク先の中央日報での読者投票を見ますと圧倒的多数がこのニュースを肯定的に評価していることが韓国内での世論を現していると言えそうですが、実は公式には捕鯨をしていませんということになっている韓国ながら隠れ捕鯨大国として有名で、「たまたま網に掛かった」と合法的に売られている鯨肉は年間200頭程度ながら、実際には少なくともその倍の鯨肉が市場に流通しているといいます。
もともと日本と同様に捕鯨の伝統もある鯨食文化の国ですからそれだけの国内需要を満たすだけの鯨肉供給が以前から課題になっていたようで、彼の地でもまともな鯨料理店ほど素材の安定確保に四苦八苦しているようですが、そんな中で現在も共に捕鯨基地の街として知られる下関と蔚山のように鯨をネタに国際交流を続けているというケースもあるわけですね。
食材としての鯨肉需要もさることながら、近年韓国近海では漁業資源枯渇が問題となってきていますが、この原因として年々増え続ける鯨による食害を訴える漁民の声が日増しに高まっているという背景もあるようで、長年捕鯨再開を主張しながら認められなかったことへの反発もあって今回はかなり強硬的な態度で挑んでいるようです。

この記事を読んでおもしろいなと感じたのは前述のように韓国という国は以前から実質的な捕鯨国で、しかもその規模は決して小さなものではなかったにも関わらずSSを始めとする自称環境保護団体の物理的攻撃からはほとんど無視されてきた、ところが今回の発表を受けると直ちに「彼らにハラスメントを行うことを誓う(ワトソン代表)」などと派手派手しい宣戦布告を行っているということでしょうか。
要するにSS等にとって実際に鯨が獲られているかどうかはどうでもいいと言うことなのでしょうが、これまた前述のように漁民からの漁業資源被害の声を受けて決定されたとも言うだけに捕鯨活動は主に韓国領海内で行われるものと考えられ、何しろ未だ公式には単なる休戦状態にあるだけという準戦時下のお国柄だけに興味深い攻防が期待出来そうですよね。
こうした面でともすれば内外から国際的孤立を云々されてきた日本とすれば文字通りの隣国と共闘できる可能性が出てきたと言えそうですし、それを期待してか国内での報道もかなり多いようなのですが、むしろ今回の年次総会で個人的に注目しているのがこういう報道が出ているということです。

IWC、先住民捕鯨枠を否決 世界の厳しい見方反映(2012年7月6日西日本新聞)

 【パナマ市共同】パナマ市で開かれている国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会は5日、デンマーク領グリーンランドの先住民による2013年以降の捕鯨枠の是非について採決し、反対多数で否決した。

 グリーンランドの先住民はこれまで、近海でミンククジラなど年間200頭以上の捕鯨を認められていたが、13年から6年間は実施できなくなる。捕鯨に対する世界の厳しい見方が反映された形だ。

 グリーンランドの代表団は「会議の無責任な行動を憂慮する」と述べ、委員会脱退もあり得るとの考えを示した。

ご存知のようにIWCにおいては以前から「原住民生存捕鯨」という考え方が認められてきましたが、この対象となってきたのがロシアのシベリア東部のチュコト半島のチュクチ族、アメリカはアラスカのエスキモーにワシントン州のマカー族、カリブ海のセント・ヴィンセントの原住民、そして今回話題になっているデンマーク領グリーンランドの原住民、といった人々です。
この原住民捕鯨枠によって代表的な反捕鯨国として知られているアメリカなどは実は世界第3位の捕鯨大国でもあるという奇妙な(そして、ほとんど公には知られていない)事実があり、しかも日本の調査捕鯨よりはるかに多くの鯨肉生産量を誇る鯨肉大国でもあるわけですが、当然ながら原住民がそんなに大量の肉を生存のために必要としているはずはありませんよね。
今回のIWC爽快においてもこうした捕鯨大国かつ経済的・銀地的大国でもあるアメリカやロシアの後押しを受けてと言うことなのでしょう、両国が中心に一セットで提案された米露・カリブ海の捕鯨枠は認められたものの、単独での採決となったグリーンランドの捕鯨枠だけが否決されてしまったということです。
こうしたIWCという組織の現状を見ればグリーンランド代表団が委員会脱退を示唆したくなる心境も理解出来ますが、アイスランドが脱退してからと言うものIWC内では欧州唯一の捕鯨支持国となったデンマークがもしも手を引くということにでもなれば、IWC内での捕鯨、反捕鯨に関する地域間の色分けがますます固定化されてしまうということになりそうですね。

そもそも当初の目的を全く逸脱している上にろくに機能していないIWCという組織を唯一の公的管理の場としておくことが妥当なのかどうかも長年議論のあるところですが、元々国連海洋法条約においては鯨類保護に関して加盟国に「適当な国際機関」を通じて協力する義務を課しているものの、必ずしもその機関としてIWCであることを求めているわけではないのは事実です。
新規国際機関設立の話は捕鯨関係諸国の足並みの乱れもあって一向に実現しそうにはありませんが、現状のように理念も条約の文言も忘れたかのような運用が続けられるのであれば、いずれIWCと言う枠組み自体の妥当性に関しての議論も避けられないのではないかなという気もしてきますね。
しかし本来であれば国力的にも日本などがそうした場で主導的な立場を発揮していかなければならないのでしょうが、どうも決められたルールを守ることには熱心でも新たにルールを作ることは必ずしも得手ではないという国民性が邪魔をしてしまいそうな気もしますかね…

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コメント

海賊海狗船長の判決まだかな?

投稿: 林鈴 | 2012年7月 7日 (土) 08時56分

つか、調査捕鯨の鯨肉余ってるんだから韓国に輸出したらいいじゃん

投稿: | 2012年7月 7日 (土) 10時48分

もしSSが韓国の捕鯨船を妨害するとしたら、発進基地はやっぱり日本なんだろうか(笑)。

投稿: | 2012年7月 7日 (土) 11時28分

鯨肉の輸出入にはいろいろと規制が多いらしい
http://togetter.com/li/328627

投稿: kan | 2012年7月 7日 (土) 12時01分

韓国って1000頭以上鯨とってるのね
日本より多いんじゃないの?

http://japanese.joins.com/article/230/149230.html?servcode=300&sectcode=300
最近、数字上ではクジラ供給は増えた。全国で網に掛かって死んだクジラは09年656頭、10年656頭、11年1098頭だった。

投稿: | 2012年7月 7日 (土) 12時06分

調査捕鯨はとった鯨は無駄なく消費しなければならないですが、それで商売してもいけないんですよね。
いずれにせよ近海でSSが暴力行為に出れば対応もしやすくなると思われます。

投稿: 管理人nobu | 2012年7月 9日 (月) 08時38分

http://www.seashepherd.org/commentary-and-editorials/2012/07/06/korean-whaling-547
「韓国に反捕鯨組織を設立し、国際的な圧力(嫌がらせ)をかける。だが、私たちの当面の目標は日本の調査捕鯨に終止符を打つことであり、当面は日本の南極海調査捕鯨の妨害に集中する。」

投稿: シーチワワワロスwww | 2012年7月 9日 (月) 15時14分

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