« 増え続ける高齢出産 それもやっぱり医者が悪い? | トップページ | 超セレブな自治体病院現る?! »

2012年6月26日 (火)

生保過剰診療問題に国も動く

このところの不正受給騒動などもあって世間の関心が高まっているせいか、ひと頃は半ばアンタッチャブルな扱いであった生活保護の暗部に関しても様々な報道が出るようになってきています。
政府もこの機会に社会保障費圧縮を試みようという腹づもりなのか、厚労省から親族の需給義務を徹底させるよう自治体に指示が出たということですが、その結果例えば平均年収715万円を誇る東大阪市職員のうち少なくとも30人の親族が生活保護を受給していて、しかもただ一例を除いて仕送りすら拒否しているといったケースも明らかになってきました。
親族の扶養義務というものをどこまで徹底すべきなのか、生活保護の支給に関わる調査はどこまで行われるべきものなのかといった議論は未だに尽きませんが、一方で生活保護問題が注目を集めるのと相前後してクローズアップされつつあるのが生保受給者をお得意様にしている一部医療機関のケースで、すでに貧困ビジネスなどとも言われる行為に深く関わっているケースなども報じられています。
ともかく保護費の多くを医療費が占めているのですからこちらに関心が向かうのは当然なのですが、一部諸国などのように貧困者に対する治験の成果が一般に還元されるならまだしも、どうも日本の場合は単に無駄な医療費を使い自分が稼ぐことだけに専念しているらしいのも困ったものですよね。

病院が“受給者”相手にひと儲け!過剰医療の実態(2012年6月22日zakzak)より抜粋

(略)
 生活保護の患者を利用して儲ける病院があるという。「東京ハートセンター」のセンター長で心臓外科医の南淵明宏氏は、その理由をこう話す。国民健康保険と社会保険の場合は査定されるが、生活保護は請求分が100%返ってくるからです。保険と違ってチェックする人がほとんどいないので、効果が疑わしい高額な医療行為をやりやすいのです。生活保護の患者を集めて不必要なカテーテル手術などをした『山本病院』の事件が’10年に発覚しましたが、これは氷山の一角。この数百倍はあるでしょう。心臓の手術で普通よりも多くかかった場合、査定されて病院の持ち出しになることがあるが、生活保護ではそのまま認められる。生活保護の患者を相手にした過剰医療が今でも横行している可能性は否定できない

 都内のA病院は、医療関係者の間で「心臓病治療の“フルコース”を施す」ということで有名だ。救急車で患者が運ばれてくると、「心臓病ではないか」とカテーテル検査をして、「冠動脈が詰まりそうだから心臓のバイパス手術をしましょう」などと言われて手術となり、そして退院前には不整脈などを理由にペースメーカーを入れられる

 心筋梗塞や脳梗塞の治療用の高価な血栓溶解剤もよく使われるという。一回の使用で40万~60万円。薬の適応が書いてある病名をつければ、ほとんどフリーパス状態。カテーテルの治療は材料費が約20万円で、ペースメーカーの手術は200万円ほどかかり、この定番フルコースで、総額600万円ほどの“売り上げ”になるという。

 これも生活保護を利用した一種の“貧困ビジネス”といえるだろう。日本の医療は出来高払いで、やりたい放題。厳しいチェック体制に変えないと、無駄な医療費が増えることになる。

 ■南淵明宏氏 東京ハートセンター(東京都品川区)センター長。心臓血管外科医、医学博士。著書に『異端のメス 心臓外科医が教える病院のウソを見抜く方法!』(講談社文庫)など

しかし失礼ながらスーパードクター先生がまだこの業界にいらっしゃったとは存じ上げませんでしたが、現在の勤務先は厳しい先生のお眼鏡にかなったくらいですからよほどに診療報酬以外での収入が多くていらっしゃるのでしょうか、「こりゃあ、やってられないなぁ」などとモチベーションを失うことなく末永く勤務を続けられるよう陰ながらお祈りいたしております。
いずれにしてもスーパードクター先生の仰るように数々の厳しいレセプト査定にさらされている一般保険診療と比べて生保の方はフリーパス状態で、そのうえ全額公費で決して取りっぱぐれないということから生保患者を大のお得意様にしてきた一部医療機関が存在してきたことは紛れもない事実でしょう。
昨今生保問題でも注目を集める大阪などではすでに生保受給者の診療は認定された医療機関に限るといったアイデアを打ち出してきていますが、これだけ世間の注目が集まると国も今までのようなフリーパスでは済まないと考え始めたのでしょうか、このたびついに来たかと思えるようなこういう話が飛び出してきました。

「指導すべき病院」基準策定へ=生活保護、過剰診療問題で-厚労省(2012年6月23日時事ドットコム)

 厚生労働省は23日、生活保護受給者が全国的に増加する中、医療扶助費制度を利用して悪質な過剰診療を行う医療機関への対策を強化する方針を固めた。自治体が指導すべき医療機関を選びやすくするため、参考となる基準を策定する。
 健康保険制度では、過剰診療などで指導すべき医療機関について、「レセプト(診療報酬明細書)1件当たりの平均点数が高い順に選ぶ」といった基準が定められている。一方、生活保護制度には「全ての医療機関が対象」との記述があるだけで具体例が示されていない

末端臨床に従事する多くの勤務医にとっては余計な書類仕事などが増えないのであれば「どうぞどうぞ」で済む話だと思いますけれども、(控えめな表現をすれば)独特のキャラクターを持つ方々の比率も高いことから臨床現場ではしばしば敬遠されがちな生保受給者に対して、経営的視点から見ればまた別なものが見えてくるというのは理解出来る話です。
具体的にどのような基準が示されるのか未だ明らかではなく、おそらく通常のレセプトチェック同様の平均診療点数の他に例えば全患者に占める生保受給者の比率なども重要な因子になってくると思われますが、いずれにしても大きな影響があるのが経営者自身が診療も担当し経営方針が直接反映される小開業医等だとも想像され、特に生保患者率100%などというクリニックにチェックが入ると文字通りに死活問題ですよね。
幸いにもこうした一見して明らかに悪質な施設は一般患者にとっては決して良い医療機関とは言えない場合が多いようで、そもそもまともな診療でやっていけるのであれば後ろ暗い生保ビジネスに手を出す必要もなかったはずだと考えると、多くの患者にとってはこうした指導の強化が特に大きな悪影響を及ぼすこともないのではとも推測されます。

もちろん生保患者=全てがケシカラン患者だと言うわけではなくて、難治性の疾患によってやむなく生保に転落したような方々を始め多くの真面目な生保患者もいらっしゃるわけですから、こうした方々が医療上の不利益を被り疾患コントロールを悪化させ、ひいては就労復帰がさらに遠のくなどということがあってはならないのは言うまでもありません。
名目上は悪質な過剰診療の抑制とは言え、一般診療における意味不明の難癖付けのようなレセプトチェックの有り様を見れば、この生保診療についても最終的には保護費削減のための道具に利用されるだろうなとは想像出来るわけで、悪意をもって過剰診療を行う一部医療機関と混同されないよう診療する側にも意識の変革が求められるでしょう。
特に医学教育も担当する大学や研修病院などではまま見られることですが、高い割にさほど意味がないような検査・処置は通常患者さんに同意を求めてから行うものですが、相手が支払い無しの生保患者となれば「まあついでにやっておけばいいんじゃない?」などと言ってしまう傾向があるのは、悪意はないにしても過剰診療と言われれば否定は出来ませんよね。
もっともこれも生保患者だから少々余計なこともやっても構わないだろうと言う意識があるから起こりえることであって、結局は他の患者と同様に扱い生保患者だからと区別や差別はしないということが一番無難な対応ということになってくるのでしょうか。

|

« 増え続ける高齢出産 それもやっぱり医者が悪い? | トップページ | 超セレブな自治体病院現る?! »

心と体」カテゴリの記事

コメント

 小宮山洋子厚労相は5月、生活保護を受けようとする人の親族らについて扶養が困難な理由を証明する義務を課す考えを示した。
 しかし、厳格化には難しさがつきまとう。北九州市では平成17、18年、保護を求めていた男性2人が相次いで死亡した。
門司区の56歳の男性は生活保護の受給申請をしたが、市は扶養義務のある長男と次男が近所に住んでいたことを理由に
「まずお子さんに相談して」と申請を受け付けなかった。男性はその後、餓死。厳密にチェックしすぎた結果だったとみられる。
http://sankei.jp.msn.com/life/photos/120623/trd12062314030006-p1.htm

投稿: | 2012年6月26日 (火) 08時26分

>「東京ハートセンター」のセンター長で心臓外科医の南淵明宏氏

…またあんたか。

>紛れもない事実

なぶっちゃんが出張ってるとすっげぇ信憑性が薄れるんですががが

>こうした方々が医療上の不利益を被り疾患コントロールを悪化させ、ひいては就労復帰がさらに遠のくなどということがあってはならないのは言うまでもありません。

まちがいなくこうした方々が医療上の不利益を被り疾患コントロールを悪化させ、ひいては就労復帰がさらに遠のくでしょうねw。役所ってさぁ、ほらw、余計な事だけ立派にやり遂げるからww

>門司区の56歳の男性は生活保護の受給申請をしたが、市は扶養義務のある長男と次男が近所に住んでいたことを理由に
「まずお子さんに相談して」と申請を受け付けなかった。男性はその後、餓死。厳密にチェックしすぎた結果だったとみられる。

言ってはなんですが、長男、次男ともども扶養を拒まれるようなのは高確率で自業自得ですからほっといていいんじゃ…って気がしますねえ…。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年6月26日 (火) 09時36分

この記事の
http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20120622/zsp1206221358006-n1.htm
> 実は不正受給は言われているほど横行しているわけではない。’10年度の統計によると、不正受給額の合計は128億7425万円で、総額の0.38%。しかもこのなかにはさほど悪質とは呼べない事例も含まれている。
> 「現場の感覚で言えば確信犯的な人はごく少数です。高校生など未成年のアルバイト収入は申告しないでいいと誤解していたケースが多いですね。4年前からは預金口座に加えて課税調査も行うようになりました」(同)

不正受給などせずとも堂々と飲んだくれてパチンコに通い金がなくなれば入院させろと騒いでる輩が多いのが問題なんだろうがw

投稿: aaa | 2012年6月26日 (火) 10時24分

自分で一生懸命働いてカツカツの生活をしている人達の水準が最低線で、パチンコ通える余裕があるのは贅沢だろうというコンセンサスが出来上がってきているように思います。
ただそういう給付水準になると今のやり方では生保離脱が難しくなってしまうので、制度をどう改めるかの議論が必要だと思うのですけどね。

投稿: 管理人nobu | 2012年6月26日 (火) 11時46分

>>門司区の56歳の男性は生活保護の受給申請をしたが、市は扶養義務のある長男と次男が近所に住んでいたことを理由に
「まずお子さんに相談して」と申請を受け付けなかった。男性はその後、餓死。厳密にチェックしすぎた結果だったとみられる。

何年も前の一例報告がずっと引用され続ける程度にはレアなケースだということなんだろうな>生保審査を厳しくすることの弊害

投稿: kan | 2012年6月26日 (火) 13時40分

専用のカードで支給して購買履歴チェックしろよ

投稿: | 2012年6月26日 (火) 23時08分

5月末に生活保護申請が認められ、今月から「本格的に生活保護生活を始めた」と
いう東京23区内に住む26歳の木村明彦さん(仮名)も新たな受給者の1人だ。
生活保護を申請した際、福祉事務所から、扶養の可否を問われた父親は
「俺は関わりたくないから、勝手にしろ」と拒否。

木村さんの両親は1昨年に定年退職。しかし、元地方公務員だけに年金支給額は、
民間のそれを 大きく上回る。
しかも、木村さんの妹は、都内の私立医大に通う現役医大生だ。
私立医学部で卒業までに必要な金は学費だけでも、平均で約3000万円。
さらに、妹が個人的な事情でつくった400万円以上の借金も、すべて両親が立て替えたという。

http://news.livedoor.com/article/detail/6690041/

投稿: | 2012年6月27日 (水) 08時52分

東大阪の件は、数字のトリックがないのか懸念します。
収入を書くなら、全職員の平均ではなく、(親族が受給していた)30人のそれを書くべきでしょう。


↑木村明彦(仮名)氏やその親を非難するのはおカド違いでしょうね。
働いていた頃の月10万の収入よりも、生活保護支給額11万7千円のほうが多かった、という話で、
社会福祉政策の問題だと思います。

投稿: JSJ | 2012年6月27日 (水) 09時43分

国会は消費税騒ぎで当分それどころじゃないと思いますが、社会保障全般のあるべき姿を抜本的に見直していくべき時期だと思います。

投稿: 管理人nobu | 2012年6月27日 (水) 11時05分

堺市でも職員親族の受給が発覚

 大阪府東大阪市で市職員30人の親族が生活保護を受給していた問題で、堺市の竹山修身市長は27日、
堺市でも市職員22人の親や子、兄弟姉妹が受給していることを明らかにした。

 市によると、過去に親族の扶養能力を確認した記録などをもとに、市内の受給者の親族に市職員がいないかを調べて判明した。
受給者の親族を扶養できない理由について、職員らは「子どもが多く生活が精いっぱい。(受給者の)妹まで扶養できない」
「(受給者の)母親は約20年前に家族を捨てて出て行った。今さら扶養したくない」などと回答していたという。

 竹山市長は、現段階で22人の親族らに不正受給は認められないとし、「事情は個別に色々あり、違和感はない」と述べた。

 堺市によると、市職員は約5500人おり平均年収は約700万円。

読売新聞 6月27日(水)20時44分配信

投稿: | 2012年6月28日 (木) 11時54分

年収って課税前でしょ?
なら、手取りは500万強。

 てか、最低賃金が法定の1日8時間、週40時間で働いた時に、大人1人がまともに生活できない額に設定されてるのが一番の問題かと。
 東京都の最低賃金837円。週40時間で3万3480円。月4週、13万3920円。
 生活はなんとかできるでしょうが貯蓄は難しいので、健康を害したりして少しでも働けなくなったら、終わりでしょうね。

投稿: む | 2012年6月28日 (木) 22時30分

なんで最低賃金引き上げないの?

投稿: | 2012年6月28日 (木) 23時49分

 企業が嫌がるからでしょうね。
 文化的な生活を営むには生活保護程度のレベルが必要なら、労働による対価である最低賃金をそれ以上にすべきなのに、片山とかは逆に生活保護のレベルを下げろと言う。
 国会議員の歳費を東京都の最低賃金にすればいい。それで文化的な生活が営めると片山とかは思ってるんだろうから。

投稿: む | 2012年6月28日 (木) 23時58分

最低賃金もさることながら、生保受給者と低所得者層のいわゆる逆転現象が労働意欲をスポイルする要因になっていると思いますね。
社会保障自己負担分の免除や住居費補助など生保に準じた支援策を用意すればかえって支出総額は少なくなりそうにも思うのですがね。

投稿: 管理人nobu | 2012年6月29日 (金) 08時44分

片山さつき言っちゃったよ
どっちもゼロリスク追求は無意味ってことは言ってるんだが、今までだまされてたって言い切っちゃバッシング来るなこりゃ

 --生活困窮で餓死する人がでると行政への批判が沸騰する
 「1人の餓死者が出ると、生活保護制度を見直して受給しやすくしろという意見が出
る。しかし、1人の気の毒な、見逃してはいけない餓死者の裏には、本当に困っている
とは思えない受給者が大勢いることも明らかになった。1人の餓死者の問題と、大勢の
不正受給者の問題は全く別の話だ。流れは変わった。国民はもうだまされない」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120629/trd12062908010006-n1.htm

投稿: てんてん | 2012年6月29日 (金) 17時58分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/55049690

この記事へのトラックバック一覧です: 生保過剰診療問題に国も動く:

« 増え続ける高齢出産 それもやっぱり医者が悪い? | トップページ | 超セレブな自治体病院現る?! »