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2012年6月30日 (土)

マスコミ業界は不毛な負の連鎖を断ち切れるのか

このところマスコミ業界の中の人に絡んだ事件が相次いで報道されていて、やはり以前から噂されているように内部事情は色々と複雑なものがあるんだろうなと想像されますけれども、どこの業界にもあるように中の人もそれぞれに言いたいことは多いようです。
中にはこの不景気のご時世に敢えて好待遇を捨てて退社するという人もいらっしゃるようで、その背景にはこのところ世間から向けられる厳しい目線もあるのでしょうが、元をたどればこれも業界内部の問題に起因すると見て差し支えなさそうですよね。

日テレ元解説委員 311翌日に辞意を伝え退社した経緯語る(2012年5月21日NEWSポストセブン)

 震災以降、視聴者が抱いたテレビ報道への不信感を、一番肌身で感じていたのは当事者であるテレビマンたちだった。

 テレビ各局が震災後1年の特番を放送した3月11日の翌日、日本テレビ解説委員だった水島宏明氏(54)は周囲に辞意を伝え、古巣を後にした。同氏は『NNNドキュメント』ディレクターとして「ネットカフェ難民」シリーズなどを制作し、芸術選奨・文部科学大臣賞などを受賞。『ズームイン!! SUPER』にはニュース解説委員として出演していた。

 現在は法政大学社会学部教授となった水島氏が、「報道現場が良くなる一助になれば」と退社の経緯を初めて明かした。

 * * *
 きっかけは、原発報道です。震災後、報道局の幹部が突然、「今後はドキュメント番組も基本的に震災と原発のみでいく」と宣言しました。もちろん、あれだけの大災害ですから報じるのは当然ですが、それだけだと報道の多様性がなくなってしまいます。私のライフワークである貧困問題は「そんな暇ネタはボツだ」という扱いを受けました。

 しかも、NNNドキュメントの企画会議では、「うちは読売グループだから、原発問題では読売新聞の社論を超えることはするな」と通達された。そんなことをいわれたのは初めてでした。

 昨年3月28日に日テレの氏家(齊一郎)会長が他界しましたが、グループ内で影響力を誇る人物が亡くなったことで、読売の日テレに対する影響力がどうなるかわからないという配慮から、そうした発言が出たのかもしれません。

 これは日テレに限らず、今のテレビ局全体の問題だと思いますが、プロデューサーやデスクの幹部・中堅社員が、あらかじめ報道内容のディテールまで会議で決める傾向が強まっています。

 現場に出る若手社員や下請けの派遣社員は、その指示に沿った取材しか許されない。でも、我々は社員である前にジャーナリストですから、本来は自分の目で現場を見た上で、自ら報道すべきことを判断すべきです。震災以降、現場軽視をますます痛感し、私は会社を辞める決意を固めました。

 震災1周年の日、私は各局の特番を早朝から深夜までザッピングして見ていましたが、正直、日テレが一番ひどいと感じた。被災地と直接関係のないタレントの歌を流し、キャスターは被災地を訪れて「復興」を強調するものの、そこには報道の基本である視聴者の教訓になる情報がない

 取材も表面的で、被災者のリアリティが伝わってきませんでした。そのことを皆感じていたのに、放送後の報道局会議では、幹部の「良かった」という声に押され、誰も何もいえなかった

 最後の出勤日となった3月30日、私は報道フロアに集まった同僚に対し、「ひどい番組をひどいといえない。それではジャーナリズムとはいえない。事実を伝える仕事なのに。もっと議論して、いいたいことをいい合おうよ」と話しました。幹部が同席していたため、その場はシーンと静まり返っていましたが、後で何人かが「僕もそう思ってました」と寄ってきた。「じゃあいえよ」って(笑い)。

無論、マスコミも彼ら自身が主張するように無色透明、公正中立などとは程遠い存在であることは周知の通りで、それ故にこそ明らかに社のカラーから外れた報道は社にとってもそれを受け取る側にとっても困惑や混乱をもたらす可能性があるということは理解出来ます。
ただ先日のMBS記者の事件などにも象徴されるようにまず報道方針ありき、そして取材とはその方針に沿って使えそうなコメントを拾い上げレイアウトするだけというやり方をしているのでは、言ってみればモンタージュ方式の合成写真のようにお好みの絵を「創作」しているのと本質的に変わるところがありません。
先日はこういう騒動があったとこれまた小さく報道されていましたけれども、よく見ればこういうとんでもない事件が起こってくる背景というのはもの凄いことなんじゃないかと思いますね。

フジ「とくダネ!」をBPOが審理 ストローアートを飲み物に使い酷評(2012年6月27日J-CASTニュース)

   フジテレビのワイドショー「とくダネ!」が、ストローアート作品をばらして飲み物用に使っていたなどとして、放送倫理・番組向上機構(BPO)が審理に乗り出したことが分かった。
  ストローアートが取り上げられたのは、2012年1月9日朝放送の「とくダネ!」のコーナーだった。

キャスター「芸術ではなく趣味の域」

   それは、「ブーム発掘!」として「知られざる街角の芸術家」を特集するもので、ストローのほか、身近にあるバナナや海苔、石を素材にした計4種類のアートが紹介された。
   BPO放送人権委員会サイトにアップされた「『ストローアート作家からの申立て』事案」によると、番組では、大阪府在住のストローアート女性作家(57)の作品のうち、数本のストローを組んで椰子の形に作り小瓶に活けたものを1本ずつにばらし、飲み物に挿して喫茶店の客に出していた。そして、その反応を撮影したうえで、放送していたというのだ。もちろん、本来飲み物に挿すためのものではなかった
   さらに、番組出演者に4種類のアートの人気投票をしてもらい、その結果について、キャスターがこうコメントした。

    「石以外は芸術ではなく趣味の域だ

   こうした番組内容について、女性作家はフジテレビに抗議し、「過剰で誤った演出とキャスターコメントにより、独自の工夫と創作で育ててきたストローアートと私に対する間違ったイメージを視聴者に与え、私の活動と人権を侵害した」と主張した。
   女性作家はその後、メールを通じてフジテレビと交渉を続けた。その結果、フジ側は、「演出方法を事前に明確に伝えなかった」と落ち度を認め、謝罪放送の文案をこの作家に提示した。文案は5回示されたというが、作家は、承諾しかねるとしており、4月3日になって放送人権委員会へ審理を申し立てた。

フジテレビ「不快な思いをさせた」

   放送人権委員会サイトによると、フジテレビは、「申立人に不快な思いをさせたことは真摯に反省し申し訳ないと考えている」と説明した。実質的な話し合いに向けて、女性作家とメールでやり取りしている最中というが、「現在に至るまで十分なコミュニケーションは取れていない」という。
   委員会では、作家からの申し立てを認めて、2012年5月に審理開始を決め、6月から実質的な審理に入っている。7月には、女性作家とフジテレビの双方からヒアリングする予定だとしている。
   ネット上では、フジや女性作家の対応に対し、様々な声が上がっている。
   女性作家については、「否定されることも芸術には必要なのでは?」「放送は常に肯定的じゃないと駄目か?」などと過剰な反応を疑問視する向きもある。一方で、フジの番組についても、「作品を断りもなくバラして使ったらダメだろ」「これは怒ってもいい」といった指摘が相次いでおり、「最近フジ、トラブル多すぎだろwwww」との声も出ていた

   女性作家は、取材に対し、「今のところ、審議途中ですので、お話しできません」と答えた。しかし、7月17日に開かれるという次の委員会後には、ヒアリングで話したことを元に、記者会見する予定だとしている。
   フジテレビの広報部では、「現在、BPOを通じて先方と話し合いをさせていただいておりますので、個別の回答は控えさせていただきます」とコメントした。

ちなみにBPOのHPでの当該問題の記載についてはこちらを参照いただければと思いますが、ちなみにこのストローアートというものはストローやペットボトルなど身近にありふれた素材を使って動植物などを作り上げるというもので、その非常に手間がかかりそうな製作の様子はこちらのサイトを参照いただければと思います。
これだけ手間暇をかけて作ったものをバラバラにされて単なるストローとして扱われた挙げ句、全国放送で笑いものにされたと言うのですからそれはよほど心の広い人でなければ怒るでしょうが、BPOのサイトを見てもフジテレビ側では「演出方法を事前に明確に伝えなかった」ことを落ち度だと考えているそうで、どうもこうした演出をとること自体は別に問題としていないかのようにも受け取れる話ですね。
このあたりにも彼らの認識と世間の常識との乖離がうかがわれようと言うものなんですが、それをもう少し端的に示したのがこちらの一件ではないでしょうか。

「めちゃ×2イケてるッ!」の企画内容に批判殺到(2012年6月19日livedoorニュース)

18日、フジテレビ放送の「めちゃ×2イケてるッ!」の酒豪企画に抗議が殺到していると各メディアが報じており、ネット掲示板では物議を醸している。

報道によると、9日、同番組で出演者らが「飲まないと仲良くなれない」として、夕方から翌朝まで競って酒を飲む内容を放送。それに対して、18日、酒の一気飲みで子供を失った親達で構成する「イッキ飲み防止連絡協議会」などの3団体が、「死亡事故が続出している若者の飲酒コンパと類似している。子供が見る時間帯の放送でもあり、社会的な影響を考えていない」と同局に謝罪と再発防止を求める文書で抗議したという。

これに対してネットの掲示板では「芸人が酔って自分達の番組に対する思いを語りあうって…そんなの楽屋でやれよ。勘違いもいいところ」「この番組みたけど、本当にバカの極み。こんなもんを公共の電波を使って流すとかマジで頭がおかしいとしか思えん」「笑えないのに不謹慎なバラエティ番組は打ち切ったほうがいい」 と、番組の企画内容を非難する声が相次いだ

その一方で「何にでもクレームつけてくる奴らは正直どうかと思う」「むしろ芸人が飲みまくって死んだほうが、これだけ飲むと危険ってわかっていいじゃないか?」と抗議団体の活動に疑問を呈する書き込みもみられた。

すでに居酒屋などでもイッキコールなどしようものなら最低イエローカードくらいは提示されるようになって久しいこのご時世に何ともバブリーなと言うべきでしょうか、いずれにしても記事を見る限りでは昨今よくある「楽しいつもりなのはやってる本人達だけ」というタイプの番組ではあったようですね。
個人的にびっくりしたのがこの番組、てっきり深夜放送か何かだと思い込んでいましたらゴールデンタイムに放送されていたということで、それはまあ一昔前にも無茶なスイカの早食いを披露したりするような番組もあったわけですからテレビ局側では同じようなものだと思っていたのかも知れませんが、素朴な疑問として他人が飲んでクダ巻いてるところなんて眺めておもしろいと感じる人がどれほどいるものでしょう?
先日も大阪の入れ墨調査の件で毎日新聞地方版の記者が「私も入れ墨をしている。後悔したことはない」などと妙なカミングアウト混じりで批判記事を掲載するという一件があり、さすがにこれには毎日の本社の方でもびっくりして何故そんな記事が載ることになったのか調査中だと言いますけれども、どうもメディアとしてすでに成熟段階にあるはずなのに中の人に関しては近ごろどんどん未熟になってきているような気がしてなりません。
マスコミ業界内部においても他社記事のコピペが日常的にまかり通るなど長年悪い慣行が続いていることを憂慮する声がありますが、とりあえず周囲と横並びにしておけばいいやという考えの人達がひとたび坂道を転がり落ち始めると果てしがないというもので、そろそろ勇気を持って業界改革に立ち上がる人でも出て来ないことには大変なことになってしまいますよね。

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コメント

>番組では、大阪府在住のストローアート女性作家(57)の作品のうち、数本のストローを組んで椰子の形に作り小瓶に活けたものを1本ずつにばらし、飲み物に挿して喫茶店の客に出していた。

公共の電波でようやるわw
今度は裸婦像で抜けるかどうか試してくれw

投稿: | 2012年6月30日 (土) 09時23分

視聴率が稼げるから放送する
不快なら見なければいずれ淘汰されていく

投稿: 馬鹿が見るブタのケツ | 2012年6月30日 (土) 10時28分

>酒豪企画
芸人なら、ノンアルコールビールでそれをやればいいのに。

投稿: クマ | 2012年6月30日 (土) 21時28分

エアー飲み会ですな

投稿: | 2012年7月 1日 (日) 12時02分

座布団一枚

投稿: 管理人nobu | 2012年7月 2日 (月) 08時39分

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