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2012年6月23日 (土)

ハシズムとは政治理念ではなく政治手法?

先日から話題になっている毎日放送記者の記者会見におけるトンチンカン発言問題については既存メディアも無視出来なくなってきたようで、一ヶ月以上も経過してようやくこんな記事が出てくるようになりました。

MBSは橋下氏がエキセントリックだと思われる編集したと指摘(2012年6月19日NEWSポストセブン)

 橋下徹氏はメディアをツイッターなどを使って激しい言葉で批判してきた。通常の記者会見や囲み取材においても、単に質問に答えるだけでなく、記者と議論になることが多い。そうした“バトル”において橋下氏がメディアに突きつけている問題の本質は何なのか。ジャーナリストの上杉隆氏が解説する。

 * * *
 去る5月8日、大阪市庁に登庁した橋下徹市長に対して行なわれた「囲み取材」において、橋下氏とMBS(毎日放送)の女性記者との間で30分近くにわたって繰り広げられた“バトル”が、ネット上や一部の紙媒体で大きな話題になった。
(略)
 後述するように、この記者会見の動画はネット上にアップされており、それを見た一般人からは「橋下の完全勝利」「大手メディア記者の敗北」といった快哉を叫ぶ書き込みが相次いだ。その後、MBSはこの会見をどのように報じたか。

 この3日後、MBSの夕方の報道番組「VOICE」の中で15分程度、君が代の起立斉唱問題が批判的に取り上げられた。そこで使われた会見の映像は、橋下氏から批判された記者の質問や記者を批判する橋下氏の言葉が全てカットされ、起立斉唱問題についての橋下氏の強い口調の発言だけがつなぎ合わされていた

 仮に視聴者が番組だけを見たならば、橋下氏がいかにもエキセントリックな人物であり、自らの権限で強権的に起立斉唱を行なわせたという印象を持ったとしてもおかしくない作り方だった。質問した記者の「勉強不足」は隠されている。

 実はこれはメディアの常套手段である。何らかの理由で気に入らない政治家、自らと異なる主張を持つ政治家などを貶めるために、平気で恣意的な編集を行なうのである。もちろん、自らの「勉強不足」という恥を晒すことはしたくないので、自分たちの的外れな質問、意味のない質問はネグり、“なかったこと”にしてしまう。

 だが、インターネットの発達した今、そうした情報コントロールや隠蔽は通じなくなってきた

 よく知られていることだが、橋下氏の定例記者会見は市のHPで生中継されている。つまり、生の情報=橋下氏の発言を、一切の加工なしに流す「ダダ漏れ」スタイルを取っているのである。しかも、アーカイブとして保存される。「囲み取材」の映像も、市のHPからリンクされたユーチューブにアップされている。そうした映像は過去に遡って、誰もが、いつでも、自由に見ることができる。もちろん、これは橋下氏の方針だ。

 これにより、記者会見という取材現場が一般の人に向けて可視化され、メディアによる恣意的な編集が暴露され、メディアの無知、無理解、不勉強などが白日の下に晒されてしまうようになったのだ。

 実際、橋下氏はMBSの番組が放送された後のツイッターで、〈僕と記者とのやり取りが全て可視化されていて良かった〉〈番組見たらびっくりしたよ。記者とのやり取りは全部カットされて僕は頭のおかしい市長そのもの〉などとツイートしている。

記者会見映像の完全公開やツイッターの活用、さらには既存マスコミのお約束のやり方を逆用しての巧妙な選挙戦術など、さすがに元電波芸者として業界事情に精通しているだけに橋下氏の政治活動がマスコミを大いに活用(あるいは逆用)したものであると、近ごろではその先鋭的とも言える政策以上に注目を浴びるようになってきていますが、そのキーワードの一つとして迅速性ということが挙げられると思いますね。
例えば冒頭の一件にしても、従来であればメディア対策と言ってもせいぜいがマスコミが大騒ぎし始めてから「いや、それは実際とは違う」とばかりに「証拠」を取り出すくらいがせいぜいであったものが、橋下氏によって決まった時間にならなければニュースを流せない既存メディアよりも更に一足も二足も速く生情報が流れてしまうわけですから、後追い報道によってマスコミによる捏造がかえって浮き彫りになってしまうということです。
マスコミ対策ばかりではなく様々な局面でとにかく速く、スピード感をもって政策を実行に移していく点は有権者からも非常に好感を持って受け止められているようで、橋下氏の政治的主張そのものに対しては無論賛否両論あるところとしても、例えば先日は就任半年ですでに公約の約半数に道筋がつけられたということなどは昨今の政治において希有なケースと言っていいでしょう。
対照的にかつて公務員改革を公約の一つの目玉に掲げて総選挙を大勝した民主党では、公約に掲げた公務員給与2割削減など到底任期中に出来ないと岡田副総理直々にさじを投げたと報道されたところで、速くも大阪府市で公務員1万人を非公務員化するなど基本方針をまとめるなど「公務員に厳しい」橋下氏の姿勢には有権者の圧倒的な支持が集まっているようです。

公務員の待遇についてどの程度が妥当かは諸説あるところで、個人的には国家と地方など様々に立場の異なる公務員をひとくくりに議論するのもどうかとは思うのですが、、給与のみならず民間ではちょっと考えがたい特権的待遇が近ごろ盛んに報道されるようになったというのも、先の総選挙や大阪市長選を通じてこれらが国民の一大関心事であり選挙の大きな争点にもなり得るということが理解されてきたという事情もあるのでしょう。
そんな中でこれまた非常におもしろい手を打ってきたなと注目されるのが先日以来報道されている市職員の政治活動に対する規制の問題なのですが、まずはこちらの記事をご覧いただきましょう。

橋下市長窮地…「政治活動で罰則」条例 大阪市案は違法 政府答弁書(2012年6月19日産経ニュース)

 政府は19日の閣議で、地方公務員の政治活動を規制する条例で罰則を設けることは地方公務員法に違反するとの答弁書を決定した。大阪市の橋下徹市長は全国で初めて市職員の政治活動を規制する罰則付きの条例案提出を目指しており、政府との見解の相違が浮き彫りとなった。自民党の平井卓也衆院議員の質問主意書に答えた。

 答弁書では、昭和25年に成立した地方公務員法は、政治活動制限に対する違反は懲戒処分による対応で十分との考えから罰則が設けられなかったと指摘。同法をめぐる国会審議で政治活動をあおる行為への罰則を外した経緯も踏まえ、「条例で罰則を設けることは法律に違反し、許容されないと考えられる」とした。

 一方、国家公務員の政治活動には、国家公務員法と人事院規則で3年以下の懲役か100万円以下の罰則を科すことが規定されている。橋下氏は「地方公務員も国家公務員並みに厳しく規制するのは当たり前だ」とし、同様の罰則を盛り込んだ条例案を検討している。

 地方公務員のうち現業職や公営企業職員の政治活動は地方公務員法の対象外となっているが、同市ではそれらの職員も条例の規定に含む方向で総務省に是非などを問い合わせている。

橋下市長、罰則駄目なら懲戒免職 市職員の政治活動規制(2012年6月20日福島民報)

 橋下徹大阪市長は20日、市職員の政治活動に罰則を設ける条例は地方公務員法違反との政府見解を受け、次善の策として7月市議会に提出予定の政治活動規制条例案に懲戒免職規定を盛り込む方針を明らかにした。

 市役所で記者団に「(職員に)違反行為があれば懲戒免職にする。どんどん地方公務員の地位から排除していく」と述べた。条例案への罰則規定盛り込みは、政府見解を踏まえて19日に断念する意向を表明していた。

 市長はこの政府見解が、1950年に成立した地方公務員法の提案理由説明で示した「職員の政治的活動の違反は、懲戒処分で地方公務員の地位から排除すれば足りる」との考え方を引用していることに着目。「わざわざ昭和20年代の理由を持ち出すのは、いかにも官僚らしい。思う存分従わせてもらう」と強調し、逆手にとって利用する意向だ。

橋下市長、政治活動職員は「バンバン懲戒免に」(2012年6月21日読売新聞)

 大阪市が7月議会への提案を目指す、職員の政治活動を禁じる条例案について、橋下徹市長は20日、政治活動を行った職員は原則として懲戒免職とする規定を盛り込むよう関係部局に指示したことを明らかにした。

 重大な処分に直結する規定は、波紋を呼びそうだ。

 市役所で報道陣の取材に答えた。当初は、国家公務員法の規定同様の懲役や罰金といった罰則を検討していたが、政府が19日、「地方公務員法に違反する」との答弁書を閣議決定。答弁書では「(罰則ではなく)地方公務員の地位から排除すれば足りる」との見解が示されていた

 橋下市長はこの点に触れ、「罰則は設けないが、閣議決定に忠実に従って、バンバン懲戒免職にする」と述べ、政府見解を逆手に取って重い処分が可能な規定をつくる考えを示した。

19日に閣議で答弁書が出たことについて、翌20日には速くも関係部局に指示を出したというのですから手早いものですけれども、まさに政府答弁書を逆手に取った形での「罰則は設けないが、閣議決定に忠実に従って、バンバン懲戒免職にする」という切り返しは弁護士ならではと言うところでしょうか。
例によってマスコミは波紋を呼びそうだ云々と言っていますけれども、実際ネット上などではよくやった、橋下は神などと大きな波紋を呼んでいて、「やつらは何をやっても許される」という世間の公務員に対する悪いイメージが定着しているということなのかなと改めて実感するところで、政治活動に限らず公務員の綱紀粛正が一気に進められそうな勢いです。
ちょうど先日は大阪で地下鉄で喫煙をして大騒ぎになった件で市長から直々に指示が出ているにも関わらずまたも同様の事件が再発、激怒した市長の懲戒免職指示にマスコミが噛みついた件がありましたが(結局免職にはならなかったようです)、実はこれだけ同じような喫煙騒ぎが問題になっている中でまたしても地下鉄運転士が運転中に喫煙するという事件が発生しています。
マスコミはタバコ一本で処分とは厳しすぎる!と熱心に援護の論陣を張ってきましたが、元々消防法で地下では指定場所以外禁煙であり、海外においても地下鉄車内で喫煙していた乗客が逮捕されるというくらいですから、ましてや厳重な禁煙厳守の指示のある中で禁煙を守らせるべきスタッフが自ら隠れてタバコを吸うなどあり得ないというのが世間の感覚というものでしょう。
世に言う橋下改革なるものがどのようなところに行き着くのかはまだ判りませんけれども、その独創性ある手法もさることながら、改革が進めば進むほどマスコミの常識と世間の常識との乖離ぶりが明らかになっていくようにも見えるというのも大変に興味深い現象だと思いますね。

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コメント

叩けども叩けども大衆は踊らずマスコミ涙目w

投稿: aaa | 2012年6月23日 (土) 08時45分

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