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2012年6月14日 (木)

取りやすいところから取るのが大原則とは言え

昨今喫煙を取り巻く環境もますます厳しさを増しているようで、世界各地でタバコによる健康被害を訴える民事訴訟が相次いでいますが、今回カナダからちょっと毛色の変わったこんな訴えが出てきたということで注目されますね。

JT系などに4兆円請求 カナダ州政府、医療費負担(2012年6月9日西日本新聞)

 【ニューヨーク共同】カナダメディアによると、同国のケベック州政府は8日、日本たばこ産業(JT)の現地関連企業を含むたばこ会社10社に対し、将来分も含む州の医療費負担600億カナダドル(約4兆6千億円)の支払いを求める訴訟を起こした。カナダでは同種の訴訟が相次いでいるが、ロイター通信はこれまでで最大規模としている。

 同州によると、訴えられたのは日本たばこ産業関連企業のJTIマクドナルドのほか、フィリップモリス・USAなど。

 州は、これらのたばこ会社が消費者に製品の危険や常習性について知らせなかったほか、広告で子供や思春期の若者を巻き込んだと指摘している。

不肖管理人自身は非喫煙者で、出来れば目の前でスパスパやるのは勘弁してほしいと思う程度には嫌煙ですけれども、正直こうやって将来分も含めて政府が請求を起こすというのであれば、タバコ以上に広範な健康被害がありそうなのにさしたる警告も成されておらず、子供も巻き込んで年々被害者が増加する一方の某ファーストフードチェーンや某ソフトドリンクなどを訴えた方が効率的なんじゃないかという気がします。
何しろ被害を受けた個人や集団ではなく州政府が訴えているということの意味は小さくなく、そもそも彼ら自身タバコを違法だと認定するとか有害指定するといったことを行わないで好きに売らせたままで金だけ出せと言うのは、普通に考えて行政側に怠慢があったと言われかねないことではないでしょうか(これを日本では俗に「お前が言うな」と表現します)。
こういう訴訟がありなら自動車にしろ刃物にしろおよそあらゆる産業に対して同様の訴訟を起こすことが可能になってしまう理屈なんですが、どうやら日本人のみならず現地のカナダ人の意見も似たようなものであるらしいことが辛うじて救われます。
こうした訴訟が起こる背景にはそれによって金が取れる以上訴えなければ損であるとでも言うべき心理が働いているのかも知れませんが、4兆円以上に及ぶ医療費負担なるものが妥当なものなのかなど疑問も多々ある中で、司法がどのように判断するのかが非常に注目される話ですね。
しかしどうも昨今この禁煙を巡るリスク評価はいささか過敏と言えるほどのものになっているようにも感じるのですが、先日はこういう記事も出ていて、どうやらこうした傾向を助長するのに日本人も一役買っているらしいのですね。

「受動喫煙=悪」の拡散は慰安婦問題の嘘と同じ構図との指摘(2012年6月7日NEWSポストセブン)

 厚生労働省は、今国会で「労働安全衛生法改正案」の成立を目指している。これは職場の受動喫煙防止を目的に全面禁煙または空間分煙を迫るものだ(現在修正案を検討中)。

 これによって「分煙」はこれまでのマナーの領域から義務へと大きく変わる恐れがある。本格的に「規制・撲滅」に動き始めた国の動きをどう見るか。現代史家・秦郁彦氏が、「たばこと健康被害」の観点から論じる。

 * * *
 そもそも「非喫煙者でも副流煙によって被害を受ける」という論理を盾に受動喫煙というリスクを広めたのはWHO(世界保健機関)である。

 実は、世界で初めて受動喫煙という概念を打ち出したのは日本人である。故・平山雄が提唱した「平山論文」がその端緒であり、その後の一連のたばこ規制の理論的支柱となってきた。

 平山は満州医科大学を卒業後、旧厚生省国立公衆衛生院技官やWHO勤務を経て、1965年から国立がんセンター研究所疫学部長を務めた。そこで保健所のネットワークを利用して26万人余を対象とする「人とがん」に関する大規模な追跡調査を実施。その結果、「喫煙者の夫と非喫煙者の妻の組み合わせで妻の肺がん死が少なくないのは、副流煙の吸入による受動喫煙に起因する」といった着想を得た。

 そして1981年、なぜか日本ではなく、イギリスの医学情報誌『British Medical Journal(BMJ)』で論文を発表わずか3ページの学術論文とは言い難い投稿文だったが、反響は大きかった。

 簡単に要点を記しておくと、9万人余いる非喫煙者妻のうち肺がん死した人数は、夫が非喫煙者の場合は32人、喫煙者の場合は142人。人口比で見ると、前者は0.15%、後者は0.20%と僅差に映るが、平山式の計算では相対リスクは1.61倍(夫が1日20本以上吸う場合は2.08倍)の有意差を示すという。

 だが、BMJにはその年だけで平山論文に対するコメントが12本掲載されているが、ほとんどは疑問か異議の部類だった。その後も批判が相次ぎ、ついには1984年、7人の専門家がウイーンに集まり、「受動喫煙に関する国際円卓会議」まで開催された。

 その議事録を通読すると、孤軍奮闘する平山を吊るし上げる会かと思えなくもない。平山はその経歴からも明らかなように、医学博士とはいえ臨床経験がないこともあってしどろもどろな対応に終始するなか、平山のデータと結論が正しいとしても有意差は認められないと判定される。

 最後に座長が「平山理論は科学的証拠に欠ける仮説にとどまる」と締めくくると、平山は「たばこを廃絶したら、こんな論争は不要になる……私は政府とWHOへ働きかけたい」と開き直るしかなかった。

 ところが、その予告通り、平山は医学的なアプローチをなかば諦めたかのように、政治工作と嫌煙運動へとのめり込んでいく

 これに米国の公衆衛生局と反たばこキャンペーンに乗り出していたWHOが飛びつき、「受動喫煙=悪」という図式は再び息を吹き返していった。

 その波に乗って平山理論は日本に逆輸入され、国内の嫌煙家たちの間で持て囃されることになる。

 平山自身、『禁煙ジャーナル』誌を主宰する運動家として全国を飛び回り、「日本専売公社(現JT)はたばこ病専売公社と改名せよ」とか「受動喫煙を“緩慢なる他殺”と呼びたい」などと過激度を増していく

 ついには、勢い余って「肺がんばかりではない。ほとんどのがんはたばこが原因」と叫びながら、1995年にがんで亡くなったとされる。

 以上、見てきたように、受動喫煙説の口火を切った平山理論は、専門家が集う国際会議の場で「科学的根拠に欠ける仮説」と結論付けられたものにすぎない。その真偽も満足に検証されないまま、「疑わしきは罰す」というたばこ制圧が大手を振っているのだ。

 私はかつて、「韓国で慰安婦狩りをやった」などと証言した元軍人・吉田清治のウソを現地調査で暴いたが、自らの主張を通すためにいい加減な情報を政治的に利用して世論を動かしたという点で、平山と吉田は同じ役割を果たしたと言えるだろう。

まあしかし、このNEWSポストセブンの記事で語っている秦郁彦氏も素人丸出しというのでしょうか、平山氏以上に突っ込みどころが多々あるという点はどうなのかとも思いますが(苦笑)、ともかく毀誉褒貶の激しい人物であったらしいことは記事からも伺えますね。
各方面で色々と言われることの多いこの平山氏の論文自体に当たることが出来なかったので内容の妥当性に関しては何とも言いがたいんですが、統計的な部分に関する評価はともかくとして受動喫煙という概念を世に知らしめたという点で平山氏の功績は社会的にも相応に認められています。
別にタバコの煙が無害で安全とされているわけでなく、統計的にも経験的にも様々な有害作用を持っていることは多くの臨床家のコンセンサスとなっていますし、有害無害に関係なく臭い煙を人に向けて吹きかけるのは勘弁してもらいたいところですけれども、損害賠償まで求めるということになればそれがどの程度有害なのかという定量的な評価をきちんとする必要があるだろうと言うことです。
何であれ適切なリスク評価とそれに応じた応分の対応ということを考えないことには、ひと頃のこんにゃくゼリー騒動のようにもちなどずっと危険性の高いものを放置してこんにゃくゼリーだけ大騒ぎするのは何故?と疑問符をつけられることになってしまいますが、JTやフィリップモリスなどいかにもお金を持っていそうな大企業ばかりだからこの程度端金だろう、なんて考えで訴えているのでないことを願いたいですね。

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コメント

いくら金を取られたって消費者にまるまる転嫁するだけだから無問題w

投稿: aaa | 2012年6月14日 (木) 08時49分

>いくら金を取られたって消費者にまるまる転嫁するだけだから無問題w
ああ、なるほどね。
たばこ税の増税と同じなわけですな。
ケベック住民以外の喫煙者がいい面の皮。

ちなみに私、非喫煙者で大酒家だけど、たばこ税もアルコール税も もっと高くしていいと考えています。

投稿: JSJ | 2012年6月14日 (木) 09時40分

東電しかり、独占的企業はそれがあるからあまり懐は痛まないかと
健康被害防止のために酒タバコは高くていいんだと言われればその通りなんだが、しかしこのやり方は際限なく対象を拡張できそうなのが少し気にはなる

投稿: kan | 2012年6月14日 (木) 10時13分

彼らが最初共産主義者を攻撃したとき

ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。
ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。
ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。
ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した―しかし、それは遅すぎた。

(ルター派牧師であり反ナチス行動で知られるマルティン・ニーメラーによる詩)

投稿: | 2012年6月14日 (木) 10時41分

ご指摘のように各社にとっては実はさほどの痛手ではないという考え方もあります。
ただやはり合法的なものであるとして販売は認めておいて、国民の間に消費が定着したのを見計らって有害なものだからと政府が高いお金を取っていくというやり方が釈然としません。
むしろそれだけ有害なものの販売を認めてきた政府に対する逆提訴もありなんじゃないかなと思ってます。

投稿: 管理人nobu | 2012年6月14日 (木) 11時04分

カナダの州の自治権とかタバコについての権限とか、調べてみました。
見つけた資料はちょっと古いですが
http://www.techdsn.com/Tobinfo/Tob%20Canada.pdf
http://www.mof.go.jp/pri/research/conference/zk058/zk058g.pdf

州政府は、連邦政府とは別にタバコ税を徴収しており、税率も独自に決めている。
州政府がタバコを禁止することができるかどうかは不明。ただ、
カナダの「憲法上列記された連邦の権限としては、外交、商業の規制、(以下略)
他方、州の権限には、医 療、教育、老齢年金と失業保険を除く社会福祉全般、私有財産に関する法律、交通、 警察、裁判所の維持、短期服役者刑務所、環境保護、地方行政などが列挙されてい る。」
ということからすると、州にはタバコを禁ずる権限はないのではないかと思われます。

また、カナダではタバコ税の税率を上げた結果、密輸が横行したため1994年に税率を下げた、という歴史があるそうで、
確かに「禁煙法」を施行してもギャングの資金源になるだけかもしれません。
となると、消費者が非合法手段に走らない程度に締めつけていく、というのが現実的な政策なのでしょう。

投稿: JSJ | 2012年6月15日 (金) 13時49分

分煙が徹底されていれば正直そこまで手間暇かけて対策するほどのものか?という気もするのですが。
悪いことを悪いことと認識した上でそれでもやっている個人については自分の健康で代価をどうぞというのは他の多くの行為と同じですし、むしろ暴走や麻薬などと比べれば周囲の被害は少ないわけで。
この場合財政上の悪影響が無視出来ないということでしょうが、タバコよりもファーストフード等の脂質制限の方がよほど有効そうですのにそちらは華麗にスルーというのも釈然としませんし。

しかし税金を高くすると密輸に逃げるから原価引き上げを狙うにしても安いタバコが流入するだけの気もするんですが、タバコ飲みは高くなっても愛用のブランドに操を立てるものなんでしょうかね?

投稿: 管理人nobu | 2012年6月15日 (金) 14時56分

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