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2012年6月 4日 (月)

厚労省、金曜日に健康寿命延長論を唱える

先日は現行制度の存続を前提に小幅な手直しに留めるという政府の改正法案が明らかになった後期高齢者医療制度ですが、当然ながらこの制度の廃止を公約に掲げてきた民主党政権としては公約違反とのそしりは免れません。
結局は自民党などからも指摘を受け野田総理は法案提出を断念する方針を固めたと言いますが、これに対して今度は民主党の側から現行制度を完全に廃止するという公約に従った法案を政府に提出するということで、何やら高齢者医療を巡る環境は未だその行方定まらずという状況のようです。
そんな中で先日厚労省がこんなことを言い出したというのですが、まずは記事から紹介してみましょう。

健康寿命は男性70・42歳、女性73・62歳 厚労省算出 平均寿命との差縮小目指す 社会保障負担軽減に期待(2012年6月1日産経ニュース)

 厚生労働省は1日、平成25年度から始まる次期健康づくり計画について検討する厚生科学審議会の部会で、介護を受けたり寝たきりになったりせず、制限なく健康な日常生活を送ることが可能な期間を示す「健康寿命」が、22年で男性が70・42歳、女性が73・62歳だったとする算出結果を提示した。次期健康づくり計画に、平均寿命の伸び幅を健康寿命の伸び幅が上回るとする目標などを盛り込む方針を示した。

 少子高齢化が進む中、時期健康づくり計画では、健康な状態で長生きするための社会環境づくりを目指している。厚労省が健康寿命を算出したのは初めて。計画は今月中旬にも正式決定される見通し。

 厚労省は22年の平均寿命を男性が79・64歳、女性が86・39歳と推計しており、健康寿命との差は男性で9・22年、女性で12・77年あった。平均寿命と健康寿命との差は日常生活に制限がある「不健康な期間」で、この差が拡大すれば医療費や介護給付費の多くを消費する期間が増大する

 次期健康づくり計画案では、平均寿命の増加分を健康寿命が上回ることでこの差を縮小し、高齢者の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待するとしている。

 健康寿命を都道府県別でみると、男性で最も長いのは愛知の71・74歳。最短は青森の68・95歳だった。女性は静岡の75・32歳が最も長く、最短は滋賀の72・37歳だった。最長と最短の差は、男性で2・79年、女性で2・95年あり、計画では、こうした都道府県格差の縮小も目標とする。

 このほか、計画にはがんや脳卒中、心臓病など生活習慣病の死亡率の低減に向けた数値目標や、成人の喫煙率を22年の19・5%から、34年度までに12%に下げることも盛り込む。

一見するとなるほど、長生きはしても不健康であっては意味がないというもっともな話なのですが、先日も公的年金の支給開始年齢を遅らせるという話が出てきたご時世にあって、この話も何らかの財政的な意図が込められているだろうことは想像に難くありません。
最も直接的な影響を受けるのは介護領域ですが、仮に厚労省の言う通り平均寿命の伸び幅を健康寿命の伸び幅が上回るという目標が達成されるとすれば介護保険からの給付も少なくて済むと考えられますから、当然ながら公的に投じるべきコストも減少する理屈ですよね。
それでも介護に関して言えば誰しも望んでご厄介になりたいわけではないでしょうから、予防事業など何らかの対策によって介護無しで元気に過ごされるというのであればウェルカムであると言う方もいらっしゃるかも知れませんが、そもそも人間が何故介護を要するようになるかと考えれば単に老化のみに留まらず、何らかの疾患によってというケースが大部分であるわけです。

すでに特定健診(俗に言うメタボ検診)と言われるものが各企業に義務づけられ、この受診率や健康指導実施率、目標到達度といった指標によってペナルティを課されるという「アメとムチ」が振るわれていることは周知の通りですが、この結果大手企業などを中心に健診で引っかかる人材はそもそも雇用しない、あるいは名目上子会社に出向させるといったことも起こっているようです。
もちろん今どき目標は○○です、みんな頑張りましょうで世の中が動くはずもありませんから、適切なインセンティブによって誘導するということが必要なことは理解出来ますが、それではこの場合何をインセンティブにしていくのかという事に注目しないではいられませんよね。
例えばメタボ検診で引っかかるような人々は当然ながら脳卒中等で要介護となるリスクが高い層だと思われますし、実際毎年のデータの蓄積もあるわけですから予防事業につなげやすいということで今まで以上に厳しい指導を求められるだとか、場合によっては医療・介護の給付の多寡によって保険者に何かしらのペナルティが課されるということもあり得るのでしょうか。

一方で際限なく増え続ける医療費への危機感もあって、高齢者医療の見直しの機運が高まっていることは今さらですけれども、以前から言われている超党派議員連による尊厳死法案にしても装着した人工呼吸器の取り外しなど積極的な延命処置の中止にまでも踏み込んだものに修正した上で近々提出されるという話も出ています。
無論、この尊厳死問題は末期における人らしい看取り方という観点から始まった議論ではありますけれども、賛否両論で長年にわたって議論が続けられてくる間に世の中の方では後期高齢者医療制度の是非しかり、末期高齢患者への延命処置の是非しかりと、高齢者への医療給付の問題がかつてないほど注目されるようになってきたという現実もまたあるわけです。
医療の側にしても患者家族の側にしても薄々「何かがおかしいのでは?」と感じていたのは確かですが、何しろ医療費のうち多くの部分を終末期医療が占めているなどと賑やか敷く言われている時代にあって、このところ尊厳死法案と言うものがにわかに実現へ向けて動き出したように見えるのも故あることなのでしょうか。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

社会保障費の圧縮は国としても望むところでしょうけど、安楽死認めたくらいでそんなに出費が抑えられますか?
もっと全体に投網をかけるようなことを狙ってるのでは?

投稿: 柊 | 2012年6月 4日 (月) 09時47分

これが一番説得力ある反対意見だろ

寝たきり老親が尊厳死→年金切れてニートの俺が無惨な死→尊厳死法案絶対反対!

投稿: | 2012年6月 4日 (月) 10時09分

尊厳死法案通すなら身寄りのないご老人にも延命処置中止が出来るような制度にしてほしいですね。
本人も含めて誰も意志表示できなくて対処に困るってケースもあるので。

投稿: ぽん太 | 2012年6月 4日 (月) 10時30分

>本人も含めて誰も意志表示できなくて対処に困るってケースもあるので。

クレームをつける人もいないってことだからそういう時は何もしないでいいんじゃ?

投稿: たけちゃん | 2012年6月 4日 (月) 12時39分

なかなかそれも難しい場合が多いでしょう。>何もしない
前医が目一杯やってた人を引き受けたりすると特に。

投稿: 管理人nobu | 2012年6月 4日 (月) 13時08分

健康で体力もあったご老人ほど寝たきりになっても長生きすることだろう
結局問題を先送りにしているだけで社会保障費の抑制にはならないと思うんだが
厚労省も馬鹿ではないから本当の狙いは他にあるんだろうな

投稿: kan | 2012年6月 4日 (月) 16時55分

かなり慎重に考えないといけない問題でしょうが、
我々は考え続けないといけないことですね。

投稿: ビジネスと心理の★吉田ケイ | 2012年6月 5日 (火) 04時01分

メタボ健診と違って高齢者は雇用主に圧力かけるわけにもいきませんから、どうやってインセンティブ用意してくるかが気にはなってます。
頑張った人は保険料割引なんてことになると面白そうなんですがね。

投稿: 管理人nobu | 2012年6月 5日 (火) 13時18分

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