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2012年6月 1日 (金)

神奈川県医師会、今どきコピペ荒らしに手を染める

本日の前振りとして、今春にあった日医会長選の結果を受けて日医新執行部が決まったということで先日新役員のお披露目があったのだそうですが、政治との距離感を見失った結果でしょうか、出発からして順風満帆とは到底言えない様子ですね。

日本医師会役員就任披露パーティー(2012年5月25日産経ニュース)
“民主離れ”も印象づける

 全医師の約6割、約16万6千人の会員を抱える日本医師会。この日は新執行部の船出を祝う披露パーティーとあって、有力国会議員ら総勢約860人が集まった。4月の会長選では民主党支持の現職が落選し、自民党ともパイプを持つ横倉義武副会長(67)が新会長(第19代、任期2年)に選ばれ、業界団体の“民主離れ”も印象づけた

 そのせいか、あいさつに立った来賓の民主党幹部からは困惑の心中が見え隠れした。仙谷由人政調会長代行は「(新執行部は)少々手ごわい。お叱りを受けないかと内心ドキドキしている」と神妙な様子。樽床伸二幹事長代行も「厳しく優しくしていただきたい」と低姿勢だった。

 会場を沸かせたのは、激励に駆け付けた前会長の原中勝征氏(72)だ。

 「民主党はガタガタしていますけど、もともといろんな人の集まりですから」とチクリ。「4月前までは私と一緒に仕事をしていただいたのですが…」と皮肉交じりに語り、笑いを誘っていた。

 横倉会長はあいさつで「わが国の医療制度は世界各国から高く評価されている。日本の中にいると“空気”や“水”と同じように当たり前で気づかないが、もし崩れるようなことがあれば大変だ」と訴えた。

 最重要課題には「地域医療の再生」を挙げ、医師不足の解消などに全力で取り組む考えを強調した。一方で「政府の方々はいま一生懸命に苦労されながら、かじ取りを頑張っている」と配慮もみせていた。

 会場の医師会関係者からは「政治が混沌(こんとん)としており、政局ばかり」という不満の声も聞かれた。横倉新執行部は親民主路線からの“軌道修正”をどう進めていくのか。「国民とともに歩む医師会」への改革に期待が集まっている。(中山忠夫)

日医ニュースの方では相変わらずいい事しか書いていませんけれども、しかし立派な会場で政治家諸氏とパーティーに励む日医のセンセイ方と、日医などには目も暮れず臨床の第一線で日夜汗にまみれて働く医師達と、どちらが国民とともに歩んでいるのかは興味深いテーマかも知れませんね。
もともと負けた原中前会長にしても民主党とのパイプが強いと言っても小沢氏との個人的つながりという側面が強かったわけですから、その小沢氏の立場が微妙なものとなっている現在の民主党に対して蜜月の関係を続けられるということはいずれにしてもなかったでしょう。
各党有力者がこれだけ来るということは業界圧力団体としての日医の存在感も未だ一定は残っているということでしょうが、一方で次回総選挙後を睨むなら昨今ともすれば既成政党以上の存在感を発揮している維新など地域政党に対して手当はしないでいいのか?と他人事ながら気にはなりますね。

さて脱線はそれくらいにして、医師会が国民と共に歩む覚悟なのは結構ですが現場医師と共に歩むということをしないのでは業界団体を名乗る資格はないというものですが、その医師会が以前から主張しているのが医学部新設反対ということで、これに関して神奈川県と同県内の各医師会とでちょっとした対立軸が出来上がっているようです。
ただ反対するのは反対するでいいのですが、どうも見ていますとあまりにそのやり方が子供じみているというのでしょうか、こういうことをやっているから世間からも「また医師会か」と呆れられるという自覚は持っておくべきではないですかね。

県が医療のグランドデザイン策定、医学部新設検討へ/神奈川(2012年5月30日カナロコ)

 県は29日、医療施策推進の根本理念となる「医療のグランドデザイン」を策定した。焦点だった医学部新設については、新設を志向する方向性を正式に盛り込んだ。県医師会は新設に反対しているが、黒岩祐治知事は定例会見で「私が政治的に判断した」と述べた。

 また知事は、パブリックコメントで新設反対が圧倒的だったことを明らかにした上で「大変な違和感を持っている。何かあったのではと思わざるを得ない」と言及。組織的に提出された可能性を示唆して不快感を示した。

 医学部新設は外部検討会が医師不足対策の観点から検討したが、結論は出なかった。最終報告を受けて県は「新設」に踏み込んだ案を提示。最終的に医師不足対策ではなく、総合特区を活用した取り組みという観点に位置づけを変更した。

 知事は「医師会が最も抵抗しないカード。配慮した思いが伝われば理解は得られると思う」と述べた。新設の是非をめぐっては外部検討会から医師会委員が一時脱会した経緯がある。

 パブリックコメントは今月17日まで募集。県医療課によると寄せられた意見634件のうち446件が医学部新設に関するもので、内訳は賛成15、反対424、その他7。知事はファクスで届いた意見のうち3パターンが同じ様式だったことを明らかにし、「正しく制度が活用されたことを祈るばかりだ」と述べた。

 県のパブリックコメントは「かながわ県民意見反映手続要綱」で規定。県民課によると、広く意見を募集する趣旨から組織的な提出は想定していないが、禁止もしていない。

知事、医師会に「大変な違和感」…医学部新設で/神奈川(2012年5月31日読売新聞)

 国の特区制度を活用した医学部の新設などを柱とする神奈川県の「医療のグランドデザイン」をめぐり、県が意見を公募した「パブリックコメント」に対し、医師会側が反対意見の提出を会員に文書で求めていたことが29日、わかった。

 黒岩知事は反対意見が大半を占めた結果に「あまりにも偏り過ぎで、大変な違和感を持っている」と反発しており、知事と医師会の関係に影響を及ぼしそうだ。

 川崎市医師会が今月14日付でメールなどで会員に配布した文書は、高橋章会長名で「パブリックコメントは多くの反対論が寄せられることに意義があり、反対は少数だったとなれば、民意は医学部新設に賛成とされてしまう」と指摘。「会員の先生はもとより、家族・職員からも多くの反対意見を投稿して頂く事を切に願います」と呼びかけていた。

 文書には、医学部新設に対し、「公費投入が必要だが、県民の十分な納得が得られるか疑問」「地域の医療機関の医師不足を加速させ、地域医療の崩壊を招く恐れがあり、撤回すべきだ」――などとする反対意見の記載例10種類と、県担当課にファクスで意見を送るためのひな型やファクス番号も付けられていた

 「横浜市医師会も5月11日付で協力依頼をしており、県医師会からも郡市医師会長宛てに提出を促す依頼が届いた」と医師会が全県的に動いていることを示唆する記述もあった。

 県によると、17日で募集が締め切られた意見の総数は634件で、医学部新設に関する意見446件のうち、反対は424件、賛成は15件、その他7件だった。

 これに対し、知事は29日の定例記者会見で「反対意見のうち、同じ様式のものが3パターン、計196件あった。幅広く県民の意見を聞く中で、非常な違和感を覚える」と批判。「医師会」との名指しは避けたが、「何かあったんじゃないかなと思わざるを得ない」と述べた。

 文書について、川崎市医師会は「会員全員にメールやファクスで送った。内容については会長が不在でコメントできない」とし、県医師会は「知事の記者会見の内容を把握しておらず、現時点ではコメントできない」としている。

裏に何かあるのかと思っていたらやはり何かあったのだということなのですが、この黒岩知事の医学部新設構想に関しては先日も少しばかり取り上げたところで、医師不足対策と言えば反対が大きいということに配慮したと言えば聞こえはいいですが先に新設ありきと言うのでしょうか、新たな医学部を核にして国際的な人材を養成する拠点にする等々と、ちょっと今の時代にもう少し地に足がついた構想を出してはどうかと思われるようなことを言っていたわけですね。
医学部新設に関しては未だに賛否両論ありますが、総数としての医師不足対策というのであればすでに大幅な定員増を行い国試合格者数が急増していることによって多数を新設したのと同等以上の効果が得られていると言われる中で、敢えて新設を行うとすれば各都道府県における医師偏在の是正、もっと露骨に言えば自前で育てた医師を自前で囲い込むという点に意味があると言えそうです。
それもこのところの県内勤務を義務化する地域枠の不人気ぶりを見るとあまり大きな効果はなさそうだと考えておくのが妥当ですから、作るとしても人口と医学部定員のミスマッチが極端に大きい都道府県に限って最低限の数だけを検討するべきであって、少なくとも黒岩知事の夢見がちな構想のために神奈川に新設すると言うのでは客観的にも説得力が乏しかったんじゃないかとは感じられる話です。
これに対してコピペで反対意見を出した医師会側にしてもあまりに大人げないというものですが、しかし反対400件余りのうちあからさまなコピペが200弱とすれば半数はそうではなかったとも取れる話で、いずれにしてもわずか15件しかなかったという賛成意見に対して非常に多くの反対意見があったと言うのはまずまず妥当な結果なんじゃないかと思いますね。

そもそも近年医師不足ということが盛んに言われるようになった背景には長年日医と政府とが協調して医師数抑制路線を推し進めてきたせいじゃないかという声は根強くあり、その背後には医師一人あたりの売上額がおおむね一定であるなら医師が増えるほど医療費が増大する、ならば医師数を抑制することが医療費を抑制する道だという国側の考え方があったわけです。
これに対して当時はいまだ圧力団体として機能していた日医の側も「商売敵が増えすぎると困る」という支持母体の開業医の声に配慮して同調してきた結果、救急医療や高度医療など最も人の命に関わる基幹病院勤務医などが困るほどに減ってしまったという経緯があることから、未だにこの医師不足問題に関しては「他ならぬ日医が余計な口を出すな」という人もいますよね。
ただ考えようによってはこの勤務医不足ということも悪いことばかりではなく、小松先生の「立ち去り型サポタージュ」なんて言葉が人口に膾炙した結果勤務医を中心とした馬鹿馬鹿しい労働環境がようやく改善すべき対象として認知されるようになった、そして何も知らぬまま奴隷労働が当たり前と思っていた当の医師自体も「あれ?俺達の職場って何かおかしいんじゃね?」と自意識に目覚めたという効能もあったことは否定出来ません。
様々な思惑から医学部新設に反対する医師会にしても、またこれまた様々な思惑から医学部新設を求める自治体にしてもそれぞれに根拠となるデータがあっての話だと思いますが、近年のこうした状況の変化を織り込んだ上で考えていかないことには需給予測も形ばかりで実態を反映するものにはならず、それを元に新設の是非を云々するのも空しいというものですよね。

例えば厚生「労働」省が医師受給の基礎的試算として出して来たいわゆる長谷川データからして「医師の労働時間を週48時間以内にするためには」などと所轄官庁のくせに労基法無視で働かせる気満々のもので、まずはこうしたところに見え隠れする医師は働けるだけ働いて当然、80歳だろうが90歳だろうが医師免許を返納しない限りは生涯医師であるというおかしな慣行を改めることが大前提ではないでしょうか。
ゆとり云々は抜きにしても昨今の新卒医師はやたら労働者の権利ばかりを主張して黙って働かないという声もありますが、考えて見れば労働者としては自らの権利を守ることはごく当たり前のことであって、そういう当たり前を考慮に入れないまま組み上げられてきた勤務体系を改める好機であるとも言えるでしょう。
無論近ごろ話題の団塊世代の高齢化問題しかり、これと絡めて高齢者医療の給付水準をどうするかといった議論も医療需要に大きく関わってきますし、人口分布が大きく変動している中で人が減っている地域から人が増えている地域へと医療資源の再配置も考慮しなければならないと、ともかく医療受給予測の基礎となる各種指標自体が大きく変動している事実と、正しい方向に労働環境を改めていくことを前提として議論しないことには話になりません。
その意味では最も多忙な現場から総スカンを食らっている日医という組織が将来の医師数を議論する場に関わるというのも根本的違和感が拭えませんが、例えば先日第一回の授賞式があった日医主催の日本医療小説大賞なども使いようによっては日医の考える医療像を明示する格好の道具になりそうで、よくぞ選んだと現場から拍手喝采されるような弾けた選考が出来れば日医も変わったと認められるかも知れませんけどね。

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コメント

民主はデタラメで自民はすっかり首狩り族気取り
特定政党に肩入れしたっていいことないってのw

投稿: aaa | 2012年6月 1日 (金) 10時23分

こういう露骨なやり方って反対運動としてもちょっとセンスがないような。
すこしはひねればよさそうなものなのに動員された会員さんたちもやる気がなかったんでしょうか?

投稿: ぽん太 | 2012年6月 1日 (金) 10時54分

医療小説大賞のことですが、

・小説に限定しないで書籍や映像、新聞雑誌記事など様々なジャンルを対象にする
・正しい医療への理解促進だけでなく医療を誤解させたものに対する逆表彰(吊し上げとも言う)も行う

これくらいやったら話題になりそうに思いますが。

投稿: 元僻地勤務医 | 2012年6月 1日 (金) 11時15分

某毎○新聞を協賛につけて「医療に対して多大な悪影響を与えたことを顕彰する」青○絵○特別賞とか…

投稿: 管理人nobu | 2012年6月 1日 (金) 12時27分

>青○絵○特別賞

それ協賛したら毎日とってもいいかも

投稿: 轍 | 2012年6月 1日 (金) 14時03分

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