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2012年5月30日 (水)

何となく不安という気持ちも理解出来るだけに

近年では消費者も産地偽装ということにかなり神経質になってきていますが、お金を出して命の糧を手にする以上はそれがどんなものであるかを知っておきたいという心情は自然なものではないかとも思います。
そんな中で先日大阪でこんな産地偽装のニュースが出てきましたが、恐らく表に出ないだけで同様のケースは他にも多数あるんだろうなと想像されるケースではありますね。

牛肉産地偽装、元店長を逮捕…福島産など/大阪(2012年5月28日読売新聞)

 福島県産の牛肉の産地を鹿児島県産に偽装して販売したなどとして、大阪府警生活環境課などは28日、大阪市此花区の精肉店「福田屋此花店」(閉店)の元店長・沓掛博司容疑者(62)を不正競争防止法違反(原産地偽装)の疑いで逮捕した。府警は、東京電力福島第一原発事故の風評被害で売れ行きが落ちたためとみている。容疑を認めているという。

 同店は兵庫県伊丹市内の食肉販売会社が経営。発表では、沓掛容疑者は同区内のスーパーにある同店で1月、福島県産の牛肉を鹿児島県産と偽装表示して販売したなどの疑い。

 沓掛容疑者は府警の任意聴取に「福島県産では売りにくかった。偽装は単独で行った」と話していた。

 農林水産省によると、昨年7月、牛肉や餌の稲わらが放射性セシウムに汚染された問題が発覚し、福島県産の牛肉価格は3分の1にまで落ち込んだ。同店は同8月まで同県産などを「国産」と表示していたが、スーパー側から都道府県別の表示を求められたという。

 今年4月、同省近畿農政局の調査で、同店が昨年9月から今年2月まで福島や宮城県産を含む計約1・4トンの牛肉の産地を偽って販売していたことが判明。府警が同社など関連先を捜索していた。

 今回スーパーでの小売値がどうなっていたのかは判りませんが、3分の1とは言わずとも品質に対して格安価格であることをアピールして売るというのであれば消費者も自らリスクと利益を判断して選ぶことができるでしょうし、それでもあまり売れそうにないというのであれば最初から多くを仕入れないというのも当たり前の経営判断だったはずですね。
仮に格安で仕入れたものを産地を曖昧にすることで通常価格で売っていたというのであれば商道徳上もどうかという話なんですが、スーパー側でもわざわざ産地を明らかにするよう求めたというのは今回逮捕されたこととも併せて、もともと何らかの疑惑があったということなのでしょうか。
ここでは福島産食品の安全性について議論することが目的ではない以上あまり深入りしないでおきますが、世間的に福島産食品の人気が低迷しているという事実があることは受け入れなければならないでしょうし、需要と供給の兼ね合いで価格が決まってくるということは現代社会における流通の大原則ではあると思います。
世間であまり多くの需要がない中で生産力は回復しているとなれば供給過多から値崩れしてくるのは当然の理屈ですが、そのだぶつき値崩れしたものを仕入れ産地を偽って販売するとして福島が関わると通常の場合以上に余計な詮索を招いてしまうのは現状では仕方がないところなのでしょうか。

橋本商事がコメ産地偽装販売/長野(2012年5月23日中日新聞)

 駒ケ根市下市場のコメ卸売会社「橋本商事」が、福島、青森県産のコメを長野県産と偽って販売した疑いが強まったとして二十二日、県警生活環境課と駒ケ根署が不正競争防止法違反容疑で会社などの家宅捜索に乗り出した。県農政部も米トレーサビリティー法に基づいて文書で会社を改善指導したことを発表。県警などは、会社などから押収した関係資料を基に実態の解明を進める。

 橋本商事には午前九時前、駒ケ根署などの捜査員が到着。四十人態勢で事務所や隣接する倉庫兼精米所、社長宅などを午後一時まで捜索した。生活環境課によると、伝票や会計帳簿、福島県産と表示された米袋など百七十点を押収した。

 県農政部によると、二月八日に橋本商事を名指しして「長野県産米に東北産米を混ぜて売っている」との匿名の情報があり、同部は二月から三月末にかけて五回、立ち入り検査をした。会社側は「店頭に出ないと聞いたので安易に考えてしまった」とも説明し、偽装表示を認めたという。

 米トレーサビリティー法は二〇一〇年十月に施行され、県農政部は包装や伝票で正しい表示がされているかといった事前通告なしの立ち入り検査をしている。農林水産省によると、同法施行後、都道府県による改善指導は三例目で、産地の偽装表示の改善指導を公表するのは初のケースになった。

 駒ケ根市内のコメ販売業者からは「消費者の信頼を崩す行為で、許されない」と憤る声が聞かれ、市内の主婦(74)も「県内産というラベルだけが頼り。何も信じられなくなった」と厳しい表情を浮かべた。

 JA県中央会の担当者は「県産米の消費拡大に力を入れてきたので残念だ。農産物に対して国民の信頼を得られない事態に陥るのが一番心配」と語った。

 橋本商事の橋本英雄社長は二十二日、「消費者や取引先の皆さんを裏切る行為で、申し訳ない」と謝罪した。県警などの家宅捜索終了後、会社の事務所前で報道陣の取材に述べた。

 橋本社長などによると、今年一月に大阪府内の景品販売業者から長野県産あきたこまちの精米二十五トンを受注したが、さらに二十五トンの追加注文があり、十分な量を用意できない状態になった

 橋本社長は、既に長野県産米と表示した袋を用意していたことなどを挙げ「たまたま福島、青森県産が手に入ったので、魔が差してしまった」などとし、福島県産米などを意図的に偽るつもりはなかったと説明した。

 過去の偽装表示の有無を報道陣から問われると「今までは一切していない」とも語った。

コメ産地偽装の疑い 、駒ケ根の社長「風評被害避ける目的ない」/長野(2012年5月23日信濃毎日新聞)

 福島県産と青森県産を含むコメを「長野県産」と表示して販売したとして、不正競争防止法違反(原産地を誤認させる行為)の疑いで駒ケ根市下市場の米穀集荷販売「橋本商事」が22日、県警生活環境課と駒ケ根署の家宅捜索を受けた。橋本英雄社長は同日の家宅捜索後、取材に「放射能の影響で東北産の印象が悪いといった理由で長野県産にしたわけではない」とし、東京電力福島第1原発事故による風評被害を避ける目的はなかったと強調した。

 橋本社長は、長野県産あきたこまちの大口の注文が入ったが、「対応できる範囲を超え、他のものに手を出した。用意していた袋に『長野』と入っていたこともあり、魔が差した」と説明。入手できたあきたこまちが、たまたま福島県産や青森県産だったとし、「今回指導を受けた範囲でしか産地は偽っていない」と述べた。

 県農政部などの調べに対し、同社は当初5キロ入り5千袋(25トン)だった注文が約2倍に増え、長野県産あきたこまちの調達が難しくなったため、他県産を使ったと説明している。

これまたなぜばれたのかと言えば匿名の情報提供があったというくらいですから問題視している人が以前からいたということなのでしょうが、社長の言うことを信用するだけでも追加注文が入れば産地偽装をしてでも売るという姿勢であったわけですから、恐らく過去にも類似の行為があったのかと疑われても仕方が無さそうですね。
東北全般に関しては復興支援ムードもあってある程度消費の状況が安定してきた気配がある中で、福島産に関しては未だに需要の冷え込みが続いていますが、この際放射能汚染がどうといった詳細は抜きにしても需給バランス崩壊という偽装に走りやすい状況があるわけですから、抜本的な対策を講じなければいくら取り締まりを強化してもますます巧妙に産地偽装が繰り返されるだけだと思います。
その点で先年の宮崎の口蹄疫騒動では国が発生地周辺の家畜や加工品を全て買い上げたというのは非常によい判断だったと思いますが、結局売りたいが売れないという生産者と安く仕入れて高く売りたいという業者との間で闇の流通経路が成立するわけですから、こちらに流すよりも公的なルートに流した方が得だと思えるような条件を用意してでも需給バランスを是正していくしかないんじゃないですか。
リスク等全てを承知した上で福島産を望む消費者も一定数いるはずですから(実際割安感が受けて福島産米の業務用出荷は増えているようです)正規の販売ルートも確保しておく、そして過剰な生産分は公的に引き取ると言う筋道をつければ無用な混乱も避けられるでしょうし、下手な小手先の対策を繰り返すよりも結局は安上がりにもなるかも知れません。

無論そういうことに公費を投じるのはおかしいじゃないかと言う意見は出るはずですが、福島産を忌避する消費者にしてもその程度のコストは自らの心の平安のために負担することは許容できるという人も少なからずいるでしょうし、国が動かなくともある種の市民運動という形で出資者を募って流通分を買い上げていくことは可能でしょう。
もちろん出荷している産品はきちんとチェックは済ませていて実際上は安全には問題がないと考えられていますが、どうしても口に入れるのは不安があるというのであれば買い上げた分は飼料に転じるなりバイオ燃料に活用を図るなり、これまた単に廃棄してしまうよりは工夫の余地はありそうですしね。
もちろん買い上げ制の他にもうまいやり方は工夫できるでしょうし、生産者の方々にすればせっかく作ったものを妙な具合に消費されてしまうのに不平も不満もあるでしょうが、このまま福島産=ババ抜きのババのような扱いをされ続けるくらいなら風評被害ケシカラン!と是正を叫び続けるだけでなく、ここらでより実際的な解決法を考慮していくべき時期ではないでしょうか。

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コメント

福島産は食べたくないという自由も尊重して欲しい

投稿: | 2012年5月30日 (水) 09時22分

放射能云々は実は全然心配してませんが福島産は買いません。理由は謂わずもながw
まあ九州に流通してるとは思えないけどw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年5月30日 (水) 10時58分

同意です。
しかし産地偽装は、今回の福島産が初めてではなく、北朝鮮産まつたけとか、中国産あさりとか
いろいろ国産になってますから、そういう産地偽装を許す風潮を厳しく罰する必要があるでしょうね。
そういう意味で、今回の福島産牛の偽装は逮捕されてますので、いい傾向です。

投稿: 温泉天国 | 2012年5月30日 (水) 11時56分

売れないから仕方なくやったというお約束の言い訳を聞いて実はちょっと同情するところもないではなかったんですが、仕入れ値がここまで下がっていると知ってしまうとそれもどうなのよと。
はっきり言って今福島産を産地偽装すると大変なボロ儲け状態なんですから、これは何とかしないといけません。
中途半端に買い支えや補助金などを出すくらいなら、偽装そのもののメリットがなくなるようなやり方をした方がいいんじゃないかと言うことです。

投稿: 管理人nobu | 2012年5月30日 (水) 12時40分

ところでスーパーでも福島産って全然みないんですが、流通はしてるってことは全部産地偽装か隠蔽されてるってことです?

投稿: 通りすがりのただの人 | 2012年5月30日 (水) 13時26分

私の地域の激安スーパーは福島産売ってますよ。
産地偽装されると、福島産を食べたくないという自由が尊重できなくなりますので、産地偽装は根絶してほしいのですが、福島産の販売そのものを中止させようとする人達についても営業妨害として取り締まってほしいものです。

投稿: クマ | 2012年5月30日 (水) 13時36分

西日本ですが行きつけの店に東北北海道のものはありますが福島産は見かけませんね。
ただそこまで値崩れしているなら格安が売りの店に流れているのかも知れません。
コンビニ弁当の食品添加物が悪いとか色々言われる世の中で、福島産は相対的にみてリスクは高い方じゃないと思うんですが。

投稿: ぽん太 | 2012年5月30日 (水) 13時47分

>ところでスーパーでも福島産って全然みないんですが、流通はしてるってことは全部産地偽装か隠蔽されてるってことです?

本文中の、これがヒントかも?
「福島産米の業務用出荷は増えている」
私は、別に気にせず外食してますが。

投稿: JSJ | 2012年5月30日 (水) 14時28分

健康被害レベルのものは出荷制限をかけるとして、それでも気になる人間は自分で金と手間をかけて好きなだけ安全と健康を追求すればいい
健康には身体的健康のみならず精神的健康も含まれるのだから、金を出して心の病が心配だといって病院にかかるのと同じで何もおかしな話ではないな
自分が金と手間をかけて病院にかかるのが面倒くさいから、国が責任を持って病院にかからなくてすむようにしろと言い出すのがおかしいというだけのこと

投稿: kan | 2012年5月30日 (水) 14時40分

福島産だけを選んで食べているとか言うのでない限りまず問題ないと思うのですが、ゼロリスクを求める人はいくらでもいますからね。
今のところ社会がそれにつられていないようなのでまだましな状況だとは思います。

投稿: 管理人nobu | 2012年5月31日 (木) 11時13分

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