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2012年5月23日 (水)

最近気になったニュース三題

このところ相次いで気になる新技術が開発されつつあるというニュースを目にするのですが、今日はそのうちの幾つかを紹介してみたいと思います。
まずはこちら、SFなどではおなじみの技術なのですが、いよいよ実用化へ向けて前進しつつあるというところでしょうか。

脳信号で動くロボットアーム開発(2012年5月17日TBSニュースi)

 イギリスの科学誌「ネイチャー」は、脳卒中の影響で手足が動かなくなった人が「動かしたい」と考えることで動くロボットの腕の開発が成功したと発表しました。

 被験者の女性、15年前に脳卒中を起こし、影響で手足が麻痺しています。去年4月に行われた実験では、ロボットの腕がボトルを握り、女性にコーヒーを飲ませようとしています。

 この腕、操作している人がいるわけではなく、女性が「動かそう」と考えると動くのです。女性の脳に埋め込まれた切手よりもさらに小さな電子装置が神経が発する信号を読み取り、外部のコンピューターがロボットの腕を制御するという仕組みになっています。被験者の女性は、自分が考えた通りにロボットの腕が動き出したときは「目を疑った」と言い、「次は思った通りに動く脚がほしい」と話しています。

 これはアメリカの退役軍人管理局やブラウン大学などによる共同研究で、手足を失った人や麻痺を持つ人に役立つ研究が行われているということです。

念じてロボットの腕動かす=脳卒中で手足まひ患者で成功-実用化へ前進・米独チーム(2012年5月17日時事ドットコム)

 約15年前に脳卒中のため手足がまひした58歳の女性の脳に小さな電極を埋め込み、信号をコンピューターを介して女性の脇に置いたロボットの腕に送る方法で、女性が念じるだけでコーヒーのボトルをつかみ、ストローで飲む実験が成功した。米国のブラウン大や退役軍人省、ドイツ航空宇宙センターなどの「ブレーンゲート2」研究チームが17日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 この技術は将来、脳卒中や脊髄損傷で神経系統に「断線」が生じた患者について、脳からの信号を手足に送るバイパス装置を作り、自由に手足を動かせるようにするのが目標。研究チームは2006年に患者が念じるだけでパソコン画面のカーソルを動かす実験に成功したと発表しており、目標に近づいた。

実際の状況というのがこちらの動画を参照いただきたいのですが、テーブルの上に置かれたボトルをロボットの腕が取り上げ女性に飲ませるという、なかなか精緻な動作が可能であるようです。
こうした技術を実際の場で用いるには一つ一つの作業にどの程度の集中を要するかも重要だと思うのですが、動画で見る限りではまだ無意識に動かせるというまでには至っていないようで、信号の拾い上げと誤操作の防止技術が今後の課題になってくるのでしょうか。
軍関係の研究ということで当然ながら傷病軍人に対する応用が期待されてのものでもあるのでしょうが、しかしこういうケースではお約束として次は元の機能を補完するのみならず機械的に拡大再生産しようという試みがあるんでしょうけれども、ねえ…
さて、時として手足が動かないこと以上に大変なのが失明という問題ですが、こちらもSF等ではおなじみの技術が試みられ成果を収めているというのですから驚きますね。

目のサイボーグ化による失明治療が世界で初めて成功!!盲目の男性がマイクロチップを眼球に埋め込むことで10年ぶりに見ることができるように!!(2012年5月5日コモンポスト)

目の見えない人にとっては、これ以上ない明るいニュースです。
ロバート・マクラーレン医師率いるイギリス・オックスフォード大学の外科医チームが世界初となる眼球のインプラント治療に成功しました。治療を受けたクリス・ジェームズさん(54歳)は、10年ぶりに見た光景を「光の爆発だった」といいます。

今回治療が行われた患者は、クリス・ジェームズさんとイギリスの有名プロデューサーのロビン・ミラーさん(60歳)の2人。3mm四方のマイクロチップを、眼球の奥にある網膜に埋め込むという手術が行われました。
チップの大きさは3mm×3mm。眼球の奥に埋め込まれます
2人は、網膜色素変性症と呼ばれる症状に陥っていました。これは眼科疾患の1つで、中途失明の3大原因の1つとされています。数千人に1人の頻度で起こるとされており、盲学校ではこの病気の生徒が一番多いといいます。
手術に要した時間は、8時間~10時間で、手術を受けたその日のうちには対象の輪郭が見え始め、3週間後には完全に見えるようになったといいます。

このマイクロチップには、網膜の光受容体の代わりとなる1500個光感性ピクセルが内臓されており、これが眼球内に作られた像を認識します。データは耳の後ろから無線で外部の機械へ送られ電気信号に変換後、視神経に送られることで、脳が像を認識することができます。
ジェームズさんによると、脳が電気信号を認識するまでには多少の時間を要したものの、物体の曲線や輪郭を認識することができたといます。
この治療は初期段階であるものの患者にとって有益な視野を回復させることに成功しているといいます。また、25年間目が見えなかったミラーさんでも治療に成功したことから、長い間、目が見えなかった人にも効果のある治療だとしています。
現時点では、輪郭をとらえる程度であるため白黒映像となっているようですが、ミラーさんは使っていなかった目に関する部分の脳が活動を開始したため、25年ぶりにカラーの夢を見ることができたといいます。

サイボーグ技術が進歩すれば、これまで治せなかった病気による人体機能の不全を機械で代替できるようになります。今回の目のサイボーグ化では、大きな外部装置が手放せないため不便ですが、今後はさらに装置が小さくなることも期待できるため、治療を受けた人が普通の生活を送れるようになりそうですね。

それにしても一昔前なら失われた網膜の機能自体が再生出来るなんてことは夢物語でしたが、光信号を電気信号に変換して送り込むということで要するに原理としてはデジカメと同じものなんでしょうか。
実際の装置の様子や解像度(さすがに未だごく粗い画像のようですが)などは元記事の写真を参照いただくとして、注目するのは手術後次第に輪郭がはっきりするようになり三週間後には完全に見えるようになったという話で、神経というのは新たな外部刺激に対して相応に柔軟な対応が可能であるということを示しているのでしょうし、将来もっと高解像度にも対応できるのかも知れませんね。
今後はSPECT等の脳機能検査とも組み合わせて機械の技術的な向上と同時進行で脳機能自体の解明も進んでいくんだと思うのですが、しかしこういうことをされてしまうと単なる機能回復に留まらず先日話題になったグーグルのあれのような応用も期待したくなってしまうのは自分だけでしょうか?
最後に取り上げますこちらは再生医療とはまた違う話題なのですが、これはこれで大いに応用が利きそうな話ですよね。

牛の唾液でBSE判定 動衛研、感度1億倍(2012年5月15日日本経済新聞)より抜粋

 農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所は認知症に似たプリオン病やBSE(牛海綿状脳症)の原因となる異常プリオンたんぱく質を1億倍の感度で検出する技術を開発した。牛の唾液が含むわずかな量で判定できる。従来は脳から取ったたんぱく質を分子量の違いで調べていたが、低濃度だと分からなかった。5年内に生きた牛の安全確認に実用化する。

ご存知のように従来は牛の脳をすりつぶせば異常プリオンを検出する方法は存在していたわけですが、当然ながらこの場合は牛を殺してしまわなければ検査できないということで、今回生きたままの牛で高感度に異常プリオンを検出できるということが画期的であるということですね。
すでに特許も出願されているということでその申請書類の方に詳しいのですが、動物衛生研ではすでに以前から従来法(以前にマッシー池田先生が紹介していた「プリオンのPCR」ですよね)にデキストラン硫酸化合物を加えた高感度検出方を確立し感染牛の各部位から異常プリオン検出を試みていたということで、その過程で唾液が診断向けの検体に使えると判ったようです。
今回の方法もすでに特許出願中ということですが、農研機構の新技術説明会での発表資料から引用させていただきますと用途としてこんなことを想定しているようですね。

想定される用途

・唾液を用いたBSE生前診断
・畜産物や肉骨粉など畜産副産物の安全性評価
・牛由来成分を含む医薬品・化粧品などの安全性評価
・ヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)はBSEに起因すると考えられることから、vCJD診断やヒト由来製剤の安全性評価といった用途に展開することも可能と思われる。

見ていただければ判る通り、もちろん畜産系の研究所ですから畜産関係への応用を主に想定されているのですが、最後にとってつけたように人への臨床応用についても言及しているのが注目されますよね。
以前から思っているのですが、例えばあまり詳しい検査もされることのない寝たきりの方々の中にもCJDなどの隠れプリオン病がどのくらい分布しているものなのか、脳外領域の大御所先生に以前うかがった限りでもあまりはっきりしたデータというのもないようで、唾液などの簡便な方法で調べられるということになると調べたくもなるのが人情というものですよね。
もちろん調べた結果案外沢山の人々が罹患していたということになればそれはそれで対応が悩ましいところですけれども、ひと頃の狂牛病騒動でも人間にうつったら大変だ、BSE感染牛肉は絶対日本に入れないと気張っていたところが、実はとっくの昔に国内で広く蔓延していたなんてことになるとこれまた大騒ぎになるかも知れずですかね…

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コメント

これなんかも経験的に知ってることだけど裏付けはあったわけで
しかし魚を食べた方が頭がよくなるってのもまんざら嘘ではないってこと?

糖分の取り過ぎで頭が鈍る?米UCLAがラットで実験
2012年05月16日 10:52 発信地:ワシントンD.C./米国

【5月16日 AFP】糖分を取り過ぎると頭が悪くなるかもしれないことを示す実験結果が、
15日の米専門誌「生理学ジャーナル(Journal of Physiology)」に掲載された。

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California Los Angeles、UCLA)の
研究チームはラットを2つのグループに分け、まず複雑な迷路を使った5日間の訓練を行わせた。

次に、両グループには加工食品によく使われる高フルクトースコーンシロップ(異性化糖)を、
飲み水の代わりとして与え始めた。うち1つのグループにだけ、脳を活性化するオメガ3脂肪酸
を含むアマニ(亜麻仁)油とドコサヘキサエン酸(DHA)も同時に与えた。

6週間後、両グループのラットを迷路に入れて観察したところ、
DHAを与えられなかったラットの動きは鈍く、脳のシナプス活性は減少していたという。

また、ラットの脳をさらに詳しく調べたところ、DHA補給をしなかったラットは血糖値を
コントロールし脳機能を統制するインスリンへの耐性を発達させていたことも明らかとなった。

UCLA医学部のフェルナンド・ゴメスピニージャ(Fernando Gomez-Pinilla)教授(神経外科学)は、
「インスリンは血液脳関門を通過できるので、ニューロンを刺激して学習の阻害や物忘れの
原因となる反応を引き起こしているのかもしれない」と説明する。

思考や感情を処理するには脳細胞が糖分を使用・蓄積することが必要で、インスリンには
これをコントロールする働きがあるが、フルクトース(果糖)の取り過ぎはこの作用に影響を
与える可能性があるということだ。

「インスリンは体内の血糖値をコントロールするために重要だが、脳内では記憶や学習を
阻害する別の働きをしているのかもしれない。われわれの研究で、高フルクトース食は
体だけでなく脳にとっても有害だということが示された。これは新しい発見だ。」
とゴメスピニージャ教授。「この発見は、食習慣が思考に影響を与える事実を示している。
高フルクトース食を長期にわたって食べ続けると、脳の学習能力や情報記憶能力を変化
させてしまうが、オメガ3脂肪酸を食事に加えることにより、ダメージを最小限に留める助けとなる」

高フルクトースコーンシロップは炭酸飲料、調味料、アップルソース、離乳食などの加工食品
によく使われている。(c)AFP
____________

▽記事引用元 AFPBBNews
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2878159/8949575

投稿: たまご | 2012年5月23日 (水) 08時42分

見えてるもののフォトショ加工も出来るんですね
文字通り世の中バラ色に見えて仕方ないっていうヽ(´▽`)/

投稿: 柊 | 2012年5月23日 (水) 11時36分

こういうのも仮想現実というんでしょうか?
ひとたび可能なことが判れば精緻さや解像度はものすごい勢いで進歩しそうですから、将来はどこまで能力向上を認めるかという議論になりかねません。
個人的には増設メモリーなら今すぐにでも欲しいんですけど。

投稿: 管理人nobu | 2012年5月23日 (水) 12時50分

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