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2012年4月 5日 (木)

ロボットスーツ導入で高齢者の活動性は変化するか?

ロボットスーツと言えばひと頃から介護領域への応用が期待されていましたが、最近のトレンドは介護者が使うよりもむしろ要介護者自身の着用であるようですね。

「リハビリ意欲向上」ロボットスーツ効果でつくばシンポ(2012年3月20日茨城新聞)

ロボットスーツHALを開発・販売しているベンチャー企業のサイバーダイン(つくば市学園南)は19日、同市竹園のつくば国際会議で、「第2回HALシンポジウム」を開催。リハビリテーションを目的にHALを運用している医療関係者が講演やパネルディスカッションを行い、効果や課題などを発表、討議した。患者の意欲を高める点などが報告され、参加者約300人が熱心に耳を傾けた。

県立医療大学(阿見町)の居村茂幸教授が座長を務めた。シンポの冒頭、福岡大学医学部脳神経外科の井上亨教授が「ロボットスーツHALを用いた脳卒中急性期リハビリテーション」と題し講演した。

病気やけがの後遺症でまひした人の手足の動作を補助し、座ったり立ち上がるなどの動作を、比較的早期に行える機能があるHALについて、井上教授は、内視鏡手術などの進歩で患者の負担が少なくなり「早期のリハビリが可能になった」とし、HAL活用の有効性を指摘。手術後すぐに開始した実際のリハビリ効果を、動画映像を通して紹介した。

HAL運用のメリットとして、特に「患者さんのモチベーションが上がる」と意欲を高める点を評価。また、医療スタッフが筋電図などの科学的データを収集できるため、患者が他施設に移った後も情報を継承できる利点を挙げた。

参加した神奈川県厚木市の神奈川リハビリテーション病院の理学療法士、丸谷安保さん(48)は「(HAL)導入施設の医療職員の積極性や熱意を強く感じた」と印象を話した。

サイバーダインは2010年12月、HALの運用について現場から意見を集めるため、初めて同シンポを開催。今後、年1回程度開いていくという。同社によるとHALは現在、全国約130施設に導入され、約300台が稼働している。

実際にモチベーションが上がるかどうかはもちろん個々の患者次第なのでしょうが、術後など急性期リハビリのみならず、高齢者などで動きたいのに思うように動けないと言う不満を抱えてきた方々にとっては極めて有意義なことだろうなとは想像出来ますよね。
ただ実際のリハビリの様子なども含めた装置の解説はこちらの動画を参照いただきたいのですが、これを見るだけでも確かに画期的な効果も期待出来るものの、装着やセッティングなどはかなり大変そうだなということは判ります。
自治体が補助して各地でリハビリへのロボットスーツ応用の試みが成されていますけれども、実際にやってみますと機材自体が未だ高額で導入数が少ないのは仕方がないとしても、やはり利用者自身はこの装着の手間が一番気になっているようです。

ロボットスーツのリハビリ効果検証 岡山県、17施設に20台配備(2012年1月8日山陽新聞)

 岡山県は、手足などの動きを補助するロボットスーツ「HAL(ハル)」を病院や介護老人保健施設に無料で貸し出して患者や高齢者に装着してもらい、リハビリ効果を検証する事業を進めている。本年度は県内5市町の17施設に計20台を配備し、約60人分のデータを収集中。福祉現場の負担軽減、新産業の創出につなげる狙いで、2012、13年度も対象施設の募集を続ける。

 HALは山海嘉之筑波大大学院教授(岡山市出身)が開発し、大学ベンチャーのサイバーダイン社(茨城県つくば市)が製造。脳からの電気信号を読み取り、モーターを作動させて筋肉の働きを助ける。レンタル料は両脚タイプの5年契約が月額15万8千円。同社によると全国約120施設に約250台が導入されているという。

 5日には、山海教授と同社の社員2人が、県から1台を借りている浅口市寄島町の介護老人保健施設「いるかの家リハビリテーションセンター」を視察。導入効果や課題について職員らと意見交換した。

 職員からは歩行が円滑になるものの、装着に手間がかかるなどの問題点が指摘され、山海教授は「普及には利用のしやすさが重要。現場の声をフィードバックし、改善を図りたい」と話した。

 他施設でも脳卒中で体が不自由になった患者や歩行が困難な高齢者らが使っており、動作の改善データを分析する。

 県医療推進課は「HALはリハビリ効果が十分に検証されておらず、レンタル料も高額なために導入を手控える施設もある。事業を通じて効果を確かめ、普及につなげたい」としている。

HAL使用 3分の1が途中で中止 岡山県のリハビリ検証 装着に手間取り(2012年4月2日山陽新聞)

 岡山県がロボットスーツ「HAL(ハル)」を病院や介護老人保健施設に貸し出し、リハビリ効果を検証する事業で、2011年度に対象とした脳卒中患者や歩行困難な高齢者らの約3分の1が途中で使用を中止していたことが2日、分かった。装着に手間取ることなどが理由。県は12年度以降も支援を強化して事業を継続し、介助する職員のスキルアップなどを図る方針だ。

 HALは筑波大大学院の山海嘉之教授(岡山市出身)が開発。大学ベンチャーのサイバーダイン社(茨城県つくば市)が製造販売している。脳から出る電気信号を読み取り、モーターを作動させて手足の動きをサポートする。

 県は20台を施設に無償貸与し、11年度から3年間で歩行時間や歩行距離、日常生活の改善データを収集・分析する計画。初年度は岡山、倉敷市など5市町の17施設で計65人が使用を試みた。

 県医療推進課によると、このうち44人は計画通りに訓練を終えたが、21人は途中で断念した。主な理由は「装置が重い」「準備に時間がかかって疲れる」などで、1回目でやめたケースもあったという。

もちろん今後の改善すべき課題が多々見え隠れしているのも事実なんですが、ただこれはリハビリ目的ということを追求しすぎたのも悪かったのかという気もします。
高額なこともあって各施設に一台ずつばら撒いた形ですから当然使い回しになるケースも多いでしょうが、1時間やそこらのリハビリのために(施設によってはわずか20~30分ということもあるようです)面倒なスーツを毎日着たり脱いだりしなければならないと言うのでは、それは誰だって「もう結構」と面倒になりますよね。
むしろ軽度の下肢筋力低下はあるものの室内つかまり立ちや短距離のトイレ移動などは出来るくらいの、ある程度安定した慢性期の人がいい適応かなとも思うのですが、朝夕に一回ずつ多少の面倒を掛けるくらいで一日元気に歩き回れるようになるのであれば、動きたくても動けなかった人ほど喜ぶんじゃないかと思います。
こうした人達は外出用にマイ車椅子を持っている人もいるくらいですから、現状のちょっと個人導入には無理のあるレンタル料が今後こなれてくれば利用したいと考える人も増えてくるんじゃないかとも思うのですが、その場合今度は稼働時間の短さがネックになってくるのでしょうか。

現在の稼働時間はメーカーによると2時間40分、バッテリー交換をしながらこれ以上の連続使用も可能であるというのはノートPCなどと同様のスタイルですが、ちょっと一日ずっと装着しているには不足しているかなという数字ですよね。
ただこれは介護などで重い物を運ぶような作業もしての数字のようですから、例えば施設入所者が基本的には座っていて、時にちょっと立って歩くといった使い方をする分にはもう少し長持ちしそうですし、当然ながらバッテリー性能なども随時改良強化されていくことに加えて、昨今EVなどで期待されている非接触式の充電装置を装備した椅子なども考えられるのでしょうか。
また室内歩行が主体であればいっそ有線での給電設備などを整備しても良いのかも知れませんが、今後例えば富裕層向け介護付き老人ホームなどでこうしたサービスを売りにするところが出てくれば量産効果で価格も下がり、一般にも普及しやすくなってくるかも知れません。
今はまだこういうメカメカしい道具には抵抗感の強い保守的な高齢者が多いですけれども、遠からずロボットやゲームといったものに染まってきた世代が高齢化してくるようになってくるとむしろ楽しんで利用するようになるかも知れず、高齢者介護の現場も今とはずいぶんと違った様子になってくるのでしょうか。

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コメント

一式百万くらいかと思ってたら結構高いんですね
もうちょっと安ければ欲しいのになあ

投稿: 介護経験者 | 2012年4月 5日 (木) 10時27分

申し込み後の受注生産でレンタル料が月10万以上、個人向けレンタルはなしですか。
介護に使えば楽だって言ってもこの値段じゃとうてい元が取れないし、まだまだ試験中って感じですね。

投稿: ぽん太 | 2012年4月 5日 (木) 10時59分

>HAL
>サイバーダイン

何度見ても二度見しちゃいますねえ…。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年4月 5日 (木) 11時38分

恥ずかしながら当方も今回はじめてコストを知って驚いた次第です。
まだ試行錯誤しながら改良している段階なんでしょうけど、将来性は非常にある分野ではないでしょうか。

投稿: 管理人nobu | 2012年4月 6日 (金) 13時42分

稼働時間2時間40分は全身型のデモ用バージョンの方で、リハビリで実際に使われているバージョンの稼働時間は約1時間だそうです。

投稿: | 2012年9月 4日 (火) 07時42分

買いたい!!、!

投稿: | 2015年1月24日 (土) 13時56分

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