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2012年4月12日 (木)

てんかん事故問題 署名提出される

先日紹介しました悪質なてんかん患者による事故の厳罰化を求める署名が、このたび国に提出されたということです。

悪質な事故厳罰化を 遺族が署名提出(2012年4月9日NHKニュース)

去年4月、栃木県鹿沼市で、小学生の列に持病のてんかんを申告せずに免許を取った男が運転するクレーン車が突っ込み、児童6人が死亡した事故で、遺族が9日、悪質な事故の厳罰化などを求める30万人分を超える署名を国に提出しました。

署名を提出したのは、死亡した児童の遺族11人です。
この事故でクレーン車を運転していた男は、持病のてんかんを申告せずに免許を取得し、医師の忠告に従わず運転を続けた結果、発作が原因で事故を起こしました
男は悪質な事故に適用される危険運転致死傷罪ではなく、自動車運転過失致死の罪で起訴され、法律の上限の懲役7年が確定しています。
裁判のあと、遺族は刑が軽すぎるとして署名活動を始めました。
これまでに、今回のような悪質なケースでは、上限が20年の危険運転致死傷罪を適用できるよう刑法の条文の改正を求める署名を17万人分余り、また、申告が義務づけられている病気を申告せずに免許を取得できないようチェックを強化するよう求める署名を16万7000人分余り、合わせておよそ34万人分の署名を集めました。
遺族たちは9日、それぞれの項目を担当する小川法務大臣と松原国家公安委員長に署名を提出しました。

このあと、遺族が記者会見を開き、遺族会の代表で、息子の卓馬くん(当時11)を亡くした大森利夫さんは「大臣は、お二人とも署名を正面から受け止めて取り組んでいくと発言して下さいました。てんかんの病気を問題にするのは、どうしても、まじめに病気と向き合っている人にも影響し、申し訳なく辛かったのですが、署名活動を続けてきてよかったです」と話していました。
また、今後の活動について、息子の大芽くん(当時9)を亡くした伊原高弘さんは「大臣のことばを信じ、署名活動は当分休止します。ただ、今後も悲惨な事故が繰り返されないよう、できることをしていきたい」と話していました。

鹿沼事故 17万人署名を提出(2012年4月10日朝日新聞)

 6人の幼い命を奪った鹿沼市での事故から間もなく1年となる9日。遺族は全国から寄せられた17万人分の署名を国に提出し、刑法と運転免許制度の改正を訴えた。遺族らによると法相らは前向きな考えを示したといい、「今後の動向を見守りたい」と語った。

 午前11時半。6家族11人の遺族は、法務省で小川敏夫法相と面会した。遺族代表の大森利夫さん(47)は、17万829人の署名と刑法改正を求めた請願書を提出。他の遺族は児童の遺影を持ちながら見守った。

 その後、遺族は小川法相と非公開で懇談。遺族によると、小川法相は「署名の提出はもう必要ありません。17万人の署名で十分です。正面から問題に取り組みたい」と答えたという。

 遺族は松原仁・国家公安委員長とも面会。16万7398人の署名と免許制度の改正を求める請願書を渡した。松原委員長も、亡くなった子どもたちと同じ年代の子どもがいることを明かしたうえで、「早期に再発防止策を取りたい」と語ったという。

 請願書では、不正に免許を取得したてんかん患者が死傷事故を起こした場合には危険運転致死傷罪を適用することと、病歴を隠したまま運転免許が取得できないような制度の改正を求めた。

「国が一歩踏み出したことを感謝したい」――。遺族は署名の提出後、都内で記者会見を開き、法相らの対応をこう評価した。

 署名活動は昨年12月末から県内各地で協力を呼びかけ、3カ月余りで約17万人分が集まった

 大森さんは「全国のみなさんのおかげです」と感謝の言葉を述べた。小川法相からの「署名はもう必要ない」との言葉を引き合いに出し、「前に進められたような気がした」と話した。

 署名活動は休止する考えだが「国が動かなければ、活動を再開する」とし、現在も寄せられ続けている署名は別の機会に提出するという。伊原高弘さん(40)は「今後は皆さんと一緒に動きを見守っていきたい」と語った。

 一方、日本てんかん協会(東京都)もこの日、法務省と国家公安委員会あてに、てんかん患者への差別防止を訴える要望書を提出した。その中では「運転に不適切なのは症状(状態)であり、病気そのものや病気のある人ではない」としている。(毛利光輝、浜田知宏)

当面は活動は休止するとは言え、「国が動かなければ、活動を再開する」というのは昨今の政治の状況を見ると早晩活動再開があり得るということなのだろうなとも思うのですが、いずれにしても運転免許取得という今や成人にとって当たり前のような行為にもこうした問題点が潜んでいたということを再認識させる上では非常に印象的な問題提起になったかと思います。
朝日ら主要メディアの論調を見ても非常にこの運動に支持的な機運が見え隠れしているのは確かで、逆にこの状況で「だがちょっと待って欲しい」とてんかん患者の人権が云々と言い出すことはなかなか難しそうな雰囲気でもあるのですが、そんな中でさりげなく同日に要望書を提出しているのがご存知てんかん協会です。
一応この中では署名の求める要望に関して「反対」のコメントが出ているようで、無論予想の範囲内ではあるもののどういうロジックで反対論を唱えてくるかが注目されていたわけですよね。

日本てんかん協会が法務大臣に「刑法および運転免許制度に関する要望書」を提出(2012年4月10日医療人材ネット)

日本てんかん協会(東京都新宿区)は9日、法務大臣・国家公安委員長に宛て「刑法および運転免許制度に関する要望書」を提出した。てんかん患者の運転免許取得を巡って、「病名による差別」が行われる事のないようにする事などを求める内容となっている。

昨年4月、栃木県鹿沼市で運転免許を不正取得した患者がてんかん発作によって起こした交通事故により複数の小学生が死亡した。この事故の被害者遺族らが、てんかん無申告の運転免許不正取得者の起こした死傷事故に対する厳罰化などを求める署名活動を行い、10日には法務大臣あてに署名を提出した。同協会はこれが、「対象をてんかん患者に限定した」要望となっているとして問題視しており、今回の要望書もこれを受けたもの。

具体的な要望は以下の通り。「1. 運転に不適切なのは病気の症状(状態)であり、病気そのものや病気のある人ではありません。病名による差別はしないでください。/2. 病気のある人に、症状(状態)によっては運転できないという社会的責任を適切に自覚するための方策を、関係機関と協力をして一層推進してください。3. 病気の症状(状態)のために運転免許証が取得できない場合には、その状態にある人の生活の不便を補填する施策を、関係省庁と協力をして推進してください。」

平成14年の法改正により、「発作が再発するおそれがないこと」を条件に可能になった、てんかん患者の自動車免許取得。てんかん患者の権利を守るためにも、患者支援策を含めた適切な制度運用が求められている。

協会の言うことのうちで2.、3.に関しては今後も当然ながら推進されるべき社会的課題であるわけですが、これ自体は今回の厳罰化云々とは直接関係のあることではありませんから、やはり協会自身も問題視していると言うように1.の部分が主張の最大の眼目であることは明らかですよね。
無論、先日も紹介しましたように例えば糖尿病で意識朦朧となって事故を起こすというケースも実際にあり、法律上の条文からもコントロール不良のてんかんと並んで無自覚性の低血糖や再発性の失神発作なども免許を与えない対象となっているわけですから、協会の主張するようにてんかんだけを狙い撃ちするのではなく、これらをも同時に規制しなければ片手落ちというしかありません。
病名による差別ではなく正常な運転に支障を来すかどうかという状態による区別をしっかり推進していくということは、猫も杓子も車くらい運転して当たり前という現代の風潮に対して一石を投じることになるでしょうし、これを機会に交通安全ということを改めて考えていくことも必要なのかなとも思いますね。

むしろ実際上そうしたチェックをどうやって行っていくかということが難しいところですが、無論免許取得者の数と検査の手間を考えれば全数スクリーニングなどという行為はコストの上でも手間の上でも現実的ではありませんし、実際問題としては最低限事後の処罰への適用と、可能であれば例えば人身事故を起こした人間に対してはある程度医学的なチェックをしていくといった運用になるかと思います。
ただ対象を限定したとは言っても多数に対して有無を言わさず医学的な診断を課した結果、てんかんに限らず糖尿病などと診断されてしまうとその後の保険加入などの面でも色々と不具合もあるでしょうし、もちろんてんかん協会の言うような社会の言われなき差別を受けるかも知れないからチェックなどとんでもない!という人もいるかも知れません。
ただ考えて見れば冒頭の記事にも「申告が義務づけられている病気を申告せずに免許を取得できないようチェックを強化する」という文言がありますが、例えば法律上は一定の視力がなければ免許は取れないと言うことになっていて、きちんと治療し視力が必要水準を上回っていることを免許取得時にも更新時にもチェックされているわけですよね。
そう考えると免許取得で利益を得る側の自己申告だけに頼っているという現状が仮にも国家資格の与え方としてどうなのかということで、例えば今後この辺りについて「本来資格が得られないはずなのに杜撰なチェックで免許を与えた」などと国の責任を問う訴訟沙汰にでも発展することになれば、国としても否応なしに対応を迫られることになるのかも知れません。

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コメント

協会から悪質患者の厳罰化そのものには反対しないという言質が得られた格好でしょうか?
本音は違うんでしょうけど、この言い方だとそういう意味に受け取れますから。
ただ法律を改正しなくても現場の運用でもっと工夫できるんじゃないですかね?
クレーン車の運転手は道交法を見れば免許を持ってちゃいけない人になるんでしょう?

投稿: ぽん太 | 2012年4月12日 (木) 08時35分

>請願書では、不正に免許を取得したてんかん患者が死傷事故を起こした場合には危険運転致死傷罪を適用することと、
>病歴を隠したまま運転免許が取得できないような制度の改正を求めた。
請願の内容としては、まあ常識的なところだと思います。
ただここで「てんかん患者」と限定してしまったのはまずかったですね。てんかん協会からつけこまれるスキをわざわざ作る必要はないわけで。
当然 道路交通法施行令第三十三条の二の三に挙げる病気 全てに求められるべきです。

あえて再度懸念を表明しておくならば、飲酒運転の減少は 厳罰化の影響とともに「飲んだら運転するな、運転するなら飲むな」という周囲の圧力というか意識の変化の影響も大きかったのではないかと思うのです。
それに比べ、もともと周囲に隠していることが多いと言われる てんかん患者に対し、「発作があるなら運転するな」という圧力が どれ程かかるものか疑問です。

後段については、具体的にどういう方策が出てくるか、注意深く見守りたいと思います。
病歴を隠して取得したことが分かった時に免許取り消しをはじめとするペナルティを課す、といったところが現実的かと思いますが、
運転免許を取得・更新しようとする全員に医師の診断書を義務づけるとか、しかもその診断書の内容が、「発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気ではない」なんてものになったら大事です。

>可能であれば例えば人身事故を起こした人間に対してはある程度医学的なチェックをしていく
発作性疾患をスクリーニングで診断するなんてムチャですよ。
例えばてんかんは、「検査では異常はみつからないけど、病歴からは可能性が否定できないから、試しに抗てんかん薬を飲んでみよう」なんて診断的治療をすることもあるわけで。
逆に脳波や心電図に異常があるからといって、意識消失発作が起きるとは限らないわけですし。

投稿: JSJ | 2012年4月12日 (木) 08時37分

>逆に脳波や心電図に異常があるからといって、意識消失発作が起きるとは限らないわけですし。

おっしゃるように実際にチェックを入れるのは診断そのものよりも事故に至るリスク評価が目的ってところが難しいですね。
例えば糖尿病について言えば、臨床的に糖尿病があるかどうか、あるいは重症か軽症かという診断そのものは検査をして数字を出せばさほど難しいことではない。
ところが無自覚性低血糖を起こすかどうかは重症か軽症かとはまた違った評価軸が必要になってくるわけで、むしろ何もせず放置している患者よりも厳格な血糖管理をしている患者の方が意識消失のリスクは高かったりする。
そう考えると道交法の文言というのは事後はともかく、事前評価の基準として何をどう対応すべきかと考えるとちょっと扱いが難しいのかなとも思ってます。

ただ何か検査の数値で振り分けるといったのとはまた別のやり方もあるので、今回のケースから考えると同じような事故を繰り返しているような人からまず病歴を追求して担当医とコンタクトするといったことが考えられるでしょう。
いずれにしても守秘義務との兼ね合いや他人の人生を左右しかねない判断の妥当性なども含めて、今後何かやっていくことになれば医療現場にも相応に影響の出てくる話だと思いますね。
今現在でも自動車免許よりも取得時の医学チェックが厳しい資格は色々あって、一応は取得にあたって医師の診断書が必要ってことになってますが、一見で来た人が薬物常用してるかどうかなんて判断しかねますからね。
最近は特に何かあった時の医師側の責任が問われる可能性が出てきてますから、すでに各医療機関とも顧問弁護士と相談して対応に苦慮していると思いますが、車の場合は数が圧倒的に多いだけに大変なことになるでしょう。

投稿: 管理人nobu | 2012年4月12日 (木) 09時10分

佐世保の乱射事件以降とみに厳しくなっている猟銃所持の際のメディカル・チェック並くらいはしていいと思いますよ。ある意味猟銃より殺傷能力は高いわけですから。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年4月12日 (木) 09時45分

出来ない理由はいくらでも挙げられる
まずできることからまずやってくれ
法律違反が放置されてるのがおかしいだろ

投稿: 俺はひき殺されたくない | 2012年4月12日 (木) 09時49分

>猟銃所持の際のメディカル・チェック
「三  精神障害若しくは発作による意識障害をもたらしその他銃砲若しくは刀剣類の適正な取扱いに支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものにかかつている者又は介護保険法第八条第十六項 に規定する認知症である者
四  アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者」
ではない、なんて診断書を書くんですか?
私はお断りです。少なくとも一見さんには。

>法律違反が放置されてるのがおかしいだろ
法律の運用が問題にされているだけで、法律違反が放置されているわけではないですよ。

投稿: JSJ | 2012年4月12日 (木) 10時13分

>私はお断りです。
もっとも私ははなからお呼びでありませんが。

『申請に添付する医師の診断書の内容が変わります。
所持許可申請及び更新申請等の際に
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第18条第1項に規定する 精神保健指定医」または
「銃刀法第5条第1項第3号又は第4号に該当するか否かの判断に必要な知識経験を 有すると認める医師」が作成した診断書の提出が必要になります。』

投稿: JSJ | 2012年4月12日 (木) 10時17分

横レスですが、

>四  アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者」
>ではない、なんて診断書を書くんですか?

うちでもこの点が問題視された結果、弁護士の助言で診断書に「ただし診察時点での状態から判断する限り」云々の記載をした張り紙をつけることになりました(診断書自体は持参のものでフォーマットが決まっているので)。
法廷でどのくらい有効なのか判りませんけど、勤務医であれば診断書を求められてその場で断るというのはなかなか難しいですから、病院の方針そのものを変えてもらった方が話が早いかもですね。
専門医なりに行ってもらうにしても結局誰かが面倒を背負い込む羽目になるのは変わらないので、もう少し現場にも危機意識があってもいいんじゃないかと思うのですけど。

投稿: ぽん太 | 2012年4月12日 (木) 10時44分

危険性を判断しろ、書類書けと言われりゃ仕事はするけれど、田舎じゃ誰が書いたか丸わかりなんだよね。
免許取り消しになったときに「あの医者のせいで」って周囲から白い目で見られるのはつらいよ。

投稿: 元僻地勤務医 | 2012年4月12日 (木) 10時55分

と言うかこの問題、いってみれば当事者でもあるはずの医学界抜きに話が進んでいるらしいのが前から不思議なんだが

投稿: kan | 2012年4月12日 (木) 11時10分

現行法下では以下のように規定されています
2. てんかん (令第33条の2の3第2項第1号関係)
(1) 以下のいずれかの場合には拒否等は行わない。
ア 発作が過去5年以内に起こったことがなく、医師が「今後、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
イ 発作が過去2年以内に起こったことがなく、医師が「今後、x年程度であれば、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
ウ 医師が、1年間の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合
エ 医師が、2年間の経過観察の後「発作が睡眠中に限って起こり、今後、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合

上記のような診断は、実際に自分の外来に2〜5年通院している方以外はお断りしていました。
(ちなみに、「イ」の診断がどうやったらできるのか了解不能でしたので「イ」の診断はしたことがありませんが)
本当に発作がないのかどうかは、究極的には本人の申告を信じるしかないわけですが、
内服をきちんと行っているかどうかは ある程度 根拠を持って判断できますし、
数年間 定期的に行った脳波検査の結果は、有力な証拠になりえると考えています。

読者の中には診療現場をご存知でない方もいると思いましたので、現行法下で運転免許取得時のてんかんの診断をどうやっているか 私の場合を例示しました。
(今は脳波検査もできないような病院で働いていて てんかん診療とは無縁になりましたので、かつての私 です)


それにくらべて、運転免許取得・更新時に全員に医師の診断書を義務づけたとしても、一見さんに発行する診断書にどれほどの意味があるでしょうか。
行政のアリバイ作りに協力させられているだけでしょう。


投稿: JSJ | 2012年4月12日 (木) 12時03分

アリバイ工作もなしで患者が事故れば医師の責任が問われかねんのがJBM

投稿: aaa | 2012年4月12日 (木) 12時35分

>アリバイ工作もなしで患者が事故れば医師の責任が問われかねんのがJBM
それでも、医師が「発作のおそれはない」「てんかんではない」と診断した場合と、
患者が勝手に免許を取得した場合の
医師の責任、および対処法は分けて考えるべきでしょう。
早い話 後者の問題は、再び運転免許の取得を禁じたとしても残ると思います。

現行制度はそれなりに機能していると、私は思っています。
実際のところニュースになっているのは「不正に免許を取得したてんかん患者」だけのように思うのですが、
医師の診断書に基づいて運転免許を取得したてんかん患者が重大事故をおこした例はあるのでしょうか?

投稿: JSJ | 2012年4月12日 (木) 13時01分

診断があったかどうかはわからないけど裁判になってた歯科医の事故はズルはしてないんじゃないかと
裁判でもそのあたりは突っ込まれてなかったようだし

投稿: | 2012年4月12日 (木) 13時23分

>歯科医の事故はズルはしてないんじゃないかと

『 伊東一広裁判長は判決理由で、被告が突然意識を消失するてんかん患者と認定した上で、診察録などから「昼間に発作が起こると危険なため、医師は運転を控えるよう指導していた」と判断。』
ズルと判断されたようですよ。

ちなみに道交法の改正が行われたのが2002年6月。
Wikipediaには てんかん発作による交通事故例7件を挙げていますが、1999年と2002年9月の2件が無罪判決、
それ以降の5件は全て有罪(4件は実刑)とされています。
医師の診断に基づく「合法的な」免許取得だったのかどうかは、いづれも記述がありません。
ただ、道交法改正を境とした2002年以前と以降とで司法判断が変わってきた、とは言えるように思います。

投稿: JSJ | 2012年4月12日 (木) 14時04分

てんかんの患者さんでもう一つ問題なのは、てんかん治療薬の添付文書にはだいたい「眠気などが起きるので自動車の運転はさせないように」って書いてあるところです。
こういう文言はてんかん治療薬だけでは無いので、ほかの疾患でも引っかかるのではないかと思いますが。

投稿: クマ | 2012年4月12日 (木) 14時21分

>てんかん治療薬の添付文書にはだいたい「眠気などが起きるので自動車の運転はさせないように」
おっと危ない、おっしゃる通りでした。
後出しみたくなって申し訳ないですが、結局のところ医師が上記の診断書を書くのは(=運転OKと言えるのは)、抗てんかん薬を中止して数年間経過観察した後、と考えると かなりハードルは高い と言えるかと思います。

投稿: JSJ | 2012年4月12日 (木) 15時27分

私の考えをまとめます。
一定の病気に係る免許の可否等の運用基準に基づいて医師が診断書を出す場合は、おそらく
初診の患者がいくら「自分は昔 てんかんと診断されたが、過去5年間発作がないから診断書を書いてくれ」と言ったところでホイホイ書けるものではない
また、抗てんかん薬を内服している間は運転OKとは言えない。
結局、抗てんかん薬を中止してから数年間、運用基準を満たすまで経過観察することになる。
その間、指示通り 定期的に受診しないような患者は信用できないから、お断り。
これくらいのハードルを越えていると思うのです。

しかも、2002年の道交法改正によって 運転免許取得の道がひらけた代償として、それまで心神喪失として無罪になっていたものが有罪とされるようになっているフシがある。

これでは不足でしょうか?

これからの課題は、隠そうとするものを見つけ出す努力ではなく、疾患を隠して免許を取得するよりも 疾患を申告して免許を取らないほうが結局は得である、というインセンティブを確立することのように思います。

投稿: JSJ | 2012年4月12日 (木) 17時08分

今日の祇園の事故、読売の情報だとてんかんの症状があったとのことですね。
しかし、毎日と読売の情報をあわせると、まずタクシーに追突し、そこから200m先の交差点で人々をはね、さらに200m先で先行車を追い越そうとして電柱に衝突、とのことで不可解な点が多いです。
運転手の発作型とかの情報が出てこないかしらん。

投稿: JSJ | 2012年4月12日 (木) 20時10分

>初診の患者がいくら「自分は昔 てんかんと診断されたが、過去5年間発作がないから診断書を書いてくれ」と言ったところでホイホイ書けるものではない

いやいやいや
そりゃそう言いたいのはやまやまだけれども、一時間圏内で唯一って町立病院に患者が来て診断書書いてくれって言われたら追い返すわけにはいかんよ
実際のところ今も猟銃の免許とかで求められてわからないまま診断書書いてる先生多いんだし
だから国に言いたいのはね、別にてんかんだけのことじゃなくて医師のお墨付きがあればいいって制度にするなら、まず誰が書くかってところから決めといてもらわないと困るわけ
そうじゃないとまじめな先生ほど書きたがらないから診断書料目的に適当に書く門外漢の先生が出てきて、結局いい加減な診断書ばっかり世の中にあふれちゃうよ
とにかくまた明日の新聞に出るような事故が起こっちゃったんだからもうこれ以上放置はありえないしで、少しでもまともな制度になるように専門家も主張していかないと大変だよ

投稿: 田舎の医者 | 2012年4月12日 (木) 22時24分

>一時間圏内で唯一って町立病院に患者が来て診断書書いてくれって言われたら追い返すわけにはいかんよ
求められれば診断する義務はあるかもしれないけれど、患者の希望通りの診断を下す義務はないのに・・・・

投稿: JSJ | 2012年4月12日 (木) 22時56分

 はぁ・・・。どうも今日の祇園の自動車衝突事故もてんかんの診断をうけていたようですが。

 日本てんかん協会又はてんかん患者支援者は、てんかん患者の運転免許取得に固執するのか。
これまで死傷者(外人の方も含め)が出ても今までどおりの啓発でいいのか。
巻き込まれた家族・知人や当のてんかん患者の家族の生活の今後のことまで説明しているのか言いたい。

 私自身去年11月新宿駅前西口で開催された日本てんかん協会の街頭啓発運動を遠くから見ておりましたが、
水色と白の警察の護送車のような車に民主党の党旗に似た白に赤の旗を棚引かせて協会関係者が車の壇上にて
てんかんについての説明や、地方では運転免許がないと買い物行くことができないと大変であると訴えていましたが、
どうも真剣身が欠け協会の車の裏で談笑する姿がみられていました。

さらには午後には男性の患者本人がトランペットを吹いておられましたが、
てんかん患者でもトランペットをふけるんだぞ(笑)という感じで滑稽でした・・・。
通行する広場ではてんかん患者の生活の向上の署名活動も行われていましたが、
多くの人が行きかう中で署名する方は年配の方が多かったでした。

地下でも協会スタッフやボランティア・精神保健福祉士さんとともに
てんかんを啓発するVTRを流したり、ポスターを掲示してありました。
なかでも子ども向けに風船を用いたゲームを開催されており午前中は閑散でしたが、
午後はぼちぼち親子連れが参加されました。
ただ一部のスタッフが精神保健福祉士さんと来賓者のいる前で関係ない話を談笑しており
本当にてんかんを啓発する気があるのかと、
そして苦しんでいるてんかん患者に真剣に向き合っているのかと疑問を抱くような姿勢がありました。

 本当にてんかん患者の生活のためであれば運転免許に固執するのではなく
鉄道・バス・国内航空の割引があり、障害者雇用義務のある身体障害者手帳のある
身体障害者福祉法にくらがえる方がお互いにメリットがあるのではないかと思う。
同じ脳障害の脳性麻痺を参考にし、

例えば難知性のてんかんを1・2級、
移動に難のある場合は3~6級に該当、
発作がなく安定している場合は7級

にする。
 
 しかし現状は日本てんかん協会又はてんかん患者支援者も最終目標は発作をゼロにすることにこだわり、
てんかんがあっても生活しやすいように支援していくことが後回しにされている感が否めない。

投稿: ふれきょ | 2012年4月12日 (木) 23時02分

『昨年ごろから発作が起きるようになり、最近も月1回程度の発作があって通院。
府警によると、藤崎容疑者は2001年に運転免許を取得し、先月5日に更新していた。けいれんを起こしたり意識を失ったりしたことがある場合、自主申告を求められているが、藤崎容疑者は伝えていなかったという。』

だそうです。

投稿: JSJ | 2012年4月13日 (金) 00時12分

ちょうどタイミング良くというか悪くというのか、京都でまた大事故があったことがこれだけ大々的に取り上げられると早急に何らかの対策を講じないことには国民が納得しません。
てんかん教会がしたたかな組織であれば一部不良患者を犠牲の子羊として差し出すことで患者全体への規制を避ける方向に動いたかも知れませんが、現状ではそういう気配がないですしね。
意見書を出して早々にこれだけの事故が起こってしまい、結果として当初よりも厳しく目に見える対策でなければ受け入れられそうにない空気が出来上がってしまったのは多くの患者にとっても残念なことでしょう。
ところで規制を厳しくするほど水面下に隠れる患者が増えると懸念されていますが、事故リスクがこれだけ騒がれると今後あるいは自動車保険あたりが一つのインセンティブになってくるのかなという気もしています。

てんかんと自動車保険
http://goo.gl/jEoB3

癲癇の持病を持つ人は、自動車保険に入ることができるの?
http://members.jcom.home.ne.jp/0110maito/2-13.htm

投稿: 管理人nobu | 2012年4月13日 (金) 07時40分

多数の被害者の方々の御冥福をお祈りすると共に、突然の不幸に見舞われたご家族の皆様方にお悔やみを申し上げます。
祇園の運転手は最近発作が出るようになって家族で転職を相談していたそうですが、突然発作を経験してそれじゃ明日から運転をやめよう、仕事もかわろうと決断できる人はまずいないでしょうし、職場の方も困るでしょう。
上の方で薬の副作用自体が危険という話も出ていましたが、現に投薬加療中の方は最初から運転を見合わせる方が無難ではあるのでしょうけど現実は…

投稿: ぽん太 | 2012年4月13日 (金) 09時17分

>「病院は車を乗ることは禁止しますとはっきり申し上げていた」(通院先の病院院長)

今回は病院に責任負わせる展開にはならなさそうだが、いずれはそうなるのかしら?

投稿: 柊 | 2012年4月13日 (金) 11時50分

管理人様へ
その方向で厳しくすると今度は無保険で事故を起こす患者さんが増える心配をしてしまいます。
そうすれば、余計に被害者を救済しにくい状況となります。
今の日本社会は都会の一部以外は車がないと生活できないように社会のシステムが構築されてしまっており、てんかんを発症したからといって都会に出ても、簡単に仕事が見つかる状況ではありませんので、今の社会状況のままで規制だけ厳しくすれば、隠れて運転する人が余計に増えるものと思われます。また、意識障害を起こしうる疾患すべてが規制されれば将来的には
「肥満度20%以上の人は免許更新時に無呼吸がないかどうかポリグラフ検査義務づけ」
みたいなことになる可能性も・・・

ぽん太様へ
薬の副作用は個人差があり、飲んでいれば一律危険というわけではありません。ただ、添付文書に書かれている以上、それ相応の対応をしなければなりません。
ここも、ルールと現実が乖離している部分の一つです。

投稿: クマ | 2012年4月13日 (金) 12時56分

祇園の事故を起こした運転手の通院していた病院側が記者会見をしてましたね。
マスゴミに好き勝手なことを書かれる前にいち早く記者会見して
守秘義務があるので、具体的な病名は言わない、事故と病気との因果関係も
はっきりしないとコメントしつつ、運転しないように本人と家族に再三説明していたと
言うべき事はしっかり言う。すばらしい危機管理体制と思います。

投稿: 浪速の勤務医 | 2012年4月13日 (金) 13時54分

規制を強化するのは悲惨な事故の回避が目的で、隠蔽がますます進んでかえって事故が増えたのでは意味がない、その点はおおむねコンセンサスが得られていると思います。
ただ結果が良くなるか悪くなるかということは短期的評価だけでなく、ある程度長い期間みていく必要がありますね。
短期的には患者の潜伏を招いても、十年二十年と世代がかわって患者の意識も変わったときにはじめて効果が現れるというケースもあるかも知れないですから。

ですからまずは社会全体として飲酒運転などと同じく隠蔽は悪いことだというイメージを形作っていくこと、そして朝令暮改にならず長期的に無理なく続けられる規制を考えていくべきです。
とうぜんですが病院や警察が対応困難なのは論外ですから、被害者や患者だけじゃなくてこうした人々からも意見をきいてからやって欲しいです。
薬のことにしても診断書のことにしても現場でいいようにやってくれでは困りますから。

投稿: ぽん太 | 2012年4月13日 (金) 14時15分

悲惨な事故に胸が痛みます。
専門家の皆さんには何が出来ないかではなく、何が出来るかを考えていただきたいです。
もうこれ以上不幸な犠牲者を産むべきではありません。

投稿: takechan | 2012年4月13日 (金) 22時48分

報道によると当時発作が起きていなかった可能性があるとも言われているようです。
ただ捜査の過程でのことだと思いますが、殺人事件を視野に入れてというのも穏やかではないですね。

<祇園車暴走>衝突後バック、再発進 殺人容疑で捜索
毎日新聞 4月14日(土)0時3分配信

 京都市東山区の祇園で12日、軽ワゴン車が暴走し、歩行者7人が死亡、11人が重軽傷を負った事故で、車を運転していた京都市西京区の会社員、藤崎晋吾容疑者(30)=死亡=がタクシーに追突した後、バックして再発進していたことが捜査関係者への取材で分かった。京都府警は13日午後、藤崎容疑者の自宅と勤務先を殺人の疑いで家宅捜索した。

 府警は、藤崎容疑者が意識がある状態で運転していたとの見方を強め、故意による暴走か捜査を進める。ただ、電柱に正面衝突しており、藤崎容疑者の持病とされる、てんかんの発作のような症状がなかったとも断定できないという。

 捜査関係者によると、藤崎容疑者の車が最初に走行中のタクシーに追突した後、バックして右にハンドルを切り、停車したタクシーを追い越して発進するのを、複数の人が目撃していた。

 その後、約170メートル先の交差点で多くの歩行者をはねたが、「藤崎容疑者はハンドルを握り、普通の運転姿勢だった」との証言が府警に寄せられている。道路右端の電柱に衝突するまでの緩やかな左カーブも、ハンドル操作せずに走行するのは難しいという。
(略(
 府警は捜索で、自宅から十数種類、数百錠の薬を押収した。抗てんかん薬とみられるものも含まれていた。府警によると、司法解剖の結果、藤崎容疑者は胸などを強打し、死因は失血死とみられる。体内から薬の成分を検出しており、今後、詳しく分析する。【堀智行、野口由紀】

投稿: 管理人nobu | 2012年4月14日 (土) 07時21分

てんかんの運転免許取得を再び禁止するとなれば、恐らく道交法に挙げられている他の病気もまとめて禁止になります。
また、禁止しても病気を申告せずに免許を取得するのを阻止することはできません。

となると、運転免許取得・更新者 全員に医師の診断書を義務づけるとか、診断した医師に警察への通報を義務づける、といった対策が考えられますが、
前者は、まず実効性ありません。個々の医師の能力や真面目さとは関係ありません。医学の限界を認識しない戯言です。
(ちなみに、現在の診断書ですら 田舎の医者さんが言うようにいい加減に発行している医師がいるとは思いませんでした。
そんなことでは、世論が「運転を許可した医師の責任を追及すべし」となるのも致し方なしです。
私は他の医師も、後々事故がおこった時のために、「診断時点では、発作の恐れなしと判断するにたる根拠があり、将来 発作があると予見することはできなかった」と主張できるだけの証拠を集めてから診断書を書いているものと思っていました。)
後者は、どんな警察国家だよ、という話ですし、対象となる病気は てんかん だけに限られるわけではない、と考えておくべきです。

結局のところ、病気を隠して運転を続けるよりも病気を理由に免許を辞退したほうが得、となるように制度設計するのが上策だと思います。
ただし病気はてんかんである必要はないわけで、昨今の経済状況なら、仮病を使って特典を得ようとする人も現れるでしょう。
損得のバランスをとることが重要です。
いづれにしても医療者だけで決められるような制度ではありません。
「専門家の皆さんは」などと人任せにしていられることではないです。

投稿: JSJ | 2012年4月14日 (土) 11時50分

>私は他の医師も、後々事故がおこった時のために、「診断時点では、発作の恐れなしと判断するにたる根拠があり、将来 発作があると予見することはできなかった」と主張できるだけの証拠を集めてから診断書を書いているものと思っていました。)

さすがにそれも田舎を舐めすぎと思われ

ともあれ、医療者だけで決められないがゆえに医療者が積極的に意志表示しなければその他大勢に好き勝手されてしまう危惧がある
診断書一つでお墨付きという事態だけは避けなければ

投稿: kan | 2012年4月14日 (土) 12時21分

今回の加害者はてんかんと診断されていたということですが、発作だけでは説明を片付けられないようです。タクシーへの衝突後、バック、ハンドル操作で回避、急加速を行っているようです。昨日は殺人事件として再度現場検証が行われたとのことです。

いつも思うのですが、「車は凶器」と言っておきながら車自身に何らかの安全機構を追加するという考えが不思議と出ません。薬物中毒の輩が同様の事件を起こす可能性だってありまし、当て逃げした犯人が逃走で急加速しさらなる事故を起こす場合もあります。

トヨタのVSC(横滑り制御)の初期モデルでは危険な運転をするとアクセル制御をしていました。俗にいう「お仕置きモード」です。今回のような衝突事故などを起こすと(一定以上の衝撃が加わると(衝突、ひき逃げなど))、急加速を1時間程度できなくするというのを義務づけできないですかね。そうすれば、一度目の衝突以後は急加速できないので、今回のような被害を減らせるはずですし、逃走する輩も防止できるはずなのですが。

投稿: | 2012年4月15日 (日) 06時56分

アイサイト(スバル)の装置を義務化すればよいかと

投稿: | 2012年4月16日 (月) 14時58分

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