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2012年4月 3日 (火)

日医会長選は横倉氏が当選

すでにご存知の通り先日4月1日に日医会長選が行われましたが、下馬評の通り全副会長の横倉氏が当選したということです。

日医会長選、横倉氏が初当選 「親民主」の現職敗れる 自民党との関係修復へ(2012年4月1日産経ニュース)

 日本医師会(日医、会員約16万5千人)の会長選挙が1日行われ、決選投票の末、横倉義武副会長(67)が、現職で再選を目指した原中勝征会長(71)を破り初当選した。

 「親民主党」路線を主導した原中氏が敗れたことは次期衆院選をにらみ、業界団体の「民主離れ」が加速していることを裏付けた。古賀誠元自民党幹事長ら自民党幹部と太いパイプを持つ横倉氏の会長就任により、日医は自民党との関係修復に向け、路線転換する公算が大きい

 会長選は357人の代議員が投票。1回目の投票は横倉氏154票、原中氏137票、森洋一京都府医師会長(64)65票、無効1票でいずれも有効投票総数の過半数を獲得できなかった。決選投票の票数は、横倉氏192票、原中氏164票、無効1票だった。

 選挙戦は「政治との距離」が争点となった。横倉氏は原中氏を「民主党特定勢力への行き過ぎた傾斜」と批判、自民党などへの配慮を訴え、支持を集めた。

 原中氏は小沢一郎民主党元代表とのパイプを武器に政権交代直後の前回会長選を制した。今回は平成24年度診療報酬改定での報酬アップなどの実績を訴えたが、及ばなかった。森氏は「政治的中立」を訴えた。

 横倉氏は当選後の記者会見で、政策実現に向け野党にも働きかけを強める考えを表明。原中氏が見送りを表明した来夏の参院選での組織内候補擁立についても「そういう方向で考えてもらいたいとの意見は多い」と前向きな考えを示した。

日本医師会:会長に横倉氏 「親民主」への反発、追い風(2012年4月2日毎日新聞)

(略)
 争点は「政党との距離」。政権交代翌年の前回選は「親民主党」を掲げた原中氏が初当選した。だが、低迷する民主党政権への地方医師会の反発は強く、横倉氏は福岡など九州8県に加え、東京、大阪、愛知各都府県の支持を受けて143票の「基礎票」を固めた。原中氏は民主色の払拭(ふっしょく)に努めたものの、かなわなかった。ただ、横倉氏は原中執行部の副会長。反旗を翻し、都市部を固めて流れを作ったことへの批判も強く、九州のある代議員は想定外の「苦戦」だったことを認めた。

 横倉氏は久留米大医学部卒。福岡県医師会長などを経て10年4月から2年間、日医副会長を務めた。「温厚で敵が少ない」と評される半面、「人の意見を聞きすぎるところがある」(地方医師会長)と指導力を不安視されている。横倉氏は自民党の古賀誠元幹事長の地元後援会長を務めているが、当選後の記者会見では「政権与党は大事。衆参のねじれを考えると野党ともしっかり対応したい」と述べるにとどめた。【鈴木直、中島和哉】

医師会長選、横倉氏が当選 親民主の現職破る(2012年4月1日日本経済新聞)

 日本医師会(日医)は1日の会長選挙で、副会長だった横倉義武氏(67)を新会長に選出した。親民主党で2期目を目指した原中勝征氏(71)は決選投票で敗れ、日医の民主離れが今後加速する可能性がある。選挙後の記者会見で横倉氏は「政権与党は大事だが(ねじれ国会の状況を踏まえ)野党にもしっかり対応していく」と語った。
(略)
 政局の混迷が続くなか、民主党政権との距離感が選挙戦の争点となった。民主党政権に近い原中氏に対し、横倉氏は自民党にもパイプを持ち、与野党との等距離外交を強調。出身の九州のほか、東京や大阪などの大都市部を中心に支持を広げた。来年の参院選への対応については「地域の意見を踏まえ、方向性を固めていきたい」と述べるにとどめた。

 優先課題には「地域医療の立て直し」を挙げた。原中体制よりも「スピード感をもって政策を実行していく」という。ただ選挙戦では「政策論争が深まらなかった」(落選した森氏)との指摘があり、具体的な施策をどう提示していくのかが問われることになる。

「民主寄り」のイメージ裏目?日医会長選で敗北/茨城(2012年4月2日読売新聞)

 任期満了に伴い1日に行われた日本医師会(日医)の会長選で、茨城県医師会の原中勝征氏(71)は、現副会長で福岡県医師会の横倉義武氏(67)に敗れ、再選を逃した。

 都内のホテルで同日開かれた結果報告会で原中氏は、「一生懸命やったが評価されずに残念」と振り返った。

 県医師会は、2009年の衆院選で民主党躍進の原動力となった原中氏を支持し、診療報酬2回連続プラス改定などの実績を他県の医師会にもアピールしてきた。斎藤浩会長は「我々の主張が浸透していなかったのが残念。『民主党寄り』というイメージが強かったことが裏目に出たかもしれない」と、無念さをにじませた。

 一方、原中氏の落選の報は、県内の民主党関係者にも衝撃を与えた。前回衆院選で「医療対決」として注目を浴び、6区で元厚相の丹羽雄哉氏(自民)を破った大泉博子議員は、「(診療報酬の改定など)大きな成果を上げたのに本当に残念」と語った。

 民主党県連の長谷川修平幹事長も、「民主党がもっとしっかりやっていれば違った結果になったかもしれない」と話した。

前評判に反して意外に接戦になったなというのが正直な感想なのですが、実際に横倉氏陣営にしても苦戦したという印象を持っているようで、最終的には自身の求心力というよりも原中氏側の遠心力によって勝利を決めたというところでしょうか。
いずれにしても原中氏個人の手腕がどうこうと言うよりも過去史を精算する形で民主党支持を明確に打ち出したこの2年間が大きな逆風を呼んだのは間違いないところで、各紙がそろって次の選挙に対する影響など書き立てているように、妙な話ですが久しぶりに圧力団体としての日医の存在感を示したという形でしょうか。
無論実際に独自候補を立てて選挙に臨んだところでまた落選の憂き目を見るのが関の山でしょうし、そもそも一党時代から二大政党時代となって政権交代が今後も予想されるというのに特定政党に対する距離感がどうこうといった話が争点になるというのもおかしな話で、例えば次回選挙で民主党が野党に転落したとしても次回2年後の診療報酬改定は現民主党政権が選んだ人々を中心に議論される可能性が高いという矛盾があるわけです。
そう考えると政治ごっこをやるのが目的なのか手段なのかと考えてしまいますし、そもそも何十万人といてそれぞれ立場も利害も異なる全国の医師達に共通の目的を日医という一団体が決められるのか、業界団体としてのあり方について日医自身が抜本的に考え直す機会にした方がよさそうですよね。

日医自身のあり方はともかくとして、わざわざ副会長ポジションから「下克上」をしてまでトップの座に就いた横倉新会長としては結局何をやりたいのかということが一番重要なところですけれども、選挙公約としても掲げられた「地域医療の立て直し」を優先課題に挙げていると言いますけれども、この地域医療ということが何を意味するのかですよね。

地域医療の充実と支援(横倉氏選挙公約より抜粋)

地域医療は、それぞれの地域で必要とされる医療を適切に提供していく仕組みである。人口の大小にかかわらず、地域で作り上げ、地域で完結できる、その特性を生かした地域医療計画を尊重すべきである。国が制度として、画一的な提供体制を押し付けることの無いよう、地域医師会からの情報を収集し、それを反映できるしっかりとした支援策を講じる。

地域医療というと例えば地方や僻地での医療をどう守るかということがよく話題になりますが、大都市の真ん中でプライマリケアを担当しているビルクリニックの先生も立派な地域医療担当者であるわけですし、実際に横倉氏自身も今回の選挙では三大都市圏の票を固めて当選に結びつけたように別に地方に強いというわけでもなさそうです。
同氏の選挙公約の記載から氏にとっての地域医療の位置づけというものが何となく見えてきますが、特に注目したいのが「それぞれの地域で必要とされる医療を適切に提供」だとか「地域で作り上げ、地域で完結できる」といった文言で、あるいは昨今しばしば議論にあがる単なる自治体の境界による区分に留まらない医療圏の再設定といったことを考えているのでしょうか。
そう考えると2010年末の社保審医療部会で現在都道府県単位になっている二次医療圏の設定が実情に合わないのではないかという声が挙がった際、、「(医療圏は)地域の実情に応じているかどうかを加味して考えるべき」と主張したのが他ならぬ横倉委員(当時)であったことは注目されるところで、恐らく近いうちにこのあたりを切り口にした横倉氏なりの原案が出てくるんじゃないかという気がします。

いずれにしてもまずは政権との距離感云々という話だけでも日医内部での混乱も予想されるだけに、落ち着いて新執行部としての独自見解を発信出来るようになるまではもうしばらく時間がかかるんじゃないかと思いますけれども、今の調子ですとそれが次の総選挙に間に合うのかという疑問もありますよね(苦笑)。
そこで当座の課題として手頃なネタでも取り上げてまずは何かしら主張してみられてはどうかと思うのですが、公約にもあった医師法改正などと言った話になるとまた議論もまとまらないでしょうから、手始めに4月からの診療報酬改定でも残ってしまったと不満の声も多く、地域医療とも密接な関係があるこんなところから手をつけてみられてはどうでしょうね?

【参考】どう考えても継続不可能、「50円」で医師が24時間対応する制度(2012年4月2日JBpress)

今の時代のリーダーは「人の意見を聞き」「敵が少ない」旧来の調整役タイプよりも、ちょっと毒があるくらいガンガン主張していく独裁者タイプの方が受けがいいようですし、それくらいの勢いもないことには日医という旧態依然とした組織は変えようがないかなという気がします。
 

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コメント

厚労省や文部科学省の医療や医学教育の会議で、日本医師会を徹底的に糾弾あるいはシカとするか、干すかして、存在を否定しておいたほうが日本の医療が良くなると思うんですがね。

なんにでも口出して、内容のお粗末な提言や主張を繰り返しているという印象が日本医師会にあります。
ただ単に、日本の医者を牛耳りたい権力志向なだけ。
厚労省よりもたちが悪い。

投稿: とある内科医 | 2012年4月 3日 (火) 09時26分

最近存在感を出そうと妙にやる気になっている様子なのが気になるんですが。
会員である年配の開業医達の利益を損ねるわけにはいきませんから、身代わりに若い勤務医を差し出します、お好きに使ってくださいとでも言い出しそうな気がして。
勤務医もそれなりに入会していると言っても実際には病院が強制的に加入させているだけとか、あるいは勤務医とは名ばかりで経営に近い立場の人達が多いですから意見が偏るのも仕方ないですけど、露骨すぎるのもちょっと…
かといって全医連もいまさらって感じですし、ほんとうに逃散や個人闘争くらいしか勤務医の意志を示す手段はないんでしょうか。

投稿: ぽん太 | 2012年4月 3日 (火) 09時47分

>古賀誠元自民党幹事長ら自民党幹部と太いパイプを持つ
>自民党の古賀誠元幹事長の地元後援会長を務めているが、

…微妙。まあミンスよりはマシか。
ちなみに某古賀氏の地盤に時々釣りに行くんですが、このご時勢にヤマメが釣れるようなド田舎で工事しまくりw

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年4月 3日 (火) 09時49分

経営に近い立場と言えば、横倉先生の病院を拝見しましたが立派なもので、温厚で敵が少ないと言われると金持ち喧嘩せずか?なんて言葉を想像してしまいます。
http://www.yokokura.jp/hosp-summary/hosp-history
こういうお金持ちの先生に奴隷労働とも言われる末端勤務医の気持ちが理解出来るかどうか、そもそもサラリーマンの声を経営者が代弁するっておかしいんじゃないかとも思ってしまうのですけど。

投稿: 管理人nobu | 2012年4月 3日 (火) 12時44分

個々の勤務医の待遇改善には黙って逃散が一番効果的だと結論が出たからなあ
日医がこだわる診療報酬も勤務医には直接関係ない話ではあるし
つまりは主たる会員達の代弁者と考えると日医は正しい主張をしているとも言えるか

投稿: kan | 2012年4月 3日 (火) 15時12分

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