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2012年4月 2日 (月)

急速にリアル社会に波及し始めたネットの影響

巨大掲示板「2ちゃんねる」を巡る騒動はなおも捜査が進んでいるようですが、そんな中で先日気になるニュースが出ていました。

米グーグル:検索予測差し止め命令…東京地裁仮処分(2012年3月25日毎日新聞)

 大手検索サイト「グーグル」に実名などの文字を入力して検索する際、途中から予測文字や補足情報を表示する「サジェスト機能」を巡り、日本人男性がプライバシーを侵害されたとして、米国のグーグル本社に表示差し止めを求める仮処分を申請し、東京地裁(作田寛之裁判官)が申請を認める決定をしたことが分かった。だが、米グーグルは「日本の法律で規制されない」と拒否し、被害が救済されない事態となっている。決定は19日付。【中川聡子】

 ◇米グーグル拒否「日本の法律で規制されない」

 男性側によると、男性の実名を入力しようとすると、途中からフルネームとともに犯罪行為を連想させる単語が検索候補の一つとして表示され、それを選択すると男性を中傷する記事が並ぶという。

 男性は数年前、当時の勤務先で思い当たる節がないのに退職に追い込まれ、その後の就職活動でも採用を断られたり内定が取り消されたりする事態が相次いだという。このため調査会社に調査を依頼。その結果、あたかも犯罪に加担したかのような中傷記事がインターネット上に1万件以上掲載され、その中傷記事にサジェスト機能でたどり着くことが分かった。

 男性は弁護士に相談の上、グーグル側に記事を削除するよう求めたが応じてもらえず、昨年10月に「被害が重大で緊急に削除すべきだ」として、サジェスト機能の表示を差し止める仮処分を申請。地裁は男性側の主張を全面的に認め、差し止めを命じる決定をした

 男性側は当初、グーグルの日米両法人を相手取っていたが、日本法人は「削除権限は米法人にしかない」と主張し、訴えの対象から除外した。残る米グーグルは「単語を並べただけではプライバシー侵害に当たらない。単語は機械的に抽出されており恣意(しい)的に並べているわけではない」と主張。「社内のプライバシーポリシー(個人情報保護方針)に照らし削除しない」として、決定に従わないことを回答してきたという。

 グーグルの検索エンジンはヤフーにも採用され、国内検索サイトのシェアを事実上独占している。

 男性は代理人の富田寛之弁護士を通じ「グーグル側が決定に従わないことに憤りを感じる」と述べた。富田弁護士は「弱い立場の個人や中小の事業者は、こうした検索結果が表示されるだけで失職や倒産など取り返しのつかない被害が生じる。日本での被害なのに、決定は米法人に執行できない。被害救済を実現するには法整備が欠かせない」と訴えている。

 ▽グーグル日本法人広報部の話 この件については現在、対応を検討している。

いろいろと考えさせられる記事なんですが、とりあえず非常に多くの企業が採用に当たって「とりあえずググってみている」らしいということが判る話でもありますよね。
ご存知のようにグーグルと言えば各地でプライバシーを侵害していると「ストリートビュー」が提訴されたりだとか、著作物データベース化に関して著作権者と争いになっていたりといささか強引な手法も目立っているところですが、今回の事件にしても好意的に受け取れば検索サイトとしての利便性向上のための処置が思わぬ副作用を産んだという形でしょうか。
グーグルの検索に関してはかねて利用者に一定方向への誘導を行うことになると批判があり、自社を宣伝したい企業向けに検索順位を上げる裏技があるだとか色々と噂もありますが、特にこの検索予測という技術は使いようによっては非常に危ういことになるのではないかなと見ていたところです。
記事から見る限りではいささか対応が不誠実ではないかなとも思いますし、こうした不都合な個人情報も敢えて削除しないというのであればそれによる損害を負担する覚悟をしなければならないとも思うのですが、いずれにしても同社としては人類が使うすべての情報を集め整理するという社是を持っていると言いますから、情報集積度が高まるほどこうした対立は必発だと言えそうです。
そうした場合に個人対巨大組織という構図であれば普通個人の側に肩入れしたくなるのが人情というものなんですが、どんな個人でも巨大メディアと全く同じように情報発信の機会を持てるようになったネット時代にあってはいささか難しい状況になっても来ているようなのですね。

「口コミ」批判:投稿者の情報開示求め、富山の病院が提訴(2012年4月1日毎日新聞)

 インターネット上での匿名の投稿で名誉やプライバシーが侵害されたとして、投稿者に関する情報の開示を求める動きが広がりつつある。「口コミ」サイトに「患者を人間と思わない」などと投稿された富山県高岡市の産婦人科病院がこのほど、投稿者情報の開示を求める訴訟を富山地裁高岡支部に起こした。専門家は「根拠なしに悪意で相手をおとしめる誹謗(ひぼう)中傷は犯罪にあたる」と警鐘を鳴らす。

 訴状によると、昨年5月、病院の口コミ情報サイトに同病院について、具体的事実を示さず「患者を人間だと思っていない医者がいます。軽い気持ちで診療を受けると、一生心の傷を受けます」などと投稿があった。投稿者は匿名だが、NTTコミュニケーションズ提供のネット接続サービスの利用者であることが病院の調査で判明。病院は同社に投稿者情報の開示を求めたが、拒否されたという。

 病院側は「(投稿は)病院の社会的評価を低下させることに主眼がある」と指摘。投稿者が判明次第、損害賠償を求める方針だ。同社は取材に対し、「係争中でコメントできない」としている。【大森治幸】

 ネット犯罪に詳しい甲南大法科大学院の園田寿教授(刑事法)の話 公共性のある事実を公共目的で投稿した場合、それが真実であれば罪に問われないが、具体事例を示していない場合は、信用毀損(きそん)罪にあたる可能性もある。投稿が思わぬ被害を与えることもあり、情報を発信する時は、自覚が必要だ。

今回実際に病院の状況がどうであるのかということは実情を知らない以上何ともコメントしようがありませんけれども、別に病院と限ったことではなく何が対象であれこうしたケースは幾らでもあり得るだろうなとは感じられる記事ですよね。
当「ぐり研」ももちろんその一つですが、およそブログにしろSNSにしろ個人的見解というものから完全に離れていられるものではなく、たとえ単に公になった情報を転載、引用するだけのサイトだったとしてもその取り上げ方そのものに主観が含まれていることは、マスコミ各社が長年恣意的に行ってきた情報操作によっても証明されていることです。
感情的とも取れるような激しい書き込みほど「よほどひどい目にあったんだな」と一面で共感を呼びやすいところもあるようで、テレビを中心とするマスコミなどは敢えてそういう部分を切り出して使うことがお得意ですけれども、それでも本人にとってはそこに何らかの真実があるのだとすればたとえ客観的根拠のない書き込みであっても、まだしも理解出来る余地はあるでしょう。
ところがそこに商売上の利害関係などが絡んできますと、意図的なでっち上げや細事を針小棒大に誇張するようなやり方で情報操作を行い利益を得ることが出来ると言うことですし、何も大金を掛けずとも個人がちょっとした手間を掛ければ大きな効果が得られると判れば利用したくなる人も多いはずです。

年末年始にかけて話題になった「食べログ」のヤラセ投稿問題にしても、その後「ステマ」という言葉を一躍流行語に押し上げるほど知れ渡ることになりましたが、いずれにしても昨今何かと身辺忙しいだろう(苦笑)ひろゆき氏の言うところの「嘘を嘘と見抜けないと難しい」話じゃないかと言うのは簡単ですが、スマホの急激な普及もあってそんな話は何も知らなかったというネット利用者が急増しているのも確かですよね。
ネットを利用していく上で大多数の善意だが無知な利用者をどう教育していくかということは、そのまま一部の意図的な悪意をもって行動する人達を排除することにもつながっていくはずですし、ネット規制を主張する人達に対抗する手段として利用者一人一人に課せられた当然の義務でもあるはずです。
もともと会員制だった頃の初期のパソコン通信などでは自主規制のルールがかなり徹底されていたものですが、公的なネット利用の規制強化に向けた動きが進んでいく中で利用者自らが手助けして自分の首を絞めるようなことにならないためにも、ネット空間の利用においても実社会同様に当たり前の良識は持ち合わせておくべきではないかと思いますね。

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コメント

元管理人側に広告収入 2ちゃんねる覚醒剤書き込み放置 当時の運営関与か
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120329/crm12032908080000-n1.htm
2ちゃんねる管理会社、実体なし…日本で運営か
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120327-OYT1T00043.htm
2ちゃんねる「ひろゆき」を逮捕したがっているのは誰?
http://news.mynavi.jp/c_cobs/news/getnews/2012/03/2-38.html

投稿: ひ○ゆ○オワタ? | 2012年4月 2日 (月) 08時41分

富山の話は実際にどういうことがあったのか判らないですからねえ…
せめて一方的な情報であっても当事者が何を言ったか判ればいいんですが、これじゃまともな患者もクレーマーも区別しようがないですから。
そうかといって具体的な話を書き込むと今度はプライバシー流出につながりますから、ネットでの正しい評価って難しいです。

投稿: ぽん太 | 2012年4月 2日 (月) 12時09分

マスコミの報道もいつものパターンですけど、2ちゃんの件では当の利用者が醒めてますよね。
あくまでも2ちゃんはそこにあった場所の一つであって、別に2ちゃんでなければならないってわけじゃないと改めて感じているというか。
なにか一部報道に感じるヲタクの聖地みたいな扱いには違和感を感じてしまいますし、別に2ちゃんが無くなれば犯罪も消えるってわけでもないんですけどね。

投稿: 管理人nobu | 2012年4月 2日 (月) 14時01分

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