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2012年4月 6日 (金)

てんかん事故 その後の顛末

風邪を引いてちょっとまだ体調不良なんですが、キリンチャレンジカップでのなでしこジャパンの冗談のような優勝ぶり(初戦引き分け後の第二戦でブラジルから4点以上取って3点差以上で勝利すると優勝の局面で4-1の勝利)に思わず笑ってしまいちょいと気分が良くなってきました。
さて世の中なんでも良い話ばかりであればうれしいのですがもちろんそういうこともないので、こちらは以前から予想されていたことですが、思いの外大きな運動になってきたとも感じられるのがこちらのニュースです。

“厳罰化”求める署名 30万人超す(2012年4月5日NHK)

栃木県鹿沼市で持病のてんかんを隠して免許を取った男が小学生6人をはねて死亡させた事故で、遺族らがこうしたケースの事故の厳罰化を求める30万人を超す署名を集め、近く国に提出することになりました。

去年4月、栃木県鹿沼市で持病のてんかんを隠して免許を取った男が運転するクレーン車が小学生の列に突っ込み児童6人が死亡しました。
男は医師の忠告に従わず運転を続けて事故を起こしましたが、飲酒運転など悪質な事故に適用される危険運転致死傷罪ではなく自動車運転過失致死の罪で起訴され、法律の上限の懲役7年の判決が確定しています。
この判決について、遺族は刑が軽すぎるとして去年12月から署名活動を始め、このほど署名の数が30万人を超しました
署名では、持病のてんかんを隠すなど悪質なケースは上限が懲役20年の危険運転致死傷罪を適用することや、申告が義務づけられている病気を隠して免許が取得できないようチェック機能を強化するよう求めています。
遺族らはこの署名を今月9日に法務大臣と国家公安委員長に手渡す予定で、引き続きこうした事故の再発防止に取り組んでいきたいとしています。

ちなみにこの署名に協力した人の話によりますと大変丁寧なお礼状が届いたそうですが、30万人にいちいちお礼状を送るというのも大変な手間とコストだったのではないかなと思います。
この栃木のクレーン車事故の経緯については当「ぐり研」でも取り上げてきたところですが、過去にも事故を繰り返し執行猶予中だったにも関わらず免許更新時に申告もせず、医師の指示も無視し服薬も怠った上に前日も深夜まで遊んで睡眠不足の状態のまま出勤して事故を起こしたという、ちょっとどこをどう弁護していいものか判らないような状況で、遺族が母親や勤務先も民事訴訟の対象にしたこともお伝えした通りです。
こうした背景事情が明らかになるにつれて当然ながら世論も沸騰してきたわけですが、てんかん患者に関しては元々運転免許取得が禁止されていたものを最近条件付けで取得可能になったという経緯があり、そうなると「なぜこんな危険な病気なのに車を運転していいなどと言い出したのか」と法改正自体の是非を問う声も挙がってきています。
こうした場合に色々と考え方があると思いますが、現実問題として無闇に全面禁止とすれば当然疾患を隠して免許を取得し事故を起こすというケースが増えるわけですから、きちんと疾患のあることを申告させた上で医学的に妥当だと判断された者には免許を与えるというやり方は、社会的にリスクを管理するやり方としては決して間違っているとは言えません。
ただ今回のケースもそうですが一連のてんかん患者による交通事故を通じて、多くのてんかん患者がそうであると申告しないまま免許を取得し、事故を起こしてもいねむりなど別な理由で処理されているという現実が浮かび上がってきている訳ですから何かしらの対策を、特に疾患自体を隠蔽するということに関して対策を求めたくなるというのもこれまた当然の反応ではあるでしょう。

ちなみに栃木でのクレーン車事故を受けててんかん協会が声明文を発表していましたが、それにはこのように運転手の社会的責任の欠如を指弾する文言があり、同協会としてもこうした事例に関しては批判的な態度を取っていることが判ります。

今回の加害者(運転手)の治療や免許取得状況などは分かりませんので、具体的にコメントをすることはできませんが、病気を申告せず運転免許を取得し、発作も抑制されていなかったとされています。それが事実なら、自動車の運転は認められないにも関わらず運転していたことになり、社会的責任が欠如していると言わざるを得ません。

多くのてんかんのある人たちが、治療や生活の自己管理に努力を払い、法律の下運転免許を取得したり、取り消しを受けたりしている中での今回の事故は極めて遺憾であります。

世の中の流れとして飲酒運転厳罰化に見られるように自分できちんと把握すべきリスクを無視して社会に損害を与えた場合、通常よりも重い責任を負うべきだという考えが主導的になってきているようで、市民感情に照らし合わせてみても隠蔽など故意が認められるケースについては相応の厳罰化をという主張には賛同する声も多いのではないでしょうか?
そうなると長年社会の偏見と闘い患者の免許取得を勝ち取るなどの活動を続けてきたてんかん協会など業界団体がどのような態度を取るかが気になりますが、前述のように大多数の真面目な患者の努力を無にするような社会的責任の欠如した行為は許されないと厳しく弾劾しているわけですから、少なくとも疾患を隠したり治療を怠ったりする事に対する処罰には表だって反論する筋合いではないと考えられそうですね。
もちろん現在の政治情勢下で直ちに法改正に向けて動き出すとも思えない状況ではあるのですが、実は意外に多くの交通事故がてんかんを始め何らかの防げる要因に起因しているのではないかと思える節もあり、社会の多くの人々が一定の対策を求めているだろうと想像されるわけですから、警察等関連各方面でもどのような規制が望ましいのかいずれ検討が行われることになりそうな気がします。
てんかんなんて危ない病気持ちに車を運転させるな!なんて過剰反応を招かないためにも、ルールを無視して好き勝手をし自らリスクを引き上げるようなことをするのは許さないという姿勢は必要ではないかと思いますね。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

なでしこおめでとうでした。

いつか医師の責任も問われる日が来ると思って慎重に診療していくしかないですね。
でも規制強化についてはやっぱり協会は反対するんじゃないでしょうか?

投稿: ぽん太 | 2012年4月 6日 (金) 10時55分

厳罰化が、予防策として有効かどうかですね。
このグラフ http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/57/image/image/h1-3-1-03.jpg を見ると
酒気帯び・酒酔いの違反件数はH12年から減り始めていて、危険運転致死傷罪の新設(H13年11月)や改正(H19年5月)、道交法改正(H19年9月)
といった いわゆる厳罰化とは別の要因も考える必要がありそうに思います。

投稿: JSJ | 2012年4月 6日 (金) 12時11分

直接的な厳罰化の効果というよりも、その前段階として飲酒運転による悲惨な事故などが社会的関心を呼び法改正に結びついた、そうした世論の動き自体が違反を減らしたとも考えられますね。
そういう点から考えると今回30万人の署名が集まったという事実は決して小さなものではないし、これでマスコミが大々的に特集記事などを組んだりで社会の関心を煽れば法改正が無くとも事故は減っていくかも知れません。
ただ最近社会全般が既得権益に厳しいのは確かで、今後てんかん持ちが事故を起こしても無罪になったといった判決が続けば「てんかん無双か!」などと一気に世論が沸騰しそうですね。
いずれにしても遠からず協会などからもコメントが出てきそうな気がしますので、また続報を取り上げていきたいと思います。

投稿: 管理人nobu | 2012年4月 6日 (金) 14時18分

遺族の方々にブレインがついているのかどうかだな
この問題は攻め方を間違えるとうまくいかない可能性が高い

投稿: kan | 2012年4月 6日 (金) 16時03分

 私自身疑問に思った点があり、

 まず2002年の道路交通法改正後1年後の月間「波」(日本てんかん協会発行)2003.6月号
特集「道路交通法改正から一年」~免許を取ろう~
http://www.geocities.jp/i_nami_08/douro.html
には運転免許だけで各種免許には言及されていません。

しかしクレーン事故後の日本てんかん協会の声明(2011年4月21日)の中には

「てんかんのある人は、服薬中であっても発作が抑制されていると認定された場合には、運転免許の取得が可能です。
ただし、運転を職業とする免許は取得できません」

医師ではないのに日本てんかん協会が勝手に解釈していいのか?

 あと現在てんかん協会を含めた障害者・患者団体が主流で動いているのは、
当事者・支援者・家族を含めて中高年の方・・・団塊の世代又はその前後が目立ちます。
ただその世代の特徴として自己主張が強いことです。
これは諸刃の刃になり、周りの主張に耳を傾けず、顧みない問題が発生します。
このてんかん患者の運転免許問題でも、服薬軽視や睡眠不足によるてんかん発作の死傷事故が発生しているのもの
関らず、
「てんかんを理解してくれ」
「運転免許は生活する上で欠かせない」
「てんかんへの差別・偏見が残っている」
と事故への被害者・遺族を軽視した人格・人間性を疑うような発言が目立ち痛すぎます(あっ、前任者の日本国首相もおんなじ傾向だ・・・)。

 こういった自分たちの権利を拡張する時代は終わりつつあり、
自分たちの障害・疾患の特性に似合った支援・生活を求めていくことが大事なのではないか。
例えば2012年3月19日のクローズアップ現代「仕事は会社の外で~広がるテレワーク~」
http://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/200/113069.html
のような仕事や、ネットを利用した買い物を勧めることも1つの方法だろう。
 勿論体調に合わせて自家用車もしくは公共交通機関を利用して
病院通院や買い物、行楽をすることも生きていくうえで大切であるし。
就労もこれまでつながりが殆どなかったハローワーク・各種就労機関・民間企業そして医療機関の協力も
欠かせない。逆に働かないことで生活保護が増えたり、鬱などの2次障害でてんかん発作が悪化する恐れも高い。
これではますます生活保障費や医療費負担が増えていってしまう…。
 さらにソーシャルファームといった、てんかん患者や刑務所からの出所者などの労働市場で不利な立場にある人々に対して、
仕事を生み出し、医療などの支援付き雇用の機会を提供することに焦点をおき、市場の相場に合った賃金、労働条件で生産活動を行い、製品・サービスを市場で販売。そこで得られた利益を事業に再投資し社会的目的を実現させるビジネスもこれから必要になってくるでしょう。

 結論としては、建設的な提言もせず、自己主張ばかりしている障「害」者団体は、本当の「害」であると。

投稿: ふれきょ | 2012年4月 7日 (土) 01時28分

協会がアレな団体ってのは周知の事実だろw
単なるプロ弱者の圧力団体に何を期待しろとww

投稿: aaa | 2012年4月 7日 (土) 07時23分

「てんかんを理解してくれ」
「運転免許は生活する上で欠かせない」
「てんかんへの差別・偏見が残っている」
と事故への被害者・遺族を軽視した人格・人間性を疑うような発言

を繰り返して頂いて自滅、を期待w

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年4月 7日 (土) 10時12分

まあ協会の実態云々も含めて、今まで一般の方々があまり関わってこなかったこうした領域に関心が向くようになったのはよいことだとは思います。
きちんと情報を知りリスク評価などもした上でそれでは社会としてどう対処するのが妥当なのかと考えていくのが正しい筋道で、どちら方向にしろ妙なバイアスがかかってしまうのは避けたいところですね。

投稿: 管理人nobu | 2012年4月 7日 (土) 10時57分

>医師ではないのに日本てんかん協会が勝手に解釈していいのか?
以下の文章が正確ですね。

(5)なお、日本てんかん学会は、現時点では、てんかんに係る発作が、投薬なしで過去5年間なく、今後も再発のお それがない場合を除き、通常は、大型免許及び第二種免許の適性はないとの見解を有しているので、これに該当する 者がこれら免許の申請又は更新の申請を行った場合には、上記(2)及び(3)の処分の対象とならない場合であっても当 該見解を説明の上、当面、免許申請・更新申請に係る再考を勧めるとともに、申請取消しの制度の活用を慫慂するこ ととする。

投稿: JSJ | 2012年4月 7日 (土) 11時02分

あまり世間の声に配慮しすぎても某医師会のように今度は患者の敵扱いされかねない
業界団体のさじ加減も難しいんだろうな

投稿: kan | 2012年4月 7日 (土) 11時55分

基礎疾患持ちによる事故が相次ぎ報道されるようになると、例えば重大事故を起こした場合はある程度医学的スクリーニングを求める声が出るでしょうか。
また大企業では入社時健診の扱いなども非常に厳しくなってきていますが、何かあれば企業責任も問われる時代ですから、職業的な運転手には企業独自のチェックを入れるようになってくるかも知れません。
船舶乗務員などでは結構独自に薬物チェックなどを行っているところも増えているようですし。

投稿: 管理人nobu | 2012年4月 9日 (月) 08時24分

後、ドライブ中にフ〇ラしているやつ、視力悪いのに裸眼で運転しているやつ、漫画読みながらの運転、うんこ漏れそうなの?ってくらい、接近してくる運転、ハイヒール運転、助手席に動物のせるやつ 
こいつらも事故起こしたら、懲役55年で。

投稿: 藤崎容疑者 | 2012年6月10日 (日) 06時01分

現実問題てんかん病事故よりも飲酒運転事故が多く事故後取り調べで飲酒運転を誤魔化そうとしたり、最悪はひき逃げしてたりと…飲酒運転も免許証所得段階、更新で講習で飲酒運転はいけないと厳重な注意を受けて免許証交付受けているのに毎日のように飲酒運転検問で捕まったり、事故はある…てんかん病持ち者に対する差別、精神的侮辱がマスコミ、ネットへの投稿が過剰だ(-"-;)

投稿: おちび | 2014年2月 5日 (水) 08時57分

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