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2012年3月 9日 (金)

お年寄り=弱者ではなくて

先日は高齢者の終末期医療とも絡んだ話を取り上げた際に、表向き何を言ってもやはり本音の部分ではお年寄りにお金をかけたくないのだという意図があるだろうという話をしましたが、どうも最近では本音の部分を表に出してくることを躊躇しなくなってきているようです。
しかしひと頃であれば「何たる弱者いじめ!」と進歩的な人々が政権攻撃の道具に使いかねなかったかも知れないような発言もさらっと流されているあたり、マスコミもさすがに世論の変化を感じてきているということなのでしょうか?

70-74歳、2割負担にできず残念- 小宮山厚労相 (2012年3月6日CBニュース)

 小宮山洋子厚生労働相は6日の衆院予算委員会で、70-74歳の医療費の窓口負担を1割にする措置が2012年度も継続することに関連して、「残念ながら(2割負担に)できなかったと、わたし自身もそう思っている。でも来年は必ずやらなければならない」と述べた。自民党の小泉進次郎氏への答弁。

 70-74歳の医療費の窓口負担は、08年4月から2割(現役並み所得者は3割)と定められている。しかし、1割にとどめる軽減措置が続いており、11年度の第4次補正予算では、12年度の予算措置を継続するために2719億円を計上
 政府が2月に閣議決定した「社会保障と税の一体改革」の大綱では、13 年度予算の編成過程で、13年度以降の取り扱いを検討することにしている。

■受診時定額負担、受診抑制には意義―岡田副総理

 同日の小泉氏への答弁で、岡田克也社会保障・税一体改革担当相は、外来患者の窓口負担に100円程度を上乗せする「受診時定額負担制度」について、「病院に必要以上に行くことに対する一つの歯止めになれば、意味があることだ」との認識を示した。
 一方で、1か月の限度額以上の医療費を患者に払い戻す「高額療養費制度」を拡充するために使う財源としては、受診時定額負担よりも、「医療費全体か、税で負担する方が、理屈として合っている」と述べた。

 また、受診時定額負担のほかに、少額の医療費を全額自己負担させる制度を例示して、「医療費全体の負担を和らげるために使うのであれば、いろいろなアイデアが検討に値する」と述べた。

 受診時定額負担は、一体改革をめぐる民主党内の昨年末の議論で、高額療養費制度を拡充する財源として検討されたが、患者が患者を支える制度に疑問を持つ議員が多く、大綱からは除外されている。

この一割負担というのはあくまでも臨時的な優遇措置であることは言うまでもないことで、未だにこんなことが続いていること自体がおかしな話ではあるのですが、これだけ医療が財政的にも逼迫している折に相変わらずスピード感を持った対応ができないのは増え続ける高齢者票の行方に配慮している人が多いのか、あるいは立法府の住民にもそれだけ当事者が多いということなんでしょうか(苦笑)。
いずれにしても受診時定額負担についての岡田副総理のコメントにもあるように、かつては(今も、ですか)日医あたりからは蛇蝎のように嫌われていた「患者の自己負担増による受診抑制」ということがこうまで公に語られるようになったのもそれだけ時代が変わってきたということなのでしょうが、いずれにしても医療費にも上限はあって無制限に使えるものでも、使うべきものではないという現実をまず認めなければならない時代でしょう。
高齢者は持病も多いのに年金の中からなけなしのお金を使って治療を受けているなんてことを言いますが、統計的に見ても最も生活支出の多い子供を持つ世代の所得や貯蓄が非常に低くなっていて、一方でメタボ健診のおかげで「きちんと治療しないと早死にしますよ」なんて脅されている中でどうやって医療費まで負担したらいいのかと、頭を抱えている真面目な勤労者の皆さん方も多いのが現実です。
近頃では既得権益と言う言葉に非常に悪いイメージがついてきていて、その打破に向けて動くことが国民の求めているところでもあるのだと言う認識がようやく政治家の間にも広まってきているようですが、限りある医療費をどういうふうに分配していくのが一番よいのかという議論の中で、これは昔からこうだったのだという既得権益ばかり主張されてもどうなのよと誰しも考えてしまうのは当然です。

しかし先日は日経ビジネスに「熟年層バッシングの原因は、若者の意見を取り入れないからでしょ」という身も蓋もないタイトルの記事が出ていて、いやしかしバッシングと言われても実社会じゃ相変わらず年寄りが権力を握ってるんだからそれくらい言わせろと感じている若手も多いだろうなと思いつつ拝見したんですが、いずれにしてもこうした世代間対立というものが社会保障を読み解くキーワードの一つにもなってきそうですね。
客観的データから見れば高齢者の方々が一番お金を持っている割に支出が少ないという事実はあるわけですから、消費活動活性化の視点からしてもお金をどんどん吐き出していただきたいと主張する人々が増えているのも当然なのですが、か細い年金暮らしでやりくりしているのにおいそれと蓄えを取り崩せないという不安もあるというのは理解出来ます。
民主党政権が以前から社会保障改革の一環としてベーシックインカムということを言い、最低限度の収入を全国民に保障しようといったことを主張していて、理念としてはともかくその膨大な支出額を考えるとちょっと現実的ではないよねという受け止め方が多かったわけですけれども、食べさせる対象としてばかり捉えられてきた高齢者こそ実は一番の出資者にもなり得る可能性があるんですよね。
生活保護受給者急増や年金破綻の懸念などとも絡めて社会保障の抜本的改革が急がれていますが、死蔵されたままの資産を沢山抱えたお年寄りに食べさせるために大勢の若者が死ぬような目を見なければならないというおかしなことにならないためにも、無節操な高齢者への特権的優遇措置は見直されるべきでしょう。

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コメント

生産性ゼロの方々を厚遇するほど日本は豊かでなくなっただけ
今後は生きるに最低限の給付だけを現物支給になっていくだろうな

投稿: aaa | 2012年3月 9日 (金) 10時21分

民主党の幹部からこういう言葉が公然と出てくるのが興味深いですね。
総選挙前になるとまたバラ色のマニフェストばかりになっているのかも知れませんけど。

投稿: 管理人nobu | 2012年3月 9日 (金) 11時18分

typhoon
今の態度の悪い高齢者を介護しようとはとても・・・・

高齢者が自分で自分の首を絞めたのではないでしょうか?

投稿: 重 | 2012年3月 9日 (金) 17時53分

今の高齢者が態度悪いってそんな、これから団塊世代が高齢化していよいよモラルハザードが本格化しそうなのに気が早すぎますよ…

投稿: ぽん太 | 2012年3月10日 (土) 08時30分

モンスター率高いと言いますからね>団塊。
ただ民主主義の原則から言えば数は力ですから、増え続ける高齢者の利益が真っ先に保護されるのは当然です。
逆に言えば黙っていても権力に一番近いのであれば周囲が過剰に気を使う必要もないんじゃないかなということでしょう(あくまでも政治的にですが)。

投稿: 管理人nobu | 2012年3月10日 (土) 12時36分

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