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2012年3月10日 (土)

2ちゃんねる、ついに大々的な捜査を受ける

先日以来注目を集めているのが「2ちゃんねる」強制捜査の話題ですが、まずは記事から引用してみましょう。

「2ちゃんねる」を強制捜査 覚醒剤書き込み放置の疑い 警視庁(2012年3月7日産経ニュース)

 国内最大級のインターネット総合掲示板「2ちゃんねる」で、覚醒剤の購入をあおる書き込みを削除せず放置したとして、警視庁が麻薬特例法違反(あおり、唆し)の幇助(ほうじょ)容疑の関係先として、コンピューター関連会社「ゼロ」(札幌市)の本社を家宅捜索していたことが6日、関係者への取材で分かった。

 不特定多数の書き込みが行われる掲示板の管理体制について、強制捜査が入るのは異例。警視庁はゼロを2ちゃんねるのサーバー管理会社とみており、麻薬取引など犯罪を助長する書き込みがあふれる2ちゃんねるの実態解明を進める。

 警視庁はゼロのほかに、2ちゃんねるの問題のある書き込みを消す「削除人」数人の関係先も捜索した。削除人は通常ボランティアとされ、2ちゃんねるには100人余りが在籍しているという。警視庁は捜索対象の数人と2ちゃんねる側の関係についても調べる。

 捜索容疑は、昨年5月7日、2ちゃんねるに「02-1万円+P」などと覚醒剤約0・2グラムと注射器(ポンプ)を1万円で販売すると書き込まれたにもかかわらず2ちゃんねる側は長期間放置し覚醒剤販売を結果的に助けたとしている。警視庁は同月、書き込みをして覚醒剤購入をあおった同法違反容疑で50代の無職の男を逮捕。2ちゃんねる側に書き込みの削除要請を再三したが、削除されない状況が続いたため、意図的な放置と判断して捜索に踏み切った。

 ゼロは産経新聞の取材に「サーバー管理や書き込みの削除については一切関わっておらず、容疑に心当たりはない」としている。

警視庁「健全性損なう」

(略)
 2ちゃんねる以外の多くの主要ネット掲示板は、犯罪防止のため、当局の削除要請があれば積極的に協力してきたが、2ちゃんねるは放置するケースが目立っていた。「削除要請が無視されれば、犯罪を止める手段はなくなる。2ちゃんねるはネットの健全性を損なっている」。警察関係者はこう話す。

 ネット上の犯罪は摘発が強化されてきた。他人のIDやパスワードを無断で使ってネットに接続する行為に対しては、平成12年に不正アクセス禁止法が施行された。昨年7月にはコンピューターウイルス被害に対応するため、ウイルス作成罪も新設された。

 掲示板についても書き込む側の犯罪は何度も摘発されてきた。しかし、書き込まれる側の協力がなければ野放しになってしまう。

 これまで“アンタッチャブル”だった国内最大級の総合掲示板。甲南大法科大学院の園田寿教授は「表現の自由は保障されるべきだが、犯罪行為や明らかな誹謗(ひぼう)中傷の放置は取り締まるべきだ」と話している。

 ■2ちゃんねる IT実業家の「ひろゆき」こと西村博之氏が平成11年に開設したインターネット掲示板。幅広い分野で匿名の自由な書き込みが行われ、利用者が激増した。名誉毀損(きそん)で提訴され、西村氏は複数回敗訴した。西村氏は21年、ブログで2ちゃんねるをシンガポール企業に売却したことを発表した。

2ちゃんねる 元管理人宅など捜索(2012年3月7日NHK)

インターネットの掲示板「2ちゃんねる」で違法薬物を密売する書き込みをしたとして男が逮捕された事件に関連して、警視庁は、関係先として「2ちゃんねる」を開設した元管理人の自宅や関係する会社事務所などおよそ10か所を捜索していたことが分かりました。
(略)
捜索は、外部からの通報や要請を基に記事を削除する「削除人」と呼ばれる数人も対象になったということです。
「2ちゃんねる」は、13年前に開設された国内最大級のインターネットの掲示板で、さまざまなテーマについて個人の意見を自由に書き込めるため人気を集める一方で、その匿名性から犯罪に悪用されるケースが問題視されていました。
インターネット上の掲示板の違法な書き込みを放置したとして警察が捜査に乗り出すのは異例で、警視庁は、掲示板の管理の実態解明を進めることにしています。
(略)

「2ちゃんねる」サーバー、米や中南米など転々(2012年3月8日読売新聞)

 覚醒剤の売買を持ちかける書き込みを放置したとして、麻薬特例法違反(あおり、唆(そそのか)し)のほう助容疑で関係先が警視庁の捜索を受けたインターネット掲示板「2ちゃんねる」のサーバーコンピューターが、米国や中南米を転々と移されていたことが警視庁の捜査でわかった。

 国内にいる管理者らが管理責任を免れるためにサーバーを移転させた可能性があるとみており、今後、管理者らを特定して刑事責任を追及したい考えだ。

 2ちゃんねるは1999年に西村博之氏(35)が開設。2009年にシンガポール企業に譲渡された。

 掲示板には、薬物の売買に関する書き込みのほか、犯行予告や個人を中傷する内容もあり、警察当局は何度も書き込みの削除などを要請してきたが応じず、管理者や削除を担当する責任者も不明だった。

 このため、同庁が海外の捜査当局とも情報交換して捜査を進めたところ、サーバーは10年の時点で米ネバダ州に置かれていたことが確認された。その後、中南米に移され、さらに別の国を介して再び米国に戻されたとの情報があり、同庁で確認を進めている。

ご存知のように2chを解説したのは「ひろゆき」氏ですが、元々ひろゆき氏自身はあくまで場所を提供しているだけというスタンスで、スレッドの作成や不適切レスの削除などの作業はボランティアの担当者が行うというのが「2ちゃんねる」のスタイルであったわけです。
実際の削除に関しては明文化された基準というものがあり、削除人がこの基準に従って判断するか削除依頼掲示板に理由等をつけて依頼をするということになっていますが、それぞれ指定された掲示板での書式に則った削除依頼以外は一切受け付けていないことに加えて、この「削除人」と呼ばれるボランティアの判断が人によってまちまちなのか明らかな問題のある書き込みも削除が遅れたり放置されたりするということが知られていました。
実際のところこれだけの巨大サイトですから削除人も全部のレスに目を通すのも無理でしょうし、報道されているように隠語を使っての書き込みであれば当然表向きは削除規定に抵触しない形を取っているでしょうから、誰か権威と責任のある人間がえいやっと超法規的に削除するより仕方がないということになってしまいますが、さてそれでは誰がその責任者に該当するのかというと悩ましいですよね。

そもそもの開設者であるひろゆき氏はさんざん削除を巡っての訴訟沙汰に巻き込まれた結果(少なくとも公式には)管理人の立場を退き、現在シンガポールの会社が管理権を持っていると言うのですが、推測するにこちらには日本の司法の手が及びにくいような状況になっているのでしょう、今回も特にシンガポールで何があったとも報道されてはいないようです。
物理的に書き込みが存在するサーバー会社にしても、2ちゃんねるの場合はしょっちゅうあちらこちらのサーバーを渡り歩いていて固定的な関係にもなく、そもそも前述のようなシステムを考えるとサーバー会社からすれば(それと承知で契約を結んだのだとしても)「サーバー管理や書き込みの削除については一切関わっておらず、容疑に心当たりはない」と答えるしかないでしょう。
それでは削除要請を放置した削除人が悪いのかと言われても、削除人は管理人の定めたルールに基づいて削除を行っているわけですから、少なくとも組織としてのルール通りにやっている限りはやらせた側を放置してやらされた側だけの責任を問う、それもルールを無視して勝手に削除しなかったから悪いというのもおかしな話になってしまいますよね。
こうしてみるとずいぶん無責任と言うのでしょうか、システムとしても硬直していて是正も働きにくい困った状況だなと感じるところですが、平素の言動から判断すると恐らくひろゆき氏としては敢えてそういう外部規制の働きがたいような場を作り上げることを狙っていたのだろうし、さらに削除人もそれに輪を掛けて自由を謳歌する方向で運用を続けてきたということなのでしょうか。

今回の捜査ではとりあえず元管理人にサーバー会社、そしてさらには削除人個人までごっそり網に掛けられたということですから、捜査当局としてもこうした構造的な問題点を把握した上でどこから責任追及をしていくかを考えているのでしょうが、何しろ「2ちゃんねるはネットの健全性を損なっている」とまで言っているのですから2ちゃんねるのシステムそのものを狙い撃ちする気満々なのでしょう。
興味深いのは当の利用者(「ねらー」)の間では、前述のルール固守の名の下に調子に乗ってろくに仕事をしてこなかった削除人等管理者側の自業自得であるという声が多いということですが、今回の削除以来の経緯も公表されていますけれども、削除依頼の処理の様子を見ても官僚主義好きなどよほどに変わった嗜好の持ち主でもない限りは何かしら感じない方がおかしいのでは…とも思わされます。
元々は当時晩年にあったnifty等パソコン通信(懐かしい響きだなあ…)のコテハン(実名)主義に対して、あくまで名無しさんによる匿名性を中心命題に据えて成長してきたのが2ちゃんねるですが、設立以来10数年を経て今やSNS等によって再びコテハン(実名)主義が台頭してきている中で、むしろ時代に遅れた古いメディアと位置づけられ始めているのかも知れません。
利用者こそ今だに多いとは言え、当の利用者からも「別になくてもいんじゃね?」などと言われる中であくまでも2ちゃんねるらしさにこだわっていくのか、それとも自治なり社会的要請なりに従って変革せざるを得なくなってくるのか、いずれにしても誰が音頭を取ってどうやれば変わることが出来るのかというところからして頭を悩ませる必要がありそうですよね。

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コメント

あいつら調子のりすぎ
いいお灸だよ

投稿: ネラー | 2012年3月10日 (土) 09時36分

刑罰に問われないまでもこってり絞られることにはなるでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2012年3月10日 (土) 12時33分

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