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2012年3月 7日 (水)

いつまでも「ごね得」を許していてはいけません

大淀病院事件で有名なあのお方が今も健在であったかというこちらの記事ですが、ここまで開き直られるとむしろ支払いを迫る方が悪いことをしているようにも聞こえます。

給食費:払ってくれへん 大阪市で4890万円、法的措置は4%/大阪(2012年3月3日毎日新聞)

 大阪市立の全297小学校で10年度末現在、保護者に支払い能力があるのに未納となっている給食費が計約4890万円に上っている。催促しても、保護者が「ケータイの支払いが先」「義務教育なので無料のはず」などと渋るケースが続出。市教委が支払い督促の申し立てなど法的措置を取ったのは4%の約215万円にとどまっており、市の外部監査を担当した公認会計士は積極的に請求するよう求めている。【林由紀子

 市教委によると、02~10年度の累計未納者(児童)数は延べ2447人。市教委は、生活保護受給世帯など経済的に困難な家庭に対しては給食費の支払いを免除しており、未納者には支払い能力があるとみられる。しかし実際には、電話や文書で督促しても応答がない▽督促に対し「学校に行く」と返事したのに現れない▽夏休みに職場まで行ったが払わない--などの例が相次いでいる。

 市では10年度に市税などの滞納者への徴収を強化するチームを結成し、給食費の滞納についても法的措置を取るようになった。市教委のガイドラインでは、3カ月以上の未納で校長が保護者と面談して請求。応じない場合は督促状を交付し、未納期間が6カ月を超えれば「校長意見書」を市教育長に送付して法的手続きを求める。

 だが、保護者との関係悪化を恐れる校長のところで手続きがストップしているのが現状。「給食制度に反対」だとして拒む親もいるという。市内のある小学校長は「子ども手当の支給日に支払いを催促したり、目の前で計算機をたたいたりしたこともある」と苦労を打ち明ける。

 10年度末現在で支払いを督促された保護者は13人(最高額で約46万円=延べ7年分)。監査報告書で「納付している保護者の納得が得られずモラルハザードの温床になりかねない」と指摘された市教委は「法的措置のハードルを下げるなど対策を考えたい」としている。民法は、債権は請求しなければ原則10年で消滅すると規定。例外的に1~5年の短期消滅時効を定めており、「生徒の教育や衣食にかかる債権」は「生産者や商人が販売した商品についての債権」などと並んで2年で時効になる

 ◇05年度、全国22億円

 文部科学省が給食を実施している全国の国公私立小中学校約3万2000校を対象に行った06年の調査では、05年度の給食費の未納は約1万4000校で発生し、総額は約22億3000万円に上った

 このうち、提訴や差し押さえ、支払い督促の申し立てなど法的措置に踏み切ったのは全体の約2%に当たる約280校。10年に全国の公立小中学校610校を対象に行った抽出調査では5・3%となっており、法的措置を取る例は増加傾向にあるとみられる。

 近畿の政令市では、大阪市の他、神戸市も09年度から法的措置を取っており、10年度までに発生した未納給食費754万円のうち、81万円について支払い督促を申し立てた。京都市と堺市は法的措置を取っていない

教育と医療の間の相似性についてはかねて当「ぐり研」でもたびたび取り上げてきたところですが、こうまで荒れる根本的理由としていずれもかつては相応に高い権威を持っていたと見なされていたものが近年すっかり崩壊し、いわば重しが利かなくなってきたという点にあるようにも思います。
そして医療にしろ教育にしろお金をかけなくても受けられて当然であるという認識が妙な具合に広まったせいか、金銭的な面から制約を加えるのはよろしくないと自縄自縛に陥っているところもあって、記事にもあるように当たり前の法的手続きを取ることすら避けてきたことが一部の利用者の妙な考え方を助長してきた側面が否めません。
給食費一つとってもこれだけ債権者の方が気を使うくらいですから医療業界も大変なもので、今どき来る市民は拒まずの公立病院など全国あちらでもこちらでも未収金がてんこ盛りですが、あまりに未払い者様に気を使いすぎた結果むしろ債権管理コストの方が増大して困っている気配もあるようなんですね。
大阪などで各方面の既得権益に切り込む橋下市長が強力な支持を集めているように、そろそろこうした「ごね得」の風潮に対しては世間の目線も厳しくなってきていますけれども、そんな時代にあって先日は何やら興味深い一件があったらしいという兵庫の事例を紹介してみましょう。

医療費滞納:小野市議の報酬、仮差し押さえへ /兵庫(2012年2月21日毎日新聞)

 蓬莱務・小野市長は20日、小野市民病院での入院・通院治療に伴う医療費計約420万円を滞納しているとして、市議の中井澄夫氏(59)=1期目=の月額報酬約40万円を仮差し押さえする方針を発表した。滞納を巡っては、神戸地裁社支部が先月、市議側に対して支払いを命じる判決を言い渡したが、中井氏は不服として今月、控訴手続きを取った。

 市によると、中井氏は07年4月から10年9月にかけ入院・通院治療を受けたが、医療費のほとんどを滞納していたという。一方、中井氏は「医療過誤などがあったにもかかわらず一方的な裁判。分割払いなどで和解も求めたが受け付けられなかった」と主張している。【浜本年弘】

市と市議が提訴合戦…治療費等巡り真っ向対立/兵庫(2012年2月21日読売新聞)

 兵庫県小野市の中井澄夫・市議(59)が、同市民病院(同市中町)での治療費など約428万円を滞納しているとして、同市は3月の議員報酬から仮差し押さえを行うことを決めた。

 市側は中井市議に支払いを求めて地裁社支部に提訴し、1月に勝訴したが、中井市議は「医療過誤があり、医療費を差し引くべきだ」と反論。2月15日付で大阪高裁に控訴している。

 蓬莱務市長が20日の定例記者会見で明らかにした。

 市などによると、中井市議は初当選(昨年4月)する前の2007年4月、腹痛を訴えて同病院に入院。大腸がんと診断され、10年9月までの間、手術や抗がん剤治療などを受けた

 しかし医療費など計約428万円を支払わず、督促にも応じなかったため、市は支払いを求めて地裁社支部に提訴。同支部は今年1月31日、中井市議に市に全額支払うよう命じた。

 一方、中井市議は「看護師による導尿行為のミスで腸に穴が開くなどした。治療費から差し引くべきだ」などと主張し、大阪高裁に控訴。

 これに対し市は「医療費の未納と医療過誤を同一に論じるのはおかしい」とし、未納分を仮差し押さえすることを決めた。3月から議員報酬(月額40万9000円)と政務調査費(同2万円)、年2回の期末手当を対象にする。

 蓬莱市長は「市議であろうと、高額の医療費の未払いを許すわけにはいかない。粛々と仮差し押さえを進めていく」としている。

 中井市議は県警の元警察官で、昨年4月の市議選に無所属で出馬し、初当選を果たした。市の仮差し押さえについて「司法でも決着していない問題について、市が強硬手段に出るのは許せない」と話している。(今村正彦)

実際に医療ミスがあったのかどうかは今のところ何とも判断のしようがありませんけれども、とりあえず治療費の未払い金ということに関しては市側の「医療費の未納と医療過誤を同一に論じるのはおかしい」という主張が筋と言うものでしょうし、こういう事態を称して古来「それはそれ、これはこれ」というありがたい格言もあるというものですよね。
「市議であろうと」というよりも「市議だからこそ」こうしたところできっちりとしてもらわなければならないのは当然で、いずれ民事訴訟なりで賠償金を取るようなことがあったとしても治療費はそれまでに精算しておいていただきたいものですが、しかし気になるのは未払いの治療費が428万円という非常に高額になっていることですよね。
三年以上に及ぶといってもおそらく期間の大部分では外来治療で行われていたでしょうから自己負担分のほとんどを支払っていなかったんじゃないかと想像されますが、いずれにしても医療費を差し引くべきだとか分割支払いがどうとか言うはるか以前の状態で全く不誠実な態度としか言いようがなさそうです。

市議個人の債務解消の行方はともかくとして、ここで注目していただきたいのが2011年に市議として初当選する前にこうした行為が行われていたにも関わらず選挙では無所属ながら初当選してしまったという事実で、こうしたゴシップは地域にもそれなりに流出してくるでしょうに選挙活動に悪影響は及ぼさなかったということでしょうか。
元警察官というくらいですから法的に自分が何をどうすべきなのかということは理解していたはずですが、知った上でこうしたゴリ押しが通用すると考えるキャラクターであれば市議としてふさわしい人物であるのかどうかだし、選んだ側である市民がこうした行動を取る人物をどう考えるかですよね。
かねて医療費踏み倒しの常習犯と言われる人たちは独自の情報共有をしていると言われていて、あの病院はいけると判ると一気に集まってくると言うのですが、逆に言えばそうした甘い対応によってごく一部の心得違いをした人々を引き寄せる側にも問題があるとも言えるし、学校や病院といった地域の公的機関にそれを許容させている地域性や民度といったものも問われてくることにもなりかねません。
払えるものすら払わないという不心得者に病院や学校が強い態度に出ることを避けてきたのも「何もそこまで荒立てなくても…」という民意を反映した結果なのだと考えれば、まずは公金に対して損害を産んでいるこうした行為に対して善良な住民自身が一番迷惑しているのだという自覚を持ち、早急な対処を要求する権利と義務があるということでしょうか。

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コメント

警察ヤクザか?
現役警官時代は近所の飲み屋でタダ酒食らってそうな勢いだなw

投稿: aaa | 2012年3月 7日 (水) 12時29分

一部の保護者は断固支払う気がないのに法的措置を放棄しているとはどうなのか
市民オンブズマンがここらを追求してみるとおもしろくなりそうだが

投稿: kan | 2012年3月 7日 (水) 14時10分

悪いことを素直に悪いといいにくい妙な時代が続いていて、今になってようやくやっぱり悪いだろそれはと言い出せるようになってきたということでしょう。
未だに昔の感覚でなあなあで済ませようとしている人に今後批判の矛先が向いていくのだろうし、大阪市長選などもそういう文脈で理解すべきなんでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2012年3月 8日 (木) 08時32分

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