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2012年3月15日 (木)

少し風向きが変わってきた?震災報道

沖縄で毎年青森の雪を学校で配っているイベントが、今年は一部から激しい反対のため中止になりかけたという話題を先日も少しばかり紹介しましたが、ネット上でかねて言われていた「周知の事実」がとうとう公にも報道されてしまったというのがこちらの記事です。

沖縄での青森の雪拒否事件 騒いだ人の多くは本州出身避難者(2012年3月12日NEWSポストセブン)

 東日本大震災から1年。新聞・テレビにあふれる悲劇や美談だけでは大震災の真実は語れない。いま、日本にはびこる「放射能デマ」も大きな問題だ。

 放射能の危険を訴えるボランティアや市民団体に困惑する住民は多い。原発作業員が宿泊するいわき湯本温泉では、市民団体が作業員に手当たり次第測定器を当て、「あなたも放射能に汚染されています!」と“宣告”して回るのだという。

 原発事故のあった福島から国内で最も遠く離れた沖縄にも、手前勝手な「放射脳」の人々がいる。雪の降らない沖縄の子供たちへ青森から雪のプレゼントが届けられる――那覇市では毎年恒例の行事だが、今年はこれにケチがついた。同市に住民から「放射能汚染された雪をもちこむな」と抗議が相次いだのだ。

 それを受け、那覇市では住民説明会を開催。雪の放射線測定で福島第一由来の放射性物質は付着していないこと、また、青森県庁と文科省の放射線モニタリング調査結果でも青森県は沖縄県と変わらない低い数値であることを示し、理解を求めた。しかし、

「20名ほどの方が参加されましたが、『雪が溶けて地面に放射能が染み込む』『毒があるものを子供に食べさせられますか』といった意見が相次ぎ、感情的になって泣き出す方もおられ、ご理解いただけませんでした」(那覇市平和交流・男女参画課)

 ただし、話はもっと隠微なようだ。

「説明会に参加されたのは、話し言葉や名前、内容から考えてほとんどが内地からの避難者の方だったと思います。児童館を中心にして、避難者のコミュニティができているのです」(同前)

 地元住民は反対していないが、放射能を恐れて本州などから避難した人々が集団化して騒いでいるという。

 この後、青森の雪は市内の児童クラブ(学童クラブ)に運ばれて雪遊びイベントが開かれたが(2月28日)、地元の保護者らは「こんなときだからこそやりましょう」と快く受け入れ、子供たちは大喜びだったという。

「ボランティアだから」「善意でやっていることだから」では片づけられない「放射脳被害」が日本中に拡散している。

ご存知のようにこのところ被災地のがれきを全国自治体で分散して引き受けるかどうかが非常に大きな問題となっていて、ついに先日は総理からも直接自治体に要請が出ることになったとか、海外からもがれき問題が日本人の民度を示す指標として注目されているだとか、様々な報道が飛び交っています。
雪の件にしてもそうですが、東北というだけで全部ひとくくりに放射能汚染だ!ケガレる!と忌避されているのもおかしな話で、がれきで言えば最も処理量が多い宮城や岩手の汚染は関東など周辺他地域と変わらないはずなのにまるで全部が原発周囲の「核のゴミ」か何かのように言われているのはおかしいのではないかという、市中からの当たり前の疑問の声がようやく取り上げられるようになったとも言えそうです。
ただ震災当初からの報道を見ていますとむしろ冒頭の記事にあるようなマスコミ御用達の市民団体や識者の方々の声ばかりが取り上げられていて、何かよく判らないが東北のものは危険だから近寄るなというイメージを一生懸命形作ってきたのもマスコミの方々ですから、このところ急に「がれきを受け入れよう!東北の苦労を分かち合おう」キャンペーンを張っているというのも「いまさらお前が言うな」というものですよね。
がれき受け入れ問題に関する報道の変化にしてもそうですが、それこそ「市民団体」の方々が「がれき受け入れ強要は大政翼賛的だ!」などと批判するようや背景事情が実際にあるのかどうか、こちらの記事も見てみましょう。

福島近郊のSAで福島の銘菓、野菜、米など大量に捨てられる(2012年3月13日NEWSポストセブン)

 新聞・テレビにあふれる悲劇や美談だけでは大震災の真実は語れない。真の復興のためには、目を背けたくなる醜悪な人間の性にも目を向けなければならない。福島県内およびその近くでの出来事もその一つだ。

 心底、嫌悪と怒りがこみ上げる話である。被災地選出の国会議員が、やりきれない悔しさを込めて語った。

「福島近郊にある高速道路のサービスエリアで、地元の銘菓や食品類が大量に捨てられている。おそらく、県外の住民が福島で地元の人からもらったお土産を捨てているのだろう。訪ねてくれた御礼に被災者たちが用意したものだったはず。風評被害というには、あまりにも悲しすぎる」

 福島県内の高速を回ると、残念なことにそれが事実であることは簡単にわかった。磐越自動車道・阿武隈高原SA(サービスエリア)の女性清掃職員が証言する。

「確かに、よくお菓子が捨てられています。福島のおまんじゅうだとか、封を切らないお菓子の箱だとか。もったいないなと思ってましたよ。それと野菜も多い。ごみ袋を片づける時に、いつもよりずっと重いからすぐわかるんです。ああ、またかって。じゃがいも、大根、椎茸、りんご。ビニール袋に入っていたり、大根は新聞紙に包んであったり、いかにも実家で分けてもらったという状態のまま、ごみ箱に投げ込まれています

 息子が福島に住んでいるからわかるんです。嫁は県内産の野菜を食べなくなった。だから、野菜を持たせても、どうすんだかなって思ったりするんですよ」

 福島から外へ出ると、さらに状況は深刻になる。

 東北道を福島県郡山市から東京方面に上り、栃木県に入った黒磯PA(パーキングエリア)の清掃担当職員の証言だ。

「お菓子の箱が捨ててあることが多い。震災前は、箱詰めのまま捨てられているなんてありませんでした。今年になってからも、福島銘菓の『ゆべし』や『薄皮まんじゅう』が捨ててありました。『ゆべし』2箱が、ごみ箱の口が小さいからか、ごみ箱の前に置かれていましたね。ほかに多いのはビニール袋に入った野菜、それとお米も。3キロぐらいの量が、レジ袋を3重にした中に入れて、そのまま捨てられていました」

 同じく栃木県内の上河内SAでは、「放射能への不安から捨てられている物が多いという話は、職員同士でも話題だった」という清掃担当職員たちが、次々に目撃談を話した。

「椎茸から基準値超えのセシウムが検出されたってニュースの時には、椎茸が大量に捨てられていた」

「つい2日ほど前にはモチ米が詰まった2リットルのペットボトルが捨てられていた」

 特に帰省の多かった年末年始に、そうした光景が目立ったという。風評被害をめぐっては、福島の産業への打撃だけでなく、福島出身者への差別も根強く残っている。福島から山梨県内に避難してきた子供に対し、近隣住民から「遊ばせるのを自粛してほしい」との声が上がり、保育園からは「原発に対する不安が他の保護者から出た場合、対応できない」という理由で入園を断わられたという深刻な人権被害を3月2日に甲府地方法務局が公表している。

 こんな酷い二次被害を少しでも減らすために何度でも書くが、福島県で売られている農水産物で健康に害があるとされる物は一つもない。大規模な調査により、県民の内部被曝も年間許容量(1ミリシーベルト)の2%程度という結果が出ている。科学的根拠もなく、危険を煽るエセ学者や市民団体などは、それでもまだ被災者をイジメ続けるのか。

このところようやく内部被曝に関するレポートも出てくるようになっていて、先日は東大のグループから「都民の食品から受ける内部被曝は乳児でも一般市民の年間被曝限度(1ミリシーベルト)の20分の1、もともと体内にある放射性物質による被曝の数分の1」という報告が出ていましたけれども、原発お膝元の福島では被災後の行動など個人史も関わって大きく変動しますから、個人個人の被爆実態の把握はなかなか難しそうですね。
チェックが行われているような大量生産品はともかく、実家の野菜など流通にのらないものも評価は難しい中で、感染症に対する隔離対応などを考えても安全性がかはっきりしない間は危険なものとして扱うのは一般論として間違いではありませんが、一方で断れなかった相手の感情を忖度することなく習慣的に手土産を持たせるのはコミュニケーションの欠如ではないかと指摘する声もあるようですね。
嫁が舅姑の作った野菜を断るのも現実的に難しいでしょうから、お土産を渡す側にも配慮が求められるということでしょうが、むしろこの記事で気になるのは震災後から幾らでもあった(実際にネット上では多くの実例報告も出回っていました)こうした行為が一年もたったこの時期になって、否定的なニュアンスを伴って公に出てくるようになってきたということの意味でしょうか。
未だに放射能はとにかく怖い!国は信用出来ないから自分で身を守るしかない!式の報道を続けている報道機関も少なからずある中で、一週刊誌が取り上げたことはそれなりに意味があったと思うのですが、冒頭の記事にしても誰でも知っていたような周知の話がいまさら裏話的ニュースとして出てくることの理由として、先日某キャスター氏が唐突にコメントしたような何らかの裏事情でも存在するのか?と勘ぐってしまいそうですね。

無論被災地側の問題もあって、先日は被災地から「みな義援金で遊び暮らしているのはおかしいじゃないか!」という内部告発が出て話題になっていましたが、一部で言われているように「娯楽がなかったら自殺率が上がっていただろう」と言う声も一面の真実とは言え、日々パチンコで遊び料亭で飲み食いしている人々が生活再建の費用と労力を全て他人任せにしているのはおかしいと感じる人も当然増えてくるでしょう。
ボランティアも次々と撤退し、失業保険も切れていく中で「アリとキリギリス」の話を思い出す面もありますが、少なくとも根拠のない風評被害で国民相互に不毛な対立を招いても何ら益するところはありませんし、被災地の復興が軌道に乗らないことには日本自体も不況から抜け出す足がかりがつかめないということにもなりかねません。
リスクをその危険度に従って相応に評価することは今回のことに限らずゼロリスク症候群回避のためにも非常に重要なことで、声が大きい人達の過激な言葉に惑わされて本筋を見失わぬよう各人が学んでいくことが必要でしょうが、一連の震災報道も見方を変えればそうした情報リテラシーに関する格好の演習問題になっているのかも知れませんね。

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コメント

ソースが週ポスってw

投稿: | 2012年3月15日 (木) 10時50分

古館はなあ…
プロレスだけやっていればよかっただろうに、今や勘違いした電波だから

投稿: kan | 2012年3月15日 (木) 11時24分

福島のサービスエリアでの話ですが、サービスエリア関連の人がブログで、
デマ疑惑濃厚というエントリーをアップしてます。
個人的にはデマっぽい気がしてます。
ただ、裏付けがとれないのが辛いです。

投稿: DH98 | 2012年3月15日 (木) 20時21分

この記事ですね。
う~ん…どうなんでしょう?

福島産の食べ物がSAで大量に捨てられてるという記事は、デマの疑惑濃厚
http://getnews.jp/archives/175141

投稿: ぽん太 | 2012年3月15日 (木) 21時45分

ご紹介ありがとうございます。
ゴミ箱に山積みというのも大袈裟だろうし、少量でさえ全く無いというのもどうなのかなと言う感じでしょうか。
いずれにしてもこの種の問題の報道の背景には何らかの意図が隠されているということがよく判る話です。

投稿: 管理人nobu | 2012年3月16日 (金) 09時15分

週間ポストの福島近郊にある高速道路のサービスエリアで、地元の銘菓や食品類が大量に捨てられている。ってあるけど
実際に、そこのSAの清掃るしている人がポストの記者は来たけど、捨てられている事実は無いそうです。

それから雪の問題だけど、実際に福島は汚染があるのが事実だし、現在も核戦争での累積量を2~3ヶ月で上回るフォールアウトが続いているわけだしね

あと、放射性セシウムばかりを話題にしているけど
実際には、トリチウムなどの放射性の水になってしまいガイガーカウンターじゃ調べられないβ線核種や、アメリシウムやウランなどのα核種の調査もしていないで
安全ですって言うのは、科学的じゃないよね

青森県に関してもトリチウムや他の核種の問題もあるわけだからね。
また、ガイガーカウンターじゃ放射性セシウム500ベクレルの有意差を調べる事はできないけど
体重1キロあたり10ベクレルを超えると、心電図に病理的変化や、血液の障害が発生されるわけで、微量でもマズイわけ

ハッキリ言って、放射性物質を扱った事の無い人間が、安全だと言っているけど、
扱っていた自分からすると、内部被爆は外部被爆と全く異なるし
日本政府が事故を小さく見せたいだけだね

がれきもそうだよ
放射能が無かったとしても、東北は工業地帯だから
六価クロムやらヒ素やらがマズイ量が混じってる。

実態は厳しいよ
早く被災地から子供たちを避難させてやりたいね

投稿: たまちゃん | 2012年3月19日 (月) 11時45分

食品新基準値への反対意見 医学物理学会でも要請、根拠のICRP揺らぐ
(東京新聞こちら特報部・2012年3月17日)

 来月から食品中の放射性セシウムの新しい基準値が施行される。厚生労働省の引き下げ案を「過剰規制だ」として有力専門家が意見公募に反対意見の投稿を呼び掛けていたが、こともあろうか日本医学物理学会の会長名でも行われていた。背景にあるものは何か。(小坂井文彦、中山洋子)
(本文省略)

http://blog.goo.ne.jp/nishidenjigata

http://blog.livedoor.jp/ryoma307/archives/6007282.html

投稿: 東京新聞では | 2012年3月19日 (月) 13時40分

福島県内の産業保護に関しては口蹄疫のケースと同様に国がきちんと補償するのが筋だろう

投稿: kan | 2012年3月19日 (月) 15時20分

検査をかいくぐって出荷するより補償を受けた方がいいと感じさせないと食品不安は消えないでしょうね。

投稿: 管理人nobu | 2012年3月21日 (水) 11時47分

たまちゃんの意見に賛成です。感情に流されて事実から目をそむけていたら、被害はもっと大きくなるでしょう…

投稿: かる | 2012年4月20日 (金) 16時39分

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