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2012年3月29日 (木)

4月1日は四月馬鹿の日と言われます

3月22日に立候補が締め切られた日医会長選は、現職の原中氏ら三氏による争いが投開票日の4月1日まで続くことになりますが、やはり前回選挙で争点となった民主党政権との距離感が今回も争点の一つになりそうですよね。
特に現職の原中氏は民主党、中でも小沢氏とのパイプを強調して会長に立った印象がありますが、逆に言えば小沢氏と距離を置き始めた現在の政権とはそりが合わない中でどういう態度を示すのか、そして当然ながら自民党支持派にしてみれば原中陣営攻撃の最大のポイントとなりそうなだけに、時期総選挙への協力体制も絡んで注目を集めているようです。

原中、横倉、森各氏が所信表明-日医会長選、東京で立会演説会(2012年3月21日CBニュース)

 4月1日投開票の日本医師会(日医)会長選に立候補している現会長の原中勝征氏、副会長の横倉義武氏、森洋一京都府医師会長の3候補は20日、東京都内で開かれた立会演説会で、そろって所信を表明した。この日の立会演説会は、関東甲信越医師会連合会が開催した。

 くじ引きで最初に登壇した原中氏は、2010年4月に就任して以来、現執行部を率いてきた実績を強調。受診時定額負担制度の導入阻止や、診療報酬のプラス改定を実現したことなどを挙げ、続投への支持を訴えた。続いて所信を述べた横倉氏は、政府の打ち出す医療政策が、地域医療を崩壊させる恐れがあると指摘。自身がトップになり、日医の発信力強化などを通じて、地域医療を守ると訴えた。最後の森氏は、立候補に当たり発表したマニフェスト「7つの目標」を説明。政府の医療政策の方向が、「在宅医療」にシフトする中で、有床診療所の機能の適切な評価などに取り組むと約束した。

 立会演説会の後、3候補は記者会見に臨んだ。会見では、日医に勤務医をどのように取り込んでいくのかとの質問が出た。これに対し、横倉氏は「同じ地域で医療を行う医師は、みんな医師会員であるのが望ましい」として、入会しやすい仕組みが必要だと指摘した。森氏は「地域医療で開業医と連携している、それぞれの勤務医に、医師会に対する興味を持ってもらい、一緒に何かをやって行く方向性を、日医として手伝っていきたい」と述べた。原中氏は「医師会は、卒業した後の『医局』だと言っている。いかにいい医療を提供するのか、医療・介護は、どう連携していくかなどを話し合う場にしたい」との考えを示した。

医師会の自民支持派 野田政権への不満利用し会長職奪還画策(2012年3月28日NEWSポストセブン)

 消費税増税を打ち出した野田政権だが、発足当時に比べ支持率も下がり、いよいよ先行きが大きく陰り始めた。
(略)
 野田政権の自壊現象を象徴するのが4月1日に行なわれる日本医師会(日医1 件)の会長選挙だ。

 医師会といえば「往診カバン1つに200票入っている」といわれる大票田で、自民党最大のスポンサーだったが、前回総選挙では茨城県医師会の1000人以上が自民党を集団離党したのを皮切りに各地の医師会が造反し、「医療の再生」を掲げた民主党支持に回った。その結果、政権交代後の2010年4月の日医会長選挙では小沢氏に近い茨城県医師会会長の原中勝征氏が当選した。

 本誌が入手した日医の政治団体「日本医師連盟」の内部資料によると、政権交代で自民党への政治資金の流れも大きく変わったことがわかる。政権交代前の2008年度は同連盟から自民党(党本部と議員)に5億8170万円献金され、日医の政治資金はほぼ丸ごと自民党に注がれていた。

 それが政権交代後の2010年度3000万円、2011年度はわずか1300万円まで激減し、自民党は有力な資金源を失った。一方の民主党向け献金は政権交代前(2008年度)の500万円から、2011年度は4650万円と民自逆転している。

 野田政権は国民に増税してまで「社会保障にカネを回す」と説明しているのだから、その通りなら医療関係団体は歓迎するはずだが、状況はまるで違う

 日本医師会の代議員の言い方は露骨だ。

「民主党は2期連続で診療報酬を引き上げたものの、中身は開業医ではなく、勤務医に手厚くした。消費税増税でも、医療機関が医薬品や機材を購入する際には消費税がかかるのに、医療費は非課税になっているから患者からは消費税を徴収できない。そのため医療機関は損税が生じている。一体改革で税制の不備の抜本的解決を求めたが、野田政権は財務省のいいなりだからやろうとしない。この政権に改革など期待できない」

 医師会からも野田政権の一体改革はしょせん社会保障制度の安定にはつながらず、増税の口実だと見透かされていて支持をつなぎ止めることができない。

 そうした医師会内部の野田政権への不満の高まりを好機とみた自民党支持派が原中会長の対抗馬として古賀誠・自民党元幹事長の後援会長を務める横倉義武・日医副会長を擁立し、巨額の政治資金の配分権を握る会長ポストを何が何でも奪い返しに動いている。

 日医の会長選挙は三師会と呼ばれる日本歯科医師会、日本看護協会の政治姿勢にも大きな影響を与え、民主党派が敗れれば他の団体の雪崩現象につながるのは確実だ。

まあ卒業後の医局論も結構なんですが、今どき所属するメンバーに何らのメリットもない医局など、あっさり見放されて崩壊するのが当たり前という時代ですからねえ…
ちなみに一部報道では大票田の東京、愛知、大阪の医師会が横倉氏支持を表明したという話も出ていて、特に今回から規約が改正され各候補とも過半数に達しない場合は決選投票になったことから共倒れを期待するわけにもいかない原中氏には逆風という状況ですけれども、しかし各候補のコメントなどを見ていてもやはり違和感を感じてしまいますね。
相変わらず「全ての医師は医師会へ」と自らの権力基盤の安定化にしか興味がない、そして開業医の利害関係にしか眼中にないかのようなコメントが並んでいるのが目につきますが、これでは近年崩壊が叫ばれ社会的に対策を急がれてきた勤務医対策を抜きにして未だに開業医の代弁者に徹していると受け取られてしまいそうです。
特に日医会長選の場合は直接投票ではなく、地区医師会の会員数に応じて割り振られる代議員による投票という特殊なスタイルになっていますが、この代議員というものがそもそも地区医師会の顔役である暇を持て余したような老人達によって独占されているのですから、会長選の行方にもバイアスがかかるというレベルではないですよね。
当然ながらこうしたシステムではいつまでたっても開業医の利権団体という地位を脱却できないという声は日医内部にもあって、すでに数の上では半数を占めるに至った勤務医の意志が全く反映されていないと改善を求められているところなのですが、当然のように実現の見通しは全く立っていません。

「日医の理事に“勤務医枠”の創設を」、勤務医委員会が要望(2012年3月7日日経メディカル)

 日本医師会は3月7日、定例記者会見を開き、理事に勤務医枠を創設するよう求める要望書を、日医の勤務医委員会が会長の原中勝征氏に提出したことを明らかにした。理事の勤務医枠の創設により日医への勤務医の参加を促し、組織基盤を強固にするのが狙い。ただし、現時点で“勤務医枠”の人数は未定で、今後、役員会で検討するとしている。

 同委員会は2010年7月、原中氏から「すべての医師の協働に果たす勤務医の役割」について諮問を受け、1年半以上にわたって検討。その結果、医師会活動に勤務医がより積極的・主体的に参加することが協働のために重要として、委員の意見が一致。参加を促すためには、勤務医の視点から医師会活動への提言を行えるよう理事に“勤務医枠”を創設することが必要と結論づけた。

 日医の会員数は2011年8月現在約16万6000人で、そのうち勤務医は7万8000人と、全体の約47%を占めている。一方、日医の理事の定数は13名で、過去に勤務医が副会長などの役職を務めたことはあるが、現執行部では1人もいない

ま、この種の「検討します」が得てして有耶無耶のままになってしまうこともしばしばあるわけですし、前述の各候補のコメントを見ても勤務医を取り込むことには熱心でも勤務医に権力を与えることには冷淡に見えますから、いずれの候補が勝ったとしてもせいぜい名目的に少数の勤務医理事を入れてお茶を濁すという結果に終わりそうな気がします。
そもそも数から言えば医師のうちで4割ほどでしかない開業医が役職を独占している団体を全医師の代表であるかのように強弁するのも無理があるというものですが、そうした日医であるからこそ勤務医にとっては全く魅力がない団体に留まっているのか、あるいは日医と見解を異にする多くの勤務医が距離を置いているからこそ日医がいつまでも旧態依然としたままなのか、様々な見方があると思います。
日医の側では「不満があるからこそ是非中に加わって意見を言っていただきたい」と言っているようですが、参加したところで義務はあっても権利はなく、単に日医の発言力を確保するための数合わせに利用されるだけに終わらないという保証の意味でも、まずは現在の差別的な体制を自ら改めていくという姿勢を示すことが必要でしょうね。
会長選の行方がどうなるかは日医内部の派閥にとっては重要でしょうが、日医に所属しない開業医も含めて圧倒的大多数の国民の目からすれば、何より日医自体の行方がどうなるかの方がはるかに重要だということです。

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コメント

>4月1日は四月馬鹿の日と

ちょっwww

投稿: aaa | 2012年3月29日 (木) 09時47分

ほとんどの医師は最終的には開業医になるので、大ベテランの開業医が力を持つのも仕方ないっちゃ仕方ないんですけどね。
ただ有力と言われる横倉候補は医師法19条や21条の改正にも踏み込むべきだと主張しているようですから、どんな提言が飛び出すかちょっと楽しみです。

https://www.fukuoka.med.or.jp/yokokura/Pamphlet.pdf
医事法制にかかわる見直しと提言
医師法21条や、19条に代表される問題は、従来から検討されていますが、実態はなかなか解
決が困難です。我々が安心して医療を提供するための足かせとなっている面も散見されます。
現代社会における医師法の在り方など総合的な検討を行い、より実践的で具体的な法改正の要
望や解釈の変更に向けた提言を行います。さらに、国民・患者と医師が医療への理解を深め、
協同して作り上げる基本法の実現に向け検討を重ねて参ります。

投稿: ぽん太 | 2012年3月29日 (木) 10時35分

いきなり応召義務撤廃とも言えないでしょうが、どういう方向性で改めろと言うかですね。
そもそも来た者を必ず診なければならないと言うのなら、加古川心筋梗塞事件のように出来る範囲で精一杯したのに責められるというのもおかしな話ですから。

投稿: 管理人nobu | 2012年3月29日 (木) 11時41分

>開業医の利権団体
としてもダメダメなのが最大の難点なワケでででw

>理事に“勤務医枠”

医師会の理事をやれる程ヒマな勤務医が勤務医の代弁者たりえるとは思えないんですが…。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2012年3月30日 (金) 09時28分

全く同感
代弁者がいないことが奴隷勤務医最大の悲劇だが、これを改めるには結局自分で動くしかない
天は自ら助くる者を助くとはよく言ったもんだ

投稿: kan | 2012年3月30日 (金) 10時10分

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