« ついに国民総背番号制が実現へ?! | トップページ | 知らなかったはいつまでも通用しません?! »

2012年2月17日 (金)

衰退する日本の産業 何が悪かったのか

三洋電機の家電部門が中国系で家電世界最大手のハイアールに譲渡された結果、今後は「AQUA」ブランドも同社から発売されることになったと言うニュースが先日話題になっていましたが、売却を決めた親会社パナソニックの判断を含めて世間でも色々と取り沙汰されているようですよね。
ひと頃は世界を席巻した国内主要家電メーカーが軒並み大幅赤字を計上するなど、このところ物作り日本の根幹が揺らいでいるとも叫ばれていますが、その原因の一つとして先日も取り上げたように過度の減点主義に染まった結果自縄自縛に陥っている日本企業と言う図式もありそうですよね。

【参考】日本の家電各社が「ルンバ」を作れない理由 国内製造業の弱点はそこだ!!(2012年2月11日産経新聞)

これについては以前から日本の消費者の目線は世界一厳しいとは海外でも定説のように言われていて、国内市場において日々利用者から厳しくチェックされていることが日本の製品やサービスの質的向上に大いに貢献してきたのだという説がありましたが、これが必ずしもよかったのかということでしょうね。
つまりは黙っていても欠点を幾らでも見つけてくれる消費者の声を拾い上げていくだけでもそれなりのものが出来上がる結果、自動車などでよく言われるように「壊れず品質も安定しているが味がなくつまらない」という、特に欠点もないが目立つ個性もないという日本製品が氾濫することになったとも言えそうです。
世界的に製造業の品質が高まり壊れないで一定の性能を持つことが当たり前になってくると、こうした個性に欠けた日本製品がより安くそこそこの性能を持つようになった第三世界の廉価品によって真っ先に駆逐されるようになるのはいわば当然なのですが、問題はどうもそこだけに留まりそうにないというのですから困ったものです。

あのとき、経営は判断を誤った 会社がダメになった瞬間(2012年2月14日週刊現代)より抜粋

 日本を代表する企業であるソニーやパナソニックが苦境にあえいでいる。どうしてこんなことになったのか。どこでいったい間違えたのか。そして誰が間違えたのか。外部環境のせいにしても何も解決しない

いったい何で食っていくのか

「NECを電電公社(現NTT)に依存する〝国策企業〟から、世界中でコンピュータ、半導体、通信機なども売る総合電機メーカーに成長させたのは、1980年から15年近くも社長を続けた関本忠弘氏です。ワンマン経営には批判もあったが、カリスマ的にリーダーシップを発揮して社内を引っ張った功績は大きい。

 ただ、1998年に防衛庁への水増し請求事件が発覚し、関本氏が会長を退くと、新社長となった西垣浩司氏がハードからソフトへの路線転換を行い、通信機、電子部品など関本氏が育ててきた事業を次々に切り捨てていった。これに怒った関本氏と西垣氏の間で『関本vs.西垣戦争』が勃発、呼応するように社内ではコンピュータ派と通信派の派閥対立が表面化した。振り返れば危機の源流は、この時に噴き出していたといえるのでしょうね」(NECの元幹部)

 2012年1月26日、東京都港区芝に立つ「スーパータワー」地下1階の多目的ホール内で、NECの遠藤信博社長が問い詰められていた。

「今回の人員削減は小手先ではなく本気のものか」

「携帯電話の海外事業の伸びが未達成であることを総括してほしい」

 この日発表されたNECの決算内容が「下方修正の博覧会」と揶揄されるほど、惨憺たるものだったからだ。並べてみれば、「通期の売上高予想を1500億円下方修正」「年間の携帯電話出荷台数計画を150万台下方修正」としたうえで、「構造改革として1万人の人員削減」「従来150億円の黒字としていた通期の当期純損益予想を1000億円の赤字に下方修正」と目を覆うばかりの惨状である。

「実はNECは中間決算時に通期売上高予想と携帯電話の年間出荷台数を下方修正したばかり。それが昨年10月のことで、その時は通年黒字を謳っていたのが、たった3ヵ月で今回は1000億円の真っ赤な決算に転落すると言ってのけた。さすがの狼少年ぶりに痺れを切らした会見参加者が、質疑応答に入ると遠藤社長と川島勇取締役執行役員の両氏を詰問した」(全国紙経済部記者)

 同社は2010年2月に中期経営計画「V2012」を発表し、2012年度に純利益1000億円の目標を掲げていた。しかし、今回の会見では「来年度での達成はほぼ不可能になった」との敗北宣言も飛び出したという。

 かつて半導体で世界一の事業規模を誇り、国民機と呼ばれたパソコン「PC-9800シリーズ」を売りに売りまくった面影は消え失せた。半導体事業では韓国、台湾勢に大負けし、パソコン事業は中国企業に〝実質売却〟。頼みの通信・ネットワーク事業は海外進出に乗り遅れて〝内弁慶〟から脱しきれず、新規事業も育っていない。要するに「5期連続減収の原因は儲かる事業がほとんどなくなってしまったことに尽きる」(前出・経済部記者)。

 どうしてここまでダメになってしまったのか。前出・元幹部が続けて言う。

「西垣氏、その後任の金杉明信氏とコンピュータ派が続いた後、次にトップ登板したのが通信畑の矢野薫氏。前任者たちが自社製品を売ることにはこだわらないという路線できたのを、矢野氏は『振れすぎだ』として自社製品を売っていく方針に変更した。社長が代わるたびに、方針も主要幹部の人事もコロコロと入れ替わる。さらにNECが『何で食っていくのか』を明確にできなくなり、社内もバラバラになった

 主要事業と位置づけていた『三本柱』のうちの二つ、携帯事業、半導体事業は不採算化しているのにもかかわらず改革が遅れた。やっと構造改革に踏み込めたのは2010年のことで、同じ頃に今度は『これからはクラウドサービスやリチウムイオン二次電池を儲け頭にする』とぶち上げ始めた。これらの新規事業もまだ成果が出ていないことは今回の決算発表を見れば明らか。一事が万事この調子で来たから、気付けば社内に儲かる事業がほとんどなくなってしまった
(略)

かつては栄華を誇った名門企業がどこで道を誤ったのかを実名も数多く出して報じたなかなか意欲的な記事で、異論反論も数あるでしょうが是非全文をご一読いただければと思いますが、冒頭にも取り上げた三洋電機が崩壊していく過程などまさにこれから何度も同じ事が起こりそうな気配ですよね。
記事中で「戦犯」として名前が挙がっているパナソニックの中村邦夫氏(1939年)やソニーの出井伸之氏(1937年)などトップ陣の年代的問題に帰結するのだという意見もあって、昨今の団塊世代と絡めて頭の硬い年寄りが支配している企業は必ず衰退する、今元気がいい企業は若手がトップばかりだという声も出ています。
しかしこうした衰退した大企業にしても松下幸之助氏や盛田昭夫氏氏のように元気の良かった時代にはトップもまだまだ若かったことも事実ですし、経営の舵取りに失敗して名のある大企業が一気に傾くというのは先日のコダック社の経営破綻の例にもあるように、決して日本だけの問題ではありません。

一説によれば日本は世界一の長寿企業大国なんだそうで、世界にある200年以上続く長寿企業の実に4割が日本にあると言いますが、逆に言えば世界的に見れば企業にも一定の寿命があり、今が盛りと繁栄した後はいずれ衰退するのが当たり前であるということですよね。
その衰退を避け得ないまでも少しでも先延ばしにするにはどうするべきか、老舗の花札屋だった任天堂がテレビゲーム業界に進出して世界のニンテンドーになったような、ある種博打的とも言える大胆な業種転換は非常にリスクも伴いますが、少なくとも日本企業に求められるのはやらないことの理由付けとしての減点主義からの脱却でしょう。
そして自分たちのストロングポイントが何なのか、その優位性を保っていくためにはどうしたらいいのかという考え方も必要ですが、有名な「レッサーパンダと引き替えに主要産業を売り渡して衰退した町」のような事例を思い浮かべる時、冒頭のサンヨーブランド売却のような判断が今後どういう結末になるのか、ですよね。

|

« ついに国民総背番号制が実現へ?! | トップページ | 知らなかったはいつまでも通用しません?! »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

コメント

業績傾くのもこいつらにとっては自業自得だと思うけど

iTunesでホイットニー・ヒューストンを値上げしたのはAppleではない?
http://sankei.jp.msn.com/wired/news/120214/wir12021414400003-n1.htm

ホイットニーさんアルバム、値上げ問題でソニー謝罪
http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C9381959CE3E7E2E3E28DE3E7E2E0E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2

投稿: | 2012年2月17日 (金) 08時29分

こういうのもあって没落の象徴扱いな気がする

従業員への眼差しに見る企業の死角
ホンダ、ソニーのはらむ矛盾
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120214/227184/?P=2

それにしてもこんなことまでやってるんじゃ堕ちたと言われても仕方ないわな
http://www.yytown.net/~koukokukaigi/blog-study/archives/000588.html
http://adsoftheworld.com/media/online/sony_playstation_portable_graffiti
流行に敏感な都会生活者に携帯ゲーム機『プレイステーション・ポータブル』(PSP)を売り込もうと、ソニーは米国の主な都市で落書きアート(グラフィティー)のアーティストたちを雇い、PSPを使って遊んでいる子どもたちのシンプルで象徴的な絵を、建物の壁にスプレーで描かせた。しかし、このゲリラ的なマーケティング作戦は、ソニーが勝ち抜くために必死になっていることの現れだとして、ストリートの流行に精通した人々からは嘲笑の声も出ているようだ。

投稿: ソニーは | 2012年2月17日 (金) 09時14分

たった2時間で便乗値上げした上に事後の言い訳が下手過ぎるw
それじゃ誰の値上げをするつもりだったんだよって言われたらアウトだろ

投稿: aaa | 2012年2月17日 (金) 09時49分

三洋電機の白物家電はまあ、いいものを出していたにもかかわらず、赤字だったから、合併後にパナソニックブランドで売る意味はほとんどなくなった>海外工場を手放すのは無問題ですね。
三洋電気で必要なのは電池事業(リチウムイオンバッテリー)とデジカメ(OEM最大手)でしたから。

リーマンショックで株が大幅に安くなったところでうまいことTOBをかけてくれたんで、もうけ損ねましたが。

投稿: | 2012年2月17日 (金) 11時58分

落書きって日本じゃ大問題になりそうですが、アメリカじゃそうでもないんですかね?
ソニー製品も使えば結構おもしろいものが多いんですが、確かにちょっとずれてるところもありますしね…

投稿: 管理人nobu | 2012年2月17日 (金) 13時39分

モノポリーってゲームを思い出すな
土地交換するなら家も建てられない貧乏人とやるべきだと思った
金持ちに同色グループまで握られちゃ高額賃料で一発破産だ

投稿: kan | 2012年2月17日 (金) 17時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/519753/53997205

この記事へのトラックバック一覧です: 衰退する日本の産業 何が悪かったのか:

« ついに国民総背番号制が実現へ?! | トップページ | 知らなかったはいつまでも通用しません?! »