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2012年1月12日 (木)

南極海捕鯨船団 またも不法侵入を許す

大山鳴動して…と言うほどではありませんけれども、結局南極海での騒動は当面ネズミ三匹で終わったという落ちがついたようです。

<調査捕鯨>シー・シェパード支持の3人 監視船に乗り込む(2012年1月8日毎日新聞)

 水産庁は8日、南極海の調査捕鯨船団に警備のため同行している同庁の監視船「第2昭南丸」(712トン)に、豪州人の男3人が無許可で乗り込んできたと発表した。同庁や反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)のホームページによると、3人はSSを支持する豪州の団体「フォレスト・レスキュー」のメンバー。SSによる妨害活動の一環とみて、同乗中の海上保安庁の保安官が船内で事情を聴いている

 3人は日本時間の8日午前5時40分ごろ、豪州南西部のバンベリー港約40キロ沖にいた監視船にゴムボートで接近し、乗り込んだ。乗組員や3人にけがはなく、船体にも被害はなかった。

 海上保安庁によると、3人は船員法に基づく「保護」の措置として船内にとどまっており、保安官の聴取に「我々はSSのメンバーではない」と話しているという。同庁は艦船侵入容疑での立件の可否などを検討する。

 監視船は、SS対策のため初めて現地派遣された。捕鯨船などへの乗り込み行為は過去に2度あり、今年度は初。SSは今年度も1月4日以降、捕鯨船に発煙筒を投げつけるなどの妨害行為を行っている。【曽田拓、川上晃弘】

反捕鯨団体の3人 引き渡しへ(2012年1月9日NHK)

日本の調査捕鯨に同行してオーストラリア沖を航行していた水産庁の船に、反捕鯨団体のメンバー3人が無断で乗り込んだ問題で、日本政府は、乗組員がけがをするような妨害活動がなかったことなどから、3人を逮捕せずにオーストラリア政府に引き渡すことを決めました

この問題は、8日、オーストラリア南西部の沖合で調査捕鯨に同行している水産庁の監視船「第二昭南丸」に、反捕鯨団体「シー・シェパード」の関連団体のメンバー3人が無断で乗り込んできたものです。監視船には海上保安官も同乗していて、3人の身柄を拘束せずに任意で事情を聞いていました。その後、関係省庁で検討した結果、おととし、「シー・シェパード」の元船長が乗り込んできたときとは違い、乗組員にけがや船体に損傷が生じるような妨害活動がなかったことや、このあとも調査捕鯨を続けることなどから、3人を逮捕せず、オーストラリア政府に引き渡すことを決めました。政府は、今後、外交ルートを通じてこの方針をオーストラリア政府に伝え、調整を進めることにしています。

日本政府の協力に謝意=監視船侵入3人の引き渡しで-豪首相報道官(2012年1月10日時事ドットコム)

 【シドニー時事】オーストラリアのギラード首相の報道官は10日、声明を発表し、日本の調査捕鯨監視船「第2昭南丸」に反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の手助けを受けて豪州人活動家3人が侵入した問題で、日本政府が豪側の要請に応じ、3人を立件せず豪政府に引き渡す方針を固めたことについて「日本政府の協力に感謝する」と表明した。
 同報道官は、現在公海上を航行中の第2昭南丸から引き渡しを受けるため、豪政府の船を派遣したことを明らかにした。一方で3人の侵入行為に関しては「容認できない」と批判し、今後同様の行為をした場合には訴追される可能性があるとくぎを刺した

不法侵入の動機としては彼ら豪州のマイナー団体にはSSの活動に乗っかることで一気に国際的知名度を引き上げる好機でもあり、使い捨てても何ら惜しくない鉄砲玉が手に入るSS側との間に思惑が一致したということでしょうが、以前にも活動家の不法侵入を許したのに何故また同じような侵入を許したのか?とも思われる事件でもありますよね。
例によって産経の佐々木記者が一連の経緯を詳しく伝えているので参照いただければと思いますが、監視船の役割からして彼らをさっさとお引き取りいただくのはやむない判断だとしても、狙い通りの展開を許してしまった点は大いに反省し対策を再検討すべきではないかなという気がします。

【参考】シー・シェパード支援団体が乗り込み作戦を決行、第2昭南丸はなぜ乗り込みを許したのか (2012年1月9日佐々木記者ブログ)

同団体メンバーの引き渡しを求めていた豪政府も一見すると日本側に謝意を示して平和的に解決したかのような報道がなされていますが、実際のところはギラード首相曰く「捕鯨をやめさせるには法的措置が最適な方法」であり、すでに政府が国際司法裁判所に提訴している以上は勝手に危険なことをやるなよと言っているだけのようですね。
ただ豪政府としても日本との法的対決を目指す以上あまり無原則な支援を表立って続けるわけにもいかないという判断はあるのでしょうか、先日も税法上の規定に従ってSSに給油等にかかる税金20万ドルを払えと言っているのがケシカランとワトソン代表から筋違いの批判を受けていましたけれども、日本としては豪政府が陰に日向に行ってきたテロ支援行為を指摘していくだけでもそれなりに有効とも言えそうです。
いずれにしてもこの件に関してはSS側は日本によってメンバーが「拘束された」と主張し、日本側は拘束は行わず任意で事情を聞いていると言いとお互いの主張が食い違っていますけれども、SS側とすればこうした外部から呼び寄せた鉄砲玉を幾らでも補給すれば自ら手を汚さずに幾らでも牽制のジャブを放てると示した形ですよね。
今シーズンは三隻の船を用意していたSSですが、せっかく新規に導入した高速船が先日の大波を受けて船体が破損し同僚船に付き添われ撤退した結果、南極海で活動を続けるのは一隻だけになっているということですから、彼らの立場に立ってみれば今年の活動の「成果」を得るためにも一発逆転を狙って今後思いがけない派手なパフォーマンスに走る可能性も出てきたとも思われます。

南極海の外に目を転じてみると、先日は日鯨研が米連邦裁判所にSSを提訴したということをお伝えしましたが、これに続いて和歌山では地元住民に暴行を働いた活動家が逮捕され、彼らグループの滞在先が一斉に家宅捜査を受けるといった形で国内でも締め付けが厳しくなってきています、
SS側が「犯罪などしていない。目撃者もいないじゃないか。日本の警察による計画的な陰謀だ」などと例によって非難声明を出しているのはもはや様式美というものですが、連中は連中で諸外国において「日本は震災への募金を捕鯨に転用している!」などとデタラメを垂れ流して回り日本政府からも抗議を受けたくらいですから、仮に国を挙げての反SS活動が本格化している現れだとしても自業自得で何ら不思議はないわけです。
その捕鯨の町の一つとして彼らSSの活動が続く和歌山県は太地町からですが、先日はSPA!によっておもしろい潜入ルポが行われていたということで一部を引用してみましょう。

シー・シェパードに入団した(2012年1月8日日刊SPA!)より抜粋

日本の捕鯨活動に対し、手段を選ばぬ過激な妨害行為を行い賛否両論を巻き起こしている反捕鯨団体、シー・シェパード(以下、SS)。アメリカに本部を置き、反捕鯨派の有名人や大手企業に支持される一方、一部では“エコテロリスト”とも呼ばれている。

2010年からはついに捕鯨の名所・和歌山県太地町に常駐を開始、さらに最近では捕鯨妨害に際しドローン(無人機)を2機導入したと報じられその手口は年々過激化している。

そんななか、編集部はSSが日本人の団員を公募しており、むしろ歓迎しているという情報を入手した。
(略)
応募方法はホームページからPDFを印刷し、ボランティア経験や無線知識の有無などを詳細に記入するだけ。さらに志望動機を英語でプレゼンし、YouTube上にアップするというもの(※年度によって変更あり)。案外、簡単に一員になれてしまうことに驚かされる。本来の応募方法だと合否が決まるまで時間がかかりすぎるため、和歌山県太地町まで出向き、飛び込みで入団を申し込むことにした。
(略)
SSについて語る地元住民の口は一様に重い。最近でこそ網をナイフで切るなどの直接行動は控えているようだが、ニヤニヤしながら至近距離まで近づきカメラを回したり、漁民に罵声を浴びせてきたりすることはままあるという。そこでキレたりしたらSSの思うツボ。すぐさま動画に撮られ、「野蛮な捕鯨関係者」という演出を施されてしまうのだ。こうしたことから、太地町の住民はSSの存在を無視するようになった。むしろ今は町の外から来た右翼とSS間でトラブルが絶えず、地元の漁業関係者不在のまま太地町の捕鯨問題は進行している。

さて、そのSSのメンバーだが、隣町・勝浦のビジネスホテルを定宿にしているという。彼らは食料を大量に買い込み、ホテルの部屋で自炊をしている。移動もすべてレンタカーによるもので、普段はホテルにひきこもり、ほとんど街に出ることがないらしい。長期間に渡り勝浦町に滞在しているにもかかわらず、素性はほとんど知られていないのだ。

とはいうものの地道な聞き込み調査を続けているうち、彼らがよく足を運ぶ飲み屋があることが判明した。『R』というそのスナックは、なんと店長自身が太地町くじら博物館の関係者。店内のいたるところに鯨の写真やポスターが貼ってある。つまりSSの連中は、むざむざ敵陣営のスナックまで足を運び酒を飲んだくれているというのだ。『R』の店長に話を聞くと、あっさり「あぁ、よく来ますよ」と認めてくれた。

しかし店で聞いたSSの実態は、こちらの予想とはだいぶ違うものだった。まずSSには、過激な活動に眉をひそめる穏健派の一派がいるという。ベジタリアンの彼らは、あくまでも気のいい自然主義者地元住民の声にも一定の理解を示している。過去には直接行動派が店内に入ってこようとするところを、ベジタリアン一派が追い出すという一幕もあったらしい。SSは決して一枚岩ではないのだ。
(略)

この後に続く実際の潜入調査?そのものは正直食い足りないというのでしょうか、一緒に町内を出歩いてみましたレベルで終わっているのは残念ですけれども、記事中にもありました通りSS内部(そして恐らくは、周辺関連団体も含めて)においてもかなりの温度差があり、逆に言えばワトソン代表らがこうしたお気楽な自然主義者をうまく取り込み手頃で安上がりな手駒として利用しているとも言えそうですよね。
そうしたワトソンに利用され使い捨てられて終わった人間の一典型例とも言えそうなのが、かつて日本の捕鯨船団に不法侵入を果たし裁判にまでなったピート・ベスーン元船長ですが、祖国ニュージーランドに帰国したベスーン船長がいつ頃からかワトソン代表を口を極めて非難するようになったのもそうした欺瞞に気付かざるを得なかったからだとも考えられています。
この両者の非難合戦とも言える文書のやりとりは世間に対しても公開されていますけれども、おもしろいのは我々の視点からすると(極めて控えめに表現しても)決してSSにとって評価が好転する内容とも思えないこのやりとりをわざわざ公開するワトソン氏らの考え方で、もちろんベスーン元船長側が先に公開したという事情はあるにせよやはり本質的な感覚の部分で少しばかり違うところがあるんだろうなと感じざるを得ません。
逆に言えばSPA!の記事にも示唆されているように、こうしたワトソン代表ら過激なコアメンバーの感覚に支持者も含めて全員がついていけているとも思えず、広報合戦の様相も呈しつつある対SS戦略においてその辺りも今後付け入るべき隙の一つということになるのでしょうか。

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