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2012年1月28日 (土)

過ちては則ち改めるに憚ること勿れとは言いますが

新聞各紙と言えば日頃からそれぞれ一定の論調を持っていて、保守、革新といった傾向によって日頃から政策等で対立している場合が多いのですが、最近こうした対立を超えて主要紙が足並みをそろえて主張しているのが消費税増税問題です。
ひと頃は政治家が消費税増税などと言えばマスコミの大バッシングで政権が吹っ飛ぶような騒ぎだったものですが、今や主要マスコミが声をそろえて「さっさと消費税を増税しろ!」「野党は党利党略のために増税に反対するな!」と叫び立てるというのですから、本当に時代は変わったものだと思いますよね。

【社説】自民党大会 政権復帰の準備は不十分だ(2012年1月23日読売社説)

 日本の将来を決定する重要課題に、本気で取り組む意欲が欠けていないか。自民党が政策論議を避けるようでは、政権復帰の道は遠い。
 自民党が定期党大会を開いた。運動方針は、「日本の存亡を懸けた政治決戦の年である」として、民主党政権を早期の衆院解散・総選挙に追い込み、政権を奪還する決意を示した。
 谷垣総裁も「取り返しのつかない国家危機に陥る。へたをすれば国家破綻も覚悟しなければならない」と強調した。
 だが、そう言うなら、社会保障と税の一体改革に、政府・与党とともに取り組むべきだろう。

 谷垣氏は、与党との協議に応じない理由として、民主党の政権公約(マニフェスト)に「消費税率を上げることはどこにも書いてない」と、改めて指摘した。
 自民党は、民主党が破綻した公約に執着することを批判してきた。民主党が歩み寄り、政策を転換したにもかかわらず、話し合おうともしないのは、あまりに大人げないではないか。
 谷垣氏は昨年、当時の菅首相に消費税率引き上げの具体案取りまとめを促し、「我が党の議論までぜひ追いついていただきたい」と挑発した。その後、民主党は党内論議を経て2015年10月には10%に引き上げる案を決めた。
 今や自民党の方が周回遅れだと言える。一昨年の参院選の公約で掲げた「消費税10%」について、引き上げ時期や、低所得者対策などの対案を示すべきだ。
(略)

【社説】谷垣総裁へ―自民こそ、増税法案を(2012年1月27日朝日新聞)

 国会が始まった。税と社会保障の一体改革、とりわけ消費税の増税をめぐり、衆院の解散・総選挙もありうる150日間の論戦に注目だ。
 まっ先に代表質問に立った自民党の谷垣禎一総裁は、改めて早期の衆院解散を求めた。
 マニフェストに消費増税を書かなかった民主党が、増税に突き進むのは許せない。
 マニフェストという偽りに満ちた国民との契約で多数の議席を得た民主党政権は、消費税率を引き上げる権限を、主権者から与えられていない――。

 なるほど、一理ある。
 さらに、こうも言った。
 「現在の財政赤字に責任を感じるがゆえに、わが党は、選挙公約においても、消費税を含む税制抜本改革を断行することを堂々と掲げ、国民と直接向き合ってきた
 ということは、自民党には法案提出の「権限」があるということではないか。

 だから私たちは提案する。
 自民党は独自の消費税率の引き上げ法案を、速やかに国会に出すべきだ。それでこそ、責任政党だ。
 もともと消費税10%を先に言い出したのは自民党だ。長年の政権運営の経験もあり、法案づくりはお手のものだろう。
(略)
 国会で審議すれば、議事録がきっちりと残る。テレビやネットでも中継される。それに、増税に反対する政党も加われる。
 これ以上の正々堂々たる議論の場はない。
(略)

最近では海外から誰それが日本の消費税率は低すぎる云々とコメントしたといった報道も盛んで、さすがに外圧に弱い日本人という特性を知り尽くしている彼らマスコミのお得意の手法だなとは思うのですが、それにしてもいったい何が各社をしてこうまで横並びの増税論者に歴史的転換をさせてしまったのかと気になりますよね。
元々民主党政権と言えば反自民を掲げるマスコミに担がれて政権交代を果たしたようなところが多分にありましたが、最近ではその政策に対して必ずしも全面的なマスコミの支持を得られているとも言い切れなくなってきていた中で消費税増税だけは完全なマスコミの賛同を得ているように見える、一方で各種世論調査では国民の多くが「先に歳出削減だろうJK」と現時点での増税先行論議には反対しているのは好対照ですね
ハーバードのアレシナ教授なども「各国政府の財政再建策とその結果を見ても、歳出削減を行わないまま増税を先に行った場合は必ず失敗する」とかねて増税先行に警鐘を鳴らしていますが、普通に考えて各方面の抵抗が厳しく財政危機下にあっても一向に支出削減が進まないのに、先に増税で一息ついてしまえばますます支出削減が進まなくなるのは当たり前ではないかという気がします。
そうした状況であるのに野田総理がひたすら増税を政権の主要課題に据えているという背景に財務省のシナリオがあるという観測も広まっていますが、マスコミ各社が一斉に増税支持に走ったことについても財務省の思惑が秘められていたという話があるようです。

財務省 反増税論説委員の懇談会からの排除は「事務的ミス」(2012年1月18日NEWSポストセブン)

野田佳彦・首相が年頭会見で消費税増税を「ネバー・ネバー・ネバー・ネバー・ギブアップ」と語るなど、露骨な増税路線が打ち出されている。財務省による大新聞、テレビを巻き込んだ世論工作も活発化している。

財務省は毎年、年末に予算の政府原案がまとまると各紙の論説委員と経済部長を集めて「論説委員経済部長懇談会」(論説懇)を開く。5センチもある分厚い資料が配られ、財務省の会議室で論説委員たちに予算の内容を刷り込むのだ。

財務省側は「自由なご意見を」というが、そもそも彼らの多くはそれを読み解く能力も、インチキを見破る気概もなく、役人の解説のままに社説を書くのが通例だ。昨年は12月23日夜に開かれた。

東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏は、突然、その論説懇から排除された。財務省広報室は長谷川氏の事前の問い合わせに「開催日が決まれば連絡します」と約束していたが、すっぽかされたのである。長谷川氏は新聞記者では数少ない政府税制調査会委員を務めた税制の専門家で、今回の消費増税に批判的な記事を書いてきた人物である。

私が呼ばれなかったのは増税に反対だからか

長谷川氏が抗議すると、広報室長は「事務的ミス」と言い張った

消費増税をひかえた今回の論説懇は、財務省が大メディアの幹部に増税は必要だと刷り込む場でもあっただけに、反対派で論客の長谷川氏が加わって議論になることを嫌ったのだろう。

財務省が相手にするのは御用マスコミと御用記者だけ。官房長がテレビ局に圧力をかけるくらいだから、私を懇談会に出席させないのは当然という感覚なのでしょう。以前は財務省の幹部が自らメディアで議論し、国民に増税の必要を説く姿勢があったが、今ではこの程度の役所に成り下がってしまった」(長谷川氏)

増税批判する産経新聞に財務省有力OB「おたくはひどいな」(2012年1月22日NEWSポストセブン)

野田佳彦・首相が年頭会見で消費税増税を「ネバー・ネバー・ネバー・ネバー・ギブアップ」と語るなど、露骨な増税路線が打ち出されている。財務省も大新聞、テレビに対して反増税言論人をださないよう圧力をかけている。その結果、大メディアでは増税やむなしの大合唱が生まれつつある。

では、財務省の言いなりにならなければどうなるか

全国紙では唯一、増税批判の姿勢を取っていた産経新聞に、昨夏、国税の税務調査が入った。財務省にとって税務調査は言論統制の最強の武器で、2009年には朝日、読売が申告漏れを指摘され、それを機に朝日は増税礼賛へと傾斜し、読売は財務省幹部の天下りを受け入れた経緯がある。

産経新聞で増税批判の先頭に立つ田村秀男・編集委員兼論説委員が語る。

「漏れ伝わってきた話では、ある会合で社の上層部の者が、財務省の有力OBから『おたくの田村はひどいな』といわれたようです。私自身は財務省から直接、何かいわれたことはないが、組織の上には一言あったということです」

田村氏は持論を変えていないが、産経も税務調査後は「増税やむなし」論が目立つ。大メディアの増税翼賛会はこうして完成された。

実際にどの程度の圧力がかかっているのかは判りませんが、以前から各方面による圧力のもとで自主規制という名の言葉狩りを推進してきたとも言われるマスコミですから、こうした圧力に対しての恭順行動は半ば条件反射的に出てくるものなのかも知れません。
先日はみんなの党の江田幹事長が増税議論に加わらない野党に対するマスコミ各社のバッシングに対して苦言を呈するという場面もありましたが、おそらくは次の選挙では負けるだろうと言われている半ば死に体の民主党政権に媚びを売っていると考えるよりは、その背後にある財務省に媚びを売っているのだと考えた方がマスコミの行動を納得しやすいのは確かでしょう。
しかしこうまで国を挙げて増税増税と大合唱というのはいざというときの日本人の団結心の強さを示す一例ではあるのかも知れませんが、そこに健全なジャーナリズムというものの存在は影も形も見えないのも事実ですよね。

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コメント

朝日新聞始め左巻きマスゴミの手のひら返しぶりもすごいけど、あれが彼らのいつものやり口なのは歴史が証明しているものね。

投稿: | 2012年1月28日 (土) 10時34分

産経は、まだがんばってるからまし、とでも仰る?

投稿: ↑ | 2012年1月28日 (土) 11時04分

医療記事などに関して言えば産経の方が朝日よりも数段クズだと定評があるなw

投稿: aaa | 2012年1月28日 (土) 11時37分

当「ぐり研」としては朝日も産経も様々な面でお世話になっている大のお得意様ですから、どちらも丙丁つけるなんてことは出来ませんです。

投稿: 管理人nobu | 2012年1月30日 (月) 11時40分

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