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2012年1月21日 (土)

ステマは歯磨きのことじゃありません

先日も食べログなどでステルスマーケティング(ステマ)が問題視されているという話を紹介しましたが、一連の問題の発端とも言うべきまとめブログで責任を取って管理人が交代するといった事態が発生したのみならず、今や食べログ掲載店のステマ度合いを見破るサイトまで登場するなど思いがけない反響を呼んでいるようです。
そもそもこうした口コミが本当の情報だけを伝えていると無邪気に思い込む時点でちょっとそれはどうなのよ…とも思うのですが、スマホなどの普及によって誰でも気軽にネット上の情報を検索し利用できるようになった結果、かつてならコアなネット利用者からは情弱wなどと馬鹿にされていたライト層の人たちこそが今やネット利用の中心になっていたということなのでしょうか。
逆に言えば利用者各位にネット利用のマナーが身につくにつれて自然と収束していく程度の問題ではないかと思っているのですが、大手サイトの食べログから問題が一気に炎上し騒動になってしまった結果どうも過剰反応とも言える意見も出てきているようですね。

“ステマ”が壊す日本の未来(2012年1月16日ガジェット通信)

2012年が始まって早々、今年のネット流行語大賞候補が登場した。それが“ステマ”だ。
直近では『食べログ』で金銭を受け取った業者による飲食店への意図的な高評価付けが発覚し、“ステマ”といわれ炎上騒動になったことは記憶に新しい。
ただ、これは2012年になって生まれた言葉ではなく、数年前から存在する広告用語“ステルスマーケティング”の略である。“ステルスマーケティング”とは、広告主が消費者に対し、それが宣伝だと認識されないよう自ら広告活動を行うことで、しばしば有名人や著名人のブログ、時としてテレビ番組内に露出する商品もその対象として認識される。

“ステルスマーケティング”についての賛否や問題点については既に様々な議論が尽くされ、昨今ではコンプライアンスやマーケティング倫理の名のもとにルール化されようとしているので、ここでの説明はあえて避けようと思う。
今回はこの“ステマ”という言葉が、世に氾濫することによるデメリットについて述べたい。

まず上記でも述べたように“ステルスマーケティング”とは、それが消費者に宣伝だと気付かれないように行うものであって、気付かれてしまえばそれは“ステルス”ではなくなり、なんとも間抜けなお芝居となってしまう。
この“ステマ”がインターネット上流行語となりつつあることから、多くのネットユーザーがこの“流行語”を使いたがっており、目に付いたものを何でもかんでも「ステマだ!」「ステマだ!」と発言してしまう現象が起こっているのだ。
こういった傾向が加速した場合、普通の情報発信をうがった形で認識してしまう。つまり“ひねくれた受信者”を生み出すケースさえあるのではないだろうか。

極論だが最近のニュースで上げると、

・澤選手のFIFA女子年間最優秀選手→SHIDAXのステマ
・田村淳、矢野未希子と正月ハワイ旅行→ゼクシィのステマ
・兵庫知事 大河ドラマ『清盛』を批判→兵庫県のステマ
と認識してしまう恐れがある。

もちろん、これらのニュースは一切ステマではない。しかし、このように茶化すユーザーがいることで、あたかもそれが真実であると認識してしまう人が出てくる=“ひねくれた受信者”を生み出す可能性もある
本来は消費者にとって有益な情報でさえも誤認されたうえに、理解されない事態が発生するのだ。

インターネットは情報を能動的に仕入れるところなのだから、自己責任のもとに情報を取捨選択のうえ判断すればいいと言われればそれまでかもしれない。
たださらなる問題は、この“ステマ”という言葉がリアル社会にも波及してきた場合だ。例えば、ネット言語が急速に広まりやすい中高生がこの言葉を覚えて、自分の意図そのままに使い始めたとしよう。
「休日どこ行ったー?」「ディズニーランド! 超楽しかったよ!」という何気ない会話でも、「それディズニーのステマじゃね?」と言われてしまったら……。

この言葉が浸透すればするほど、冷やかされることを極端に嫌う若者たちは、何かを他人に伝えるときは常に“肯定でなく批判を前提に”と考えてしまうようになり、その結果、身の回りの好きなものを正直に好きと言えなくなるのではないだろうか。少しでも興味を持った“これから好きになるであろうもの”も、そういった考え方が邪魔をして好きになれなくなるのではないだろうか。
“ステマ”という言葉が悪いと言っているのではない。問題はこの言葉が、他人の意見や推薦を茶化す言葉として非常に便利なところにあるのだ。

“ステマ”。この言葉が世に広まっている時点で“ステルスマーケティングのステマ”は失敗に終わった。もうこれ以上、面白いように使われることなく、できることならその名前のようにそっと姿を消すことを切に願う。

食べログ問題で表面化したステルスマーケティングの脅威(2012年1月16日MdNデザインインタラクティブ)

グルメ情報のレビューサイトである「食べログ」(運営:カカクコム)上で、特定の飲食店に対する好意的な評価を書き入れるかわりに、その飲食店から金銭を授受するというクチコミ代行業者が存在することがわかり、問題になっている。要はヤラセである。

こうした、実際には広告によってクチコミを増幅させるための手法であるのに、あたかも自然発生しているかのように見せることを、マーケティング用語としては「ステルスマーケティング」(ステマと略されることもある)という。ちなみにステルスとは、もともと軍用機や戦闘車両などがレーダーに探知されることを妨げるために考案された軍事技術の総称だ。目に見えないわけではなくて、あくまでレーダーなどのセンサーに引っかからないようにボディの形状を電波かく乱用に湾曲させるとか、吸収してしまうような塗料を使ったりしている。第二次世界大戦中にレーダーが実用化されたことを受けて、そのカウンターテクノロジーとして開発されたものだ。

広告業界ではびこるステマには、この軍事技術のような高度なテクノロジーなどない。単に消費者をだます悪意しかなく、サクラを雇って店に並ばせる的屋と変わらない。ブランディング上有効な場としてソーシャルメディアが認知され、さらにステマ自体に(上述のように)たいした技術も必要ないことから、有象無象に悪徳業者が巧言を弄して広告主を誘惑し、消費者をサクラとしてヤラセの片棒を担がせている

数年前にはブロガーにお金を払って商品告知を行うようなサービスを表立って提供している企業も多くみられ、芸能人ブログもそうしたヤラセメディアとして活用されたが、いまでは食べログや@cosmeのようなCGMサイトを舞台に、分散したアノニマス(匿名)によるクチコミ投稿を請負う形になってきた。

広告と広報の違いは、前者がメディアにお金を払って好意的な記事を書いてもらう、もしくは自身で制作した広告クリエイティブを掲載してもらうことであり、後者はメディアと企業の間に金銭の授受は無く、掲載するかどうか、もしくはどのような評価を載せるかはメディア側の自由であるということだ。広告と広報は、明確に分けられなくてはならない。さもなければ、メディア自体が信用性を失う。テレビや新聞などのマスメディアは、長い歴史の中で、こうした公明性を担保することの重要性を認識し、自主規制的なルールやマナーを育ててきたが、それでもヤラセが入り込むリスクはつねに存在する。ステマとは広報の顔をした広告であり、これを放置すれば、メディアは存在意義をみずからドブに捨てることになる

ま、受け取り方は人それぞれなんだなと言うことがよく判る話ですけれども、本質的には例えば地域の飲食店を掲載したグルメ本などでも昔から行われてきた程度のことですし、昔から新聞や雑誌の「読者の声」なるものにどれほどのヤラセが入り込んでいるかを知っている人間には今更な話ではないかと思いますけどね。
その観点からするとバラエティー番組で特定店ばかりを取り上げるなどステマの先輩格とも言えるマスメディアに公明性が担保されているなどと考える人もいないんじゃないかとも思うのですが、実際にメディアに露出すれば一時的にせよ売り上げが増えるという現象はあるようですから、メディアと店舗側は持ちつ持たれつの関係を今後も続けていくだろうことは誰しも予想できます。
ただ現代社会において昔と違うのはかつての消費者はメディアの側から一方的にステマを仕掛けられるだけの立場であったものが、今では食べログのようなネット口コミサイトにしても自ら情報を発信出来るようになった結果、実像を超えて取り上げられてしまったお店ではその何倍もの反動が後から押し寄せる場合もあるということでしょう。
ちょうど一年前にグルーポンのおせちがひどい!と大騒ぎになったことがありますが、ネット上でさらされ一気に大勢の顧客が押しかければ当然それだけ多くの批評がつくわけですから、実力のある店ならともかく(もっともこの場合でも、キャパシティーオーバーから普段よりも評価が下がるリスクは伴うわけです)分不相応なことをやってしまうとかえって後が怖いことになるのだと、軽い宣伝のつもりでステマを打ったお店側も今後徐々に学習していくことになるのでしょうね。

ただステマの問題とは消費者の立場からして釈然としないものは残るものの、例えば悪口を書き込む等の誹謗中傷を行ったわけでもなく単にヨイショしているだけですから行為自体の違法性を問うことが難しい、そしておそらくはこれを取り締まるべく新規立法を行ったり法解釈を広げたりすれば、既存のマスメディアのやってきた事も多くがその網に引っかかってくることになるんじゃないかと思います。
そして例えば消費者側からステマによる誤情報を是正しようと「こんな評価は嘘っぱちだ。この店はダメだぞ。騙されるなよ」なんてことを書き込めばむしろそちらの方が営業妨害で訴えられかねないというもので、実際に大手口コミサイトでは以前から書き込みの内容をチェックして「不適当」な評価は公開していないなどとも言われていますよね。
書き込んだ本人は元よりその書き込みを放置したサイト側も訴えられるリスクがあるということから来る当然の判断だとも言えそうですが、そうした自衛的対応が当たり前になり少しでも揉めそうな書き込みは公開保留という処置が一般化するほど、長期的に見るとサイトの信頼性が失われていくということになっていきます。
中には一見すると手放しで絶讚しているように見えて実は批判しているという高度なレトリックを使っていたり、文面から受ける印象と採点が乖離しているといった「対策」を講じているレビューワーの方もいらっしゃるようですが、そうした管理者と利用者との虚虚実実の駆け引きを生暖かく見守るのもこの種のサイトの別な楽しみ方になっていくのでしょうかね(苦笑)。

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