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2012年1月19日 (木)

ようやく貧困の実態調査が始まったそうです

最近は貧困対策ということが真剣に取り上げられるようになり、実際に社会的にも喫緊の課題だと言われていますが、その中でも言ってみれば最底辺に位置する方々の実態把握がようやく始まったという話が出ていました。

ホームレス把握へ 今月 全国で実態調査(2012年1月12日サーチナ)

 厚生労働省はホームレスの実態把握と自立支援に向けたデータを得るため、今月、ホームレスの実態に関する全国調査を実施する。調査結果は4月に公表する予定。

  調査では性別・年齢・生年月日、調査場所、路上生活で寝ている場所が一定の場所で決まっているかどうか、その具体的場所(公園・道路・河川・駅舎など)、寝場所をどのようにしてつくっているか(廃材・ダンボール・寝袋・毛布など)、路上生活をしてどの程度になるか(期間について)、収入の入る仕事をしているか、している場合はどのようなものか(建設日雇い、廃品回収、運搬作業・その他の雑業など)、収入がある場合の最近3か月の平均月収、仕事以外での収入の有無(ある場合は年金・家族からの仕送り、友人などからの支援など)。路上生活で特に困っていること(食べ物・寝る場所・雨や寒さ・入浴や洗濯ができす清潔に保てない・ホームレス同士のいざこざ・孤独や不安など)、路上生活に至ったいきさつ、路上生活に入るまでに住んでいた地域。現在の健康状態、福祉制度の利用状況、利用したい支援、就職支援を含め自立についてのアンケートなど細部にわたり回答を得たい考え。同省ホームレス自立支援係は調査結果を分析のうえ、施策に反映させたいとしている。

  同省によるとホームレスは昨年1月現在で1万890人いることが確認されており、現在も景況の悪さから1万人を超えていると予測されている。(編集担当:福角忠夫)

もちろん調査をしないよりはした方がいいのは確かなのでしょうが、この記事を見ていて感じたことはホームレスという対象の定義がどうなっているのかということで、記事から見る限りでは文字通りの路上生活者というものを対象にしているように見えるのですが、こうした人々は最近どうこうと言うものではなく長年それで暮らしている人々の比率も多いわけですよね。
それよりも今社会的に急増していて問題視されているのがネットカフェや漫画喫茶の類を簡易宿泊所代わりにして、持ち物と言えば唯一のコミュニケーションツールとしての携帯一つで何とか生きていっている若年ワープア無宿者の増加ではないかと思うのですが、社会復帰する意欲も能力もあるだろうこうした層に対する調査はきちんとなされているのでしょうか。
屋根の下に寝ることも出来、携帯も持っているのであれば本当の貧困者ではないという考え方もあるかも知れませんが、社会復帰に要するコストという面から同じお金をかけてより効果の大きい対策を行うには何を優先すべきかということを考えると、完全に落ちてしまう以前の滑り落ちつつある人々にほんの僅かな手助けをすることが最も効率的かつ急がれるべきであると言えないでしょうか?
路上生活者が増えてくれば確かに見た目の貧困度は高そうに思えますが、見た目は最低限の社会性を保ったまま貧困化していく人々がひとたびその水準をクリア出来なくなると再浮上が極めて困難であるわけですから、急ぐべき対象への対策を最優先で行って欲しいものだと思います。

いずれにしても政府もようやく貧困対策に本腰を入れ始めたかと思われるニュースが連日続いているのですが、こちらでも携帯電話ということが一つのキーワードになっているのでしょうか。

携帯買える?「貧困の指標」見直しへ(2012年1月18日読売新聞)

 生活保護受給者の急増やワーキングプア問題などに対応するために、厚生労働省は貧困を測る新たな指標を定めることを決めた。

 国際的な指標は実態を反映しにくく、分かりにくいとされるため、日本独自の指標を作り、健康状態や衣食住の状況も含めた貧困の実態を明らかにする。同省では来年度中に策定し、継続的に貧困率を測って政策に反映させる方針で、貧困かどうかを決める目印を何にするかで注目を集めそうだ

 貧困を把握する代表的な物差しには、経済協力開発機構(OECD)の調査などで使われる「相対的貧困率」がある。2010年調査(09年時点)で日本の「相対的貧困率」は16・0%で、おおよそ6人に1人が貧困とされた。07年調査より約0・3ポイント悪化し、過去最悪。OECDによる00年代後半の調査の国際比較では、日本は加盟34か国中下から6番目だった。

 ただしこの指標の算定基準は収入だけで、資産や医療や介護のサービス受益などは考慮されない。貯金や持ち家があっても所得がなければ「貧困」と判断されてしまうこともあり、「実態を見るには不適当」との指摘が上がっていた。また国際的にも別の指標を加える動きが広がっており、欧州連合(EU)では、貧困の継続状況や、寿命など14項目からなる指標を独自に導入。イギリスも複数の指標を取り入れた。

 こうした動向も踏まえて厚労省では専門家による検討会を発足させ、来年度中に成案をまとめることにした。新しい指標には失業率や医療をどのくらい受けているかなどの項目に加え、「食事に困っていないか」「携帯電話などの必需品が買えるか」など、生活に密着した項目を入れることも検討する。指標は、生活保護の基準や年金制度の見直しなどの政策立案に役立てていくという。

生活保護を受給しながら高級外車を乗り回しているような連中は論外ですが、ワープア問題ということを考える上で貧困度を判定するのはいいとして、何を生活に欠くべからざる最低限のものとするかが実は世代によってかなり認識が異なるのではないかと感じます。
古い世代ですと結構裕福な方でも携帯はあまり必要性を感じていないという人も未だにいるようですが、若い世代にとっては仕事の情報を得るためにも臨時仕事の連絡を受けるためにもまず家よりも何よりも携帯がなければ話にならないわけですから、言ってみれば生きていく上で最後の頼みの綱であるわけですよね。
となると、月々一定の固定費が必要なこうした必需品の所持を例えば公的に補助してやるといった対策だけでも随分と話が変わってくると思うのですが、どうも自治体などの貧困対策というものを見ていても実際にどうやったら仕事にありつけるかという方法論に踏み込んで考えているような気配があまり見えないのが気になります。

どんな仕事であれ一定期間離れてしまうと再教育が必要になりコストがかかる、それならば最優先すべきはまだ自力復帰できる状態にある貧困層ニューカマーをどう下支えすべきかであるはずで、そのためにも支援すべき対象をきちんと分析、分類し世代や背景毎に最も有効な対策を検討していくということは面倒ではありますが、結局は安くつくやり方でもあるんだろうと思います。
この点で国にしろ自治体にしろ何かをやるにあたって決定権を持っているのはいい年をした人々でしょうが、はっきり言って一定レベル以上の年代になると再教育を行い現代社会に適応出来るレベルにまで持って行くコストだけでも膨大ですから、そうした年代の感覚で何をどう支援していくかを一律決定されてしまうと最も容易に社会復帰可能な若年世代への対策としては的外れなものになりかねないということですよね。
日本ではホームレスレベルに完全に落ち込んでしまう以前のセーフティネットが十分機能していないと言われる理由の一端に、お金を出す側の旧態依然とも言える認識不足があるのだとすれば勿体ない話だと思うのですが、統計的な数字のみならず現場で何が求められているのかということも地道に調べ尽くした上での政策であって欲しいと思います。

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コメント

逆に言えばあれだけ炊き出しなどがニュースになっていたにも関わらず、今までまともな調査すらやっていなかったと言うことかな?

投稿: kan | 2012年1月19日 (木) 11時58分

実のある調査になるかどうかはまだ判りませんが、例えば生保受給者とホームレスとがどこで道が分かれたのかということを調べてみてもおもしろい話も出てくるのかも知れませんね。

投稿: 管理人nobu | 2012年1月19日 (木) 12時35分

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