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2011年12月 2日 (金)

子供のつけるあだ名って結構悲惨なものがありますよね

最初に申し上げておきますが、本日はちょっとした小ネタです。
さて、読売新聞の宇宙人連載病院編がおもしろいと話題になっているようなのですが、例えばその第一話はこんな感じなんですね。

ヨミンちゃんの冒険 日本の病院編 宇宙人もびっくり モンスター患者の実態(1)(2011年11月8日読売新聞)より抜粋

     とても静かな夜でした。ピンクのUFOに乗って、ある病院の窓から、中の様子をうかがっている女の子がいます。地球から100億光年はなれたヨミドク星の王女さま、ヨミンちゃんです。

ヨミンちゃん「地球人は、どうも『医療』という技術で長生きになり、みんな幸せに暮らしていると聞きましたわ。地球で医療が一番という日本国の病院を、しっかり勉強しましょう」

     のぞいた窓からは、静かに寝ている患者さんたちが見えました。ヨミドク星の最新UFOは、音もなく、地球人からは姿も見えません。

ヨミンちゃん「みんな幸せそうな寝顔ですわ」

     ところが、こんな静かな夜に、どなり声が響いてきます。中年の男性が、大騒ぎをしているようなのです。

男「おいっ! 土下座して謝れ!!

看護師「お母さまは今、処置中で…」

男「まず土下座だろ!

     どうやら、こういうことのようなのです。

     その方は、具合の悪くなったお母さまを連れて、深夜の救急外来を受診したそうです。お母さまの具合はとても悪く、診察してすぐ入院となり、この時もまだ手当てが続いていました。処置の続く病室の外で、その方はひとり待っていました。様子を聞きたいと医師や看護師に何度も声をかけようとしましたが、忙しそうで、説明してくれません

待っている30分ほどの間に、すっかり頭に血がのぼってしまったその方は、女性の看護師さんにいきなりどなりつけたのです。

     夜間の病棟に響き続けるどなり声。入院患者をみんな起こしてしまうかもしれません。看護師は騒ぎを鎮めるため、冷たい床に額をつけ、土下座しました

ヨミンちゃん「なぜかしら? 医師や看護師たちは、その方のお母さまの手当てをしているはずだわ? なぜあのようにみじめな姿になり、許しを請わなくてはならないの?
(略)
※医療問題をテーマにしていますが、物語はフィクションです。

こんな調子で延々と「フィクション」の物語を綴っているシリーズなのですが、フィクションの世界でも現実世界と全く同じようなことが起こっているというのが興味深いですよね(苦笑)。
おもしろいのは単なる状況描写にとどまるのみならず、マンガなどに見られるような記号的表現によって患者のキャラクター付けを明確に行っていることですが、例えば患者に対してこういう表現を行うことは一昔前の紙面であれば問題視されていたかも知れませんよね。

    UFOはさらに時空を飛び越え、別の病院にたどりつきました。応接室のソファにふんぞりかえるのは、丸々と太り、パジャマのボタンがとまらずにおへその見える男性です。ここの入院患者の方のようですが、病院の職員の方にまくしたてています。

へそ男「おたくの医者の腕が悪いからさぁ、全然治らないじゃないの。入院が長引いて仕事に戻れないのはおたくらの責任でしょ

病院職員「治療に当たっているのは、当院でも実績の高い専門医です。ただ、治療を受けられる皆さまの体質も体調も違いますので…」

へそ男「俺のせいだっていうの? それはないんじゃない? とにかく生活費が足んなくなっちゃったのよ。責任とってよ。こんな大きな病院なんだから、出せるでしょ?

病院職員「こちらの責任といわれましても…」

へそ男「この前、病院の廊下で転んじゃってけがしたからさぁ、慰謝料のことも話したいんだよね

     男のパジャマのボタンがもうひとつ、ボチッとはじけ飛びました

ドクターJiJi「治らないのは全部が医師のせい、どうしてそう考えるのでしょう。生活費など出せるわけありません」

ヨミンちゃん「あのご立派なおなかには、欲望がつまっているのかしら

コメント欄は承認制ですけれども、「取り上げられている事例は、まったく日常です」「医療機関、施設の中に交番が設置される日がくるのも夢ではない」などといった声もあれば、「どこがモンスター患者なのでしょうか」「やはり医者や看護師側の言い訳がほとんど」「モンスターを生み出している原因の一番は医療側にある」などという声もありで、実際のモンスター出現率を考えても潜在人口はこの程度は…というところでしょうか。
ただ医療現場の素朴な実感からすればおそらく多くの職場でもう少し余力が出来ればもっといい医療が出来るという気持ちがあるでしょうから、一部のモンスターに余計な手間暇をかけて理解していただくよりは「それでしたらどうぞ、お好みの医療を受けられる施設へお越しください」で送り出してしまった方が、大多数の善良な患者によりマンパワーを集約化出来るのも事実ですよね。
先日ようやくブログを閉鎖された某大先生の主張されたように日本全国どこにでも医者が有り余るような社会になって、街頭で医者が立って「あ、患者さんどうぞうちへ!ささ、寄っていってください!」なんて呼び込みをするような時代になればそうしたモンスター専門のニッチマーケットも成立するかも知れませんが、少なくともそれは皆保険制度下でペイするようなものではなさそうです。

いずれにしてもモンスターの一つの定義が公共の利益に反しても個人利益を過度に追求し不当な要求を強要する人々だとするならば、例えば時折問題になる俗に言う「プロ市民」などもモンスターの一類型と言えそうですから、そうした主張をまるで市民の声か何かのように誇張して取り上げてきたマスコミ各社こそが彼らを育ててきたという考え方も出来るのでしょう。
その代表格と言えばご存知朝日新聞ですけれども、先日その朝日によって取り上げられたこちらのお方、このまま行けばこと規模という点ではもしかすると史上最大級のモンスターになるのではないかとちょっとした話題になっていることを紹介させていただきましょう。

「ノロって呼ばないで」 野呂さん、ウイルス改称訴え(2011年11月29日朝日新聞)

 寒くなるとおう吐や下痢を起こすおなかの風邪が流行する。その一つ、ノロウイルス感染症について、「野呂」という姓の30代男性が呼び名の変更を学会や厚生労働省、報道機関に求めている。ウイルスの分類を決める国際組織は野呂氏の訴えに理解を示すが、いったん広まった呼び方を変えるのは難しそうだ。

 この感染症は「ノロウイルス属」という仲間に属するウイルスが起こす。代表的なウイルスは、発見された米国の町の名にちなんで命名された「ノーウォークウイルス種」だが、実際には、発音しやすくするために短縮したりして作られた「ノロ」という属名で呼ばれることがほとんどだ。

 これに反発しているのが近畿地方に住む3児の父という野呂氏。今年3月から「野呂姓の子どもたちが不要に嫌な思いをしなくていいよう、正確に『ノーウォークウイルスに感染』と言うべきだ」と訴えてきた。

いや無理、それはさすがに無理だから(笑)。
ちなみにこのウイルス、ある程度古い先生ですと小型球状ウイルス(SRV)と言った方が通りがよいかも知れませんが、もともとは世界各地で嘔吐下痢症を起こすウィルスが様々に命名されていたものを2002年にまとめてノロウイルスと表記するようになったもので、何しろ消毒剤等に対してもしぶとく集団発生しやすい上に、症状も強くて場合によっては死者も出るというやっかいなシロモノですので皆様十分にご注意いただきたいところです。
ま、子供の世界などでは真田君がサナダムシといじめられるようなことは日常茶飯事ですから野呂さんの言いたいことも分からないではないですけれども、世の中こうした事例はいくらでもあることであって、国際的約束事として決まったことを今から野呂さんのために表記を変更するというのは不可能でしょう(朝日らマスコミが今後自主的な配慮をするかも知れませんが)。

さすがにネットでは「虚構新聞かよ!」「御手洗さんの方がよほど深刻だぞ!」などと厳しいコメントがついていますが、実のところ関西圏在住というだけに野呂さんの方はもともと半ば自虐ネタとしてやっているのかも知れないなとも思っていて、例えば過去にも沖縄県に存在する地名を取り上げて改名を希望なんて話があったりしますが、こちらはネタで通るような話ですんでいますよね。
ただ野呂さんの出発点がネタであったとしても(呼びかけを見るだけですと本気ともネタとも判断しかねるのが微妙なんですが)、こうして天下の朝日に取り上げられるとまるで壮大なクレーマーか何かのように聞こえてしまうところが怖いというもので、例えば過去に実際にあった有名な事件として「ドルゲ君事件」というものがあります。
こちらはテレビ番組の悪役と同名の少年が「いじめられた」と使用停止の仮処分申請をした結果、番組が打ち切りになった(この事件のせいかどうかは異論もあるようですが)というものですが、このとき天声人語で「このドルゲという悪者に、もっと人間的な親しみやすさがあれば、こういう問題はおこらなかった」と書くなど事件を大々的に炎上させたのがこれまた朝日新聞なのですね。
そう考えて見るとモンスターというものを産みだし、大きく育て上げる原動力となるものが一体何であるのか…もちろん冒頭の読売のような承認制コメント欄には、そうした意見は一切反映されないことになっているようですけれどもね。

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コメント

近頃は子供にも妙な名前をつけるのが流行ってるらしいから、どこでどんな引っかかりが出来るやらわからんな
朝日あたりならこれに賛同してノロの名称を使わなくなるのかも知れんが、その時はどうせならアサヒウィルスとでも読んだらどうだw

投稿: aaa | 2011年12月 2日 (金) 09時59分

>テレビ番組の悪役と同名の少年が「いじめられた」と使用停止の仮処分申請をした結果、番組が打ち切りになった

番組を楽しみにしていたよい子達から余計いじめられるようになったんじゃ…w?
つかにわのまことはん何やってはるんですかw?

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2011年12月 2日 (金) 10時01分

モンスター患者は全体の患者の中では少数なので、目立つんでしょうね。
モンスター患者を支持するコメントをする読者もいるようですが、患者・家族全体や7一般市民の中では、それも少数派でしょう。

患者コミコミで外来がごった返す当病院でも、騒ぐのは、社会経済学的に下層にあるか、生活保護系かチンピラ系が大半です。
それ以外の一般市民層の患者も家族も、ほとんど騒ぎません。

入院患者とその家族では、まぁ、悪いけれど、どんなに平易な言葉で説明しても、疾患に対しての認知力・理解力が低い方が大半で、認知力・理解力の向上は今後も望めないタイプばかりです。

モンスター患者とその家族、それを支持する読者は、認知力・理解力がもともと欠けていて向上と改善の可能性はなく、オツムのレベルが今一つの人間、と割り切っています。

投稿: とある内科医 | 2011年12月 2日 (金) 10時44分

ちなみにドラマ等で決まり文句のように出てくる「この物語はフィクションであり…」という一文、あれもこのドルゲ事件がきっかけで用いられるようになったらしいですね。
はっきり言ってこういうこと言い出したらきりがないと思いますが、ひとたび前例が出来てしまうとそこまでの対応は求められるということですからねえ…

投稿: 管理人nobu | 2011年12月 2日 (金) 10時45分

>オツムのレベルが今一つの人間

それを言っちゃあw

投稿: kan | 2011年12月 2日 (金) 13時24分

ノロウイルスはカリシウイルス科ノロウイルス属ノーウォークウイルスです。
朝日新聞によれば、野呂さんの指摘も全く別の名前にするのではなく「正しくノーウォークウイルスと呼ぶべき」であったと思います。
ノーウォークウイルスの発見事実、その後の歴史的経過から「ノロウイルスではなくノーウォークウイルスと呼ぶべき」と考える専門家は多数居ます。

投稿: | 2011年12月 3日 (土) 10時09分

現実的に学会等で改称を真剣に検討されているという話を自分は聞きませんが、仮にノーウォークウィルスに改称するとして、今後ノーウォークさんが同様に改称の主張をしてきた場合にはどう対応すべきでしょう?

投稿: 一応ウィルス学領域で学位持ちです | 2011年12月 3日 (土) 11時30分

チョウセンメクラチビゴミムシぇ…
http://ansaikuropedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%81%E3%83%93%E3%82%B4%E3%83%9F%E3%83%A0%E3%82%B7

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2011年12月 5日 (月) 09時35分

ま、こういうことは言い出したらきりがないんですよね。
ドイツ人が日本の子供番組にクレームつけてくるくらいですから。
言葉狩りは勘弁してくれというのが原理原則だと思います。

投稿: 管理人nobu | 2011年12月 6日 (火) 08時09分

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