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2011年12月14日 (水)

再び目前に迫る南極海での対決

いよいよ今年も南極海での捕鯨シーズンがやってきたようですが、それを反映してかにわかに慌ただしいことになってきているようです。

調査捕鯨船に海上保安官が乗船 シー・シェパード対策で(2011年12月5日産経新聞)

 海上保安庁は5日、今年度の南極海での調査捕鯨船に海上保安官を乗船させると発表した。捕鯨船への乗船は今回で3回目だが、事前に公表するのは初めて。水産庁が初めて派遣する監視船にも同乗させる方針で、これまでよりも態勢を強化して警備にあたる。

 海上保安庁によると、反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」の妨害活動が予想されることから、農林水産省などの要請を受け検討。調査捕鯨船団の安全確保の観点から海上保安官の乗船が必要と判断した。巡視船の派遣は効果が限定的として見送った。

 調査捕鯨船への海上保安官の乗船は平成19年度と22年度に実施している。この際は妨害行為に対応したことなどを受けてから乗船を公表していた。同庁幹部は「今回は抑止効果を期待して事前に公表することにした。人数や装備、具体的な任務などは警備上明らかにできない」としている。

 鹿野道彦農水相は10月、例年11月から始まる調査捕鯨について今年度も実施する方針を明らかにしている。水産庁は安全上の問題があるとして、調査の実施状況や期間を明らかにしていない。

シー・シェパード提訴へ 日鯨研、米連邦地裁に 調査捕鯨妨害差し止め(2011年12月9日産経新聞)

 米反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)の調査捕鯨妨害を阻止しようと、政府の許可を受け調査を実施している日本鯨類研究所(東京都中央区)が、SSの本部のある米ワシントン州の連邦地裁に対し、妨害の差し止めと船団への接近禁止を求める訴訟を一両日中にも起こすことが8日、分かった。併せて差し止め仮処分の申請も行う。負傷者が続出し、昨季には調査打ち切りに追い込まれたSSの妨害をめぐり、日本側が海外で法的手段に出るのは初めて

 昨夏、地中海でSSの妨害を受けたマルタの水産業者が英国ロンドンで損害賠償請求を起こし、今年6月に勝訴。日鯨研はこの訴訟を綿密に研究し、水産庁と協議を重ねた結果、関係国の司法判断を通じて、SSの活動を法的に拘束することが妨害抑止に効果的と判断した。訴訟先には、SSがNPO(民間非営利団体)の法人格を有し、国内法の順守義務を持つ米国を選び、米国の法律専門家と準備を進めてきた。

 提出する訴状では、活動家の捕鯨船乗り込みや火炎瓶の投擲(とうてき)、船による体当たりなどこれまでの暴力行為を挙げた上で、「SSの業務妨害によって損害を被った」ことが強調されている。

 妨害行為を指揮し、国際指名手配されているSS代表のポール・ワトソン容疑者(61)も被告に加える。同容疑者による不法行為を法廷で明らかにすることで、劣勢だった情報戦の挽回も図りたい考えだ。

 本訴訟は判決まで時間がかかるが、仮処分申請は提訴から数週間以内で連邦地裁の判断が下される可能性がある。妨害停止命令が出れば、SSは従わざるを得ず、命令を無視した場合、罰金の支払いなどさらに重い措置が下される

 SSは米国内での収入が免税される特別なNPO団体として認定されており、敗れれば、この“特権”が剥奪される可能性もある。

 一方、今季の調査を行う捕鯨船団は6日、日本を出港。妨害により調査を中断した昨季の教訓から、海上保安官を乗船させた監視船を派遣し、最大の警備態勢を敷く。SSも3隻の抗議船をオーストラリアに集結させて出港を準備している。攻撃用ゴムボートを新たに購入するなど装備を増強させて、妨害に乗り出そうとしている。

シー・シェパード提訴 「本丸」で奇襲作戦(2011年12月9日産経新聞)

 米反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)を法廷に引きずり出そうと、調査を行う日本鯨類研究所が決めた米連邦地裁への提訴は、日本側が長らく温存してきた切り札の一枚であり、SSがオーストラリアで捕鯨妨害の準備に全神経を注いでいる最中に、手薄になった本丸で行う“奇襲作戦”でもある。(佐々木正明)

 今回、NPO法人としての本拠である米ワシントン州でSSを訴えることには、日本政府の強い意向が働いている。政府はこれまでもSSの暴力を法的手段で縛る手段を模索してきたが、関係国は米国や豪州などの反捕鯨国でしかなく、「アウェー」での審理は、むしろ日本側を劣勢にするとの読みがあった。

 流れを大きく変えたのが今年初め、マルタの水産業者がSSを相手取り英国で起こした損害賠償訴訟だった。業者はクロマグロを囲ったいけす網を切断され、約70万ポンド(約8500万円)の損害を被ったが、第1審判決は全面的にSSの非を認め、7月にSS船が英国に寄港した際にも、供託金没収のための差し止め措置も実施し、反捕鯨国でも「司法判断は別物」との期待を日本側に抱かせた。

 SSの近年の資金力拡大も、待ったなしの状況を生み出した。米有料チャンネル・アニマルプラネットのシリーズ番組「鯨戦争」が海の英雄に描き出すことで、SSには多額の寄付金が転がり込むようになった。

 捕鯨妨害を始めた2005年以来、米国内での収入はこの6年で約10倍にも膨らみ、SSは資金を装備増強に投入。攻撃力はアップし、日本の捕鯨船に負傷者が続出、昨季はついに調査中断に追い込まれた。SSが米国で法的な足かせを負えば、妨害の大きな抑止力になると日本側は考えた。

 提訴の時期も綿密に練った。SSは代表のポール・ワトソン容疑者(61)が牛耳る団体であり、代表の意向がすべて反映される。12月には、SSは南極海の捕鯨妨害へ全勢力を集中させ、団体幹部は出撃拠点となる豪州に集結する。日本側が訴訟と併せて行う差し止め仮処分申請は、数週間以内で判断が下される可能性があり、SS側は不意を突かれて、準備不足のまま法廷での対応を迫られる可能性が高い

 関係者は「アニマルプラネットの道義的責任も問いたい」と話す。日本側は一気に反転攻勢に出て、SSの封じ込めを図ろうとしている。

「日本側の最後のあがき」 シー・シェパード代表が調査捕鯨妨害差し止め提訴に反発(2011年12月9日産経新聞)

 日本鯨類研究所などが反捕鯨団体「シー・シェパード」に調査捕鯨妨害差し止めを求めて米連邦地裁に提訴したことについて、同団体代表のポール・ワトソン容疑者は9日、共同通信の電話取材に「提訴は取るに足りない。訴えの内容は真実ではない」と反発した。

 ワトソン容疑者は提訴について「捕鯨産業が衰退する中、日本側による最後のあがきだ」と挑発。「われわれを支援する弁護士らに相談するが、提訴はまったく(妨害)活動に影響しない」と断言した。

 シー・シェパードは、調査捕鯨団が南極海へ向けて既に日本を出発したのを確認したとして、来週中にも計3隻の抗議船をオーストラリア西部や南東部から出港させる方針。同容疑者は「南極海を日本の調査捕鯨船団の侵略から守るため行動する」と強調しており、激しい抗議行動が予想される。(共同)

記事にもありますように今回日本側がシー・シェパード(SS)提訴に至ったというのが目玉となりそうですが、訴える主体は調査捕鯨を実施している日本鯨類研究所であるとは言え、実際には背後に日本政府の意向が働いているということのようですね。
ご存知のように近年その収入を飛躍的に増加させているSSの2010年収入は991万ドルと過去最高を更新、同じくワトソン代表の収入もさらに増えて12万ドルと過去最高を更新したと言いますから立派なお腹もますます肥え太ろうというものですが、このテロ組織が英国と米国ではNPOとして税金を免除されているということがポイントでしょうか。
一説にはNPO絡みの雇用が総雇用の一割にもなるというNPO大国アメリカですが一方でNPO絡みの不正や不祥事も全く珍しくないと言いますから、SSにしてもこちらの方面から叩いた方がいくらでも突っ込みどころは出てくるという可能性もありそうですよね。
さて、「仮に日本側が勝訴しても米裁判所に活動を阻止する権限はない」などと相変わらず自らの無法ぶりを協調してやまないワトソン代表率いるSSも近く妨害船を出航させる構えであるということですが、これに対して近隣諸国でこんな動きがあるようです。

シー・シェパードの捕鯨妨害活動、オーストラリアが捜査に着手(2011年12月12日産経新聞)

 オーストラリア(豪州)のラドウィッグ農水林業大臣は12日、鹿野道彦農林水産相と農水省内で会談し、豪州の警察当局が南極海における日本の調査捕鯨の妨害活動の捜査に着手していることを明らかにした

 鹿野氏は反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」による妨害活動に、「抑止策を豪州政府内でも十分検討し、実行してほしい」と要望した。

 一方、ラドウィッグ氏は豪州が調査捕鯨の廃止を求めていることから、「捕鯨に対して日本と豪州の立場は異なる」と説明。その上で、「法律順守は当然必要であり、すでに警察、海上保安当局が(昨年度の)妨害活動の捜査を開始している」と応じた。

 SSをめぐっては、豪州当局はSSの船の寄港時に立ち入り検査を実施。調査捕鯨を行う「日本鯨類研究所」などがSSと代表のポール・ワトソン容疑者=傷害容疑などで国際指名手配中=を相手取り、妨害の差し止めと捕鯨船団への接近禁止を求める訴訟を米ワシントン州の連邦地裁に起こしている。

 今回の会談では、ラドウィッグ氏から訴訟に関しての言及はなかった。

シー・シェパード捕鯨妨害想定、NZ海軍が艦艇派遣か(2011年12月12日産経新聞)

 12日付のニュージーランド紙プレスは南極海で近く実施される日本の調査捕鯨に反捕鯨団体「シー・シェパード」が激しい妨害活動を行う恐れがあるとして、ニュージーランド海軍の艦艇2隻が南極海へ派遣される可能性があると伝えた。

 ニュージーランド国防省筋の話として報じたが、詳細は不明。両者の衝突で死傷者が出る事態を防ぐため、同国政府が派遣を検討している可能性がある。ニュージーランド政府は10月、日本の調査捕鯨継続を非難する声明を出している。(共同)

一見するとテロ集団を放置どころか積極支援してきたオセアニア諸国もついに重い腰を上げたかとも見えるような話なんですが、もちろん日本側の繰り返しの働きかけが奏功したという一面もあるにせよ、彼らが実際にSSを取り締まるだろうという甘い期待は持たない方がよさそうですよね。
過去にもオーストラリアなどが監視船を派遣したことはありましたが、実際には日本の捕鯨活動を撮影、公表したり船団の位置を通報したりと、要するにSSの支援活動と言うしかない活動に終始してきた歴史があり、今回も当地では「捕鯨反対の意思表示のために」監視船を派遣せよと言っているようですから、恐らく衝突回避の名目で同様の支援活動に従事する可能性が高いものと思われます。
産経の佐々木記者などもすっぱ抜いていますけれども、SSによる妨害活動の主要メンバーがオーストラリアの入国ビザが出されず参加不能か?!と言われていたものを、わざわざ与党党首自らが働きかけてビザを発給させたのみならず、ワトソン代表に対して「オーストラリア政府は、シー・シェパードの船がオーストラリアの港を出港しようとしている今、安全を確保するための計画を準備しなくてはいけない」と言ったそうです。
彼らがSSとタッグを組んでどんな計画を準備しているのかは未だ明らかではありませんが、遠からず南極海で双方の直接的な対峙が見られるということになりそうですよね。

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コメント

復興財源まで犯罪行為に流用しちゃいけませんぜw

復興財源の一部、調査捕鯨の支援に
http://jp.wsj.com/japanrealtime/2011/12/08/%E5%BE%A9%E8%88%88%E8%B2%A1%E6%BA%90%E3%81%AE%E4%B8%80%E9%83%A8%E3%80%81%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E6%8D%95%E9%AF%A8%E3%81%AE%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%81%AB/

投稿: | 2011年12月15日 (木) 11時38分

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