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2011年12月16日 (金)

医者が世間知らずだったからこそ

あの毎日新聞が?!とちょっとした話題になっているのがこちらの記事ですが、これは敢えてツッコミを期待してボケて見せたということなのでしょうか?

患者塾:医療の疑問にやさしく答える 医療と報道/上 福岡(2011年12月13日毎日新聞)

 第148回患者塾が3日、福岡県水巻町の遠賀中間医師会館で開かれた。今回のテーマは「医療と報道 正しい情報の選択のコツ」。RKB毎日放送と毎日新聞社の報道責任者が出席し、健康や医療の情報の伝え方について医師と共に考えた

 ◆「あるある」捏造
 ◇報道機関にモラル必要

 小野村さん フジテレビ系で放送された「発掘!あるある大事典2」(関西テレビ制作)で07年、納豆のダイエット効果について捏造(ねつぞう)が発覚しました。食べ物については、多くの人が何かいい物がないかと思っていて、テレビで放送されたりすると飛びつく傾向があります。「フードファディズム」と言いますが、「あるある」の問題をどう考えていますか。

 永守さん 捏造の誘惑は報道現場にはあると思います。極端な話、捏造しようと思えばできるからこそ、報道機関はモラルを持たなくてはならず、教育も必要です。「あるある」のように、データを捏造したり、談話を作ることはあってはならず、にわかに信じられないような話でした。でも逆に言えば、私たちの現場でもありうるかもしれない。非常に怖い落とし穴です。

 神戸さん 分かりやすい報道のためにCG(コンピューターグラフィックス)などを使うこともありますが、基になるのは取材したデータや話です。報道では、なかったデータをあることにすることは100%ありません。捏造する方が勇気が必要と思います。

 野沢局次長 新聞記者の取材は相手と1対1のことが多く、捏造が生まれやすいと言えるのかもしれません。それでもマスコミの世界では捏造は「想定外」。原稿を見るデスクや校閲の段階でチェック機能が働いていると思っています。

 ◆情報の伝え方
 ◇分かりやすさに落とし穴

 原田さん 「今日感テレビ」を担当しています。伝えたいことを分かりやすく伝えられるか、いかに楽しんでもらうかに腐心して番組を作っています。健康や医療の情報は、行き過ぎたとらえられ方をされると危険なものになります。極端なダイエットを続けて健康を害したりすることなどがないように、番組のホームドクターである小野村さんと密に相談し、チェックしながら放送しています。

 小野村さん ある物を食べたらすごく元気になるということもないし、逆に効果が全くないということもありません。ショウガは冷たい時はジンジャオールという成分を含み、熱を通すとショウガオールという成分に変化し、体が温かくなる効果が出てきます。だから単に「冷えにショウガがいい」というのは間違いです。報道でも本当のところはこうなんだという説明を詳しくしないと間違いにつながります。

 永守さん 情報を分かりやすくしようとするあまり、「これを食べると認知症が治る」なんていう表現につながる怖さが常にあります。分かりやすくすると落とし穴にはまりやすい一方、分かりやすくしないと視聴者に見てもらえないというジレンマも報道機関は抱えています。だから受け手側も情報を見極め、選択していくことが必要と思います。

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◇出席された方々

永守良孝さん=RKB毎日放送社長

神戸金史さん=RKB毎日放送報道部長

原田俊哉さん=RKB毎日放送社会情報部長

西野憲史さん=西野病院院長(北九州市)

伊藤重彦さん=北九州市立八幡病院副院長(外科)

津田文史朗さん=つだ小児科アレルギー科医院院長(福岡県水巻町)

槙原正人さん=まきはら歯科医院院長(北九州市)

野沢俊司・毎日新聞西部本社編集局次長
 ◇司会

小野村健太郎さん=おのむら医院院長(福岡県芦屋町、内科)

毎日関係者からは思わず「え?!どこの世界の話?!」と思ってしまうようなコメントが並んでいますけれども、想像するに毎日新聞社あたりの感覚では大淀病院事件などは何ら捏造と言うにあたらない、ごく真っ当な報道であるという感覚なのでしょうね。
とりあえず唯一彼らのコメントで素直に頷けるのが「受け手側も情報を見極め、選択していくことが必要」という部分だけであるというのもすごいですが、これなどはしかし彼らが敵視してやまないネット住民の基礎常識「嘘を嘘と見抜けないと難しい」と全く同じ事ですよね。
今日はせっかくですから嘘を嘘と見抜かれてしまった毎日新聞に敬意を表して、まるで真実であるかのように世間に流布する嘘というものを取り上げてみたいと思いますけれども、とりあえずこちらの文章を見ていただきましょう。

【日本の通信簿】給料が高いから医者…の不安(2011年12月9日zakzak)

 アジアの経済成長の原動力の1つが、教育水準の高さだ。OECD(経済協力開発機構)による15歳の子供たちの読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーという3科目テストでは、韓国やシンガポールがトップクラスで、中国は上海だけでの試験的参加だが、全科目で最上位だ。

 日本の初等中等教育は、評価が高く、学力も世界最上位だった。いまでも、欧米諸国よりは少し上だが、一部アジア諸国の後塵(こうじん)を拝している。英語力も世界最低水準に近く、海外留学する若者も減っているなど、国運の衰退が学力面でも顕著だ。

 もう1つの問題は、理科系人材の医学部への偏在である。江戸時代の教育水準を褒める人がいるが、まったくウソで武士は九九もできなかった。明治になって、理科系、特に工学部に格別に力を入れて、それが日本の経済的成功の原動力になった。

 ところが、現在では理科系の優秀な人材は医学部に集中している。それもそのはず、勤務医でも他の学部卒の倍近い給与を取り、社会的地位も高く、女性にもモテる。しかも、官僚、弁護士、銀行員、マスコミなど人気職種は、大学を卒業する22歳以上でしか確定しないが、医学部に18歳で合格すれば、よほどのことがない限り、医者になれる

 それなら、医者に向いた人材がなっているのかといえば、そうではない。おいしそうというので、医者の仕事が好きでもないとか、体力がなくて向かない若者が医学部に集中しているのだ。

勤務医の給与は、医学部の偏差値が他学部並みになるまで下げるべきだ。さし当たっての医師不足は、看護師や薬剤師、歯科医など周辺職種の業務拡大や一定期間の研修後の限定された医療行為ができる新職種の創設、外国人医師の導入で解決すべき。

勤務医は国や自治体の機関でまとめて採用して、人事命令で専門分野を決め、僻地(へきち)でもどこへでも転勤させるシステムにすれば医師の偏在はたちまち解消する。どんな職業でも、ポストごとに募集したら僻地勤務者など確保不可能になる。

 そして、将来的には、医学、薬学、看護、介護などを包括する健康学部のようなものを設けて、大学院レベルで、メディカル・スクールに進むようにすれば、医者の特権意識も不向きな医者もいなくなるだろう。=つづく

 ■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に「本当はスゴい国? ダメな国? 日本の通信簿」(ソフトバンク新書)など。

理系の優秀な人材が医学部に集中しているというのは時折聞かれる話なんですが、仮に事実そうであったとしても国と社会が理系職全般を粗末に扱ってきたことの結果であって、近頃各企業で開発者による見返りを求めての訴訟が頻発しているとか、技術者が近隣諸外国に高給で引き抜かれていくと言った問題と同根で自業自得というしかありませんよね。
この現状から成績がよい人間ばかりが医学部に行くのが不安だ、医学部はもっとレベルを下げた上で大学院レベルで入学させるようにすれば医者向きの人材がそろうはずだなどと言う発想が日本を駄目にした役人上がりらしい愚かな考えだと思いますが、これに対してはただ一言「現実を見ろ」と言うしかありませんよね。
そもそも以前からこうしたことを言う人間が何故か一定の比率で存在していて、「受験テクニックばかりの学歴エリートは医者に向かない」「偏差値偏重よりも志に燃える人々を優遇すべきだ」などという声が真面目に取り上げられた結果各大学とも学士・社会人入学や地域枠などをどんどん拡大してきましたが、その結果どうだったというのでしょう?
今や深刻な問題となっている地域枠学生の学力低下問題などは今更言うまでもありませんが、世間知らずのまま受験勉強に精出して18で入って来た学生と、社会人を経験してから入学してきた学生と、どちらが使い物になる医者になっているかと問えば答えは明白ですよね。

この典型的な一例としてお茶の水あゆみクリニックの宮沢あゆみ先生を取り上げてみたいと思いますが、TBS記者としてご活躍の後で改めて東海大医学部に学士入学され、卒後わずか五年で認定医等も一切取得せず都内に開業したという方ですが、「病院のなかで唯一まともなのは「世間を知ってる」MRだけ」と主張される先生のご経歴を拝見すればなるほど、こんな人であればそうなるんだろうなと納得するしかありませんよね。
年600万に上る学費をアルバイトで稼ぎながらの学生生活(計算上は2000円×10時間×25日働くと月収50万、ですが…)では病院長や教授と対立?もするでしょうし、学生時代の病棟見学を留学と自称したり気管内挿管も出来ず患者を心肺停止に追い込むようなスキルで指導医と闘う?ことに精出しているようでは、確かにどこの病院にも行き場がなく孤独に開業せざるを得なかったのかも理解は出来ます。
それでは自分は何一つ悪くない、全て周囲が悪いと執筆業の片手間にビルクリで理想の医療を追求している(苦笑)お医者さんと、受験戦争を生き抜いてつらい研修生活も黙々と耐え抜き、今も黙って日々汗水垂らして診療に従事しているお医者さんのいずれに命を預けたいかと患者さんに問うべきで、医者にとってではなく患者にとっての理想の医療の出発点とはあくまでそこではないでしょうか?
奴隷労働など日本の医療現場の現状に問題点多数を抱えていることは事実ですが、医師らスタッフのQOMLを度外視してあくまで患者さんにとってどうかという視点のみで考えれば、言われたことは文句を言わず黙々とこなす、とにかく根性だけは誰にも負けないという世間知らずなお馬鹿さんタイプが一番役に立つということを多くの現場関係者が理解しているのではないかと思いますね。

もちろんそうした世間知らずの方々ばかりが集まった結果、労基法無視の医療現場が成立し維持されてきたということを考えれば、昨今宮沢先生のような方々の医学部進学が増えているというのは「医療の常識は世間の非常識」を是正するために重要なことであって、むしろ彼らの感覚を一つの基準として医療現場の正常化を図っていくべきだという考え方は当然にあっていいと思います。
ただし過労が名医の腕も鈍らせるということを知っていれば長期的に見れば患者側にとってもメリットのある話だとは言え、現段階で八幡氏らの主張するような方法論で「医者の特権意識」の解消を図ってしまった場合にどういうことになるか、少なくともわざわざ患者の側からそれを求めることに思わず首をひねってしまう現場関係者も多いのではないかと思いますね。
一部では未だにメディカルスクール待望論などもあるようですが、単純に定員過剰により発生するだろう諸問題などを差し置いたとしてもロースクールの現状がどうなっているかということを考えて見れば、高度なスキルとモラルの両立とが求められる現場において急激な粗製濫造は決して良い結果をもたらさないだろうと言う想像は誰にでもつくのではないかと思うのですが…

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コメント

この八幡とかいう元・官僚って、日本も含めた海外先進国の医学教育、すなわち卒前医学教育、卒後医学教育のこと、まったく知らないようですね。
また、先進国の医師の配置システムのことも全く知らないし、医師の給与や労働条件のことも知らない。

無知に基づく妄想の域を出ていません。

まぁ、役人やめてるし、単なる評論家ですがね
事実や現状に基づかない評論なら、評論家としても失格です。

自分の無知を棚に上げて、事情通や専門家から、つっこみどころ満載の文章を書くあたりが、単なる愚か者の域を出ません。
世間知らずで思い上がりの激しい元官僚。

だめですね、60歳にもなって、こんなことしかかけないようでは、人間としても未熟です。

投稿: とある内科医 | 2011年12月16日 (金) 10時03分

官僚の皆様は自分たちに都合がいいことを「国民が望んでいる」という風にお感じになる感性の持ち主ですからね。
もちろん、自分たちは優遇年金も手放さず、官舎も手放さず、天下り先も手放さない、という特権状態を維持することが最優先ですが。

そういう役人感性の集大成の文章と考えます。
そして、お仲間のマスコミ様がそれをうまく利用する、ってとこですか。

投稿: | 2011年12月16日 (金) 10時33分

八幡さんの経歴を見ると超エリートじゃないですか、こんな人でも医者は女性にもてるってに嫉妬するんですね。自分も随分もてたんじゃないですか?

投稿: | 2011年12月16日 (金) 13時41分

なにかもう…どう言うんでしょう、いかにも団塊って感じ?とでも言うんでしょうか…
こんな人たちが中心になって今の日本の舵取りをしているのだから恐怖を感じるしかないです。

投稿: ぽん太 | 2011年12月16日 (金) 15時34分

連投失礼しますです。

西欧、北欧、北米、豪州各国のような先進国でも韓国や台湾、シンガポール、インドなどのアジア各国も、医学部医学科には理系の学力上位層が入学してきますが、八幡氏はご存じないようですね。
国内出身学生の理系上位層の理工系離れも日本と同じ状況にあります。

それに、医学部、薬学部のような専門職養成学部と、一般の学部の教育の違いも理解していない。
専門職教育システムを全くと言って良いほど、知らない。

大卒者の医学部入学制度は米国、カナダがもともとそうですし、英国(大卒入学者枠の数が日本よりもずっと多い)、豪州(主だった大学が大卒医学部入学システムに切り替え)もその制度を拡充してきていますが、高卒後の医学部入学システムを採用していようと大卒者入学であろうと、学力上位層が入学することには変わりありません。

また先進国で医師全員を公務員化して僻地であろうと都市部であろうと、強制配置している国も存在しません。

とにかく、文章を書くにあたって、基礎となる知識がなさすぎるのです。無知につきます。
評論家として、医学部や医師養成を語る以前の問題です。
お話になりません。

まぁ、産経だからこそ、低レベル評論家のコラム掲載なのでしょうが。

投稿: とある内科医 | 2011年12月16日 (金) 17時53分

こういう手合いは官僚の給料下げて余計なプライドなくさせろとは言わないわなw

投稿: aaa | 2011年12月16日 (金) 19時10分

近頃こういう素朴な人はメディアもご登場を遠慮させてるような気配を感じていたのですが、さすが産経ということなんでしょうかねえ?
ただこのレベルの人がヒョウロンカですと食っていけるのが日本社会の問題の一つではないかという気がします。
先日はデーブ・スペクターが日本のコメンテーターなる独特の習慣について書いてますけど、専門外だからどんないい加減なことを言ってもいいんだと勘違いしているのなら困ったものですね。

過剰に説明し過ぎ!? デーブ・スペクターが語る日本のテレビ
http://getnews.jp/archives/156403

投稿: 管理人nobu | 2011年12月17日 (土) 09時27分

>自分も随分もてたんじゃないですか?

官僚がもてるかどうか存じませんが、この人は鉄板でもてなかった気がするw

>こういう手合いは官僚の給料下げて余計なプライドなくさせろとは言わないわなw

したり顔で後ろから撃ってる奴が多い我が業界よりはまともと思われww

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2011年12月17日 (土) 09時31分

八幡さんの記事は論外でしょう。
海外先進国も含めて理数系科目の学力試験で医学生を選抜し、専門職として将来もある程度、保証されているのなら優秀な学生が集まって当たり前です。
近代の医学教育はサイエンスがベースにあり、基礎学力を持って入学してくることが前提ですから。

また、指導医がいなかったり、教育労働条件の悪い病院に強制配置も医師の教育上、間違ったこと。
先進国がそうしていないのは、それ相応の理由があるからです。

それに医師の収入はOECDが加盟国の購買力でみた医師の収入のデータをだしており、それを元にすると日本の勤務医収入は平均以下です。
またトレーニング期間の高学歴専門職は先進国では給与が高い傾向にあります。

医師の労働条件は欧米のほうが日本より良いです。

こういう馬鹿げた評論家は個人的に批判の手紙を送るよりもデータを示して、ネットを通じて恥をかかせたほうが効果的です。

投稿: 鶴亀松五郎 | 2011年12月17日 (土) 10時27分

細かいことは全部抜きにしても
他国に比べてただでさえ冷遇されている日本の医師たちをさらに冷遇するのに何の意味があるのかと言いたい。
ところでこれ続編もあるのだろうか?

投稿: kan | 2011年12月17日 (土) 15時58分

>何の意味があるのだろうか

医学生の選抜、医学教育、医師のトレーニング、医師の配置、医師の給与、医師の労働条件、の国際的標準に関して何の知識も持たずに書いた文章ですから、八幡さんの文に何の意味もありません。
無価値です。

評論家を自称して金を貰っている以上、知らないのなら専門外のことを書くなと言いたい。
こんな評論家は社会に不要です。

投稿: 鶴亀松五郎 | 2011年12月17日 (土) 19時43分

昔は適当にそれらしいことを言っていればよかったけど、今は素人でもちょっとした手間ですぐに調べがつくからね。
かつて国民マンガと言われた「美味○んぼ」の原作者がやたらとツッコマれるようになったのと同じこと。
時代の流れてるスピードについてこられなくなった老人にいまさらどや顔で語られてもねえ。

投稿: ぺぺ | 2011年12月17日 (土) 20時25分

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