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2011年12月 9日 (金)

新潟県十日町市では雪かきボランティア募集中、だそうなのですが…

新潟と言えば先年の地震で分断された集落が出たということが話題になりましたが、今もそうした地域に暮らし続ける人々というのは当然ながら先祖代々の土地を守るという御高齢世帯が多いわけですよね。
一方で新潟と言えば有名な雪どころで除雪作業は大変なものだと言いますが、特に十日町市などは雪かきした雪が屋根まで届くという日本有数の豪雪地帯で知られているそうです。
そんな地域で何らかの事情で自宅の雪下ろしも出来ないという世帯があればこれは死活問題ですが、その十日町でこんなボランティア募集の話が出ていて、これが思いがけない話題になっているのですね。

雪かきボランティア:豪雪の十日町で募集--高齢化で住民団体 /新潟(2011年12月7日毎日新聞)

 県内有数の豪雪地帯であり、お年寄りが多く暮らす十日町市の池谷集落で、住民団体が雪かきボランティアの参加者を募集している。

 同集落は、最盛期は37世帯約170人が暮らしたが、04年の中越地震による被災後、09年には6世帯13人にまで人口が減少した。

東京のNPO法人「JEN」が被災後、同集落で農作業や除雪作業イベントなどを継続して復興支援をしてきた。地元では都会からのボランティアを受け入れる住民団体「十日町市地域おこし実行委員会」を発足させ、秋の収穫祭などさまざまな地域おこしのイベントを企画してきた。

 集落では毎年3~4メートルの積雪がある。年寄りにとって除雪は重労働のため、同実行委が雪かきボランティアを募っている

 雪かきは来年1~2月に計4回行う予定で、各回定員15人。2泊3日4食付で参加費は6000円。宿泊場所は、廃校になった小学校を改築した「やまのまなびや」。問い合わせは実行委のメール(chiikiokoshi@gmail.com)まで。【川畑さおり】

ざっと調べた範囲では毎日にもう1本関連記事が出ていて、こちらは「越後雪かき道場」なる民間団体が「雪かきボランティアに参加する技能を養成する」という名目で人集めをしているようで、日程や場所が重なるなと思っていましたら実際に一部共同開催のようなことをやっているようですね。
しかしよく見て見れば6000円をくれるというのではなく6000円を徴収するというのですから「重労働をして金まで取られるのかよ!」と言うものですが、現地の人々の情報では雪かきのペースにもよるものの相場が時間2500~4500円くらい、日当換算で1万~2万円程度と言いますから、交通費と参加費を込みで考えるともの凄いマイナス収支ということになるのでしょうか?
当該団体の公式サイト?を参照してみますと更に一層突っ込みどころが満載という募集要項となっているようなのですが(そもそも「限界集落を抜け出した、奇蹟の集落からお届けします」って、全然抜け出してねえじゃねえか!という突っ込みは置くとしても)、まずは素直に引用させていただきましょう(一応魚拓を取っております)。

日本一の豪雪地帯の奇跡の集落で「雪かきボランティア」を体験してみませんか?(2011年11月26日奇蹟の集落だより)より抜粋

新潟県十日町市にある池谷・入山集落では2004年の中越地震以降、
 震災復興を経て地域おこしに力を入れております。

 地震直後は9世帯だったのが6世帯にまで減ってしまいましたが、
 2010年2月に1軒の家族と2011年には2人の若い女性が移住し、限界集落から脱出しました。

 とはいえ、お年寄りの多いこの地域では冬の除雪は大変な大仕事です。
 (雪が多い年だと4mも積もります!)
 そこで、都会からの雪かきボランティアを大募集しています。
 当日の状況によっては雪かきの合間にかまくら作りや滑り台づくりなどの
 雪遊びを楽しむ事が出来る場合もあります
 また、池谷集落のみならず、近隣の飛渡地区の他集落へのお手伝いも計画中です。

 ぜひ皆さまのご参加をお待ちしております。

 ===募集要項===
(略)
■宿泊場所: 池谷分校
(廃校になった学校を宿泊施設に改築して利用しています)

■定員:各回15名

■参加費: 6,000円(2泊3日:4食・懇親会付き)
※食事は参加者の食事当番が交代で自炊する形となります
※現地までの交通費は各自ご負担願います。お車での参加も可能です。
※小学生未満は無料
※小学生は半額
(略)
※送迎の場合、別途片道車1台につきガソリン代の実費を頂戴いたします。(送迎人数で頭割り)
 十日町駅の場合(500円)、六日町駅、六日町インターの場合(1000円)

■保険: ご参加の皆様には、ボランティア保険に加入して頂きます。
    別途、保険代(280円、1度加入すれば年度内の3月31日まで有効)を頂く場合も
    ございますので、ご了承ください。
(略)
     ※ストーブ、寝袋、電気毛布は用意しておりますが、
      非常に寒さの厳しい宿泊場所となりますことあらかじめご了承ください。
(略)
■主催:十日町市地域おこし実行委員会

いやまあ、交通費も実費(というより送迎に金を取るそうですが、当然ながら公共交通機関などないでしょうしね…)というのはある程度予想されたところですが、二泊三日で重労働に従事してその間の食事が僅かに四食、しかも地元の人間が豪勢に郷土料理でももてなしてくれるのかと思えば参加者が交代で自炊しろですか…まさか腹が減って何か食いたいなら地元に金を落とせってことじゃないですよね??
これまた地元情報ではとてもこんな食生活で保つような軽い労働ではないということなんですが、こういうことに参加したい人はこういう扱いには慣れているのかも知れませんが、それにしてもこの条件でも人が集まるのだとすれば、ボランティアに行く方々というのはよほどに心身ともタフに出来ているのでしょうか?
周辺集落にも応援に行くと言いますから仕事だけはいくらでもありそうですが、さらに加えてそのタフさを試すかのように豪雪地帯においてわざわざ「非常に寒さの厳しい宿泊場所となります」と地元越後の人間が言うくらいでしょうから想像を絶するような環境なのでしょうが、実際にこの廃校がどういう状況になっているのかというのがこちらのサイトから判ります。

やまのまなびや

2007年、復興支援のボランティアの宿泊場所として、廃校になった旧池谷分校を改修しました。現在も様々なイベントの宿泊場所として使用されています。
(略)
備考    ・食事は基本的に自炊。調理器具、冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ有り。
風呂なし、シャワー有り
寝具は寝袋
温泉浴場まで車で30分程度

ははあ…風呂もない廃校で寝袋にくるまって寒さに震えながら雪かきで痛む体を休めますか…「孤高の人」並みに楽しい夢が見られそうな環境ですよね。
これまた地元民が口をそろえて言うことに「雪かきを甘くみるな!」という話がありますが、実際にご当地十日町市のパンフレットには「除雪中の事故によって毎年多くの犠牲者が出ています」と厳重に警告が出されているくらいで、保険料実費だというボランティア保険も今回ばかりは出番が多そうです。
ここまで来ればこの素晴らしい企画を考えつかれた主体が誰なのかということが気になりますが、ネット上では冒頭の記事に名前の出ている「NPO法人JEN」という団体が取りざたされていて、有名な宗教団体が主催しているこちらも事実なかなか愉快なポリシーを持っている興味深い団体のようなのですが、どうも今回のイベントには直接関わっているわけではないようですね。
これも前述のサイト情報から引用してみますと今回の主催をやっている「十日町市地域おこし実行委員会」なるもの、「地域住民の方の農地の継承、新規移住者や農家担い手の促進を行っていきます。さらに、「持続可能な集落」のモデルを作り、日本全国に発信していくことで、日本全体を持続可能な社会にすることに貢献することを考えて」いるという、どうやら地元(農)民による団体であるということです。
実際に米を売っていたりと営農集落存続を様々な手段を通じて図っているようなのですが、これまらサイトによれば近々NPO申請をする予定ということで助成金も得られる見通しが立ったなどと言っていますけれども、この助成金云々というのが非常に気になるところなんですね。

そもそもこんな限界集落で豪雪地帯となると毎年の雪かきは死活問題になるでしょうに、こんな(控えめな表現をすれば)ものすごい条件でボランティア募集をかけるまで行政は何も手を打たなかったのかなと思って少し調べて見ましたら、考えて見れば当たり前なんですが十日町市でもきちんと補助金の制度もあって対象者も絶讚拡大中ということなんですね。

要援護世帯(高齢者)の除排雪援助事業の対象者拡大について (十日町市広報資料)より抜粋    

自力では自宅の雪処理が困難な高齢者世帯、母子世帯、身体障がい者世帯等(以下「要援護世帯」と言います。)に対して、①屋根の雪下ろしに係る費用、②融雪屋根に係る費用、③玄関先の避難路確保に係る費用の一部を援助します。
援助額は年間33,000円(上限)です。

上記のように高齢世帯など物理的に作業が困難であることに加えて所得が低いことなどが補助金支給の対象になるということですが、今回のケースでは何しろお年寄りだらけの限界集落ですから、さぞやこうした補助金の該当世帯も多そうですよね。
それをわざわざ参加費としてお金を取ってまでボランティアを呼ぶというくらいですから地区内の雪かきに元手は全くかからなそうに見えるのですが、そうなりますとボランティアが雪かきをした地域ではこうした補助金は一切申請する予定はないということなのでしょうか?
ちなみに市が公表している過去の実績によれば、昨年度で補助金の対象世帯数1056世帯に対して実際に利用したのが1000世帯(利用率95%!)、一世帯あたり利用額が3万1千円だと言いますから、利用可能な世帯は限りなく全世帯が満額近く利用している計算になるのですが、冒頭の記事を素直に読めば今年に限らず今までもNPOなどが主催して各地でボランティアに雪かきをさせてきたというように読めますよね…

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コメント

心が僻地すぎるw
せめて風呂とまともな布団くらい用意してやれよw

投稿: aaa | 2011年12月 9日 (金) 08時40分

>せめて風呂とまともな布団くらい用意してやれよw

こんなのに応募しちゃうようなバカにはイランでそ?テントで寝ろテントでw
「騙される方が悪い」。私が最も嫌いな言葉ですが、残念ながら一面の真実ではあります。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2011年12月 9日 (金) 11時39分

別に医師だけ”特別”扱いしてるわけじゃなかったんだ。
生まれ育った者以外はみな”平等”に扱うんですね。

投稿: | 2011年12月 9日 (金) 11時40分

ものすごく好意的に解釈すれば、この地域では寝床は納屋の藁の上なら上等…って感覚が今も続いてるだけなのかも知れませんけど。
ただ今までも類似のボランティアはあったようですから、これで困らない程度には応募者がいるのでしょう。

投稿: 管理人nobu | 2011年12月 9日 (金) 13時35分

「ボランティアだから、手弁当は当たり前、泊る場所や交通手段も自前が当たり前。
6000円出せば2泊分の寝る場所と煮炊きする場所を貸してあげる。寝袋も暖房器具も食材も付けてあげる。
ガソリン代を出してくれれば迎えに行ってあげる。♡」ということなんだと思います。
アルバイト募集じゃないもんね、と。

投稿: | 2011年12月 9日 (金) 15時39分

この条件で何人集まるかに注目したいですねぇ。
世の中15人くらいなら変わり者もいそうですけど、雪かきも冬場の重要な稼ぎ先という人も実際にいるようです。
こういうことが通用すると地域の相場が下がってしまうと危惧する声もあるそうですから、むしろ切実なのはボランティアよりも地元の人々の方なのかも知れません。

投稿: ぽん太 | 2011年12月 9日 (金) 17時00分

ネタかよw

ttp://www.jen-npo.org/participation/field.html
Q:費用は6,000円以上かかりますか。

A:基本的にかかりません。
しかし、十日町市地域おこし実行委員会主催の村の人との「交流会」が2日目の夜に開かれます。
その費用は参加費に含まれておりませんので、交流会に参加される方は、かかった費用
(飲み物、お菓子、お酒代など参加者数で割った金額)を実行委員会へお支払いしていただくことになります。

投稿: | 2011年12月10日 (土) 07時09分

うちの教室(某国立大学産科婦人科)では、昔大学院生に診療業務もやらせていました。もう医局とは縁を切っているので今でもそんな理不尽なしうちが罷り通っているのかどうかは知りませんが。

診療させて給与を支給するどころか学費を徴収するのですから、この話題に似てますね。

医者ってどこまで人がいいんだか・・・。雪かきボランティアにどれだけ応募があったのか、もし分かったらぜひご教示ください。

投稿: ぐりはま | 2011年12月13日 (火) 20時55分

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