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2011年12月20日 (火)

自転車でトラックやダンプと並走するのは怖いです

先日はタンクローリーが歩道に突っ込んで死者二人を出した事故で、そもそもの事故のきっかけを作った無謀な道路横断の自転車運転手が有罪判決を受けたというニュースをお伝えしましたが、多くの方々が実感しているように自転車マナーの悪化がこのところ問題視されています。

自転車側の8割に法令違反 死亡事故で信号無視、一時不停止など/愛知(2011年12月13日中日新聞)

 県内で今年、自転車を運転中に交通事故で死亡した35人(11月末)のうち8割に信号無視などの法令違反があったことが分かった。死亡事故の多発で非常事態宣言を発令中の県警は「自転車も自動車と同じ車両。まだまだその認識が低い」と交通ルール順守を求めている。

 県警によると、自転車が加害者や被害者になった事故の死者で、法令違反があったのは29人。内訳は信号無視が5人、一時不停止が7人など。人身事故全体でも、死傷者1万475人のうち8割の8471人に違反があった。

 11月5日に豊橋市の市道交差点で、自転車の無職男性(84)が軽ワゴン車にはねられ、死亡した。この事故は男性が信号を無視して片側2車線の交差点に進入したとみられる。

 県警交通事故対策室の担当者は「自転車は速度が出ている分、大けがにつながる。根強い、弱者的な意識を変えなければならない」と言う。

 一方で、死者35人のうち、7割の25人を65歳以上の高齢者が占めた。その9割が運転免許を持っていなかった。交通ルールをあまり知らなかったとみられ、高齢者向けの対策も課題だ。

 県警は11月29日、自転車総合対策検討委員会を設置。自転車専用道の整備や悪質な自転車利用者の取り締まりを強化する。来年4月からは携帯電話や大音量のイヤホン使用も交通違反切符(赤切符)の対象とすることを検討している。 (奥田哲平)

自転車で高速道路を走行し事故に遭う人が続出するなど、基本的な交通ルールすら承知していないのではないかと思える人が数多いのも事実で、それに対して逆ギレした人々が今度は自転車相手に事件や事故を起こすといったことも各地で発生しており、以前から無法な走行ぶりに不満が高まっていたという背景事情もあるようですよね。
自転車も免許制にというのは無理にしても、自転車に限らず歩行者も含めて交通ルールを知らないために起こっているとしか思えない事故が数多いのも確かですから、車に乗らない人々に対する交通法規の徹底をどのように図っていくかということは大きな今後の課題と思われます。
一方でブレーキを取り外した自転車が社会問題化したこともあって、警察でも自転車は車道を通行すべしというルールを全国に徹底するなど取り締まり強化の方針に転じたことはすでに大きく報道された通りですが、この結果今度は車道上において自転車と車との間に事故が多発しているというのですから困ったものです。

自転車の男性、バスにはねられ死亡 八郎潟町、運転手を逮捕/秋田(2011年11月13日秋田魁新報)

13日午前3時55分ごろ、八郎潟町夜叉袋字下昼寝の国道7号で、自転車に乗っていた同町字昼根下、工藤健三さん(60)が大型バスにはねられた
工藤さんは頭などを強く打ち、秋田市内の病院に運ばれたが、約1時間10分後に脳挫傷で死亡した。

五城目署は、自動車運転過失傷害の疑いで、バスを運転していた能代市能代町、会社員高橋幸二容疑者(53)を現行犯逮捕。
容疑を同過失致死に切り替えた。
容疑は、高橋容疑者が能代市方向から秋田市方向へ進行中、道路左側を進行していた工藤さんを、バス左前部ではねた疑い。

同署によると現場は片側1車線の直線道路
高橋容疑者は、客を乗せるため、業務で秋田市に向かう途中だった。

大阪・門真市の死亡ひき逃げ トラック運転手を逮捕/大阪(2011年12月16日関西テレビ)

大阪府門真市で、倒れていた自転車をひき逃げし、乗っていた16歳の少年を死亡させたとして、63歳のトラック運転手が逮捕されました。

この事故は15日未明、門真市稗島の中央環状線の側道で、自転車に乗っていた16歳の少年がバイクと接触し転倒したあと、後ろから走ってきたトラックにはねられ死亡したものです。

トラックの運転手は駆けつけた救急隊員に「事故には関係ない」と話し、その場から逃げましたが、しばらくして警察に「何かにあたったみたいだ」と自ら通報し、門真警察署に出頭しました。

警察は大阪市西成区のトラック運転手、牧志廣己容疑者(63)と、バイクに乗っていた32歳の男を自動車運転過失致死などの疑いで逮捕しました。

警察の調べに対し牧志容疑者は「人と認識していなかった」と容疑を否認しています。

中学生はねられ重体 瑞穂で通学中/岐阜(2011年11月26日中日新聞)

 25日朝、瑞穂市田之上の市道で、通学途中の市立巣南中学校1年児玉智哉君(13)=同市美江寺=が、後から来た乗用車にはねられて意識不明の重体となり、男子生徒2人も軽傷を負った。

 北方署によると、午前7時50分ごろ、同市美江寺の燃料販売業馬渕金春さん(60)の乗用車が、市道左側を自転車で走っていた生徒に接触。さらに前を歩いていた児玉君をはね、児玉君が前を歩いていたもう一人にぶつかったとみられる。

 現場は片側1車線の見通しの良い道路で、同校の通学路になっている。市道の路側帯は幅約70センチと狭く、路側帯の外側は斜面。署によると、自転車に乗っていた生徒は車道を走っていたという。

 巣南中学校は、通学路の中で交通量が多かったり、過去に事故が発生した場所には教員を立たせるなどしているが、今回の現場付近はとくに対策は取っていなかった。西部巧校長は「生徒には縦列で歩くよう指導し、3人とも縦になって路側帯内にいたと聞いている。これ以上、どう事故を避ければいいのか。児玉君の回復を願うばかりだ」と声を落とした。 (西川正志、多園尚樹)

すでに警察の車道通行徹底という通知を受けて、全国各地から「自転車が走れる道路状況にないのに、そんなことをすれば一気に事故が増えるぞ」「歩道で自転車に殺された歩行者はいないのに、自転車は車道で殺されなければならないのか」と全国各地から非難囂々であったと言いますが、今後統計的に自転車の死亡事故が増えたなどという結果でも出てくれば大騒ぎになりかねませんよね。
すでに全国都市部を中心に自転車を車道に誘導する試みが始まっているようですが、専用の走行帯が整備されている地域においては多くは自動車の駐停車場所と化しているのが現状であって、街頭に誘導員が立っている間はともかく長期的に走行帯が確保出来るかどうかを考えると、少なくともブロック等で車道と仕切るなどの物理的対策は最低限必要でしょう。
そしてそれ以外の多くの地方においてはそもそも自転車走行帯自体が存在しておらず、歩道から追い出された自転車は車に追いかけられながら車道を走るしかないという状況ですから、自転車にとっても車にとっても極めて危険な状況になってしまうのは当然ですよね。
警察当局としてもこうした道路の実情を知っているからこそ今まで法令の定めがありながら弾力的に運用してきたという経緯があったようですが、上の方で大方針を打ち出してしまった以上はそれに従って動かざるを得ず、結果として慌てて弁解に追われるといういささか格好の良くない状況に追い込まれてしまっているようです。

警察の「自転車は車道を走れ」大号令の一方で、環境整備は「これから」(2011年11月16日週プレニュース)

10月25日、警察庁が自転車交通の新たな指針を打ち出した。「良好な自転車交通秩序実現のための総合対策の推進について」という指針の中身は、自転車をあらためて「車両」として定義し、自転車が通行できる歩道は原則として幅3メートル以上(以前は2メートル以上)とすることなどが盛り込まれている。

要するに、「自転車は車道を走ること」を求めたこの指針。この時期になって急浮上してきたのは、ひとえに自転車事故、とりわけ自転車と歩行者との事故が激増していることにある。自転車の走行範囲をキチンと既定することで、こうした事故をなくしていこうとしているのだ。

だが、自転車が走行するその「車道」自体、自転車が走りやすいとは言い難い。特に狭い道路が多い都市部では、車道を走ることで新たな事故が増える可能性すらある。この点は警察も認識しており。前述の指針のなかで「自転車の通行環境の整備も十分とはいえない状況にある」と明記している。

環境整備が不十分なまま指針を発表した理由について、警察庁の交通企画課はこう説明する。

自転車の通行環境の確立、自転車利用者に対するルールの周知と安全教育の推進、自転車利用者の交通違反に対する取り締まりの強化といった取り組みを総合的に推進することとしています。これらの対策により、車道を通行する自転車の安全と歩道を通行する歩行者の安全の双方を確保したいと考えています」

つまり、新たなルールの周知と「並行して」環境を整備していくということ。指針では「クルマ用の車線を減らして自転車通行帯を整備すること」「利用率が低いパーキングメーターを撤去すること」などが盛り込まれており、自転車の安全のためにはクルマに不便をかけることもいとわない姿勢を見せている。

しかし、こうした自転車ユーザーの安全を確保する道路環境の整備はまだまだ「これから」の話だ。指針がすでに発表されている現在、自転車のみならず、事故を起こす可能性があるドライバーたちの意識改革がどれだけ進むのか。そのフォローは十分なのか。議論すべき点は山積みだ。

自転車は「全て車道に出よ」ではない 県警交通部長示す (2011年11月29日信濃毎日新聞)

 県警の大内明交通部長は28日の記者会見で、「自転車の車道走行の原則を徹底する」との警察庁の方針について、「自転車は全て車道に出よ、ということではない。県内の地域性や特殊性を考慮して状況に応じて指導していく」と述べ、柔軟に対応する考えを示した。

 警察庁は10月、歩道を危険走行する自転車が後を絶たず、歩行者との事故も多発しているとして、全国の警察に取り締まりの強化などを指示した。

 大内部長は、市街地などの歩行者が多い歩道については「指導を強化する」と説明。一方、県内では、歩行者が少ないなど、自転車が歩道を走っても危険にならない場合があるとした。

 県警交通規制課によると、車道の路側帯を利用して白線とカラー舗装で区切るなどした自転車レーンは、県内では長野市と松本市、上伊那郡辰野町の国道や県道など10路線の計約10・4キロにとどまっている。自転車を利用する人たちからは「車道走行の方がかえって危険な場合もある」との声が出ていた。

 県内で自転車が関係する事故は10月末現在、前年同期比33件減の1113件で、死者は同7人減の5人。事故の約6割が車との出合い頭という。一方、自転車と歩行者の事故は同2件減の6件で、死者は出ていない

 2006年2月に下伊那郡高森町の歩道で、70代男性が自転車とぶつかって死亡する事故があった。

さすがに自転車が走れる環境も整備していないのにいきなり車道に出て行けではどんな棄民政策だと批判を受けても仕方がないと思いますが、このところ取り上げられることの多かった自転車側はもちろんのこと、車の側にとっても交通ルールの徹底が必要とされるのは言うまでもありませんよね。
警察側からの発表を総合すると、歩道走行であってもママチャリ等が低速で走っている分にはあまり取り締まるという意志はないようで、やはり今回ターゲットとしているのはブレーキを外したり歩行者の間を猛スピードで走り抜けていく一部の危険走行常習犯であるということのようです。
ただし普通に考えて見れば判ることですがこうした心得違いをしている手合いは警察のルール改定がどうあれ元より従うつもりなどないのですから、結果的に車道に追い出されて車に轢かれていくのは善良で真面目な自転車乗りばかりというおかしなことにもなりかねません。

管理人もしばしば自転車に乗るものでこの問題に関しては無関心ではいられませんが、自転車で走行してみると単に走行帯としての幅があれば良いというものではなく、車中心でいい加減に扱われがちだった路肩部分の舗装の荒れなど様々な路面状況が非常に気になるもので、こうした部分まできちんと整備されている道路は割合としてほとんど存在しないのではないでしょうか?
自転車乗りのマナー悪化がそもそもの出発点だったことを思えば、車道に排除して終わりではなく暴走自転車乗りを積極的に摘発する、改造車両は没収するなどと同時に講習等を義務づけるといったやり方の方が、環境整備もなされていない現状では現実的ではなかったのかという気がします。
その摘発の大前提として自転車取り締まりの根拠を明確化する必要があったという手続き上の理由で行われた通達であったとすれば、歩行者保護を優先した結果重大な危険にさらされることになった自転車の保護はどうなるのかという新たな問題を提起する結果になってしまったようにも思えますね。

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コメント

>>歩道で自転車に殺された歩行者はいないのに、自転車は車道で殺されなければならないのか
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110426/dst11042621330051-n1.htm
歩行者が死亡してますね。

投稿: 浪速の勤務医 | 2011年12月20日 (火) 09時33分

>歩行者が死亡してますね。

車道で殺された自転車に較べれば誤差の範囲内かと。

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2011年12月20日 (火) 09時46分

自分も自転車と歩行者の死亡事故は何件か見ていますが、今問題になっている歩道走行でというのは記憶にはなかったですね(あるのかも知れませんが)。
パターンとしては坂道を駆け下って横から出てきた歩行者と激突とか、やはり速度の出る車道走行が多いようです。
自転車からすると歩道というのはアップダウンや段差も激しく高速走行には向きませんから、当たって死ぬほどの勢いで走ること自体が結構大変です。
いずれにしても車に当たって死ぬ自転車と比べると限りなく例外的な事故と言えそうですが。

投稿: 管理人nobu | 2011年12月20日 (火) 11時03分

いつも勉強させて頂いております。
12月12日付でこんなのありました。

警視庁が自転車総合対策 車道走行強制せず、危険運転は指導強化
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111212/dst11121216050007-n1.htm

さすがに警視庁も空気読んだかと。
歩道の事故の場合は一つには自転車に乗ってるのは健康な人である一方、本来安全であるべき歩道で、健康でない人が巻き込まれるケースが多いので理不尽感が大きいのだと思います。

投稿: 吉田 | 2011年12月20日 (火) 17時00分

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