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2011年12月19日 (月)

急増する弁護士によって訴訟の質はどう担保されるのか

当「ぐり研」においても新司法試験による弁護士余り現象に関してはたびたび取り上げてきましたが、先日再び気になるニュースが出ていました。

弁護士の卵、就職難 修習後の未登録、過去最悪の2割(2011年12月15日朝日新聞)

 新司法試験に合格し、14日に司法修習を終えた弁護士志望者のうち約2割が弁護士登録をしなかったことが日本弁護士連合会のまとめでわかった。弁護士急増による「就職難」で弁護士会費などを払える見通しがたたず、登録できない志望者が多いとみられる。未登録者の割合は、新司法試験合格者が就職を始めた2007年以降の同時期で最悪となった。

 卒業試験に合格して司法研修所での修習を終えると、定員がある裁判官と検察官への採用が決まった修習生以外は通常、弁護士になる。弁護士として活動するには全国52の弁護士会の一つと日弁連への登録が義務づけられており、毎年、修習終了直後に一斉に登録する。今年は15日が登録日だった。

 日弁連によると、卒業試験に合格した1991人のうち70人が検察官に採用される。裁判官の採用数は未公表だが、昨年並みの98人と仮定すると残りは1823人。15日に弁護士登録したのは1423人で、21.9%にあたる400人が未登録となる計算だ。

すでに新弁護士の就職先が極めて厳しくなっていて、ロースクールによって社会人から弁護士を目指せるようになったと言ってもこれでは学費を返済することもままならない、このままでは金持ちの子弟しか弁護士になれなくなると危惧されているのはすでにお伝えしたところです。
もちろんこうした話は専門職が少ないなりに相応のバランスをとって成立していた状況で、無計画にただ国際標準並みに数だけを増やせと急増させた場合に何が起こるのかということの先行事例として学ぶべき点は多々あって、しかもこの結果弁護士の労働環境が以前よりも良くなっているというわけではないという現実は注目に値しますよね。
もう一点弁護士急増に伴って危惧されていることとして、こうして食べていくのも苦労する人々が増えてくると職業上必要とされるモラルをどう担保していくのかということで、今後各方面で無理筋も含めて訴訟沙汰が急増してくるのではないかとも噂されているわけです。
ちょうど折良く医療に絡めて目についた訴訟が二件ほどあるのですが、これらも見ていますと様々な議論を呼びそうな内容ばかりであって、しかも医療の向上に結びつくかと言えば必ずしも疑問の余地無しとしないというところが興味深いと思いますね。

弘前大の診療拒否:損賠訴訟 簡裁、夫婦の訴え棄却 原告、控訴の方針 /青森(2011年12月7日毎日新聞)

 青森市に住んでいた40代夫婦(現在は山形市在住)が、不妊治療を受けられなかったのは診療拒否に当たるとして、弘前大と医学部付属病院の産科教授を相手取り140万円の損害賠償を求めた訴訟で、弘前簡裁(齋藤健一裁判官)は「病院が実質的に診療を拒絶したと解釈できるが、拒絶には正当な理由がある」として原告の訴えを棄却した。原告代理人は青森地裁に控訴する方針。

 判決などによると、夫婦は08年から同病院で不妊治療を受診。培養器のトラブルで同年10月に人工受精卵5個が成育不能となったのは病院の過失だとして10年8月、同大に慰謝料など1830万円の支払いを求める訴訟を地裁弘前支部に起こした。病院側は翌9月、妻に転院と診療延期を求める文書を通知したため、夫婦は「医師法19条(応招義務)違反の診療拒絶に当たる」として11年4月、弘前簡裁に別の訴えを起こした。

 齋藤裁判官は「不妊治療は予約なしにできず、実質的に診療を拒絶したと解することができる」とした上で、「先行する訴訟で信頼関係が失われ、患者の治療に緊急性がなく、不妊治療を行う別の病院もあることから、病院には診療拒絶できる正当な事由がある」と述べた。先行する訴訟は審理が続いている。【松山彦蔵】

そもそも高額の医療費もかかり当事者の治療に対する深い理解と協力が必須である不妊治療において、当事者間の信頼関係が成立しないのに診療契約を結ぶことを強要するというのは社会常識からしておかしな話だという気がしますし、万一裁判の結果診療契約を結ぶべきだという話になったとしてもまともな診療関係が結び得るはずもありません。
せっかくの人口受精卵が無駄になってしまったというご夫妻の不運には同情しますけれども、不妊治療は自由診療扱いとされているように命に関わる一般的な医療と同列に扱われているものではなく、これに関して診療契約を結ばなかったとして応召義務違反を問うというのは素人目にもかなり無理筋ではないかと思いますね。
本来であればこうしたことは不毛な訴訟沙汰になる前に経験豊富な弁護士が説得するなり、各地で行われつつあるADR(裁判外紛争解決手続)などに委ねた方がお互いにとって有意義な結果が得られたはずなのですが、このところ原告側の無理な要求をそのまま裁判に持ち込みましたとも感じられる訴訟が増えているようにも思えるのは気のせいでしょうか。

一方で医療事故と言えば今は単に賠償金なりを払って終わりという時代ではなく、そこからどれだけの教訓をくみ取って医療安全向上につなげるかということが問われる時代になってきているのですが、こちらの訴訟などは何ら医療安全向上に結びつきそうにないという奇妙な和解結果となっています。

医療事故:薬誤飲、80代男性死亡--国保黒石病院 /青森(2011年12月9日毎日新聞)

 ◇市、1500万円支払い和解へ
 黒石市は8日、同市国民健康保険黒石病院(同市北美町1、村田有志院長)で80代男性入院患者が薬を誤飲、死亡する医療事故があったことを明らかにした。市は遺族に和解金1500万円を支払う議案を同日開会の定例市議会に提出した。
 市などによると、患者は市内在住で、今年5月16日に貧血の症状で検査入院した。患者は看護師がベッドを離れた間に処方薬を包装紙ごと飲み込み、それが元となって消化器官から出血し、同18日にショック死した
 遺族側は「24時間看護をうたいながら、薬を患者の近くに置き放したのは医療管理の不備」として代理人を立て損害賠償を求めた。これに対して、市側は患者の自己責任などを挙げ反論したが、結局「国の通達に照らし、当病院に薬剤管理上の落ち度があった」(沖野俊一事務局長)として、賠償金の支払いで11月9日に和解した。
 しかし、死亡に至る3日間の病室内での処置や医療体制などの詳細をはじめ、交渉の経過や賠償額の妥当性について、病院側は「和解条項に『和解内容について公表しない』とあり、遺族も公表を望んでいないので明らかにできない」(沖野事務局長)と語るのみ。和解によって、再発防止策の検討が難しくなることにつながり、市民の批判を呼びそうだ。
 市によると、賠償金は同病院が加入している医師賠償責任保険で賄われ、市財政からの持ち出しはないが、今後、保険料が上がる見通しだという。【松山彦蔵】

公立病院がいわばスポンサーである市民を相手になんでもすぐに和解してしまうということも現場のやる気を大いに削ぐと問題視されていて、この種の論法によって認知症と思われる高齢者にこれだけの巨額のお金を支払うことが当たり前になるとすれば、医療器具から箸に至るまで薬剤以上に危険なものは患者の周囲に満ちあふれている現状でこの種の患者をどう扱うべきかということになってしまいますよね。
それだけでも十分に全国の同種患者にとっては大いに不利益に結びつく可能性のあることですが、これに加えてこれだけの巨額の和解金を出すほどの重大な過失があったと考えているのであればどこに問題点があったのか、肝心の情報を検証できないとなればこの痛ましい死亡事故はなかったも同じ事になってしまい、今後全国で同種の事故が発生しても何らその予防に寄与しないということにもなりかねません。
産科の無過失保証制度などもそうですが、もちろんお金によって被害者意識を緩和するということもそれはそれで重要であるとして、何よりも一つ一つの事故が再発防止ということに結びついていかなければ犠牲者も浮かばれないと思いますが、そこに「どうせお金は保険で出るのだし関係ない」という甘い考えがあったのだとすれば、医療安全に高い問題意識を持つ弁護士に関わらせておくべきではなかったかと言う気がします。

近頃ではその存在意義も大いに疑われかねない医師会などと比べるとご存知のように日弁連という組織は全弁護士が強制加入するという強力な業界団体で、先日などは業界内外で議論も大いに分かれるだろう死刑制度の廃止を求める検討委員会を設置するなどと言い出したりして、ずいぶんと思い切ったことをする組織だなと感心しながら見ているところでした。
それだけに個々の弁護士に対しては日医などとは比較にならない重い責任を持っていると言えますが、そうでなくとも弁護士報酬は裁判の勝ち負けに関わらず入るようになっているわけですから、30分5000円なりで無理筋の顧客をなんとかなだめ説得するくらいならいっそ負けも覚悟で訴訟に持ち込んだ方が…ということを考え始めないよう、専門家としてどうモラルを担保させていくのかですよね。
例えば医療に限らず極めて専門性の高い領域に関わる訴訟担当者に関してどのような資格なり認定なりを設定しているのかと思って見れば、見聞する範囲では医療業界における専門医制度のようなものも存在していないようなのですが、医療訴訟に精通している弁護士に断り続けられた医療事故当事者が、今後増えるだろう食うにも困っているワープア弁護士と出会ったときに何が起こるのかということも考えずにはいられません。
いずれにしても司法の世界で起こっている、あるいは起こりつつあるだろう諸問題は、どれをとっても医療の世界にとってもそのまま他山の石とすべき事例ばかりのように思えます。

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コメント

参考までに

医療訴訟は「冬の時代」 患者側の勝率はガタ落ち
http://www.j-cast.com/2011/12/18116230.html
コメント欄
http://www.j-cast.com/2011/12/18116230.html?ly=cm&p=1

コメント欄に注目
時代の変化を感じる

投稿: kan | 2011年12月19日 (月) 09時58分

意外にと言うのでしょうか、「医療過誤原告の会」に対する厳しいコメントが並んでいますね。
特に「 患者側の「勝訴率」は下がっても「勝訴件数」はほとんど変わっていない。このことはかつては常識的判断でそもそも訴訟にすらならなかった、最初から敗訴して当然の無茶な裁判が増加していることを示唆しないか?」という指摘は傾聴に値すると思います。
和解は勝訴率に含まれないとは言え、全般的にひと頃よりは司法判断も慎重になってきたのかなという印象は受けていますが、医療業界自身にもトンデモ鑑定医の排除など課題はまだまだ多いと思いますね。

投稿: 管理人nobu | 2011年12月19日 (月) 13時06分

医療訴訟に限らず一部市民団体の活動がようやく問題視されるようになってきたのはいい傾向ですよね。
裁判所も医療崩壊だ、トンデモ医療訴訟だとあれだけ大騒ぎになってやっと少しは目が覚めたのでしょうか?
あとはさんざん彼らにスポットライトを浴びせてきたマスコミがいつまで擁護を続けるのかですけど…

投稿: ぽん太 | 2011年12月19日 (月) 15時15分

>裁判所も医療崩壊だ、トンデモ医療訴訟だとあれだけ大騒ぎになってやっと少しは目が覚めたのでしょうか?

裁判所っつーか裁判官って案外空気読むし、世間に迎合するよねw?
…ツマンネェの

投稿: 10年前にドロッポしました。 | 2011年12月20日 (火) 09時53分

硬派な裁判官は訴訟に関するニュースの類も一切目を通さないらしいな
どうりでとんでもなく非常識な判決も出てくるわけだw

投稿: aaa | 2011年12月20日 (火) 10時14分

民事の医療訴訟は経済ではなく感情のもつれから始まっていますから、単純な勝った、負けたではなく納得できたかどうかも重要だと思います。
医療現場に説明責任というものを過度に要求してきた司法においても、同様に判決に対してもきちんと説得力を持たせる責任があるのかなとも思うのですが、司法畑の人に言わせると納得させるのは裁判所の仕事ではないそうで…まあ確かにその通りなんでしょうけど、ねぇ。

投稿: 管理人nobu | 2011年12月20日 (火) 11時10分

 こちらの話題を私のブログで引用しましたので、トラックバックのご挨拶をいたします。ありがとうございました。

投稿: おかだ | 2011年12月21日 (水) 07時00分

わざわざご連絡ありがとうございます。

投稿: 管理人nobu | 2011年12月21日 (水) 10時38分

裁判官って世間知らずでも楽々つとまる仕事なんですね

大阪府八尾市で少女に乱暴したとして、集団強姦罪に問われた無職の男性被告(29)と会社員の男性被告(23)の判決公判が21日、
大阪地裁で開かれ、水島和男裁判長は「同意があった」とする両被告の供述について「退けることができない」として、
無罪を言い渡した。それぞれ懲役6年と同5年を求刑されていた。

 2人は友人の少年らと共謀し、昨年7月、同市内の少年宅に知り合ったばかりの17歳だった少女を連れ込み、
集団で乱暴したとして同12月に起訴された。

 判決で水島裁判長は、現場の少年宅に家族が同居していた点を重視。強姦目的だったとすれば
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
「騒がれないようホテルなどに連れ込むのが自然だ」とした。
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女子高生コンクリート詰め殺人事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E5%AD%90%E9%AB%98%E7%94%9F%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E8%A9%B0%E3%82%81%E6%AE%BA%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E4%BB%B6
数名の少年が、女子高校生をレイプ後拉致、仲間の自宅2階の居室に監禁した。集団によるレイプ、性器にビンなどの異物挿入、裸踊りや自慰行為の強要、タバコを2本一度に吸わせる、シンナーを吸わせ、1メートル以上上から鉄棒を腹に落とす、トイレにも行かせず飲料用紙コップに排尿させその尿を飲ませる、1.6キログラムの鉄球付き棒で大腿部を数十回にわたって殴打したり、被害者の脇腹部、脚部等を多数回にわたって手拳で殴打し、全身が血だらけになり目の位置がわからなくなるほど顔を膨れ上がる程の殴る蹴るなどの行為を繰り返し、少年Bが「なんだお前でっけえ顔になったな」と笑う、足にライターのオイルをかけて火で何度もあぶる、真冬の時にベランダに裸で放置、顔面に蝋をたらす、などの苛烈な行為を41日間にわたり行った。
1989年(昭和64年)1月4日、「ギャンブルに負けた」という理由で、自力では立てなくなりほとんど動けなくなった被害者を2時間にわたって殴る蹴る、足をライターオイルで焼く、鉄の棒で殴るなどのリンチを加え放置し、その結果被害者は死亡した。
女子高生を監禁していた家の両親は女子高生の存在を認知しており、一度一階で一緒に食事を摂ったりした。
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投稿: 水島和男△ | 2011年12月22日 (木) 09時00分

■損賠提訴:弁護士が共済金対応放置、請求権消滅 男性が訴え--奈良地裁 (毎日新聞 2012年2月2日 大阪夕刊)

 奈良弁護士会所属の40代の女性弁護士が、奈良県内の男性から受けた共済金請求訴訟の提起依頼を1年半近く放置した結果、時効により請求権が消滅していたことが分かった。男性は先月、女性弁護士と同僚弁護士3人に対し、本来請求するはずだった共済金など計5650万円の損害賠償を求めて奈良地裁に提訴した。

 訴状によると、男性は09年4月の火災で自宅が全焼。県民共済に共済金支給を申請したが、「火災原因に重大な疑問がある」と拒否された。このため、同年8月、女性弁護士に対応を委任し、10年5月、県民共済に4850万円の支払いを求めて提訴するとの連絡を受けた。男性は着手金や提訴に必要な印紙代など計39万円を支払った。

 ところが、同じ事務所の同僚弁護士から昨年10月、「女性弁護士の行方が前月から分からなくなり、業務を引き継いだ」との連絡があった。その際、訴訟がまだ起こされておらず、共済金の請求権が時効(2年)で消滅したことが判明。着手金などは返却されたが、請求権消滅に対する補償はなかったという。

 弁護士会関係者によると、女性弁護士は問題発覚後の今年1月、弁護士登録を抹消したという。【大久保昂】

投稿: 奈良住民 | 2012年3月 3日 (土) 09時48分

■弁護士過誤を巡る損賠訴訟で初弁論(毎日新聞 2012年2月28日 奈良版朝刊)

 奈良弁護士会所属の女性弁護士=登録抹消=が共済金請求訴訟の提起依頼を放置した結果、時効で請求権を失ったとして、依頼人の男性が女性弁護士と同僚弁護士3人に計5650万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が27日、奈良地裁(藤野美子裁判官)であった。被告側は同僚3人の責任ついて「受任していない」と争う姿勢を見せた。提訴前の事前交渉で、女性弁護士の過失については認めている。

 訴状によると、男性は09年の自宅の火災を巡り、加入していた県民共済に共済金の支払いを拒否されたため、女性弁護士と同僚3人に対応を委任した。女性弁護士は共済金請求訴訟を起こすと男性に連絡したが、提訴せずに放置。男性は、昨秋、女性弁護士の同僚の連絡で訴訟が起こされていないことを知ったが、既に共済金の請求権は時効(2年)で消滅していた。

投稿: 奈良住民 | 2012年3月 3日 (土) 10時02分

■法テラス賃金差別訴訟:責任重く理不尽 非常勤職員女性「自立できる給料を」 /奈良 (毎日新聞 2011年4月27日 地方版)


「責任の重い仕事をしているのに理不尽」。法テラス奈良法律事務所(奈良市)の非常勤職員の女性(38)が、日本司法支援センター(法テラス)に対し、常勤職員と同等の賃金を求め奈良地裁に起こした訴訟。女性は取材に対し「せめて自立して生活できる給料を支払ってほしい」と窮状を訴えた。法テラスは低所得者や過疎地にも司法サービスを提供するために設立された公的な法人だ。その職員が不安定な立場に置かれている現状が浮き彫りになった。【高瀬浩平、岡奈津希】

女性は司法試験の勉強などのため、郵便局などで非常勤として働き、06年11月、業務を開始したばかりの法テラスの地方事務所に非常勤で雇用された。一般的な事務をしていたが、08年12月からは法テラス奈良法律事務所で弁護士の補助業務を担当している。

補助業務は専門性が高く、内容も多岐にわたる。スタッフ弁護士は司法修習を終えたばかりの若手が多く、職員が実務を教えることもある。女性の代理人弁護士も「一般の法律事務所では1、2年目の弁護士にベテランの職員をつけることが多い」と職員の役割の大きさを指摘する。しかし女性の地位は不安定な「日々雇用職員」だ。

激務のため、辞める職員もいるという。「法で社会を明るく照らす」という狙いからその名がついた法テラスだが、内部では「外よりも 内側照らせ 法テラス」という川柳もささやかれる。女性は生活保護受給者の手続きを担当した時、給料が生活保護費と同じ水準だと気づいた。「やり切れなかった。どちらが助けてもらう立場か分からない。仕事の実態に見合った給料を支払ってほしい」と複雑な心境を明かした。

訴状などによると、職員は法テラス奈良法律事務所で、09年4月からの1年間を除き、非常勤職員として雇用されている。仕事内容は常勤と同じで勤務時間はフルタイムだが、賃金は常勤の約7割。仕事内容などが同じ場合の待遇差別を禁じたパート労働法に違反するとして、賃金差額約155万円(16カ月分)の支払いを求めている。

 ◇日本司法支援センター(法テラス)
 06年4月、市民の身近な司法の相談窓口として設立。全国に地方事務所があり、法律の制度や相談窓口の紹介をしている。スタッフ弁護士は、刑事事件の国選弁護や、低所得者の弁護士費用を立て替える民事法律扶助の対象となる業務を担当する。

投稿: 奈良住民 | 2012年3月 6日 (火) 09時34分

■提訴依頼放置 請求権が消滅 奈良の元女性弁護士(奈良新聞 2012年2月3日)

奈良弁護士会に所属していた元弁護士の女性(1月に弁護士登録抹消)が民事訴訟の提訴手続きを依頼されながら放置したため、請求権が時効で消滅、提訴できなくなったことが2日、奈良地裁への取材で分かった。
 
依頼人の県内の男性は1月、女性や元同僚弁護士3人に、5650万円の損害賠償を求める訴訟を同地裁に起こした。
 
訴状によると、男性は平成21年4月に自宅を全焼。火災共済金の請求をしたが「火災原因に疑問がある」として認められず、奈良市の法律事務所に請求訴訟を依頼。男性は22年5月、主任弁護士だった女性から「訴訟を提起した」と連絡を受けた。だが2年間の請求期限を過ぎた23年10月、事務所の別の弁護士から「女性の行方が分からず、訴訟が提起されていなかった」と説明を受けた。着手金など約40万円を返還されたが、それ以外の補償はなかったという。法律事務所は「今回の件についてコメントはしない」としている。女性は1月13日付で、奈良弁護士会を退会し、日弁連の弁護士登録も抹消された。

投稿: 奈良住民 | 2012年3月 6日 (火) 14時50分

■弁護士、訴訟を放置 行方不明 依頼者が賠償提訴(朝日新聞 2012年2月3日朝刊 奈良版)

 
 奈良弁護士会に所属していた女性弁護士が火災に伴う共済金請求訴訟の依頼を放置した結果、時効で請求権が失われたことがわかった。依頼していた県内の男性は、女性弁護士や同僚弁護士らを相手取って5650万円の損害賠償を求める裁判を同地裁に起こした。
 訴状によると、男性は2009年4月、外出中に火災で自宅が全焼。県民共済に共済金を申請したが「発生原因について重大な疑問を持たざるを得ない」と拒否された。
 相談した女性弁護士から10年5月、県民共済に4850万円の支払いを求めて提訴すると連絡があり、男性は着手金など計39万円を支払った。
 しかし、昨年10月、同じ事務所の同僚弁護士から連絡があり、女性弁護士が行方不明になっていることや、訴訟が起こされておらず、共済金の請求権が2年間の時効で消滅したことを知らされた。着手金などは返還されたという。
 奈良弁護士会によると、女性弁護士から弁護士登録抹消を求める書面が1月13日付で届いたため、登録を抹消したという。
 女性弁護士が所属していた事務所の弁護士は「コメントできることはない」としている。

投稿: 奈良住民 | 2012年3月 6日 (火) 14時56分

■訴訟依頼「放置」の損害賠償、被告側争う姿勢(朝日新聞 2012年2月28日朝刊 奈良版)

 火災に伴う共済請求訴訟の依頼を放置され、時効で請求権を失ったとして、県内の男性が訴訟を依頼した女性弁護士や同僚弁護士を相手取って5650万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が27日、奈良地裁(藤野美子裁判官)であった。被告側は答弁書で「同僚弁護士は原告と委任関係になく、債務不履行の責任はない」と主張し、請求の棄却を求めた。

投稿: 奈良住民 | 2012年3月 6日 (火) 14時58分

■請求提訴放置した弁護士を損賠提訴 奈良(MSN産経ニュース 2012年2月3日)

 奈良弁護士会所属の女性弁護士に依頼した火災共済金の請求提訴を1年半近く放置され、請求権が時効で消滅したとして、県内の男性が女性弁護士と同僚ら3人を相手取り、本来請求するはずの共済金など計5650万円の損害賠償を求めて奈良地裁に提訴したことが2日、分かった。
 訴状によると、男性は平成21年4月の火災で自宅が全焼。加入していた共済金の支給を申請したが、「原因に重大な疑問がある」として拒否された。
 同8月に女性弁護士に委任。着手金など39万円を支払い、計4850万円の請求提起を依頼した。
 男性は訴訟手続きが進んでいると思っていたが、昨年10月、女性弁護士の同僚から、女性弁護士が失踪(しっそう)したことを知らされた。提訴もされておらず、請求権が時効(2年)を過ぎて消滅したことも判明した。女性弁護士は今年1月、弁護士登録を抹消されている。

投稿: 奈良住民 | 2012年3月 9日 (金) 18時46分

■法テラス賃金差別訴訟:センター側、棄却求める答弁書提出--初弁論 /奈良

 同じ仕事をしているのに賃金が低いのは違法だとして、奈良市の法テラス奈良法律事務所の非常勤職員の女性(38)が日本司法支援センター(法テラス、本部・東京都)に、常勤職員との賃金差額約155万円(16カ月分)の支払いを求めた訴訟の初弁論が28日、奈良地裁(一谷好文裁判長)であった。同センター側は「パート労働法は適用されない」として請求棄却を求める答弁書を提出した。
 答弁書によると、パート労働法で差別的取り扱いを禁じたパート労働者は、実質的に期間の定めのない契約で、人事異動や業務内容、責任などが常勤職員と変わりなく働く者と規定。これに対し、法テラスの非常勤職員は転勤がなく、雇用期間も定められているため、同法は適用されないと主張している。【岡奈津希】
(毎日新聞 2011年6月29日 地方版)

■法テラス奈良法律事務所事件~非正規職員に対する賃金差別は許されない~
http://www.minpokyo.org/journal/2011/07/287/

■応援団HP
http://sites.google.com/site/houterasosho/home/keii

投稿: 奈良住民 | 2012年3月17日 (土) 12時25分

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