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2011年11月21日 (月)

聖地奈良より 生駒市と医師会が激烈バトル中?!

ひと頃は健診等自治体の医療関連業務は医師会にまず話を通してということが当たり前だったものですが、近年医師会の権威も低下してきているということでしょうか、時折自治体と地区医師会とのトラブルが報道されています。
先日奈良県は生駒市から出てきたこの話題もどうやら背景には自治体と医師会との間のいさかいがあったようなのですが、まずは一連の報道から取り上げてみましょう。

生駒市:妊婦健診離脱巡り公取委が注意 県医師会文書「独禁法違反」/奈良(2011年11月15日毎日新聞)

 生駒市は14日、県の妊婦健診集合契約からの今年度の離脱を決めた後、県医師会が医療機関などに配布した文書の内容などが独占禁止法違反(競争や活動の制限)だとして、公正取引委員会に3月に措置請求した結果、公取委から「独禁法違反の未然防止を図る観点から、関係人に注意した」との通知が来たと発表した。

 集合契約は県内市町村が県医師会と契約し、加盟の産婦人科で補助券を金券として利用できる制度。補助額は今年度から年9万5000円に1万円増額されたが、生駒市は「実績から増額は不要」と集合契約から離脱し、補助額8万5000円で、医療機関と個別に契約することにした。

 これに対し、県医師会は2月23日、医療機関に文書を配布。県内どこでも同一の公費負担の制度が壊れるとして、生駒市を念頭に、「市町村より個別契約の依頼等がございましても、これに乗ることなく、本会まで連絡くださるようお願いいたします」と依頼した。

 市によると、この文書が出た後、個別契約を断った医療機関が出たという。市の説明では、公取委はこの文書が医師らをしばり、独禁法違反につながる恐れがあると判断し、県医師会に口頭で注意したという。

 生駒市は14日、この文書を撤回し、撤回を医療機関に周知するよう求める文書を県医師会に送り、14日以内の回答を求めた。

 一方、県医師会の中尾克己・事務局長は14日、注意を受けたことを認めた上で、「現時点で撤回するつもりはない」と話した。【熊谷仁志】

公取委 妊婦健診めぐり、県医師会に注意 奈良(2011年11月15日産経ニュース)

 ■「独禁法違反につながるおそれ」

 生駒市は14日、公費助成の妊婦健診をめぐり、県医師会との一括契約から各医療機関との個別契約に変更した際、県医師会が会員に個別契約に応じないよう求めたことについて、公正取引委員会に措置請求した結果、公取委が「独占禁止法違反につながるおそれがある」として県医師会に口頭注意したと発表した。

 市によると、県内の十津川村以外の市町村は平成21年度から、妊婦健診14回分の公費助成について県を窓口に県医師会と一括契約していた。しかし、県医師会は23年度の助成額を計8万5千円から計9万5千円への増額を決定。市は市内の妊婦の利用額が平均約7万円で「増額の必要はない」とし、県内外の医療機関と個別契約を進めた

 これに対し県医師会は今年2月、「県内どこの医療機関でも同一の公費負担で受診できる制度が壊れる」として会員に個別契約を結ばないよう通知文を送付。市が3月、公取委に措置請求していた。

 市は公取委の回答を受け、県医師会に通知文撤回を要請。県医師会は「県民が同額で助成を受けられるよう一括契約を維持するための行為であり、通知文を撤回するつもりはない」としている。

行政ファイル:生駒市の妊婦健診集合契約離脱問題で県医師会が記者会見 /奈良(2011年11月19日毎日新聞)

 県の妊婦健診集合契約からの生駒市の離脱を受け、県医師会が2月に医療機関に配布した文書について、公正取引委員会が独占禁止法違反の未然防止の観点から、県医師会に口頭注意した問題で、県医師会の塩見俊次会長が18日、記者会見した。

 塩見会長は「あくまで一般的な注意を受けただけで、文書の撤回を求められたわけではない。『個別契約を結ぶな』とは書いていないし、何ら問題はない」と述べ、生駒市が求める文書の撤回に応じる考えがないことを改めて強調した。市が求めている文書での回答もしないという。

この記事だけを読んでいるとまた強欲な医師会が我が儘を言って自治体を困らせているのかという感じなのですが、どうも事情はそう簡単なものでもないようなんですね。
元々奈良県では2009年から県内の市町村で14回分の妊婦健診公費助成を行うということになり、これに関して県から県医師会に一括で契約し、妊婦は県内どこの医療機関でも同じように健診を受けられるというシステムになっていて、これにより各医療機関と自治体が医療機関と個別に契約をする必要がなく、また医師会側も手数料等で中間搾取は行っていなかったということです。
この契約に基づく助成金の金額が2009年度当初8万円だったものが、本年度は検査項目が増えたことなどもあって9万5千円になったのですが、何故かそこで生駒市だけが「いや、当市の利用実績では14回全てを受診した人でも平均7万1834円で、多くの妊婦はそれ以下しか受診していない」と言い出して、突然県主導の一括契約から離脱して各医療機関との個別契約に切り替えると言い出したと言うのです。
県医師会の塩見会長は「これまでの制度なら県内の妊婦はどこに住んでいても同じ補助で同じ診療が受けられるが、個別契約だと各市町村の財政力などによって妊婦の負担に隔たりが出て、健診を手控える恐れもある」云々と大いに批判をし今回の文書を出すという事態に至ったというわけですが、何故生駒市だけが唐突にこんなことを言い出したのかということが疑問ですよね。

興味深いのはこの妊婦健診の公費助成と言うもの、元々は一部だけの助成であったものが未受診妊婦が問題化したこともあって08年度から14回分の公費助成を行うことになったわけですが、その費用がどこから出ているかと言えば国の地方交付税と県の補助金とで半分ずつ賄われていて、実際に妊婦に14回分の補助券を交付し医療機関に支払いを行っている市町村は何ら持ち出し無しで全部やれるわけですよね。
そうなると別に助成金の額を幾らにしようが何ら生駒市の懐は痛まないはずじゃないかと思うところですが、実はここに大きなからくりがあって、確かに国と県から妊婦全員に14回分の健診を受けさせるお金は市町村に下りてくるものの、このうち国の地方交付税の使い道と言うのは別に妊婦健診に限定されているわけではなく自由に使えるもので、実際に自治体がそのうちの幾らを妊婦健診に回すかは勝手に決めていいというのです。
要するに生駒市としては国から地方交付税を受け取っておく一方で、実際の健診助成を安くあげればあげるほどその分のお金を他に転用することが出来るという非常においしいことになっているのかも知れないと言うことですよね。

実は当初完全無料化というかけ声でスタートしたこの妊婦健診の助成額が実際には各自治体毎に違うと言う問題と平行して、この交付税問題ということも以前から併せて問題になっていて、今回の生駒市にしても元は税金だったお金をいわば目的外使用しているとなればそれは筋が通らないだろうという話ですよね。
もちろんどんぶり勘定維持にご執心な医師会が日本の税制に対してそんな高尚な意識を持っているとも思えないところで、これは当然ながら公費助成が減れば医師会会員たる地域の医療機関の実入りも減るというシンプルな動機付けに基づく抗議だろうと思われますけれども、やっていることが子供じみている割には一応抗議自体は筋が通っているようにも見えると言うのが厄介ですよね(苦笑)。
生駒市の山下市長からこの健診助成金問題に関するコメントがブログにアップされているのですが、これまた金券ですから余れば使われないだけなのに結局何故生駒市だけが個別契約を結んでまで引き上げを拒否したかがはっきりせず(文字通り読めば医師会に対する子供じみた反発ですよね?)、ただ「これでも困らないでしょ?何が問題?」と的外れな弁明に終始しているのも本音を言えない難しさがあるということでしょうか。

妊婦健診に関する生駒市医師会の通信に対する本市の考え(2011年4月16日生駒市長ブログ)

 本日、「生駒市医師会 通信」というタイトルの緑色の文書が新聞に折り込まれていました。生駒市医師会の通信が会員に対してでなく、市民に対して広く配布されたのは初めてではないでしょうか。生駒市の妊婦健診に対する補助に関しての対応を批判する内容ですが、市議選告示の前日に配布されていることから、市議選で私が支援する候補の落選を狙ったものであることは明らかです。

 妊婦さん以外にはあまり馴染みのないテーマだと思いますので、この「通信」をそのまま信用されるかもしれません。そこで、簡単な解説と医師会の批判に対する反論を述べてみたいと思います。

 妊婦健診に対しては、平成21年度から14回分、公費で助成する制度が始まりました。これは、奈良県下の市町村が奈良県を窓口として、奈良県医師会と契約し、奈良県医師会に加盟する産婦人科で公費助成の補助券を金券として利用できるようにするという形で始まりました。契約の主眼は、補助券を金券として産婦人科の窓口で利用できるようにすることで、補助額を県下の市町村が統一する必要はありませんでした

 しかし、奈良県医師会は補助額の統一を要望し、平成21年度が妊婦さん一人に対して80,000円、翌22年度からは医師会の要望で85,000円に増額されました。医師会は、平成23年度は112,450円にして欲しいと要望してきました。しかし、生駒市のデータでは、公費補助の対象となる14回すべての健診を受診されている妊婦さんでも、補助券の利用金額は平均71,834円であり、85,000円の範囲内に収まっていたので、増額の必要性はないと判断しました。また、奈良県の85,000円という統一補助額は、近畿では大阪府の約46,000円、兵庫県の約78,000円、京都府の約86,000円と比べて、遜色なく、この点からも公費補助額の増額の理由はないと判断しました。

 しかし、医師会が増額にこだわったため、生駒市は奈良県を窓口にしての奈良県医師会との契約に加わらないこととしました。そして、生駒市の妊婦さんがよく利用される産婦人科と個別に、市が発行する補助券85,000円分を産婦人科の窓口で金券として利用してできるようにするための契約を結ぶこととしました。ちなみに、奈良県下の他の市町村は10,000円値上げの95,000円で奈良県医師会と契約することになりました。

 生駒市が、個別に産婦人科と契約を締結しようと、申し入れを始めたところ、奈良県医師会は、各地区医師会会長、各産婦人科医宛てに文書で、「市町村との個別契約に乗ることなく、本会まで連絡を下さるようお願いします。」と通知し、生駒市から契約締結の申し入れがあっても、それを拒絶するように指示しました。

 これに対し、医師会の措置は独占禁止法に違反するものであったため、生駒市は医師会に対し、独占禁止法違反であることを通知するとともに、上記文書の撤回を求める文書を送付し、厳重に抗議しました。そうしたところ、奈良県医師会は生駒市医師会加盟の産婦人科医を集め、「生駒市と個別に契約することは自由である」と口頭で通知しました。

 この結果、市内の8つの産婦人科及び助産院とはすでに85,000円分の補助券の窓口利用を認める契約を締結し、奈良県下の生駒市外の産婦人科及び助産院、32機関のうち、4月11日現在で18機関とも契約が締結できています。また、これまでは県外の産婦人科では、奈良県下の市町村の発行する補助券は利用できなかったのですが、京都府医師会加盟の産婦人科医でも23年度から利用できるようになり、利便性が増加しました。現在は、大阪府医師会にも契約締結をお願いしています。

 このように、奈良県の生駒市外の産婦人科でまだ補助券の利用ができないところがあるだけで、それ以外には妊婦さんの利便性は変わっておらず、むしろ、京都府で利用できるようになったことで利便性が増しています。今後、奈良県の生駒市外の産婦人科でも補助券が利用できるように引き続きお願いをしていくつもりです。また、補助額についても、14回すべての健診を受診されている妊婦さんの利用金額が、現在の平均71,834円より増加するようであれば、今後、増額を検討していきます。従いまして、今回のことで、妊婦さんにご迷惑をお掛けすることはあまりないと考えています。

 以上が、「生駒市医師会 通信」に関しての本市の言い分です。このような文書が市議選前に政治的意図をもって配布されることは大変残念です。なお、今回の奈良県医師会の取った行為に対して、本市は3月4日に公正取引委員会に対して独占禁止法45条に基づく措置請求をしています。

ま、どっちもどっちだと言えばそれまでなのですけれども、元々は14回全部が無料で受診できるようにという趣旨で始まった制度であり、そのためにわざわざ国からも県からもお金を出して自治体に負担なく行えるようにしているわけですから、「平均額はカバーしているから何も問題なし」というのはどうなのかで、実際に助成金額が他市より低いが故に「ご迷惑をお掛け」してしまう妊婦に対してはどう釈明するのでしょうかね。
今回の件とは直接関わりのないことですが、以前からお産に関しては自治体病院の不当なダンピング価格が地域の産科医を圧迫しているという声があって、これも分娩費用値上げは市議会に諮らなければならないとなれば今どき料金アップなどおいそれと認められるはずもありませんけれども、その結果今の医療水準に相応したお産に要する正当なコストすら請求できないということになっているわけです。
無論正当なコスト請求が出来ないということは院内における産科医の立場も高まらないのは当然で、ひと頃参加崩壊が叫ばれた頃には悪弊極まる公立病院をどう潰すべきかなんて議論まであったくらいですが、こうしたことを考えて見ると今回の助成金問題においても生駒市の方針には生駒市に相応しいレベルの産科医がついていくことになるのだろうなと言う気もします。
しかし「むしろ、京都府で利用できるようになったことで利便性が増しています」とは言い得て妙と言うのでしょうか、さすが産科医療における聖地とも言われる奈良だけの事はあると思いますけれども、先頃ついに放言で市長が辞任に追い込まれた小金井市のゴミ処理問題にも見られるように、今どきリソースの不足している領域でいつまで余所様の面倒まで見てくれるかと思うのですけれどもね…

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コメント

健診の助成金額が低いと話題に上る大阪ですが、箕面市では地方交付税不交付団体だから助成が少なくても仕方ないんだと開き直っているようです。
http://www.city.minoh.lg.jp/lifeplaza/youshi/h22/kenzou.html

投稿: ぽん太 | 2011年11月21日 (月) 13時48分

>文字通り読めば医師会に対する子供じみた反発ですよね?

確かに市長が言ってることは医師会がボッたくってるからうちは断固払わないよってことだなw
これで納得出来る生駒の市民ってやはりそういう民度なんだろうねえww

投稿: aaa | 2011年11月21日 (月) 15時22分

生駒医師会の古くさい体質は辞めろ。生駒の市民の診察は生駒市だけで診てください。出来ないなら新病院の建設に反対するな!徳洲会の何処が悪い?生駒の病院生駒消防最低です!

投稿: | 2013年10月 7日 (月) 00時33分

生駒の3大病院は掛かりつけの患者を夜間診療拒否しています。早く市民病院を開院してください。
徳洲会でもいいじゃないか。何でも診てくれると聞いています。倉 阪奈中央 白庭 病院辞めたら。

投稿: | 2013年10月 7日 (月) 19時10分

生駒医師会のアホどももっと市民の事考えろ。山下市長に逆らうな!

投稿: www | 2013年10月 7日 (月) 22時36分

もうすぐ市長選挙。山下市長頑張って下さい!アホ医師会を見返して新病院開院して下さい。

投稿: | 2014年1月14日 (火) 00時39分

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