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2011年11月17日 (木)

じわじわと被災地復興は進んでいます、が…

ようやく復興の動きが目に見えてきたかな?と言う気配もある一方で、もう半年以上も過ぎて未だにこの程度か?とも感じてしまうのが今回の震災被害ですが、いずれにしても一年、二年で片付くような話でもないだけに特区導入なども絡めて十分な再建計画立案が必要なのは言うまでもないとしても、目前に迫る冬対策だけは十分な手配を行って欲しいものだと思いますね。
そんな中でこれは思ったより大きな影響があるかも知れないと思えるニュースが出ていましたが、ご覧になりましたでしょうか。

病院4団体、東電に損賠請求へ 計画停電で医療行為制約(2011年11月15日産経ビズ)

 東京電力福島第1原子力発電所の事故による計画停電で、医療行為が制約され損害が生じたとして、全国の民間医療機関の連合組織が、東電に対し損害賠償の集団請求を検討していることが14日、分かった。損害額は少なくとも約6億7000万円に上る見込み。

 請求を行うのは日本医療法人協会▽全日本病院協会▽日本病院会▽日本精神科病院協会の4団体で構成する民間医療機関の連合体「四病院団体協議会(四病協)」で、月内にも集団請求を行うプロジェクトチームを設置する。

 四病協は9月、東電管内(1都8県)の会員医療機関1342カ所を対象に、計画停電による損害状況を調査。回答があった544の病院のうち、182の病院で実際に計画停電が行われた。

 その結果、停電に備えて患者の受け入れを断ったことによる減収が、外来・入院あわせて4億7500万円に上ったほか、停電に備えて購入した備品や機材などが1億6300万円、職員の超過勤務手当などの人件費が3000万円となり、計約6億7000万円の損害が生じたことが判明した。

調査では未回答だったが損失を抱えた病院も多いとみられる。ある四病協役員の病院長は「実際の損失額はこの倍以上ある」と強調した。

実際には被災地では病院そのものが完全に崩壊してしまったという事例も少なからず見られるわけですから、計画停電のみならず地域医療全体での損害額ともなれば到底こんな金額で済むとも思えませんけれども、被災地界隈はもともと医療過疎が言われる東北一帯であっただけに、今回の請求も民間病院からのものばかりと言うのは妙な気がしますね。
公務員仕事で公立病院は請求額の確定もまだだというのであれば僻地診療を担ってきた公立病院は潰され損ですが、しかし今更少々の損害補償をしてもらったところで到底再建もおぼつかなさそうな施設も多そうなだけに、地域医療の再建、再編と言うことについてはなおも頭の痛い状況が続きそうに思います。
しかし医療と言えば地域の産業の中ではごく小さな一部に過ぎないわけですから、その医療からの請求のそのまたごく一部に限っても少なからずの金額になってくるとなれば、地域全体からの損害賠償請求はすごいことになりそうで東電さんもこれから大変だなあと思いますが、回り回って結局国民が負担することになるとなれば釈然としない人も多いのでしょうね。

損害賠償の件はそれとして、地域の再建ということに関して言うとそろそろ汚染地域への避難住民の帰還ということが話題になってきていますが、それに関して何やら非常に興味深いと言うのでしょうか、まさに「ありそうな」話題が出ていましたので紹介してみましょう。

「まず除染」大合唱の陰でホンネを言えなくなった飯舘村の“移住希望”村民/福島(週プレニュース)

除染か避難か―。東京電力・福島第一原発事故によって放射能汚染された市町村で住民同士の対立が起きている。

除染費用は巨額だ。国が2012年度までに計上した除染費用は計1兆1400億円。だが、ある経済産業省職員が首を振る。

1兆1400億円という数字はこれから数十年かかる除染の費用のごく一部。しかも、細野豪志環境相・原発事故担当相が除染対象地域を年間追加被曝線量5ミリシーベルト以上から1ミリシーベルト以上に引き下げたため、除染作業で出てくる汚染土も当初の試算の2倍、5600万に膨らむ。これは東京ドーム約45杯分です。この汚染土を長期保管する中間貯蔵施設の建設・維持費も含めると、除染費用はおそらく数十兆円に膨らむはずです」

このため、汚染地では今、除染ビジネスフィーバーが起きている。建設、土木、住宅業界はもちろん、造園業、清掃業、果ては便利屋などの代行業までもが公金投入で巨額の受注が見込める除染ビジネスに参入しているのだ。

計画的避難区域に指定され、全住民が村外へと避難している福島県飯舘村の20代男性村民が悲鳴を上げる。

「村役場はもちろん、村の年配住民も『除染して村に戻ろう!』と言うのですが、僕ら若い世代の意見はちょっと違う。村外に移り住みたいという声も少なくないんです。だけど、『まずは除染』の大合唱の前に、それがなかなか言い出せない。避難という言葉も『ネガティブだから使うな、保養と呼べ!』と怒られる始末です」

9月28日に飯舘村が発表した除染計画によると、2年後までに宅地、5年後までに農地、そして、20年後までに森林を除染する。その概算費用総額は3224億円。飯舘村の人口は約6000人だから、ひとり当たり5000万円以上にもなる計算だ。前出の20代飯舘村民がポツリとこう漏らす。

「飯舘村の75%は森林です。ということは、村の4分の3のエリアは20年後まで除染ができないということ。年配の人はそれでもいいかもしれないけど、僕らはこれから結婚して子供もつくるんです。すべての除染が完了しないまま18年も住むなんて怖すぎる。それよりも、ひとりにつき5000万円もらって、ほかの土地でやり直したいというのが本音です。彼女とふたりで1億円。新しい土地で再起するには十分すぎる金額です。だけど、その本音が言えない。『おまえは村を愛していないのか! ふるさと再生に協力しないのか!』と叱られるから……」

福島市渡利地区などの除染を支援する神戸大大学院の山内知也教授が同情する。

除染が終わっていないのに、20年近くも汚染された土地に住めというのはあまりに酷(こく)です。除染で故郷を再生したいという人々の気持ちはよく理解できますが、健康被害の危険性を考えれば、いっそ移住したいという若い人たちの言い分ももっともです。行政は除染だけでなく、避難や移住という選択肢も用意すべきでしょう」

同じような住民の対立は福島第一原発から20㎞圏内にすっぽりと入る浪江町でも起きている。全町民の帰還を目指す町長に対し、商工会の若手メンバーは全町移転を唱える

故郷再生のかけ声のもと、除染という巨大プロジェクトが利権化し、住民を放射線量の高い土地に縛りつけてしまうようなら、それは本末転倒だろう。国は避難と移住の自由も認めるべきだ。

除染利権とも言うべき新たな地域利権の発生も非常に興味深い話で、何しろ田舎に行きますとまとまった現金収入が得られる道が本当に限られますから、国が巨額のお金を投じて今後延々と公共事業めいた作業を行っていくとなればそれは人も群がってくるでしょう。
ただ金は天下の回り物というくらいで、元々土建王国日本などと言われるくらいにこの方面での金の使い方は熟知している日本の官僚が金の手配をするとなれば手慣れたものでしょうから、ただ義援金だ、救援物資だと支給を続けていくよりは作業に従事してもらった方がよほど住民の自活にもつながるし、新たな需要創出効果も期待は出来そうですよね。
ただそれ以上に興味深いのは「そんな巨額のお金を先の見えない除染作業に投じるくらいなら、いっそそのお金をそのまま支給してくれた方が…」という声が密かにあるということで、なるほど「新しい土地で再起するには十分すぎる金額」と言われてみればまさにその通りと思ってしまうような巨額資金がこの作業に延々と投じられていくことになるわけです。

もちろん一人あたりで割ればそれだけの金額になる計算だとは言え、地域全体の除染をする作業経費ですから「除染作業を選ぶか、それとも5000万円を選ぶか」といった単純な計算にはならないのは言うまでもないですが、もともと地域にさほどの思い入れがない人々にとっては本当に馬鹿らしいと感じられる話なのかも知れませんね。
行政が除染か移住かの選択を用意せよとはもちろんごもっともなのですが、除染作業にしても地域の様々な行事と同様に全体でまとまってやらなければ意味がないという性質のものだけにどちらの主張にも一理はあるのですが、むしろ注目したいのが今どき敬老精神?何それ食べられるの?状態だなどと陰口を叩かれ、年長者相手でもタメ口きき放題だと言われがちな今どきの若者をこうまで萎縮させてしまうムラ社会の底力でしょう。
とりわけ「お前は村を愛していないのか!ふるさと再生に協力しないのか!と叱られる」云々の話が非常にリアルで「あ~あるある!」と言うのでしょうか、まさしく現地の空気はそんな感じなのだろうなと思ってしまうのですが、こんな話を聞くと思わず中島みゆきの「ファイト!」を思い出してしまったのは果たして自分だけでしょうか。

薄情もんが田舎の町に あと足で砂ばかけるって言われてさ
出てくならおまえの身内も住めんようにしちゃるって言われてさ
うっかり燃やしたことにしてやっぱり燃やせんかったこの切符
あんたに送るけん持っとってよ 滲んだ文字 東京ゆき

ちなみにこの曲、初出は1983年発売のアルバム収録曲で当時はレコード盤(!)で売られていたと言いますから今やどんな大昔だよ!ですが、当時ですら一昔前の思い出話として語られているような光景が平成の時代になっても未だ現役とは、さすがに田舎は侮りがたいと感心するべきなんでしょうか…

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心と体」カテゴリの記事

コメント

さすが福島
やはり心が僻地

投稿: | 2011年11月17日 (木) 10時17分

田舎はこんな感じですよねぇ…
ただそれでも勇気を出して声を上げてもらいたいです。
何も言わなければ何も変わりません。

投稿: 通りすがりのただの人 | 2011年11月17日 (木) 16時42分

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