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2011年11月22日 (火)

消費税増税が一気に実現?!しかし先にやるべきことも多いのでは

すでに報道などでご存知だと思いますが、消費税増税で一気に話が進みそうな気配だということです。

消費増税「年内に結論」…首相会見(2011年11月20日読売新聞)

12年度予算 国債44兆円超えも

 野田首相が東アジア首脳会議閉幕後の記者会見で、消費税率引き上げの時期や税率を定める社会保障・税一体改革について、「年内をメドに結論が出るよう議論を深めていく」と述べ、年内取りまとめに意欲を示した。

 だが、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加をめぐり、野田内閣への反発も増える中、消費税の増税論議は難航が予想される。(山崎貴史、本文記事1面)

 政府は2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%に引き上げる方針に沿い、年内に大綱をまとめる方針だ。野田首相は、年明けから野党と協議し、来年3月までに関連法案を国会に提出する考えを示した。

 また、野田首相は12年度予算の新規国債発行額を今年度当初予算並みの44兆円以下に抑える方針も説明したが、実現は容易ではない。政府は12年度予算案での基礎年金の国負担分の財源不足(約2・6兆円)を穴埋めするため、将来の消費税増税での返済を前提とする「つなぎ国債」の発行を検討している。特別会計の剰余金など「埋蔵金」も枯渇しつつあり、「44兆円」を超える恐れがある。

 欧州の債務危機は国の財政規律の重要性を改めて示している。野田首相は消費税増税などの必要性を国民にわかりやすく説明し、とりまとめに向けて強い指導力を発揮する必要がある。

年金改革、消費税率10%でも将来不足…前原氏(2011年11月20日読売新聞)

 民主党の前原政調会長は20日のNHK番組で、月額7万円の最低保障年金創設などを柱とする年金制度抜本改革の関連法案を2013年の通常国会に提出する意向を示した。

 年金制度抜本改革は同党が09年衆院選政権公約(マニフェスト)に明記していたもので、関連法案に厚生、国民、共済に分かれている年金制度の一元化も含める考えだ。

 前原氏は、抜本改革の財源確保で必要となる消費税率について「どのようなパーセンテージで行くかはこれから詰めなければならない」と語り、将来的には社会保障・税一体改革で想定した税率10%では不足するとの考えを示唆した。

 政府・民主党の一体改革案には、年金制度抜本改革は含まれていない。このため、来年の通常国会に提出する消費税率引き上げの関連法案は一体改革案に沿って税率10%とし、年金制度抜本改革の議論とは切り離される予定だ。

しかしいつの間にやら埋蔵金がどうとか、特別会計がどうとか言う話は誰も言わなくなりましたよねえ…いやあ、不思議と言うしかないのですが、そういえばマニフェストでは増税はしませんなんてことも言っていたような気もするのですが、あれはどうなったのでしょう?
欧州債務危機は確かに以て他山の石とすべきものですが、ギリシア危機などを見て見れば公務員問題など放漫な支出を続けていればとんでもないことになりますよという教訓を読み取るべきで、支出を維持するために増税しますではかつて橋本政権時代に経験したようにかえって税収が落ちるんじゃないかという気もします(ちなみに、野党時代の野田さんは公約にない増税をさんざん批判していたのですが…)。
そもそも前原氏の言う年金改革を実現するためには10%ではまだまだ足りないという話ですが、社会保障と税の一体改革ということとはまた別に財政赤字対策などからも消費税増税が必要だという声は根強くあり、記事にあるようにこれら全て別計算として計上していけば一体消費税はどんな水準になるのか判らないと言うことですよね。
そもそも年金というものは自分たちでかけた掛け金で自分たちの面倒を見るというタテマエで、それがただでさえ世代間の負担のツケ回しで制度が歪んでいる現状を放置したままでただ税金で救済すればいい、財源は消費税増税だでは、結局今の現役世代の抱いている不公平感をますます拡大再生産するだけに終わってしまいそうです。

税と社会保障の一体改革となれば一方の老人医療費に関する議論も必要なはずなんですが、消費税を大幅増税してまで社会保障を真剣に改革するというのであれば、民主党がさんざん批判して実質骨抜きにしようとしている後期高齢者医療制度をきちんと真面目に考えていかないと仕方ないでしょうね。
そもそも一番お金を持っている高齢者が極端に低い自己負担で医療を好き放題使えるということが医療費を際限なく増大させていく大きな要因であったからこそ、若年世代とは別枠での医療を提供していくことで一つには本人達の自覚を促し、また将来的には医療給付も年代別に差別化していこうという方向性が示されていたはずなのですが、結局残ったのはお年寄りの特権だけだったわけです。
確かに日本はどんどん高齢化が進んでいて、しかも若年世代が減少している以上は大票田としての高齢者に対して厳しいことも言えないのでしょうが、だからといって社会全体がひっくり返ろうとしている中で一部特権の維持だけのために制度そのものを歪めていいという理屈にはならないですよね。
三階建てなどと批判される公務員年金(共済年金)の優遇問題などもそうですが、高度成長から低成長へと移り変わる中でもはや景気のいい事ばかりは言っていられない世の中なのですから、きちんと持てる者には応分の負担を求めていくという当たり前のことを行い、既得権益にはしっかりと切り込んでこそ政権交代の意味もあるというものでしょう。

年金問題の行方はともかくとして、それ以前に消費税増税でどうなるかと言われているのが医療機関のいわゆる消費税損税問題なんですが、残念ながら社会一般では(ごく控えめな表現をしても)さほど大きな関心を呼んでいるようには見えません。
ご存知のように商行為の各段階でかかってくる消費税というものは、最終的には消費者が支払うというのが原則ですけれども、何故か医療機関においては最終消費者である患者にこの消費税を転嫁してはならないという妙なルールになっていて、そのため仕入れ等の間に支払ってきた消費税分だけまるまる損になっているというのがこの損税問題です。
実際にこの損税というものがどれくらいの額になるのかが気になりますが、診療内容などによっても変わることから諸説あるものの一つの試算では保険収入の1.32%、一病院あたり年間7482万円と言いますから、これは決して少ない金額ではなさそうだと言う気がしてきますよね。

国のタテマエとして診療報酬に消費税込みで反映されているから転嫁する必要なしという理屈になっているのですが、しかし消費税が10%、あるいはそれ以上に大幅引き上げされるとなると、診療報酬もそんなに大幅引き上げが出来るのかということになりますが、どう考えてもこのご時世に「それでは消費税を10%に引き上げますから、診療報酬も5%引き上げましょう」なんて話がありえるでしょうか?
もちろんきちんと裏付けとなる理屈があるわけですから説明は幾らでも出来るでしょうが、コンマ以下何パーセント増やしたの減らしたので大騒ぎしている世界でいきなりそんな大幅増となれば実際の政府支出増も大変でしょうし、国民も理屈以前に感情の問題としてついていけないでしょう。
すでにこの問題は医療機関側からは以前から盛んに是正の必要性が叫ばれていたのですが、それがここに来て急に消費税増税問題が現実化しそうな気配になってきた、それもあるいは相当な大幅増税になりそうだとなればこれは死活問題で、すでに以前から各方面で警鐘が鳴らされているところなんですが、果たして一方の当事者である国民の耳に届いているのでしょうか?

「消費税が医療現場を追い詰める」 医療関係者が市民セミナーで訴え(2011年8月31日J-CASTニュース)

  消費税が病院の損税になっていることを知ってもらおうと、市民セミナー「医療と消費税」が2011年8月21日、東京・日比谷公会堂で開かれた。日本医師会と四病院団体協議会(日本病院会、日本精神科病院協会などの病院団体連合)の主催。消費税是正を目指す運動の第一弾。医療関係者が6割、一般が4割で、1800人以上の聴衆が集まった。

   医師・作家の海堂尊さん、ジャーナリストの堤未果さん、今村聡・日本医師会常任理事の3人が基調講演、続いてパネルディスカッションが開かれた。

医療を民営化したアメリカの失敗

   海堂さんは「医療とお金」をテーマに、医師や病院は国の医療費削減政策によって貧しくなっていること、国はもっと医療に投資する必要があること、それなのに、国民・患者は相変わらず「お医者さんは金持ち」と誤解していること、を指摘した。

   著書『ルポ貧困大国アメリカ』で知られる堤さんは、医療や教育を民営化し、商売にしたために起きた米国の惨状を強調した。さらに菅首相が積極的だった自由貿易協定は、日本の医療市場を米国医療資本に明け渡す危険性があると警告、「国民皆保険制度を守ろう」と訴えた。

   日本医師会で税制を担当する今村さんは、病院が薬や建築、医療機器の購入に消費税を払いながら、医療費が消費税非課税になっているために、病院の負担になっている仕組みを説明した。消費税1 件5%の現在で、一般病院で1年に数千万円、大学病院では3億6000万円もの負担になっているという。

   パネルディスカッションでは四病院団体協議会税制委員長の伊藤伸一・大雄会第一病院(愛知県)理事長が「診療報酬に消費税分を反映した」という国の主張がいかに不十分、不合理かを解説。税理士の船本智睦さんは医療界全体で消費税は6兆円の負担になっており、17兆円の関連生産額が失われているとの試算を示した。

   また、医療ジャーナリストとして参加を求められた筆者(田辺)は、消費税は大企業・輸出企業・富裕層に有利で、病院や介護施設、低所得層、小企業いじめになっている不公平税であることを強調した。「このままで消費税率が上がると、医療は崩壊する」とし、パネル参加者全員が、国の早急な是正が必要との意見だった。(医療ジャーナリスト・田辺功)

無論、消費税増税でより一層顕在化するこの損税問題が医療機関に対して新たな淘汰の圧力として働き、厚労省などがかねて主張している医療の再編、集約化に結果として寄与するという可能性も否定出来ませんが、そうしたことが必要だから行うというなら行うにしても、本来許されるべきではない制度の歪みによってそれを達成するというのもおかしな話でしょう。
一方では増税でさらなる特権を享受しようとしている人々がいて、他方では増税で今以上に不公平税制に泣かされてしまう人々がいるとなれば、税と社会保障の一体改革なるものが言うところの改革の中にこうした不公平の是正は含まれていないと言うことのないように、きちんと今から目を光らせておかなければならないということですね。

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コメント

消費税は10%どころか17%と言う声もあるらしいですね。
そうなると診療報酬も10%くらいは引き上げなければならないのでしょうか?
そんなことはまずあり得ないとするとあちらこちらで病院倒産ですか…

別に病院窓口で消費税を取ってもいいんじゃないかと思うんですけどね。
消費税上げを契機に窓口で税を徴収することにすれば、それを名目に診療報酬も下げられるでしょう。
かえって医師会の反発なしに大きく医療費支出を削れるチャンスだと思いますが。

投稿: 通りすがりのただの人 | 2011年11月22日 (火) 10時21分

経済というのはいかにお金を循環させるかが大事ですから、税金でふんだくって国が国民の代わりに湯水のごとく使うってのもありかなとは思います。あくまでも総論の話であって、各論ではいろいろ問題が発生するでしょうけれど。

あとは宗教法人の課税ですかね。一つの宗教法人につき一カ所の土地とその上の建物は無税にして、後は税金をかけてしまうべきだと個人的には思います。

投稿: クマ | 2011年11月22日 (火) 11時41分

宗教法人もピンキリですから、やるならいわゆる累進的な課税制度というのが筋でしょうね。
せっかく公明党が野党になっているんですから、課税を考えるなら今でしょう。

投稿: 管理人nobu | 2011年11月22日 (火) 11時50分

しかし損税解消法をどうするにしても、損税が実際幾らになるのかの計算式でコンセンサスを得ているものはないだろうにどうするんだ。
このまま診療報酬改定も適当な見込みでエイヤっとやってしまえば影響はハンパじゃなくなるし、消費税を段階的にあげていくのを今後も報酬改定サイクルと同期させるなんて無理だろう。
結局は現場の病院が損を被れということになるんじゃないかな。

投稿: kan | 2011年11月22日 (火) 15時58分

近年の流れを考えれば病院よりも開業医潰しに利用してくる気がするがな

投稿: aaa | 2011年11月22日 (火) 21時55分

病院が支払った消費税を還付してくれればいいんですよ。
診療報酬でなんとかするなんて、今時誰も信用しませんって。

投稿: 通りすがり | 2011年11月23日 (水) 17時17分

その誰も信用しない話を表向き信用したようなふりをしながら、裏できっちり実利を取ってきたのが往年の医師会という組織だったはずですが、今の医師会はねえ…

投稿: ぽん太 | 2011年11月23日 (水) 20時25分

今日も書きましたが、医師会の影響力低下は年々顕著になっているようですね。
開業医もいつまでも医師会だけにおんぶにだっこではどうしようもないということでしょうか。

投稿: 管理人nobu | 2011年11月24日 (木) 09時34分

山崎さんは北海道の人ですか?

投稿: かよちゃん | 2012年2月 1日 (水) 01時54分

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