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2011年11月11日 (金)

久しぶりに地域医療の話題ですが、相変わらずという状況のようで

先日は以前にも紛糾している件を取り上げた舞鶴市の公的4病院再編計画の修正案がまとまったという記事が出ていたのですが、驚くなかれ聖地と言われひとたび崩壊しながら赤字を垂れ流しつつ公務員を養ってきた舞鶴市民病院を、療養病院として移転新築するというのですね。
需要もないのに公務員の勤務先維持というだけで続けるのもどうかという話で、今度は土建屋利権までとことんしゃぶり尽くそうというのですから驚くしかない話ですが、これで地域医療再編ということにして例の国からの補助金25億円を取ろうというのですからびっくりするような話です。
自治体の税金でやるならともかく、国の財政もこうまで緊迫している折にこんな杜撰な計画で認める方もどうかしているというもので、認可に当たっては国もきちんと審査をしていただきたいと思いますけれども、自治体病院の迷走ぶりは別に舞鶴市民病院だけの専売特許というわけではありません。
かねて自治体基幹病院が一瞬で潰れたという伝説を残した銚子市民病院では、その後総合病院復帰を目指して暫定開業中ということですけれども、その現状を見てみると驚くような事実が浮かび上がってきているのですね。

銚子市立病院が給与不払い 労基署が是正勧告/千葉(2011年11月8日産経ニュース)

 銚子市立病院(千葉県銚子市前宿町)が、職員の給与を不当に少なく支払っていたとして、銚子労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが7日、関係者への取材で分かった。関係者によると、不払いは医師を含めた職員106人に対し、残業代など4月分から計約1千万円に上るとみられ、同病院は「給与計算が間違っていただけ。いま計算中で11月か12月中に全て支払いたい」としている。

 関係者によると、ほかにも同署は勧告で、同病院に労働時間や給与などを定めた就業規則がないこと、産業医ら衛生管理者がいないことなどを指摘している。

 市は「勧告を受けたとは聞いているが、詳細な内容を把握していないのでコメントできない」。同病院の指定管理者である銚子市立病院再生機構も「担当者が不在のためコメントできない」としている。

 市によると、同病院は病床数53床で、職員数106人。1日当たりの外来患者数約140人、入院者数約10人。診療科目は内科、外科、整形外科、皮膚科、泌尿器科、耳鼻咽喉科。

 平成20年に財政難に伴う医師不足から閉鎖されたが、昨年5月に同機構による運営で診療を再開した。

今どき公立病院の給与不払いなど珍しい話でもなく、労基署もようなく病院相手にも仕事をするようになったかと時代の変化を感じるのみですけれども、ここで注目いただきたいのは病院であるのに産業医すらおいていないとか、労働時間や給与すら定められていないとかいった「え?ブラック病院?とっくに知っていますがそれが何か?」な問題ではなく、「病床数53床で、職員数106人。1日当たりの外来患者数約140人、入院者数約10人」という部分です。
いや、最初見た時は正直ちょっと目を疑ったのですが、名目上53床と言っても実際の利用はほとんどない(何しろ患者自体がろくに来ていないのですから当然ですよね)有床診療所レベルの自称市立病院に職員106人って、いったいどんな病院なのか想像がつきますでしょうか?
もはや職員同士で仕事を奪い合うようにしなければ一日の勤務時間を潰すにも苦労するんじゃないかと思えるようなあり得ない話なんですが、こうまでして雇用を確保しなければならないほど銚子市の公務員は仕事に困っているということなんでしょうかねえ…
ま、こうした「地元スタッフの雇用維持のための病院存続」の問題は舞鶴市民病院などでも見られる自治体病院永遠のレゾンデートルというものですが、それのみならず少し前の記事を拾ってみれば予想に違わず、この病院は一体どうなっているのかと思うような状況であるようです。

病院長はや3人目が退任へ 千葉・銚子市立、1年半で/千葉(2011年9月16日朝日新聞)

千葉県銚子市立病院の轟健院長が10月末で退任することが、16日までにわかった。昨年5月に病院が再開されてから、早くも3人目の院長交代となる。市病院再生室は「重大な事態であり、今後の対応を注意深く見守りたい」としている。

 病院再生室によると、病院運営の指定管理者「銚子市立病院再生機構」が9日に開いた理事会で轟院長の契約延長をしないことが決まり、12日に同機構から市に連絡があったという。

 なぜ退任させるのかなど詳しい理由について、機構から説明はないという。また、後任の院長を含めた今後の対応についても「聞いていない」としている。

 2次救急病院をめざして市立病院は昨年5月に再開した。8月に副院長が辞めており、轟院長が10月末で退任すると、これまでの常勤医師7人は5人に縮小することになり、当直体制など病院の運営がいっそう厳しい事態となる。

 入院患者の伸び悩みなどから、年度当初に見込んでいた病院の赤字は1億3200万円から、3億5200万円に膨れあがる見込み

 市は赤字補充のために約2億4200万円を一般会計から繰り出す補正予算案を9月市議会に提出している。

三顧の礼で迎えただろう貴重な常勤医である院長すらろくに続かず次から次へと辞めていくなんてどんなブラック病院よ?ということですが、こんな小さな有床診療所レベルの病院でありながら巨額赤字を垂れ流している上に、おそらく今後もますます赤字がふくれあがるだろうと言うのも、それは前述のようなあり得ない雇用状況を見れば納得ですよね。
地元では「病院再建が進んでいる!」「目指せ二次救急再開!」と喜んでいるようですけれども、今どき公立病院で1億2億の赤字補填は仕方ないじゃないかとは言うものの、その実態が「病院の経常収支は2010年度には収入が約3900万円なのに対して、支出が約1億9300万円に達しており、差し引きで約1億5400万円の赤字」なんて状況では、いくら何でも常勤医複数を抱えた病院の収入じゃないですよね。
そもそもこの銚子市立病院を巡っては、その再開を目指していた頃から「税金を投入して設立した銚子市立病院再生準備機構のスタッフは市長の友人縁者ばかり」などというとんでもない事実が市議会の質疑で明らかになったなどという経緯もありますから、もともと就職等を巡ってはよほどに縁故などが強いという土地柄なのでしょうか?
銚子市民が自らの税金を使ってするだけのことであれば縁故採用だろうが公務員雇用死守だろうがご自由にということで済むのですが、ただでさえ全県的に医師不足が言われている地域にあってこんな無茶苦茶なことをやっている以上は、他地域から貴重な医者を引っ張り込むようなことは間違ってもないように人材も全て自前産での運営をお願いしたいものです。

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コメント

銚子は単に経済的側面で潰れたのではなく、ちゃんと聖地に値する状況にあったわけか。
しかしここまで全国に名が知られて今後どう二次急再開を目指すつもりなんだ?w

投稿: aaa | 2011年11月11日 (金) 21時36分

あの規模の市民病院を維持するのはもともとちょっと身の丈に余る印象がありますよね。
現状のちょっとした近所の小病院的ポジションは決して悪くないと思うのですが、やはり立派な大病院を欲しがるんでしょうね…

投稿: 管理人nobu | 2011年11月15日 (火) 07時13分

現舞鶴市長は、8年前の市民病院副医院松村理司先生を追放した当時の市長の操り人形で、総合内科医の育成が急務必要なのにそれを無視してただ特化だけを叫んでいるだけで医師確保(総合内科医)の目処がたたないのに医療問題解決の目処ががたったとよくいいよ。

投稿: 自滅 | 2012年1月 3日 (火) 23時40分

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